第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当グループは「人々の 心豊かな 暮らしのために」をパーパスに掲げ、ロボティクスと自動化技術を礎に、製造・介護・物流などの分野において、驚きと感動を与える商品・サービスをお届けすることで社会に新しい価値を創造し、人々の笑顔があふれるサステナブルで心豊かな社会の実現を目指しております。

そして、あるべき姿として、以下をフィロソフィーとして掲げており、社会価値と経済価値双方を追求してまいります。

 

・地球環境ならびに人々の幸福に資する商品・サービスをお届けします。

・事業を成長させ、ステークホルダーの皆さまへ適切に還元します。

・法令遵守はもとより、それを超えた道徳心の高い企業であり続けます。

 

更に、ビジョンにつきましては「半導体後工程チェーンにおけるFAブランドとして業界No.1へ」とし、今後も拡大する半導体後工程市場において、世界最高水準の性能を誇るマウンターやダイボンダーを軸に先進的な自動化ソリューションを提供することで、No.1FAブランドの地位を確立してまいります。

 

(2) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標

2035年のありたい姿として制定した「FUJI2035:ものづくり、くらし、みらいに貢献するグローバルカンパニーとして世界にinnovationを提供します」に向けて、2024年度にスタートさせた中期経営計画を軸に、さらなる事業の成長を目指してまいります。中期経営計画の方針は以下のとおりです。

 

FUJI2035の実現に向けた事業ポートフォリオの再構築と社会的企業価値の向上

①既存事業の拡大と収益力強化

②次世代ビジネスの創出と事業化

③ESGに基づく事業基盤の向上

 

 

また、事業活動における収益性や資本効率の向上を図るため、経営指標として営業利益やROEなどを重視しております。中期経営計画の最終年度である2027年3月期における、営業利益をはじめとする各指標の数値目標は以下のとおりです。

 

セグメント

指標

2027年3月期

(目標)

ロボットソリューション

売上高(百万円)

170,000

営業利益(百万円)

35,600

マシンツール・その他

売上高(百万円)

10,000

営業利益(百万円)

700

合計

売上高(百万円)

180,000

営業利益(百万円)

33,000※

※営業利益の合計数値には全社費用が含まれております。

 

指標

2027年3月期

(目標)

ROE

10%以上

PBR

1.1倍以上

配当金(配当性向)

50%以上

 

当グループは、こうした基本戦略を通して、全てのステークホルダー(株主様、お客様、お取引先、従業員、地域社会等)の皆様と利益を共有し、共に夢のある未来を創っていくことを目指してまいります。

 

上記文中の将来に関する記述は、提出日現在において当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

事業ごとおよび財務面における対処すべき課題については、それぞれ以下のとおりです。

 

ロボットソリューション事業

米国の関税政策の先行きに対する不透明感が増しており、為替動向も含め、世界全体の経済成長に大きな影響を及ぼすことが懸念されているものの、AI関連や自動車のIoT化などの分野は今後も成長が見込まれます。このような環境下において、手掛ける全ての製品においてシェアNo.1を目指すべく、モジュール型電子部品装着機「NXTR」や拡張型オールインワン装着機「AIMEXR」といった最新機種を拡販の軸に据え新規市場・顧客の開拓を図るとともに、来たるべき未来を見据え、独創性且つ競争力のある次世代製品のスピーディな開発にも取り組んでまいります。また、デジタル技術を活用した業務革新により生産・販売の業務効率化ひいては収益力強化を目指してまいります。加えて、スマートロッカーシステム「Quist」や移乗サポートロボット「Hug」、廃棄物選別ロボット「R-PLUS」をはじめとする電子部品実装ロボット以外の製品の事業化を推し進め、次世代の柱となる事業の創出を図ってまいります。

 

マシンツール事業

持続的な収益成長のサイクルを生み出すために、生産効率や提案営業力の向上によってターンキービジネスにおける優位性を確立し新規顧客の開拓に取り組みます。また、複合加工旋盤の新機種「ACUFLEX」の製品競争力をさらに高めて販路拡大を図り、環境配慮型製品の確立と顧客への提供を進めてまいります。

 

財務面

高水準の研究開発投資を継続するとともに、将来の成長に向けた周辺事業、新規事業への戦略的投資や設備投資も積極的に実施していくことで、企業価値の増大を目指してまいります。さらに株主価値向上の観点から、収益性や資本効率の向上、継続的な株主還元にも経営の最重要政策として取り組み、配当性向50%を基本とするよう努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

気候変動問題が当グループの「企業価値」および「事業活動」においてリスク・機会となりうることから、気候変動対応への進捗状況を年に2回「サステナビリティ推進委員会」で取締役および執行役員へ報告し、意思決定や監督機能とすることでPDCAを回しております。ビジネスに大きな影響を及ぼす課題については、取締役会の議案や報告事項としております。環境対応を推進することを目的とした「環境部会」や各事業部などが「サステナビリティ推進委員会」へ設備投資・事業計画についての提言や進捗状況の報告を行っております。

また、サステナビリティ経営の基盤強化に向けて、2024年度に「FUJIグループ人権方針」および「FUJIグループ倫理・コンプライアンス方針」を策定しました。これにより、人権尊重や法令遵守はもとよりそれを超えた道徳心の高い企業倫理の醸成を全社的に推進し、健全かつ持続可能なガバナンス体制の確立を図っております。これらの方針は、社員教育プログラムにも反映されており、組織全体への浸透と定着に取り組んでおります。

 

(2)戦略

(イ) 環境

当グループの事業活動において気候変動が及ぼす影響に対してシナリオ分析を実施し、2030年を時間軸とした1.5℃シナリオ(注1)と4℃シナリオ(注2)を設定しました。その上で、1.5℃シナリオと4℃シナリオの世界観を整理し、特定したリスクと機会について、それぞれ対応策を決定し、事業活動に取り入れ、進捗状況はサステナビリティ推進委員会へ報告することで、PDCAを回してまいります。

当グループにおける気候変動に関する主なリスクと機会、その対応策は以下のとおりであります。

1.5℃シナリオ

事象

リスク・機会それぞれへの対応策

リスク

・炭素税の導入による燃料調達コストや材料・調達コストの増加

・排出規制の強化に伴うグリーン電力購入等のコスト増加

・製品への低炭素技術対応(軽量・高強度素材等、環境対応モータ類・半導体など先進機器)によりコスト増、それにより製品価格上昇による競争力低下

・サプライヤーとの連携、協働による新たな材料活用や工法の検討

・COフリー電力の購入

・再生エネルギー発電設備や蓄電池等の導入

・省エネ技術の開発推進

・材料調達コストに影響されないソフトウェア技術を最新技術情報を踏まえ研究

・安価で高品質な材料確保に向けた共同研究を含む研究開発の取組み開始

機会

・市場の省エネ電気製品の増加を受け、市場規模拡大

・工場、設備の生産性向上、省エネ性能を高めるソリューションのビジネス機会が拡大

・自動車のEV化が進み、EV向け電子部品実装ロボット、工作機械のビジネス機会が拡大

・省エネルギーの製品開発・サービスを推進して受注機会増加

 

4℃シナリオ

事象

リスク・機会それぞれへの対応策

リスク

・FUJIグループ:気象災害多発により被災が増加し、工場の操業停止および修復費用の増加

・サプライヤー:気象災害多発により部材調達および製品の出荷物流を含むサプライチェーンが寸断され、生産活動が停滞

・サプライチェーンを含めたBCP対策の強化

機会

・異常気象や感染症増加により、様々な分野で省人化に伴う自動化機運が高まり、ロボットを始めとした自動化ソリューションの市場拡大

・気候変動による災害リスク軽減のためにユーザーが各国に工場を設立し、納入する装置台数が増加

・工場の自動化、最適化の取組みに適応した製品、サービスを構築

・突発需要に対応できる柔軟な生産体制の確立

(注1)世界の平均気温が産業革命以前より1.5℃程度上昇するシナリオ

(注2)世界の平均気温が産業革命以前より4℃程度上昇するシナリオ

 

 

(ロ) 人材

当グループは、ダイバーシティ、人材育成、健康経営、労働環境・安全衛生の4つの観点から人材戦略に関する各種取組を進めております。

ダイバーシティの面では、様々な価値観や考えを持った多様な人材が個性や能力を存分に発揮し、活躍できる組織になることを目指しております。具体的には、専門的な高いスキルを持つ技術系社員を対象に、裁量労働制を適用したエキスパート職制度などの柔軟な人事制度の構築、女性管理職数についての目標設定や中途採用者が能力発揮できる環境の整備、外国人社員に対する文化の違いも踏まえた上での特有事情への配慮、バリアフリー環境整備などを実施しております。また、在宅勤務制度やフレックスタイム制度などの導入、仕事と育児・介護を始めとする家庭の両立支援のため、法の定めを上回る制度導入など、働きやすい環境の整備にも取り組んでおります。

人材育成の面では、人々の心豊かな暮らしのために、お客様や社会の課題を解決できる、イノベーションを起こせる自律型社員の育成に努めております。具体的には、社員本人のステップアップに合わせた様々な研修プログラムの実施、資格取得に対する支援制度や通信教育プログラムの提供などの自己啓発をサポートする制度の充実に取り組んでおります。特に技術者教育については、新入社員を対象としたFUJI独自の座学・製作実習「創開塾」や、顧客目線で開発を行う設計者の育成を目指し、製品据付業務・コールセンター業務・サポートサービス拠点常駐を行う、若手社員を対象とした「マルチスキル育成プログラム」などに力を入れております。また、オフィス業務担当者を対象にデジタルツールを活用し業務改革を推進するDX教育の場である「業革塾」にも注力しております。

健康経営の面では、「FUJI健康経営宣言」の実現に向け、健康経営を推進する上で解決したい経営課題、社員の健康課題、解決施策などをまとめた戦略マップを策定し、その具体的な指標を活用することで社員の良好な健康状態の維持・向上に努め、健康経営を推進しております。2024年度に、「FUJIグループ健康経営方針」を策定し、全社的な健康課題の解決に向けた指針を明文化いたしました。

また、社員の健康維持管理などを目的とし、本社、豊田事業所、岡崎工場に看護師を配置し、迅速な対応と健康相談体制を整備しております。

労働環境・安全衛生の面では、安全で快適な職場づくりに努めております。具体的には、リスクアセスメント、安全衛生パトロールによる労働災害の危険源認識とリスク低減、法令に準拠した時間外労働時間の管理、健康障害の防止を重点項目として実施しております。

さらに、これらの人材戦略に関する各種取組の状況把握のため、2023年度よりエンゲージメント調査を実施し、その結果や傾向を基に施策や制度の策定・見直しを進めております。

こうした取組の結果、「ワーク・ライフ・バランス」の実現への取組に優れた企業として2005年に「愛知県ファミリー・フレンドリー企業」に、「子育てサポート」に優れた企業として2015年に「くるみん(厚生労働大臣の認定)」に、「女性活躍推進」に優れた企業として2016年に「あいち女性輝きカンパニー」にそれぞれ認定されているほか、「健康経営推進」に優れた企業として「健康経営優良法人」に5年連続(2020~2024年度)で認定されるなど、社外から様々な評価をいただいております。

今後も性別、国籍、障がいの有無などにとらわれない多様な人材の採用、活用に取り組むとともに、社員の健康増進とエンゲージメント向上を通して“生き生きと働ける活力ある職場づくり”を推進してまいります。

 

(3)リスク管理

当グループでは、事業を取り巻くリスクと機会を適切に把握・管理するため、代表取締役が委員長、取締役及び執行役員が委員を務める「サステナビリティ推進委員会」が主導し、各部門における管理体制の整備・構築を支援しております。

2023年度に同委員会において策定したマテリアリティに基づき、当グループの事業運営を行い、存在するリスクと機会について議論しています。特に重大なリスクについては、代表取締役を最高責任者とした「リスク・コンプライアンス委員会」にて、経営に影響を及ぼすリスクの分析と事象の対処を進めております。

さらに、気候変動に関するリスクと機会については、各事業部が毎年見直しを行い、「環境管理委員会」が活動状況を監視およびモニタリングすることで、全社的なPDCAサイクルの推進とスパイラルアップを図っております。

これらの情報は定期的に「サステナビリティ推進委員会」および取締役会にて共有され、適切に管理・対処することでリスクの顕在化を未然に防止します。リスクの影響を最小限に抑えつつ機会の最大化に努め、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。

 

 

(4)指標及び目標

(イ) 環境

当グループは気候変動における指標をCO排出量と定め、Scope1(自社での直接排出)、Scope2(自社でのエネルギー起源の間接排出)における2030年度のCO排出量を2013年度比で46%削減することを環境中期目標としました。社員の省エネ活動はもとより、省エネ設備の導入、COフリー電力の購入、グリーン電力証書などを活用し目標達成を目指してまいります。

2021年度にScope3(サプライチェーンの上流と下流の排出)の算定を開始しました。調査中であるカテゴリ9(輸送、配送(下流))を除いた状況での2024年度の実績はScope3がサプライチェーン全体の98%を占めています。その中で、カテゴリ1(購入した製品・サービス)、カテゴリ11(販売した製品の使用)の影響が非常に大きいため、製品の環境配慮設計を進め、Scope3の削減に努めてまいります。

2023年4月のサステナビリティ推進委員会にて気候変動対応の長期目標を、当グループ全体のScope1、2のカーボンニュートラル、売上原単位でScope3の2021年度比80%削減をそれぞれ2050年に実現することと定めました。長期目標達成に向けてのカーボンニュートラル戦略ロードマップを作成し、気候変動対応を推進してまいります。

 

(ロ) 人材

当グループでは、上記「(2)戦略 (ロ) 人材」において記載した人材戦略について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標および実績は、以下のとおりであります。なお、当該指標に関する目標および実績は、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、当該指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

人材戦略

指標

目標

実績(当事業年度)

ダイバーシティ

女性労働者の管理職者数

2027年3月まで9以上

6

管理職に占める女性労働者の割合

2027年3月まで5以上

3.3

健康経営

生活習慣改善の意識がある社員の割合

2027年3月まで69以上

65.5

プレゼンティーイズムによる生産性損失割合(注)

2027年3月まで35以下

36.6

高ストレス者の割合

2027年3月まで15以下

17.5

(注)プレゼンティーイズムとは、出勤はしているものの、心身の不調により十分なパフォーマンスが発揮できず、業務遂行能力・生産性が低下している状況をいい、数値は自社ストレスチェックWHO-HPQより算出しております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、これらは当グループに関する全てのリスクを網羅したわけではなく、現時点では予見できないまたは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当グループの経営成績等の状況に与える影響については、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

なお、当グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であり、これらのリスク管理体制等につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

以下、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境の変動による影響

当グループは、世界の各地域に販売拠点を置きグローバルな事業展開を行っており、当グループの主力製品である電子部品実装ロボットや工作機械等の需要変動は、各国の政情・経済や顧客の設備投資動向等に左右されます。

主力であるロボットソリューション事業においては、スマートフォンを中心とする通信機器関連をはじめ、コンピュータ、サーバー、車載等の分野向けに販売しており、景気変動に伴う電子機器の販売動向や顧客の設備投資動向に大きく影響を受けます。マシンツール事業は主要顧客である自動車業界の設備投資動向に大きく影響を受けます。

FUJIブランド商品の拡充や市場拡大等に取り組むとともに、収益体質の強化を図ってまいりますが、今後当グループの想定を超える急激な需要の変化があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競争激化による影響

当グループは、事業を展開する市場において、価格や機能を含む様々な要素での競争にさらされており、厳しい状況が続いております。今まで以上に競合他社との競争が熾烈なものになることが予想され、IoT・AI技術を活用しお客様のニーズに合った魅力的な製品開発とサービス体制・販売網の強化、ソリューション営業の推進が急務だと考えております。そのほか、コスト削減の追求等にも取り組み、収益性の向上に努めておりますが、顧客が製造する電子機器や自動車等の市場価格の下落に伴う設備調達コスト低減要求や競合他社との価格競争により有利な価格決定を行うことが困難な状況に置かれる場合があります。販売台数の減少や販売価格の下落が当グループの想定を大きく上回りかつ長期にわたった場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 部材等の調達による影響

当グループの製品を構成する鋼材・鋳物・電気材料等、主要部材の市場価格の高騰が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、半導体を始めとする一部の部材については需要集中等による供給不足や供給業者の被災及び事故等による供給中断が発生する可能性があります。当グループとしては、安定的な調達のために複数供給者からの購入体制をとる等の対応に努めてまいりますが、長期にわたり部材の入手が困難な場合、生産が不安定となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 技術開発による影響

当グループは、顧客の要求を捉え、積極的な開発投資と技術開発活動を継続的に実施しております。現在では電子部品実装ロボットと工作機械を事業の柱に据え、既存製品の性能向上に取り組むとともに、スマートロッカーシステム、移乗サポートロボット、廃棄物選別ロボット等の新規分野への事業展開を進めております。また、米国・シリコンバレーにあるFUJI Innovation Lab.等を積極的に活用し、ロボット技術に基づいたイノベイティブな新規事業創出に努めております。しかしながら、顧客要求の高度化や、市場での急速な技術革新による当グループの開発技術の陳腐化により、開発した製品を計画通り販売できない場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当グループは、品質マネジメントシステム規格ISO9001を取得し、品質保証体制及び顧客満足に資するサービスサポート体制の強化に努めております。しかしながら、当グループの製品は先端技術を駆使し、新たな分野の開発技術も多く採用していることから予期せぬ不具合が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 各国の法規制・関税政策等の変更による影響

当グループは、グローバルに事業を展開しており、海外売上高比率は80%以上を占めております。こうした状況下においては、販売先各国や地域の関税政策、輸出入規制、技術移転規制、環境規制、労働法制等の法令や制度の変更が当グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当グループとしては、各国・地域の関連法規や政策動向について継続的な情報収集と分析を行い、迅速かつ適切な対応を図ることで影響の最小化に努めてまいります。しかしながら、法規制の変更等が想定を超える規模や速さで発生した場合には、当グループの事業運営および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 大規模災害等による影響

当グループは、製造、販売及びサービス拠点をグローバルに展開しており、想定を超えた大規模災害や感染症の世界的流行等により、影響を受ける可能性があります。特に、当グループの主要な生産拠点が集中しております愛知県は、南海トラフ地震の防災対策推進地域であり、当該地域において大規模地震が発生した場合には、生産設備の破損や物流機能の停止等により生産・納入活動が停止し、業績に影響を及ぼす可能性があります。当グループといたしましては、災害等の発生時の被害最小化を図るため、事業継続計画の策定、耐震対策、防災訓練等の対策を講じリスクの最小化に努めております。

 

(7) 情報セキュリティによる影響

当グループは、情報システムの管理体制を構築し、徹底したセキュリティ対策や従業員教育等の施策を実施しております。しかしながら、コンピュータウィルス、不正アクセスやサイバー攻撃による予期せぬ障害が発生した場合には、生産をはじめとする事業活動の停止や情報漏洩による当グループの信用低下、顧客等に対する損害賠償等が発生する可能性があり、その場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 知的財産権による影響

当グループが開発・生産している製品について、特許権・商標権等の取得とその保護に努めておりますが、保有する知的財産権を不正に使用した第三者による類似製品等の製造・販売を完全には防止できない可能性があります。また、当グループの製品開発時には第三者の知的財産権を侵害しないように細心の注意を払っておりますが、結果的に知的財産権を侵害したとして第三者から訴訟を提起され、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) のれんの減損による影響

当グループは、産業用ロボット及び半導体製造装置メーカーとしての総合提案力を強化するため、2018年8月にファスフォードテクノロジ株式会社(以下「FFT」といいます。)の株式を取得し、当連結会計年度末においてのれん8,087百万円を計上しております。今後、経営環境の変化等によりFFTの収益性が低下した場合や当初想定したシナジーが実現しなかった場合には、のれんの減損損失計上により、当グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度におけるわが国経済は、米国の関税政策に対する警戒感の強まりなどが一部で景況感を下押ししたものの、インバウンド需要を背景に景気は緩やかに回復し、企業の設備投資はソフトウェア投資を中心に堅調に推移しました。世界経済は、北米では関税政策をはじめとする先行き不透明感が企業の景況感悪化を招き、欧州および中国では輸出の低迷により景気が足踏みしました。

このような環境のなかで、当グループは「人々の 心豊かな 暮らしのために」をパーパスに掲げ、ロボティクスと自動化技術を礎に、製造・介護・物流などの分野において、驚きと感動を与える商品・サービスをお届けすることで社会に新しい価値を創造し、人々の笑顔があふれるサステナブルで心豊かな社会の実現を目指しています。主力事業であるロボットソリューション事業では、手掛ける全ての製品においてシェアNo.1を目指すべく、FUJI Smart Factory Platform「NXTR」や拡張型オールインワン装着機「AIMEXR」といった新世代機種を拡販の軸に据え新規市場・顧客の開拓を図るとともに、独創性且つ競争力のある製品のスピーディな開発に取り組んでまいりました。また、FUJI Smart Factoryを中心とするソリューション提案の推進ならびに代理店・グループ会社間の連携による国内外の販売・技術サポート体制の強化に努めてまいりました。加えて、電子部品実装ロボット製造の主力工場である岡崎工場において、現工場棟の一部を建替えて新工場棟を建設し、生産能力を増強いたしました。さらに、次世代の柱となる事業の創出に向けて組織体制を再編し、スマートロッカーシステム「Quist」や移乗サポートロボット「Hug」、廃棄物選別ロボット「R-PLUS」をはじめとする電子部品実装ロボット以外の製品の事業化を推し進めてまいりました。マシンツール事業では、事業基盤を確立し、持続的な収益成長へ転換するため、組織体制を刷新いたしました。加えて、生産効率や提案営業力の向上に取り組み、ターンキービジネスにおける優位性の確立ひいては新規顧客の開拓を図ってまいりました。そのほか、全社を挙げて、デジタル活用による生産・販売・開発の業務効率化を推進し、収益性の向上を目指してまいりました。

当グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は127,387百万円と、前連結会計年度と比べて327百万円(0.3%)増加しました。

海外売上高は、スマートフォン、PC向けの設備投資が中国、ベトナム等の市場で堅調に推移したことにより、113,921百万円と、前連結会計年度と比べて2,034百万円(1.8%)増加しました。売上高に占める海外売上高の割合は89.4%(中国30.6%、他アジア26.4%、米国14.7%、欧州12.2%、その他5.5%)と、前連結会計年度と比べて1.3ポイント上昇しました。国内売上高は、前連結会計年度と比べて1,707百万円(11.3%)減少し、13,465百万円となりました。

営業利益は13,781百万円と、前連結会計年度に比べて359百万円(2.7%)増加し、経常利益は15,328百万円と、前連結会計年度に比べて318百万円(2.1%)増加しました。

親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べて468百万円(4.5%)増加し、10,906百万円となりました。

以上の結果、1株当たり当期純利益は119円64銭と、前連結会計年度の110円59銭から9円05銭増加しました。

また、自己資本利益率(ROE)は4.9%となり、前連結会計年度に比べて0.3ポイント上昇しました。

 

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

ロボットソリューション

売上高は114,157百万円と、前連結会計年度と比べて439百万円(0.4%)減少しました。事業活動としては、岡崎工場の一部を建替えて新工場棟を建設し生産能力を増強するとともに、旗艦機種であるNXTRを拡販の軸に据えた新規市場・顧客の開拓およびソリューション営業の推進などによりマーケットシェアの拡大に取り組んでまいりました。一方、主力製品であるマウンター市場は、中国においてはスマートフォン、PC、自動車関連を中心に一定程度の需要が見られたことに加え、ベトナムではスマートフォンをはじめとする通信関連やPC向けで設備投資が伸長したものの、経済の先行き不透明感から欧米地域における設備投資需要が伸び悩み、事業としては減収となりました。

営業利益は、16,349百万円となり、前連結会計年度と比べて1,972百万円(10.8%)減少しました。

セグメント資産は168,006百万円となり、前連結会計年度と比べて8,105百万円(5.1%)増加しました。これは主に岡崎工場一部建屋の建替えなどにより建物及び構築物が増加したことによるものであります。

当年度は中期経営計画の1年目でしたが、エレクトロニクス需要の本格回復には至らず、特に欧米地域において設備投資需要が伸び悩んだことにより、計画通りの滑り出しとはなりませんでした。今後につきましては、AI関連や自動車のIoT化などの分野を牽引役として、マウンターの市場規模は拡大していくことが見込まれます。市場ニーズを的確に捉えた製品開発と営業活動を推し進めることにより、マーケットシェアの拡大に取り組んでまいります。

 

マシンツール

売上高は11,093百万円と、前連結会計年度と比べて637百万円(6.1%)増加しました。これは北米の自動車市場において一時的な設備投資需要があったことによるものであります。

営業利益は740百万円(前期:営業損失786百万円)となりました。

セグメント資産は、18,693百万円となり、前連結会計年度と比べて561百万円(2.9%)減少しました。これは主に受注残高減により棚卸資産が減少したことなどによるものであります。

当年度は中期経営計画の1年目であり、組織体制の刷新をはじめとした構造改革を推し進めたことにより営業利益を計上することができました。次年度以降も、持続的な収益成長のサイクルを生み出すため、当社が得意とするターンキーソリューションビジネスに注力して新規顧客の開拓に取り組んでまいります。

 

その他

制御機器製造、電子機器製造、画像処理開発等のその他事業の売上高は2,136百万円となり、前連結会計年度と比べて129百万円(6.5%)増加しましたが、営業損益は109百万円の損失(前期:営業損失102百万円)となりました。

 

 

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は155,427百万円となり、前連結会計年度末と比べ6,008百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が4,231百万円、棚卸資産が3,927百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が2,591百万円増加したことによるものであります。固定資産は88,862百万円となり、前連結会計年度末と比べ639百万円減少しました。

この結果、資産合計は、244,289百万円となり、前連結会計年度末と比べ6,648百万円減少しました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は22,256百万円となり、前連結会計年度末から3,849百万円増加しました。これは主に、未払法人税等が2,377百万円、支払手形及び買掛金が1,732百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は3,350百万円となり、前連結会計年度末と比べ902百万円減少しました。これは主に繰延税金負債が892百万円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は、25,606百万円となり、前連結会計年度末から2,947百万円増加しました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は218,682百万円となり、前連結会計年度末と比べ9,595百万円減少しました。これは主に自己株式の取得などにより8,708百万円減少したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は89.5%(前連結会計年度末は90.9%)となりました。1株当たり純資産額は2,461円37銭(前連結会計年度末は2,463円67銭)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べ4,461百万円減少し58,005百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、23,413百万円の収入(前期:30,187百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益16,271百万円や減価償却費9,073百万円などのプラス要因が、売上債権の増加額2,506百万円などのマイナス要因を上回ったことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、11,418百万円の支出(前期:12,366百万円の支出)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出14,525百万円などのマイナス要因が、投資有価証券の売却による収入3,210百万円などのプラス要因を上回ったことによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、16,195百万円の支出(前期:17,148百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出8,736百万円や配当金の支払額7,352百万円などによるものであります。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料及び部品の購入費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また運転資金、戦略投資資金及び設備投資資金は内部留保金を充当することを基本方針とし、将来の成長に向けた周辺事業、新規事業への戦略的投資や設備投資のために一定水準の内部留保を維持してまいります。一方、必要に応じて借入れによる資金調達も検討してまいります。重要な資本的支出及びその資金の調達源につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

なお、当社は、資金需要に対する機動性・安全性の確保及び財務リスクの低減を図るため、主要取引金融機関と総額120億円の特定融資枠契約を締結しております。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

 

 

(6) 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

ロボットソリューション

118,616

4.5

マシンツール

10,064

△15.3

報告セグメント計

128,681

2.6

その他

1,723

△11.2

合計

130,404

2.4

(注) 金額は販売価格によっております。

 

b 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

ロボットソリューション

112,868

8.5

33,246

△3.7

マシンツール

8,900

△13.5

4,825

△31.2

報告セグメント計

121,768

6.5

38,072

△8.4

その他

2,120

11.0

273

△5.7

合計

123,888

6.6

38,346

△8.4

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

ロボットソリューション

114,157

△0.4

マシンツール

11,093

6.1

報告セグメント計

125,251

0.2

その他

2,136

6.5

合計

127,387

0.3

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

アメリカンテック カンパニー

リミテッド(中国)

16,238

12.8

17,333

13.6

 

5【重要な契約等】

合弁契約

合弁会社名

内容

出資額

設立年月

FUJIリニア株式会社

(資本金200百万円)

リニアモータの開発、製造及び販売

当社

契約締結先A

契約締結先B

268百万円

66百万円

66百万円

2020年2月

(注) 合弁契約上の取り決めにより契約締結先の名称公表は差し控えさせていただきます。

 

6【研究開発活動】

当グループは、次世代製品の開発に向け、世界の先進の顧客が求める最先端の自動化装置、システムの研究開発に重点的に取り組んでおります。

研究開発活動は主に当社にて、セグメントごとに行っており、各セグメントに属さない基礎研究及び要素技術開発等の研究開発活動は開発センターが行っております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は、7,727百万円であります。なお、研究開発費の総額には、開発センターで行っている各セグメントに配分できない研究費用821百万円が含まれております。

セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。

 

ロボットソリューション

主力機種NXTシリーズをはじめとする電子部品実装ロボットのさらなる機能強化に向けた開発等を行っております。当期においては、電子部品実装工程の全自動化を目指し、世界初の自動部品補給システムを搭載したハイエンドモデル「NXTR」の開発に引き続き注力してまいりました。

当セグメントに係る研究開発費の金額は6,668百万円であります。

 

マシンツール

研究開発費の金額は僅少のため、内容についての記載は省略しております。

 

その他

研究開発費の金額は僅少のため、内容についての記載は省略しております。