第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社の経営方針は、工作機械メーカーとして「独創的で、精度良く、頑丈で、故障しない機械、自動化システム、デジタル技術を、最善のサービスとコストでお客様に供給すること」です。コネクテッド・インダストリーズ(IoT、インダストリー4.0)の高まりを背景に、工作機械(マシニングセンタ、ターニングセンタ、複合加工機、5軸加工機、アディティブ・マニュファクチャリング機及びその他の製品)、ソフトウエア(ユーザーインタフェース、テクノロジーサイクル、組込ソフトウエア等)、計測装置、修理復旧サポート、アプリケーション、エンジニアリングを包括したトータルソリューションの提供を行い、全世界のお客様にとってなくてはならない企業を目指しております。

 

(2) 経営戦略及び経営環境

2024年の連結受注高は、2023年比4.6%減の4,960億円となりました。第3四半期(7-9月)、第4四半期(10-12月)の連結受注高がボトムだと考えています。機械の受注台数は、20%減となりましたが、平均単価が71百万円/ 433千ユーロ(2023年度:62百万円/ 407千ユーロ)へ上昇しました。工程集約、自動化、GX(グリーン・トランスフォーメーション)をデジタルで管理・効率化するMX(マシニング・トランスフォーメーション)が値引率の低下も含め単価上昇に寄与しています。スペアパーツ、メンテナンス・リペア・オーバーホール、エンジニアリング事業は7%増となり、連結受注高に占める構成比は25%(2023年度:22%)へ上昇しました。地域別の受注は、アジア・インドが伸長し、米州が横這い、日本、欧州、中国は減少しました。業種別には、航空、宇宙、メディカル、金型、エネルギー関連が好調でした。2024年12月末の機械受注残高は2,180億円(2023年12月:2,470億円)へ減少しました。

2025年は連結受注高を7%増の5,300億円と予想しています。機械の受注高は、現在の水準を底にして2025年度後半から回復することを期待しています。宇宙、航空、メディカル、エネルギー産業からの需要は好調に推移する見込みです。半導体製造装置産業からの需要は、2025年度後半から増加に転じることを期待しています。

工作機械産業は、需要サイクルによる影響を受けます。従来の3カ年の時間軸での事業計画では、需要サイクルの影響を避けられないことから、2022年12月に公表した「中期経営計画2025」を2030年目標に移行することといたしました。20年以上工作機械を使用するお客様の視点に立ち、2030年までという5年の時間軸の中で2030年目標を設定いたします。当社は、国内外の複数の企業が供給するNC装置を使いこなし、多企業の周辺装置をDMG MORIの工作機械との接続に最適なDMQP(DMG MORI Qualified Products)として推奨しています。そして、これらの要素をデジタル技術により加工工程の最適化を図るMXを推進しています。このMXをお客様に理解していただいた上で、安心して機械・自動化システムを使用していただくための直販・直メンテナンス・リペア・オーバーホール体制は当社の大きな強みになっています。2030年目標では戦略の中核をなすMX推進に向けて社内体質の強化を図り、目指すべき業績・財務構造の達成を実現したいと考えています。MX推進に向けての設備投資は一段落しており、2030年に向けては投資の回収期、収益率の改善期と位置付けています。2030年には、DMG MORIのオーガニック資源(現在の経営戦略・自社経営資源)をベースに、売上収益8,000億円、営業利益1,200億円(営業利益率15%)、当期利益800億円(当期利益率10%)を目指します。売上収益の成長は、MX推進による機械単価の上昇と、スペアパーツ、メンテナンス・リペア・オーバーホール、エンジ二アリング事業の拡大が貢献する予定です。収益率の改善により、フリーキャッシュフローの最大化を図り、そのフリーキャッシュフローにより財務体質の強化と株主還元として増配の継続に努めて参ります。財務体質については、総資産回転率1回転程度、ハイブリッド資本を除く株主資本比率50%以上を目標にします。外部資金を利用する管理指標として、Net Debt/Equity比率(純有利子負債株主資本比率)を0.3程度とし、純有利子負債残高を1,000億円程度とします。この収益及び財務構造をベースにROE(株主資本当期利益率)15%を計画しています。

また、当社は業界のリーディング・カンパニーとして、幅広いステークホルダーの期待に応えるべく、持続可能な社会を目指し、サステナビリティへの取り組みを強化しております。環境面においては、2023年より稼働している自家消費型太陽光発電システムが、3月に伊賀事業所で第2期(約5,200kW)、奈良事業所で第1期(約354kW)の発電を開始し、今後の発電ターム開始後には各事業所の年間電力需要量の約30%を賄います。さらに、6月には当社およびグループ会社のドイツDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFTが、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」の目標において、国際的な環境団体のSBTイニシアチブから認定を取得しました。これら、当社の温室効果ガス排出削減に向けた取り組みや実績が高く評価され、2025年2月に国際環境非営利団体CDPによる調査「CDP2024」において、気候変動分野で最高評価の「Aリスト企業」に認定されました。

人的資本経営の面では、2021年に「DMG森精機健康経営宣言」*を発表し、2025年3月には経済産業省と日本健康会議により、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人 2025」の大規模法人部門「ホワイト 500」に3年連続で認定されました。加えて、健康経営に優れた上場企業として、経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄 2025」にも2年連続で選定されました。

コーポレート・ガバナンスにおいては、引き続き取締役の多様性を強化しております。2025年3月27日開催の株主総会での承認により、取締役会の構成は、取締役12名中、社外取締役が5名(構成比:42%)、女性取締役が3名(同:25%)、外国人取締役が3名(同:25%)となっております。取締役会及び執行役員会において、より多様な意見を反映させ、企業価値向上につながることを期待しております。

以上のように、顧客価値創造と社会との共生を実現し、事業規模、収益性、財務基盤において、継続的な企業価値向上に努めてまいります。

* 『健康経営』は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

 

(3) 目標とする経営指標

需要変化の激しい工作機械業界の事業環境や市場動向に迅速に対応し、工作機械業界におけるグローバルワンの地位を維持・継続するためには、利益率の向上、財務体質の強化、資本収益性の向上が最重要課題であると考えております。

2030年目標に向け、来期は連結受注高5,300億円、売上収益5,100億円、営業利益380億円(営業利益率:7.5%)、当期利益200億円(当期利益率:3.9%)を、それぞれ計画しております。当社グループでは、顧客価値創造並びに企業価値のさらなる向上のために、たゆまぬ努力を継続してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき課題

①製品開発

 当社が推進するMXは、高精度な5軸マシニングセンタや複合加工機により、ワンチャッキングでワークピースの5面もしくは6面を加工し、自由曲面加工、ギヤ加工、研削加工、そして付加加工なども実現します。さらに加工物を高精度に機上で計測することにより、従来複数台の工作機械で製作していたプロセスを1台の機械に工程集約します。機械台数が少なくなることで自動化が容易になり、オペレーターをワークピースの脱着作業という、単純な重労働から解放します。これを実現するためには複合加工機にロボットを取り付けるだけでなく、切りくずの除去作業、工具の監視や交換作業、ワークの精度測定さらに補正の作業、機械の稼働監視などをセンシング、モニタリング機能などのDX(デジタル・トランスフォーメーション)のサポートにより自動化することが必要です。この取り組みにより世界中で稼働していると予想される500万台の従来機を100万台のMXシステムに置き換えることを当社のミッションとしています。

 MXを導入することで人手不足の解消、省エネ、省スペース、仕掛品の削減が可能となり、GXを実現します。高精度の5軸加工機、複合加工機による部品の複合化や部品精度の向上も達成されます。高精度、高品質、高機能の工作機械、自動化などの周辺機器、工具・クーラントなどの消耗品、システム構築、立上も含めたエンジニアリング、そしてサービスをワンストップでライフサイクルに渡って提供します。

 MXを実現するにはDXが最も重要となり、非常に開発工数のかかる課題です。当社では日独のソフトウェアエンジニアが数年間注力し、ERGOline X with CELOS Xを開発しました。ERGOlineは工作機械のヒューマンマシンインタフェース(HMI)のハードウェアで、搭載されるソフトウェアCELOSと合わせDMG MORIの顔として、日独共通の操作システムをお客様に提供しています。工作機械のHMIは非常に重要な役割を果たしています。DMG MORIでは複数メーカーの制御装置を機械特性やお客様の要望に合わせて使い分けています。CELOS Xにより各メーカーの制御装置の特徴を生かしながら、共通のソフトウェアとしてHMIだけではなく、自動化システムソフトウェア、シミュレーション、独自のテクノロジーサイクルをはじめとするプログラム作成支援、加工状況や工具のモニタリング、機上計測、そしてAIを積極的に応用して工作機械や周辺装置に組み込みMXの高度化を推進しています。

 CELOS Xの大きな特徴としてオンラインアップデートがあります。工作機械は約20年の長期間に渡りお客様の工場で使用されます。お客様が製品を導入した時点では最新であっても使用を続けるうちにソフトウェアモデルは更新され最新機との性能差が出ていました。今後はオンラインアップデートにより常に最新のソフトウェアに進化するメリットを得ることができます。これらのソフトウェアは概ね年に2回程度の頻度で更新されます。例えば新しいテクノロジーサイクルにより、これまで専用機でしか実現できなかった加工がDMG MORIの5軸加工機や複合加工機で実現できるようになり、それを既存の納入機にオンラインで導入しお試し加工ができるようになるのです。DMG MORIはソフトウェアの開発を最優先で進めています。

 また2024年はMXを実現するための加工機として19機種をリリースし、自動化、ソフトウェア、機械コンポーネンツ、省エネ機能など33機能をリリースしています。2025年にはこれを上回る、25機種、38機能を開発する所存です。グローバル生産・販売を大規模で実現することで、日本とドイツを中心に強力な開発組織を維持・発展を可能にしています。

②品質

 当社が提唱するMXは多軸の加工機に自動化周辺機器とそれを支えるためのDXの仕組みが含まれており、従来の単体機よりも複雑で高度な技術が含まれています。無人・省人での長時間連続運転を行うため機械が停止した時の損失が大きくなることから、機械の安定稼働と連続運転を行いながら精度を維持すること、すなわち高い品質が非常に重要です。品質本部ではMX製品の品質を担保するため、これまで以上に高いレベルの取り組みを実施中です。

 当社の品質の取り組みとして最も重要で広く使用されているものが1996年に開始した製品プロブレムレポート(以降PPRと呼びます)です。お客様で発生した製品品質に関するプロブレムを従来は担当部署間が電話等で対応していましたが、それをすべてワークフロー化し、さらに2000年にはデジタル化し、問題発生から対策、設計変更、製造方法変更などによる品質改善、効果の確認、横展開までを見える化し改善を実施してきました。このデータを20年以上も継続して活用してきたことで、品質部門・開発部門では製品の品質モニタとして利用し製品の改善改良を図っており、修理復旧部門では類似の不具合から原因を特定するための重要参考資料として利用しています。

 2024年は製造と品質保証が協力して納入直後のPPRの撲滅に取り組み、目に見える効果が出始めました。同様に開発でも納入直後の不具合削減に取り組んでおり、これも成果が出始めています。また製品検査のデジタル化を予定通り完了しました。当社では製造工程のデジタル化にはアプリ作成のプラットフォームとしてTULIPを用いており、TULIPで作成したデジタルチェックシートを100%用いることで手書き工程や人間による目視の合否判断を撲滅し、デジタル測定器で取得したデータを自動取り込みすることでヒューマンエラーを撲滅する所存です。TQM手法を用いて改善活動を続けたことが認知され2024年のデミング賞受賞にも貢献しました。当社では顧客要求に合わせて最適なシステムを提供するため、かなりの割合で要求仕様に合わせた特別設計が含まれます。すなわち多くのカスタマイズされた製品が日常的に生産されており、カスタマイズに合わせた検証と評価が実施されています。このようなケースでTQM活動を実践しデミング賞を受賞した例はあまりないと評価いただきました。

 品質向上の取り組みは日本工場がリードしながら、日本だけでなく欧州、米国、中国の各工場にも展開をしており、出荷前の検査、ソフトウェアの品質強化、カスタマイズ品の検証など重要な共通テーマに取り組んで高い顧客満足を得るためのチャレンジを続けています。

 DMGMORIでは高度なMXを最高の品質でお客様に提供し、効率よい生産を実現することでGXに貢献いたします。

③安全保障貿易管理

 2024年も前年同様、世界各地で紛争が続くなど情勢は混とんとしており、こうした環境に対応するために、各国が軍事防衛力を強化する方向に向かっております。

 そのため、以前にも増して軍事関連事業を行う企業や軍事目的と思われる引合いも増えてきており、軍事転用可能な高性能工作機械を製造・販売している当社グループとしても、今まで以上に身を引き締めて厳格な輸出管理を行うべく、日々努めております。

 具体的には、2006年10月から日本製造機に搭載を始めた移設検知装置(不正な輸出を防止する目的で、据付場所からの移設を検知すると稼働できないようにする装置)搭載の工作機械を欧州製造機にまで広げ、2023年12月までに全世界で製造する工作機械に対してこの装置を搭載し、厳格な管理をする体制を整えることができました。これにより、以前より増して、事前連絡のない転売等による不正使用や軍事用途への使用を未然に防ぐことができるようになりました。

 また、2023年はドイツDMG MORI AG社の輸出管理審査運用を日本側で行うように変え、グループとして統一の基準・判断・管理を行うように改善しましたが、今年2024年については海外生産拠点及び海外販社への訪問監査を行い、実務上の問題点の改善指導をするなど、厳格な輸出管理体制の維持のために動いてきました。同時に2024年から当社グループとなったDMG MORI Precision Boring株式会社(旧 倉敷機械株式会社)をはじめ、日本国内のグループ会社にも研修を行うなど、グループ全体の輸出管理意識の向上のための活動も行いました。

 現在の混とんとした世界情勢のなか、世界各国でグローバルに製造・販売をする当社グループは、今まで以上に、各国の法令順守、販売先管理、技術管理が必要となりますが、たゆまぬ努力を続け、お客様をはじめとしたステークホルダーの皆様に安心していただけるよう、引き続き厳格な輸出管理体制の維持・強化を、重点課題として取り組んでまいります。

④法令遵守

 経営者自ら全従業員に対し法令及び企業倫理に基づいた企業活動の徹底を指示し、役員・従業員のコンプライアンス意識の向上と浸透を図っております。当社グループでは、グローバルな事業展開に対応したコンプライアンス体制を構築するために、日本を含む各国においてコンプライアンス担当者を選任し、これらを連携させることにより、各国の制度に適応しながら統制の取れた体制の確立に取り組んでおります。また、コンプライアンスに関する問題の予防、早期発見・対策のため、2020年より多言語対応の通報窓口を設置し、海外グループ企業も含めたグローバルでのコンプライアンス体制を強化、さらに2024年からは全・国内子会社に対して外部のハラスメント相談窓口の利用を可能といたしました。以上のほか、内部監査部を主管部署とした定期的な法令遵守活動のモニタリングも継続しております。

 勤務間インターバル制度については、当社では2018年より導入し、2020年度からは在社時間の制限を原則10時間、勤務間インターバルを12時間として従業員の健康維持、ワークライフバランスの適正化に取り組んでおります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(サステナビリティ全般)

DMG MORIは、1948年の創業以来、工作機械の精度向上への挑戦を続けてきました。

工作機械の精度を上げる、工作機械が精密であるということは、CO2排出量削減、循環型社会の実現、食料問題などの様々な社会的課題の解決につながります。工作機械産業は、世界中のお客様によりよい商品を提供すればするほどSDGsの実現に近づき、事業活動そのものが社会に貢献する産業であるということに、誇りと責任を感じております。

私たちは、経営理念に掲げている「責任ある企業市民として地域、社会に貢献する」「環境資源を大切にし地球環境を守る」「高い倫理観を持って、社会良識に準拠した企業活動を行う」を基本的考え方としております。基幹産業である工作機械産業に携わるものとしての責任を果たすことが、持続可能な社会と中長期的な企業価値の向上につながると考えております。

 

<ガバナンス>

DMG MORIは、株主や投資家の皆様をはじめとしてお取引先、社員、地域社会の皆様等、社会全体に対する経営の透明性を高め、公正かつ効率的な企業運営を行うために、コーポレート・ガバナンスの充実、経営監視機能の強化を最も重要な課題として取り組んでおります。今後とも長期安定的な企業価値の向上を図り、より高い企業倫理観に根ざした事業活動の推進に努めます。

当社は、サステナビリティを経営の重要議題と位置づけ、専任部門として「サステナビリティ推進部」を設置しております。また、特に気候関連の課題に関しては、取締役会・サステナビリティ会議において定期的に審議しております。詳細につきましては、以下「気候変動」をご覧ください。

 

<リスク管理>

サステナビリティ課題に関わるリスクについては、「サステナビリティ推進部」が日常的にモニターしており、定期的にサステナビリティ会議にて所管の取締役に状況を報告し、リスクの評価と対応を協議しております。取締役会では、サステナビリティ関連のリスク・機会に関する監視・監督を行っております。

当社では、抽出した社会課題のうち、当社の事業との関連性や当社および社会へ与える影響度を勘案して、後述の気候変動への対応のほか、以下の2項目を、特に重要なサステナビリティ関連リスクと認識しています。

項目

内容

リスク管理のプロセス

バリューチェーンにおけるサステナビリティ

(サプライヤーエンゲージメント)

当社のサプライヤーおよび取引先における気候変動対応、人権保護などのサステナビリティ課題への対応もバリューチェーン全体での重要なサステナビリティ課題と認識しております。

・組織体制:購買部門とサステナビリティ推進部が協働で所管しています。

・リスクの評価と運用:ドイツINTEGRITY NEXT GmbHが提供するプラットフォームを利用し、全世界で同一の基準に従ったサプライチェーン・デューデリジェンス(適正評価手続き)を、随時実施し、リスクの識別と評価を実施しています。デューデリジェンスの結果に応じ、購買部門とサステナビリティ推進部が協働して、個別のサプライヤーと改善の為の対話・エンゲージメント活動を実施しています。

事業継続計画

(Business Continuity Plan)

基幹産業である工作機械は、多種多様な製造業において使用される製品であり、持続可能な社会を実現するために必要な高精度な工作機械を製造する当社には、お客様に安定して製品を供給する責務があると考えています。

特に、地震や台風など大規模自然災害が起こる可能性が高い日本においては、事前に可能な限りの対応を想定しておくことが重要と認識しております。

・組織体制:サステナビリティ推進部が大規模自然災害や感染症パンデミック等を想定したBCP基本計画を策定・所管しております。

・リスクの評価と運用:定期的にサステナビリティ会議にて担当部門とリスクの評価と対応を協議しております。

 

(気候変動)

当社は、2021年7月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に準拠した気候変動関連リスク及び機会に関する項目について積極的に開示するという趣旨に賛同し、統合報告書および当社Webサイトにて当社の取組みを開示しています。(https://www.dmgmori.co.jp/corporate/sustainability/esg/tcfd.html

 

<ガバナンス>

気候変動による事業へのリスクと機会を評価しその対策を計画、実行、監視する部門として「サステナビリティ推進部」を設置しております。同部門は、適宜、取締役会にて当社のCO2排出量の算定結果を報告し、CO2削減計画及びそれに係る重要な設備投資額の承認などを求めます。

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<戦略>

当社が推進する「工程集約→自動化→DX化」を中核とするマシニングトランスフォーメーション(MX)は、お客様の生産性向上と経営資源の節約になり、CO2排出量の削減につながります。すなわち、MXの推進こそがグリーン・トランスフォーメーション(GX)の実現に貢献するものと考えており、工作機械事業の深化を追求することで、気候変動というグローバルな課題への対応に貢献していきます。また、自家消費型太陽光発電の導入や、「サーキュラーエコノミー」による資源循環に積極的に取組み、Scope1、2とScope3でのCO2排出量の削減を目指します。

 

1.気候変動リスク・機会の特定と気候変動シナリオに基づく事業・戦略・財務への影響について

当社グループの事業・戦略・財務に影響を及ぼす気候関連リスク・機会の特定にあたり、①脱炭素が進展する1.5℃の世界観(移行リスク)、②成り行きで温暖化が進行する4℃の世界観(物理的リスク)を整理し、それぞれの世界において、当社事業への影響度が大きいと想定される気候変動起因のドライバーと当社事業に関わるリスクと機会について、以下のように評価・整理いたしました。

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影響の程度について、「収入・費用・投資・資金調達面に与える影響額」が500億円以上と評価される事象を「(影響度)大」、50億円以上・500億円未満と評価される事象を「中程度」、50億円未満と評価される事象を「低」と、それぞれ定義しています。

 

 

2.1.5℃の世界に整合する移行計画

・1.5℃目標の達成

当社グループは、パリ協定に整合した1.5℃目標の達成に向けて、SBTイニシアチブの温室効果ガス削減目標の認定を取得し、サプライチェーン全体の排出量削減に取り組んでおります。CO2排出削減に向けて、グループ全体で、太陽光発電やCOフリー電力などの再生可能エネルギーの導入、鋳物の製造工程の電気炉化など様々な取り組みを積極的に実施しております。また、製品の工程集約、自動化、DX化を中核とするマシニング・トランスフォーメーション(MX)を推進し、お客様先での当社製品使用時のCO2排出量の削減に取り組んでおります。サーキュラーエコノミーによる資源循環の取り組みも積極的に進めております。

 

<リスク管理>

気候変動に関連するリスクについて、サステナビリティ推進部が日次的に識別・評価し、毎月1回社内取締役に報告します。取締役会では、少なくとも半期に一度、もしくは、事業に重要な影響を及ぼす可能性がある気候関連の事項が生じた場合には随時、気候変動関連の議案を討議、意思決定するプロセスを確立しております。

 

当社グループの事業・戦略・財務に影響を及ぼす気候関連リスク・機会の特定にあたり、①脱炭素が進展する1.5℃の世界観(移行リスク)、②成り行きで温暖化が進行する4℃の世界観(物理的リスク)を整理し、それぞれの世界において、当社事業への影響度が大きいリスクを特定しております。

 

<指標及び目標>

気候変動への対応にさらなる実行性を持たせるため、当社は中長期目標として2030年までの温室効果ガス排出削減目標を設定し、2021年11月に国際的な環境団体「SBTイニシアチブ」による認定を取得いたしました。SBT認定では、2019年の温室効果ガス排出実績値を基準として、2030年までにScope 1及びScope 2で46.2%の排出削減、Scope 3で13.5%の排出削減を、それぞれ目標値として設定しておりました。

この目標をさらに拡大し、2024年6月に、SBTネットゼロ認定を取得し、取り組んでおります。SBTネットゼロ認定目標では、2030年までのScope 3での排出削減を27.5%に引き上げたほか、長期目標として、2050年までにScope 1からScope 3全体での排出量を90%削減する計画です。

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(人的資本)

<戦略>

1.人材育成方針

当社は、グローバルで124の販売・エンジニアリング拠点と17の製造拠点を有し、様々な言語・国籍・性別・専門分野を持つ61国籍、約13,500名の従業員が働いています。様々なバックグラウンドを持つ人材を迎え入れ、互いに尊重し協力して仕事を進めることで、世界各地のお客様のニーズに正確に応える技術的イノベーションを生み出しています。

また、MX実現の加速に向け優秀なエンジニアを充実させるべく、2030年までにアプリケーションエンジニアを現在の約1,100名から2,000名に、メンテナンス・リペア・オーバーホールエンジニアを現在の約2,200名から3,000名にすることを目標としております。欧米では独自の職業訓練生の制度を活用し、アジアでは日本同様に新卒採用に重点を置いた採用活動をスタートさせました。

各部門や機能に対し重要な職責を担う執行役員については、年齢、国籍などに多様性を持たせています。グローバルな人材登用システムの構築を重要課題と捉え、2026年からの次期中期経営計画では、現任役員に続く層の社員の中から、優秀な社員を早期に発見する仕組みを構築いたします。さらに、親会社、子会社の役職ポストについての世界共通のJob Gradeと世界共通の人事評価システムを確立することも重要なテーマの一つに据えております。

 

2.社内環境整備方針

家庭と仕事の両立を迫られている従業員に対して、安心して働き続けるためのサポートに加え、自身や家族の状況、性別に関係なく個人の能力を最大限発揮でき、自己実現できる環境の提供を推進しております。

当社では、出産・育児支援制度の充実に力を入れております。伊賀事業所、奈良事業所に企業主導型保育園であるDMG MORI保育園を常設しており、合計100名の未就学児を受け入れる体制を整えております。また、看護休暇(有給扱い)は小学校を卒業するまでの子を育てる従業員が取得でき、業務の合間で時間単位の利用も可能なため、様々な働き方に柔軟に対応しております。

また、男性従業員の育児休業の取得についても積極的に奨励しております。従業員が安心して育児に専念できるように、2020年1月より連続20日間以上の育児休業を取得した場合に最初の20日間を有給とする制度を導入しました。また、2022年には20日間有給の育児休業について分割取得を可能としました。性別にとらわれず誰もが働きやすい環境を実現するためには、男性従業員を含めた組織全体の考え方の変革が必要です。上司の意識改革や職場のサポート体制を整えることで、男性従業員の育児休業取得者は2022年から取得率85%以上の高水準を継続しております。

当社では、「健康経営*」の推進のため、2021年に「健康経営宣言」を発表し、従業員の心身の一層の健康向上を目指しております。当社は、経済産業省が「健康経営度調査」結果に基づき選定する「健康経営優良法人」の上位500社「ホワイト500」を3年連続で上位取得いたしました。加えて、経済産業省と東京証券取引所がホワイト500にROE(自己資本利益率)等の財務指標を加味して1業種1社選定する、全国で約50社の「健康経営銘柄」にも2年連続で選定されました。今後も、今までの健康施策の取り組みを、より組織的・系統的・包括的・先進的に推進してまいります。

*『健康経営』は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

 

<指標及び目標>

指標

目標

実績(2024年度)

1人当たり年平均有給休暇取得日数

20.0

18.9

1人当たり平均総労働時間

2,000時間

1,971時間

男性従業員の育児休業取得率(注2)

100.0

88.2

女性管理職比率(注2)

2025年度まで15.0

9.7

(注)1.日本単体の従業員を集計対象としております。

   2.詳細につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」をご参照ください。

 

 

(水資源)

<リスク管理>

当社は、「環境資源を大切にし地球環境を守る」との経営理念の下、以下の環境方針を掲げて、日々の事業活動を行っています。

・生産者として地球環境を守るために、事業活動に伴うエネルギー消費の削減、資源の有効利用などを含む汚染の予防を行い、環境に配慮する。

・資源・エネルギーを大切に利用し、環境にやさしい製品を造る。

・社員の環境保護意識を高め、社会の一員として、当社の環境側面に関連する法規制および要求事項を遵守し、環境政策に協力する。

・環境保全についての情報公開に努める。

また、法規制ならびに要求事項を遵守するとともに、独自の環境リスクアセスメント規定に基づき、事業が生態系へ及ぼし得る影響を評価し、最小限に抑えるよう努めております。

 

<戦略>

近年は環境への関心の高まりから、製品購入時の判断基準として、CO2排出量の削減や、資源の有効利用などにも考慮されるお客様が増えてきております。こうした傾向、ニーズを受けて、工程集約による生産性向上を通じてCO2排出量の削減にも寄与する5軸・複合加工機や、「ゼロスラッジクーラントタンク」に代表される節水機能にも優れた当社独自の周辺機器装置などを開発し、商品化してまいりました。こうした取り組みは、潜在的な水ストレスを懸念する国々での販売機会の拡大にも繋がると考えています。

また、水資源の保全にも繋がる取り組みとして、事業所周辺の生物多様性の維持のため、

・伊賀事業所近郊の耕作放棄地を開墾して、ワイン用の葡萄栽培を開始

・伊賀・奈良事業所周辺の桜植樹などの緑化推進

・伊賀事業所バイオマス発電では、木質チップ燃料として伊賀周辺の間伐材を利用(森林整備、林業振興にも貢献)

などを実施しております。

 

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 主要市場(日本、米州、欧州及び中国・アジア等)の状況

当社グループの地域別連結売上収益の構成比は、当連結会計年度において、日本15.0%、米州19.8%、欧州57.1%、中国・アジア8.1%となっております。当社グループが製品又は修理復旧を販売、提供するいずれかの地域において景気動向の悪化や関税政策の変更等によって当該製品又は修理復旧に対する需要が低下した場合は、当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。

 

(2) 設備投資需要の急激な変動

工作機械産業は従来から景気の変動に左右されやすいと言われてまいりましたが、中国・アジア、中央ヨーロッパ等の新興国の経済が拡大してきております。日本、米州、欧州各地域の工作機械市場も中長期的には安定的に成長してきておりますが、当社グループの業績は景気変動による設備投資の増減の影響を大きく受ける傾向にあり、何らかの要因で各地域の設備投資需要が落ち込んだ場合には、製品単価、販売数ともに急速かつ大幅に下落することがあり、当社グループの事業、業績及び財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

 

(3) 市場競合の影響

工作機械業界は参入企業数が多く、低コストで製品を供給する海外の会社も加わり、当社グループはそれぞれの市場において厳しい競争にさらされており、当社グループにとって有利な価格決定を行うことが困難な状況になっております。当社グループとしては、技術力強化による差別化製品の開発、原材料等のコスト削減、営業力強化のための諸施策を推進しておりますが、将来的に市場シェアの維持及び拡大又は収益性の保持が困難となった場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 企業合併・買収及び資本・業務提携

当社グループは、企業の合併・買収や資本・業務提携を事業基盤の強化を図るための重要な戦略の一つと位置付けており、今後、かかる企業合併・買収や資本・業務提携の成否によっては、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また他社による工作機械業界への新規参入・業界再編の動向は、当社グループの経営戦略、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 米ドル、ユーロ等の対円為替相場の大幅な変動

当社グループの事業、業績及び財務状況は、為替相場の変動によって影響を受けます。為替変動は、当社グループの外貨建取引から発生する資産及び負債の日本円換算額に影響を与えます。また、為替変動は外貨建で取引されている製品・パーツ及び修理復旧の価格及び売上収益にも影響を与えます。この影響を低減するため、日本、中国・アジアの円建取引、米州の米ドル建取引、欧州のユーロ建取引のバランスをとるように努めておりますが、それでもなお、為替相場の変動によって当社グループの事業、業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。

 

(6) 天然資源、原材料費の大幅な変動

想定を大幅に超えた原材料価格の急激な高騰に見舞われた場合は、当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。原材料価格の高騰に対しては、仕入先への価格交渉等によるコストダウンの推進や製品価格への転嫁によってカバーする方針ですが、価格の高騰が続く場合や仕入先への価格交渉等が実現しない場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 安全保障貿易管理

当社グループが事業を展開する多くの国及び地域における規制又は法令の重要な変更は、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループのコア事業であります工作機械は各国の輸出関連法規上、規制貨物に分類されており、国際的な輸出管理の枠組みにより規制を受けております。国際情勢の変化により規制が強化されることとなれば、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 取引先の信用リスク

当社グループとしても取引先の信用リスクについては細心の注意を払っておりますが、取引先の業績悪化等により取引額の大きい得意先の信用状況が悪化した場合、当該リスクの顕在化によって、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)財務制限条項

コミットメントライン契約等の一部借入金の契約には財務制限条項が付されております。今後、財務制限条項への抵触等があった場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)知的財産権

当社グループは、研究開発、新製品開発を通じて多くの新技術やノウハウを生み出しており、これらの貴重な技術・ノウハウを特許出願することにより、知的財産権の活用を図っております。しかし当社グループの知的財産権に対して第三者からの無効請求や、侵害差止請求等が提起された場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)訴訟に関するリスク

当社グループは、顧客の要求する機能・仕様を満足し、かつ安全性に配慮した適正品質の追求に努めており、グローバルベースで品質管理の徹底を図っております。しかしながら、当社グループの製品に重大な不具合が存在し、重大な事故やクレーム、リコール等の起因となった場合、多額の製品補償費用等が発生する可能性があります。

この他、当社グループは、国内外において業務を展開しておりますが、こうした業務を行うにあたり、業務上発生する責任に基づく損害賠償請求訴訟等の提起を受ける可能性があります。現時点では当社グループの業績に重大な影響を与えるような訴訟は提起されておりませんが、今後、重大な訴訟が提起され、当社グループに不利な判断が下された場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)自然災害・疫病等の影響

当社グループは、販売及び修理復旧拠点をグローバルに展開しているため、予測不可能な自然災害、疫病、サイバーアタックといった多くの事象によって引き起こされる災害によって影響を受ける可能性があります。

当社グループの製造拠点は、国内では三重県、奈良県、神奈川県、新潟県及び島根県にあり、海外ではアメリカ、中国、欧州各地等6ヵ国にあります。これらの製造拠点のいずれかが、地震・洪水等の天災の影響や疫病等による工場閉鎖により、製品供給が不可能、あるいは遅延することとなった場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)環境問題

当社グループは、事業の遂行にあたり、様々な環境関連の法令及び規制の適用を受けております。当社グループは、これらの法規制に細心の注意を払いつつ事業を行っておりますが、現在行っている又は過去に行った事業活動に関し、環境に関する法的、社会的責任を負う可能性があります。また、将来、環境関連の法規制や環境問題に対する社会的な要求がより厳しくなることによって、法令遵守に係る追加コストが生じたり、事業活動が制限される可能性があります。したがって、今後の環境関連の法規制の動向によっては、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)ロシア・ウクライナ情勢の影響

ロシア・ウクライナ情勢については、世界的かつ政治的な不確実性があり、現時点でその影響を完全に予測することは困難な状況です。今後の動向によっては、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次の通りであります。

①経営成績の状況

当連結会計年度(当期)における業績は、売上収益は5,409億円(3,298百万EUR)(前期比0.3%増)、営業利益は437億円(267百万EUR)(前期比21.0%減)、税引前当期利益は371億円(226百万EUR)(前期比24.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は77億円(47百万EUR)(前期比77.3%減)となりました。(ユーロ建表示は2024年1月から12月の期中平均レート164.0円で換算しております。)

当連結会計年度の連結受注額は4,960億円となり、前年度比4.6%減となりました。工程集約機、自動化をはじめとするお客様への価値提案力が向上し、機械1台当たりの受注単価が、2023年度平均の61.9百万円(40.7万ユーロ)から71.0百万円(43.3万ユーロ)へと、円安の影響を除くユーロ換算ベースでも伸長しています。

また、連結受注の25%(前年度22%)を占めるスペアパーツ、メンテナンス・リペアの受注額が前年度比7.4%増と、受注の安定に寄与いたしました。3カ月(四半期)ベースの受注額は、年間を通じて前年同期比でマイナスとなりましたが、当10-12月の連結受注額は1,145億円と、当7-9月期の1,148億円から前四半期比で横ばいとなり、受注の底打ち感がみえてきました。

地域別受注額は、前年度比、中国を除くアジア(構成比:6%)が8%増、米州(同:22%)は同水準となりました。欧州(同:55%)は4%減、日本(同:11%)は8%減とやや弱含んでいます。中国(同:6%)は、前年度から輸出管理をより強化した影響もあり、24%減となりました。産業別の需要は、民間航空機、宇宙、メディカル、金型、発電関連向け受注は堅調に推移しています。

機械本体の受注残高は、2024年12月末時点で2,180億円と、2023年12月末の2,470億円から約300億円減少しています。2025年度(1-12月)の売上収益計画5,100億円達成のために、この受注残を確実に売上収益の計上につなげることに加え、期中受注・期中売上の積み増しを図ってまいります。

中期経営計画でも掲げているとおり、当社は工程集約・自動化・DX・GXにより、お客様へより付加価値の高い製品、システム、サービスを提供すること、これにより環境負荷を低減させ循環型社会にも貢献するといった、MX(マシニング・トランスフォーメーション)戦略による持続的な成長を目指しております。MX推進によるお客様の生産性向上とサステナブルな社会の実現を目指して邁進してまいります。

当社は、連結子会社である株式会社太陽工機(証券コード:6164、東京証券取引所スタンダード市場上場、以下「同社」)を100%グループ会社とすることを目的として2024年11月から12月にかけて同社普通株式の公開買付けを行った結果、当社の所有割合が92.84%となりました。2025年1月7日には、同社の非支配株主の全員に対する株式売渡請求を決議し、2025年第1四半期中に同社の発行済株式の全部を取得いたしました。100%グループ化により当社のノウハウやグローバルでの経営資源・ネットワークを迅速かつ柔軟に共有可能となります。また、当社が2024年1月に連結グループ化したDMG MORI Precision Boring株式会社は、同社と同様に新潟・長岡エリアに本社工場を構えており、同エリアでのシナジーを高めることができます。今後も、DMG MORIグループ全体における持続的な成長と企業価値向上のため邁進してまいります。

また、当社は2026年に欧州統括会社DMG MORI Europe Holding GmbHの本社をドイツ・ミュンヘンに新設することとし、2024年9月に起工式を執り行いました。ミュンヘンは欧州の中心に位置し、当社欧州最大の開発・生産拠点であるドイツ・フロンテン工場をはじめ世界各地へのアクセスも良いことから、国際的な交流の場となります。

さらに、グループ最大の生産拠点である三重県伊賀事業所が2024年度のデミング賞*1を受賞いたしました。当社は2017年からTQM*2を導入後「顧客志向」の重要性を再認識し、MX実現に向けTQMを推進してまいりました。今後もグローバルでTQM推進と品質向上を徹底し、継続的な成長を実現してまいります。

技術面では、当社ベストセラー機NLX2500シリーズに最新技術を結集させた「NLX 2500 | 700 2nd Generation」の販売を開始しました。従来ではマシニングセンタとターニングセンタの2台で行う加工を当機1台で可能にし、オプションを用いることで多品種加工や専用機加工の工程集約も可能となるほか、自動化システムの併用による夜間無人運転も可能となります。

また、最大32パレット、500 kgの搬送重量に対応するモジュール式パレットハンドリングシステム「PH Cell 500」の発売を開始いたしました。当機は加工エリアへの高い接近性と作業性を実現しており、お客様ごとに設計可能なモジュラー設計により1つのシステムでサイズが異なるパレットを使用可能です。

さらに、5軸加工機や複合加工機を歯車加工機にするソリューション「Gear Production+(ギヤプロダクションプラス)」の第一弾として、歯車研削ユニットを開発いたしました。5軸加工機に歯車研削ユニットを搭載することで、ミーリング、旋削、歯車荒切りから歯車研削までを1台に工程集約しサイクルタイムを短縮します。そして、複合加工機にレーザ金属積層造形技術を融合したレーザ金属積層造形機 LASERTEC DED hybridシリーズに、最大加工長さが 3,018 mmの「LASERTEC 3000 | 3000 DED hybrid 2nd Generation」がラインアップに加わりました。今後も当社はハード・ソフトの両面からお客様の生産性向上とMX実現に貢献いたします。

販売面では、2024年11月に東京ビッグサイトで開催された「JIMTOF2024」に出展し、当社グループ会社及びDMQPパートナー企業の最新技術やMX実現に向けたトータルソリューションをご紹介いたしました。同時に、当社の東京グローバルヘッドクォータでのオープンハウス「東京テクノロジーウィーク」も開催し、お客様に最新機種を含む12台の機械と自動化システムをご覧いただきました。

人材育成の面では、全国のお客様や地域の学生に対し、当社実機を用いた加工に関するトレーニングを提供する場として2024年5月にDMG MORI ACADEMY岡山を開所いたしました。本研修施設の新設は浜松、金沢、仙台に続く4拠点目となり、2025年以降には九州地方での開所も予定しております。

サステナビリティの面では、2024年2月に当社の温室効果ガス排出削減に向けた取り組みや水リスクの管理体制が高く評価され、国際環境非営利団体CDPによる調査「CDP2023」において、気候変動部門および水セキュリティ部門でリーダーシップレベル「A-」の評価を獲得いたしました。

また、2023年より稼働している自家消費型太陽光発電システムについては、3月に伊賀事業所で第2期(約5,200kW)、奈良事業所で第1期(約354kW)の発電を開始し、今後の発電ターム開始後には各事業所の年間電力需要量の約30%を賄います。

さらに、6月には当社およびグループ会社のドイツDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFTが、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」の目標において、国際的な環境団体のSBTイニシアチブから認定を取得しました。今後も再生可能エネルギーの活用を拡大し、循環型社会に貢献してまいります。

人的資本経営の面では、2021年に「DMG森精機 健康経営宣言」*3を発表いたしました。2024年3月に経済産業省と日本健康会議により、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人 2024」の大規模法人部門「ホワイト 500」に2年連続で認定されました。加えて、健康経営に優れた上場企業として、経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄 2024」に初めて選定されました。今後も全社的な健康増進施策を推進し、従業員が健康に個々の能力を発揮できるよう取り組んでまいります。

 

*1 戦後の日本に統計的品質管理を普及させ、日本製品の品質を世界最高水準に押し上げた故ウイリアム エドワーズ デミング博士の業績を記念して1951年に創設されたTQMに関する世界最高ランクの賞。(日本科学技術連盟ホームページより)

*2 経営管理手法の一種。Total Quality Management の頭文字をとったもので、日本語では「総合的品質管理」と言われる。企業活動における「品質」全般に対し、その維持・向上をはかっていくための考え方、取り組み、手法、しくみ、方法論などの集合体と言える。そして、それらの取り組みが、企業活動を経営目標の達成に向けて方向づける形になる。(日本科学技術連盟ホームページより)

*3 『健康経営』は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上収益

(億円)

5,395

5,409

営業利益

(億円)

554

437

親会社の所有者に帰属する当期利益

(億円)

339

77

基本的1株当たり当期利益

(円)

256.66

43.60

(注)当連結会計年度より、ロシアの事業拠点であるUlyanovsk Machine Tools oooに係る事業を非継続事業に分類しております。これにより、売上収益及び営業利益は非継続事業を除外した継続事業の金額のみを表示し、親会社の所有者に帰属する当期利益は、非継続事業の損益を含んだ金額を表示しております。なお、前連結会計年度についても同様に組み替えて表示しております。

 

セグメントの動向及び業績は以下のとおりであります。なお、以下の売上収益には、セグメント間の取引については相殺消去しております。

マシンツールセグメントでは民間航空機、宇宙、メディカル、金型、発電関連向けの業績が好調に推移いたしました。その結果、売上収益は363,158百万円(前期比1.5%増)となり、セグメント損益は18,759百万円(前期比54.6%減)のセグメント利益となりました。

インダストリアル・サービスセグメントでは、補修部品販売、修理復旧の業績が堅調に推移いたしました。その結果、売上収益は177,742百万円(前期比2.1%減)となり、セグメント損益は42,846百万円(前期比12.8%増)のセグメント利益となりました。

 

 

②財政状態の状況

(ⅰ)資産

流動資産は317,711百万円(前期比6,061百万円の減少)となりました。これは、主として営業債権及びその他の債権が3,800百万円増加した一方で、棚卸資産が10,833百万円減少したことによります。

非流動資産は479,855百万円(前期比37,822百万円の増加)となりました。これは、主として有形固定資産が23,478百万円、その他の無形資産が9,676百万円、それぞれ増加した一方で、その他の金融資産が6,949百万円減少したことによります。

この結果、資産合計は797,567百万円(前期比31,760百万円の増加)となりました。

(ⅱ)負債

流動負債は399,420百万円(前期比22,786百万円の増加)となりました。これは、主として社債及び借入金が43,504百万円増加した一方で、引当金が10,188百万円、契約負債が8,853百万円、営業債務及びその他の債務が7,794百万円、それぞれ減少したことによります。

非流動負債は81,667百万円(前期比34,960百万円の減少)となりました。これは、主としてその他の金融負債が12,205百万円増加した一方で、社債及び借入金が50,715百万円減少したことによります。

この結果、負債合計は481,087百万円(前期比12,173百万円の減少)となりました。

(ⅲ)資本

資本合計は316,480百万円(前期比43,934百万円の増加)となりました。これは、主として資本金が20,114百万円、資本剰余金が18,287百万円、その他の資本の構成要素が14,524百万円、それぞれ増加したことによります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

51,608

44,579

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△36,730

△38,195

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△16,371

△5,664

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

(百万円)

2,219

2,534

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

39,212

41,747

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前期末に比べ2,534百万円増加し、当連結会計年度末は41,747百万円となりました。

(ⅰ)営業活動によるキャッシュ・フロー

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、44,579百万円の収入(前期は51,608百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期利益37,138百万円、減価償却費及び償却費31,494百万円、棚卸資産の減少23,927百万円であり、主な減少要因は、契約負債の減少14,159百万円、引当金の減少13,963百万円、法人所得税の支払額12,534百万円であります。

(ⅱ)投資活動によるキャッシュ・フロー

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、38,195百万円の支出(前期は36,730百万円の支出)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入5,713百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出27,168百万円、無形資産の取得による支出16,637百万円であります。

(ⅲ)財務活動によるキャッシュ・フロー

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、5,664百万円の支出(前期は16,371百万円の支出)となりました。主な増加要因は、短期借入金の増加20,243百万円、長期借入れによる収入10,000百万円であり、主な減少要因は、配当金の支払額13,346百万円、リース負債の返済による支出6,525百万円であります。

 

④生産、受注及び販売の状況

(ⅰ)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

 前年同期比(%)

マシンツール(百万円)

370,619

△19.1

インダストリアル・サービス(百万円)

27,362

△5.5

合計(百万円)

397,981

△18.3

(注)1.上記金額は販売価格によっております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(ⅱ)受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

 

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注実績

495,948

△4.6

218,007

△11.8

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(ⅲ)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

 前年同期比(%)

マシンツール(百万円)

363,158

1.5

インダストリアル・サービス(百万円)

177,742

△2.1

全社(百万円)

43

16.2

合計(百万円)

540,945

0.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要性がある会計方針及び見積り

IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。重要性がある会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 11.のれん及びその他の無形資産」に記載のとおりであります。

②経営成績の分析

経営成績の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

なお、2024年度の目標とした経営指標に対しては、全社受注4,960億円(目標5,000億円)で未達、売上収益5,409億円(目標5,500億円)で未達、営業利益437億円(目標440億円)で未達となりました。

③資本の財源及び資金の流動性

当社は、主に工作機械の製造及び販売事業を行うため、事業活動における資金需要に基づき、必要な資金の一部を新株発行、社債発行、銀行からの借入金及び売掛債権流動化により調達しております。なお、効率的な資金調達を行うため、主要取引金融機関と総額97,000百万円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。当期末における当該借入残高は、21,800百万円であります。

当期末における当社グループの有利子負債の残高は、106,450百万円(前期末比7,211百万円の減少)となっております。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社の連結対象会社であるDMG MORI Europe Holding GmbHとDMG MORI AGとの間でのドミネーション・アグリーメントが2016年8月24日に発効されました。

 詳細については、「連結財務諸表注記 35.ドミネーション・アグリーメント」をご参照ください。

 

 

6【研究開発活動】

当社はMX(マシニング・トランスフォーメーション)を推進しています。MXは、高精度な5軸マシニングセンタや複合加工機により、ワンチャッキングでワークピースの5面もしくは6面を加工し、自由曲面加工、ギヤ加工、研削加工、そして付加加工なども実現します。さらに加工物を高精度に機上で計測することにより、従来複数台の工作機械で製作していたプロセスを1台の機械に工程集約します。機械台数が少なくなることで自動化が容易になり、オペレーターをワークピースの脱着作業という、単純な重労働から解放します。これを実現するためには複合加工機にロボットを取り付けるだけでなく、切りくずの除去作業、工具の監視や交換作業、ワークの精度測定さらに補正の作業、機械の稼働監視などをセンシング、モニタリング機能などのDX(デジタル・トランスフォーメーション)のサポートにより自動化することが必要です。この取り組みにより世界中で稼働していると予想される500万台の従来機を100万台のMXシステムに置き換えることを当社のミッションとしています。

MXを導入することで人手不足の解消、省エネ、省スペース、仕掛品の削減が可能となり、GX(グリーン・トランスフォーメーション)を実現します。高精度の5軸加工機、複合加工機による部品の複合化や部品精度の向上も達成されます。高精度、高品質、高機能の工作機械、自動化などの周辺機器、工具・クーラントなどの消耗品、システム構築、立上も含めたエンジニアリング、そしてサービスをワンストップでライフサイクルに渡って提供します。

MXを実現するにはDXが最も重要となり、非常に開発工数のかかる課題です。当社では日独のソフトウェアエンジニアが数年間注力し、ERGOline X with CELOS Xを開発しました。ERGOlineは工作機械のヒューマンマシンインタフェース(HMI)のハードウェアで、搭載されるソフトウェアCELOSと合わせDMG MORIの顔として、日独共通の操作システムをお客様に提供しています。工作機械のHMIは非常に重要な役割を果たしています。DMG MORIでは複数メーカーの制御装置を機械特性やお客様の要望に合わせて使い分けています。CELOS Xにより各メーカーの制御装置の特徴を生かしながら、共通のソフトウェアとしてHMIだけではなく、自動化システムソフトウェア、シミュレーション、独自のテクノロジーサイクルをはじめとするプログラム作成支援、加工状況や工具のモニタリング、機上計測、そしてAIを積極的に応用して工作機械や周辺装置に組み込みMXの高度化を推進しています。

CELOS Xの大きな特徴としてオンラインアップデートがあります。工作機械は約20年の長期間に渡りお客様の工場で使用されます。お客様が製品を導入した時点では最新であっても使用を続けるうちにソフトウェアモデルは更新され最新機との性能差が出ていました。今後はオンラインアップデートにより常に最新のソフトウェアに進化するメリットを得ることができます。これらのソフトウェアは概ね年に2回程度の頻度で更新されます。例えば新しいテクノロジーサイクルにより、これまで専用機でしか実現できなかった加工がDMG MORIの5軸加工機や複合加工機で実現できるようになり、それを既存の納入機にオンラインで導入しお試し加工ができるようになるのです。DMG MORIはソフトウェアの開発を最優先で進めています。

また2024年はMXを実現するための加工機として19機種をリリースし、自動化、ソフトウェア、機械コンポーネンツ、省エネ機能など33機能をリリースしています。2025年にはこれを上回る、25機種、38機能を開発する所存です。グローバル生産・販売を大規模で実現することで、日本とドイツを中心に強力な開発組織を維持・発展を可能にしています。

 

以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は31,395百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール25,439百万円、インダストリアル・サービス5,956百万円となっております。なお、上記研究開発費の総額には、研究開発活動間接費は含めておりません。