第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

当社グループは、事業活動の基本となる経営理念として、「経営は創造である。習慣を打破し独創性豊かな技術開発で世界に貢献し、溌剌とした人材の結集で自己啓発を促進し、その能力を最高に発揮する。」を掲げており、この経営理念のもと、生産財の一隅を担うメーカーとして産業界の創造的製品並びに新素材の出現および加工技術の進展に常に追随しうる情報収集力を養い、技術力と開発力を備え、本業による収益を高めて株主に報い、従業員の生活環境を満たし、各種取引先との共存に配慮して社会に貢献することを経営の基本方針としております。

具体的な行動指針として、以下の4つを設定し、経営の基本方針の推進に邁進しております。

①自身で自由な発想で行動し、斬新な発想で既成概念を打ち壊す溌溂とした社員が独創的な新製品、新技術、新生産技術を開発して、新しい価値を世界に広げる。

②出来ないと思うより、まずやってみる。そのうえで改善、工夫、協力で実現させる。

③前を見つめ、一歩先のイノベーションを追求する。

④意識改革を断行し、初心に帰ってやり直すことで、今後の飛躍を果たす。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、合金から切削工具・耐摩耗工具まで社内で一貫して製造するメーカーであり、顧客ニーズに対して、開発・製造・販売の各部門が共同してタイムリーに製品提供することにより、業績を向上していくことを目標としております。この目標の達成状況を判断する経営指標として売上高営業利益率を用いており、中長期的に10%以上とすることを目指しております。
 また、配当に関しましては、安定した配当を維持すべきことを基本方針としており、業績に応じた適正な利益配分を行い、現状は配当性向25%を目標としております。配当性向につきましては、売上高営業利益率を向上させ、更なる引き上げを目指してまいります。

 

(3)経営環境

わが国産業におきましては、社会環境がウィズコロナへと進んでいくことで、経済活動回復に伴う経済正常化による景気の持ち直しが期待される一方で、ウクライナ情勢長期化等の地政学リスク、原材料やエネルギー価格の高騰、欧米諸国の金融引き締め等による急激な為替変動や世界的な景気後退が懸念されており、今後も不透明な経営環境が続くことが予想されます。
 機械工具業界におきましても、当連結会計年度も機械工具の生産高が前年比でプラスを維持しておりますが、大口の需要先である、自動車業界や航空業界等の動向に注視が必要な状況が続いております。
 当社グループの業績への影響に関しましては、国内向けの売上高は前連結会計年度より微増となりましたが、海外向けの売上高は新型コロナウイルス感染拡大前を上回る水準まで回復しており、売上高を増やす結果となりました。(地域別売上高実績:国内;前年同期比+0.4%、海外;+18.1%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、ワクチン接種の効果もあり、経済活動に与える影響は今後徐々に薄まるものと想定しております。(後記3 事業等のリスク 参照)。
 当社グループといたしましては、後記「(4)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載しております、各種施策を引き続き継続することで、より収益性が高く、効率的な事業活動の基盤を構築していく所存であります。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

①販売体制の強化

・得意商品の受注生産体制の確立

・国内における得意商品の拡販と、得意商品を創造・育成する国内販売体制の構築

・海外拠点と本社の連携強化と、持続可能な世界販売体制の整備

・マーケティング戦略にもとづく自社製品の強みに適合した市場の開拓

②収益性の向上・生産技術力の強化

・原材料等の価格上昇リスクにも対応できる原価低減の徹底

・自動化と業務効率改善による製造工程の短縮・生産性の最大化

・アワーレートの低減やプロダクトライフサイクルにもとづいた製品管理

③新製品の開発促進

・「高速・高能率・高精度」をキーワードとした最速製品化を実現できる新製品開発体制の再構築

・ユーザーニーズに即した提案型商品、革新的なオリジナル商品およびコア商品の開発推進

・環境負荷低減・EV化部品等に対応した次世代製品の開発

④人事労務施策の推進

・新人事制度の定着による人材育成の促進

・働き方改革および健康経営の推進による生産性の向上と労働環境の整備

⑤社会的責任の対応

・持続可能な企業価値の向上のため、コーポレートガバナンスの更なる充実

・コンプライアンス体制の整備および運用の徹底

・リスクマネジメント体制の強化

・大規模自然災害への対策推進

・ESGを重視したサステナブル経営の推進

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、創業以来長きにわたり、経営理念「経営は創造である。習慣を打破し独創性豊かな技術開発で世界に貢献し、溌溂とした人材の結集で自己啓発を促進しその能力を最高に発揮する。」を実践し、社会へ貢献することを目指して事業活動を展開し、その社会的責任を果たすことによって、社会との信頼関係を築いてまいりました。

サステナビリティについても、経営理念の実践により、継続的・安定的な収益を確保し、社会から信頼される企業活動を行うことで、持続的な企業価値の向上を目指すことが基本であると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ関連のリスクを含めた全社的なリスクをマネジメントする組織として、取締役会の下にリスク管理委員会を設置しております。同委員会の役割は、「リスクマネジメントの取組み全体の方針・方向性の協議・承認」、「各リスクテーマ共通の仕組みの協議・承認」等であり、それらの実施内容について取締役会に定期的に報告することになっております。

 

(2)リスク管理

当社グループのリスクマネジメントの取組みにおいて対象とするリスクの類型は、外的要因リスク、オペレーショナルリスク、財務リスクとに区分しており、サステナビリティ関連のリスクもこの区分の中で管理しております。各リスクが当社グループに与える影響を総合的に評価し、リスクマネジメントの優先順位の決定及びリスクマネジメントによるリスク低減効果を確認いたしております。

その結果認識したリスクのうち、サステナビリティ関連のリスクの主なものは、以下のとおりであります。

①気候変動などの地球環境への配慮

「気候変動などの地球環境への配慮」は、まず、地球規模で広がる環境問題に対して、環境問題の原因となる環境負荷の多くが企業の事業活動から生じていることを認識し、自社の事業活動において環境配慮を志向していくことが、社会から強く求められています。

そのような地球環境に配慮した取組みは、将来の環境問題の解決に大きく貢献するとともに、当社グループの事業活動においても継続的な発展や成長に資するため、経営の重要課題であります。

当社グループにおきましては、地球環境の保全、環境汚染の予防を認識し、循環型社会の視点に立った事業展開を目指し、以下の取組みを実施しております。

・CO排出量の削減

・省エネ・省資源

・環境負荷の低減

・環境関連法・その他の各種協定の遵守

②人権の尊重

「人権の尊重」は、企業が社会的責任を果たすうえで重要な基盤となる要素であり、企業のグローバル化が進展する中、自社の事業活動が人権に及ぼす影響を認識・把握し、対応することが重要となっています。当社グループは、人権問題への取組みの重要性を認識し、経営の重要課題として、以下の取組みを実施しております。

・従業員の人権意識の向上

・取引先の審査

③取引先との公正・適切な取引

「取引先との公正・適切な取引」は、取引先との関係を常に公正かつ透明なものとすることで信頼関係を維持することが、環境・社会に配慮した事業活動を行ううえで経営の重要課題であり、以下の取組みを実施しております。

・サプライチェーンマネジメントの実施

・原材料の調達管理

・独占禁止・下請代金関連法の遵守および反社会的勢力との断絶

④自然災害等への危機管理

「自然災害等への危機管理」は、重大事故・重大災害も含め、大規模自然災害等の有事や危機が生じた場合に、従業員をはじめ人身の安全確保と事業の復旧・継続、損害の最小化を図れるように事前に備えておくことであり、当社グループのリスクマネジメントの一環として必要な取組みでもあり、経営の重要課題であります。

当社グループにおきましては、大規模自然災害等の発生時の人身の安全確保とリスクや損害の低減を目指し、以下の取組みを実施しております。

・重大事故・重大災害の防止

・大規模自然災害への対応

・サイバー攻撃・情報漏洩への対応

 

<人材の育成及び社内環境整備に関する方針>

人材は事業活動における価値創造の源泉であり、その価値を最大限に引き出すことで、当社の中長期的な企業価値の向上を目指しております。

人的資本に関する方針は以下のとおりです。

(1)人材育成

当社の人材育成方針は、評価制度と研修制度の二本柱からなり、管理職と担当者のコミュニケーション強化により、人材育成を強力に推し進めるものです。評価制度につきましては、2020年度から導入した新たな人事制度に基づき、全従業員が目標を設定し取り組んでおり、業績評価と行動評価の両面で評価されます。研修制度につきましては、階層別研修の実施により、各層に求められるマネジメント力等の向上に努めております。

 

(2)多様性の確保

当社は、従業員一人ひとりの能力開発と女性の積極的登用の二つをダイバーシティの柱としています。ダイバーシティ経営への第一歩は、中核人材登用など女性の活躍推進を図りジェンダーギャップをなくすことであると考え、さらに社員の個々の成長を促し、その個性や能力を発揮することで、多様な人材がいきいきと働くことのできる職場環境の構築・企業風土の醸成を促進し、ダイバーシティの推進へとつなげていくことを目指しております。

中核人材の多様性を企業の競争力とするために、当社では特にジェンダーギャップの解消を重要な経営課題として位置づけています。2035年に管理職の女性比率を10%以上とすることを目標に掲げ、それに向けて、現在大卒採用における女性比率を50%以上確保することを目標としております(2020年4月~2023年4月入社4年間累計実績46.7%)。その他の多様性ある人材確保については、現在、中途採用者の管理職への登用や、外国人社員の業務役員への登用等を行い、多様な人材が幅広く活躍することのできる環境を確保しております。今後も引き続き、事業展開を鑑みた上で、職歴・年齢等のアイデンティティにも考慮し、適材適所に多様性ある人材の登用を推進していきます。

 

(3)従業員の健康・労働環境への配慮

「従業員の健康・労働環境への配慮」は、企業が人的資本を有効活用して、継続的に発展し社会に貢献していくための、経営の重要課題と認識しております。

当社は、「すべての従業員が仕事にやりがいを感じ、当事者意識と挑戦意欲を持って改善に取り組むようになること」を目標に掲げており、その実現に向け、「健康経営の実践」、「安全衛生の推進」、「労働環境の整備」等の取組みを強化しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループは、リスクを「経営における一切の不確実性」と定義し、具体的には以下の項目を例示しております(ただし、これらに限定されるものではありません)。
・当社グループに直接または間接に経済的損失をもたらす可能性
・当社グループの事業の継続を中断・停止させる可能性
・当社グループの信用を毀損し、ブランドイメージを失墜させる可能性
 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクのうち、重要なものについては以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

・原材料の調達
 当社グループが製造する製品の原材料は、タングステンとコバルトがその大部分を占めており、いずれも、生産地が極端に偏在しているレアメタルであることから、安定調達ができなかったり調達価格が急騰することにより、生産が困難となり製造コストが上昇する可能性があります。当社グループといたしましては、調達先からの原材料に関する情報収集を継続的に実施し調達ソースを分散するとともに、常に適切な在庫水準を維持することにより、リスクの軽減に努めております。
・生産及び製造
 当社グループが生産する製品は、標準品と特殊品とに分類されますが、いずれも当社グループの予想を上回る需要が発生した場合、生産能力の調整が十分に行えない可能性があります。当社グループといたしましては、適切な設備投資を実施することにより十分な生産能力を備えるとともに、適切な営業活動を通じてお客様の需要動向を十分に把握することにより、リスクの軽減に努めております。
・為替相場の変動
 当社グループの売上高の概ね50%が海外向けで、うち約10%がドル建て、約10%がユーロ建てとなっており、為替相場の変動により売上高や収益の減少となる可能性があります。当社グループといたしましては、生産性の向上を柱とした原価引き下げにより、リスクの軽減に努めております。
・大規模災害等
 当社グループは、国内及び海外に事業拠点を有しており、地震、台風、津波等の自然災害、伝染病、感染症の世界流行、及びテロ等の犯罪行為等により業務遂行が阻害される可能性があります。当社グループといたしましては、工場を分散立地するとともに、非常事態発生に備えた事業継続計画の整備等により、リスクの回避に努めております。

 2020年1月に発生いたしました新型コロナウイルス感染症に関しましては、当社グループの当初の予想を大きく超えた規模へと拡大いたしましたが、ワクチン接種の効果もあり、経済活動に与える影響は今後徐々に薄まるものと想定しております。
・借入金
 2023年3月期における、当社グループの借入金は4,936百万円(短期借入金2,292百万円、長期借入金2,644百万円)で、総資産に対する割合は30.1%となっており、今後の金融情勢が当社グループの業績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、棚卸資産の圧縮や収益力強化により借入金を削減し、財務体質改善することで、リスクの軽減に努めております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

イ.財政状態の状況

(資産)

資産は前連結会計年度末に比べ307百万円増加し16,387百万円となりました。このうち流動資産は553百万円の増加、固定資産は246百万円の減少となりました。 

流動資産の変動の主な要因は、棚卸資産が551百万円増加したことであります。

固定資産のうち、有形固定資産は367百万円減少しました。変動の主な要因は、減価償却費の計上による減少950百万円、設備投資の実施による増加584百万円であります。投資その他の資産は137百万円増加しました。変動の主な要因は、投資有価証券が32百万円、繰延税金資産が59百万円それぞれ増加したことであります。

 

(負債)

負債は前連結会計年度末に比べ10百万円減少し、8,889百万円となりました。このうち流動負債は1百万円の増加、固定負債は12百万円の減少となりました。

流動負債の変動の主な要因は、電子記録債務が76百万円、未払法人税等が35百万円それぞれ増加し、短期借入金が94百万円減少したことであります。

固定負債の変動の主な要因は、リース債務が12百万円減少したことであります。

 

(純資産)

純資産は前連結会計年度末に比べ318百万円増加し7,497百万円となりました。このうち株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益が362百万円であったこと等により317百万円増加し6,822百万円となりました。また、その他の包括利益累計額は674百万円となりました。

 

ロ.経営成績の状況
(売上高)

連結売上高は、前年同期比9.1%増の8,803百万円となりました。このうち国内販売は前年同期比0.4%増の4,106百万円となり、輸出は同18.1%増の4,697百万円となりました。輸出の地域別では、北米向けが前年同期比32.6%増の1,060百万円、欧州向けが同14.0%増の1,262百万円、アジア向けが同14.7%増の2,336百万円、その他地域向けが同16.8%増の37百万円となり、この結果、連結売上高に占める輸出の割合は、前年同期に比べ4.1ポイント増加し53.4%となりました。

製品別では、焼肌チップが前年同期比2.0%減の678百万円、切削工具が同10.0%増の7,106百万円、耐摩耗工具が同10.4%増の996百万円となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価率は前年同期に比べ4.2ポイント改善し、66.8%となりました。

販売費及び一般管理費は前年同期比13.1%増の2,635百万円となりました。主な要因といたしましては、営業活動において新型コロナウイルス感染症の影響が一服したことにより広告宣伝費、旅費交通費が増加したこと等が挙げられます。

(営業損益)

売上高の増加や売上原価率が改善したこと等により、営業利益は288百万円(前年同期は営業利益10百万円)となりました。

 

(営業外損益)

受取配当金の増加等により、営業外収益は前年同期比9.5%増の127百万円となりました。営業外費用は前年同期比2.8%減の103百万円となりました。

(経常損益)

経常利益は312百万円(前年同期は経常利益19百万円)となりました。

(特別損益)

投資有価証券売却益を78百万円計上いたしました。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

親会社株主に帰属する当期純利益は362百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益64百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は692百万円でありました(前年同期は104百万円の獲得)。資金流入の主な要因は、減価償却費1,010百万円であり、資金流出の主な要因は、棚卸資産の増加489百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により流出した資金は327百万円でありました(前年同期は15百万円の流出)。主な要因は、投資有価証券の売却による収入100百万円、有形固定資産の取得による支出386百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により流出した資金は341百万円でありました(前年同期は477百万円の流出)。主な要因は、短期借入の返済による支出(純額)100百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出200百万円であります。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末と比べ、38百万円増加し1,240百万円となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループは事業の種類として、超硬合金・工具の製造及び製品等の販売を営んでいる単一事業であり、当連結会計年度における製品分類ごとの生産、受注及び販売実績は次のとおりであります。

 

イ.生産実績

製品

当連結会計年度

(2022年4月1日2023年3月31日)

生産高(千円)

前年同期比
増減率(%)

焼肌チップ

718,689

△3.1

切削工具

7,090,133

4.5

耐摩耗工具

932,938

7.8

その他

2,696

41.2

合計

8,744,456

4.2

 

(注) 金額は販売価格をもって計上しております。

 

 

ロ.受注実績

当社グループでは、一部見込による生産もありますので、次表は契約の成立したものを受注高として計上し、契約成立後未出荷のものを受注残高として計上しております。

製品

当連結会計年度

(2022年4月1日2023年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比

増減率(%)

受注残高
(千円)

前年同期比

増減率(%)

焼肌チップ

649,336

△9.5

49,614

△37.0

切削工具

7,102,125

5.0

432,410

△0.9

耐摩耗工具

989,500

5.1

151,647

△4.5

その他

20,772

21.9

1,394

△51.1

合計

8,761,733

3.8

635,065

△6.2

 

 

ハ.販売実績

製品

当連結会計年度

(2022年4月1日2023年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比
増減率(%)

焼肌チップ

678,489

△2.0

切削工具

7,106,074

10.0

耐摩耗工具

996,582

10.4

その他

22,226

55.0

合計

8,803,371

9.1

 

(注) 1 主要な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

SHANGHAI STAR INTERNATIONAL TRADE CO.,LTD.

857,749

10.6

1,018,930

11.6

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナを前提とした社会環境が整いつつある中、経済活動が緩やかに回復に向かう一方で、ウクライナ情勢等の地政学的リスクの長期化、原材料やエネルギー価格の高騰、欧米諸国の金融引き締め等による急激な為替変動や世界的な景気後退懸念の高まりにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

そのような中、当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染症の活動制限が徐々に緩和される中、ウィズコロナのもと、引き続きリモートによる商談打合せ、WEBセミナー、メールやSNSによる製品紹介等新たな営業活動を推進するとともに、対面による営業活動も増やしつつ、販売の拡大に努めました。

切削工具につきましては、顧客ニーズに応えた新製品の開発に注力し、新コーティング「DS1コート」、肩削り加工用工具「SIC-EVO」等の新製品に加え、注力しているソリッドドリル「ストライクドリル」に加工深さ8Dタイプ、ロールタップ下穴用等ラインナップを拡充して販売致しました。

また、耐摩耗用工具につきましては、当社独自の開発材料であるサーメタルにおいて、滑り性・耐酸化性・低熱伝導率・軽量等の特長を活かして、従来の金型では対応できない領域で成果を挙げております。

売上高に関しましては、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による生産活動鈍化の影響からの回復がみられ、国内向けは前年比0.4%の増加、海外向けは、北米向けが前年比32.6%の増加、欧州向けが同14.0%の増加、アジア向けでは同14.7%の増加となり、通年で増収となりました。
 利益に関しましては、海外向けを中心に需要が回復した事で、生産効率が高まり原価率が改善した事等が要因となり、総じて大幅な増益となりました。売上高営業利益率は、前年同期比3.2ポイント改善し3.3%となりましたが、当社が目標としております10%に対しては、未達の状況であります。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境」にも記載のとおり、新型コロナウイルス感染症に関しましては、経済活動に及ぼす影響は今後徐々に薄まるものと想定しております。アフターコロナ時代に適応可能な事業環境を構築し、強固な収益体質を確立してまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度は受注・売上が回復基調にあり、大幅な増益となった事で、営業キャッシュ・フローは改善いたしました。

資金について、当社は、円滑な事業活動に必要十分な流動性の確保と財務の安定性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達は主として銀行等からの借入金によりますが、5年の長期資金を中心とし、約定弁済を付することにより借り換えリスクの低減を図っております。その他、中長期的な財務の安定性と資金調達の柔軟性・機動性の向上を図る目的で、2,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。

現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準を定めておりませんが、単体ベースの売上高の約1.5か月分の1,000百万円を目安に運用しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、当社経営陣は資産、負債及び収入・費用の各報告数値に影響を与える見積りの仮定を過去の実績や状況に応じて合理的に設定し、算定しておりますが、状況の変化によりこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(a)繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(b)退職給付債務の算定

当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、長期期待運用収益率、昇給率、退職率等の様々な計算基礎があります。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。

 

(c)減損会計における拠点別損益及び将来キャッシュ・フロー

減損兆候の有無を判定する際に用いられる拠点別損益の算出、ならびに減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローの算出に際して用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 当社グループにおいて、研究開発活動は連結財務諸表を作成する当社のみが行っております。当社の研究開発については以下のとおりであります。
 当社グループにおける研究開発は、超硬工具の一貫製造メーカーの強みを活かし、超硬合金・切削工具・耐摩耗用工具の研究開発部門が連携をとり、市場変化、顧客ニーズに即応した商品性の高い新製品開発を行っております。基本方針としましては、高能率・高精度化および長加工寿命化によりお客様のリードタイム短縮と加工コスト低減に貢献する。また、製造時の消費エネルギー削減により環境に優しい製品を開発することを掲げております。

 

・材料およびコーティング被膜の開発

 基本方針のもと、各材料のポテンシャルを最大限に引き出す製法を追求し、工具性能向上を目指した材料、コーティング被膜の開発、そしてそれらを効率的に生産する製造技術の開発を行っております。

  当連結会計年度の研究開発におきましては、Ti合金切削用インサートの寿命を大幅に延長したコーティング被膜「DS1コート」を市場投入致しました。またサーメタル素材におきましては、社内の連携を強化し、その特性が活きてくる用途調査を行い、実際にユーザーに使用して頂き、評価試験を続けております。

 今後も工具寿命を向上させる被膜開発や新素材の研究開発に取組み、新商品開発を後押ししてまいります。

 

・新素材の市場開拓および加工技術の開発

 耐摩耗用工具分野では、合金から工具までを社内で一貫して製造するメーカーとしてのノウハウを活かした当社独自の材料を開発し、自動車業界を中心に新規事業分野へ金型を投入しております。

 顧客ニーズに応えるべく、開発材料の加工方法の違いによる残留応力の疲労寿命への影響や各種基礎データの蓄積を行うと共に、加工技術において、切削工具部門との連携により疲労寿命の向上が期待できる直彫り加工を推進し、金型形状の再現性を高め、寿命の安定化を目指した取組みを進めてまいりました。

 今後も当社の開発材料や加工技術等の独自技術を活かした金型を投入してまいります。

 

・最新刃先交換式肩削りカッタの開発

 生産性向上を目的として、肩削り加工用刃先交換式カッタ「ショルダーエクストリーム11タイプ(EXSAP11形・MSX11形)」を開発いたしました。

 「ショルダーエクストリーム11タイプ」の特長は、

 ①小型インサートの多刃使用により高能率な高速加工を実現しただけでなく、高剛性、低抵抗な設計により、肩削りだけでなく、平面削り、溝削りプランジ加工、ヘリカル加工等幅広い用途で使用する事が可能な高能率加工用カッタとしています。

 ②インサートは両面使用可能な4コーナー仕様とし、高精度な外周研磨により従来比1/2の外径精度を実現しました。刃立ち性にも優れており、荒加工だけでなく、中仕上げ加工においても使用可能であり、立壁面の垂直度の高い高精度な加工を可能としました。

 ③インサート形状および材種は、PMブレーカ(材種JC8050、JC8118)とSLブレーカ(材種JC7550、JC7518)の計4種類で、幅広い被削材に対応し高能率な加工を可能としました。

 ④高能率加工による消費電力の削減と、長寿命加工による廃却工具の削減で環境に優しい製品として、2022年度日本機械工具工業会の環境調和製品に認定されました。

 

・ミラーボールTS形インサートの開発

 ミラーボールは高精度金型仕上げ加工を実現する刃先交換式ボールエンドミルであり、高硬度材の高速加工において高精度かつ長寿命な仕上げ加工を実現するTS形インサートを開発いたしました。

 ミラーボールTS形インサートの特長は、

 ①強ねじれ刃形により食付き時の耐衝撃性を向上しつつ、切削抵抗の低減で加工時のびびりを抑制し、60HRCを超える高硬度材の中仕上げから仕上げ加工において安定した加工を可能としました。

 ②ボールエンドミル中心切れ刃部の切りくずポケット形状を広げて、切りくず排出性を向上させて仕上げ面精度を向上することを可能としました。

 ③高硬度材の高速加工用PVD被膜DH1コートと超微粒子超硬合金の組合せによる材種「DH102」を採用し、加工寿命を大幅に向上することを可能としました。

 ④環境に優しい製品として、2022年度日本機械工具工業会の環境調和製品に認定されました。


 なお、当連結会計年度の試作製造・技術改良等を含めた研究開発活動に要した費用は383百万円であります。