文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、経営理念「モノづくりをもっと面白く」を策定しております。テクノロジーの進化が加速しているモノづくりの現場では、日々困難な問題に取り組んでおります。当社グループは、お客様とともに「モノづくりをもっと面白く」し、社会の発展に貢献してまいります。
この経営理念において、「目指す姿」としては、「唯一無二」「永続的な成長」「働きがい」を掲げております。また、行動指針としては、「Challenge(チャレンジ)」「Customer(顧客志向)」「Cooperation(ボーダレスな連携)」「Character(持ち味を活かす)」「Speed(スピード)」を掲げております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2020年5月15日の取締役会において、「中期経営計画2022」を策定しました。その主な内容と進捗状況については、下記「(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題」において記載しております。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長を果たし、全てのステークホルダーの利益を増大させる目的として、「連結売上高」「連結営業利益」「連結売上高営業利益率」「親会社株主に帰属する当期純利益」「自己資本利益率」を重要な経営指標と考えております。
(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大や原材料の高騰等もあり、当期は様々な産業や消費動向に多大な影響がありました。次期につきましても、新型コロナウイルス感染症の収束が未だ不透明であり、経済活動の抑制は継続するものと思われます。
このような状況の中、当社グループは、2022年度を最終年度とする「中期経営計画2022」を2020年に策定し、さらに2030年の目指すべき姿として下記の「VISION2030」を掲げ、3つの重点テーマのもと、成長基盤の確立を進めております。
「VISION2030」
10年後のあるべき姿として、『「地域×業界」軸で戦略的な製品展開を行うグローバルダイヤモンド工具メーカー』を設定し、グローバルでの持続的成長と高収益を実現し、企業価値を高め続けることを目指しております。
「中期経営計画2022」の重点テーマ
①高度専門化する顧客ニーズへの一貫対応
電子半導体関連を中心とした4つの製品開発プロジェクトにより、市場動向や顧客ニーズに対応した製品の開発を製販一体で進めており、売上にもその成果が出てきております。また、国内製造拠点の整備を進め、より一層の効率化を進めるべく体制強化に努めております。引き続き、生産拠点、開発拠点を有効活用し、戦略的な製品展開を進めてまいります。
②グローバル展開の最適化と加速
グローバル展開の最適化と加速では、欧州地域の営業体制強化としてドイツに販売子会社を設置し、より細やかな対応が可能となりました。また、Tyrolit社との業務提携により、製品補完と販売網の相互活用をさらに進めることで、テストから採用へのフェーズ移行が進み、実績が出はじめております。今後も販売面・技術面の機能強化に努め、当社グループの最適化と併せ、グローバル展開を加速してまいります。
③経営インフラと管理体制の強化
経営インフラと管理体制の強化では、あらゆるデータを有効活用し、収益管理の徹底を目指しております。当期は、基幹システム刷新を戦略的に推進するべくプロジェクトを発足させ、新システム全体の検討及び導入展開を推進するチームを組織し、着実に実行できる体制を整備しました。引き続き、当社グループの収益性強化に加え、グループ全体のガバナンス強化を図ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 製品の取引の継続性について
当社グループは、その主要取引先等に対して、納入数量、価格等に関する長期的な契約を締結しておりません。今後、十分な受注が確保できなくなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主な原材料として天然・人工ダイヤモンド、金属及び樹脂類を多数使用しております。今後、これらの調達において、供給元の操業停止又は供給能力の制約などにより、必要な原材料の調達ができなくなった場合、もしくは原材料価格の高騰により生産コストが上昇した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、電子・半導体、輸送機器、機械、石材・建設などの広範囲の業界に対し、ダイヤモンド工具を供給しておりますが、景気変動が各業界の取引先へ影響を与える場合、工具の需要にも影響を受ける事となります。今後、十分な受注が確保できなくなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日々、競合他社との技術・納期・価格競争などが行われるなか、高品質化・短納期化・技術サービスの充実化に努めております。今後、競合他社との競争に対して、迅速かつ適切に対応できず、十分な収益性が確保できなくなった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 業務提携・企業買収に関するリスク
当社グループは、他社との業務提携や企業買収が、将来の成長性、収益性等を確保するために必要不可欠な要素であると認識しております。その実施に際しては十分な検討を行いますが、当初想定した事業計画通りのシナジー効果を得る事ができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 新型コロナウイルス感染症について
世界的な新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループにおいては、従業員の健康と安全を第一に衛生管理の徹底、在宅勤務、時差出勤等の対応を行い、感染予防・拡大防止に努めております。さらなる感染地域や感染者の拡大などで、当社グループの生産・営業活動が制限を受ける事態が発生する様な場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の営業利益は、2,811百万円(前期は営業損失732百万円)となりました。
当連結会計年度の経常利益は、3,650百万円(前期は経常損失337百万円)となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、3,288百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失331百万円)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、15,548百万円となり、前連結会計年度末と比べ4,898百万円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、5,948百万円(前年同期は90百万円の支出)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益が4,408百万円、減価償却費が2,961百万円、売上債権の増減額が1,287百万円あったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出された資金は、356百万円(前年同期は4,289百万円の支出)となりました。この主な内容は、有価証券の売却による収入が1,000百万円、有形固定資産の取得による支出が1,701百万円あったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出された資金は、1,077百万円(前年同期は604百万円の支出)となりました。この主な内容は、配当金の支払額が612百万円あったことによります。
③ 生産実績及び受注状況
当社グループはダイヤモンド工具事業の単一セグメントでありますが、生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であってもその形状等は一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品もあり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示す事はしておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。なお、当社の経営者は、この連結財務諸表の作成にあたって、重要な判断と見積りや計画の策定に対し、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
(棚卸資産)
当社グループは、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により、棚卸資産の帳簿価額を評価しており、主に一定の保有期間を超える棚卸資産について滞留もしくは陳腐化しているとみなして評価損を計上しております。今後、市場環境の悪化等により滞留もしくは陳腐化が生じた場合、追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、売掛金、未収入金その他これらに準ずる債権を適正に評価するため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財務状況がさらに悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上や貸倒損失が発生する可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大による市場環境の著しい悪化などの外部環境の変化により債権の信用リスクが増加した場合には、必要に応じて見積りに対し補正を加える可能性があります。
(有価証券)
当社グループは、保有合理性検証の結果、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資すると判断した有価証券を保有しており、これらの有価証券には価格変動性が高い市場価格のある有価証券と、市場価格のない有価証券が含まれます。当社グループは、保有する有価証券の実質価額が著しく下落した場合には、回復可能性がある場合を除き減損処理を行っております。市場価格のある有価証券については、期末日における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には、回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満程度下落した場合には、回復可能性を判断して減損処理を行うこととしております。市場価格のない有価証券については、発行会社の1株当たり純資産額が取得価額に比べ50%程度以上下落した場合には、将来の展望などを総合的に勘案して、回復可能性があると判断したものを除き減損処理を行っております。なお、将来の市況悪化又は投資先の業績不振など、現在の帳簿価額に反映されていない損失又は帳簿価額の回収が不能となる状況が発生した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、中長期の損益見込みを基として将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を評価したうえで計上しております。既に計上した繰延税金資産については、その回収可能性について毎期検討し内容の見直しを行っております。なお、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの経営成績及び財政状況に与える影響につきましては、感染の収束時期が見通せず、先行き不透明な状況が続くと思われますが、重要な影響はないものと仮定し、会計上の見積りを行っております。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損判定にあたり、管理会計の区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位でグルーピングを行っております。収益性が低下した資産グループについて、将来における回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額については、将来キャッシュ・フローや正味売却可能価額等の前提条件に基づき算出しているため、事業計画の変更や市場環境の悪化等により、その前提条件に変更が生じた場合には、減損損失を計上する可能性があります。
(退職給付)
当社グループは、従業員に対する退職給付債務及び退職給付費用について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率、長期期待運用収益率、及び直近の統計数値に基づいた死亡率等が含まれます。実際の計算結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合には、数理計算上の差異に影響し、当社グループの退職給付債務及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。
(事業構造改善)
連結子会社である旭ダイヤモンドインダストリアルヨーロッパSASにおける収益構造の安定化を図るため事業構造改善を実施しており、製造拠点の統合により発生する費用等を見積り、事業構造改善引当金として計上しております。今後、市場環境の変化等に対応するため計画の変更が発生した場合は、追加の事業構造改善費用の計上が必要となる可能性があります。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は、72,241百万円と前期と比べ4,097百万円(6.0%)増加となりました。資産の増加の主な要因は、有形固定資産が1,100百万円減少した一方で、現金及び預金が4,122百万円増加、受取手形及び売掛金が1,494百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は、11,372百万円と前期と比べ525百万円(4.8%)増加となりました。負債の増加の主な要因は、未払法人税等が461百万円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の額は、60,869百万円と前期と比べ3,572百万円(6.2%)増加となりました。純資産の増加の主な要因は、剰余金の配当により612百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により3,288百万円増加、為替換算調整勘定が929百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は82.1%となり、1株当たり純資産額は1,067円79銭となりました。
b. 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、37,161百万円と前期と比べ7,018百万円(23.3%)の増収となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、2,811百万円(前期は営業損失732百万円)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、3,650百万円(前期は経常損失337百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、3,288百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失331百万円)となりました。
c. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。
業界別の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。
電子・半導体業界
電子・半導体業界では、新型コロナウイルス感染症拡大によるテレワークや在宅勤務等の増加に伴い、関係機器の生産が増え、更に5Gの本格的な普及により携帯端末等の通信機器の生産が好調に推移しました。
当社グループでは、生産が好調であった携帯端末部品をはじめとした情報機器向けや基板材料向け関連工具の販売に注力したことにより、関連工具の販売が大きく増加しました。
輸送機器業界
自動車業界では、第4四半期後半に再び減産となりましたが、当連結会計年度前半の生産が好調であったことから、通期の生産台数は前年と比べ微増に留まりました。当社グループでは、開発を進めていた切削工具をはじめ、研削ホイール及び歯車加工関連工具の販売に注力し、関連工具の販売は増加しました。一方、航空機業界においては、各国で行われていた移動制限等が緩和されましたが、航空機需要の低迷が続き、関連工具の販売は減少しました。
機械業界
軸受や工作機械業界では、自動車等の輸送機器や一般産業用の生産が回復しました。また、超硬工具業界においても自動車・機械部品の需要増により生産が増加しました。当社グループは、新規拡販の取り組みや新製品投入を進める等、販売強化に努めたことにより、当業界向け関連工具の販売は増加しました。
石材・建設業界
国内の建設業界では、高速道路の補修工事をはじめ、国土強靭化等の施策もあり、公共工事、民間工事ともに堅調に推移しました。当社グループでは解体、補修用関連工具の販売に注力し、石材業界では、墓石、建築材料等の需要低迷による売上減少もありましたが、全体では前年度を上回る売上高となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、15,548百万円と前期と比べ4,898百万円(46.0%)の増加となりました。
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
なお、日々の運転資金、設備投資資金については、ほぼ全額を自己資金で賄う事が可能であります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社の研究部、各国内工場の生産技術部、技術関連部門等により構成された技術開発センターが、営業部門と密接に連携を保ちながら、将来の事業の基盤となるべき基礎研究から、地球環境や資源を視野に入れた応用開発まで、幅広い研究開発活動を行っております。
当連結会計年度における当社グループでの研究開発費は
(1) 電子・半導体業界
高機能化が進む有機パッケージやセラミックスパッケージなどの半導体パッケージは、切断工程に対する加工精度の要求が年々厳しさを増しています。これに対応した切断用ブレードの新製品(商品名「メリウスメタル」)を市場に投入しました。高い加工能率と高い加工精度を両立し、今後益々拡大傾向にある半導体市場への寄与が期待されます。
(2) 輸送機器業界
軸受け加工用途向けに、従来品よりも切れ味を向上させたロータリドレッサ(商品名「KDドレッサ」)を開発しました。ロータリドレッサは一般砥石の成形に使用される間接工具で、形状精度とその維持性が要求される製品です。切れ味を向上させながらも相反する特性である形状維持性を担保することで、加工時の抵抗が下がり、一般砥石の切れ味の向上にも効果を発揮します。
(3) 機械業界
工具業界、特にフルート研削用メタルホイール(商品名「スプレモ」)の採用拡大が進んでいます。従来品と比較して切れ味にすぐれ、研削性能も安定していることから、ユーザーでの加工効率向上に寄与しています。
(4) 石材・建設業界
鉄筋コンクリートの解体や改修に使用されるコンクリートブレードの高性能化に取り組んでおります。その中で、高層ビル解体用コンクリートブレードを開発し市場に投入しました。地質調査・資源探査用ビットについては、国内市場における価格競争力を上げるため、海外子会社での生産比率アップを計画しています。