文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「優れた製品を供給して社会に貢献する」ことを社是とし、「会社と社員の永遠の繁栄をはかる」ことを行動の基本方針としています。このような考え方を大切にし、主に産業用切削工具の分野で地道な努力を続けてまいりました。今日では、プリント配線板用超硬ドリル(PCBドリル)分野において世界のリーディングカンパニーとなっています。
今後とも「モノ造り」に専心し、高品質、高レベルな製品・サービスを柔軟に適時に提供することで、グローバルな市場の中、価値ある企業であり続けたいと願っております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、売上高や営業利益などの絶対額と売上高営業利益率を重要な経営指標としており、各項目の着実な向上を目標としております。
(3)経営環境
当社グループは前述の通リ、産業用切削工具、とりわけPCBドリルを主力製品としておりますが、これらは電子機器業界および自動車業界の影響を受けています。両分野とも今後の技術革新により更なる拡大が期待される業界であり、当社グループ製品に対する需要も増加するものと思っております。技術革新は、より高付加価値な産業用切削工具を求め、切削性・耐久性のレベルアップはもとより、それらのバランスも必要としています。当社グループは切削工具を製造する設備自体を自社で開発・製造しており、60年のノウハウをこの自社設備に集約させ、お客様の望む各種の品質要求を満たしてまいりました。この「技術に技術を上乗せ」していくノウハウの蓄積が、競合他社に対しての優位性を確固たるものとし、今後とも時代要請である技術向上の下支えに貢献していけるものと思っております。
一方で世界経済の混迷が大きな懸念となっています。2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済低迷と米中貿易摩擦の恒常化による地域ごとの強弱感の差が鮮明になった年でした。感染症に対しては、引続き予防措置の徹底を図りつつ当社グループ関係者全員の安全を最優先してまいります。感染拡大の中にあっても世界のモノ作りの現場はしっかりとした対応を定着させ、今後は回復してくるものと思っております。
また、米中貿易摩擦への対応が進み次の一手として中国国内独自の生産強化と最先端電子部品の全世界的確保という急激な変化につながりつつあります。これらの需要の規模や持続力は依然不透明ですが、この強い動きは新たな時代への一歩と理解しており、当社グループの産業界での地位をもう一段高みに導くものだと思っております。
これらの急激な変化に対して、当社グループの強みである柔軟な変化対応をこれからも続け、産業用切削工具のリーディングカンパニーの地位を確固たるものにしていく所存であります。
(4)対処すべき課題
1.当社グループ製品の付加価値向上と生産能力の増強
電子部品や電子機器向けの技術進化は耐熱性と供給量の向上を求めています。耐熱性強化の動きはプリント配線板などを硬くし厚くする傾向にあり、当社切削工具に対しては、切れ味の鋭さと高寿命を求めています。この課題に対処するため、当社は業界に先駆けてコーティング製品の開発投入を進めており、これらの更なる開発と生産量の拡大を果たしていきたいと思っております。具体的には、当社の真の強みである生産設備の内製化と研究開発の集中投入を強化してまいります。
2.多方面にわたる情報収集力(営業力)の強化
前述のように電子機器製品の進化が期待されていますが、いずれも新たな動きであり標準も十分に確立していないことから技術革新が乱立して起きています。これにより当社グループに対する要求品質もめまぐるしく変化しており、従来の定型的発想では乗り切れなくなる可能性がでてきています。技術動向、需要動向など今後を見通すために必要な情報を正確に十分に収集することが必要で、グループ総力をあげた営業力の強化を果たしていく所存であります。
3.海外拠点戦略と連携の強化
米中貿易摩擦への対応として、中国の自国内完結志向の生産戦略が進んでいます。同時に欧米向けの輸出品製造が中国から台湾や東南アジアに移る動きも出ており、需要地の変化とその規模、物流網の変化などにキメ細かい気配りが必要になっております。有用な情報収集がここでも必須ですが、日本・中国・台湾のそれぞれの生産拠点での生産力の強化と最先端品の流通に必要な連携強化も必要だと考えております。
4.第2の柱となる製品の確立
当連結会計年度における産業用切削工具の全売上高に占める割合は92.0%ですが、PCBドリルだけで約7割を占めています。PCBドリルの競争優位性や世界のお客様から寄せられる当社グループへの期待は一層高まっていくものと思っておりますが、業績の更なる安定のためには、第二の柱となる製品の成長を期す必要があります。自動車・金型加工関連の超硬エンドミルや加工領域の幅を広げる転造ダイスなど従来の事業戦略にかなう製品の拡大を果たしていきたいと思っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応を迅速かつ効果的に実施する所存であります。なお、本文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2021年3月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
①製造業の生産動向
当社グループの主な製品は、プリント配線板用超硬ドリル(PCBドリル)や超硬エンドミルなどの産業用切削工具とその他製品である転造ダイス・測定機器などであります。このため、経営成績等は、製造業全般の生産動向や工場稼働率の動向により影響を受けています。
生産動向の強弱を決める要因は、消費者の嗜好変化、政治経済動向、生産側の都合、大規模自然災害等多岐にわたります。当社グループは、どんな緊急時でも完全にストップする可能性が少ない消耗工具での事業展開に注力することで一定の業績を確保してまいりました。また、需要の急激な変化が常態であるとの認識を共有し、製販一体となった需要動向の精査と予測精度の向上を果たしつつ、見込生産を実施しております。その他、流通分を含めた在庫把握体制の強化やリードタイムの短縮に注力しております。
なお、前述の生産動向の決定要因のうち、新型コロナウイルス感染拡大と米中貿易摩擦の影響については別掲しております。
②PCBドリルへの依存体質
当社グループの売上高の約7割がPCBドリルになっており、今後しばらくはこうした状況が続くものと予測されます。このため、同製品の主要市場であるプリント配線板市場の生産動向に、当社グループの経営成績等は影響を受けています。近年、プリント配線板は高品質・高密度傾向が強く、その用途も拡大している分野で、お客様の要求もめまぐるしく変化し、多岐にわたっています。
当社グループは、PCBドリル分野で唯一世界展開を果たしている企業グループであり、生産設備の内製化(製造業の自由度を圧倒的に高めることができると考えております。)という特色を持っています。世界からの情報と内製技術の蓄積により高付加価値製品の一早い開発・製造が可能になっており、このような体制を強化することで競合他社に対する競争優位性を保てるものと思っております。
また、プリント配線板には、近年、技術革新が起こっています。このため予測し難いことではありますが、プリント配線板の技術開発動向も経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
技術革新要求は一定の地域で起きており、また、その要求を満たすための新技術・新製品はこれまでの技術の積重ねによって生み出されるものであることから、現在トップメーカーの地位にある当社が突然厳しい立場になることはないと考えておりますが、業績の更なる安定のために対象市場が異なる超硬エンドミルや転造ダイス製品の拡大にも注力しています。
③日本を含むアジア向け売上高が高いこと
連結売上高の約9割が、日本を含むアジア向けとなっています。世界的にこの地区への製造業シフトが見られ、このような傾向は止むをえないものと考えております。このような状況から、この地区での政治的・経済的・社会的変化や法規制等の変更および天変地異の発生などにより、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当連結会計年度においては、米中貿易摩擦の激化や中国の保護主義的経済運営の顕在化、そして新型コロナウイルス感染の発生などがあり、特に当社グループに関連深い東アジアでの動きがめまぐるしく変化していました。この変化の後も不透明感が高い状況にありますが、短期的な業績のブレは懸念されるものの、中期的にはアジア地区からの需要の拡大が期待されています。
④製品価格の下落傾向があること
プリント配線板は電子部品の電気的導通のベースとなるものであり、電子機器製品に必ず搭載されています。電子機器製品の本体価格は恒常的に低下する傾向にあり、搭載の各種部品・半導体等も同様の傾向にあります。このような状況下、主力のPCBドリルに対しても厳しい値下げ圧力がかかっています。当社グループは、品質・技術・サポート体制・供給力の強化を図り、少しでも価格競争による影響を回避すべく努力しておりますが、製品価格の下落が当社経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記②において当社グループ製品の高付加価値新製品に対する期待の高まりがあることを記載していますが、業界全般の価格推移に対する抵抗力が発揮できる地合いが出てきているものと思っています。今後とも価格下落圧力に対応できる新製品の開発・投入を進めてまいりたいと思っています。
⑤原材料価格動向
当社グループ製品の主要原材料は超硬合金「タングステンカーバイド」であり、タングステン鉱石の市場価格変動の影響を受け調達価格が変動します。当社グループは、高まる製品供給責任を重く受けとめ、安定した材料調達努力を続けておりますが、急激な需要増、供給量の低下など原材料価格の高騰があった場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度においては、新型コロナウィルスの感染拡大による景気の低迷から、各種原材料価格は落着いて推移していました。当面リスクとしての認識は低いと思われますが、当社グループ全体での原材料の一括購入、リサイクル材の活用および新材料の試作などを引続き強化してまいります。
⑥製造ノウハウ等が一つの拠点に集中していること
自社製機械設備製造の大部分および技術開発の大部分が、新潟県長岡市の長岡工場に集中しています。製造・技術一体となった効率高い生産設備の開発、最先端技術製品の市場に先んじての投入など、集中させているメリットは十分にあると考えていますが、同地区の地理的環境や物流網への変化・支障が生じた場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
近年、異常気象の発生や記録的大雪などが各所で問題になっていますが、新潟県長岡市は、同市独自の「消雪パイプ」道路網の整備が完了しているなど自然災害への備えが進んでいる地区であります。当社長岡工場でも大雨による水害対策の整備に乗り出しており、備えを厚くしています。その他、新型コロナウイルス対策として、早い時期から感染予防対策の徹底、キメ細かい運用を図っておりリスクの抑え込みを進めています。
⑦為替レートの変動について
外貨建売上高と海外子会社の現地通貨建決算書類の連結において、為替レートによる円換算を行います。急激な為替レート変動などがあった場合、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
⑧新型コロナウイルス感染拡大について
当社グループの生産は日本とアジアに立地し、販売は全世界にわたっています。新型コロナウイルスの感染拡大により、生産・設備投資の調整や当社グループ製品に関わるサプライチェーンの分断・混乱が生じた場合、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当連結会計年度においては、年初に中国生産の調整を余儀なくされましたが、その後の対策の徹底により直接の影響は生じておりませんでした。また、需要面では自動車の生産調整など消費マインドの悪化に関わる低迷はあったものの、テレワーク関連製品や半導体関連製品の需要拡大と当社グループ製品の主需要先である中国での急激な内需拡大などがあり、年度後半においては業績に大きな影響を及ぼすものではありませんでした。2021年に入り、ワクチンの開発・接種が開始されており、新型コロナウイルス感染症に関わる懸念事項は徐々に払拭されていくものと考えていることから、当社グループの経営戦略や事業展開に中長期的にも影響を及ぼすものではないと思っております。当面は、未知の取組みが続くと思いますが、感染予防対策の徹底と感染予防に資する新たな生活様式の受入れを急ぎ進めていく所存であります。
⑨米中貿易摩擦について
米国と中国の貿易摩擦は、当社グループに関連深い電子機器業界に先行き不透明感をもたらしています。中国での欧米向け高級品生産の他国への流出や自国生産強化を急ぐ中国政府の保護主義的行動、そして米国の保護主義的囲い込み政策などがこの間に起きていますが、世界分業体制により進化してきた電子機器業界のあらゆる面での見直しを要する可能性が出てきています。このような業界全般にわたる見直しは、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ製品は、主に世界の高付加価値製品・技術に関わる領域向けが多いことから代替品の登場が急速に進むものではないと考えていますが、情報収集の強化を図りつつ、適時で適切な規模・生産品目の生産力の強化と在庫融通のグループ連携強化を進め、供給責任の充足と一層の信頼感の醸成に努めてまいりたいと思っています。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(経営成績)
当連結会計年度における事業環境は、年初から発生した新型コロナウイルスの感染拡大への対応や米中関係の緊張感の高まりによる様子見などから、先行き不透明な状況が続いていました。
当社グループに関連深い電子機器業界では、今後有望な新技術への期待感が高く、不透明な環境にあっても常に新たな取組みを続けており、めまぐるしい変化が見られました。地域別・製品別の強弱感が分かれる中、年度末においては少しずつ回復の手応えが感じられるようになり、2020年度を終了しております。
このような状況下、当社グループは、動きのよい製品向けの需要動向にきめ細かく対応し業績の向上に努めました。なお、一部の投資有価証券を売却したことから投資有価証券売却益が特別利益に計上され、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比増加しております。
この結果、当連結会計年度の売上高は22,817百万円(前年同期比0.3%減)となり、営業利益は2,864百万円(同6.8%減)、経常利益は2,836百万円(同4.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,539百万円(同6.5%増)となっております。
次にセグメント別の状況ですが、「日本」では、前半厳しい状況が続きましたが、半導体関連製品の夏場からの回復と年度後半の自動車生産の回復により前期とほぼ同水準の業績となりました。不測の事態が相次ぐ中、当社グループの強みである柔軟性を活かして成果をあげることができたと思っております。この地区での売上高(セグメント間取引消去額を含む。以下同じ。)は16,033百万円(前年同期比3.5%増)となり、セグメント利益(営業利益)は1,652百万円(前年同期比0.2%減)となっております。
日本を除く「アジア」では、年初に新型コロナウィルス感染拡大による生産停止などがあり、極めて厳しい状況で始まりましたが、その後の次世代高速通信関連や半導体製品関連の中国向けの工具需要の高まりにより前期比増収増益と利益率の改善を達成しております。この地区での売上高は11,490百万円(同2.3%増)となり、セグメント利益は1,010百万円(同3.4%増)となっております。
その他、欧米地区では政治的な混乱や新型コロナウィルスの感染拡大による社会情勢不安から伸び悩んで推移しました。北米地区での売上高は1,133百万円(同11.3%減)、セグメント利益は41百万円(同193.7%増)となり、欧州地区の売上高は1,426百万円(同1.9%減)、セグメント利益は101百万円(同3.8%減)となっております。
(財政状態)
当連結会計年度末の資産合計は、58,032百万円(前連結会計年度末比613百万円増)となりました。
流動資産合計は32,138百万円(同3,738百万円増)となりました。主な変動要因は、現金及び預金(同4,631百万円増)、有価証券(同938百万円減)であります。
固定資産合計は25,894百万円(同3,125百万円減)となっております。このうち、有形固定資産合計は21,521百万円(同1,217百万円減)となり、投資有価証券の減少(同2,221百万円減)を含む投資その他の資産合計は4,306百万円(同1,884百万円減)となっております。
当連結会計年度末の負債合計は4,065百万円(前連結会計年度末比203百万円増)となりました。
流動負債合計は3,213百万円(同348百万円増)となり、固定負債合計は852百万円(同144百万円減)となっております。
当連結会計年度末の純資産合計は53,966百万円(前連結会計年度末比410百万円増)となりました。株主資本合計が53,425百万円(同1,502百万円増)、その他の包括利益累計額合計が541百万円(同1,092百万円減)となっております。主な変動項目は利益剰余金(同1,503百万円増)とその他有価証券評価差額金(同1,105百万円減)であります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4,585百万円増加し、当連結会計年度末現在15,550百万円となっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動の安定と利益向上を主因として、5,071百万円の収入(前年同期比29百万円の収入の増加)となっております。主なキャッシュ・イン項目は、税金等調整前当期純利益3,467百万円および減価償却費2,747百万円であり、主なキャッシュ・アウト項目は、投資有価証券売却益の増加762百万円、売上債権の増加270百万円、仕入債務の減少203百万円および法人税等の支払額345百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、684百万円の収入(同2,592百万円の収入の増加)となりました。主なキャッシュ・イン項目は、有価証券の売却及び償還による収入1,097百万円と投資有価証券の売却及び償還による収入1,235百万円であり、主なキャッシュ・アウト項目は、有形固定資産の取得による支出1,576百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,112百万円の支出(同1百万円の支出の増加)となりました。配当金の支払額1,036百万円が主な変動要因となっております。
(注) 金額は販売価格で換算しており、消費税等は含んでおりません。
当社グループは一部の受注に見込み分を上乗せした見込み生産が主体であります。従いまして、当該事項の記載は省略しております。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含んでおりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、売上高が前期比0.3%減となる22,817百万円となり、営業利益が前期比6.8%減の2,864百万円という実績になっております。新型コロナウイルスの感染拡大や米中貿易摩擦の再燃が1年を通じて景気に重苦しい影響を及ぼしている中で、新たな生活様式への対応需要や製造拠点・サプライチェーンの見直しに伴う需要が高まり、製品別・地域別にまだら模様の事業環境になっていました。このような状況下、当社グループは、半導体、PC関連などの動きのよい製品向け需要を確実にとらえ、全般の需要が低迷する中、前期比横ばいの売上高を確保しています。一方、収益面では、高付加価値製品の主需要地である日本市場での低迷をカバーしきれず、若干の減益になってしまいました。
当社グループは、3ヶ月に1度、通期の業績目標値について進捗評価を行い、その妥当性を検討しております。当連結会計年度においては、極めて厳しい外部環境の中、前期比減収減益を余儀なくされましたが、第4四半期に入ってからの急激かつ局地的な需要回復をうまくとらえて、公表していた業績予想値(売上高21,400百万円(前期比6.5%減)、営業利益2,400百万円(同21.9%減)など)を上回る実績をあげることができています。
また、当社グループは経営管理項目として売上高営業利益率をあげており、当連結会計年度においては目標値11.2%に対し実績12.6%を計上することができました。とりわけ、地域別セグメントの「アジア」において、大変厳しい事業環境の中、最新鋭の省力化設備の導入や現地でのマーケティング強化などが功を奏し、前期比3.4%増となる営業利益を達成しつつ、売上高営業利益率を若干ですが向上させられたことに自信を深めております。
半導体パッケージなどの高度な電子部品向け需要や中国の高付加価値品需要の高まりなどが感じられるようになってきましたので、引続き当社グループの得意とする品質・技術での差別化戦略を推進するとともに、生産効率の改善と産出量の拡大を図ってまいりたいと思っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、第2事業の状況の2事業等のリスクに項目⑧をたてて記載しておりますのでそちらをご覧ください。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは超硬合金などの原材料の購入費用であり、その他は製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資のための資金需要の多くは、内製している生産設備向けとなっております。当社グループは、非常に激しい需要変動にさらされており、資金に対しては十分な流動性と自由で迅速な意思決定を可能にする柔軟性の確保を重視しており、主に自己資金による財源確保を進めております。このようなことから期間業績が低迷する中にあっても経費節減やスリム化の努力を重ね、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は前期末比4,585百万円増となる15,550百万円となっております。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用に数値は反映されております。これらの見積もりについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積もりには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
イ 固定資産の減損
固定資産の減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。過年度の損益実績や事業計画に基づき検討しておりますが、市場環境の変化等により、事業計画の前提条件に変更が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
ロ 繰延税金資産の回収可能性
今年度の課税所得の実績や事業計画に基づく課税所得の見積りに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産を取り崩し税金費用の計上が必要となる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りに係る仮定は、第5経理の状況の1連結財務諸表等の(1)連結財務諸表 注記事項の(追加情報)に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、主力である切削工具については、多様化する市場ニーズに対して競争力ある製品を投入すべく、あらゆる面での強化を図りました。切削工具以外の製品については、品質・技術による差別化を基本戦略とし、引き続き新製品の開拓を目指して注力を続けております。
(1) 切削工具関係
プリント配線板工具におきましては、プリント配線板用材料の高機能化や特性改善に伴い、その加工の難易度が高まっている状況から、加工効率改善や加工品質改善を実現するコーティング工具のニーズが増しています。ドリルについては、小径高アスペクト化が求められる半導体パッケージ用サブストレートや、高多層基板向けのULFコートドリルはプリント配線板の機械加工の現場から高い評価をいただき、ハイエンド基板用途としてスタンダードの地位を確立しました。また、ルーターにおいては、長寿命を実現するダイヤモンドコートのデメリットであった耐折損性を克服する小径ダイヤモンドコートルーターを開発し、発売しました。情報通信技術の拡大や、自動車電装部品の高機能化に伴い、プリント配線板の切削加工は益々難易度を増す中、ユーザーに愛される工具開発を目指しています。
超硬エンドミルにつきましては、高性能・高付加価値を特長とすべく研究開発を進めています。その中でも、超硬合金・硬脆材加工向けとして業界を牽引しているダイヤモンドコートのUDCシリーズは第3弾となる“Hシリーズ”を新規に開発し、発売しました。Hシリーズは、新世代の刃先処理と耐摩耗性を向上させたダイヤモンドコートにより高能率・長寿命を達成しました。お客様からも“加工時間が短縮し、工具寿命が延びた”と高い評価を頂いています。また、硬度60HRCを超える非常に硬い被削材に対応したボールエンドミルHGB/HGLBシリーズ、銅電極向けのDLCコートを施したボールエンドミルDLCLBシリーズもお客様が使いやすいようにラインナップを拡充しました。さらに、5軸加工の展開が進む中で高能率加工と面粗さの向上による磨き工数の削減を狙ったバレルエンドミルを開発し、発売しました。
(2)その他の製品関係
直線運動軸受けにおきましては、半導体装置用テーブルの組立・測定環境の改善を図り、製品のクリーン度を向上しユーザー要求を実現しました。
転造ダイスにつきましては、市場ニーズに対応すべく、ダイスの寿命向上および精度向上を継続的に行っています。転造ダイスの主力市場である自動車部品分野において、パワーウインドウやパワーシートに使用されるウォームギア用ダイスは継続してお客様から高い評価を頂いています。近年では、衝突被害軽減ブレーキや電動パワーステアリングに使用されるボールねじ用ダイスの需要も高まっており、特に形状精度の高精度化に取り組んでいます。スプライン・セレーション、高強度ボルト用ダイスでは、主に表面改質処理により長寿命化を図りお客様から高い評価を頂いています。自動車市場が拡大する中国においても、ウォームギア用ダイスを中心に販売数を伸ばしています。新型コロナウイルスの影響で、日本からの出張技術サポートは困難となりましたが、Web会議やLive動画を使ったサポートを行い、販売拡大を進めました。
測定器関連では、既存製品の測長機器の改良とバージョンアップに取り組み、ユーザーの買い替え促進と新規顧客の掘り起こしに寄与すべく、市場投入を準備しております。プリント基板加工用ボール盤の高能率加工を実現する新インターフェースは、機器開発を完了し販売を開始、ユーザーの高評価を得ています。また構造物内の欠陥検出のセンサ開発は引き続き実用段階を目指して開発の進捗を図り、同時に技術の横展開を持って新たな機器構想でインフラ市場開拓に繋げるべく、今後とも体制強化を図って参ります。
生体センサの分野では、暑熱リスクに対する見守りシステムとして、協業メーカーと建設現場や工場ラインにおけるスクリーニング機器の実証試験範囲の拡大を図り、次年度以降の実運用に向けての協力体制を強化しています。また生体信号を使った各疾患検知のアルゴリズム開発も、健常者向けのスクリーニングサービスを視野に大学などと開発を進めております。一方医療機器のホームECGは携帯型心電計の市場開拓を進め、心電図の読映サービスを準備して、引き続き日常生活における心電図測定の啓蒙活動を強化し普及を図っております。
当連結会計年度における研究開発費は