文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「優れた製品を供給して社会に貢献する」ことを社是とし、「会社と社員の永遠の繁栄をはかる」ことを行動の基本方針としています。このような考え方を大切にし、主に産業用切削工具の分野で地道な努力を続けてまいりました。今日では、プリント配線板用超硬ドリル(PCBドリル)分野において世界のリーディングカンパニーとなっています。
今後とも「モノ造り」に専心し、高品質、高レベルな製品・サービスを柔軟に適時に提供することで、グローバルな市場の中、価値ある企業であり続けたいと願っております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、売上高や営業利益などの絶対額と売上高営業利益率を重要な経営指標としており、各項目の着実な向上を目標としております。
(3)経営環境
当社グループは前述のとおり、産業用切削工具、とりわけPCBドリルを主力製品としておりますが、これらは電子機器業界および自動車業界の影響を受けています。両分野とも今後の技術革新により更なる拡大が期待される業界であり、当社グループ製品に対する需要も増加するものと思っております。技術革新は、より高付加価値な産業用切削工具を求め、切削性・耐久性のレベルアップはもとより、それらのバランスも必要としています。当社グループは切削工具を製造する設備自体を自社で開発・製造しており、60年以上のノウハウをこの自社設備に集約させ、お客様の望む各種の品質要求を満たしてまいりました。この「技術に技術を上乗せ」していくノウハウの蓄積が、競合他社に対しての優位性を確固たるものとし、今後とも時代要請である技術向上の下支えに貢献していけるものと思っております。
ウィズコロナへの移行が本格化する一方で、国際情勢の緊張感の高まり、世界経済の転換などが懸念されており、当社グループをめぐる事業環境はますます混迷を深めています。資源価格の上昇、部材不足などが生産の停止、コスト上昇などにつながる事例も出ている反面、生産品目の違い、生産の高度化、産出量の拡大など求められるものが地区ごとに異なるものとなっており、きめ細かくもスピード感豊かな事業運営が必要とされています。このような難しい環境ですが、当社グループは、一体となった戦略展開を大事にしつつ、拠点独自の特性を生かした活動を続けてまいります。
(4)対処すべき課題
1.当社グループ製品の付加価値向上と生産設備内製化技術の向上
電子部品や電子機器向けの技術進化は耐熱性と供給量の向上を求めています。耐熱性強化の動きはプリント配線板などを硬くし厚くする傾向にあり、当社切削工具に対しては、切れ味の鋭さと高寿命を求めています。この課題に対処するため、当社は業界に先駆けてコーティング製品の市場投入を進めており、これらの更なる開発と生産設備内製化の強みを活かした高効率な生産体制を展開してまいります。
2.海外拠点の生産・物流面での強固な連携と拠点ごとの営業戦略確立および遂行
新型コロナウイルス感染症の世界的拡大や米中貿易摩擦の長期化などから生産・物流面での停滞が見られます。さらに、国際情勢の緊張感の高まりや世界経済の大きな転換も感じられるようになり、事業環境の先行き不透明感が高まる状況になっています。当社グループは、高付加価値の産業用切削工具をグローバルに展開していく中で、各拠点の需要動向の変化や独自の進化にきめ細かく対応していかなければならなくなってきています。今後とも海外拠点との連携を強化し、個別事情の収集と独自の営業戦略の構築・実践、さらにグループ全体の調和を確保するための統制の強化を果たしてまいりたいと思っております。
3.産業用切削工具分野で培ったノウハウとブランド力の更なる向上とこれらを活かした次世代製品の投入強化
当連結会計年度における産業用切削工具の全売上高に占める割合は約9割、そのうちPCBドリルで約7割を占めています。PCBドリルの競争優位性や世界のお客様から寄せられる当社グループへの期待は一層高まっていくものと思っております。産業用切削工具は常に最先端技術を必要とする分野になりますので、これまで培ったノウハウを更に向上させ、次世代製品への投入強化につなげていきたいと考えております。
4.サステナブルな意識など社会的要請事項への対応推進
企業を取り巻く社会からの要請事項に応えていくことが、当社が掲げる「会社と社員の永遠の繁栄」達成のために必要だと考えております。当事業年度においては、この考え方を広く社内外で共有するため「サステナビリティ基本方針」を作成・公表しました。同時期に、取締役会のもと「サステナビリティ委員会」を設置し、広範な社会的要請事項について検討を始めており、より専門性が必要とされる3つの分野(環境、社会、企業統治)について部会を設置し効率的に成果をあげる活動を進めています。今後このような考え方や推進体制を積極的に活用し、当社への社会的要請事項の対応強化を図ってまいります。当事業年度における委員会や部会の主な活動については「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」の「(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しておりますので、ご確認ください。また、当社ホームページ「https://www.uniontool.co.jp/sustainability/」に関連情報を掲載しておりますので、詳細はそちらをご覧ください。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応を迅速かつ効果的に実施する所存であります。なお、本文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2023年3月30日)現在において当社グループが判断したものであります。
①製造業の生産動向
当社グループの主な製品は、プリント配線板用超硬ドリル(PCBドリル)や超硬エンドミルなどの産業用切削工具とその他製品である転造ダイス・測定機器などであります。このため、経営成績等は、製造業全般の生産動向や工場稼働率の動向により影響を受けています。
生産動向の強弱を決める要因は、消費者の嗜好変化、政治経済動向、燃料価格の上昇や部材不足などの生産側の問題、大規模自然災害等多岐にわたります。当社グループは、どんな緊急時でも完全にストップする可能性が少ない消耗工具での事業展開に注力することで一定の業績を確保してまいりました。また、需要の急激な変化が常態であるとの認識を共有し、製販一体となった需要動向の精査と予測精度の向上を果たしつつ、見込生産を実施しております。その他、流通分を含めた在庫把握体制の強化やリードタイムの短縮に注力しております。
②PCBドリルへの依存体質
当社グループの売上高の約7割がPCBドリルになっており、今後しばらくはこうした状況が続くものと予測されます。このため、同製品の主要市場であるプリント配線板市場の生産動向に、当社グループの経営成績等は影響を受けています。近年、プリント配線板は高品質・高密度傾向が強く、その用途も拡大している分野で、お客様の要求もめまぐるしく変化し、多岐にわたっています。
当社グループは、PCBドリル分野で唯一世界展開を果たしている企業グループであり、生産設備の内製化(製造業の自由度を圧倒的に高めることができると考えております。)という特色を持っています。世界からの情報と内製技術の蓄積により高付加価値製品の一早い開発・製造が可能になっており、このような体制を強化することで競合他社に対する競争優位性を保てるものと思っております。
また、プリント配線板には、近年、技術革新が起こっています。このため予測し難いことではありますが、プリント配線板の技術開発動向も経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
技術革新要求は一定の地域で起きており、また、その要求を満たすための新技術・新製品はこれまでの技術の積重ねによって生み出されるものであることから、現在トップメーカーの地位にある当社が突然厳しい立場になることはないと考えておりますが、業績の更なる安定のために対象市場が異なる超硬エンドミルや転造ダイス製品の拡大にも注力しています。
③日本を含むアジア向け売上高が高いこと
連結売上高の約9割が、日本を含むアジア向けとなっています。世界的にこの地区への製造業シフトが見られ、このような傾向は止むをえないものと考えております。このような状況から、この地区での政治的・経済的・社会的変化や法規制等の変更および天変地異の発生などにより、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当連結会計年度においては、米中貿易摩擦の激化や中国の保護主義的経済運営の顕在化、そして新型コロナウイルス感染症の拡大などがあり、特に当社グループに関連深い東アジアでの動きがめまぐるしく変化していました。この変化の後も不透明感が高い状況にありますが、短期的な業績のブレは懸念されるものの、中期的にはアジア地区からの需要の拡大が期待されています。
④製品価格の下落傾向があること
プリント配線板は電子部品の電気的導通のベースとなるものであり、電子機器製品に必ず搭載されています。電子機器製品の本体価格は恒常的に低下する傾向にあり、搭載の各種部品・半導体等も同様の傾向にあります。このような状況下、主力のPCBドリルに対しても厳しい値下げ圧力がかかっています。当社グループは、品質・技術・サポート体制・供給力の強化を図り、少しでも価格競争による影響を回避すべく努力しておりますが、製品価格の下落が当社経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記②において当社グループ製品の高付加価値新製品に対する期待の高まりがあることを記載していますが、業界全般の価格推移に対する抵抗力が発揮できる地合いが出てきているものと思っています。今後とも価格下落圧力に対応できる新製品の開発・投入を進めてまいりたいと思っています。
⑤原材料価格動向
当社グループ製品の主要原材料は超硬合金「タングステンカーバイド」であり、タングステン鉱石の市場価格変動の影響を受け調達価格が変動します。当社グループは、高まる製品供給責任を重く受けとめ、安定した材料調達努力を続けておりますが、急激な需要増、供給量の低下など原材料価格の高騰があった場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、原材料の一括購入、リサイクル材の活用および新材料の採用の試みなどを引続き強化してまいります。
⑥製造ノウハウ等が一つの拠点に集中していること
自社製機械設備製造の大部分および技術開発の大部分が、新潟県長岡市の長岡工場に集中しています。製造・技術一体となった効率高い生産設備の開発、最先端技術製品の市場に先んじての投入など、集中させているメリットは十分にあると考えていますが、同地区の地理的環境や物流網への変化・支障が生じた場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
近年、異常気象の発生や記録的大雪などが各所で問題になっていますが、新潟県長岡市は、同市独自の「消雪パイプ」道路網の整備が完了しているなど自然災害への備えが進んでいる地区であります。当社長岡工場でも大雨による水害対策の整備に乗り出しており、備えを厚くしています。その他、新型コロナウイルス対策として、早い時期から感染予防対策の徹底、キメ細かい運用を図っておりリスクの抑え込みを進めています。
⑦為替レートの変動について
外貨建売上高と海外子会社の現地通貨建決算書類の連結において、為替レートによる円換算を行います。急激な為替レート変動などがあった場合、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
⑧新型コロナウイルス感染拡大について
当社グループの生産は日本とアジアに立地し、販売は全世界にわたっています。新型コロナウイルスの感染拡大により、生産・設備投資の調整や当社グループ製品に関わるサプライチェーンの分断・混乱が生じた場合、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当連結会計年度においては、感染の拡大期と鎮静期が繰返されるなかで、ワクチン接種の進展など対策の定着も図られてきました。世界的には経済優先の動きも見られ、混乱を見越した対応・計画策定が必要になりました。このような対策や柔軟な備えの定着もあって、今後とも業績に大きな影響を及ぼすものではないと思っておりますが、未知の取組みや気配りを続けなければならず、事業へのリスクとなり得る場合があります。当社グループは、感染予防対策の徹底と感染予防に資する新たな生活様式の受入れを急ぎ進めていく所存であります。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(経営成績)
当連結会計年度における事業環境は、新型コロナウイルス感染症対策が進み欧米諸国での規制緩和による経済活動の回復が見られた一方で、中国での都市封鎖、ウクライナ情勢の長期化に伴う供給制約や原材料価格の高騰を背景としたインフレ、急激な為替変動など、予断を許さない状況が続きました。
当社グループに関連深い電子機器業界では、半導体関連製品の需要が用途別に変調する中、需要動向にきめ細かく対応し業績の向上に努めました。主要取引通貨の円安の影響もあり、前連結会計年度から増収増益となりました。なお、一部の投資有価証券を売却したことから投資有価証券売却益が特別利益に計上され、親会社株主に帰属する当期純利益が大きく増加しております。
この結果、当連結会計年度の売上高は29,091百万円(前年同期比3.3%増)となり、営業利益は6,190百万円(同14.0%増)、経常利益は6,737百万円(同24.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,996百万円(同31.4%増)となっております。
次にセグメント別の状況ですが、「日本」では、変調する半導体関連製品の需要に対応する中でも高付加価値製品の需要が拡大したことにより、高い利益率を確保することができました。この地区での売上高(セグメント間取引消去を含む。以下同じ。)は21,554百万円(前年同期比8.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は5,294百万円(前年同期比35.6%増)となっております。
日本を除く「アジア」では、中国でのゼロコロナ政策強化と緩和による感染者の拡大、景気減速の影響により経済活動が大きく制限されました。この地区での売上高は13,512百万円(同3.8%減)となり、セグメント利益は1,059百万円(同27.1%減)となっております。
その他、北米地区での売上高は1,662百万円(同25.5%増)、セグメント利益は106百万円(同78.0%増)、欧州地区の売上高は2,382百万円(同23.1%増)、セグメント利益は190百万円(同4.6%増)となっております。
なお、当連結会計年度の期首から、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。このため前期比は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
(財政状態)
当連結会計年度末の資産合計は、69,135百万円(前連結会計年度末比4,605百万円増)となりました。
流動資産合計は40,715百万円(同4,221百万円増)となりました。主な変動要因は、現金及び預金(同3,680百万円増)、受取手形及び売掛金(856百万円減)であります。
固定資産合計は28,420百万円(同383百万円増)となっております。このうち、有形固定資産合計は22,482百万円(同309百万円増)となり、投資有価証券(同86百万円増)を含む投資その他の資産合計は5,877百万円(同82百万円増)となっております。
当連結会計年度末の負債合計は5,509百万円(前連結会計年度末比39百万円増)となりました。
流動負債合計は4,923百万円(同359百万円増)となり、固定負債合計は586百万円(同319百万円減)となっております。
当連結会計年度末の純資産合計は63,625百万円(前連結会計年度末比4,565百万円増)となりました。株主資本合計が59,429百万円(同3,532百万円増)、その他の包括利益累計額合計が4,196百万円(同1,032百万円増)となっております。主な変動項目は利益剰余金(同3,533百万円増)と為替換算調整勘定(1,208百万円増)であります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,687百万円増加し、当連結会計年度末現在20,928百万円となっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動の安定と利益向上を主因として、6,707百万円の収入(前年同期比882百万円の収入の増加)となっております。主なキャッシュ・イン項目は、税金等調整前当期純利益7,354百万円および減価償却費2,647百万円であり、主なキャッシュ・アウト項目は、棚卸資産の増加額1,157百万円および法人税等の支払額1,968百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,962百万円の支出(同1,200百万円の支出の減少)となりました。有形固定資産の取得による支出2,522百万円および投資有価証券の売却及び償還による収入1,270百万円が主な変動要因となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,550百万円の支出(同110百万円の支出の増加)となりました。配当金の支払額1,416百万円が主な変動要因となっております。
当社グループは一部の受注に見込み分を上乗せした見込み生産が主体であります。従いまして、当該事項の記載は省略しております。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、売上高が前期比3.3%増となる29,091百万円となり、営業利益が前期比14.0%増の6,190百万円という実績になっております。
各国で新型コロナウイルス感染症対策が進められ、経済活動の正常化が図られたことにより徐々に景気回復へと向かいました。その一方でゼロコロナ政策を続ける中国での景気低迷、ウクライナ情勢の長期化による原材料・エネルギー価格の高騰や、急激な為替変動など先行き不透明感が続きました。当社グループをとりまく事業環境は不安定な状況にあり、生産活動に波がありました。デジタルモバイル機器需要の一巡が見られたことや、高速通信インフラの投資も依然底堅いものでした。半導体関連は年度前半の好調から後半は需要減の影響を受けて厳しい状況となりましたが、当社グループの主力となる高付加価値ドリルは先端半導体分野で好調に推移し、収益面で大きく貢献しました。また主要取引通貨の円安の影響もあり、前連結会計年度から増収増益となりました。
その他、当社グループは経営管理項目として売上高営業利益率をあげており、当連結会計年度においては前年実績19.3%、目標値20.0%に対し実績21.3%を計上することができております。ほとんどが高付加価値ドリル需要で構成されている日本市場での品質優位性獲得と、グループ主要拠点の連携により需要対応できたことから、利益率の向上を果たすことができました。
半導体パッケージなどの高度な電子部品向けの高付加価値ドリル需要の高まりに備え、引続き当社グループの得意とする品質・技術での差別化戦略を推進するとともに、生産効率の改善と産出量の拡大を図ってまいりたいと思っております。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは超硬合金などの原材料の購入費用であり、その他は製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資のための資金需要の多くは、内製している生産設備向けとなっております。当社グループは、非常に激しい需要変動にさらされており、資金に対しては十分な流動性と自由で迅速な意思決定を可能にする柔軟性の確保を重視しており、主に自己資金による財源確保を進めております。また経費節減やスリム化の努力も重ね、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は前期末比3,687百万円増となる20,928百万円となっております。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用に数値は反映されております。これらの見積もりについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積もりには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
イ 固定資産の減損
固定資産の減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。過年度の損益実績や事業計画に基づき検討しておりますが、市場環境の変化等により、事業計画の前提条件に変更が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
ロ 繰延税金資産の回収可能性
今年度の課税所得の実績や事業計画に基づく課税所得の見積りに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産を取り崩し税金費用の計上が必要となる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りに係る仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
ハ 棚卸資産の評価
棚卸資産は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。また、一定期間を超えて保有する棚卸資産については、収益性の低下の事実を反映するために、過去の販売・使用実績及び製品群ごとのライフサイクル等に基づき決定した方針により規則的に帳簿価額を切り下げております。しかし、当初想定できなかった生産需要や経済情勢等により、前提となるライフサイクルに変更が生じる場合、更なる帳簿価額の切り下げが必要となる可能性があります。
ニ 賞与引当金
当社の賞与引当金は翌期上期賞与に対する引当金でありますが、当社の営業利益見込み(業績予想)を用いて算定しております。業績予想については経営者の最善の見積もりと判断により行われますが、将来の不確実な経済情勢の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となる可能性があります。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、主力である切削工具については、多様化する市場ニーズに対して競争力ある製品を投入すべく、あらゆる面での強化を図りました。切削工具以外の製品については、品質・技術による差別化を基本戦略とし、引き続き新製品の開拓を目指して注力を続けております。
(1) 切削工具関係
プリント配線板工具につきましては、先端パッケージ基板向けULFコートドリルの開発に注力しました。データセンターやAIサーバー向け先端パッケージのチップレット化(複数の半導体を1つのパッケージ基板に搭載する動き)によりパッケージサイズは大型化し、それを支えるパッケージ基板の機械的強度向上が求められています。そのため、基板の厚みが増し、従来よりもドリル摩耗が進みやすい基板材料が選定されている状況です。この分野では、極小径かつ溝長の長いドリルによる高精度加工が要求されるため難易度が高く、ドリル単体の性能もさることながら、基板の材種やNC加工機等のドリルの使用環境を十分に考慮した設計が必要となります。お客様との密なすり合わせを行い、当社の高い作りこみ精度を活かして開発されるULFコートドリルは、お客様からさらなる厚い信頼をいただくことができました。また、将来的に予想されるドリル供給本数の増加に対応すべく、新型ドリル製造設備の開発を行いました。この開発では設備開発担当と工具開発担当が密な議論を行い、生産性向上のみならず、これまでの設備では困難であったドリル形状設計に対応できる仕様とすることができました。
超硬エンドミルは、お客様からの長寿命・高品質・コストダウンの要求に応えるべく研究開発を進めてきました。長寿命においては、当社主力のコーティングであるHARDMAXの耐摩耗性を向上させ、被削材60HRCをメインとして幅広い被削材で性能を発揮するHMWCOATを開発し、2枚刃ボールロングネックタイプHWLBを発売しました。高品質においては、金型の磨き工程に代わりエンドミルで鏡面を得ることができるCBNシリーズのCBN-PLBを開発しました。コストダウン要求に対しては、精度や機能は従来品と同等で価格半額のφ3シャンク製品である『Vシリーズ』において、銅電極加工用として好評を得ているDLCコート製品を追加しました。
また、超硬合金・硬脆材の切削加工領域を牽引しているダイヤモンドコートUDCシリーズにおいても既存製品に対して加工能率2倍、寿命2倍以上を達成する多刃ラジアスUDCRRSを開発しました。今後もお客様の要望に応えるべく、製品の開発を進めていきます。
(2)その他の製品関係
転造ダイスにつきましては、市場ニーズに対応すべく、ダイスの寿命向上および精度向上を継続的に行っています。転造ダイスの主力市場である自動車部品分野において、パワーウインドウやパワーシートに使用されるウォームギア用ダイスは継続してお客様から高い評価を頂いています。近年では、切削加工したワークを転造加工によって表面粗さを向上させる仕上げ転造の需要も高まっており、歯面粗さを向上させた仕上げ転造用ダイスの開発、及び転造盤の検出機構を含めた仕上げ転造加工技術の開発に注力しました。
スプラインスプライン・セレーション用ダイスについては、中空ワークの転造加工に優位なダイスを開発しました。従来の標準ダイスに比べ、内径の変形や、楕円が少ないダイスになっております。今後さらに加速する自動車用シャフト部品の軽量化に対応できるダイスを提案して行きます。
自動車市場が拡大する中国においても、さらに製造設備の増設を行い、ウォームギア用ダイスを中心に販売数を伸ばしています。
測定器関連では、高精度接触式測長器(DS-2)のバージョンアップが完了し、リリースいたしました。基板製造メーカのプリント配線板用穴明機への投資は引き続き堅調で、穴明機に搭載されている当社の測定器(OPTECH-TP-G)も受注が増加しています。62期は半導体やコネクタ不足の状況下において、入手可能な部品への置換えや複数メーカの部品に対応可能な構造変更などの設計変更で対応いたしました。今後も機能改善やコスト削減を目的とした開発を最優先で進めてまいります。
インフラ向けの検査装置については試作機が完成し、製品化へ向けて検証段階にあります。実用化へ向け更に開発を強化しております。
当連結会計年度における研究開発費は