第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における日本経済は、平成27年の春から初夏にかけて緩やかながらも景気の拡大・回復が図られたものの、その後は、中国経済減速の影響の広がりや、原油・資源価格の大幅下落、米国の利上げ、それに円高が重なったことから、横ばい・足踏み状態に陥りました。東京証券取引所の平成27年度末の日経平均株価が5年ぶりに前年度末を下回ったのが、日本経済の停滞感を如実に表しています。

 海外に目を転じると、米国をはじめ、景気が底堅く推移した国が散見されるものの、総じて各国の経済成長率は鈍化し、景況感は弱含んでいます。中国経済の減速と原油安、資源安が新興国・資源国の経済成長にブレーキをかけ、世界経済全体を厚く黒く覆う暗雲となっているのがその要因です。

 このような経営環境の中で、当社グループの製品需要は国内市場では堅調に推移しましたが、海外市場ではアジアの需要が大幅に減少しました。また、前連結会計年度中に海外子会社2社を譲渡したことにより海外売上げが減少しました。

 この結果、当連結会計年度における売上高は272億29百万円となり、前連結会計年度287億15百万円と比較すると5.2%の減収となりました。営業利益は50億78百万円となり、同49億2百万円と比較すると3.6%の増益、経常利益は51億69百万円となり、同50億91百万円と比較すると1.5%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は33億57百万円となり、同30億88百万円と比較すると8.7%の増益となりました。

 事業のセグメント別の業績は、次のとおりです。

[迅速流体継手事業]

 迅速流体継手事業は、アジア向けの需要が減少しましたが国内市場の需要が堅調だったことから、売上高は110億36百万円(前連結会計年度比3.1%の増収)となりました。利益面では、売上げの増加と製品構成の影響によって、セグメント利益は26億55百万円(同12.9%の増益)となりました。

[機械工具事業]

 機械工具事業は、国内は鋼材加工機・ハンドツール・消耗品の需要が堅調でしたが、海外は前連結会計年度中に子会社2社を譲渡したこととアジア市場の低迷によって売上げが減少しました。その結果、売上高は95億33百万円(同12.0%の減収)となりました。利益面では、売上げの減少と生産体制再編による経費負担の増加によって、セグメント利益は15億69百万円(同14.3%の減益)となりました。

[リニア駆動ポンプ事業]

 リニア駆動ポンプ事業は、機器組込み用のポンプは好調でしたが医療機器が低迷したため、売上高は44億32百万円(同10.2%の減収)となりました。利益面では、売上げが減少しましたが償却費負担が減少したため、セグメント利益は5億75百万円(同1.5%の減益)に留まりました。

[建築機器事業]

 建築機器事業は、製品別にバラツキがあり、売上高は22億27百万円(同0.5%の減収)となりました。利益面では製品構成の影響等によって、セグメント利益は2億78百万円(同105.2%の増益)となりました。

 

 海外売上高は、86億43百万円(前連結会計年度比19.0%の減収)となり、海外売上高の連結売上高に占める割合は31.7%となりました。海外売上高が減収になった主な要因は、前連結会計年度中に海外子会社2社を譲渡したこととアジア市場の売上げ減少によるものです。

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、定期預金の払戻による収入130億19百万円、税金等調整前当期純利益51億21百万円の増加があったものの、定期預金の預入による支出164億79百万円、法人税等の支払額17億95百万円、配当金の支払額8億93百万円等による減少があったため、前連結会計年度末より12億93百万円減少し、当連結会計年度末には157億76百万円となりました。

    <営業活動によるキャッシュ・フロー>

当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、40億55百万円(前連結会計年度比16.9%減)となりました。これは、主に法人税等の支払額17億95百万円、棚卸資産の増減額7億26百万円、未払消費税等の増減額2億19百万円等による資金の減少があったものの、税金等調整前当期純利益51億21百万円、減価償却費11億32百万円等による資金の増加があったことによるものであります。

    <投資活動によるキャッシュ・フロー>

当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、41億98百万円(前連結会計年度比883.6%増)となりました。これは、主に定期預金の払戻による収入130億19百万円、有価証券の償還による収入10億円等による資金の増加があったものの、定期預金の預入による支出164億79百万円、有価証券の取得による支出10億円、有形固定資産の取得による支出7億17百万円等による資金の減少があったことによるものであります。

    <財務活動によるキャッシュ・フロー>

 当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、10億50百万円(前連結会計年度比15.4%増)となりました。これは主に親会社による配当金の支払い8億93百万円、リース債務の返済による支出1億56百万円等によるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

迅速流体継手(百万円)

11,014

105.7

機械工具(百万円)

9,637

92.8

リニア駆動ポンプ(百万円)

4,487

112.0

建築機器(百万円)

2,257

99.7

報告セグメント計(百万円)

27,397

101.2

 (注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

(2)受注状況

 当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3)販売実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

迅速流体継手(百万円)

11,036

103.1

機械工具(百万円)

9,533

88.0

リニア駆動ポンプ(百万円)

4,432

89.8

建築機器(百万円)

2,227

99.5

報告セグメント計(百万円)

27,229

94.8

 (注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱山善

4,334

15.1

4,462

16.4

 (注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

(1) 当社グループの現状認識について

近年は、世界の政治・経済・社会情勢の変化が瞬時に世界経済へ影響するようになり、短期的な経済予測も難しい状況になっております。

このような経済環境の中で当社グループは、短期的な景気に左右されることなく、平成28年4月(第61期)~平成33年3月(第65期)までの5年間の中期経営計画を策定しました。前中期経営計画の5年間(第56期~第60期)は、不採算事業の売却・組織再編など土作りを行いました。これから始まる第61期からの中期経営計画では、持続的な成長をするための種まきの期間とし、新製品開発、新市場開拓、新規事業探索、設備の自動化・無人化、IT活用による納期短縮・効率化、人材育成を行います。そのために、積極的に設備投資、IT投資、M&Aを含めた新規事業投資を実施いたします。中期経営計画の最終年度平成33年3月期(第65期)には連結売上高324億円、営業利益率20%を目指しております。

(2) 当面の対処すべき課題と対処方針

あらゆる業界において価格競争が厳しくなっている状況のなかで当社グループは、お客様に満足いただける「ホンモノ」のモノづくりの企業文化を継承し、技術力世界一、かつブランド力の向上、さらに企業価値の向上を目指す方針であります。

(3) 具体的な取組状況

 当社グループは、新中期経営計画に基づき、長期にわたって持続的な成長をしていくために次のような施策を実行していきます。

 研究開発面では、好不況に関係なく、継続的に研究開発投資を実施し、付加価値の高い製品開発を進めていきます。国内では、環境や食品分野など新たな用途開発に取り組み、海外では、それぞれの地域に適合する製品を投入し市場開拓を進めます。

 生産面では、生産本部を設置し各事業部に置いていた管理部門を統一し横断的に生産管理を行うことによって、生産の効率化、納期短縮、各製品の生産の分散化による事業継続計画(BCP)にもつなげていきます。

 販売面では、国内市場はユーザーに根差した活動を行うとともに、新市場・新用途の開拓に注力し、新たな需要を掘り起こします。海外市場では、事務所を開設したインドやメキシコなど、成長著しい新興国の販路開拓にも重点的に取り組んでいきます。

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

    (1) 取引先の信用リスク

当社グループは、主に代理店を通じて販売しております。これらの取引先は、長年継続して取引している信用のおける企業が大半を占めており、社内規程(与信管理)に従って売掛債権の保全に努めて、リスクを最小限に抑えております。
 しかしながら、取引先に不測の事態が万一発生した場合には、売掛債権の貸倒れ損失および販売ルートを一時的に失うことによる売り上げ減少リスクがあります。

(2) 為替変動リスク

当社グループは、平成29年3月期の為替レートを1米ドル110.0円、1英ポンド160円、1ユーロ125円、1タイバーツ3.20円、1豪ドル80円と想定して予算を策定しています。通貨によって影響額が異なりますが、仮に米ドルの為替変動が他の通貨にも連動すると仮定いたしますと、変動が小幅なら海外販売子会社への売り上げの影響と、海外製造子会社からの仕入れの影響が相殺されることにより当社の利益に与える影響は軽微であります。
 近年は各国通貨の振れ幅が大きくなり、為替変動による影響額の予測が難しくなっております。販売子会社がある米国、欧州、豪州の通貨に対して、円安に振れると売上高・利益共に押し上げ効果があります。一方、海外製造子会社があるタイ通貨に対して円安に振れると、原価が上昇し利益を押し下げます。

(3) 素材の仕入価格の高騰リスク

当社グループは、鉄、ステンレス、真鍮、アルミなど各種の素材を使用した製品を製造しております。資源国から輸入される原材料の円安による値上り、原油価格上昇による素材の高騰、オリンピック需要による資材の値上げなど、素材価格が上昇することも考えられます。素材価格の値上り分は一部の製品には価格転嫁を行いますが、原価率の上昇が避けられない状況も考えられます。当社グループはコストダウンに鋭意努力してまいりますが、今後素材価格が上昇する場合は利益を押し下げるリスクがあります。

(4) 海外製造拠点における製造不能リスク

当社は、タイ国に製造子会社を有しており、迅速流体継手、リニア駆動ポンプの製品の一部を当該会社に製造委託しております。タイ国において、予期しない法律・規制の変更や政情不安・テロ・暴動・戦争および自然災害・新型インフルエンザ等の不可抗力による事故が発生した場合は、当社への製品が一時滞ることになり、当社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

(5) 協力会社の確保リスク

当社グループは、協力会社に製造の一部を委託しております。当社グループは、今後とも協力会社を活用していく方針でありますが、必要となる技術を保有する協力会社を確保できなくなった場合には、当社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。

(6) 災害リスク等

地震、台風その他の自然災害等によって、正常な事業活動ができなくなるリスクがあります。

また、新型インフルエンザ等の伝染病が当社グループの製造・販売拠点で大流行した場合は、従業員への感染などで正常な事業活動が継続できない状況が発生する恐れがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与えるリスクがあります。

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、平成27年5月15日の取締役会で当社の100%子会社であるメドー産業株式会社を吸収合併することを決議し、予定どおり平成28年4月1日にメドー産業株式会社を吸収合併いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 2.財務諸表(1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載しております。

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、当社(日東工器株式会社)が行っております。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、6億85百万円であります。

各セグメントの研究開発状況につきましては、以下のとおりであります。

(1) 迅速流体継手事業

  迅速流体継手事業の研究開発は、当社カプラ事業部のカプラ開発部が担当し、半導体製造装置用や省エネルギー関係等新しい用途開発を行っております。当事業に係る研究開発費は、2億72百万円であります。

(2) 機械工具事業

  機械工具事業の研究開発は、当社機工事業部の機工開発部が担当し、工場環境関連や電機関連等の省人化・省力化製品の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は、2億74万円であります。

(3) リニア駆動ポンプ事業

  リニア駆動ポンプ事業の研究開発は、当社リニア事業部のリニア開発部が担当し、圧縮空気応用技術による各種製品の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は、1億15百万円であります。

(4) 建築機器事業

  建築機器事業の研究開発は、当社建築機器事業部の技術部が担当し、ドアクローザ等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は、23百万円であります。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。本連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度末における資産・負債の報告数値および偶発資産・負債の開示、ならびに当連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響する様な重要な変動に関する事項の予見、予想等を行わなければなりません。将来に関する事項につきましては、本有価証券報告書提出日現在で過去の実績や状況に応じて合理的な基準に従って見積りおよび判断したものであります。実際の結果は、見積り予測困難な不確実性があるため、これらの見積りと乖離する可能性がありますのでご留意下さい。

(2) 経営成績の分析

① 売上高の状況
 当連結会計年度の売上高は、迅速流体継手事業では、アジア向けの需要が減少したが国内市場の需要が堅調だったことから、売上高は110億36百万円(前連結会計年度比3.1%の増収)となりました。

機械工具事業では、国内は鋼材加工機・ハンドツール・消耗品の需要が堅調でしたが、海外は前期に子会社2社を譲渡したこととアジア市場の低迷によって売上げが減少しました。その結果、売上高は95億33百万円(同12.0%の減収)となりました。

リニア駆動ポンプ事業では、機器組込み用のポンプは好調でしたが医療機器が低迷したため、売上高は44億32百万円(同10.2%の減収)となりました。

建築機器事業では、製品別にバラツキがあり、売上高は22億27百万円(同0.5%の減収)となりました。

これらグループ全体の結果、当連結会計年度の売上高は272億29百万円となり、前連結会計年度287億15百万円と比較すると5.2%の減収となりました。

② 営業利益の状況
  当連結会計年度の営業利益は、迅速流体継手事業では、売上げの増加と製品構成の影響によって、営業利益は26億55百万円(同12.9%の増益)となりました。

機械工具事業では、売上げの減少と生産体制再編による経費負担の増加によって、営業利益は15億69百万円(同14.3%の減益)となりました。

リニア駆動ポンプ事業では、売上げが減少したが償却費負担が減少したため、営業利益は5億75百万円(同1.5%の減益)に留まりました。

建築機器事業では、製品構成の影響等によって、営業利益は2億78百万円(同105.2%の増益)となりました。

これらグループ全体の結果、当連結会計年度の営業利益は50億78百万円となり、同49億2百万円と比較すると3.6%の増益となりました。

③ 経常利益の状況
  当連結会計年度の経常利益は51億69百万円となり、同50億91百万円と比較すると1.5%の増益となりました。

④ 親会社株主に帰属する当期純利益の状況
  当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は33億57百万円となり、同30億88百万円と比較すると8.7%の増益となりました。

(3) 財政状態の分析

① 総資産の状況

当連結会計年度末の資産残高は、前連結会計年度末に比べて24億63百万円(前連結会計年度比4.6%)増加し564億29百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加15億82百万円、有価証券の増加4億99百万円、リース資産(純額)の増加4億68百万円、商品及び製品の増加4億23百万円、建物及び構築物(純額)の減少4億1百万円、投資有価証券の減少3億14百万円等によるものであります。

② 負債の状況

負債残高は、前連結会計年度末に比べて、リース債務の増加4億66百万円、退職給付に係る負債の増加1億75百万円等により7億79百万円(前連結会計年度比10.3%)増加し83億21百万円となりました。

③ 純資産の状況

純資産残高は、前連結会計年度末に比べて16億83百万円(前連結会計年度比3.6%)増加し481億7百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加24億64百万円、為替換算調整勘定の減少4億63百万円、その他有価証券評価差額金の減少2億20百万円等によるものであります。

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 第2[事業の状況]4[事業等のリスク]に記載のように、取引先の信用リスク、為替変動リスク、素材の仕入価格の高騰リスク、海外製造拠点における製造不能リスク、協力会社の確保リスク、災害リスク等によって、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

(5) 戦略的現状と見通し

  戦略的現状と見通しについては、第2[事業の状況]3[対処すべき課題]に記載のように、中・長期的な視点で独創的な商品を開発し、ブランド力を強化いたします。

(6) 資本の財源および資金の流動性についての分析

 第2[事業の状況]1[業績等の概要](2)キャッシュ・フローの状況の項目に記載のように、実質無借金経営を堅持しております。

(7) 経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループは、創立以来「開発は企業の保険なり」の社是のもと、事業活動に取り組み、産業界の省力・省人化、作業環境の改善を通じて社会に貢献することを基本方針に掲げております。この基本方針に基づいて、高機能・高品質・高信頼性の製品づくりに努め持続可能な成長を続け、企業価値を高めてまいります。
  当社グループの中長期的な経営戦略は、お客様に喜んでいただける「ホンモノ」のモノづくりによって、日東工器ブランドの向上、さらには企業価値の向上を目指すことであります。