当連結会計年度における国内経済は、海外経済の減速による輸出の伸び悩み、生産や個人消費の減少も見られましたが、設備投資の増加や雇用環境の改善により緩やかな回復傾向を継続しました。世界経済では、米国や欧州の景気は個人消費を中心に回復が続きましたが、中国における経済成長の鈍化やASEANの景気低迷並びに資源価格下落の影響から新興国経済は減速傾向となっております。これらの結果、世界経済全体では、緩やかな回復傾向が続いたものの不透明感が増大しております。
このような状況のなか、当社は積極的な販売活動と製品開発に注力してまいりました。この結果、輸送機器業界、機械業界並びに石材建設業界向け関連工具の販売は前期を上回りました。一方、販売構成比の高い電子半導体業界向け関連工具の販売は、液晶ガラス関連工具やサファイア加工用電着ダイヤモンドワイヤが大きく減少したため、前期を下回りました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は454億59百万円(前期比0.2%減)と前期を僅かながら下回りました。利益面におきましては、売上高の伸び悩みや電着ダイヤモンドワイヤの販売単価下落の影響により、営業利益は47億50百万円(前期比7.5%減)、経常利益は50億92百万円(前期比15.0%減)となりました。また、連結子会社である上海旭匯金剛石工業有限公司における合理化費用の引当金繰入額1億20百万円の特別損失を計上した事から、親会社株主に帰属する当期純利益は33億38百万円(前期比6.9%減)となりました。
業界別に概況を述べると次のようになります。
太陽電池シリコンウェーハ加工用の電着ダイヤモンドワイヤは、中国を中心とする需要増により販売数量は大きく増加しましたが、ウェーハ価格低下の影響などにより販売単価が下落したため、売上高は前期を僅かに下回りました。また、LED基板を中心とするサファイア加工用の電着ダイヤモンドワイヤは、販売数量が減少し販売単価も下落した事から、売上高は前期を大きく下回りました。
半導体市場では年度後半に生産が減少しましたが、半導体関連工具は前期と同程度の売上高を確保し、電子部品関連工具の販売は増加しました。一方、液晶関連工具は、液晶基板ガラスの価格下落の影響やタッチパネル関連工具販売の大幅減少により前期を大きく下回りました。
これらの結果、電子・半導体業界向け売上高は201億33百万円(前期比4.9%減)となりました。
自動車業界では、自動車の国内販売は減少しましたが、米国や欧州での需要増により世界市場は拡大し、国内自動車メーカーの世界生産台数も増加しております。自動車関連工具の販売は、需要拡大による販売増に加え高品質工具の拡販が進んだ事から前期を上回りました。また、航空機関連工具の販売は、国内外での航空機エンジン関連工具の需要増並びに欧州での機体関連工具の拡販により、前期を大きく上回りました。
これらの結果、輸送機器業界向け売上高は84億39百万円(前期比8.8%増)となりました。
超硬工具業界では、主な需要先である自動車や航空機の世界生産が好調に推移した事から生産は増加しており、関連工具の販売も前期を上回りました。一方、軸受業界も世界生産は増加しましたが国内の生産は減少しており、その影響により関連工具の販売は高品質工具の拡販があったものの前期を下回りました。工作機械業界では、企業の設備投資は拡大傾向となりましたが、工作機械の生産は減少しており、関連工具の販売も前期と同水準となりました。
これらの結果、機械業界向け売上高は93億68百万円(前期比0.2%増)となりました。
国内の建設業界では、公共事業が減少するなど工事量は伸び悩みを見せており、国内の建設関連工具の販売は前期を下回りました。一方、海外を中心にポータブルカッタの売上高は前期を上回り、鉱物資源探査関連の掘削用ビット及び機器の販売はスポット需要を取り込む事により前期を上回りました。
これらの結果、石材・建設業界向け売上高は55億41百万円(前期比4.6%増)となりました。
大学、研究機関、窯業及び宝飾等上記以外の業種への売上高は19億77百万円(前期比0.1%減)となりました。
項目 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
| 6,273 | 7,290 | 1,016 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
| △5,846 | △3,228 | 2,618 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
| △1,441 | △3,590 | △2,148 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
| 348 | △362 | △710 |
現金及び現金同等物の増減額 |
| △666 | 109 | 775 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
| 12,857 | 12,966 | 109 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、129億66百万円となり前連結会計年度末と比べ1億9百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、72億90百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が50億31百万円、減価償却費が36億27百万円、法人税等の支払額が20億99百万円あった事によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出された資金は、32億28百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が32億5百万円、投資有価証券の取得による支出が2億27百万円あった事によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出された資金は、35億90百万円となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が12億48百万円、配当金の支払額が19億3百万円あった事によります。
当社グループ(当社及び連結子会社)はダイヤモンド工具事業の単一セグメントでありますが、生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であってもその形状等は一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品もあり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示す事はしておりません。
当連結会計年度における販売実績を業界別に示すと、次の通りであります。
業界別 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
電子・半導体業界 | 20,133 | 95.1 |
輸送機器業界 | 8,439 | 108.8 |
機械業界 | 9,368 | 100.2 |
石材・建設業界 | 5,541 | 104.6 |
その他 | 1,977 | 99.9 |
合計 | 45,459 | 99.8 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループを取巻く事業環境として、国内・世界経済は様々な要因から不透明感が強まっておりますが、中長期的には緩やかな成長が継続すると予想されます。この結果、国内・世界市場におけるダイヤモンド工具需要は拡大していくと予想されますが、競合状況も激しさを増しております。
このような環境の下、当社では、創立80周年を迎える2017年度を計画最終年度とする「中期経営計画2017 -Polish Up Asahi- 」を昨年5月に策定し実行中であります。
中期経営計画の目標は、「GLOBAL510(グローバルファイブテン)※」を早期に達成しグローバルブランドとしての地位を確保するとともに、企業としての持続的な成長と企業価値の向上を図る事であり、以下の内容を骨子としております。
①中期経営計画基本方針
・売上高・営業利益等の数値目標達成
・資本効率及び資産効率の向上
・実効的なコーポレート・ガバナンスの実現
②計画期間中に実行する全社テーマ
・グローバル市場において最高品質の製品開発
・グローバル市場において顧客満足度の高いサービスを提供
・グローバル化に対応し当社の成長と企業価値向上を担う人材の育成
③計画期間中における自己資本増加の抑制
・連結配当性向 継続的な安定配当を基本とし、配当性向は40%以上
・自己株式取得 機動的に実施し、取得した自己株式は原則として消却
計画策定から1年が経過し、当社を取巻く事業環境は計画策定時に比べ一段と厳しさを増しておりますが、当社では「製品開発」「サービス」「人材育成」というテーマに全社を挙げて取り組み、「中期経営計画2017 -Polish Up Asahi- 」の達成に向け全力を尽くしてまいります。
※ 「GLOBAL510」とは、当社グループで世界シェア10%、連結売上高500億円を目指すという長期経営目標
の事であります。
当社は、平成28年4月21日開催の取締役会において、株式会社の支配に関する基本方針の廃止を決議いたしました。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、主な原材料として天然・人工ダイヤモンド、金属及び樹脂類を多数使用しております。今後、これらの調達において、供給元の操業停止又は供給能力の制約などにより、必要な原材料の調達ができなくなった場合、もしくは原材料価格の高騰により生産コストが上昇した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、電子・半導体、輸送機器、機械、石材・建設などの広範囲の業界に対し、ダイヤモンド工具を供給しておりますが、景気変動が各業界の取引先へ影響を与える場合、工具の需要にも影響を受ける事となります。今後、十分な受注が確保できなくなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日々、競合他社との技術・納期・価格競争などが行われるなか、高品質化・短納期化・技術サービスの充実化に努めております。今後、競合他社との競争に対して、迅速かつ適切に対応できず、十分な収益性が確保できなくなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、品質管理基準に従って製造活動を行っておりますが、すべての製品について欠陥がなく、クレームが発生しないという保証はありません。今後、大規模なクレームの発生により、多額の費用が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アジア・オセアニア、欧州、北米などに子会社を有し、事業のグローバル化を展開しております。また、連結地域別売上高の海外割合は50%を超えております。今後、政情不安、法的規制の変更、急激な為替レートの変動、金融不安、賃金上昇、テロ・戦争の勃発など予期しない様々な問題が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内外に有する製造拠点において、日々災害防止に努めております。今後、大地震、暴風雨、洪水などが発生し、当社グループの生産設備及び情報システムへの直接的な被害や、社会インフラの損壊による電力供給不足等、もしくは取引先からの材料の供給不足等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社の技術研究所が中心となり、各工場の生産技術部、技術部、営業部門が密接に連携を保ちながら、将来の事業の基盤となるべき基礎研究から、地球環境や資源を視野に入れた応用開発まで、幅広い研究開発活動を行っております。当連結会計年度における当社グループでの研究開発費は17億31百万円であり、業界別の研究成果は以下の通りであります。
(1) 電子・半導体業界
半導体ウェーハや基板材料の面研削用メタルボンドホイールを新たに開発しました。結合剤の組成を見直す事により、切れ味と安定性を両立させる事に成功しました。特に、LED用の基板として広く用いられているサファイアではこれまで切れ味不足が課題でしたが、この新ホイールにより高能率な加工が可能となりました。
(2) 輸送機器業界
自動車部品・軸受用にAEセンサー内蔵ドレス駆動装置を開発しました。これは、CBNビトリホイールの形状を高精度に成型するものです。軸剛性やモータ出力を上げる事により、砥石への形状転写性能が大きく向上しております。さらに、AEセンサーにより、砥石と接触する瞬間を検知できる事から、高精度な加工が実現されました。
(3) 機械業界
セラミックスやコンポジット材料向けに使われているダイヤモンドコーティング工具において、製造条件の精密制御技術を開発しました。これにより、様々な形状の基材に対して最適なダイヤモンド膜を提供できるようになりました。さらに、当該技術を応用する事でダイヤモンドの膜質を変化させる事が可能となり、工具の長寿命化に貢献しております。
(4) 石材・建設業界
地質調査関連では、軟弱でサンプリングが難しいコアを良好な状態で採取できるボーリングビット(商品名「サイクロンビット」)を開発し製品化を進めております。また、石材・建設業界では、アスファルトやコンクリートを切断するブレードの性能を、現行の「エクセレント」シリーズより改善した新製品の開発を進めております。
当社グループにおける財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下の通りであります。なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の経営者は、重要な判断と見積りや計画の策定に対し、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
当社グループは、棚卸資産の評価については、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により評価損を計上しております。今後、技術革新のスピード化による製造中止や、市場状況の悪化による陳腐化が生じた場合、たな卸資産の評価損を計上する可能性があります。
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。将来、顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加の引当金が必要となる可能性があります。
当社グループは、その他有価証券については、期末日における時価又は実質価額が取得原価に比べ50%以上下落した場合に、原則としてすべて減損処理を行い、30~50%程度下落した場合に、回復可能性を判断して減損処理を行う事としております。時価のない有価証券については、当該有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合には回復可能性がないものとして判断し、30%~50%程度下落した場合には当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。
将来、投資先の株価の著しい下落もしくは業績の著しい低迷があった場合には、投資有価証券の評価損を計上する可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産については、中長期の損益見込みに基づいて将来の課税所得を検討し、回収可能性を考慮して計上しております。現時点において計上されている繰延税金資産は十分回収できると判断しておりますが、予測し得なかった損失の発生が見込まれた場合、当該繰延税金資産が法人税等調整額として費用化される可能性があります。
当社グループの従業員に対する退職給付債務及び退職給付費用については、割引率、昇給率、退職率及び長期期待運用収益率などの前提条件に基づいた基礎率により計算しております。これらの計算結果が前提条件と異なる場合や、これらの基礎率が大きく変更される場合には、数理計算上の差異に大きく影響する可能性があります。
売上高は454億59百万円(前期比0.2%減)、売上原価は319億28百万円(前期比3.3%増) となりました。販売費及び一般管理費は、貸倒引当金繰入額の計上が減少した事から、前期に比べ7億20百万円減少し、87億80百万円となりました。
これらの結果、営業利益は47億50百万円となり、前期に比べ3億85百万円減少しました。
営業外損益は、前期に比べ、為替差損が4億79百万円増加した事から、5億13百万円の費用増となりました。
これらの結果、経常利益は50億92百万円となり、前期に比べ8億98百万円減少しました。
特別損益は、事業構造改善引当金繰入額が1億60百万円減少した事から、前期に比べ2億44百万円の利益計上となりました。
これらの結果、税金等調整前当期純利益は50億31百万円となり、前期に比べ6億53百万円減少しました。
法人税等は16億31百万円となり、前期に比べ4億56百万円減少しました。非支配株主に帰属する当期純利益は61百万円となり、前期に比べ48百万円増加しました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は33億38百万円となり、前期に比べ2億46百万円減少しました。また、1株当たり当期純利益金額は58円26銭、自己資本利益率は5.9%となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金の減少、有価証券の増加等により338億13百万円となり、前期末に比べ1億91百万円の増加となりました。有形固定資産は245億56百万円となり、前期末に比べ6億91百万円の減少となりました。投資その他の資産は、投資有価証券の減少等により126億48百万円となり、前期末に比べ27億64百万円の減少となりました。
以上の結果、総資産は711億39百万円となり、前期末に比べ32億55百万円の減少となりました。
流動負債は、未払法人税等の減少等により57億30百万円となり、前期末に比べ13億53百万円の減少となりました。固定負債は、長期借入金の減少等により84億65百万円となり、前期末に比べ67百万円の減少となりました。
以上の結果、負債は141億95百万円となり、前期末に比べ14億20百万円の減少となりました。
株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上33億38百万円、剰余金の配当による減少19億4百万円等により、528億32百万円となり、前期末に比べ1億86百万円増加しました。その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金の減少11億17百万円、為替換算調整勘定の8億17百万円の減少等により29億10百万円となり、前期末に比べ19億86百万円減少しました。
以上の結果、純資産は569億43百万円となり、前期末に比べ18億34百万円の減少となりました。なお、1株当たり純資産額は、前期末に比べ14円14銭減少し983円14銭となり、自己資本比率は78.4%となりました。
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう努めております。しかしながら、当社を取り巻く環境は常に変化し柔軟かつ迅速な対応を迫られております。今後は、国内、海外の各工場においての生産品目の戦略的な棲み分けを図り、最適な生産体制の構築に取り掛かり、特に中国、台湾、東南アジア、ヨーロッパ、アメリカ地区への積極的な拡販が必要と考えております。