(1)経営の基本方針
当社グループは、事業活動の基本となる経営理念として、「経営は創造である。習慣を打破し独創性豊かな技術開発で世界に貢献し、溌剌とした人材の結集で自己啓発を促進し、その能力を最高に発揮する。」を掲げており、この経営理念のもと、生産財の一隅を担うメーカーとして産業界の創造的製品並びに新素材の出現および加工技術の進展に常に追随しうる情報収集力を養い、技術力と開発力を備え、本業による収益を高めて株主に報い、従業員の生活環境を満たし、各種取引先との共存に配慮して社会に貢献することを経営の基本方針としております。
具体的な行動指針として、以下の4つを設定し、経営の基本方針の推進に邁進しております。
①自身で自由な発想で行動し、斬新な発想で既成概念を打ち壊す溌溂とした社員が独創的な新製品、新技術、新生産技術を開発して、新しい価値を世界に広げる。
②出来ないと思うより、まずやってみる。そのうえで改善、工夫、協力で実現させる。
③前を見つめ、一歩先のイノベーションを追求する。
④意識改革を断行し、初心に帰ってやり直すことで、今後の飛躍を果たす。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、合金から切削工具・耐摩耗工具まで社内で一貫して製造するメーカーであり、顧客ニーズに対して、開発・製造・販売の各部門が共同してタイムリーに製品提供することにより、業績を向上していくことを目標としております。この目標の達成状況を判断する経営指標として売上高営業利益率を用いており、中長期的に10%以上とすることを目指しております。
また、配当に関しましては、安定した配当を維持すべきことを基本方針としており、業績に応じた適正な利益配分を行い、現状は配当性向25%を目標としております。配当性向につきましては、売上高営業利益率を向上させ、更なる引き上げを目指してまいります。
(3)経営環境
わが国産業界におきましては、長期化した米中間の貿易摩擦等の影響による外需の低迷により生産や輸出が弱含みで推移し、年度終盤にかけては新型コロナウイルス感染症の世界的流行により景気は大幅に下押しされており、先行きは極めて不透明な状況にあります。
機械工具業界におきましても、当連結会計年度序盤より、機械工具の生産高が前年比マイナスに転じており、大口の需要先である、自動車業界や航空業界等の早期の生産回復が待たれる状況であります。
当社グループの業績への影響に関しましては、当連結会計年度の売上高について、国内向けは前年度実施した販売価格改定の反動や外需の低迷等に起因する国内生産活動鈍化の影響が、また海外向けは米中貿易摩擦等の影響が大きかったものと考えております(地域別売上高実績:国内;前年同期比△8.2%、海外;△11.3%)。新型コロナウイルス感染症に関しましては、当連結会計年度への影響は僅少で、翌連結会計年度への影響が大きくなる可能性が高いと考えております(後記2 事業等のリスク 参照)。
当社グループといたしましては、後記「(4)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載しております、各種施策を推進することにより、経営環境の変化に影響されることの少ない、強固な収益体質を確立してまいる所存であります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
①販売力の強化
国内においては、営業・技術・製造が一体となり、得意商品の拡販に努め、市場ニーズを捉えたサービス体制の見直し、全社バックアップ体制の推進等により得意商品を創造・育成できる販売体制への転換を目指します。海外においては、拠点の整備・確立により本社との連携強化を図り、海外人材の育成も含めた持続可能な世界販売体制を構築し、海外事業の一層の進展を図ってまいります。
②生産性改革の推進
資源相場や為替等の変動による原材料価格の上昇等による原価の上昇リスクに対しては、製造工程の自動化・無人化・省力化によるアワーレートの低減等、徹底した原価低減を行うとともに、生産性改革を推進し、収益性の向上に努めてまいります。
③新製品開発の強化
新製品開発におきましては、「高速・高能率・高精度」をキーワードとして、顧客・営業ニーズから世界市場を見据え、販売戦略をベースに最速製品化を実現できる新製品開発体制を再構築するとともに、市場及びユーザーニーズに応じた提案型商品、革新的なオリジナル商品及びコア商品の開発を推進し、新材種や新技術を用いた高付加価値製品の開発にも注力してまいります。
④人材の育成
人的資源の活用基盤を整備するため、2020年4月に導入した新人事制度により、人材の育成及びモチベーションの向上を図るとともに、働き方改革及び健康経営を推進し、生産性の向上と労働環境の整備に努めてまいります。
⑤企業の社会的責任
企業の社会的責任を自覚し、コーポレート・ガバナンスの更なる充実を図り、コンプライアンス体制の整備及び運用に努めるとともに、大規模自然災害への対策を推進し、環境保全活動及び社会貢献にも引き続き取り組んでまいります。
当社グループは、リスクを「経営における一切の不確実性」と定義し、具体的には以下の項目を例示しております(ただし、これらに限定されるものではありません)。
・当社グループに直接または間接に経済的損失をもたらす可能性
・当社グループの事業の継続を中断・停止させる可能性
・当社グループの信用を毀損し、ブランドイメージを失墜させる可能性
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクのうち、重要なものについては以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
・原材料の調達
当社グループが製造する製品の原材料は、タングステンとコバルトがその大部分を占めており、いずれも、生産地が極端に偏在しているレアメタルであることから、安定調達ができなかったり調達価格が急騰することにより、生産が困難となり製造コストが上昇する可能性があります。当社グループといたしましては、調達先からの原材料に関する情報収集を継続的に実施し調達ソースを分散するとともに、常に適切な在庫水準を維持することにより、リスクの軽減に努めております。
・生産及び製造
当社グループが生産する製品は、標準品と特殊品とに分類されますが、いずれも当社グループの予想を上回る需要が発生した場合、生産能力の調整が十分に行えない可能性があります。当社グループといたしましては、適切な設備投資を実施することにより十分な生産能力を備えるとともに、適切な営業活動を通じてお客様の需要動向を十分に把握することにより、リスクの軽減に努めております。
・為替相場の変動
当社グループの売上高の概ね40%が海外向けで、うち約10%がドル建て、約10%がユーロ建てとなっており、為替相場の変動により売上高や収益の減少となる可能性があります。当社グループといたしましては、生産性の向上を柱とした原価引き下げにより、リスクの軽減に努めております。
・大規模災害等
当社グループは、国内及び海外に事業拠点を有しており、地震、台風、津波等の自然災害、伝染病、感染症の世界流行、及びテロ等の犯罪行為等により業務遂行が阻害される可能性があります。当社グループといたしましては、工場を分散立地するとともに、非常事態発生に備えた事業承継計画の整備等により、リスクの回避に努めておりますが、2020年1月に発生いたしました新型コロナウイルス感染症に関しましては、当社グループの予想を大きく超えた規模へと拡大しており、随時対策をとっているところでありますが、翌連結会計年度の業績への影響については不透明な状況となっております。
・借入金
2020年3月期における、当社グループの借入金は4,939百万円(短期借入金2,180百万円、長期借入金2,759百万円)で、総資産に対する割合は28.9%となっており、今後の金融情勢が当社グループの業績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、たな卸資産の圧縮や収益力強化により借入金を削減し、財務体質改善することで、リスクの軽減に努めております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(資産)
資産は前連結会計年度末に比べ91百万円減少し17,072百万円となりました。このうち流動資産は516百万円の減少、固定資産は424百万円の増加となりました。
流動資産の変動の主な要因は、現金及び預金が428百万円、未収消費税等が138百万円それぞれ減少したことであります。
固定資産のうち、有形固定資産は747百万円増加しました。変動の主な要因は、減価償却費の計上による減少973百万円、設備投資の実施による増加1,808百万円であります。投資その他の資産は349百万円減少しました。変動の主な要因は、保有株式の売却や株価の下落等を受け、投資有価証券が408百万円減少したことであります。
負債は前連結会計年度末に比べ190百万円増加し、9,856百万円となりました。このうち流動負債は252百万円の減少、固定負債は442百万円の増加となりました。
流動負債の変動の主な要因は、短期借入金が386百万円増加し、支払手形及び買掛金が196百万円、電子記録債務が367百万円それぞれ減少したことであります。
固定負債の変動の主な要因は、リース債務が593百万円増加し、長期借入金が104百万円、退職給付に係る負債が45百万円減少したことであります。
純資産は前連結会計年度末に比べ282百万円減少し7,215百万円となりました。このうち株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益が158百万円であったこと等により54百万円増加し7,135百万円となりました。また、株式の時価評価等によりその他の包括利益累計額は336百万円減少し80百万円となりました。
当連結会計年度における売上高は、前年同期比9.5%減の9,046百万円となりました。このうち国内販売は前年同期比8.2%減の5,240百万円となり、輸出は同11.3%減の3,806百万円となりました。
輸出の地域別では、北米向けが前年同期比1.6%減の861百万円、欧州向けが同13.6%減の1,018百万円、アジア向けが同13.6%減の1,874百万円、その他地域向けが同31.6%減の52百万円となり、この結果、連結売上高に占める輸出の割合は、前年同期に比べ0.8ポイント低下し42.1%となりました。
製品別では、焼肌チップが前年同期比26.6%減の880百万円、切削工具が同5.1%減の6,920百万円、耐摩耗工具が同16.0%減の1,232百万円となりました。
売上原価率は前年同期に比べ0.2ポイント悪化し、68.6%となりました。
販売費及び一般管理費は前年同期比3.0%減の2,628百万円となりました。主な要因としましては、販売手数料、旅費交通費の減少があります。
売上高が減少したこと等により、営業利益は前年同期比52.8%減の213百万円となりました。
補助金収入が減少したこと等により、営業外収益は前年同期比35.7%減の108百万円となりました。支払利息の増加等により、営業外費用は前年同期比2.3%増の85百万円となりました。
営業利益の減少により、経常利益は前年同期比56.0%減の236百万円となりました。
保有株式を売却したことにより29百万円の投資有価証券売却益を計上しました。また機械装置を除却したこと等により固定資産除売却損13百万円を計上しました。
経常利益が減少したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比61.1%減の158百万円となりました。
営業活動により獲得した資金は579百万円でありました(前年同期は1,026百万円の獲得)。資金流入の主な要因は、税金等調整前当期純利益247百万円、減価償却費996百万円であり、資金流出の主な要因は、たな卸資産の増加118百万円、仕入債務の減少548百万円であります。
投資活動により流出した資金は1,071百万円でありました(前年同期は1,219百万円の流出)。主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,113百万円であります。
財務活動により流入した資金は69百万円でありました(前年同期は142百万円の流出)。主な要因は、短期借入による収入400百万円(純額)、長期借入金の返済による支出117百万円(純額)、配当金の支払い103百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出108百万円であります。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物は前連結会計年度末と比べ、428百万円減少し1,258百万円となりました。
当社グループは事業の種類として、超硬合金・工具の製造及び製品等の販売を営んでいる単一事業であり、当連結会計年度における製品分類ごとの生産、受注及び販売実績は次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格をもって計上しております。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
当社グループでは、一部見込による生産もありますので、次表は契約の成立したものを受注高として計上し、契約成立後未出荷のものを受注残高として計上しております。
(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(注) 1 上記金額には消費税等は含まれておりません。
2 販売実績における主な相手先別の記載は、当該割合が10%未満のため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、長期化した米中間の貿易摩擦等の影響による外需の低迷により生産や輸出が弱含みで推移し、年度終盤にかけては新型コロナウイルス感染症の世界的流行により大幅に下押しされており、先行きは極めて不透明な状況にあります。
当社グループにおきましては、切削工具ではソリッドボールエンドミル「ハード1ボール」や「5軸加工用工具シリーズ」として高精度刃先交換式バレル工具「ミラーバレル」及びソリッドモジュラーヘッド「チューリップSヘッド」をはじめとする22種類の新製品を発売するなど販売の拡大に努めました。また国内ではMECT2019、国外ではEMO Hannover 2019等の展示会に出展し、新製品の市場への浸透を図るとともにお客様の加工改善につながる高能率、高生産性の工具を提案してまいりました。
耐摩耗工具では、MF-TOKYO2019に初出展する等、当社が注力しておりますレアメタル不使用の硬質金型新材料「サーメタル・CT500シリーズ」の新規業界での採用や用途開発に積極的に取り組むとともに、成形金型の新規開拓にも取り組んでまいりました。
売上高に関しましては、国内向けは前年度実施した販売価格改定の反動や外需の低迷等に起因する国内生産活動鈍化の影響を受け減速し、通年で減収となりました。海外向けは、米中貿易摩擦等の影響を受け、欧州向けが前年比13.6%の減少、アジア向けでは同13.1%の減少となり、通年で大きく減収となりました。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境」にも記載のとおり、新型コロナウイルス感染症に関しましては、当連結会計年度への影響は僅少であります。新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、影響が長期にわたる可能性を考慮して、資金繰り等に備えてまいります。
利益に関しましては、前年比大幅減益となっておりますが、売上高が大きく減ったことが、最大の要因となっております。売上高営業利益率は、前年同期比2.2ポイント悪化し2.3%となり、当社が目標としております10%に対しては、未達の状況であります。
当連結会計年度は売上高が当初見込みより大きく減少したことから営業キャッシュ・フローが悪化しており、コミットメントラインを利用し財務活動によるキャッシュ・フローにて調整しております。翌年度は新型コロナウイルス感染症の影響により大幅な営業キャッシュ・フローの悪化が見込まれるため、原則として新規の設備投資は行わない計画です。
資金について、当社は、円滑な事業活動に必要十分な流動性の確保と財務の安定性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達は主として銀行等からの借入金によりますが、5年の長期資金を中心とし、約定弁済を付することにより借り換えリスクの低減を図っております。その他、中長期的な財務の安定性と資金調達の柔軟性・機動性の向上を図る目的で2,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。
現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準を定めておりませんが、単体ベースの売上高の約1.5か月分の10億円を目安に運用しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、当社経営陣は資産、負債及び収入・費用の各報告数値に影響を与える見積りの仮定を過去の実績や状況に応じて合理的に設定し、算定しておりますが、状況の変化によりこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
(a)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における経営計画の達成状況、予算など)と整合的に修正し見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(b)退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、長期期待運用収益率、昇給率、退職率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。
(c)減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。
特記すべき事項はありません。
当社グループにおいて、研究開発活動は連結財務諸表を作成する当社のみが行っております。当社の研究開発活動については以下のとおりであります。
研究開発の方針として、切削抵抗の低減、高能率・高精度化及び長寿命化によりお客様のリードタイム短縮と加工コスト低減に貢献すること、また製造時の消費エネルギー削減により環境に優しい製品を開発することを掲げております。
切削加工分野においては、高硬度材の直彫り加工や、5軸加工機を利用した省段取り加工等、後工程への負担を軽減する取組みで高能率化が進んでおり、94期は、下記テーマに取り組み、様々な新製品を開発いたしました。
金型材料の高硬度化および高精度化に対応するため、高精度刃先交換式ボールエンドミル「ミラーボール」に、刃先強度と切れ味を両立した高硬度材加工用インサート「TS形インサート」を開発、さらに新開発の高硬度材向け材種「DH202」を採用し、長寿命を実現しました。
「TS形インサート」の特長は、
① 切削熱の発生を抑制するために、従来よりも大きなねじれ角度を採用し、切れ刃のすくい角度をマイナスとすることにより、低抵抗かつ刃先強度のある刃形で、60HRCを超える高硬度材の中仕上げから仕上げ加工までを、安定した加工でご使用いただけます。
② ボールエンドミル中心部の切りくずポケットを大きくし、切りくずの排出性を向上することにより、中心切れ刃を用いる加工でも、高精度な加工でご使用いただけます。
新材種「DH202」の特長は
① 超硬母材は硬くて強靭な超微粒子合金を用いており、新開発のPVD被膜「DH2コート」は、ナノ多層被膜を積層させることにより、被膜下層部の密着性を損なわずに、硬さを向上させることが可能な当社独自の被膜です。被膜硬さ(Hv)は4,000の特性を有し、耐高温酸化性、耐衝撃性、被膜靭性および密着性に優れ、高硬度材の高速加工で優れた性能を発揮いたします。
また、省段取り化による工程集約、複雑な形状加工や加工精度の向上ニーズの高まりにより、ワンチャックであらゆる方向から加工が行える、5軸加工機用工具2種類「チューリップSヘッドSTLP形」と「ミラーバレルKRM形インサート」を開発しました。
「チューリップSヘッドSTLP形」の特長は、
① 高精度テーパーバレル形状のSヘッドであり、ねじれ角度30度および4枚刃仕様により、超硬シャンクとの組み合わせで、長い突き出し長さでびびりを抑制し、高精度な加工を可能にしました。
② 20度外周テーパー部の大R切れ刃R1500およびフォーム精度±0.01mm以下により、傾斜面加工において加工ピック量を大きくでき、また先端Rによる隅R部の加工にも適しており、高能率な加工でご使用いただけます。
③ Sヘッド材種は、難削材や高硬度材など幅広い被削材に対応可能な、新PVDコーティング材種「DH115」を採用しました。
「ミラーバレルKRM形インサート」の特長は
① ミラーラジアスモジュラーヘッドMRX形に取り付けて使用可能な、外周大R形状の高精度刃先交換式バレルインサートで、立壁や傾斜面の加工で、ボールエンドミルよりもピック量を大きく出来、高能率な仕上げ加工でご使用いただけます。
② ポジ刃形を採用し、低抵抗刃形によるびびり振動を抑制することにより、底面の高精度仕上げ加工も可能にしました。
③ インサート材種は、耐摩耗性と耐欠損性のバランスに優れた「JC8015」と高硬度材の高速加工が可能な「DH102」を採用し、幅広い被削材への対応を可能にしました。
なお、当連結会計年度の試作製造・技術改良等を含めた研究開発活動に要した費用は