独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

 

2025年3月27日

DMG森精機株式会社

 

 

取締役会 御中

 

 

 

EY新日本有限責任監査法人

 

 

東京事務所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

松浦 義知

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

小川 浩徳

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

見並 隆一

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられているDMG森精機株式会社の2024年1月1日から2024年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書及び連結財務諸表注記について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条により規定された国際会計基準に準拠して、DMG森精機株式会社及び連結子会社の2024年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

DMG MORI AKTIENGESELLSCHAFT(以下、「DMG MORI AG」)の取得により生じたのれん及び耐用年数を確定できない無形資産の評価

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

連結財務諸表注記「11.のれん及びその他の無形資産」に記載されているとおり、会社は、2024年12月31日現在、のれん(89,951百万円)及び耐用年数を確定できない無形資産(42,756百万円、主に商標権)を計上しており、そのうち86,172百万円及び42,756百万円は連結子会社であるDMG MORI AGの統合により発生したものである。当該のれん及び耐用年数を確定できない無形資産は、連結財政状態計算書上ののれん及びその他の無形資産残高合計の64.3%、総資産の16.2%に相当する。

会社は、DMG MORI AGの統合で発生したのれん及び耐用年数を確定できない無形資産を、マシンツールとインダストリアル・サービスの資金生成単位グループに配分し、毎年減損テストを実施している。会社は、減損テストにおける回収可能価額を使用価値により測定しており、この結果、当連結会計年度末の使用価値がその帳簿価額を上回っていたため、減損損失を認識していない。当該使用価値は、経営者が承認した5年間の事業計画に基づく将来キャッシュ・フローを同業他社の税引前加重平均資本コストを基礎に、貨幣の時間的価値及び固有のリスクに関する現在の市場評価を反映した税引前の割引率11.3%を用いて割り引いて算定している。事業計画の期間経過後の継続価値は、資金生成単位グループが属する国、産業の状況を勘案して決定した2.0%の成長率を用いて算定している。

使用価値の算定における主要な仮定は、事業計画の基礎となる売上高成長率及び営業利益率、事業計画の期間を超える期間の成長率、並びに現在価値の算定で用いられる税引前の割引率である。

上記の主要な仮定について、売上高成長率及び事業計画を超える期間の成長率は、工作機械市場の設備投資需要の増減による影響を大きく受ける傾向にある。また、営業利益率は前述の影響に加え、インフレによるコスト上昇等の影響を受ける。税引前の割引率は今後の金利動向の影響を受け、また計算手法及びインプットデータの選択に当たり、評価に関する高度な専門知識と経営者による重要な判断を必要とする。

以上のとおり、DMG MORI AGののれん及び耐用年数を確定できない無形資産の使用価値の見積りは不確実性が高く、経営者による主観的な判断を伴うことから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。

当監査法人は、DMG MORI AGに係るのれん及び耐用年数を確定できない無形資産の評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。

・のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の評価プロセスに関して、会社が構築した減損損失の認識の要否の判定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。

・将来キャッシュ・フローについて、その基礎となる事業計画と経営者によって承認された事業計画との整合性を検討した。

・経営者による見積りの精度を評価するために、過年度の事業計画とその後の実績を比較した。

・当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、使用価値の算定における評価方法を検討した。

・経営者による代替的な仮定又は結果の検討について質問し、見積りの不確実性の程度に関する理解を更新した。

・事業計画上の売上高成長率について、その根拠をDMG MORI AGの経営者に質問を行うとともに、過去実績からの趨勢分析、売上高成長率の比較分析及び感応度分析を実施した。また、外部の情報源から入手した工作機械の需要予測との比較分析を実施した。

・事業計画上の営業利益率について、その根拠をDMG MORI AGの経営者に質問を行うとともに、過去実績からの趨勢分析を実施した。

・事業計画の期間を超える期間の成長率及び税引前の割引率の見積りについて、当監査法人のネットワーク・ファームの評価専門家を関与させ、使用されたインプット情報と利用可能な外部情報との整合性について検討した。また、感応度分析を実施した。

 

 

 

Ulyanovsk Machine Tools oooの株式収用に伴う同社事業の非継続事業への分類及び関連する会計処理

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

連結財務諸表注記「32.非継続事業」に記載されているとおり、ロシアの事業拠点であるウリヤノフスクにある工作機械の組立工場であるUlyanovsk Machine Tools ooo(以下、同社)の株式を、2024年2月19日、ロシア連邦政府が収用した。会社は同社に対する支配権を喪失したと判断し、当連結会計年度より同社を連結の範囲から除外している。

これにより、会社は在外営業活動体の為替換算差額の累計額から純損益への組替調整額4,262百万円を含む同社株式の収用により認識した損失15,069百万円を連結損益計算書上計上している。また同社に係る事業を非継続事業に分類し、前連結会計年度についても非継続事業に組替えて表示している。

なお会社はドイツ連邦共和国政府による海外直接投資保険に加入しており、当該収用に関する保険求償を行っているが、同求償金額は連結会計年度末時点で確定していない。

非継続事業への分類及びそれに関連する会計処理は、政治的な不確実性があるロシア・ウクライナ情勢を踏まえた経営者の重要な判断が含まれており、また、非継続事業からの当期損失は当連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を与える。このため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項と判断した。

当監査法人は、同社の株式収用に伴う同社事業の非継続事業への分類を検討するに当たり、構成単位の監査人を関与させ、主として以下の監査手続を実施した。

・ロシア連邦政府による同社株式の収用の事実を理解するため、2024年2月19日にロシア政府から公布されたOfficial publicationを閲覧した。

・会社の同社に対する支配権の有無を検討するために、同社を含むロシア事業を統括しているDMG MORI AGの顧問弁護士の見解書及びDMG MORI AGの取締役会議事録を閲覧した。

・同社株式の評価を検討するために、上述の手続に加え、会社作成資料の査閲を実施した。

・同社事業を非継続事業とした会社の判断について、経営者に質問を行うとともに、IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に照らして会社が作成した検討資料を閲覧した。

・保険求償の状況について、保険契約の契約書及び求償に関する書面の閲覧、またDMG MORI AGの経営者に質問を実施した。

・連結財務諸表注記「32.非継続事業」に記載された開示内容について、上述の実施した手続結果との整合性を検討した。

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

 経営者の責任は、国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、国際会計基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、国際会計基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、DMG森精機株式会社の2024年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

 当監査法人は、DMG森精機株式会社が2024年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

 

内部統制監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

(注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

E01502-000 2025-03-27 jpcrp_cor:Row1Member E01502-000 2025-03-27 jpcrp_cor:Row2Member E01502-000 2025-03-27