(1) 業績
当連結会計年度(当期)における業績は、売上収益が429,664百万円(3,391,193千EUR)(前期比14.1%増)、営業利益が29,391百万円(231,976千EUR)(前期比1,398%増)、税引前当期利益が24,803百万円(195,769千EUR)(前期は1,064百万円の税引前当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益が15,263百万円(120,469千EUR)(前期は7,826百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
電気自動車(EV)へのシフト、人工知能(AI)の発達、高齢化等、社会は大きく変革しております。このような変革する社会の中で重要な役割を果たし続けるため、当社グループは、5軸加工機の普及、搬送の自動化、加工や計測の工程の複合化を推進し、複雑な加工を高精度・高効率に実現できる生産工程を包括的に提供する企業を目指してまいります。
事業戦略として、コネクテッドインダストリーズ(IoT、インダストリー4.0)への対応を強化しております。独国でカールツァイス社やデュル社等と提携して、ジョイントベンチャーADAMOS(ADAptive Manufacturing Open Solutions)を設立し、同社において産業用IoTプラットフォーム「ADAMOS」を提供することで、工作機械や計測機器等生産ラインにある複数の機械のデータを一元管理し、保守や生産の計画の精度向上や機器の故障予測に活用してまいります。また、パートナー企業とのオープンイノベーションにも積極的に取組み、多くのお客様の課題である加工の段取り時間削減を実現する周辺機器を紹介しております。さらに、短納期かつ安定した品質で自動化システムを納入できるよう、ワークストッカや機内計測装置等の各ユニットのモジュール化を進め、システム導入のためのすべてを一括してサポートする「DMG MORI ワンストップサービス」を実施しております。当社グループでは、標準的な自動化案件のみではなく、お客様に合わせてカスタマイズしたシステムやターンキー案件まで幅広く対応いたします。
技術面では、アディティブマニュファクチャリング分野における技術革新をより一層推進すべく、セレクティブレーザメルティング(以下、「SLM」)に高い技術力を持つREALIZER GmbH社を子会社化し、SLMを用いたLASERTEC 30 SLMを新たに製品群として拡充いたしました。既存のパウダーノズル方式の製品に加え、新たにパウダーベッド方式の製品を取り揃えたことにより、金属ワークを生成する主要な積層造形プロセスを当社グループより提供できるようになっております。今回のSLM技術の取得により、パウダーベッド方式とパウダーノズル方式の両技術を組み合わせることで、お客様に全く新しいアプリケーションを提供することが可能となります。また、切削能力を従来の2倍に向上させた立形マシニングセンタNVX 5000 2nd Generation、自社開発の高性能主軸「MASTERシリーズ」を搭載し切削能力を大幅に向上させた高精度5軸制御マシニングセンタDMU 50 3rd Generation及び横形マシニングセンタNHX5500/6300 2nd Generationを新たに販売開始いたしました。いずれも機械性能の向上だけでなく、自動化に対応した仕様となっております。新たに販売される機械には、モニタリングやアイドリングストップ等の省エネ機能GREENmodeを標準搭載し、消費電力を大幅に削減することが可能となりました。さらに、2018年からは「MASTERシリーズ」の無償保証期間を2年から3年に延長いたします。当社グループでは、引き続きより多くのお客様に新しい技術を提案できるよう、より高機能で投資価値のある新製品を開発してまいります。
販売面におきましては、2月に独国フロンテン工場、5月に米国シカゴ、6月に伊賀、11月に独国ゼーバッハ工場、米国デービス工場、露国ウリヤノフスク工場にて自社展示会・ショールーム見学会を行い、医療業界や金型業界、航空宇宙産業をはじめとする多くのお客様からのご好評をいただきました。また、世界4大工作機械見本市である中国北京での「CIMT」、独国ハノーバーでの「EMO Hannover 2017」の他、名古屋で開催された「メカトロ テックジャパン(MECT)」に出展し、DMG MORIが実現するコネクテッドインダストリーズ(IoT,インダストリー4.0)を紹介するとともに、展示機の多くを周辺機器と組み合わせた自動化ソリューションとして展示し、豊富な加工事例やデモ加工を交えた実践的な技術ノウハウ等、お客様の生産性向上に貢献できるソリューションを多数ご提案いたしました。11月には、中国上海にテクノロジーセンタをグランドオープンし、約1,700㎡の敷地にショールーム、アカデミー、ターンキーエリア、スペアパーツ部門を整備し、中国をはじめ近隣諸国のお客様に最高の製品とソリューションを提供してまいります。
7月には、東京グローバルヘッドクォータ内に先端技術研究センターを開所し、機械学習のプログラミング、IoT、ネットワーク、クラウド等の知識を研究員に習得させ、次世代の新たな価値の創造を担う高度人材を育成してまいります。
当社グループでは、有給休暇の取得促進、コアタイム制の導入、残業ゼロに向けた意識改革、社内託児所の整備等に取り組んでおります。よく遊び、よく学び、よく働く、をモットーに今後も広い分野での社員の活躍を支援し、全社一体となって成長してまいります。
当社グループの工作機械関連の当期の受注金額は、4,483億円となり、前期比22%増となりました。10月以降に、需要好調を受けて当期の受注計画を従来の4,100億円から4,300億円以上に増額いたしましたが、結果はそれを大きく上回るものとなりました。周辺装置・テクノロジーサイクル等を含む機械本体の受注は前期比30%増となっております。受注台数の増加に加え、5軸加工機、複合加工機等の高付加価値・高機能機等の機種構成が上昇したことやソリューション提供により受注単価が向上したこと等も受注金額の増加につながりました。各市場とも需要環境は好調に推移し、国内は43%増、米州は22%増、欧州は25%増、中国を含むアジアは34%増となっております。半導体製造装置関連の需要が年間終始高水準で推移した他、年央以降ロボット、搬送装置等の自動化関連設備向けの需要が大きく伸張し、それに関連する一般機械部品企業、SMEs(Small Midium-sized Enterprises)向け需要増にも波及してまいりました。航空機、医療関連、自動車関連、建設機械関連需要も引き続き堅調に推移いたしました。エネルギー関連向けの需要のみ回復が遅れる結果となりましたが、原油価格等の商品市況は上昇に転じており、今後はエネルギー関連向け工作機械の需要も増加に転じるものと期待しております。当社グループの多機能・高生産性・高品質・提案力等の経営資源を強みにして、さらなる受注獲得を目指してまいります。
|
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
売上収益 |
(百万円) |
376,631 |
429,664 |
|
営業利益 |
(百万円) |
1,961 |
29,391 |
|
親会社の所有者に帰属する当期利益 又は損失(△) |
(百万円) |
△7,826 |
15,263 |
|
基本的1株当たり当期利益又は損失(△) |
(円) |
△67.80 |
116.44 |
セグメントの動向及び業績は以下のとおりです。なお、セグメント間の内部取引を含めております。
マシンツールでは、売上収益は443,207百万円(前期比14.1%増)となり、セグメント利益は31,407百万円(前期比169.1%増)となりました。
インダストリアル・サービスでは、売上収益は136,136百万円(前期比2.1%増)となり、セグメント利益は9,087百万円(前期比411.4%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フロー計算書
|
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
18,237 |
31,423 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
△10,008 |
△1,387 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
△18,376 |
△37,726 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
(百万円) |
△15,826 |
△2,777 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
(百万円) |
67,750 |
64,973 |
当連結会計年度における現金及び現金同等物は前期末に比べ2,777百万円減少し、当連結会計年度末は64,973百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、31,423百万円の収入(前期は18,237百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期利益24,803百万円、減価償却費及び償却費18,344百万円、金融収益及び金融費用4,649百万円、であり、主な減少要因は、営業債務及びその他の債務の減少9,872百万円、法人所得税の支払額9,703百万円であります。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、1,387百万円の支出(前期は10,008百万円の支出)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入8,001百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出5,895百万円、無形資産の取得による支出3,488百万円であります。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、37,726百万円の支出(前期は18,376百万円の支出)となりました。主な増加要因は、長期借入による収入65,372百万円、負債性金融商品の発行による収入14,838百万円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出87,489百万円、社債の償還による支出20,000百万円、自己株式の取得による支出5,251百万円であります。
(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の償却に関する事項)
日本基準ではのれん及び耐用年数を確定できない無形資産を一定期間で償却しておりますが、IFRSでは定期償却を実施しておりません。この影響により、当連結会計年度におけるIFRSの税引前当期利益は、日本基準の税金等調整前当期純利益に比べて4,546百万円増加しております。
(開発費の資産化に関する事項)
日本基準では社内開発費の全額を費用処理しておりますが、IFRSでは社内開発費のうち、一定の要件を満たした部分について資産計上しております。この影響により、当連結会計年度におけるIFRSの税引前当期利益は、日本基準の税金等調整前当期純利益に比べて338百万円増加しております。
(退職給付に係る調整累計額及び費用に関する事項)
[退職給付に係る調整累計額]
日本基準では退職給付に係る負債の純額(数理計算上の差異)の増減による資本の増減影響はその他の包括利益累計額に表示しておりますが、IFRSではその他の資本の構成要素に認識した上で利益剰余金に振り替えております。この影響により、当連結会計年度末におけるIFRSのその他の資本の構成要素及び利益剰余金は、日本基準のその他の資本の構成要素及び利益剰余金に比べてそれぞれ129百万円増加し、同額減少しております。
[退職給付に係る費用]
日本基準では退職給付に係る負債の純額(数理計算上の差異)について一定期間で償却しておりますが、IFRSでは定期償却を実施しておりません。この影響により、当連結会計年度におけるIFRSの税引前当期利益は、日本基準の税金等調整前当期純利益に比べて40百万円増加しております。
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2017年1月1日 至 2017年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
マシンツール(百万円) |
370,709 |
0.4 |
|
インダストリアル・サービス(百万円) |
12,665 |
11.7 |
|
合計(百万円) |
383,374 |
0.8 |
(注)1.上記金額は販売価格によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
|
|
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
受注実績 |
448,320 |
22.2 |
185,458 |
58.9 |
|
合計 |
448,320 |
22.2 |
185,458 |
58.9 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2017年1月1日 至 2017年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
マシンツール(百万円) |
312,073 |
16.5 |
|
インダストリアル・サービス(百万円) |
117,556 |
8.1 |
|
全社(百万円) |
34 |
28.7 |
|
合計(百万円) |
429,664 |
14.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社の経営方針は、工作機械メーカーとして「独創的で、精度良く、頑丈で、故障しない機械を最善のサービスとコストでお客様に供給すること」です。コネクテッド・インダストリー(IoT、インダストリー4.0)の高まりを背景に、マシニングセンタ、ターニングセンタ、複合加工機、5軸加工機、研削盤分野等の製品群とソフトウエア(ユーザーインタフェース、テクノロジーサイクル、組込ソフトウエア等)、計測装置、サービスサポート、アプリケーション、エンジニアリングを包括したトータルソリューションの提供を行い、全世界のお客様にとってなくてはならない企業を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
需要変化の激しい工作機械業界の事業環境や市場動向に迅速に対応し、工作機械業界におけるグローバルワンの地位を維持・継続するためには、利益率の向上、財務体質の強化、資本収益性の向上が最重要課題であると考えております。
2020年度の主な事業目標として、売上4,500億円、営業利益率10%、有利子負債残高500億円以下、ROE12%以上を掲げております。売上4,500億円は2018年度にも達成できる見込みで、今後は、2020年度までに収益体質及び財務体質の強化を図ることが重要と考えており、相応の受注・売上を確保したうえで、未達項目である営業利益率10%、有利子負債残高500億円以下の実現を優先いたします。
当社グループでは、顧客価値創造並びに企業価値のさらなる向上のために、たゆまぬ努力を継続してまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
今後は、自動車のEV(電気自動車)へのシフト、AI(人工知能)、高齢化等社会の変化への対応を迅速に進めてまいります。
自動車産業のEV化は、モーター、電池等の新たな部品需要や、素材変化等に伴う新たな加工方法の手段として製造設備の需要が増大するものと考えられます。AI化は、半導体需要を増大させ、製造装置にかかる超精密部品の加工設備が必要とされます。高齢化は、ハンドリング等の自動化等を含め設備環境の変化をもたらします。また、膝・股関節ソケット・骨ネジ、インプラント等医療部品加工の需要拡大につながります。これら産業構造の変化は、工作機械及びその周辺装置の需要拡大を支えるものと考えておりますが、従来の技術の延長上のみでは、素材、加工方法の変化には対応できず、イノベーティブな企業のみが存続し、かつ継続的な顧客価値向上を実現できる時代に入ったものと考えております。
当社とDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFT(以下、「AG社」)は、2016年のドミネーションアグリーメント発効による両社の経営資源を一体のものとして活用する、完全一体経営を進めております。最先端技術の強化、製品とITを融合した新しい顧客価値の創造、より速く、より経済的に、より知的な製品の提供、お客様に合わせた最適なサービスとソリューションの提供、進化し続けることを目指しております。
製品展開においては、コネクテッド・インダストリー(IoT、インダストリー4.0)に関するソリューション提供を充実させ、IT新技術を最大限に活用する事でお客様の生産性と利益の向上に貢献いたします。また、AG社との製品の共同開発により、従来のお客様への価値提案力を高めるとともに、新しいお客様の獲得を目指しております。当社は、既に5軸化、複合化に加え、レーザー加工機、超音波加工機、Additive Manufacturing等で先行しており、複雑なワーク、多様な素材への加工方法の提案を行っております。引き続きAG社と機種統合、部品の共通化を進める一方、アプリケーションを駆使したソリューション提供を強みに成長を図ると同時に、収益性改善に努めてまいります。
生産体制については、AG社の連結化により、日本・北米・欧州・中国の世界4極生産体制を構築し、需要地ニーズに即した迅速な対応、為替変動による収益への影響低減を図っております。機械の精度向上については、グループ内で製造しているスマートスケールの標準搭載対象機種を順次拡大し、差別化してまいります。また、主軸MASTERシリーズの無償保証期間を従来の2年から3年に延長し、サービス面でのお客様満足度を高めてまいります。今後も、需要地生産、納期短縮を含め、お客様によりよい製品とサービスを提供してまいります。
販売展開においては、顧客数、ソリューション、サービスの提供等の面で、業界における圧倒的な地位を確立しつつあります。また、マーケティング、直販に強みを持つAG社の営業系システムを活用し、効率的かつ効果的な営業活動を展開し、お客様との関係をより強固なものにしてまいります。
当社は、業界のリーディング・カンパニーとして、幅広いステークホルダーの期待に応えるべく、SDGs(Sustainable Development Goals)への取組みを強化しております。直近の課題として、外為法の規制にかかる輸出管理をより強化しております。産業育成においては、森記念製造技術研究財団を通じて研究助成、人材育成を進めております。当社では、「よく遊び、よく学び、よく働く」をモットーに、有給休暇の完全取得継続、年間総労働時間2,000時間以下の達成、2018年4月より開始する社内託児制度の充実、教育システムを拡充してまいります。
以上の経営方針のもと、顧客価値創造を実現し、事業規模、収益性、財務基盤において、継続的な企業価値向上に努めてまいります。
(4)対処すべき課題
①製品開発
これまで日本とドイツで蓄積してきた技術を最大限に活かすために、3DCADシステム、開発部品表や開発プロセス等開発環境の統一整備を行いながら、新機種の共同開発、基幹ユニットの共通化も推し進めてまいりました。ギルデマイスター社との協業がスタートした2009年の時点で両社合わせて300以上あった機種数も、2017年末時点では160まで集約することができました。また、日本とドイツで共同開発したspeedMASTER主軸は、従来比の3倍以上の信頼性を達成する等日本とドイツによる共同開発の効果が表れてきています。さらに近年においては、ロボットを使用した自動化システムや機械オペレータの作業を軽減するテクノロジーサイクル(組込ソフトウエア)の開発、アディティブマニュファクチャリング(積層加工法)やレーザ加工等の先端加工技術を使用した新しいもの造り、人工知能(AI)やIoTを駆使して機械の稼働率や加工能率を最大化するための開発を重要課題として取り組んでおります。
②品質
製品企画から販売、サービスに至るまで、製品を通じてお客様と関わるすべての活動を品質と捉え、全社員一丸となって日々品質向上に努めております。品質=お客様満足を合言葉に、機械本体、ソフトウエア、周辺装置等基本性能、機能、信頼性、操作性、省エネ等について最高品質のもの造りを目指しております。また、日本、欧州、アメリカ、中国、ロシアの各工場どこで造られた製品でも、お客様に同等かつ高品質であると感じていただけることを目標に、開発、生産、サービスや営業活動の各プロセスの統一も確実に行ってまいります。
③安全保障貿易管理
近年、世界の安全保障環境の不安定化が益々顕著になってきたことに伴い、大量破壊兵器の不拡散や通常兵器の過度の蓄積防止に対する国際的な関心が一段と高まっております。このような環境のなか、当社グループにおいては、輸出関連法規の遵守に関する内部規程(コンプライアンス・プログラム)を定め、厳正に適用しております。さらに、当社製品には、不正な輸出を防止する目的で、据付場所からの移設を検知すると稼働できなくする装置を搭載し、厳格な輸出管理を実践しております。安全保障貿易管理につきましては、重点課題として今後とも継続して取り組んでまいります。
④法令遵守
経営者自ら全従業員に対し法令及び企業倫理に基づいた企業活動の徹底を指示し、また、役員・従業員向けの各種教育研修を企画し、継続的に実施することで役員・従業員の意識の向上と浸透を図っております。グローバルな事業展開に対応し、日本国内のみならず各国においても、法令遵守のための体制の構築を図っております。また、従前より内部監査部が主管部署として、定期的に法令遵守活動のモニタリングを実施する体制を整備しており、引き続き、内部管理の強化に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 主要市場(日本、米州、欧州及び中国・アジア等)の状況
当社グループの地域別連結売上収益の構成比は、当連結会計年度において、日本15.3%、米州18.3%、欧州56.3%、中国・アジア10.1%となっております。当社グループが製品又はサービスを販売、提供するいずれかの地域において景気動向が悪化することで当該製品又はサービスに対する需要が低下した場合は、当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。
(2) 設備投資需要の急激な変動
工作機械産業は従来から景気の変動に左右されやすいと言われてまいりましたが、アジア並びにBRICs、中央 ヨーロッパ等の新興国の経済が拡大してきております。日本、米州、欧州各地域の工作機械市場も中長期的には安定的に成長してきておりますが、当社グループの業績は景気変動による設備投資の増減の影響を大きく受ける傾向にあり、何らかの要因で各地域で設備投資需要が落ち込んだ場合には、製品単価、販売数ともに急速かつ大幅に下落することがあり、当社グループの事業、業績及び財務状況は悪影響を受ける可能性があります。
(3) 市場競合の影響
工作機械業界は参入企業数が多く、低コストで製品を供給する海外の会社も加わり、当社グループはそれぞれの市場において厳しい競争にさらされており、当社グループにとって有利な価格決定を行うことが困難な状況になっております。当社グループとしては、技術力強化による差別化製品の開発、原材料等のコスト削減、営業力強化のための諸施策を推進しておりますが、将来的に市場シェアの維持及び拡大又は収益性の保持が困難となった場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 企業合併・買収及び資本・業務提携
当社グループは、企業の合併・買収や資本・業務提携を事業基盤の強化を図るための重要な戦略の一つと位置付けており、今後、かかる企業合併・買収や資本・業務提携の成否によっては、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2015年4月にAG社を連結対象会社としておりますが、AG社の事業、業績及び財務状況の動向は、当社グループに大きな影響を与える可能性があります。
(5) 米ドル、ユーロ等の対円為替相場の大幅な変動
当社グループの事業、業績及び財務状況は、為替相場の変動によって影響を受けます。為替変動は、当社グループの外貨建取引から発生する資産及び負債の日本円換算額に影響を与えます。また、為替変動は外貨建で取引されている製品・サービスの価格及び売上高にも影響を与えます。この影響を低減するため、日本、中国・アジアの円建取引、米州の米ドル建取引、欧州のユーロ建取引のバランスをとるように努めておりますが、それでもなお、為替相場の変動によって当社グループの事業、業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
(6) 天然資源、原材料費の大幅な変動
想定を大幅に超えた原材料価格の急激な高騰に見舞われた場合は、当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。原材料価格の高騰に対しては、仕入先への価格交渉等によるコストダウンの推進や製品価格への転嫁によってカバーする方針ですが、価格の高騰が続く場合や仕入先への価格交渉等が実現しない場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 安全保障貿易管理
当社グループが事業を展開する多くの国及び地域における規制又は法令の重要な変更は、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループのコア事業であります工作機械は各国の輸出関連法規上、規制貨物に分類されており、国際的な輸出管理の枠組みにより規制を受けております。国際情勢の変化により規制が強化されることとなれば、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 特定業種への依存
当社グループの販売は、自動車及びその関連業界に対する割合が相対的に高くなっております。したがって、当該業界における経営環境の変動が、今後の当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 取引先の信用リスク
当社グループとしても取引先の信用リスクについては細心の注意を払っておりますが、取引先の業績悪化等により取引額の大きい得意先の信用状況が悪化した場合、当該リスクの顕在化によって、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)財務制限条項
コミットメントライン契約等の一部借入金の契約には財務制限条項が付されております。今後、財務制限条項への抵触等があった場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)知的財産権
当社グループは、研究開発、新製品開発を通じて多くの新技術やノウハウを生み出しており、これらの貴重な技術・ノウハウを特許出願することにより、知的財産権の活用を図っております。しかし当社グループの知的財産権に対して第三者からの無効請求や、侵害差止請求等が提起された場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)訴訟に関するリスク
当社グループは、顧客の要求する機能・仕様を満足し、かつ安全性に配慮した適性品質の追求に努めており、グローバルベースで品質管理の徹底を図っております。しかしながら、当社グループの製品に重大な不具合が存在し、重大な事故やクレーム、リコール等の起因となった場合、多額の製品補償費用等が発生する可能性があります。
このほか、当社グループは、国内外において業務を展開しておりますが、こうした業務を行うにあたり、業務上発生する責任に基づく損害賠償請求訴訟等の提起を受ける可能性があります。
現時点では当社グループの業績に重大な影響を与えるような訴訟は提起されておりませんが、今後、重大な訴訟が提起され、当社グループに不利な判断が下された場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)自然災害等の影響
当社グループは、販売及びサービス拠点をグローバルに展開しているため、予測不可能な自然災害、コンピュータウィルスといった多くの事象によって引き起こされる災害によって影響を受ける可能性があります。
当社グループの製造拠点は、国内では三重県、奈良県、神奈川県及び新潟県にあり、海外ではアメリカ、中国、欧州各地等6ヵ国にあります。これらの製造拠点のいずれかが、地震・洪水等の天災の影響を受け、製品供給が不可能、あるいは遅延することとなった場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)環境問題
当社グループは、事業の遂行にあたり、様々な環境関連の法令及び規制の適用を受けています。当社グループは、これらの法規制に細心の注意を払いつつ事業を行っておりますが、現在行っている又は過去に行った事業活動に関し、環境に関する法的、社会的責任を負う可能性があります。また、将来、環境関連の法規制や環境問題に対する社会的な要求がより厳しくなることによって、法令遵守に係る追加コストが生じたり、事業活動が制限される可能性があります。したがって、今後の環境関連の法規制の動向によっては、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の連結対象会社であるDMG MORI GmbHとDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFTとの間でのドミネーション・アグリーメントが2016年8月24日に発効されました。
詳細については、「連結財務諸表注記 34.ドミネーション・アグリーメント」をご参照下さい。
2009年の協業開始より、これまで当社とDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFT(以下、「AG社」)で蓄積してきた技術や経験を最大限に活かした商品やサービスをご提供すべく、グループの力を結集して日々の研究開発活動を推進しております。
これまで、3D CADシステム、開発部品表や開発プロセス等開発環境の統一整備を行いながら、新機種の共同開発、基幹ユニットの共通化も推し進めてまいりました。AG社との協業がスタートした2009年の時点で両社合わせて300以上あった機種数も、重複機種や低利益率機種の整理を行い、2017年末時点では164まで集約することができております。また、日本とドイツで共同開発したspeedMASTER主軸は、従来比の3倍以上の信頼性を達成する等日本とドイツによる共同研究開発の効果が表れてきております。さらに近年においては、ロボットを使った自動化システムや機械オペレータの作業を軽減するテクノロジーサイクル(組込ソフト)の開発、Additive Manufacturing(積層加工法)やレーザ加工等の先端加工技術を使った新しいもの造り、人工知能(AI)やIoTを駆使して機械の稼働率や加工能率を最大化するための研究開発に重要課題として取組んでおります。
2017年度は、工程集約生産に応える高精度5軸制御マシニングセンタDMU 50 3rd Generationや複合加工機NTX2500、重切削性能と高精度を両立させた立形マシニングセンタNVX5000 2nd Generation等AG社と合わせて16の新機種発表を行いました。2018年度も、ターニングセンタ、マシニングセンタ、複合加工機、積層加工機(Additive Manufacturing、以下「AM機」)等13の新機種発表を予定しております。
AM機においては、昨年、積層効率が高いパウダーノズル方式に加え、ドイツのREALIZER GmbH社をグループ化し高精度なパウダーベッド方式のAM機もラインナップに追加しました。これにより100mm以下の小サイズから直径500mm程度のサイズの部品の積層加工が可能となります。2018年度は直径1m以上の積層可能なAM機の開発を行い医療や航空宇宙関連部品での積層加工需要に応えてまいります。
年々要求が高まっている自動化システムについては、既に開発されているパレット搬送システムLPP、RPP等に加えて、ロボットモジュールシステムMATRIS(マトリス)を開発しました。モジュール設計により、お客様の個別要求に対して従来の30%以下の期間で対応が可能となります。2020年までに自動化案件での受注を現在の10%から30%に押し上げる計画であります。
また、お客様がお困りの煩雑で手間と時間がかかる段取り等の作業を一手に引き受け、お客様に一括でソリュー ションをご提案する「テクノロジーサイクル」の開発に注力しております。「テクノロジーサイクル」を用いることによって、これまで専用機や専用プログラム、特殊な工具で行っていた加工・段取り・計測を汎用的な工作機械や標準的な工具・治具等で、誰もが簡単かつ短時間で素早い立上げと高い加工品質を実現することができます。
2017年度は、ギヤ加工のプログラム作成や加工時間を1/3以下に短縮可能な“ギヤスカイビング”や“ギヤホビング”、センシング技術により機械の加工状況や稼動状況を可視化しAI(人工知能)等を駆使して最適な切削条件に誘導する“MVC”、機械稼働率を最大限に高める機械異常検知機能“MPC”や予知保全、“稼動状況モニタ”等オペレータの作業を軽減するテクノロジーサイクル等合計で7個のテクノロジーサイクルを昨年リリースしました。2018年度も3Dクイックセット等新たに4種類の機能を開発し合計で30以上のテクノロジーサイクルラインナップとなる計画であります。
IoTに関しては、さらにお客様工場内の設備や当社クラウドをネットで繋ぎ、工場内設備の一元管理や最適稼動に導くDMG MORI“ADAMOS”を昨秋ドイツで行われた国際工作機械展示会EMOで発表しております。一部のお客様での試験運用や効果の実証を終えて、2018年度は本格的に販売を開始いたします。
また、工作機械トップメーカーを維持するために、精度、切削能率、信頼性(耐久性)、省エネ性等について、簡単には他社が真似できない基本技術を追求することも重要な研究開発課題だと考えております。たとえば3年前にAG社と当社でこれまでの両社の技術を結集して共同開発したマシニングセンタ用主軸speedMASTERは、回転振れ精度やトルク性能をワンランク押し上げ、DMG MORI製のマシニングセンタの競争力向上に貢献しています。さらに従来比3倍の耐久性があることも実証され、2018年から業界先駆けてスタートした主軸3年保証のきっかけともなりました。
その他、マグネスケール社の分解能10ナノメータのスマートスケール標準採用、空間精度10μm/mのμプレジ ジョン仕様、従来比40%消費電力を低減するGREENmode、熱変位抑制機能、圧倒的な操作性と機能を備えた操作盤CELOS等の開発も計画しております。
このようにDMG MORIグループ全体が一丸となって研究開発を進めております。これらの活動を推進することによって、お客様に最大の価値をご提供し、お客様の発展、ひいては全世界の製造業の発展に寄与していきたいと考えております。
以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は10,681百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール9,814百万円、インダストリアル・サービス866百万円となっております。
当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
①売上収益
当連結会計年度における売上収益は、429,664百万円(前期比14.1%増)となりました。セグメント別の売上構成比は、マシンツール72.6%、インダストリアル・サービス27.4%、地域別の売上構成比は、日本15.3%、ドイツ23.3%、米州18.3%、その他欧州33.0%、中国・アジア10.1%となっております。
②費用
当連結会計年度における費用は、412,301百万円(前期比7.4%増)となりました。原材料費及び消耗品費189,000百万円(前期比14.1%増)、人件費120,728百万円(前期比5.8%増)、減価償却費及び償却費18,344百万円(前期比3.7%増)等を計上しております。
③営業損益
当連結会計年度における営業損益は、29,391百万円(前期比1,398%増)の営業利益となりました。セグメント別の利益は、マシンツールは31,407百万円(前期比169.1%増)のセグメント利益、インダストリアル・サービスは9,087百万円(前期比411.4%増)のセグメント利益をそれぞれ計上しております。
④当期損益
当連結会計年度における税引前当期利益は、24,803百万円(前期は1,064百万円の税引前当期損失)を計上しております。
また、税効果会計適用後の法人所得税は9,127百万円となり、前期の4,684百万円から4,443百万円の増加となっております。
この結果、当期利益は15,676百万円(前期は5,749百万円の当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益は15,263百万円(前期は7,826百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
現在の経済環境は、各業界において堅調な工作機械需要が発生しており2018年もこの需要が続くと考えておりますが、年明けより円高基調が進んでいることによる産業全体への影響を注視していく必要があります。DMG MORIグループはAG社との統合にともない豊かにした経営リソースを活用しさらなる受注拡大に取り組みます。こうした世界各地域における設備投資動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与えるものと考えております。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本の財源及び資金の流動性についての分析については「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。