文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、平成29年10月に創立80周年を迎えた事を契機に、新たな経営理念「モノづくりをもっと面白く」を策定しております。テクノロジーの進化が加速しているモノづくりの現場では、日々困難な問題に取り組んでおります。当社グループは、お客様とともに「モノづくりをもっと面白く」し、社会の発展に貢献してまいります。
この経営理念において、「目指す姿」としては、「唯一無二」「永続的な成長」「働きがい」を掲げております。また、行動指針としては、「Challenge(チャレンジ)」「Customer(顧客志向)」「Cooperation(ボーダレスな連携)」「Character(持ち味を活かす)」「Speed(スピード)」を掲げております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、「連結売上高」「連結営業利益」「連結売上高営業利益率」「自己資本利益率」を重要な経営指標と考えております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、平成27年度から取り組んできました「中期経営計画2017 -Polish Up Asahi- 」は、一定の成果をあげ、最終年度を終えました。
平成30年度を起点とする「新中期経営計画」の策定については、太陽電池市場の急激な環境変化等もあり、当社グループの進むべき方向性を改めて検討する事とし、当面は見送る事としております。
(4) 会社の対処すべき課題
今後の当社グループを取巻く経営環境は、一段と厳しさを増すものと考えております。電着ダイヤモンドワイヤの販売は半減する見込みですが、行動指針の「Challenge(チャレンジ)」の精神を持ち続け、顧客ニーズに合った開発を進めてまいります。また、自動車のEV化等、市場環境が大きく変化する可能性が高まるなか、主要工具の販売先である、輸送機器業界、電子部品業界、軸受業界向けの販売にも注力してまいります。
そのためには、新工場建設を視野に入れた生産拠点と生産品目の再編、合わせて製造原価の低減、海外販売子会社の新設、既存海外子会社の業務拡大及び合理化等による海外事業の強化などに、全力を尽くしてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 特定の製品の取引の継続性が不安定であるもの
当社グループの主要製品の一つである電着ダイヤモンドワイヤは、その大半を海外市場に依存しておりますが、ライフサイクルが短く、その主要取引先等に対しては、納入数量、価格等に関する長期的な契約を締結しておりません。今後、十分な受注が確保できなくなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主な原材料として天然・人工ダイヤモンド、金属及び樹脂類を多数使用しております。今後、これらの調達において、供給元の操業停止又は供給能力の制約などにより、必要な原材料の調達ができなくなった場合、もしくは原材料価格の高騰により生産コストが上昇した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、電子・半導体、輸送機器、機械、石材・建設などの広範囲の業界に対し、ダイヤモンド工具を供給しておりますが、景気変動が各業界の取引先へ影響を与える場合、工具の需要にも影響を受ける事となります。今後、十分な受注が確保できなくなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日々、競合他社との技術・納期・価格競争などが行われるなか、高品質化・短納期化・技術サービスの充実化に努めております。今後、競合他社との競争に対して、迅速かつ適切に対応できず、十分な収益性が確保できなくなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 生産実績及び受注状況
当社グループはダイヤモンド工具事業の単一セグメントでありますが、生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であってもその形状等は一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品もあり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示す事はしておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の経営者は、重要な判断と見積りや計画の策定に対し、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
(たな卸資産)
当社グループのたな卸資産の評価については、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により評価損を計上しております。今後、技術革新のスピード化による製造中止や、市場状況の悪化による陳腐化が生じた場合、たな卸資産の評価損を計上する可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。将来、顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加の引当金が必要となる可能性があります。
(有価証券の減損)
当社グループのその他有価証券については、期末日における時価又は実質価額が取得原価に比べ50%以上下落した場合に、原則としてすべて減損処理を行い、30~50%程度下落した場合に、回復可能性を判断して減損処理を行う事としております。時価のない有価証券については、当該有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合には回復可能性がないものとして判断し、30%~50%程度下落した場合には当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。
将来、投資先の株価の著しい下落もしくは業績の著しい低迷があった場合には、投資有価証券の評価損を計上する可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループの繰延税金資産については、中長期の損益見込みに基づいて将来の課税所得を検討し、回収可能性を考慮して計上しております。現時点において計上されている繰延税金資産は十分回収できると判断しておりますが、予測し得なかった損失の発生が見込まれた場合、当該繰延税金資産が法人税等調整額として費用化される可能性があります。
(退職給付)
当社グループの従業員に対する退職給付債務及び退職給付費用については、割引率、昇給率、退職率及び長期期待運用収益率などの前提条件に基づいた基礎率により計算しております。これらの計算結果が前提条件と異なる場合や、これらの基礎率が大きく変更される場合には、数理計算上の差異に大きく影響する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は、746億78百万円と前期と比べ39億96百万円(5.7%)増加となりました。資産の増加の主な要因は、現金及び預金が32億86百万円増加、受取手形及び売掛金が19億36百万円増加、投資有価証券が16億66百万円増加した一方で、有形固定資産が32億13百万円減少した事によるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は、149億69百万円と前期と比べ15億75百万円(11.8%)増加となりました。負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が2億33百万円増加、未払法人税等が8億79百万円増加、賞与引当金が1億51百万円増加した事によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の額は、597億8百万円と前期と比べ24億20百万円(4.2%)増加となりました。純資産の増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益16億14百万円の計上、その他有価証券評価差額金8億27百万円増加の一方で、剰余金の配当により7億79百万円減少した事によるものであります。
この結果、自己資本比率は78.2%となり、1株当たり純資産額は1,048円95銭となりました。
b. 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、電子・半導体業界、輸送機器業界、機械業界、石材・建設業界のほとんどの業界においても、前期と比べると売上は堅調に推移し、454億58百万円となり、34億33百万円(8.2%)増加いたしました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、販売費及び一般管理費において貸倒引当金繰入額を2億12百万円計上したものの、46億40百万円となり、前期と比べ19億95百万円(75.5%)の増益となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、為替差損益がプラスに転じた事により、50億74百万円となり、前期と比べ21億29百万円(72.3%)の増益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、電着ダイヤモンドワイヤ製造設備に係る減損損失24億51百万円の特別損失を計上した事により、16億14百万円となり、前期と比べ8億72百万円(△35.1%)減少いたしました。
c. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社を取り巻く環境は常に変化し柔軟かつ迅速な対応を迫られております。特に、太陽電池シリコンウエーハ加工用の電着ダイヤモンドワイヤの販売は、今後さらなる市場価格の下落が予想されております。
d. 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、184億68百万円と前期と比べ31億92百万円(20.9%)の増加となりました。
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。なお、日々の運転資金、設備投資資金については、ほぼ全額を自己資金で賄う事が可能であります。
業界別の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。
電子・半導体業界
電子・半導体業界は、太陽電池シリコンウエーハ加工用向けに電着ダイヤモンドワイヤの販売数量を大きく伸ばしましたが、販売は前期と同水準となりました。これは、ウエーハ価格の低下の影響を受けて販売単価が下落したものの、販売単価の高い細線の販売割合を増やした事によります。
また、半導体関連工具や液晶関連工具の販売も増加しました。この背景には、半導体市場におけるメモリや各種センサーの生産増、液晶関連においてもFPD市場やタッチパネルの生産が好調であった事があります。
輸送機器業界
輸送機器業界は、自動車関連工具の販売が大きく増加しました。この背景には、米国での自動車生産台数が減少した一方、日本国内、中国やインドなどで前期を上回る自動車生産台数の増加により、世界全体で増加した事があります。当社グループは、特に、高精度歯車加工用工具の開発に注力し、バリエーションを増やすなど、幅広く適用できるようにいたしました。
機械業界
機械業界は、軸受関連工具の販売が新規拡販を進めるなど販売強化に努めた事もあり大きく増加しました。この背景には、軸受業界の自動車や二輪車向けの生産が好調であり、産業機械向けの生産も増加した事があります。
また、超硬工具向け関連工具の販売が、製品のリニューアルを行うなど市場要望に合致した製品をリリースした事で大きく増加しました。この背景には、超硬工具業界における、自動車等の輸送機器向けの生産が堅調に推移し、工作機械業界でも内外需ともに生産が増加した事があります。
石材・建設業界
石材・建設業界は、海外向けポータブルカッタの販売が新製品の市場投入効果で増加しました。国内の建設業界では公共・民間ともに工事量の減少が続いております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社の技術研究所が中心となり、各工場の生産技術部と営業部門が密接に連携を保ちながら、将来の事業の基盤となるべき基礎研究から、地球環境や資源を視野に入れた応用開発まで、幅広い研究開発活動を行っております。当連結会計年度における当社グループでの研究開発費は18億2百万円であり、業界別の研究成果は以下の通りであります。
(1) 電子・半導体業界
ウエーハレベルパッケージ等の薄型化に対応するために、保護樹脂層の面研削用ビトリボンドホイールを新たに開発しました。これまではホイールの磨耗が課題でしたが、結合材を根本的に見直す事により安定した切れ味と耐磨耗性能を向上させる事に成功しました。さらに、さまざまな保護層に対応できるラインナップをそろえました。
(2) 輸送機器業界
ベアリングコロ等のセンタレス加工用ホイールにおいて、混合-焼結方式の大幅な改善により品質の安定化を実現しました。このホイールはセグメントがないリングタイプで、良好な加工品位が期待されます。また、ワークに合わせた厚みのホイールにも対応しています。
(3) 機械業界
SiCやセラミックスといった難削材加工用のメタルボンド砥石(商品名「ソロテル」)を製品化しました。砥粒の均一分散技術を確立し、従来の砥石では不可能であった切れ味と耐久性を両立させる事に成功しました。さらに、砥石の刃厚を薄くする事により、特に座繰り加工では角R部の形状維持性の高い加工が可能となりました。
(4) 石材・建設業界
石材・建設業界ではコンクリートを乾式で穿孔できるシンウォールビットの新製品(商品名「ハイパーモールDRY」)を開発し製品化しました。さらに、高配筋コンクリート構造物の乾式解体工事に適した製品の開発を進めています。
その他に、さく井用ビットにおいて、建設工事向けPDCビットや、より深い掘削が行われる地熱発電井用PDCビット及び資源掘削用PDCビットの開発を進めています。