(1)会社の経営の基本方針
当社は、「高度なKiru・Kezuru・Migaku技術」をビジネステーマとして定め、「切る」、「削る」、「磨く」という3つの技術領域から逸脱することなく、日々進歩する科学を暮らしの豊かさや快適さに帰結させていくことを社会的使命(ミッション)としています。また当社では、一般的に企業の成長とされる売上やシェア、規模の拡大などは成長と捉えず、ミッションの実現性が向上すること、またお客様・株主・取引先・従業員など、すべてのステークホルダーとの価値交換性が向上することを「成長」と定義しています。
(2)中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標
当社は、企業理念である「DISCO VALUES」を全ての構成員が理解し、日々実践・実現出来るよう浸透活動を徹底する一方で、企業としての組織能力を高めるために、Will会計(当社独自の管理会計)やPIM(Performance Innovation Management)と称するマネジメント手法をグループ全社で推進しています。
また、当社ではさらなる進化を遂げるためDISCO VISION 2020を策定しております。DISCO VISION 2020は、企業を構成する主要な要素という観点と当社を取り巻く代表的なステークホルダーとの関係性という観点から、当社の2020年における実現したい到達点を定義しています。
企業像としては、どんな環境でも生き抜く卓越した生命力を持ち、多くのステークホルダーにとって、「甲斐」のある企業となっている状態を目指します。
定量的な目標の一つとしては、4年累計で20%以上の連結売上高経常利益率を維持する態勢を構築することを掲げ、これまでと同様、シリコンサイクルによる市況の大きな変動に耐えうる十分な経済的能力と構造を構築してまいります。
さらに定性的な分野についても、定期的に実施しているCS(お客様満足度)調査やSS(サプライヤー満足度)調査、ES(従業員満足度)調査を活用しながら、DISCO VISION 2020の達成基準の検討を全社的に取り組んだ上で、各部門にて目標値とマイルストーンを設定して活動を展開してまいります。
(3)会社の対処すべき課題
① 高度なKiru・Kezuru・Migaku技術の開発とCS(お客様満足度)の向上
当社の社会的使命(ミッション)を果たすために、半導体・各種電子部品の技術革新を支える高度なKiru・Kezuru・Migaku技術の継続的な開発が必要となります。そのために、継続的な開発投資を可能にする財務的・経営的基盤作りに注力して取り組んでまいります。
さらに、CS(お客様満足度)の向上を図っていくため、お客様のニーズに対し、アプリケーション技術やサービスを含めたトータルソリューションを迅速に提供できるリソースの最適化および仕組みづくりを進めてまいります。
② BCM(Business Continuity Management:事業継続管理)体制のさらなる強化
「安心して取引できる会社」「安心して働ける会社」を目指し、事業継続管理体制の構築、維持に取り組んでいます。製造・研究および本社機能を、地震が多い日本に置いていることから、本社・R&Dセンターおよび工場に免震棟を導入しています。さらに、自然災害や火災、感染症の流行、システム障害などが現実となっても事業を継続し、早期復旧するBCP(Business Continuity Plan)を策定し、全社的な対応計画を整備しています。重要製品の部材の備蓄、情報システムの二重化、従業員の訓練を継続的に行うことで、災害に強い企業づくりをさらに進めます。東日本大震災の発生を受け、今後はサプライチェーン対策をさらに進め、何があっても供給責任を果たすことができる体制づくりを強化していきます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)半導体市場等の変動による影響
当社グループは世界中の半導体メーカや電子部品メーカ向けに製品を製造・販売しているため、お客さまの設備投資動向や生産動向の影響を受けます。特に半導体は、需給のバランスによって変化する市場であり、半導体メーカの業績はこうした動き、いわゆるシリコンサイクルの影響を受けます。そのためサイクルの下降局面や予期せぬ市場変動によってお客さまが設備投資凍結や減産などを行った場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)新技術の誕生による影響
当社グループは主に半導体シリコンウェーハ加工用の半導体切断・研削装置や精密ダイヤモンド砥石を製造・販売しております。今後、精密ダイヤモンド砥石に替わる加工技術が誕生した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。なお、当社グループは精密ダイヤモンド砥石では切断が難しい素材向けなどに、レーザソーを製品化しております。
(3)災害等の発生による影響
当社グループは東京都大田区内に本社・R&Dセンター、広島県及び長野県に生産拠点を有しております。当社では、BCM(Business Continuity Management:事業継続管理)の強化に努めていますが、今後それらの地区に大規模な災害や新型インフルエンザなどが発生した場合、本社機能や製品生産に影響を与える可能性があります。
(4)為替の変動
当社グループは国内で製品を製造し、世界中の半導体メーカ、電子部品メーカへ輸出しております。基本は円建て取引ですが、地域、お客さまによっては米ドルなどの外貨建ての決済ニーズがあります。そのため、為替変動は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5)環境規制に関連するリスク
当社グループはCO2排出、水質、化学物質、廃棄物等多様な環境問題に対し環境法及び規制の影響を受けており、年々それらの規制が厳しくなっております。法令順守のみならず、当社が目指す環境中期目標を「環境ビジョン2020」として定め、環境リスク低減に努めています。環境法等の厳格化に対応するため、追加的義務並びにコスト増加が発生するリスクがあり、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)その他
上記に挙げたリスクに加え、世界及び各地域における経済情勢、自然災害、戦争・テロ、金融・資本市場、法令や政府による規制、製品の欠陥、仕入先の供給体制、知的財産権などの影響を受けます。これらの諸要因により、場合によっては当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(以下、当期)は、スマートフォンやデータセンタ向けに半導体・電子部品の需要が旺盛だったことから、年初から設備投資に力強い動きが見られました。
例年投資が活発なアジア地域のほか、日米欧においても積極的な投資が行われ、半導体ではメモリやロジック、半導体以外ではセラミックコンデンサやガラス部品など、様々な用途で精密加工のニーズが増加したことで受注高は前期から大きく増加しました。
そのため、ブレードダイサをはじめ、グラインダ、レーザソーなど精密加工装置は、過去最高の出荷額を記録。また、顧客の設備稼働率も高水準が続いたことから、消耗品である精密加工ツールの出荷額も大幅な増加となりました。これらの結果、売上高は5期連続で過去最高を更新しました。
利益については、販売管理費が人件費を中心に増加したものの、売上高の大幅な増加に加え、高付加価値製品の出荷増や製品構成の変化によりGP率が上昇したため、営業利益は6割増の大幅増益となりました。
以上の結果、当期の業績は、
売上高 1,673億64百万円(前期比24.7%増)
営業利益 509億95百万円(前期比62.7%増)
経常利益 526億90百万円(前期比66.1%増)
親会社株主に帰属する当期純利益 371億71百万円(前期比53.6%増)
となり、各利益において過去最高益を大幅に更新しました。
なお、当期時点で「4年累計経常利益率」は25.5%となり、当社の目指すべき目標の一つである「4年累計経常利益率20%以上」を2期連続で達成しました。
財政状態については、当期末の総資産は2,565億55百万円となり、前期末と比べ308億7百万円増加しました。
これは業容の拡大に伴い現預金や売掛金、たな卸資産が増加したほか、桑畑工場Cゾーンの建設に伴い建設仮勘定が増加したことによるものです。
負債は512億90百万円となり、前期末と比べ68億61百万円増加しました。これは借入金を返済した一方、未払法人税等や賞与引当金が増加したことによるものです。
純資産は2,052億64百万円となり、前期末から239億47百万円増加しました。
これらの資本構成の結果、各指標は以下の通りとなりました。
総資産利益率(ROA) 15.4%(前期比 4.2ポイント上昇)
自己資本利益率(ROE) 19.3%(前期比 5.4ポイント上昇)
4年累計RORA(Return On Risk Assets) 34.4%(前期比 8.1ポイント上昇)
自己資本比率 79.6%(前期末比 0.3ポイント低下)
(2)資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、507億31百万円の収入となりました。(前期比54.2%増)
これは税金等調整前当期純利益が大幅に増加したことが主な要因です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、126億73百万円の支出となりました。(前期比99.8%増)
これは桑畑工場Cゾーンの建設など、有形固定資産の取得による支出が増加したことが主な要因です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、240億53百万円の支出となりました。(前期比101.2%増)
これは配当金の支払いによる支出の増加と借入金の返済により支出が増加しました。
これらの結果、当期末の現金及び現金同等物の残高は、855億45百万円となりました。(前期末から138億54百万円の増加)また、「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」を合算した「フリー・キャッシュ・フロー」は380億58百万円の資金増加となりました。
② 財務政策
当社グループは、運転資金、設備資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について必要な資金を調達しております。
また、需要拡大へ対応するための生産体制増強として、桑畑工場の拡張を計画しており、自己資金によって、2021年5月までに総額270億円の投資を予定しております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
|
2014年3月期 |
2015年3月期 |
2016年3月期 |
2017年3月期 |
2018年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
71.4 |
74.8 |
80.4 |
79.9 |
79.6 |
|
時価ベースの 自己資本比率(%) |
128.0 |
217.1 |
164.2 |
269.0 |
321.3 |
|
キャッシュ・フロー対 有利子負債比率(年) |
1.3 |
0.4 |
0.3 |
0.3 |
- |
|
インタレスト・カバレ ッジ・レシオ(倍) |
399.9 |
575.0 |
675.1 |
825.6 |
2,180.7 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループは精密加工システム事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
精密加工システム事業(百万円) |
127,430 |
128.9 |
|
合計(百万円) |
127,430 |
128.9 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当社グループは精密加工システム事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における受注状況は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
精密加工システム事業 |
171,858 |
124.7 |
18,102 |
132.6 |
|
合計 |
171,858 |
124.7 |
18,102 |
132.6 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 販売実績
当社グループは精密加工システム事業の単一セグメントであり、当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
精密加工システム事業(百万円) |
167,364 |
124.7 |
|
合計(百万円) |
167,364 |
124.7 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社は、連結子会社であるDD Diamond Corporationの所有株式の全部を、Semtek Co.,Ltdに譲渡する旨の株式譲渡契約を締結し、2018年3月30日に譲渡いたしました。
また、連結子会社である株式会社ディスコ アブレイシブ システムズの所有株式の一部を、DD Diamond Corporationに譲渡する旨の株式譲渡契約を締結し、2018年3月31日に譲渡いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の研究開発費総額は151億76百万円となりました。
当社グループは、主に半導体や電子部品などの微細加工に使用される精密加工装置や精密加工ツール(消耗品)、アプリケーション技術に関する研究開発活動を行っております。
近年、最終製品の小型化、高性能化に伴い顧客から精密加工のニーズは増え続けていることから、高度なKiru・Kezuru・Migakuに関するアブレイシブ技術やレーザ技術、ソフトウェア技術などに携わるエンジニアを積極的に採用しております。
また、シリコン以外の素材加工のニーズも増えていることからそれらに対応した研究開発も積極的に行っており、実績の一例としてはSiCウェーハ向けの新しいレーザ加工技術を開発しました。