第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営理念

当社は、創業以来一貫して工作機械の専門メーカーであり、基幹産業としての自負を持って歩んできました。そして、長年にわたって工作機械の真髄を「クオリティ・ファースト」と位置づけ、下記のとおり経営理念に掲げております。
「信頼こそ企業の存立基盤です。マキノは、使う人、売る人、造る人、みんなが信頼し合えることを願い、すべての製品とサービス、自らの組織と社員のあり方において『クオリティ・ファースト』を追求します。」

 

(2)経営の基本方針

当社は、より良い工業製品を効率的に生産することを意図する顧客に、常に最適な工作機械と加工技術を提供することを目指しております。
 さらに、最新の周辺技術をいち早く吸収し、顧客の要求に合致した製品を用意しております。

 

(3)経営環境、経営戦略及び対処すべき課題

工作機械産業は、年度により収益の変動が極めて大きな産業の一つであります。したがって、本産業における戦略の要諦は、短期間に変化する事業環境に適切に対応することにあります。また一方で、身近な日用品から大型旅客機まで幅広い製造業の顧客を対象としており、戦略によって経営の成果が大きく変わります。
 その中にあって、以下の点を基本方針としております。
 
・市場が求める高品位・高精度な工作機械をいち早く投入できるよう開発体制を強化する。
・安定して高品位・高品質な工作機械を製造する環境を実現しつつ、需要の変化と増減に柔軟に対応できる効率的な生産体制を確立する。
・工作機械のユーザーである製造業の生産拠点の世界的な広がりに対応して、海外のグループ各社と有機的に連携し、営業及びサービス拠点の拡大と充実を図る。
 これらについて積極的な投資を継続することにより、厳しい環境下にあっても収益を確保しうる強固な企業体質の確立を目指しております。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

 下記文中の将来に関する事項は、当連結会計年度において、当社グループが判断したものであります。

 (1)サステナビリティに関する考え方

当社では、サステナビリティについての方針として、以下を掲げております。

マキノグループは、「Promise of Performance」のもと、工作機械事業を通して、お客様とともにサステナブルなモノづくりを追求します。また、全てのステークホルダーとの対話と連携に努め、信頼関係の構築を図ります。これらの活動に真摯に取り組むことにより、企業価値の向上を目指すと同時に、豊かさと社会・環境の持続可能性が高度にバランスした世界の実現に貢献します。

この方針に基づき、以下の取り組みを行っております。

 

(2)ガバナンス及びリスク管理

当社のガバナンスおよびリスク管理体制の基本は、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制及び企業統治に関する事項」に記載のとおりです。

サステナビリティに関する課題に関しても、上記体制の対象です。

取締役会は重要な施策について承認し、その実施状況について適宜(気候変動については四半期に一回以上)報告を受け、審議します。

また、重大なリスクが顕在化した場合、その恐れがある場合、その他取締役会または監査役が取締役会で検討すべきと判断した場合、取締役会は当該リスクについて都度報告を受け、対応方針を検討、判断します。

各部門は取り組むべき主要なリスクを選定し、対応方法を定めて低減活動または/および監視・測定活動を行います。

その結果は集約の上、社長の諮問機関であるリスク管理委員会に報告され、同委員会は報告内容を審議の上、必要に応じ社長に答申します。

なお、サステナビリティに関する機会の管理については実務も含めた枠組みの整備状況や実行性、効果性などを踏まえて総合的な観点から判断して参ります。提出日現在、気候変動に関してはサステナビリティ推進室によって主要な機会を識別し、識別した内容に応じて対処すべき部門が対応方法を策定・実行し、同推進室が評価および管理しております。

 

(3)戦略並びに指標及び目標

① 人的資本(人材の多様性を含む)

(戦略)

当社は、人材の「材」は「財」であると考えております。

高精度、高品位な工作機械を提供する当社では、開発、生産、営業、サービス等、それぞれの分野で長年にわたり蓄積された知識やノウハウを引継いでいくとともに、新しい技術を取り込んでいく必要があります。さらに、顧客の生産拠点は世界中に広がり、技術や市場の急激な変化も相まって要求も多様化しており、柔軟な対応が求められております。

多様性の確保は、これらの課題に対応し、持続的に企業価値を向上するための不可欠な要素であります。

このような観点から、次の通り人財育成及び社内環境整備に関する方針を定めております。

・ 社員一人ひとりの成長が会社の成長につながり、会社の成長がさらに社員の成長を促すという好循環を実現するため、社員の自律的なキャリア形成、スキルアップ・スキルシフトのための様々な成長の機会を提供します。

・ 多様な人財の価値観を受け入れ、そのような多様な人財と価値観をもとに、顧客の多岐にわたる課題にフィットする革新的な製品・サービスを生み続けられるための社内環境の整備を推進します。

 

(指標及び目標)

上記の方針に基づいた取り組みに関する指標と目標は以下の通りです。

 

a. 女性労働者の割合

当社及び国内連結会社の管理職層である課長以上の女性社員の割合は、2%程度となっております。この比率を2026年までに5%程度に引き上げることを目標とし、長期的には、15%程度まで引き上げることを目指します。また、管理職候補である係長級の女性社員の割合は、9%程度となっております。この比率を2026年までに10%程度に引き上げることを目標とし、長期的には、15%程度まで引き上げることを目指します。これらの目標達成に向け、女性の採用を積極的に行ってまいります。

b. 外国人労働者の割合

当社および国内グループ会社の管理職層である課長以上の外国人の割合は、1%程度となっております。引き続き採用・登用を積極的に行ってまいります。なお、海外地域統括会社のCEO及びCFOはすべて外国人を登用しております。今後もこの状況を維持していく方針です。

c. 中途採用者の割合

当社及び国内連結会社の管理職に占める中途採用者の割合は30%程度、従業員全体に占める中途採用者の割合は25%以上となっており、妥当な水準と捉えています。今後もこの状況を維持していく方針です。

 
② 気候変動

(戦略)

当社の事業、戦略、財務計画に影響を与え得るリスクと機会を、産業革命以前と比べた気温上昇を4℃とするシナリオと、1.5℃に抑えるシナリオの複数のシナリオに基づき、短期・中期・長期の観点から特定しました。そのうち重要な影響があり得ると考えているものは、次の通りです。

移行リスク

温室効果ガス(GHG)排出の価格付け進行、省エネ政策の強化や既存製品/サービスに対する義務化/規制強化、GHG排出削減対応による原材料コストの高騰

物理的リスク

サイクロンや洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇

機会

低炭素商品/サービスの開発、拡大

 

これらリスクと機会を踏まえ、当社では、消費電力の少ない工作機械の開発、グローバルにおける太陽光発電設備の導入、高効率空調設備への切り替え、LED照明の設置、などを進めております。

GHG排出量削減活動における2030年度中期目標について、SBT(Science Based Target)イニシアティブによる認定を取得いたしました。

 

(指標及び目標)

2050年のカーボンニュートラル(GHGの排出実質ゼロ)の実現に向け、2030年におけるCO2排出量(当社連結・Scope1、2)を2022年比42%削減、2030年におけるCO2排出量(当社連結・Scope3 カテゴリ1、11)を2022年比25%削減することを目指すという目標を掲げております。

過去の排出量は、以下の通りです。

 (単位:t-CO2

 

2022年度

2023年度

2024年度(注)1

Scope1

5,799

5,467

5,846

Scope2

43,336

37,343

37,601

Scope3(カテゴリ1、11)

2,002,999

1,811,781

 (注)2

 

(注) 1 2024年度のGHG排出量は第三者保証業務を実施中のため、提出日時点では速報値を記載しております。保証取得後の実績値は、後日当社Webページにて開示いたします。

 (注) 2 2024年度 Scope3(カテゴリ1、11)は、後日当社Webページにて開示いたします。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループは世界各地で事業活動を行っております。そのため、当社グループの事業活動は多岐に渡る要因の影響を受けます。その要因の主なものは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 国際経済の景気変動:当社の売上は、日本、アジア、及びアメリカの製造業における設備投資に大きく依存しております。企業の投資意欲は景気後退のレベル以上に大きく減退する可能性が高いため、生産財の受注・売上は景気後退時に大きく減少する可能性があります。

② 個別産業の動向:当社の製品の多くは自動車関連企業によって利用されております。その設備投資動向は、製造業の中で最も安定しておりますが、規模が大きく、工作機械の需給環境に与える影響が大きいため、当社の売上に大きな影響を与えます。IT・デジタル家電など成長分野への売上は、需給状況の増減が激しいため、期によって大きく変動します。

③ 為替相場の変動:当社の製品は半分以上が海外に販売されております。また、海外に多角的に進出しているため、為替相場は、当社の売上及び利益に影響を与えます。

④ 部品・原材料需給の変動:工作機械は、多種多様な部品・原材料によって構成されております。このため、部品・原材料の需給環境が逼迫した場合、価格が上昇し、利益に影響を与える可能性があります。また、必要な品質、量、納期を確保できない場合、生産及び売上にも影響を与える可能性があります。

⑤ カントリーリスク:当社は工業の近代化を図る各国へ多角的に進出しております。このため、政治・経済・社会情勢が不測の変化を起こす場合、または法的規制が制定・強化される場合、売上及び利益に影響を与える可能性があります。

当社は、これらのリスクに対応するため、次の取り組みを行っております。

・安定した収益が確保できるよう、幅広い地域・産業の顧客獲得を行うとともに、当社製品に関連してより生産性を向上させるため継続して利用するサービスやソフトウエア等の充実を図っております。

・為替変動のリスクを回避するため、為替予約等を行っております。

・需給環境が変化しても必要な原材料が安定的に確保できるよう、部品・原材料を調達する難易度に応じて在庫量を適正な水準に保ちつつ、サプライヤーとの連携強化や新規サプライヤーの開拓、複社購買を図っております。

・地域ごとに統括会社を定め、そのマネジメントを現地の事情に精通した現地出身者に行わせることにより、地域の特性・事情に応じて柔軟に対応できる体制を構築しております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における、連結売上高は2,342億16百万円(前年同期比3.9%増)、営業利益185億16百万円(前年同期比13.1%増)、経常利益200億90百万円(前年同期比6.2%増)、純利益144億15百万円(前年同期比9.8%減)となりました。

 

当年度の連結受注は2,379億55百万円(前年同期比11.5%増)で前年度を上回りました。景気全体が低迷気味であった中国において安定して受注を獲得することができた他、第3四半期以降はアメリカでの航空宇宙関連向けの受注が堅調に推移しました。

 

当年度の報告セグメント別の状況は以下のとおりです。(当社報告セグメントはグループの販売体制をもとに構成されております。詳細については、(4) [生産、受注及び販売の状況]を参照ください。)

 

セグメントⅠ (牧野フライス製作所及び国内連結子会社)

牧野フライス製作所の国内受注は、前年度並みとなりました。産業機械向け及び、半導体製造装置関連向けが底堅く推移しました。

 

セグメントⅡ (MAKINO ASIA PTE LTD)

アジアの受注は前年度を上回りました。

 中国は新エネルギー車関連向けを中心とした部品加工向けが堅調に推移しました。

 インドは商用車を含む自動車関連の部品加工向けが底堅く推移し、航空機向けが増加したことで、前年度を上回りました。

 アセアンは半導体製造装置関連向けの受注が継続しており、前年度を上回りました。

 

セグメントⅢ (MAKINO INC.)

アメリカの受注は前年度を上回りました。航空宇宙関連向けが第3四半期以降高水準で推移しました。産業機械や自動車関連向けを中心とした部品加工向けは底堅く推移しました。

 

セグメントⅣ ( MAKINO Europe GmbH )

ヨーロッパの受注は前年度を上回りました。景気の低迷によりお客様の設備投資に対する慎重な姿勢は継続していましたが、航空機関連が底堅く推移しました。

 

なお、報告セグメント別の当連結会計年度の外部顧客に対する売上高は次のとおりです。

セグメントⅠ:510億99百万円(前年同期比 4.8%減)

セグメントⅡ:948億53百万円(前年同期比 5.9%増)

セグメントⅢ:695億20百万円(前年同期比15.0%増)

セグメントⅣ:187億43百万円(前年同期比13.5%減)

 

 

(2) 財政状態の分析

 

前連結会計年度
(2024年3月31日)
 (百万円)

当連結会計年度
(2025年3月31日)
 (百万円)

増減金額
 
 (百万円)

増減比率
 
 (%)

 

資産

362,335

367,037

4,702

+1.3

負債

140,782

140,387

△394

△0.3

(有利子負債)

(52,593)

(52,643)

(50)

(+0.1)

純資産

221,553

226,650

5,096

+2.3

自己資本比率

61.0%

61.7%

+0.6ポイント

 

 

① 流動資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は2,286億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億71百万円の減少となりました。これは主に、前年度と比較して売上高が上回ったことによる営業債権の増加81億47百万円及び棚卸資産の減少33億29百万円、生産設備拡充に伴う現金及び預金の減少55億10百万円、有価証券の減少31億円等によるものであります。

② 固定資産

当連結会計年度末における固定資産の残高は1,384億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ76億73百万円の増加となりました。これは国内外での生産設備等拡充による有形固定資産の増加77億51百万円、期末時価評価の結果としての投資有価証券の減少29億29百万円及び、退職給付に係る資産の増加23億53百万円等によるものであります。

③ 流動負債

当連結会計年度末における流動負債の残高は976億10百万円となり、前連結会計年度末に比べ154億86百万円の増加となりました。これは主に、短期借入金の増加58億66百万円、1年内返済予定の社債及び長期借入金の増加による106億83百万円等によるものであります。

④ 固定負債

当連結会計年度末における固定負債の残高は427億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ158億80百万円の減少となりました。これは主に、社債及び長期借入金の流動資産への組替による減少165億円によるものであります。

⑤ 純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は2,266億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億96百万円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加106億47百万円及び、為替換算調整勘定の減少24億73百万円、期末時価評価の結果としてのその他有価証券評価差額金の減少20億37百万円及び買付による取得に伴う自己株式の増加19億76百万円等によるものであります。

 

なお、報告セグメント別の当連結会計年度のセグメント資産は次のとおりです。

セグメントⅠ:2,287億39百万円(前年同期比 0.3%減)

セグメントⅡ:1,083億43百万円(前年同期比 1.5%減)

セグメントⅢ:  627億42百万円(前年同期比 5.6%増)

セグメントⅣ:  200億14百万円(前年同期比 8.9%減)

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度
(自 2023年4月1日

2024年3月31日)

当連結会計年度
(自 2024年4月1日
2025年3月31日)

増減金額

増減比率

 

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

12,910

13,571

660

+5.1

投資活動による
キャッシュ・フロー

△6,411

△13,877

△7,465

財務活動による
キャッシュ・フロー

△6,390

△6,726

△335

現金及び現金同等物の

換算差額

3,002

△1,479

△4,482

現金及び現金同等物の
期首残高

69,467

72,578

3,111

+4.5

現金及び現金同等物の
期末残高

72,578

64,067

△8,511

△11.7

 

 

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ85億11百万円減少し、640億67百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、135億71百万円の収入となりました(前連結会計年度は129億10百万円の収入)。主な資金の増加項目としては、税金等調整前当期純利益199億83百万円、減価償却費83億13百万円及び棚卸資産の減少26億80百万円であります。

一方、主な資金の減少項目としては、売上債権の増加87億57百万円及び法人税等の支払額55億円であります。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、138億77百万円の支出となりました(前連結会計年度は64億11百万円の支出)。主な資金の増加項目としては、有形固定資産の売却による収入14億19百万円であります。一方、主な資金の減少項目としては、主に国内およびアジア地域における生産設備等拡充のための有形固定資産の取得による支出149億45百万円及び投資有価証券の取得による支出20億5百万円であります。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、67億26百万円の支出となりました(前連結会計年度は63億90百万円の支出)。主な資金の増加項目としては、短期借入金純増減額59億75百万円であります。一方、主な資金の減少項目としては、長期借入金の返済による支出58億18百万円、配当金支払による支出37億63百万円及び自己株式の取得による支出20億7百万円であります。

 

④ 契約債務

2025年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

8,143

8,143

社債

20,000

5,000

10,000

5,000

長期借入金

24,500

11,500

9,000

4,000

リース債務

4,557

1,132

1,505

497

1,422

 

 

 

⑤ 財務政策

当社グループは、設備資金につきましては、内部資金または長期借入金による借入及び社債発行等により資金調達することとしております。2025年3月31日現在、長期借入金の残高は245億円であります。

また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高 なし、借入未実行残高100億円)。

株主還元につきましては、安定的かつ継続的な配当を図ることを基本に考えております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。

 

  ⑥ キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

自己資本比率

57.6

54.6

56.6

61.0

61.7

時価ベースの自己資本比率

37.4

28.5

33.3

41.0

74.4

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

3.0

3.2

18.0

4.1

3.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ

61.8

55.6

9.2

43.3

23.5

 

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標はいずれも連結ベースの財務諸表により算出しております。
※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※ キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
※ 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債(リース債務を除く)を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

当社グループの主な事業は工作機械の製造販売であります。製造は日本、アジアで行っており、販売は海外の重要拠点に子会社を展開して、グローバルな販売活動を行っております。従いまして、当社グループは下記Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの販売体制を基礎とした各社の所在地別のセグメントから構成されております。

 

セグメントⅠ.は牧野フライス製作所および国内連結子会社が担当するセグメントであり、主たる地域は日本、韓国、中国、大洋州、ロシア、ノルウェイ、イギリス及びセグメントⅡ、Ⅲ、Ⅳに含まれないすべての地域です。

セグメントⅡ.はMAKINO ASIA PTE LTD(シンガポール)が担当するセグメントであり、主たる地域は中国、ASEAN諸国、インドです。

セグメントⅢ.は、MAKINO INC.(アメリカ)が担当しているセグメントで、南北アメリカのすべての国です。

セグメントⅣ.は、MAKINO Europe GmbH(ドイツ)が担当するセグメントであり、ヨーロッパ大陸(ノルウェイを除く)のすべての国です。

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

97,236

△7.8

40,382

+16.1

合計

137,618

△1.8

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、販売価格によっております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

47,416

△0.5

18,950

△16.3

98,527

+17.3

33,298

+12.4

73,778

+12.0

40,994

+11.6

18,232

+15.2

8,195

△5.9

合計

237,955

+11.5

101,440

+3.8

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

51,099

△4.8

94,853

+5.9

69,520

+15.0

18,743

△13.5

合計

234,216

+3.9

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 前連結会計年度及び当連結会計年度の相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産)

 従業員退職給付費用、退職給付に係る資産及び負債は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要素が含まれております。将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの前提とした条件や仮定に見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付費用、退職給付に係る資産及び負債に影響を及ぼす可能性があります。 

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。 

 

(固定資産の減損処理)

  当社グループは、生産能力および生産性向上のため製造設備などの設備投資を継続的に行っております。その結果、多くの固定資産を保有しており、2025年3月期末の連結貸借対照表における有形固定資産は94,221百万円であり、このうち当社の貸借対照表における有形固定資産は49,952百万円であります。当社においては資産の簿価が回収できない兆候が認められた場合に減損の認識の要否判定(減損テスト)を行っております。この兆候の有無を把握するに際して、当社は工作機械の製造販売業の単一セグメントであり、各事業所の資産全体が相互補完的にキャッシュ・フローを生み出していると考えられるため、有形固定資産全体(遊休資産を除く)を独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位としております。また、減損の認識の要否判定は主要な資産(工場建物など)の経済的残存耐用年数を見積期間とした中長期の損益予測および将来時点における資産の正味売却可能額(主要な不動産については不動産鑑定士による鑑定評価に基づくものを含む)から見積もられた割引前将来キャッシュ・フローと有形固定資産の帳簿価額との比較によって回収可能性を判断しております。この損益予測等は、将来における景気循環や成長率を加味した売上高予測およびそれに対応する発生費用予測並びに設備の再投資予測などをもとに算出しております。かかる判定の結果、有形固定資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出すと判断し、減損損失を認識しておりません。

 

5 【重要な契約等】

当社は、2025年6月、MM ホールディングス合同会社との間で、同社による当社普通株式に対する公開買付け及びそれに引き続いて行われるスクイーズアウト手続を通じた当社の非公開化に係る一連の取引に関し、公開買付契約を締結いたしました。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、国内外の開発拠点間で迅速な情報交換を行い、ユーザーの要求や環境の変化に即応した商品開発を行っております。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費の金額は9,380百万円であります。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次の通りであります。

 

(1)セグメントⅠ.(担当:牧野フライス製作所及び国内連結子会社)

当連結会計年度に開発、商品化した主な製品として、約7,000台の販売実績を有するV33シリーズを刷新し「いつでも、どこでも、誰でも」従来機以上の加工精度を安定的に実現する立形マシニングセンタV300、従来機V99・V99Lよりも大きく重たい加工物へ対応することにより近年大型化する自動車部品向け金型を効率的に加工する立形マシニングセンタV900、B軸ロータリーテーブル上にC軸ロータリーテーブルを搭載し5軸加工での高い加工精度と俊敏な動作を実現した5軸制御横形マシニングセンタa500iR、工場内にある機械の状態を一覧で表示してリアルタイムな情報の見える化と様々な分析で生産性を向上させる機械の見える化・分析ソフトウエアMAS-3i、機械の健康状態を可視化および診断を行い効率的な点検保守を支援するMachine Status Insight、エアカットを検知して加工時間を短縮するFeed Optimizer、主軸負荷の異常を検出し不良品の流出を防止するProcess Tracer、SMART TOOLシリーズに精密な刃先高さ調整を容易に実現する仕上げ専用調整式フライスカッタFlashSet Millがあります。

また、顧客の多様なニーズに答えるべく機能を拡充した製品として、5軸制御立形マシニングセンタDA300においてグラファイトの加工に対応したグラファイト仕様、横形マシニングセンタa51nx/a61nxにおいて非接触式では難しい小径工具や短い工具の破損を検出できる接触式工具破損検出装置仕様・標準のNCロータリーテーブルを高い割出精度を有するインデックス式テーブルに変えた360面(1度)割出テーブル仕様・加工室内で油空圧の供給がパレットから可能となるスルーパレット油空圧供給仕様、FMSのパレット搬送システムPZシリーズにおいて搬送車への給電を有線から充電式に変えたことでシステムの拡張性が増したPZシリーズ充電仕様があります。

当連結会計年度における研究開発費の金額は6,722百万円であります。

 

(2)セグメントⅡ.(担当:MAKINO ASIA PTE LTD)

当連結会計年度に開発、商品化した主な製品として、多品種少量生産の部品加工向けに展開するPSシリーズにおいて、より大きいサイズの部品に対応した立形マシニングセンタPS155があります。

当連結会計年度における研究開発費の金額は2,658百万円であります。

 

(3)セグメントⅢ.(担当:MAKINO INC.)

該当事項はありません。

 

(4)セグメントⅣ.(担当:MAKINO Europe GmbH)

該当事項はありません。