(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、生産財の一隅を担うメーカーとして産業界の創造的製品並びに新素材の出現、加工技術の進展に常に追随しうる情報力を養い、技術力と開発力を備え、本業による収益を高めて株主に報い、従業員の生活環境を満たし、各種取引先との共存に配慮して社会に貢献することを経営の基本方針としております。
また、事業活動の基本となる経営理念として、「経営は創造である。習慣を打破し独創性豊かな技術開発で世界に貢献し、溌剌とした人材の結集で自己啓発を促進し、その能力を最高に発揮する。」を掲げており、この経営理念のもと、世界中のお客様の生産性向上に貢献してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、合金から切削工具・耐磨耗工具まで社内で一貫して製造するメーカーであり、顧客ニーズに対して、開発・製造・販売の各部門が共同してタイムリーに製品提供することにより、業績を向上していくことを目標としております。この目標の達成状況を判断する経営指標として売上高営業利益率を用いており、中長期的に10%以上とすることを目指しております。
(3)経営環境
わが国産業界におきましては、国内では雇用・所得環境の改善が続くなか、引き続き緩やかな景気回復が継続することが期待されるものの、海外では、米中貿易摩擦や英国のEU離脱等が世界経済に及ぼす影響についての見通しが難しいものとなっており、景気の動向については今まで以上に慎重に注視する必要があります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
①販売力の強化
当社グループといたしましては、全社を挙げて、営業・技術・製造が一体となり、得意商品の受注生産体制の確立に取り組むとともに、国内においては、得意商品の拡販に努め、市場ニーズを捉えたサービス体制の見直し、全社バックアップ体制の推進等により得意商品を創造・育成できる国内販売体制への転換を目指し、海外においては、拠点の整備・確立により本社との連携強化を図り、海外人材の育成も含めた持続可能な世界販売体制を構築し、海外事業の一層の進展を図ってまいります。
②生産性改革の推進
資源相場や為替等の変動による原材料価格や原価の上昇リスクに対しては、徹底した原価低減を行うとともに、製造工程の自動化・無人化・省人化によるアワーレートの低減に取り組み、生産性改革を推進して収益性の向上に努めてまいります。
③新製品開発の強化
新製品開発におきましては、「高速・高能率・高精度」をキーワードとして、顧客・営業ニーズから世界市場を見据え、販売戦略をベースに最速製品化を実現できる新製品開発体制を再構築するとともに、市場及びユーザーニーズに応じた提案型商品、革新的なオリジナル商品及びコア商品の開発を推進し、新材種や新技術を用いた高付加価値製品の開発にも注力してまいります。
④人材の育成
人的資源の活用基盤を整備するため、人材育成を促す新人事評価制度の導入を目指し、人材の成長及びモチベーションの向上を図るとともに、働き方改革及び健康経営を推進し、生産性の向上と労働環境の整備に努めてまいります。
⑤企業の社会的責任
企業の社会的責任を自覚し、コーポレートガバナンスの更なる充実を図り、コンプライアンス体制の整備及び運用に努めるとともに、大規模自然災害への対策を推進し、環境保全活動及び社会貢献にも引き続き取り組んでまいります。
(5)会社の支配に関する基本方針
当社は会社法施行規則第118条第3号に定める「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下、「会社の支配に関する基本方針」といいます。)を定めており、その概要は次のとおりです。
1 会社の支配に関する基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の事業特性並びに株主の皆様をはじめとする国内外の顧客・取引先・社員等の各ステークホルダーとの間に築かれた関係や当社の企業価値の本源を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、継続的若しくは持続的に向上させる者であることが必要と考えております。
また、当社は、当社株券等に対する大規模な買付行為が行われた際に、これに応じられるかどうかは、最終的には株主の皆様の自由な意思と判断によるべきものであると考えておりますが、一方では、大規模な買付行為の中には、その目的等から見て当社の企業価値ひいては株主共同の利益に明白な侵害をもたらすもの、株主の皆様に株券等の売却を事実上強要するおそれのあるもの、当社の取締役会が代替案を提案するための必要な情報や時間を与えることなく行われるもの、当社と当社のステークホルダーとの関係を損ねるおそれのあるもの等、企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも想定されます。
当社では、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するような大規模な買付行為を行う者は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えております。
2 会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み
①会社の支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
(ⅰ)企業価値向上の取組み
当社は、1938年に創業以来、超硬合金・超硬工具の専業メーカーとして、「独創性豊かな技術開発で世界に貢献する」ことを経営理念に掲げ、新技術・新製品の創造による成長の持続を目指しております。
また、当社は、その経営理念の実現のために、当社取締役会が策定する経営の基本方針に基づき、素材の開発から一貫した製品づくりを行い、国内外の幅広い需要家に提供していく中で、時代に即した事業体制の構築を進め、企業価値の向上に努めております。
さらに、継続して社会から信頼され、企業倫理に則した公正な事業活動を推進していくために、内部統制システムを整備してコンプライアンス重視の経営体制を進めております。
このような取組みを通じて、当社は、社会的責任を果たすべく透明性・健全性の高い効率的な経営活動を実現し、株主の皆様をはじめとする各ステークホルダーに最大限に配慮しながら、継続的、安定的に収益を確保し、企業価値を高めることが経営の最重要課題と考えております。
(ⅱ)コーポレートガバナンスの充実への取組み
当社は、経営理念を実現し、株主重視の立場を基本として各ステークホルダーと良好な関係を築き、社会的責任を果たすべく透明性・健全性の高い効率的な経営活動を目指しております。そのためには、中長期的に企業価値の向上に努めるとともに、各ステークホルダーから信頼される企業となるため、コーポレートガバナンスの充実が経営上の重要課題であると考えており、企業倫理に則した公正な事業活動を推進するためにコンプライアンス重視の経営体制を進めるとともに、内部統制システムを整備し、経営の透明性・健全性の向上に努めております。
その一環として、2015年6月26日付をもって、監査等委員会設置会社に移行いたしました。これにより、取締役会は独立した社外取締役2名を含む3名の監査等委員である取締役を加えた8名の取締役で構成し、取締役会の監視・監督機能の強化、権限委譲による意思決定の迅速化等を図っております。
現状のコーポレートガバナンス体制は、取締役会を最高の意思決定及び監督機関とし、定期又は必要に応じて臨時に開催して取締役及び業務役員が出席し、法令、定款及び取締役会規則等に定められた事項を審議・決定するほか、業務執行状況の報告等を通じて取締役又は業務役員間の意思の疎通を図るとともに、相互に業務執行を監督・監視しています。
また、業務執行取締役に業務役員を加えた経営会議を構成し、原則として毎月1回定期又は必要に応じて臨時に開催し、経営全般にわたる業務執行に関する事項を審議・決定し、情報の共有化を図り、迅速な意思決定と効率的な事業運営を図っております。さらに、監査等委員会設置会社に移行したことに伴い、取締役会における重要な業務執行の決定の一部を業務執行取締役に委任しており、一層の経営の意思決定及び業務執行の迅速化を図っております。
監査等委員会は、独立した社外取締役2名を含む監査等委員である取締役3名で構成し、法令、定款及び監査等委員会規則に従い、取締役の職務の執行を監査・監督するとともに、会計監査人の選任及び解任並びに不再任に関する議案の内容の決定のほか、監査等委員以外の取締役の選任・指名及び報酬に関する議案の内容についての意見陳述等を通じて各決定プロセスの透明性、客観性の確保に努めております。さらに、常勤の監査等委員である取締役を置くことで、質の高い情報の収集効率を高め、内部統制システムの活用や会計監査人及び内部監査部門との連携を密に図り、執行側とのコミュニケーションを円滑にして監査等委員会による監査の実効性を高めることに努めております。
また、当社は、東京証券取引所が公表した「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨を踏まえ、下記方針に沿って、今後も中長期的な企業価値の継続的向上のため、コーポレートガバンスの一層の充実に取組んでまいります。
(1) 株主の権利・平等性の実質的な確保に努める。
(2) 株主以外のステークホルダー(お客様、取引先、債権者、地域社会、従業員等)との適切な協働に努める。
(3) 適切な情報開示と透明性の確保に努める。
(4) 取締役会の役割・責務を適切に果たすことに努める。
(5) 株主との建設的な対話に努める。
②会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させ、会社の支配に関する基本方針を実現するため、当初2008年6月27日開催の当社第82回定時株主総会において株主の皆様のご承認を得て、「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策」(買収防衛策)を導入し、直近では2017年6月28日開催の当社第91回定時株主総会において株主の皆様のご承認を得て、一部内容を見直した上で継続(以下、継続後の対応策を「本プラン」 といいます。)しております。
本プランでは、当社株券等に対し20%以上の大規模買付行為(市場取引、公開買付等の具体的な買付方法の如何を問いませんが、あらかじめ当社取締役会が同意した者による買付行為を除きます。)を行おうとする者(以下、「大規模買付者」といいます。)が大規模買付行為実施前に遵守すべき、大規模買付行為に関する合理的なルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)を定めております。
大規模買付ルールは、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や、当社取締役会の意見を提供し、さらには当社株主の皆様が当社取締役会の代替案の提示を受ける機会を確保することを目的としております。当社取締役会は、大規模買付者に対し、大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に提供することを要請し、追加情報についても適宜合理的な回答期限を設け、当該情報の提供完了後、大規模買付行為の評価検討のための期間を設定し、当社取締役会としての意見形成や必要に応じ代替案の策定を行い、公表することとします。
従いまして、大規模買付行為は、取締役会の評価検討の期間の経過後にのみ開始されるものとします。大規模買付者が、大規模買付ルールを遵守した場合は、当社取締役会は、当該大規模買付行為が、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく毀損することが明白と判断される場合を除き、対抗措置をとりません。
ただし、大規模買付者が、大規模買付ルールを遵守しなかった場合、遵守しても大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、当社取締役会は、当社企業価値ひいては株主共同の利益を守ることを目的として、対抗措置をとることがあります。
なお、対抗措置の中には例えば既存の株主に対する新株予約権の無償割当てなどの措置を含んでおりますが、当社はこの場合において、大規模買付者が有する新株予約権の取得の対価として金銭を交付することを想定しておりません。
このように、対抗措置をとる場合には、その判断の合理性及び公正性を担保するために、当社取締役会は、対抗措置をとるか否かの判断に際して、特別委員会の勧告を最大限尊重するものとし、必要に応じて特別委員会の勧告または取締役会の判断により、株主の皆様の意思を確認することが適切と判断した場合には、当社株主総会を開催することがあります。
3 具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
①会社の支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組み
前記2①に記載した企業価値向上への取組みやコーポレートガバナンスの充実への取組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的、安定的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、当社の会社の支配に関する基本方針に沿うものです。
②会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
本プランは、大規模買付行為が行われる際に、株主の皆様が判断し、あるいは取締役会が代替案提案するために必要十分な情報や時間を確保する等、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保するための取組みであり、当社の会社の支配に関する基本方針に沿うものです。
本プランは、株主総会において株主の承認を得ることを条件に導入されたものであること、有効期間を3年間とするサンセット条項が付され、有効期間満了前であっても株主総会の決議により廃止できるとされていること、独立性の高い者のみから構成される特別委員会が設置され、本プランによる対抗措置がとられる際には必ず特別委員会の判断を経ることが必要とされていること、その内容として合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ対抗措置がとられないように設定されていることなどにより、その合理性・客観性が担保されていることから、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当社グループの営業品目の圧倒的な部分は生産財であり、主に金属加工分野で消耗品として使用されており、需要は時の経済状況の影響を受け、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(資産)
資産は前連結会計年度末に比べ1,057百万円増加し17,163百万円となりました。このうち流動資産は100百万円の減少、固定資産は1,157百万円の増加となりました。
流動資産の変動の主な要因は、たな卸資産が281百万円増加し、現金及び預金が339百万円、受取手形及び売掛金が288百万円それぞれ減少したことであります。
固定資産のうち、有形固定資産は1,388百万円増加しました。変動の主な要因は、減価償却費の計上による減少826百万円、設備投資の実施による増加1,726百万円、リース資産の取得による増加597百万円であります。投資その他の資産は257百万円減少しました。変動の主な要因は、投資有価証券が株価の下落等を受け372百万円減少したことであります。
負債は前連結会計年度末に比べ999百万円増加し、9,665百万円となりました。このうち流動負債は631百万円の増加、固定負債は368百万円の増加となりました。
流動負債の変動の主な要因は、支払手形及び買掛金が76百万円、電子記録債務が131百万円、その他のうち設備関係支払手形が179百万円、設備関係電子記録債務が345百万円それぞれ増加したことであります。
固定負債の変動の主な要因は、リース債務が547百万円増加し、長期借入金が100百万円減少したことであります。
純資産は前連結会計年度末に比べ58百万円増加し7,498百万円となりました。このうち株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益が407百万円であったこと等により317百万円増加し7,081百万円となりました。また、株式の時価評価等によりその他の包括利益累計額は259百万円減少し416百万円となりました。
当連結会計年度における売上高は、前年同期比1.1%増の9,998百万円となりました。このうち国内販売は前年同期比3.7%増の5,710百万円となり、輸出は同2.2%減の4,288百万円となりました。
輸出の地域別では、北米向けが前年同期比9.0%減の875百万円、欧州向けが同6.6%増の1,178百万円、アジア向けが同3.4%減の2,158百万円、その他地域向けが同5.5%減の76百万円となり、この結果、連結売上高に占める輸出の割合は、前年同期に比べ1.4ポイント低下し42.9%となりました。
製品別では、焼肌チップが前年同期比0.6%増の1,199百万円、切削工具が同1.4%増の7,294百万円、耐摩耗工具が同0.1%増の1,466百万円となりました。
売上原価率は前年同期に比べ0.8ポイント悪化し、68.4%となりました。要因としましては原材料費の上昇、新工場稼働に伴う一時的な費用の増加、一部製品の廃棄等があります。
販売費及び一般管理費は前年同期比0.6%増の2,710百万円となりました。増加の主な要因としましては、販売手数料、研究開発費の減少、広告宣伝費の増加があります。
売上高は微増したものの、売上原価率が悪化したことにより、営業利益は前年同期比11.5%減の452百万円となりました。
補助金収入の計上等により、営業外収益は前年同期比38.3%増の169百万円となりました。為替差損の計上及び寄付金の増加により、営業外費用は前年同期比34.1%増の83百万円となりました。
営業利益の減少により、経常利益は前年同期比5.8%減の538百万円となりました。
東京のマンションを売却したことにより固定資産除売却損20百万円、苫小牧の遊休地を売却したことにより、減損損失28百万円を計上しました。
経常利益が減少したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比1.5%減の407百万円となりました。
営業活動により獲得した資金は1,026百万円でありました(前年同期は1,740百万円の獲得)。資金流入の主な要因は、税金等調整前当期純利益491百万円、減価償却費845百万円、売上債権の減少282百万円であり、資金流出の主な要因は、たな卸資産の増加275百万円、未収消費税等の増加192百万円であります。
投資活動により流出した資金は1,219百万円でありました(前年同期は327百万円の流出)。主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,216百万円であります。
財務活動により流出した資金は142百万円でありました(前年同期は714百万円の流出)。主な要因は、配当金の支払い88百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出28百万円であります。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は前連結会計年度末と比べ、339百万円減少し1,686百万円となりました。
当社グループは事業の種類として、超硬合金・工具の製造及び製品等の販売を営んでいる単一事業であり、当連結会計年度における製品分類ごとの生産、受注及び販売実績は次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格をもって計上しております。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
当社グループでは、一部見込による生産もありますので、次表は契約の成立したものを受注高として計上し、契約成立後未出荷のものを受注残高として計上しております。
(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(注) 1 上記金額には消費税等は含まれておりません。
2 販売実績における主な相手先別の記載は、当該割合が10%未満のため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、相次ぐ自然災害の影響を受けつつも企業収益は底堅く、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、年度後半は中国経済の減速等を背景に輸出や生産に停滞感がみられ、景気の減速懸念が高まっており留意が必要な状況です。
こうした中、当社グループにおきましては、シカゴで開催された「IMTS」、東京ビッグサイトで開催された「JIMTOF」等の主要な展示会への出展に合わせ、高能率肩削りカッタのショルダーエクストリーム「EXSAP」形や刃先交換式ボールエンドミルのスウィングボールネオ「SWBX」形など6アイテムの新製品を発表し、お客様へより生産性の高い工具を提案できるよう努め、販売拡大を図りました。また、高機能・高精度次世代工具用合金の安定供給の実現に向け新工場「三重合金第二工場」を竣工させ、最先端の設備を導入するとともに、高品質合金の増産体制を整えました。
売上高に関しましては、国内向けは年度中程から後半にかけて行った販売価格改訂の影響による駆け込み需要等があり、前半は堅調に推移いたしましたが、後半にかけてその反動や新工場竣工による生産活動の乱れ等の影響を受け減速し、通年では増収となりましたが当初見込みより伸び幅は縮小しました。海外向けは、欧州地域は総じて堅調に推移したものの、北米地域や中国向けでは前年比9%前後の減少となりました。米中貿易摩擦の影響を受けているものとみられ、動向について注視しております。
利益に関しましては、売上原価率が悪化していることから総じて前年比減益となっております。要因といたしましては、原材料費が当連結会計年度において大幅に上昇しており、年度中に販売価格の改訂に踏み切りましたが十分に吸収することができなかったことが挙げられます。この他にも、新工場竣工による一時的な費用の増加、生産活動の乱れや、滞留在庫製品の処分等を積極的に行ったことも減益の要因となっております。以上の要因は翌年度には解消する見込みです。
資金について、当社は、円滑な事業活動に必要十分な流動性の確保と財務の安定性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達は主として銀行等からの借入金によりますが、5年の長期資金を中心とし、約定弁済を付することにより借り換えリスクの低減を図っております。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準を定めておりませんが、中長期的な財務の安定性と資金調達の柔軟性・機動性の向上を図る目的で2,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。
当連結会計年度は新工場竣工に伴う資金需要が大きかったことからリースを積極的に活用し、財務活動による収入を減少させております。翌年度も収益性を高めるための設備投資を積極的に行う計画ですが、減価償却額を大きく超えない範囲での計画であり、その資金調達は自己資金にて行う予定であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、当社経営陣は資産、負債及び収入・費用の各報告数値に影響を与える見積りの仮定を過去の実績や状況に応じて合理的に設定し、算定しておりますが、状況の変化によりこれらの見積りと異なる場合があります
特記すべき事項はありません。
当社グループにおいて、研究開発活動は連結財務諸表を作成する当社のみが行っております。当社の研究開発活動については以下のとおりであります。
研究開発の方針として、低抵抗化、高能率化、高精度化及び長寿命化によりお客様のリードタイム短縮と加工コスト低減に貢献すること、また高騰するレアメタルの使用量削減などにより環境に優しい製品を開発することを掲げております。
93期は、下記テーマに取り組み、様々な新製品を開発いたしました。
近年、より厳しい生産性向上への要求に対して、高能率・高精度な肩削り加工を可能とした「ショルダーエクストリームEXSAP/MSX形」を開発いたしました。
本工具の特長は、
① 立壁加工において最大で15mmの軸方向切込みの高能率加工を実現しました。また平面加工、溝加工、プランジ 加工など幅広い用途でも使用いただけます。
② インサートは両面使用可能な4コーナ仕様で経済的であり、高精度な円弧状外周切れ刃形状と低抵抗な三次元ブレーカを採用し、荒加工から中仕上げ加工までの高能率・高精度な加工を実現しました。
③ インサート材種は耐摩耗性と耐欠損性のバランスに優れた「JC8050」と50HRC以下の焼入れ鋼が加工可能な「JC8118」を用意し、幅広い被削材への対応を可能にしました。
金型加工業界におきまして、高硬度材をより高速・高精度な直彫り加工への要求が厳しくなる中、70HRCまでの高硬度材の荒加工から仕上げ加工まで幅広く対応する「ハード1ボールSFSB形」を開発いたしました。
本工具の特長は、
① ボール切れ刃のR精度は±5μmと高精度であり、更にボールR切れ刃と外周切れ刃は、つなぎ目の無いシームレス形状とすることで、仕上げ面精度の向上と加工時のチッピングを抑制し、高精度加工を実現しました。また、高速回転に対応可能な剛性とシャンク精度を有します。
② 高硬度材用に開発した新PVDコーティング材種「DH110」を採用、耐高温酸化性や被膜靭性及び密着性に優れ、高硬度材の高速加工と長寿命化を実現しました。
また、近年導入が進む5軸加工機に対応する工具第1弾として、「高精度版QMマックスMQT形」を開発いたしました。
本工具の特長は
① 5軸加工機の複合加工においてピックを大きく取れる外周R60バレル切れ刃を採用、また本体外径精度は0,-0.03mmの高精度とし、仕上げ加工時の高能率化と高精度化を実現しました。また3軸加工機でも8度までの傾斜面仕上げ加工に対応いたします。
② インサート材種は一般鋼から焼入れ鋼、ステンレス鋼、鋳鉄と幅広く対応可能な「JC8015」と鏡面仕上げが可能なサーメット「CX75」を採用しました。
なお、当連結会計年度の試作製造・技術改良等を含めた研究開発活動に要した費用は