第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来の事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、最高の製品を提供し、お客様の「ものづくり」をサポートすることによって、社会の発展に貢献することを基本方針としており、社名の由来である「創造(SO)」「実行(DI)」「苦労、克服(C,K)」の理念の下、お客様と共に困難な問題を解決することによって、お客様に信頼して頂くことが企業の継続的発展のために最も重要なことと考えております。

 当社グループは、現在までその中で培った貴重な経験を集約して、新たな技術・製品を開発することにより、多くのビジネスチャンスを見つけてまいりました。

 今後におきましてもこの企業理念を守り、技術的優位性が高く、お客様に資する製品の開発に努め、収益力の強化につながるよう、グループ全社を挙げて取り組んでまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、中長期的な株主の皆様への利益還元と、財務体質の強化を重視しており、その前提となる経営指標は、連結経常利益率とD/Eレシオを採用しております。当連結会計年度においては、連結経常利益率3.5%、D/Eレシオ0.74倍となりました。連結経常利益率につきましては、10%以上及びD/Eレシオ0.5倍以下の経営数値目標の達成に向けて、引き続き財務バランスを意識した経営に取り組んでまいります。

区 分

数値目標

連結経常利益率

10%以上

D/Eレシオ

0.5倍以下

 (注)D/Eレシオの算出方法:有利子負債(無利息の転換社債型新株予約権付社債についても対象)÷ 株主資本

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループの事業領域は、放電加工機、マシニングセンタ、金属3Dプリンタ、射出成形機、食品機械、これら当社製の機械装置を使用して精密な金型や成形品を製造する事業及びセラミックス部材、リニアモータなど当社グループの製品を製造するために開発した技術を使用した応用機器の外部販売など、「ものづくり」に関係する多岐に渡るビジネスを展開しております。

当社グループでは「未来を創る」をコンセプトとして、お客様の「ものづくり」のお手伝いをする中で培ったコア技術を応用することによりお客様が必要とされる生産財を一貫して提供できる体制を整えること、組織の再編を通じて経営資源の最適化を図ることにより、収益力の一層の強化を図っております。また、持続可能な成長を実現するため中長期計画を策定し、経営基盤の強化に努めております。

当社は、2019年2月に公表した設立50周年を迎える2026年をターゲットに策定したソディックグループ長期経営計画「Next Stage 2026 ~Toward Further Growth~」の達成に向け取り組んでおります。「創造」「実行」「苦労・克服」の精神を基に、自社技術をさらに向上し、新たな製品群への応用開発を進め、ものづくりを通して持続可能な社会に貢献することを経営方針とし事業の拡大を目指します。現在の収益の大半を占める放電加工機だけでなく、精密マシニングセンタ、金属3Dプリンタ、軽金属射出成形機、包装米飯製造装置など今後の成長を牽引する製品群の育成により事業ポートフォリオを変革し、安定した収益基盤の構築を目指してまいります。

定量目標としては、2026年12月期までに、売上高1,250億円、営業利益170億円を展望しております。

 

各事業の具体的施策は以下の通りです。

<工作機械事業>

当社のメインの事業である工作機械事業においては、放電加工機に次ぐ製品群、金属3プリンタ、精密マシニングセンタを育成し、事業領域の拡大を図っていく方針です。

当社のコア製品である放電加工機は、次世代自動車、5G(第5世代インターネット通信)、自動化対応など技術革新への対応を進め、世界シェア・収益性向上を引き続き推進するほか、成長市場であるインドやメキシコ、また日本、中国に比べてシェアの低い欧米でのシェアアップを図ります。

金属3プリンタは、金型及び部品加工におけるアプリケーション、加工ノウハウ、金属粉末の拡充を進めるとともに、レーザーや制御技術などのコア技術の内製化を進め、コスト競争力の向上を進めてまいります。

精密マシニングセンタは、製品ラインナップの強化及び販売体制の強化により、高付加価値加工ニーズを取り込んでまいります。

生産体制においても、2018年に竣工したマルチファクトリー(石川県加賀市)をマザー工場として自動化対応や生産効率向上を進め、セル生産システムを海外工場にも横展開することで市場動向の変化や需要の波に柔軟に対応できる生産体制を構築してまいります。

 

<産業機械事業>

産業機械事業においては、当社独自のV-LINE®の製品競争力を活かし、高精密射出成形機のリーディングカンパニーとしての地位確立を目指します。

まず、海外売上高比率70%以上を目指すべく、欧州市場への参入や今後成長が期待されているインドなど新興国市場での販売を強化致します。市場ニーズの高い全電動射出成形機「MSシリーズ」のラインナップ拡充によるボリュームゾーンでの販売強化を目指すほか、中国・アジアを中心とした営業人員の拡充及びスキル向上など営業体制の整備を進めてまいります。

軽金属射出成形機についても、自動車の軽量化などを背景に需要の増加が期待できるため、アルミニウムやマグネシウム射出成形機のラインナップ拡充、安定成形、メンテナンス性の向上を進めております。

また、自動生産システム「ICF-V」やIoT・AIを活用した予防保全・状態管理等のソリューション力を強化致します。

 

<食品機械事業>

食品機械事業においては、海外販売・海外生産体制を強化し、グローバルな食品機械メーカーを目指してまいります。

中華圏及びアジア地域では、中間所得層の増加や物流インフラの高度化に伴い、冷凍麺やチルド麺、包装米飯などの高付加価値製品の需要拡大が期待できます。日本での実績を活かし、大手食品メーカーをターゲットに新規及び更新需要の開拓を進めてまいります。

また、製麺機、包装米飯製造装置に次ぐ製品群の育成を進めます。拡大が見込まれる中食市場向けの製品や自動化、省人化ニーズに応える製品群など、今後の市場ニーズに合った製品ラインナップを拡充してまいります。

生産体制についても中国での生産拡大など現地生産・現地販売の体制を早急に整えてまいります。

 

<その他>

精密金型・精密成形事業においては、金属3プリンタで造形した金型及びその専用射出成形機を活用したプラスチック部品の自動生産システムのより一層の強化により、収益性を高めます。さらに、これらの活動を金属3プリンタの成功事例として、お客様に周知して頂くことで、金属3プリンタの普及にも貢献できると考えています。

セラミックス部品については、有機EL向けの製品開発を進めるなど高付加価値分野への販売拡大を目指します。

 

全社的には、経営基盤の強化として、コーポレートガバナンス体制強化に向けた取締役会の実効性向上、監督機能の強化、多様性の向上を推進するほか、人事面では採用強化、人事制度の見直し、人材育成、働きやすい職場環境作りなど、働き方改革を推進してまいります。また、事業管理体制の見直しにより、需要動向や市場変化に強い生産・販売体制を構築してまいります。

また、資本政策としては、まず財務の健全性の目標である、D/Eレシオ0.5倍以下、ネットキャッシュプラス、自己資本比率55%を確保し、安定した財務基盤の構築を目指します。その後、成長投資や株主還元等、バランスのとれた資本配分を行います。株主還元としては、より業績連動を加味した株主還元を実施するべく、DOE2.0%以上を保持しつつ、配当性向30%を目途に段階的に引き上げてまいります。

 

当社グループでは、引き続き、製品の設計から金型や部品の加工、成形を含むものづくりの川上から川下まであらゆる工程をトータルでサポートし、お客様の課題解決に最適なソリューションを提供できるよう取り組んでまいります。

(4)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループのメイン事業である工作機械及び産業機械事業の業績は、製造業の設備投資動向に依るところが大きく、景気変動の影響を強く受けます。これに対し、当社グループでは、景気による影響が比較的少ない食品機械事業などの事業を拡充するほか、要素技術事業で新たな顧客を獲得し、景気変動リスクの低減を図ってまいります。さらに、研究開発の成果等によって新しい事業を興し、リスク分散を図り、安定した事業ポートフォリオの構築を図ってまいります。

 また、当社グループはグローバルに事業を展開しており、海外売上高比率は6割を超えております。特に中国市場における売上高は4割弱を占めるなど、中国市場への依存度が高まっており、当該地域における予期せぬ法律・規制の変更、政治体制・経済政策の変化、テロ・戦争・自然災害・感染症の発生などにより当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。その他の地域につきましては、高いマーケットシェアを獲得している日本・中国・アジア地域に比べ、今後シェア拡大が見込める欧米地域では、テックセンターを活用した販売体制及び顧客サポートの強化を進めます。また、成長が期待できるインドなど新興成長国でも販売拠点の整備などを推進し、中国市場への依存度を低減し、地域別売上高比率の最適化を目指してまいります。

 さらに近年、地震のような自然災害、火災、大規模なシステム障害などにより事業継続が困難になる事象が相次いでおります。当社グループでは、そのような危機に直面した場合でも、被害を最小限に抑え、事業継続を確実にするため、事業継続計画を策定し運用しています。生産能力の分散化を図るなど災害に強い生産体制の再検討・再構築を図ってまいります。また、地球温暖化など急激な環境変化を背景に、持続可能な社会に貢献する事業活動の重要性が高まっております。当社グループは、次世代自動車や車両の軽量化など環境負荷低減の取組みにも積極的に関与し、地球環境に配慮したものづくりを通し、サスティナブルな社会に寄与する事業展開を推進してまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

<景気変動の影響について>

 工作機械・産業機械業界の業績は、製造業の設備投資の動向に左右されやすいと言われております。当社グループが、今後成長を継続していくためには、世界各地のマーケットの状況を的確に把握し、その市場にあった製品群を投入することにより、各地域の景気動向に左右されにくい製品構成にする必要があります。また、製品開発においても、不断の研究開発の結果として、常に最先端技術を応用した新製品を市場に投入することにより、より幅広い顧客層を獲得し、安定した収益構造の構築を目指します。さらに、景気変動の影響が比較的少ない食品機械事業を展開するほか、要素技術事業でも新たな顧客を獲得するなど、景気変動リスクの低減への対応を継続してまいります。

 

<新市場への対応について>

 当社グループは、成長市場である東南アジア・中国市場において、他社に先駆けて生産・開発・販売拠点の拡充を進めてきた結果、これらの地域では日本同様の高いマーケットシェアを確保しております。これら成長市場での営業活動を継続するとともに、成長が期待できるインドなどの新興成長国における販売子会社の設立や代理店へのサポートの強化などを進めるなど今後も各市場の動向を注視し、適切な対応を継続してまいります。

 

<アフタービジネスの強化について>

 当社グループでは、安定的な収益の確保とお客様の生産性向上への貢献を通した顧客満足度の向上を目指すべく、従来のアフターサービスからAIやIoTを活用した総合ソリューションの提供への転換を図っております。「機械販売」「サプライ品・消耗品販売」「ノウハウ提供」の三位一体で、お客様の課題解決に向けたソリューションを提供し、アフタービジネスでの収益を強化してまいります。

 

<原価低減について>

 製造面では、設計の見直しや更なる重要部材の調達コスト削減を推進するとともに、たな卸資産の適正化や生産工程の再検討、市場環境に柔軟に対応できる国際的な調達ルートの確立など、各事業において収益力強化のため原価低減に向けた取り組みを行っています。特に産業機械事業は、競合他社との価格競争の激化など薄利となりやすい事業環境となっており、部材の調達方法の見直しや自動化、省人化の積極的な推進により稼働率を向上させ、原価低減を進めてまいります。

 

<強固な財務体質の構築について>

 2020年12月末現在で当社グループの有利子負債は、413億85百万円となっております(無利息の転換社債型新株予約権付社債についても対象としております。)。当連結会計年度はD/Eレシオは0.74倍、連結経常利益率は3.5%となりました。連結経常利益率10%以上及びD/Eレシオ0.5倍以下の経営数値目標達成に向けて、引き続き財務バランスを意識した経営に取り組んでまいります。今後も有利子負債の圧縮を含め様々な施策を行い、株主の皆様に対して継続した利益還元を可能にする強固な財務体質を早期に確立いたします。

 

 

<ESGに対する取り組み>

 当社グループは、CSR(企業の社会的責任)を社是「創造」「実行」「苦労・克服」の精神に基づき、お客様の「ものづくり」をサポートすることによって、社会の発展に貢献することと位置付けております。当連結会計年度においては、当社金属3Dプリンタ技術や射出成形技術を駆使し、新型コロナウイルス感染症予防に有用なフェイスシールド用フレーム「Face Tech」を開発し、社会貢献活動の一環として、医療関係・各種公共機関・スポーツ関連の施設や団体などに寄贈・供給しました。

 また、当社では社会的要請の変化を踏まえ、ESG(環境・社会・企業統治)の視点でCSRを見直し、2017年に代表取締役社長を委員長とする「CSR推進委員会」を設置しており、今後も体系的にコンプライアンス、社会貢献、人材育成、品質管理、環境など重要なテーマを中心に、ESGに対する取り組みをより一層強化してまいります。

 

<デジタルトランスフォーメーションの推進>

 近年、データとデジタル技術(クラウド、AI、IoT等)を活用し、業務や企業運営のモデル自体を変革することで競争上の優位性の確立や生産性の向上を推進する「デジタルトランスフォーメーション」(以下、DX)が急速に進展しております。

 当社グループにおきましても、DXを働き方改革のほか、事業戦略においても活用していきます。働き方改革においては、リモートワークの環境整備やRPA等のITツールの活用による業務効率化、WEB展示会やリモートツール等による営業活動を展開しています。さらに、DXの需要の高まりは当社においては事業拡大の好機と捉え、積極的な研究開発投資を行い、ITを活用したソリューションSodick IoTのサービスメニューを拡充してまいりました。今後もIoTやAI技術を駆使し、機械保守の高度化・迅速化や、お客様の生産性向上を目的としたサービスの提供を目指してまいります。

 

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応>

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に対し、2020年1月下旬に対策本部を立ち上げ、お客様、取引先様、従業員の安全を最優先とし、従業員へ一人ひとりが行うことができる感染予防対策の徹底並びに在宅ワークや時差出勤の活用等を推進し、感染拡大を防ぐ取り組みを行っています。また、対面での営業活動が難しいなか、Web展示会やリモートツール等を活用した営業活動及びサービス体制の強化を推進するとともに、金属3Dプリンタ技術を用いてフェイスシールド用フレームを開発し、医療関係や各種公共機関等に供給するなど、Withコロナ時代の持続的な成長に向けた取り組みを推進しております。また収束後の、経済活動拡大に向けた準備を行っております。

 

<長期経営計画「Next Stage 2026」の達成に向けて>

 当社グループでは、2019年2月に、設立50周年を迎える2026年をターゲットとした長期経営計画「Next Stage 2026~Toward Further Growth~」を策定しました。自動車産業の変革、IoT・AI技術の進化、5Gの普及、新興国におけるものづくりの高度化をはじめ、当社を取り巻く国際的な環境の変化に柔軟に対応しながら、持続的な成長をめざすためのビジョンであり、各事業において計画達成に向けた様々な施策を実施しております。しかしながら、長期計画策定時には想像もしなかった米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの世界的流行等の発生により、経済情勢や市場環境は著しく変化しているほか、今後の経営環境にも不透明さが残る状況が継続しております。一方、ものづくりの現場ではCASEやMaaSへの対応をはじめとした自動車産業の変革や、AIやIoTの進展、5Gの普及に向けた設備投資の動きが継続し、高精度機需要が高まることも期待されております。このような状況を踏まえ、必要に応じて長期経営計画の見直しを検討してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。当社グループとしては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も合わせて慎重に検討した上で行なわれる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点はご留意ください。

なお、文中における将来の事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

景気変動に関するリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

当社グループの工作機械及び産業機械事業の業績は、自動車、電気・電子部品、半導体、航空宇宙、医療機器、その他の業界の業績、設備投資動向に大きく影響を受ける傾向があります。また、世界同時不況のような状況に陥った場合は、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性があります。

 

<当社の対応>

当社グループでは、景気変動による影響が比較的少ない食品機械事業などの事業を拡充するほか、要素技術で新たな顧客を獲得し、景気変動リスクの低減を図っております。さらに、研究開発の成果によって新しい事業を興し、リスク分散を図り安定した事業ポートフォリオの構築を図ってまいります。

また、地道な原価低減活動や調達先の見直し等を継続するとともに、自動化・省人化などの生産技術を積極的に展開し、5GやIoT、AIといった最新技術を取り入れながら、市場の変化により柔軟かつ効率的に対応できる生産体制の構築をめざしています。

新規事業に関するリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

当社グループは、『世の中にないものは自分たちで創る』という開発理念のもと、お客様のご要望に耳を傾け、どんな困難な技術課題にも挑戦し克服し、問題を解決しており、創業以来放電加工機や高精度マシニングセンタ、金属3Dプリンタ、独自技術のV-LINE®方式を用いた射出成形機、製麺装置などの食品機械など様々な製品を開発してきました。技術革新及び市場のニーズへの対応や将来の持続的成長に向けて、今後も常に新製品を市場に投入する必要があります。

しかし、その新しい製品をお客様に理解して頂き、売上高・利益の増加に貢献するまでには、時間を要する場合があり、そのような場合には、研究開発費、販売促進費などの費用は、その回収に先行して発生するため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<当社の対応>

当社では、世界最高水準の加工精度、加工速度とお客様が求める多様な機能の拡充をめざして、日本・中国・北米の世界3極の研究開発体制を敷き、最先端技術の研究及び市場動向のマーケティングを行うほか、大学、研究所、学識経験者とも協働して、技術開発・新製品開発に取り組んでおります。また、ESGを重視して省エネルギー・省資源・脱プラ等に貢献する環境配慮型製品の開発を積極的に推進しています。

人材の確保及び育成に関するリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

当社グループが今後も成長を続けていくためには、高度な専門技術を持ったエンジニアや、経営戦略やグローバルな組織運営等のマネジメント能力に優れた人材の確保、育成が重要であると考えております。また、従業員の世代交代が進む中、当社グループにて長年培ってきた高度な技術・技能を有する人材から次世代を担う若手技術者へのコア技術の伝承も非常に重要な課題だと認識しております。しかし、必要な人材を継続的に獲得し、定着させるための競争は厳しく、日本国内では少子高齢化や労働人口の減少、また中国やタイ等の海外拠点においても雇用環境が急速に変化するなど、当社が求める人材の獲得及び育成が計画通りに進まなかった場合、当社グループの将来の成長に影響を及ぼす可能性があります。

 

<当社の対応>

高度な専門技術を持ったエンジニアや、経営戦略やグローバルな組織運営等のマネジメント能力に優れた人材の確保・育成においては、積極的な採用活動を行い優秀な人材の獲得に努めるほか、入社後の体系的な人材育成や幹部研修、階層別研修等を通した人材育成にも注力しています。また、2020年4月よりこれまでの人事制度を抜本的に改革した新人事制度の運用を開始し、社員それぞれのキャリア志向・特性に応じたキャリア形成を目指しています。

 

 

為替相場の大幅な変動によるリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

当社グループにおける海外売上高の連結売上高に占める割合は60%以上あり、それぞれの国の経済状況に大きく依存します。また、海外との取引は米ドル、ユーロ、人民元等で決済されており、為替変動によっては、業績に影響を与える場合があります。特に工作機械事業において主要製品の約半数をタイ国の現地法人が製造しているため、タイバーツにおける対円・対米ドル為替相場の大幅な高騰が発生すると製品の製造コストの増大につながり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

<当社の対応>

当社グループでは、従来より主要製品等の海外生産を進め、海外販売比率も約6割にのぼっており、為替レート変動による利益面への影響は、収益と費用の相殺効果により限定的となる生産・販売体制を取っております。

また、米ドル、ユーロなどの主要通貨に対しては為替予約による為替ヘッジを行うなど、為替レート変動の影響低減に向けた取り組みを推進しております。また、当社における外貨建ての商流等を精査した上で、必要に応じて為替予約の適用範囲を拡大してまいります。

海外事業におけるリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

当社グループはグローバルに事業を展開しており、主要製品の大半を海外にて生産しており、海外売上高比率も約60%を占めております。特に中国市場における売上高は40%弱を占めるなど依存度は高まっています。当社グループが事業活動を展開する国や地域において、予期しない法律または規制の変更、不測の政治体制または経済政策の変化、テロ・戦争・天災・その他の要因による社会混乱などが発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

<当社の対応>

当社では他社に先駆け中国へ進出し、生産工場の設立や販売網の拡充を行ってまいりましたが、中国国内販売は中国国内生産にて賄うなど地産地消の体制を整備して、為替変動や各種規制等による影響低減を図っております。

その他の地域につきましては、マーケットシェアが高い日本・中国・アジア地域に対し、今後シェア拡大が見込める欧米地域ではテックセンターを活用した販売体制及び顧客サポート強化を進めます。また、成長が期待できるインドなど新興国でも販売拠点の整備などを推進し、中国市場への依存度を低減し地域別売上高比率の最適化を目指してまいります。

法的規制のリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

当社グループの技術及び製品(以下、「製品等」という)については、外国為替及び外国貿易法第25条及び第48条により、輸出等が規制されています。万が一、製品等が懸念される国や需要者等へ違法に販売された場合、法的な制裁や社会的な信用の失墜などで業績に影響を与える可能性があります。

 

<当社の対応>

当社グループとしては、輸出管理室において製品等が違法に輸出されないよう常に十分な注意を払い、管理しています。また、その他の法的規制の動向に関しても情報収集を行い、社内共有等を通じて法令遵守の徹底に努めております。

 

 

情報セキュリティのリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

当社グループは、事業活動を通して個人情報を入手することがあるほか、営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの情報に関して、サイバー攻撃、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス、インフラ障害、情報システムの不具合などにより情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止など不測の事態が生じた場合には、当社グループに対する社会的信用の低下や事業活動の中断、対策費用の発生、多額の課徴金の支払い、取引の停止などにより、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

<当社の対応>

当社グループでは、適切なIT技術対策や社内体制の整備、従業員への教育などにより、営業上・技術上の機密情報の厳格な管理に努めています。社内標準端末としてシンクライアント利用の徹底に加え、IT資産管理・内部情報漏えい・サイバー攻撃等への対策として、総合型のセキュリティ管理ツールを導入するなどの対策を講じております。更なるセキュリティ体制強化に向け、定期的な第三者機関による脆弱性診断等も実施してまいります。

特に新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワーク実施者の増加に合わせて、情報セキュリティの強化に努めています。

企業の社会的責任に関するリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

当社グループは、社会の持続可能な発展のために、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重など企業の社会的責任を重要な経営課題と認識し、社是「創造」「実行」「苦労・克服」の精神に基づき、お客様の「ものづくり」をサポートすることによって、その実現に向けた取り組みを行っております。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、事業活動において、環境汚染、労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または特定の労働者への差別等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

<当社の対応>

当社グループでは、社会的要請の変化を踏まえ、2017年に代表取締役社長を委員長とする「CSR推進委員会」を設置し、体系的にコンプライアンス、社会貢献、人材育成、品質管理、環境など重要なテーマに対する取り組みを継続しております。また、当社グループは、次世代自動車や車両の軽量化など環境負荷低減に向けたものづくりにも積極的に関与することで、地球環境に配慮したものづくりを通し、サスティナブルな社会に寄与する事業展開を推進しています。

競合環境に関するリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

国内外に競合企業が存在する中で、他社の技術により当社グループの技術でカバーできる範囲を大きく超えた製品が開発された場合、当社は市場占有率を失う可能性があります。また、当社グループに関しましては、競合他社とは、技術力で差別化する戦略をとっておりますが、他社の値下げ攻勢により、当社グループ製品の販売価格も引き下げざるを得ない状況になった場合、利益を圧迫する可能性があります。

 

<当社の対応>

当社グループでは、競合他社に対し技術力で差別化する戦略をとっており、工作機械事業においては、NC装置やリニアモータ、セラミックスなど製品の重要な基幹部品を内製化することにより、機械の性能を最大限向上させてまいりました。また、納入後のアフターサービスの強化や自動化・IoT等のソリューション提供等によりお客様のものづくりを一貫してサポートできる体制を取ることで、競合他社に勝るサービスを展開してまいります。

 

 

原材料の価格及び調達に関するリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

機械の主要構造体である鋳物や加工タンクなどに使用されるステンレス材、消耗品等に使われる真鍮や銅等の価格の高騰が長期化した場合、当社製品の原価に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、受注の一時的集中や天災等の影響による仕入先の部材供給能力低下などで、部材の需要量が供給量を大きく超えた場合、生産数量の不足から受注機会の損失が生じる可能性があります。

 

<当社の対応>

当社では、調達基本方針を定めており、サプライヤー様との相互理解と信頼関係を構築したうえで、品質・価格・安定性など適正な基準に基づき、最適な部品をグローバルに調達しております。安定した部材調達を目指すべく、国内外の複数の調達ルート・サプライヤー様を確保することで調達先を分散し部材の供給不足や材料費・物流費等の高騰へのリスクに対応しております。また、サプライチェーン全体のリスクを把握するため、サプライヤー様の事業継続計画(BCP)策定状況を調査しており、その調査結果を踏まえた上で、当社のBCPの診断・維持・更新を行っています。

災害等に関するリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

当社グループの工場、事業所などにおいて、大きな産業事故、地震・津波・水害等の自然災害、戦争・テロ・暴動等の人為的災害、感染症の流行など各種災害が発生した場合には、部材調達、生産活動、製品の販売活動などの遅延や中断などによって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

<当社の対応>

当社グループでは、被害を最小限に抑え、事業継続を確実にするため、事業継続計画(BCP)を策定し運用しています。生産拠点の分散化による災害に強い生産体制の構築、災害後の復旧活動早期化に寄与する安否確認システムの導入のほか、自然災害による経済的な損失に対しては各種保険に加入しています。また、感染症に対する補償についても現在策定を進めています。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大に関する対応につきましては、以下「新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリスク」に記載しております。

有利子負債のリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

2020年12月末現在の有利子負債残高は413億85百万円となっております。事業資金の調達及び返済は、金利情勢その他の外的環境に左右されるため、金利が上昇するなどした場合には業績に影響が及ぶ可能性があります。また、当社の業績が著しく悪化した場合には、金融機関からの資金調達が困難になる可能性があります。

 

<当社の対応>

当社グループでは、主に固定金利での資金調達により金利上昇リスクを低減させるほか、適切な設備投資計画の策定や資産の効率化を図るなど有利子負債の削減に取り組んでおります。

固定資産に関する減損リスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

当社グループが保有する産業機械事業の機械装置及び運搬具、工具、器具及び備品、ソフトウェア、のれんなどの固定資産について、射出成形機の収益性低下により帳簿価額が回収できなくなった場合、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの世界的流行等の発生により、経済情勢や市場環境が著しく変化し経営環境が悪化した場合、また景気変動の影響による設備投資の抑制及び需要の減退等に伴い保有固定資産の経済価値が低下した場合には、必要な減損処理を実施することになり、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

<当社の対応>

当社グループにおいては、5G関連、レンズ向け成形機や北米での医療関連など成長市場での販売拡販を目指し、産業機械事業の販売体制を強化するとともに、生分解性プラスチックの成形加工を可能とした射出成形機など環境に配慮した製品の開発及び拡販を進めてまいります。また、中国向けの販売におけるコストダウンを推進するため、中国工場での生産を検討してまいります。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリスク

発生可能性

影響度

<リスクの内容>

2020年1月下旬から顕在化した新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、各国政府による緊急事態宣言やロックダウン等により事業活動の制限やサプライチェーン等の混乱などが生じており、当社グループの生産及び販売活動にも影響が生じております。今後、事態の長期化や更なる感染拡大が生じた場合には、景気減速に伴う顧客の設備投資マインドの悪化による需要減、部材調達困難によるサプライチェーンの寸断、国内及び海外工場の生産停止等により、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

<当社の対応>

当社グループでは、2020年1月下旬に対策本部を立ち上げ、お客様、取引先様、従業員並びにご家族の安全を最優先とし、従業員一人ひとりが行うことができる感染予防対策の徹底に努めており、具体的には以下の様な対応策を講じております。また、収束後の経済活動拡大に向けた準備を行っております。

 

当社の対応策

・需要減少に合わせた生産調整(タイ工場の稼働日調整)による在庫水準の適正化

・調達先の見直し及び内製化の強化等、サプライチェーンの抜本的な見直し

・当社における国内全社員を対象とした一時帰休の実施

・全社レベルでの経費削減の徹底

・一部グループ会社における給与減額

・出張(国内・海外)の原則禁止

・在宅勤務、時差通勤、Web会議等の利用促進

・学校の臨時休校に伴う特別休暇の付与

・Web展示会やリモートツール等を活用した営業活動及びサービス体制の強化

・安全衛生面の徹底(マスク着用、検温、アルコール消毒、食堂利用時間の制限、外部との接触の自粛等)

・フェイスシールドの生産及び従業員への配布並びに医療関係・各種公共機関、スポーツ関連施設・団体など

 への供給

 

<当社各拠点の対応状況 2021年3月30日時点>

拠点

対応状況

日本

公共交通機関利用を一部制限、在宅勤務推進を継続。

2020年8月~2021年2月にて、数日間の一時帰休を実施

欧米

出社と在宅勤務のローテーションを継続

中国

通常稼働

アジア

タイ工場での生産調整も終了し、現在は通常稼働

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度の世界経済は、全世界的に新型コロナウイルス感染拡大の影響により経済活動が抑制される等、厳しい状況にあり、製造業においても設備投資が抑制されました。新型コロナウイルス感染拡大の長期化により依然として先行き不透明の状況が継続する一方で、当社の最大市場である中国は他国に先駆けて経済回復し、中国以外の地域においても年後半にかけて持ち直す動きがみられました。

 このような事業環境の中、当社グループは、長期経営計画「Next Stage 2026 ~Toward Further Growth~」を掲げ、「創造」「実行」「苦労・克服」という創業精神を基盤に豊かな未来につながる技術を磨き、ものづくりを通して持続可能な社会の実現にチャレンジしております。

 新型コロナウイルス感染拡大防止におきましては、安全衛生面の徹底は元より、在宅勤務・時差出勤等を実施し、感染リスクを低減しつつ、業務を継続できる体制を維持してまいりました。また、社会貢献のため、フェイスシールド用フレーム「Face Tech」を開発し、医療関係・学校法人・スポーツ団体等へ供給しました。

 研究開発におきましては、世界初の「ワイヤ回転機構」を搭載し加工性能・省資源・安定性・自動化の優位性を高めたワイヤ放電加工機「AL i Groove Edition」シリーズ、生分解性プラスチックの成形加工を容易に実現するV-LINE®不活性ガス溶解射出成形システム「INFILT-V」、高品質な即席麺やチルド麺などのミキシングに適した大型2軸ミキサ「TM-350W」、異なる穴径の高速・高精度・高品位な長時間連続加工を可能とした超高速細穴放電加工機「K4HL」等、市場のニーズに対応した新製品の技術開発を行っています。なお、細穴放電加工機「K4HL」は、日刊工業新聞社主催の「2020年(第63回)十大新製品賞本賞」を受賞しました。

 営業・サービス活動におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響で展示会の中止が相次ぎ、対面でのサービスが困難となる状況の中、Web展示会やリモートツール等のITを活用した活動を行いました。

 このような状況のもと、当連結会計年度の業績は、売上高580億30百万円(前年同期比14.1%減)、営業利益18億52百万円(前年同期比45.9%減)、経常利益20億46百万円(前年同期比42.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益13億46百万円(前年同期比32.7%減)となりました。

 

② セグメント別の状況

工作機械事業

 売上高

38,024百万円

(前年同期比

17.0%減

 営業利益

2,896百万円

(前年同期比

1,724百万円減

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、全世界的に景気が大幅に減速し、自動車や電子部品、航空宇宙など幅広い産業での事業活動停止等による製品出荷の後ろ倒しや設備投資を先送りする傾向が強く見られました。3月以降中国における5G関連、半導体関連分野の需要回復は継続し、中国以外の地域においても年後半にかけて持ち直す動きもみられましたが、売上高は前年同期比で減少しました。

セグメント利益においても販売台数の減少に伴う工場稼働率の低下等により前年同期比で減少しました。

産業機械事業

 売上高

10,931百万円

(前年同期比

11.8%増

 営業利益

596百万円

(前年同期比

431百万円増

全世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の抑制状況は継続していますが、営業努力により主に中華圏において5Gスマートフォン関連向けで新規顧客から受注が獲得できた他、CASEなど次世代自動車関連向けなどの需要もあり、売上高は前年同期比で増加しました。

食品機械事業

 売上高

3,585百万円

(前年同期比

42.9%減

 営業利益

65百万円

(前年同期比

559百万円減

各種製麺機、麺製造プラント、無菌包装米飯製造装置などの開発・製造・販売、その保守サービスを行っています。衛生面や省人化対応設備の他、外出自粛に伴う巣ごもり需要に関連した需要増が見られたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて受注活動の停滞は避けられず、当初見込んでいた受注時期が先送りになる案件もありました。また、前年同期には、製麺関連の大口案件があったことから、売上高は前年同期比で大幅に減少しました。

その他

 売上高

5,488百万円

(前年同期比

4.3%減

 営業利益

319百万円

(前年同期比

8百万円増

精密コネクタなどの受託生産を行う精密金型・精密成形事業、リニアモータやセラミックス部材の販売等を行う要素技術事業から構成されています。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワーク等による情報通信設備の需要増を反映してセラミックスの需要も増加しています。金型成形事業においては、自動車産業の需要に持ち直しの動きが見られました。

 

③ 財政状態の状況

 当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ14億69百万円増加し、1,161億17百万円となりました。主な増加要因は、現金及び預金が50億47百万円増加したことなどがあげられますが、減価償却累計額の増加24億87百万円、商品及び製品の減少10億64百万円などにより一部相殺されております。

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ22億38百万円増加し、581億40百万円となりました。主な増加要因は、長期借入金が48億78百万円増加したことなどがあげられますが、1年内返済予定の長期借入金の減少22億1百万円などにより一部相殺されております。

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ7億68百万円減少し、579億76百万円となりました。主な減少要因は、為替換算調整勘定が5億39百万円減少したことなどがあげられます。以上の結果、自己資本比率は、49.9%となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、以下のキャッシュ・フローの増減により、前連結会計年度末に比べ53億64百万円増加し、当連結会計年度末の残高は382億55百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、52億70百万円(前連結会計年度は83億36百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益20億78百万円、減価償却費33億99百万円などの増加要因によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、14億10百万円(前連結会計年度は56億9百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出15億38百万円などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は、16億65百万円(前連結会計年度は22億28百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入125億円などによるものですが、長期借入金の返済による支出98億10百万円、配当金の支払額11億76百万円などで一部相殺されています。

 

⑤ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(2020年1月1日~2020年12月31日)

前年同期比(%)

工作機械事業

32,330

82.2

産業機械事業

12,212

122.1

食品機械事業

3,228

58.5

 報告セグメント計

47,771

87.1

その他

6,212

87.9

合計

53,983

87.2

 (注)1.金額は、販売価格によって表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含めておりません。

3.上記の金額には、サービス売上等の生産を伴わないものは含めておりません。

 

b. 受注実績

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

工作機械事業

30,108

94.0

5,773

117.1

産業機械事業

8,739

105.8

1,959

74.9

食品機械事業

2,677

54.3

2,632

91.9

合計

41,526

91.8

10,366

99.5

 (注)1.上記の金額には、サービス・消耗品等の受注は含まれておりません。

2.上記の金額には、消費税等は含めておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

(2020年1月1日~2020年12月31日)

前年同期比(%)

工作機械事業

38,221

83.4

産業機械事業

11,066

111.5

食品機械事業

3,585

57.1

 報告セグメント計

52,874

85.2

その他

7,120

90.8

59,994

85.9

調整額

△1,964

合計

58,030

85.9

 (注)1.金額にはセグメント間の内部売上高又は振替高を含めております。

2.上記の金額には、消費税等は含めておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来の事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(退職給付に係る会計処理)

 従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は発生、変更年度に一時の費用として認識されるため、発生、変更年度に認識される退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。

(繰延税金資産の回収可能性の評価)

 当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

(たな卸資産の評価)

 当社グループは、たな卸資産について、正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。また、一定期間を超えて在庫として滞留するたな卸資産についても、簿価を切り下げております。今後の市況や需要動向によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。

(固定資産の減損処理)

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 売上高につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による投資判断の先送りにより、工作機械事業、食品機械事業の機械販売が伸び悩み、売上高は前期と比較し、14.1%減少の580億30百万円となりました。

 利益面につきましても、出張制限による旅費交通費減少、展示会中止による販促・広告費減少など販管費が減少したものの、売上高の減少に伴う利益減や、放電加工機の生産台数の減少に伴う工場での収益性の低下により営業利益が前期比15億69百万円減の18億52百万円となり、営業利益率は3.2%に留まっております。

 

b. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

c. 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④ キャッシュ・フローの状況」に詳細は記載しておりますが、営業活動によるキャッシュ・フローで53億99百万円の資金を獲得し、設備投資など投資活動によるキャッシュ・フローで15億39百万円の支出となり、長期借入れによる収入など財務活動によるキャッシュ・フローで16億65百万円の資金の獲得となりました。

 当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資などに対応するものであります。これらを自己資金、金融機関からの短期・長期借入金や社債(無利息の転換社債型新株予約権付社債についても対象としております。)により調達しており、運転資金の効率的な調達を行うため、複数の金融機関とコミットメント契約を締結しております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高(短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、1年内償還予定の社債(無利息の転換社債型新株予約権付社債についても対象としております。)、社債、長期借入金の合計)は413億85百万円であります。

 

d. 目標とする経営指標

 当社の目標とする経営指標及び当該目標に対する当連結会計年度の達成度合は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載の通りであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、2017年29日にて株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を締結しておりますが、2020年4月28日付で同契約の変更契約を締結しております。

 当該契約の概要は次の通りです。

 シンジケートローンの概要

(1)

融資枠設定金額

80億円

(2)

借入人

株式会社ソディック

(3)

変更契約日

2020年4月28日

(4)

契約満了日

2024年4月30日

(5)

借入形態

コミットメントライン

(6)

資金使途

事業資金(株式取得資金を除く)

(7)

アレンジャー

株式会社三井住友銀行

(8)

エージェント

株式会社三井住友銀行

(9)

貸付人

株式会社三井住友銀行

株式会社みずほ銀行

株式会社横浜銀行

株式会社三菱UFJ銀行

 

 

5【研究開発活動】

 研究開発活動の拠点として、横浜本社技術研修センター研究開発棟に研究開発部門を置き、中国上海、米国カリフォルニア州シリコンバレーに研究開発子会社を開設しております。この世界3極体制のもと、技術研修センターを軸に、機械構造設計開発、放電加工機用電源の開発、放電加工機及びマシニングセンタなどの性能向上の研究を行っております。さらに中国上海、カリフォルニア州シリコンバレーなどの地域性を利用し、各種ソフトウエア開発、CNC装置開発、モーションコントローラ開発などの工作機械の基礎技術となる研究開発を実践しております。
 なお、基礎・応用研究には、当社グループの合計で
3,220百万円(工作機械事業2,247百万円、産業機械事業461百万円、食品機械事業136百万円、その他373百万円)の研究開発費を投入いたしました。

 

 当連結会計年度における主な研究開発の成果は、以下のとおりであります。

・リニアモータ駆動ワイヤ放電加工機の開発(工作機械事業)

リニアモータ駆動ワイヤ放電加工機「ALシリーズ」の新製品として、「AL i Groove Edition」を開発しました。世界初となるワイヤ回転機構の搭載により加工性能を向上したほか、無人での連続加工を支援する様々な機能や自動診断機能を搭載することで、省資源・安定性・自動化の優位性を高めております。

 

・リニアモータ駆動超高速細穴放電加工機の開発(工作機械事業)

 ワイヤ放電加工のスタート穴加工の用途に加え、航空宇宙・エネルギー産業、自動車産業、医療機器、電機・電子産業の様々な分野でのドリル加工が困難な細くて深い穴・加工変質層が少ない穴・出口でバリの無い穴等、加工難易度の高まりに対応すべく、高速・高精度・高品位な加工が可能となる細穴放電加工機「K4HL」を開発しました。リニアモータをはじめとする独自の放電制御技術により、ドリルでは加工が困難な細くて深い穴を高精度に高速加工できるほか、鉄系/超硬合金/銅/アルミ/真鍮に加え、切削が困難なチタン合金/ニッケル合金などの難削材にも対応できます。なお、本製品は日刊工業新聞主催の「2020年(第63回)十大新製品賞本賞」を受賞しました。

 

・V-LINE® 竪型ロータリー式射出成形機の開発(産業機械事業)

 成形品の多様化に伴う金型の大型化、作業性のさらなる改善、成形サイクル短縮等のニーズに応えるため、V-LINE® 竪型ロータリー式射出成形機「TR40VRE2」を開発しました。従来機比較で最大搭載金型サイズを1.5倍まで拡大し、金型の大型化・複雑化に対応したほか、テーブルの低床化による作業性向上、テーブル回転時間の短縮による成形サイクルの向上などを実現しています。

 

・V-LINE® 不活性ガス溶解射出成形システムの開発(産業機械事業)

生分解性プラスチックは、廃プラスチック有効利用率の低さや海洋プラスチック等による環境汚染といった世界的課題を解決する材料として期待されていますが、溶融したときの粘度が高く成形加工が困難であることが課題でした。その課題に対応すべく、当社独自の不活性ガス溶解射出成形システム「INFILT-V」を開発しました。ガスを樹脂材料に溶融させ、粘度が低下する現象を利用し、従来は成形が困難であった生分解性プラスチックでも薄肉で深物の成形加工を容易に実現することが可能となりました。

 

・大型2軸ミキサの開発(食品機械事業)

 高品質即席麺やチルド麺などの混錬性を高めた大型2軸ミキサ「TM-350W」を開発しました。即席麺市場は国内外で需要が高まっておりますが、即席麺は生麺と比べて生産量が多いため、製麺設備が大型化する一方、麺質は生麺ほど高くはありませんでしたが、麺質にこだわった商品ニーズも高まっています。このようなニーズに対応すべく、撹拌軸を2本搭載することにより、材料の練りの性能が向上し高品質な麺生地の製造が可能になったほか、大型化により大容量の生産にも対応しています。