第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営理念

当社は、創業以来一貫して工作機械の専門メーカーであり、基幹産業としての自負を持って歩んできました。そして、長年にわたって工作機械の真髄を「クオリティ・ファースト」と位置づけ、下記のとおり経営理念に掲げております。
「信頼こそ企業の存立基盤です。マキノは、使う人、売る人、造る人、みんなが信頼し合えることを願い、すべての製品とサービス、自らの組織と社員のあり方において『クオリティ・ファースト』を追求します。」

 

(2)経営の基本方針

当社は、より良い工業製品を効率的に生産することを意図する顧客に、常に最適な工作機械と加工技術を提供することを目指しております。
 さらに、最新の周辺技術をいち早く吸収し、顧客の要求に合致した製品を用意しております。

 

(3)経営環境、経営戦略及び対処すべき課題

工作機械産業は、年度により収益の変動が極めて大きな産業の一つであります。したがって、本産業における戦略の要諦は、短期間に変化する事業環境に適切に対応することにあります。また一方で、身近な日用品から大型旅客機まで幅広い製造業の顧客を対象としており、戦略によって経営の成果が大きく変わります。
その中にあって、以下の点を基本方針としております。
 
・市場が求める高品位・高精度な工作機械をいちはやく投入できるよう開発体制を強化する。
・安定して高品位・高品質な工作機械を製造する環境を実現しつつ、需要の変化と増減に柔軟に対応できる効率的な生産体制を確立する。
・工作機械のユーザーである製造業の生産拠点の世界的な広がりに対応して、海外のグループ各社と有機的に連携し、営業及びサービス拠点の拡大と充実を図る。
 これらについて積極的な投資を継続することにより、厳しい環境下にあっても収益を確保しうる強固な企業体質の確立を目指しております。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループは世界各地で事業活動を行っております。そのため、当社グループの事業活動は多岐に渡る要因の影響を受けます。その要因の主なものは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 国際経済の景気変動:当社の売上は、日本、アジア、及びアメリカの製造業における設備投資に大きく依存しております。企業の投資意欲は景気後退のレベル以上に大きく減退する可能性が高いため、生産財の受注・売上は景気後退時に大きく減少する可能性があります。

② 個別産業の動向:当社の製品の多くは自動車関連企業によって利用されております。その設備投資動向は、製造業の中で最も安定しておりますが、規模が大きく、工作機械の需給環境に与える影響が大きいため、当社の売上に大きな影響を与えます。また、IT・デジタル家電など成長分野への売上は、需給状況の増減が激しいため、期によって大きく変動します。

③ 為替相場の変動:当社の製品は半分以上が海外に販売されております。また、海外に多角的に進出しているため、為替相場は、当社の売上及び利益に影響を与えます。

④ 部品・原材料需給の変動:工作機械は、多種多様な部品・原材料によって構成されております。このため、部品・原材料の需給環境が逼迫した場合、価格が上昇し、利益に影響を与える可能性があります。また、必要な品質、量、納期を確保できない場合、生産及び売上にも影響を与える可能性があります。

⑤ カントリーリスク:当社は工業の近代化を図る各国へ多角的に進出しております。このため、政治・経済・社会情勢が不測の変化を起こす場合、または法的規制が制定・強化される場合、売上及び利益に影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における、連結売上高は2,047億9百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益206億71百万円(前年同期比37.6%増)、経常利益219億56百万円(前年同期比39.4%増)、純利益169億81百万円(前年同期比45.2%増)となりました。

 

当年度の連結受注は2,019億63百万円(前年同期比2.0%増)で前年度並みとなりました。

 上期は全地域で受注が好調に推移しました。下期は米中貿易問題の影響により、中国とアメリカを中心に受注が減少に転じました。

 

当年度の報告セグメント別の状況は以下のとおりです。(当社報告セグメントはグループの販売体制をもとに構成されております。詳細については、(4) [生産、受注及び販売の状況]を参照ください。)

 

セグメントⅠ (牧野フライス製作所及び国内連結子会社)

牧野フライス製作所の国内受注は前年度を上回りました。
 半導体製造装置やロボットを中心とした一般機械や、自動車の部品加工向けが好調に推移しました。

 

セグメントⅡ (MAKINO ASIA PTE LTD)

アジアは前年度を上回りました。

中国向けは前年度を下回りました。前年度に比べ、スマートフォンの金型向け、半導体製造装置を含む一般機械の部品加工向けが減少しました。自動車の部品加工向けでは、高品質化や自動化のための設備投資が継続しました。自動車の内装などの大物金型や、電気電子部品の金型向けが増加しました。

インドは自動車の部品加工向けが増加したことで、前年度を上回りました。

アセアンでは、自動車、航空機、一般機械等様々な産業で受注があり、前年度を上回りました。

 

セグメントⅢ (MAKINO INC.)

前年度をわずかに下回りました。

航空機向けが受注の集中した前年度に対し減少しました。

自動車の部品加工向けは前年度並みでした。下期以降、引き合い状況が悪化し、第4四半期には顧客の設備投資の先送りが出てきました。

 

セグメントⅣ ( MAKINO Europe GmbH )

ヨーロッパは航空機向けが増加したことにより、前年度を上回りました。

一般機械の部品加工向けは減少しました。景気の先行き不安から、顧客が設備投資に慎重になっています。

 

なお、報告セグメント別の当連結会計年度の外部顧客に対する売上高は次のとおりです。

セグメントⅠ:656億83百万円(前年同期比23.5%増)

セグメントⅡ:602億13百万円(前年同期比 5.2%増)

セグメントⅢ:589億61百万円(前年同期比 7.9%増)

セグメントⅣ:198億51百万円(前年同期比20.0%増)

 

 

(2) 財政状態の分析

 

前連結会計年度
(2018年3月31日)
 (百万円)

当連結会計年度
(2019年3月31日)
 (百万円)

増減金額
 
 (百万円)

増減比率
 
 (%)

 

資産

268,382

269,521

1,139

+0.4

負債

115,862

108,574

△7,287

△6.3

(有利子負債)

(38,140)

(34,962)

(△3,177)

(△8.3)

純資産

152,519

160,946

8,426

+5.5

自己資本比率

56.5%

59.4%

2.9ポイント

 

 

① 流動資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は1,716億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ44億68百万円の増加となりました。これは主に、たな卸資産の増加43億14百万円並びに受取手形及び売掛金の増加22億67百万円等によるものであります。

② 固定資産

当連結会計年度末における固定資産の残高は978億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ33億29百万円の減少となりました。これは主に、投資有価証券の減少67億16百万円並びに有形固定資産の増加20億26百万円等によるものであります。

③ 流動負債

当連結会計年度末における流動負債の残高は743億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億29百万円の減少となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金の減少35億30百万円、電子記録債務の減少31億23百万円並びに短期借入金の増加21億67百万円等によるものであります。

④ 固定負債

当連結会計年度末における固定負債の残高は342億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ41億57百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金の減少68億15百万円等によるものであります。

⑤ 純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は1,609億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ84億26百万円の増加となりました。これは主に、利益剰余金の増加144億90百万円、自己株式の増加20億3百万円並びにその他有価証券評価差額金の減少47億59百万円等によるものであります。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度
(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)

増減金額

増減比率

 

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

15,311

15,314

2

+0.0

投資活動による
キャッシュ・フロー

△9,527

△8,705

822

財務活動による
キャッシュ・フロー

△6,973

△7,638

△664

現金及び現金同等物の

換算差額

△153

70

224

現金及び現金同等物の
期首残高

51,128

49,785

△1,343

△2.6

現金及び現金同等物の
期末残高

49,785

48,827

△958

△1.9

 

 

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ9億58百万円減少し、488億27百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、153億14百万円の収入となりました(前連結会計年度は153億11百万円の収入)。主な資金の増加項目としては、税金等調整前当期純利益220億円並びに減価償却費58億37百万円であります。一方、主な資金の減少項目としては、たな卸資産の増加35億20百万円、売上債権の増加14億84百万円並びに仕入債務の減少28億40百万円であります。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、87億5百万円の支出となりました(前連結会計年度は95億27百万円の支出)。主な資金の増加項目としては、有形固定資産の売却6億2百万円並びに投資有価証券の売却3億54百万円であります。一方、主な資金の減少項目としては、有形固定資産の取得83億24百万円であります。シンガポールの工場への投資等が要因となっております。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、76億38百万円の支出となりました(前連結会計年度は69億73百万円の支出)。主な資金の増加項目としては、社債の発行による収入50億円であります。一方、主な資金の減少項目としては、長期借入金返済による支出112億56百万円、自己株式の取得20億3百万円並びに配当金の支払額22億28百万円であります。

 

④ 契約債務

2019年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

3,364

3,364

社債

10,000

10,000

長期借入金

21,598

7,725

2,122

6,750

5,000

リース債務

1,072

216

314

184

357

 

 

 

⑤ 財務政策

当社グループは、設備資金につきましては、内部資金または資金調達することとしております。

2019年3月31日現在、長期借入金の残高は215億98百万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計70億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高 なし、借入未実行残高70億円)。

 

  ⑥ キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。

 

2015年3月期

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

自己資本比率

47.7

49.7

51.1

56.5

59.4

時価ベースの自己資本比率

46.3

32.4

42.9

46.3

41.4

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率

5.9

2.3

3.9

2.5

2.3

インタレスト・カバレッジ・
レシオ

17.0

52.9

34.3

45.9

50.0

 

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標はいずれも連結ベースの財務諸表により算出しております。
※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※ キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
※ 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債(リース債務を除く)を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

当社グループの主な事業は工作機械の製造販売であります。製造は日本、アジアで行っており、販売は海外の重要拠点に子会社を展開して、グローバルな販売活動を行っております。従いまして、当社グループは下記Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの販売体制を基礎とした各社の所在地別のセグメントから構成されております。

 

セグメントⅠ.は牧野フライス製作所および国内連結子会社が担当するセグメントであり、主たる地域は日本、韓国、中国、大洋州、ロシア、ノルウェイ、イギリス及びセグメントⅡ、Ⅲ、Ⅳに含まれないすべての地域です。

セグメントⅡ.はMAKINO ASIA PTE LTD(シンガポール)が担当するセグメントであり、主たる地域は中国、ASEAN諸国、インドです。

セグメントⅢ.は、MAKINO INC.(アメリカ)が担当しているセグメントで、南北アメリカのすべての国です。

セグメントⅣ.は、MAKINO Europe GmbH(ドイツ)が担当するセグメントであり、ヨーロッパ大陸(ノルウェイを除く)のすべての国です。

 

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

99,855

+19.0

27,099

+6.7

合計

126,955

+16.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

63,918

+3.4

25,045

△6.2

61,611

+4.0

12,191

+11.8

56,600

△0.3

14,131

△14.3

19,832

△1.5

11,480

△0.2

合計

201,963

+2.0

62,848

△4.2

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

65,683

+23.5

60,213

+5.2

58,961

+7.9

19,851

+20.0

合計

204,709

+12.8

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 前連結会計年度及び当連結会計年度の相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、国内外の開発拠点間で迅速な情報交換を行い、ユーザーの要求や環境の変化に即応した商品開発を行っております。

当連結会計年度の特許出願件数は28件、当連結会計年度末における特許保有件数は438件、出願中の特許件数は141件となっております。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費の金額は6,532百万円であります。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次の通りであります。

 

(1)セグメントⅠ.(担当:牧野フライス製作所及び国内連結子会社)

当連結会計年度に開発、商品化した主な製品として、航空機大型アルミ構造部品加工向けに、主軸出力と送り軸性能を向上させ加工時間を大幅に短縮した5軸制御マシニングセンタMAG3(B Ver.)、安定した精度を追求した機械構造により高精度加工を可能とし順送用金型加工に最適な高精度ワイヤ放電加工機UP6H.E.A.T.、全軸の送り速度を向上させパイプ電極の対応可能長さを拡大して電極交換回数を削減し非加工時間を大幅に短縮した細穴加工用放電加工機BX3、お客様の機械と当社のIoTセンタをセキュアなネットワーク環境でつなぎ、機械画面を共有しながら診断、復旧サポート、操作ガイダンスを行い、ダウンタイムを最小限に抑えるサービスPronetConneXスタンダードコース/安心コースがあります。

当連結会計年度における研究開発費の金額は5,523百万円であります。

 

(2)セグメントⅡ.(担当:MAKINO ASIA PTE LTD)

当連結会計年度に開発、商品化した主な製品として、テーブル剛性を向上させ、加工液温度に同調したエアを機械内部に循環させることで更なる高精度加工を可能にしたワイヤ放電加工機U3i/U6iがあります。

当連結会計年度における研究開発費の金額は1,008百万円であります。

 

(3)セグメントⅢ.(担当:MAKINO INC.)

該当事項はありません。

 

(4)セグメントⅣ.(担当:MAKINO Europe GmbH)

該当事項はありません。