第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社の経営方針は、工作機械メーカーとして「独創的で、精度良く、頑丈で、故障しない機械を最善のサービスとコストでお客様に供給すること」です。コネクテッド・インダストリーズ(IoT、インダストリー4.0)の高まりを背景に、工作機械(マシニングセンタ、ターニングセンタ、複合加工機、5軸加工機及びその他の製品)、ソフトウエア(ユーザーインタフェース、テクノロジーサイクル、組込ソフトウエア等)、計測装置、サービスサポート、アプリケーション、エンジニアリングを包括したトータルソリューションの提供を行い、全世界のお客様にとってなくてはならない企業を目指しております。

 

(2) 経営戦略及び経営環境

2019年の全世界における工作機械の需要は前年比約10%減を見込んでおりますが、当社は、自動化、5軸化・複合化、ソフトウエア、先端技術を今後の事業テーマとするとともに、2019年よりカンパニー制を導入する事により利益と業務の厳格な管理と経営者育成を進めてまいります。

自動化につきましては、自動化システムの受注に占める比率が年々増加しており、2019年は約30%になるものと見込んでおります。自動化システムを構成する各機器をモジュール化、規格等を統一し導入時のリードタイム短縮や短期間でのレイアウト変更を可能とするプログラミング不要のロボットシステム「MATRIS」を開発する等の対応を行っております。

5軸化・複合化につきましては、複雑形状の加工を可能とする5軸加工機・複合加工機の受注が50%超を占めるまでとなりましたが、国内における更なる普及を目的としてDMG MORI 5軸加工研究会を発足させ、お客様への機械貸出やプライベートレッスン実施によるオペレーター養成を行っております。

ソフトウエアにつきましては、当社開発のオペレーションシステムCELOSを通じて、アプリケーションによるお客様の利便性向上を図り、スマートファクトリーを進めてまいります。

先端技術につきましては、アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)や超音波等の技術の用途拡大を進めてまいります。

当社は、業界のリーディング・カンパニーとして、幅広いステークホルダーの期待に応えるべく、SDGs(Sustainable Development Goals)への取り組みを強化しております。環境面においては、省エネ技術(GREENmode)によるエネルギー消費量抑制や製造現場の排出量モニタリングによるCO2排出の抑制、リスク管理体制面で厳格な輸出管理手続に基づいた製品の平和利用を担保することによる大量破壊兵器製造防止、人材の活用と育成面で、事業所内での保育園開園等、働きやすい環境の整備や従業員国籍の多様性、12時間イン ターバル制の導入や有給休暇の完全取得を目指すことでメリハリをつけた働き方で生産性の向上を目指しております。この他、DMG森精機奨学基金への拠出、大学、高等専門学校への助成、学術関連団体との提携による研究開発等の社会貢献を行っております。

以上のように、顧客価値創造を実現し、事業規模、収益性、財務基盤において、継続的な企業価値向上に務めてまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

需要変化の激しい工作機械業界の事業環境や市場動向に迅速に対応し、工作機械業界におけるグローバルワンの地位を維持・継続するためには、利益率の向上、財務体質の強化、資本収益性の向上が最重要課題であると考えております。

2019年度受注はほぼ前年並みと計画しており、台数ベースでは10%減を見込んでおりますが、自動化等の需要が増加し付加価値向上により単価で10%増を見込んでおり、金額ベースでは前年並みを確保できるものと考えております。地域的には、米中貿易摩擦の影響から中国での受注をやや慎重に見ておりますが、その他の地域はほぼ前年並みを計画しております。

2019年度は、売上収益5,000億円、営業利益360億円、純有利子負債650億円以下、フリーキャッシュフロー300億円以上を目指しております。

2020年度の主な事業目標として掲げたうち未達項目の営業利益率10%以上、純有利子負債500億円以下を達成する為に、収益力及び財務体質の強化を図ることが重要であると考えております。

当社グループでは、顧客価値創造並びに企業価値のさらなる向上のために、たゆまぬ努力を継続してまいります。

 

 

(4) 対処すべき課題

①製品開発

生産技術者、加工エンジニアの不足、電動化、高齢化、IoTのトレンドにより自動化要求は中品種中量、多品種少量生産に及んでおります。複雑形状部品の生産、複数部品の集約化が進み5軸加工機や複合加工機、アディティブ・マニュファクチャリング機を含めた自動化システムの要求が増しております。これらをサポートするためには、ワーク取り付け、取り外しを自動化するとともに加工監視、切り屑の効率的な処理、毎朝の点検等の業務を機械がオペレータに代わって対応することが求められております。

当社ではこのような要求に素早く対応するために、これまでは新機種開発、新機能開発、顧客対応、品質改善のすべてを機種別組織で進めてまいりましたが、2019年より大きな組織変更を行い要素技術別の組織を発足させました。具体的には板金設計、切り屑クーラント関連開発、レーザ光学系開発、主軸・ATC・刃物台等のコアユニット、解析技術、モーター技術、センシング技術、計測技術、コネクティビティー、ポストプロセッサー、自動化システム等の開発組織を編成し、機種グループを横断する革新的な要素技術開発に取り組む所存です。

これまで進めてきた機種統合と日独共同の新機種開発により、機種数は2009年に300機種以上あったものを2018年末時点で152機種まで集約することができました。今後も集約を進め、日独で蓄積した技術を最大に活用する開発環境を整備してまいります。また、シェービング、メジャーリング、ハンドリング、モニタリングに分類されるテクノロジーサイクルの開発を進め、ソフトウエアの売上に貢献してまいります。

②品質

「独創的で、精度良く、頑丈で、故障しない機械を最善のサービスとコストでお客様に供給することを通して、ターニングセンタ、マシニングセンタ、複合加工機、研削盤で、グローバルワンを目指す」を基本方針として、品質=お客様満足を合言葉に、全社一丸となって製品やサービスの品質向上に努めております。最近では、5軸化、複合化、自動化、IoT、レーザ加工やアディティブ・マニュファクチャリング等の最先端加工法の活用等をお客様ニーズといち早くとらえ、これらのお客様の期待に応える工作機械や周辺装置、アプリケーションソフトウエアの提供に注力しております。また、お客様満足活動をはじめとするCS活動を通じて得たお客様の声を真摯に受け止め、製品やサービスの徹底的な改善改良を計画するとともに、ご意見への対応を確実に行うことにより、お客様の信頼を獲得することを行動の基本としております。

③安全保障貿易管理

近年、世界の安全保障環境の不安定化が益々顕著になってきたことに伴い、大量破壊兵器の不拡散や通常兵器の過度の蓄積防止に対する国際的な関心が一段と高まっております。このような環境の中、当社グループにおいては、輸出関連法規の遵守に関する内部規程(コンプライアンス・プログラム)を定め、厳正に適用しております。さらに、当社製品には、不正な輸出を防止する目的で、据付場所からの移設を検知すると稼働できなくする装置を搭載し、厳格な輸出管理を実践しております。安全保障貿易管理につきましては、重点課題として今後とも継続して取り組んでまいります。

④法令遵守

経営者自ら全従業員に対し法令及び企業倫理に基づいた企業活動の徹底を指示し、また、役員・従業員向けの各種教育研修を企画し、継続的に実施することで役員・従業員の意識の向上と浸透を図っております。グローバルな事業展開に対応し、日本国内のみならず各国においても、法令遵守のための体制の構築を図っております。また、従前より内部監査部が主管部署として、定期的に法令遵守活動のモニタリングを実施する体制を整備しており、引き続き、内部管理の強化に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 主要市場(日本、米州、欧州及び中国・アジア等)の状況

当社グループの地域別連結売上収益の構成比は、当連結会計年度において、日本16.0%、米州17.0%、欧州54.2%、中国・アジア12.8%となっております。当社グループが製品又はサービスを販売、提供するいずれかの地域において景気動向が悪化することで当該製品又はサービスに対する需要が低下した場合は、当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。

 

(2) 設備投資需要の急激な変動

工作機械産業は従来から景気の変動に左右されやすいと言われてまいりましたが、アジア並びにBRICs、中央 ヨーロッパ等の新興国の経済が拡大してきております。日本、米州、欧州各地域の工作機械市場も中長期的には安定的に成長してきておりますが、当社グループの業績は景気変動による設備投資の増減の影響を大きく受ける傾向にあり、何らかの要因で各地域で設備投資需要が落ち込んだ場合には、製品単価、販売数ともに急速かつ大幅に下落することがあり、当社グループの事業、業績及び財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

 

(3) 市場競合の影響

工作機械業界は参入企業数が多く、低コストで製品を供給する海外の会社も加わり、当社グループはそれぞれの市場において厳しい競争にさらされており、当社グループにとって有利な価格決定を行うことが困難な状況になっております。当社グループとしては、技術力強化による差別化製品の開発、原材料等のコスト削減、営業力強化のための諸施策を推進しておりますが、将来的に市場シェアの維持及び拡大又は収益性の保持が困難となった場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 企業合併・買収及び資本・業務提携

当社グループは、企業の合併・買収や資本・業務提携を事業基盤の強化を図るための重要な戦略の一つと位置付けており、今後、かかる企業合併・買収や資本・業務提携の成否によっては、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2015年4月にAG社を連結対象会社としておりますが、AG社の事業、業績及び財務状況の動向は、当社グループに大きな影響を与える可能性があります。

 

(5) 米ドル、ユーロ等の対円為替相場の大幅な変動

当社グループの事業、業績及び財務状況は、為替相場の変動によって影響を受けます。為替変動は、当社グループの外貨建取引から発生する資産及び負債の日本円換算額に影響を与えます。また、為替変動は外貨建で取引されている製品・サービスの価格及び売上高にも影響を与えます。この影響を低減するため、日本、中国・アジアの円建取引、米州の米ドル建取引、欧州のユーロ建取引のバランスをとるように努めておりますが、それでもなお、為替相場の変動によって当社グループの事業、業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。

 

(6) 天然資源、原材料費の大幅な変動

想定を大幅に超えた原材料価格の急激な高騰に見舞われた場合は、当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。原材料価格の高騰に対しては、仕入先への価格交渉等によるコストダウンの推進や製品価格への転嫁によってカバーする方針ですが、価格の高騰が続く場合や仕入先への価格交渉等が実現しない場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 安全保障貿易管理

当社グループが事業を展開する多くの国及び地域における規制又は法令の重要な変更は、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループのコア事業であります工作機械は各国の輸出関連法規上、規制貨物に分類されており、国際的な輸出管理の枠組みにより規制を受けております。国際情勢の変化により規制が強化されることとなれば、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 特定業種への依存

当社グループの販売は、自動車及びその関連業界に対する割合が相対的に高くなっております。したがって、当該業界における経営環境の変動が、今後の当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 取引先の信用リスク

当社グループとしても取引先の信用リスクについては細心の注意を払っておりますが、取引先の業績悪化等により取引額の大きい得意先の信用状況が悪化した場合、当該リスクの顕在化によって、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)財務制限条項

コミットメントライン契約等の一部借入金の契約には財務制限条項が付されております。今後、財務制限条項への抵触等があった場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)知的財産権

当社グループは、研究開発、新製品開発を通じて多くの新技術やノウハウを生み出しており、これらの貴重な技術・ノウハウを特許出願することにより、知的財産権の活用を図っております。しかし当社グループの知的財産権に対して第三者からの無効請求や、侵害差止請求等が提起された場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)訴訟に関するリスク

当社グループは、顧客の要求する機能・仕様を満足し、かつ安全性に配慮した適性品質の追求に努めており、グローバルベースで品質管理の徹底を図っております。しかしながら、当社グループの製品に重大な不具合が存在し、重大な事故やクレーム、リコール等の起因となった場合、多額の製品補償費用等が発生する可能性があります。

このほか、当社グループは、国内外において業務を展開しておりますが、こうした業務を行うにあたり、業務上発生する責任に基づく損害賠償請求訴訟等の提起を受ける可能性があります。

現時点では当社グループの業績に重大な影響を与えるような訴訟は提起されておりませんが、今後、重大な訴訟が提起され、当社グループに不利な判断が下された場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)自然災害等の影響

当社グループは、販売及びサービス拠点をグローバルに展開しているため、予測不可能な自然災害、コンピュータウィルスといった多くの事象によって引き起こされる災害によって影響を受ける可能性があります。

当社グループの製造拠点は、国内では三重県、奈良県、神奈川県及び新潟県にあり、海外ではアメリカ、中国、欧州各地等6ヵ国にあります。これらの製造拠点のいずれかが、地震・洪水等の天災の影響を受け、製品供給が不可能、あるいは遅延することとなった場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)環境問題

当社グループは、事業の遂行にあたり、様々な環境関連の法令及び規制の適用を受けております。当社グループは、これらの法規制に細心の注意を払いつつ事業を行っておりますが、現在行っている又は過去に行った事業活動に関し、環境に関する法的、社会的責任を負う可能性があります。また、将来、環境関連の法規制や環境問題に対する社会的な要求がより厳しくなることによって、法令遵守に係る追加コストが生じたり、事業活動が制限される可能性があります。したがって、今後の環境関連の法規制の動向によっては、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度(当期)における業績は、売上収益が501,248百万円(3,843,927千EUR)(前期比16.7%増)、営業利益が36,261百万円(278,077千EUR)(前期比23.4%増)、税引前当期利益が31,275百万円(239,840千EUR)(前期比26.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益が18,517百万円(142,002千EUR)(前期比21.3%増)となりました。

当社グループでは、事業戦略として製造現場での自動化・複合化の促進と5軸加工機の普及、統合的なデジタル化によるインダストリー4.0の実現に取り組んでおります。さらに、アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)の発展やDMQP(DMG森精機認定周辺機器)パートナーとの連携を通じ、すべてのお客様に最適なソリューションを提供してまいります。創業70周年記念事業の一環として「DMG MORI 5軸加工研究会」を発足し、お客様や奈良県・三重県の教育機関等に5軸加工機を貸し出し、操作技能の習得支援と加工方法の共同開発を行っております。6月に東京デジタルイノベーションセンタを開所し、株式会社野村総合研究所と共同設立したテクニウム株式会社をはじめとするグループ会社・研究所を集結させ、各社の最先端技術が相乗効果を生み、製造業のデジタル化に貢献することを目指しております。10月にグループ会社の先駆的なデジタルソリューションを活用し、受注管理、サプライチェーン、お客様情報の管理に始まり工具管理、人員配置計画に至るまで、個別のITシステムを相互に接続し生産計画やモニタリングの自動化を実現したモデル工場として、ポーランドFAMOT工場をグランドオープンさせました。さらに、クーラントタンク内の微細なスラッジを回収するゼロスラッジクーラントタンクをはじめとする最先端の技術で、自動化やデジタル化の進んだ製造現場における高性能かつ低メンテナンスの機械への要求にお応えしてまいりました。当社グループは、あらゆるお客様の生産活動の課題解決を一手に引き受け、激しく変革する社会の中で重要な役割を果たし続けてまいります。

技術面では、MASTERシリーズ搭載による圧倒的な切削能力の複合加工機NTX 2000/2500/3000 2nd Generation、高い剛性と精度が求められる量産部品加工に最適な横形マシニングセンタNHX 4000/5000 3rd Generation、省スペースでありながら高い生産性と高い汎用性を実現したターニングセンタALXシリーズ、自社製主軸SpeedMASTER搭載により高速かつ高精度な加工を実現した大型5軸加工機DMU 200 Gantry及びDMU 340 Gantry、自動化システムの構成機器をモジュール化し、規格や制御プログラムを統一することで導入時のリードタイムの大幅な短縮や短期間でのレイアウト変更を可能にしたロボットシステム「MATRIS」等を開発し、販売を開始いたしました。引き続き、より高性能で信頼性が高く投資価値の高い製品を開発し、お客様のニーズにお応えしてまいります。

販売面におきましては、1月に独国フロンテン工場、5月に米国シカゴ、伊国ベルガモ工場と伊賀事業所、11月に独国ゼーバッハ工場、東京グローバルヘッドクォータにおいてオープンハウス、イノベーションデーといった展示会を行い、また、世界4大工作機械見本市である米国シカゴでのIMTS2018、東京でのJIMTOF2018をはじめ、世界各地で行われた展示会に出展いたしました。これらの展示会においては、最新鋭の機械やDMQPに認定された周辺機器を展示するとともに、自動化、アディティブ・マニュファクチャリング、金型・医療業界におけるテクノロジーエクセレンス等の主要テーマに加えて、デジタル化を最重要テーマと位置づけ、生産計画の立案や段取り、生産、監視、サービスまで徹底したデジタル化をご紹介いたしました。

当社では、「よく遊び、よく学び、よく働く」をモットーに、社員が安心して力を発揮できる健康的な環境の整備を進めております。メリハリをつけた働き方により有給休暇の完全取得を目指すことに加え、12月からは一日の勤務時間を12時間以内とした上で、退勤から次の出勤までを12時間以上空ける「12時間インターバル制」を導入いたしました。仕事と子育てを両立しながら安心して働き続けられる環境整備の一環として、4月から伊賀事業所、奈良事業所、名古屋本社、東京グローバルヘッドクォータに「DMG MORI保育園」を開園し、英語やサイエンス、芸術、食育を取り入れた日本で最高水準の教育を社員の子女に提供することを目指しております。また、当社は、「DMG MORI SAILING TEAM」を発足させ、日本における外洋ヨットレースの第一人者である海洋冒険家の白石康次郎氏を迎え入れて、単独・無寄港・無補給の世界一周レース「Vendée Globe2020」に挑戦いたします。長年トップクラスのモータースポーツにおいてテクニカルパートナーを務めてきた経験を活かし、あらゆる自然環境に耐えうる剛性、精度を追求した最先端の船舶の提供を通して、製造業の発展に貢献してまいります。

当社グループの工作機械関連の当期の受注額は、前期比11%増の4,970億円となりました。ただ、上半期の受注は前期比23%増と好調に推移したものの、下半期の受注は高水準を確保するもほぼ前年並みに留まりました。CELOS、テクノロジーサイクル、周辺装置を含む自動化需要が伸長し受注総額に占める自動化案件の比率は24%(前年度17%)まで向上いたしました。また、5軸加工機、複合加工機の他、超音波及びアディティブ・マニュファクチャリング等の先端技術の受注も伸長しております。

 

地域別には、日本が前期比24%増と最も高い伸びとなり、次いで米州が13%増、欧州、中国がそれぞれ7%増、インドを含むアジアが4%増と各地域とも増加しております。日本、米州、欧州は、年度を通じて高水準の受注を確保することができましたが、中国市場については、業界がスマートフォンの筐体加工関連の需要減の影響を受ける中、当社グループはその関連事業が一切なく、第3四半期まではトラック、バス等の輸送機器、エネルギー関連、一般機械向けに受注増を享受できました。しかし、第4四半期に入り米中貿易摩擦の影響を避けられず、需要減に加え、お客様の外貨調達難から当社の受注計上要件となる前受金の受領が遅れる傾向が生じ、受注は大幅な減少が続いております。当期の地域別受注構成比率は、日本が18%、米州が18%、欧州が50%、中国が8%、インドを含むアジアが6%となりました。

日本工作機械工業会が2019年度受注を当期比約12%減と予想する等、高水準の中での調整局面を迎える見込みの環境下において、当社グループは今まで進めてきた5軸加工機、複合加工機等の工程集約型機械、自動化システムの需要増、超音波加工機、アディティブ・マニュファクチャリング等の先端加工技術の用途拡大に手応えを感じており、引き続き受注の拡大に尽力してまいります。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上収益

(百万円)

429,664

501,248

営業利益

(百万円)

29,391

36,261

親会社の所有者に帰属する当期利益

(百万円)

15,263

18,517

基本的1株当たり当期利益

(円)

116.44

144.09

セグメントの動向及び業績は以下のとおりであります。なお、セグメント間の内部取引を含めております。

マシンツールセグメントでは、自動車、航空機、医療、機械関連向けの業績が好調に推移いたしました。その結果、売上収益は568,183百万円(前期比28.2%増)となり、セグメント利益は40,163百万円(前期比27.9%増)となりました。

インダストリアル・サービスセグメントでは、パーツ販売、サービスの業績が堅調に推移いたしました。その結果、売上収益は145,844百万円(前期比7.1%増)となり、セグメント利益は12,938百万円(前期比42.4%増)となりました。

②資産、負債、及び資本合計の状況

(ⅰ)資産

流動資産は、主として現金及び現金同等物が37,605百万円減少した一方で、営業債権及びその他の債権が8,700百万円増加したことにより、244,029百万円(前期比23,950百万円の減少)となりました。

非流動資産は、主として有形固定資産が5,296百万円、のれんが4,493百万円、その他の無形資産が3,916百万円減少したことにより、284,393百万円(前期比15,037百万円の減少)となりました。

この結果、資産合計は528,423百万円(前期比38,987百万円の減少)となりました。

(ⅱ)負債

流動負債は、主としてその他の金融負債が92,124百万円、契約負債が61,695百万円、社債及び借入金が32,072百万円それぞれ増加した一方で、前受金が45,696百万円減少したことにより、314,537百万円(前期比154,579百万円の増加)となりました。

非流動負債は、主としてその他の金融負債が101,749百万円、社債及び借入金が94,417百万円それぞれ減少したことにより、99,718百万円(前期比197,714百万円の減少)となりました。

この結果、負債合計は414,256百万円(前期比43,135百万円の減少)となりました。

(ⅲ)資本合計

資本合計は、主として利益剰余金が11,271百万円増加した一方で、その他の資本の構成要素が8,930百万円減少したことにより、114,166百万円(前期比4,147百万円の増加)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

31,423

49,398

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△1,387

△19,020

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△37,726

△65,433

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

(百万円)

△2,777

△37,605

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

64,973

27,368

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前期末に比べ37,605百万円減少し、当連結会計年度末は27,368百万円となりました。

(ⅰ)営業活動によるキャッシュ・フロー

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、49,398百万円の収入(前期は31,423百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期利益31,275百万円、減価償却費及び償却費18,499百万円、営業債務及びその他の債務の増加10,517百万円、契約負債の増加18,828百万円、引当金の増加5,873百万円であり、主な減少要因は、その他非資金損益3,751百万円、棚卸資産の増加12,958百万円、営業債権及びその他の債権の増加11,782百万円、利息の支払額5,002百万円、法人所得税の支払額7,269百万円であります。

(ⅱ)投資活動によるキャッシュ・フロー

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、19,020百万円の支出(前期は1,387百万円の支出)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出13,732百万円、無形資産の取得による支出5,545百万円であります。

(ⅲ)財務活動によるキャッシュ・フロー

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、65,433百万円の支出(前期は37,726百万円の支出)となりました。主な増加要因は、短期借入金の純増額12,240百万円、長期借入れによる収入4,885百万円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出75,404百万円、配当金の支払額6,044百万円であります。

④生産、受注及び販売の状況

(ⅰ)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年1月1日

  至 2018年12月31日)

前年同期比(%)

マシンツール(百万円)

457,811

23.5

インダストリアル・サービス(百万円)

15,145

19.6

合計(百万円)

472,956

23.4

(注)1.上記金額は販売価格によっております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(ⅱ)受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

 

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注実績

496,947

10.8

221,461

19.4

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(ⅲ)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年1月1日

  至 2018年12月31日)

前年同期比(%)

マシンツール(百万円)

373,348

19.6

インダストリアル・サービス(百万円)

127,875

8.8

全社(百万円)

24

△26.9

合計(百万円)

501,248

16.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計方針及び見積り

連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。

②経営成績の分析

経営成績の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

③資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、主に工作機械の製造及び販売事業を行うため、事業活動における資金需要に基づき、必要な資金の一部を新株発行、社債発行、銀行からの借入金及び売掛債権流動化により調達しております。なお、効率的な資金調達を行うため、主要取引金融機関と総額32,000百万円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。当期末における当該借入残高は、13,800百万円であります。

当期末における有利子負債の残高は、117,015百万円となっております。

 

(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

(ⅰ)のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の償却に関する事項

日本基準ではのれん及び耐用年数を確定できない無形資産を一定期間で償却しておりますが、IFRSでは定期償却を実施しておりません。この影響により、当連結会計年度におけるIFRSの税引前当期利益は、日本基準の税金等調整前当期純利益に比べて4,618百万円増加しております。

(ⅱ)開発費の資産化に関する事項

日本基準では社内開発費の全額を費用処理しておりますが、IFRSでは社内開発費のうち、一定の要件を満たした部分について資産計上しております。この影響により、当連結会計年度におけるIFRSの税引前当期利益は、日本基準の税金等調整前当期純利益に比べて568百万円減少しております。

(ⅲ)退職給付に係る調整累計額及び費用に関する事項

(a) 退職給付に係る調整累計額

日本基準では退職給付に係る負債の純額(数理計算上の差異)の増減による資本の増減影響はその他の包括利益累計額に表示しておりますが、IFRSではその他の資本の構成要素に認識した上で利益剰余金に振り替えております。この影響により、当連結会計年度末におけるIFRSのその他の資本の構成要素及び利益剰余金は、日本基準のその他の資本の構成要素及び利益剰余金に比べてそれぞれ426百万円減少し、同額増加しております。

(b) 退職給付に係る費用

日本基準では退職給付に係る負債の純額(数理計算上の差異)について一定期間で償却しておりますが、IFRSでは定期償却を実施しておりません。この影響により、当連結会計年度におけるIFRSの税引前当期利益は、日本基準の税金等調整前当期純利益に比べて25百万円増加しております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社の連結対象会社であるDMG MORI GmbHとDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFTとの間でのドミネーション・アグリーメントが2016年8月24日に発効されました。

 詳細については、「連結財務諸表注記 34.ドミネーション・アグリーメント」をご参照下さい。

 

 

5【研究開発活動】

2009年の協業開始より、これまで当社とDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFT(以下、「AG社」)で蓄積してきた技術や経験を最大限に活かした商品やサービスをご提供すべく、グループの力を結集して日々の研究開発活動を推進しております。

これまで、3D CADシステム、開発部品表や開発プロセス等開発環境の統一整備を行いながら、新機種の共同開発、基幹ユニットの共通化も推し進めてまいりました。AG社との協業がスタートした2009年の時点で両社合わせて300以上あった機種数も、重複機種や低利益率機種の整理を行い、2018年末時点では152まで集約することができております。今後も集約を進め、日独で蓄積した技術を最大に活用する開発環境を整備してまいります。さらに近年においては、ロボットを使った自動化システムや機械オペレータの作業を軽減するテクノロジーサイクル(組込ソフト)の開発、アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)やレーザ加工等の先端加工技術を使った新しいもの造り、人工知能(AI)やIoTを駆使して機械の稼働率や加工能率を最大化するための研究開発に重要課題として取組んでおります。

2018年度は、最高レベルの高速性と高精度を両立させた横形マシニングセンタの決定版NHX4000/5000 3rd Generationや、36種類のワイドバリエーション、省スペース設計で自動化のベースマシンとして最適なALXシリーズ、圧倒的な切削能力と高精度を実現した大型ターニングセンタNLX6000/1000等、AG社と合わせて10の新機種発表を行いました。2019年度はターニングセンタ、マシニングセンタ、積層造形機(アディティブ・マニュファクチャリング、以下「AM機」)等5機種の新機種発表を予定しております。

近年熟練加工技術者の不足から自動化の要求が高まっております。当社では2017年に生産した工作機械の17%であった自動化率が、2018年には24%、2019年には30%と飛躍的に増大する見込みであり、そのなかでもフレキシブルに対応できるロボットを用いた自動化システムの増加が顕著になっております。これまで主として自動車部品などの量産部品を自動化の対象としておりましたが、中品種中量生産や多品種少量生産の複雑なワークに対しても自動化要求が発生しており、これからは5軸加工機や複合加工機を中心とした工程集約と自動化の組み合わせが重要になってくると考えられます。当社ではワークの取り付け・取り外し作業からオペレータを開放し、人間はより高度なプログラミングや加工技術の開発等に専念できるよう自動化システムの開発に注力しております。具体的にはロボットを用いたモジュール型システムのMATRISに続き、より容易に導入可能なMATRIS-mini、設置面積を最小限におさえた自動搬送システムD-CARRY等の新しいロボットの利用や、軌道が不要な自動走行AGVと協調ロボットのシステム等であります。

自動化システムでは24時間365日のシステム稼働を目指し、また特に夜間や休日等は無人で運転することが求められるため、工作機械とシステムに組み込まれる周辺装置の品質が非常に重要となります。また、オペレータに依存していた切屑の清掃等の保守、加工状況の監視、加工精度の管理、工具状態の監視と摩耗や折損した工具の交換等をシステムが監視する必要があります。これらの要求に対処するために自動化をサポートする技術の開発に注力しております。現在開発中の技術として、周囲温度変化だけではなく加工状況に応じて熱変形をAIで推定し熱変位補正を行う機能、加工中のビビリ振動を検出しその発生を軽減する機能、切屑の堆積を画像で検出し自動的に洗い流す機能、機上で3次元測定器のように加工精度を測定する機能、工具の摩耗や折損を加工中や工具交換時に検出し予備工具と交換する機能等であります。IoT、センシング、AIの技術が用いられることによって、このような機能を実現いたします。

AM機においては、パウダーベッド方式の製品で生産性、安全性、操作性、メンテナンス性等に関するお客様の声を反映し、全面的に改良したLASERTEC 30 SLM 2nd Generationや、LASERTEC 12 SLMを発表し、製品の改善、シリーズ拡充を図っております。またパウダーノズル方式でも直径1m以上の積層可能なAM機の開発を行っており、医療や航空宇宙関連部品での積層造形需要に応えてまいります。

また、お客様にとって煩雑で手間と時間がかかる段取り等の作業の負担を大幅に軽減させるソリューションをご提案する「テクノロジーサイクル」の開発に注力しております。「テクノロジーサイクル」とは、機械本体、工具やロボット等の周辺機器、アプリケーションやソフトウエア、そしてCELOSなどのHMI(Human Machine Interface)を融合したソリューションであります。これを用いることによって、従来は専用機や専用プログラム、複雑な工具を使って加工していた高度な製品を、簡単、短時間で、高精度に加工することを可能にしております。今後もお客様の生産性向上につながるソリューション提供を続けてまいります。

 

2018年度は、5軸加工機の回転軸の幾何公差を自動で簡単に測定・補正し、温度変化や重力等の影響による運動誤差を補正する3Dクイックセット、ギヤ加工のプログラム作成や加工時間を1/3以下に短縮可能な“ギヤスカイビング”や“ギヤホビング”の対象機種を拡大いたしました。2019年度もグラインディング加工サイクル等新たに3種類の機能を開発し合計で30以上のテクノロジーサイクルラインナップとする計画であります。

これらハードウエア・ソフトウエア製品の開発だけでなく、お客様へ価値を提供するサービスの充実にも力を入れております。そのひとつとしてCELOS Clubがあげられます。これは操作パネルのソフトウエアの無償アップグレードサービス、機械を集中管理するPCソフトウエアの提供、機械の稼動情報の提供等を継続的に行い、15~20年という長期間にわたって使用される工作機械に新しい価値を提供し続けるサービスであります。2016年から2018年末までにすでに600台(約450社)以上にご利用いただいており、2019年も引き続き300台以上の受注を目標としております。

このようにDMG MORIグループ全体が一丸となって研究開発を進めております。これらの活動を推進することによって、お客様に最大の価値をご提供し、お客様の発展、ひいては全世界の製造業の発展に寄与していきたいと考えております。

 

以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は12,018百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール11,380百万円、インダストリアル・サービス637百万円となっております。