第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

当社グループは、事業活動の基本となる経営理念として、「経営は創造である。習慣を打破し独創性豊かな技術開発で世界に貢献し、溌剌とした人材の結集で自己啓発を促進し、その能力を最高に発揮する。」を掲げており、この経営理念のもと、生産財の一隅を担うメーカーとして産業界の創造的製品並びに新素材の出現および加工技術の進展に常に追随しうる情報収集力を養い、技術力と開発力を備え、本業による収益を高めて株主に報い、従業員の生活環境を満たし、各種取引先との共存に配慮して社会に貢献することを経営の基本方針としております。

具体的な行動指針として、以下の4つを設定し、経営の基本方針の推進に邁進しております。

①自身で自由な発想で行動し、斬新な発想で既成概念を打ち壊す溌溂とした社員が独創的な新製品、新技術、新生産技術を開発して、新しい価値を世界に広げる。

②出来ないと思うより、まずやってみる。そのうえで改善、工夫、協力で実現させる。

③前を見つめ、一歩先のイノベーションを追求する。

④意識改革を断行し、初心に帰ってやり直すことで、今後の飛躍を果たす。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、合金から切削工具・耐摩耗工具まで社内で一貫して製造するメーカーであり、顧客ニーズに対して、開発・製造・販売の各部門が共同してタイムリーに製品提供することにより、業績を向上していくことを目標としております。この目標の達成状況を判断する経営指標として売上高営業利益率を用いており、中長期的に10%以上とすることを目指しております。
 また、配当に関しましては、安定した配当を維持すべきことを基本方針としており、業績に応じた適正な利益配分を行い、現状は配当性向25%を目標としております。配当性向につきましては、売上高営業利益率を向上させ、更なる引き上げを目指してまいります。

 

(3)経営環境

わが国産業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が高止まりをしていた状況がようやく落ち着きを見せ始め、経済活動の回復への期待が高まる一方、ウクライナ情勢の深刻化、半導体・部品不足、原材料の価格上昇、物流のひっ迫等によって世界的な景気の減速が懸念され、今後も不透明な経営環境が続くことが予想されます。
 機械工具業界におきましても、当連結会計年度は機械工具の生産高が前年比でプラスに転じておりますが、大口の需要先である、自動車業界や航空業界等の動向に注視が必要な状況が続いております。
 当社グループの業績への影響に関しましては、国内向けの売上高が当連結会計年度の下期より回復基調となり、海外向けの売上高は新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで回復しております。結果、国内向け、海外向けともに売上高を大きく増やす結果となりました。(地域別売上高実績:国内;前年同期比+12.6%、海外;+22.1%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、ワクチン接種の効果もあり、経済活動に与える影響は今後徐々に薄まるものと想定しております。(後記2 事業等のリスク 参照)。
 当社グループといたしましては、後記「(4)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載しております、各種施策を引き続き継続することで、より収益性が高く、効率的な事業活動の基盤を構築していく所存であります。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

①販売体制の強化

・得意商品の受注生産体制の確立

・国内における得意商品の拡販と、得意商品を創造・育成する国内販売体制の構築

・海外拠点と本社の連携強化と、持続可能な世界販売体制の整備

・マーケティング戦略にもとづく自社製品の強みに適合した市場の開拓

②収益性の向上・生産技術力の強化

・原材料等の価格上昇リスクにも対応できる原価低減の徹底

・自動化と業務効率改善による製造工程の短縮・生産性の最大化

・アワーレートの低減やプロダクトライフサイクルにもとづいた製品管理

③新製品の開発促進

・「高速・高能率・高精度」をキーワードとした最速製品化を実現できる新製品開発体制の再構築

・ユーザーニーズに即した提案型商品、革新的なオリジナル商品およびコア商品の開発推進

・環境負荷低減・EV化部品等に対応した次世代製品の開発

④人事労務施策の推進

・新人事評価制度の定着による人材育成の促進

・働き方改革および健康経営の推進による生産性の向上と労働環境の整備

⑤社会的責任の対応

・持続可能な企業価値の向上のため、コーポレートガバナンスの更なる充実

・大規模自然災害への対策推進

・ESGを重視したサステナブル経営の推進

2 【事業等のリスク】

当社グループは、リスクを「経営における一切の不確実性」と定義し、具体的には以下の項目を例示しております(ただし、これらに限定されるものではありません)。
・当社グループに直接または間接に経済的損失をもたらす可能性
・当社グループの事業の継続を中断・停止させる可能性
・当社グループの信用を毀損し、ブランドイメージを失墜させる可能性
 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクのうち、重要なものについては以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

・原材料の調達
 当社グループが製造する製品の原材料は、タングステンとコバルトがその大部分を占めており、いずれも、生産地が極端に偏在しているレアメタルであることから、安定調達ができなかったり調達価格が急騰することにより、生産が困難となり製造コストが上昇する可能性があります。当社グループといたしましては、調達先からの原材料に関する情報収集を継続的に実施し調達ソースを分散するとともに、常に適切な在庫水準を維持することにより、リスクの軽減に努めております。
・生産及び製造
 当社グループが生産する製品は、標準品と特殊品とに分類されますが、いずれも当社グループの予想を上回る需要が発生した場合、生産能力の調整が十分に行えない可能性があります。当社グループといたしましては、適切な設備投資を実施することにより十分な生産能力を備えるとともに、適切な営業活動を通じてお客様の需要動向を十分に把握することにより、リスクの軽減に努めております。
・為替相場の変動
 当社グループの売上高の概ね50%が海外向けで、うち約10%がドル建て、約10%がユーロ建てとなっており、為替相場の変動により売上高や収益の減少となる可能性があります。当社グループといたしましては、生産性の向上を柱とした原価引き下げにより、リスクの軽減に努めております。
・大規模災害等
 当社グループは、国内及び海外に事業拠点を有しており、地震、台風、津波等の自然災害、伝染病、感染症の世界流行、及びテロ等の犯罪行為等により業務遂行が阻害される可能性があります。当社グループといたしましては、工場を分散立地するとともに、非常事態発生に備えた事業継続計画の整備等により、リスクの回避に努めております。

 2020年1月に発生いたしました新型コロナウイルス感染症に関しましては、当社グループの当初の予想を大きく超えた規模へと拡大いたしましたが、ワクチン接種の効果もあり、経済活動に与える影響は今後徐々に薄まるものと想定しております。
・借入金
 2022年3月期における、当社グループの借入金は5,033百万円(短期借入金2,386百万円、長期借入金2,646百万円)で、総資産に対する割合は31.3%となっており、今後の金融情勢が当社グループの業績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、棚卸資産の圧縮や収益力強化により借入金を削減し、財務体質改善することで、リスクの軽減に努めております。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

イ.財政状態の状況

(資産)

資産は前連結会計年度末に比べ68百万円減少し16,079百万円となりました。このうち流動資産は604百万円の増加、固定資産は672百万円の減少となりました。

流動資産の変動の主な要因は、受取手形及び売掛金が318百万円、棚卸資産が375百万円それぞれ増加したことであります。

固定資産のうち、有形固定資産は488百万円減少しました。変動の主な要因は、減価償却費の計上による減少903百万円、設備投資の実施による増加419百万円であります。投資その他の資産は243百万円減少しました。変動の主な要因は、保険積立金が307百万円減少したことであります。

(負債)

負債は前連結会計年度末に比べ296百万円減少し8,900百万円となりました。このうち流動負債は105百万円の増加、固定負債は401百万円の減少となりました。

流動負債の変動の主な要因は、電子記録債務が234百万円、その他のうち設備関係支払手形と設備関係電子記録債務が合わせて91百万円増加し、短期借入金が318百万円減少したことであります。

固定負債の変動の主な要因は、退職給付に係る負債が162百万円、その他のうち長期未払金が302百万円それぞれ減少したことであります。

(純資産)

純資産は前連結会計年度末に比べ227百万円増加し7,178百万円となりました。このうち株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益が64百万円であったこと等により57百万円増加し6,504百万円となりました。また、その他の包括利益累計額は為替の影響等により169百万円増加し674百万円となりました。

 

ロ.経営成績の状況
(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前年同期比17.1%増の8,067百万円となりました。このうち国内販売は前年同期比12.6%増の4,091百万円となり、輸出は同22.1%増の3,976百万円となりました。

 輸出の地域別では、北米向けが前年同期比22.9%増の799百万円、欧州向けが同18.2%増の1,106百万円、アジア向けが同24.9%増の2,037百万円、その他地域向けが同14.1%減の31百万円となり、この結果、連結売上高に占める輸出の割合は、前年同期に比べ2.0ポイント増加し49.3%となりました。

 製品別では、焼肌チップが前年同期比9.7%増の692百万円、切削工具が同21.8%増の6,457百万円、耐摩耗工具が同4.5%増の902百万円となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当期の売上高は264百万円減少しております。また、前期において当該会計基準を適用したと仮定して算定した売上高に基づいて当説明内における前年同期比較を実施しております。詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載の通りであります。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価率は前年同期に比べ2.9ポイント改善し、71.0%となりました。

販売費及び一般管理費は前年同期比2.7%減の2,331百万円となりました。主な要因としましては、営業活動において新型コロナウイルス感染症の影響が一服したことにより広告宣伝費、旅費交通費が増加に転じた一方で、収益認識に関する会計基準の適用により従来は販売費に計上されていた販売手数料が減少したこと等が挙げられます。

(営業損益)

売上高が回復したこと等により、営業利益は10百万円(前年同期は営業損失540百万円)となりました。

(営業外損益)

為替差益の計上額の減少等により、営業外収益は前年同期比8.9%減の116百万円となりました。営業外費用は前年同期とほぼ同額の106百万円となりました。

(経常損益)

為替差益の計上および持分法による投資利益の計上等により経常利益は19百万円(前年同期は経常損失519百万円)となりました。

(特別損益)

保険解約返戻金等による保険差益を72百万円計上いたしました。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

売上高が増加したことや売上原価率が改善したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は64百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失643百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は104百万円でありました(前年同期は1,165百万円の獲得)。資金流入の主な要因は、減価償却費921百万円、仕入債務の増加246百万円であり、資金流出の主な要因は、長期未払金の減少302百万円、売上債権の増加290百万円、棚卸資産の増加317百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により流出した資金は15百万円でありました(前年同期は1,073百万円の流出)。主な要因は、保険積立金の解約による収入394百万円、有形固定資産の取得による支出331百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により流出した資金は477百万円でありました(前年同期は213百万円の流入)。主な要因は、短期借入の返済による支出200百万円(純額)、長期借入金の返済による支出115百万円(純額)、ファイナンス・リース債務の返済による支出161百万円であります。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末と比べ、375百万円減少し1,202百万円となりました。

 

③生産、受注及び販売の状況

当社グループは事業の種類として、超硬合金・工具の製造及び製品等の販売を営んでいる単一事業であり、当連結会計年度における製品分類ごとの生産、受注及び販売実績は次のとおりであります。

 

イ.生産実績

製品

当連結会計年度

(2021年4月1日2022年3月31日)

生産高(千円)

前年同期比
増減率(%)

焼肌チップ

741,574

12.6

切削工具

6,785,643

24.5

耐摩耗工具

865,148

5.6

その他

1,909

△8.3

合計

8,394,274

21.1

 

(注) 金額は販売価格をもって計上しております。

 

 

ロ.受注実績

当社グループでは、一部見込による生産もありますので、次表は契約の成立したものを受注高として計上し、契約成立後未出荷のものを受注残高として計上しております。

製品

当連結会計年度

(2021年4月1日2022年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比

増減率(%)

受注残高
(千円)

前年同期比

増減率(%)

焼肌チップ

717,215

14.4

78,767

36.8

切削工具

6,764,665

26.3

436,359

17.1

耐摩耗工具

941,066

13.7

158,729

26.8

その他

17,038

△81.2

2,848

合計

8,439,984

22.3

676,703

21.8

 

 

ハ.販売実績

製品

当連結会計年度

(2021年4月1日2022年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比
増減率(%)

焼肌チップ

692,681

9.7

切削工具

6,457,294

21.8

耐摩耗工具

902,812

4.5

その他

14,340

△84.6

合計

8,067,127

17.1

 

(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、本表における販売高については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。

    また、前連結会計年度においても当該会計基準を適用したと仮定して算定した売上高に基づいて、

    前年同期比較を実施しております。

2 主要な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。なお、前連結会計年度においては総販売実績の100分の10を占める販売先がないため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

SHANGHAI STAR INTERNATIONAL TRADE CO.,LTD.

857,749

10.6

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展に伴い活動制限が緩和され、経済活動の正常化の動きが続いたものの、原材料の高騰や供給制限に加え、ウクライナ情勢による地政学的リスクの高まりから、世界経済の減速が懸念されており、依然として先行き不透明な状況が続いております。

そのような中、当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染症の活動制限下において、リモートによる商談打合せ、WEBセミナー、メールやSNSによる製品紹介など新たな営業活動にも取組み、販売の拡大につとめました。

特に、切削工具につきましては、顧客ニーズに沿った新製品の開発に注力し、高精度ソリッドドリル「ストライクドリル」、5軸加工用工具の新ブランド「縦横無尽シリーズ」など12アイテムを発売するとともに、2年ぶりの対面での展示会となる「INTERMOLD 東京」、「メカトロテックジャパン 2021」に出展してPR活動を行い、キャンペーンなども実施して新製品の販売拡大につとめました。

また、耐摩耗工具につきましては、省タングステン材料である「サーメタル」製品を新規業界へ営業展開を図り、多様化するニーズに対応できるようにつとめました。

売上高に関しましては、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による生産活動鈍化の影響からの回復がみられ、国内向けは前年比12.6%の増加。海外向けは、北米向けが前年比22.9%の増加、欧州向けが同18.2%の増加、アジア向けでは同24.9%の増加となり、通年で大きく増収となりました。
 利益に関しましては、海外向けを中心に需要が回復した事で、生産効率が高まり原価率が改善した事や為替が円安に推移した事により為替差益を計上した事等が要因となり、総じて増益に転じる結果となりました。売上高営業利益率は、前年同期比7.7ポイント改善し0.1%となり、当社が目標としております10%に対しては、未達の状況であります。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境」にも記載のとおり、新型コロナウイルス感染症に関しましては、経済活動に及ぼす影響は今後徐々に薄まるものと想定しております。アフターコロナ時代に適応可能な事業環境を構築し、強固な収益体質を確立してまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度は受注・売上が回復基調にあり、売上債権、棚卸資産が増加した事で、営業キャッシュ・フローは大幅に悪化いたしました。しかし、新型コロナウイルスの収束が不透明な事もあり、積極的な設備投資を控えた事で投資活動によるキャッシュ・フローは大幅に改善いたしました。

資金について、当社は、円滑な事業活動に必要十分な流動性の確保と財務の安定性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達は主として銀行等からの借入金によりますが、5年の長期資金を中心とし、約定弁済を付することにより借り換えリスクの低減を図っております。その他、中長期的な財務の安定性と資金調達の柔軟性・機動性の向上を図る目的で、2,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。

現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準を定めておりませんが、単体ベースの売上高の約1.5か月分の1,000百万円を目安に運用しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、当社経営陣は資産、負債及び収入・費用の各報告数値に影響を与える見積りの仮定を過去の実績や状況に応じて合理的に設定し、算定しておりますが、状況の変化によりこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(a)繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(b)退職給付債務の算定

当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、長期期待運用収益率、昇給率、退職率等の様々な計算基礎があります。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。

 

(c)減損会計における将来キャッシュ・フロー

減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローの算出に際して用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

 当社グループにおいて、研究開発活動は連結財務諸表を作成する当社のみが行っております。当社の研究開発については以下のとおりであります。
 当社グループにおける研究開発は、超硬工具の一貫製造メーカーの強みを活かし、超硬合金・切削工具・耐摩耗用工具の研究開発部門が連携をとり、市場変化、顧客ニーズに即応した商品性の高い新製品開発を行っております。基本方針としましては、高能率・高精度化および長加工寿命化によりお客様のリードタイム短縮と加工コスト低減に貢献する。また、製造時の消費エネルギー削減により環境に優しい製品を開発することを掲げております。

 

・材料およびコーティング被膜の開発

 各種工具に対する要求性能を満足させる超硬合金素材、サーメット素材、サーメタル素材およびコーティング被膜の開発、またそれらを効率的に生産する技術開発を行っております。

  当連結会計年度の研究開発におきましては、幅広い被削材に対応可能な超硬合金素材およびTi,Al合金切削用インサートにコーティング被膜を適用した工具の市場投入の目途が立ちました。また金型向けに開発した直彫り可能な超硬合金素材および新サーメタルについては、実際にユーザーに使用して頂き、性能評価を開始しております。

 今後は、難削化する被削材に対応する切削工具用の被膜開発、高硬度材加工用工具向けの被膜開発および新素材の研究開発に取組み、新商品開発を後押ししてまいります。

 

・新素材の市場開拓および加工技術の開発

 耐摩耗用工具分野では当社独自の開発材料であるサーメタルを中心とした金型を市場に投入し、自動車業界を中心に新規事業分野への展開を目指しております。

 サーメタルにつきましては、滑り性・耐酸化性・低熱伝導率・軽量等の特徴を活かし、従来の金型では対応出来ない領域において成果を挙げております。加工技術においては、今後さらに要求される高精度化に対応すべく、切削工具部門との連携により直彫り加工を推進し、金型形状の再現性を高め、寿命の安定化を目指した取組みを進めております。今後も開発材料や加工技術等の独自技術を活かした金型を市場に投入してまいります。

 

・最新ソリッドドリルの開発

 金属の切削加工において、ドリルによる穴あけ加工は大きな役割を占めており、さらなる加工能率の向上や工具寿命延長の要求に応える為に最新ソリッドドリル「ストライクドリルEZN形」を開発いたしました。

 「ストライクドリルEZN形」の特長は、

 ①穴あけ加工深さ L/Dc=2、3、4、5の4種類全376アイテムをラインナップしました(Lは加工深さ、Dcはドリル直径を示し、以下より有効加工深さを示す2D、3D、4D、5Dと表記します)。2D、4Dタイプはクーラント穴なしの外部給油仕様、3D、5Dタイプはクーラント穴ありの内部給油仕様としております。

 ②ドリルのシンニング形状は、工具先端に向かって凸状の尖りを持った先端形状とし、被削材に食いつく時のスラスト方向(軸方向)の切削抵抗を小さくし、切りくず排出性と刃先強度を向上させております。

 ③ドリルの外周マージン形状は、従来よりも小さい幅とすることで、加工穴側面との摩擦抵抗を低減させて、表面粗さの良い安定した穴あけ加工を可能としています。

 ④コーティング被膜は耐高温酸化性、耐衝撃性、被膜靭性および密着性に優れたAlTiベースの硬質皮膜である「DVコート」を採用し、独自の表面処理を行う事で、切りくずの流れをスムーズにし、ステンレス鋼等熱伝導率が小さい被削材に対しても、加工寿命を大幅に向上することを可能にいたしました。

 ⑤環境に優しい製品として、2021年度日本機械工具工業会の環境調和製品に認定されました。

 

・5軸加工用工具の開発

 省段取り化による工程集約、複雑な形状加工や加工精度の向上ニーズの高まりにより、ワンチャッキングであらゆる方向から加工が行える5軸加工用工具のシリーズ全8種類を「縦横無尽シリーズ」として開発いたしました。

 「縦横無尽シリーズ」には、高精度刃先交換式ミラーバレル工具が4種類有り、その特長は、

 ①「ミラーバレルKRM形」は、外周大R形状の高精度刃先交換式バレル工具であり、高精度な側面加工や底面加工で高能率な加工を可能としております。

 ②「ミラーバレルTNM形」は、高精度刃先交換式接線バレル工具であり、繋がった三次元曲面の形状加工で高能率な加工を可能としております。

 ③「ミラーバレルTPM形」は、高精度刃先交換式テーパバレル工具であり、角度変化の少ない側面加工と先端Rでの隅R加工で高能率な加工を可能としております。

 ④「ミラーバレルLRM形」は、高精度刃先交換式レンズバレル工具であり、緩曲率面で高能率な加工を可能としております。

 「縦横無尽シリーズ」は、加工時間や工程の短縮、加工精度の向上、コスト削減を実現出来る5軸加工用工具として展開しております。


 なお、当連結会計年度の試作製造・技術改良等を含めた研究開発活動に要した費用は366百万円であります。