(1) 経営の基本方針
当社グループは、経営の基本方針を「基本理念」として掲げており、その内容は次のとおりであります。
(2) 経営環境、対処すべき課題
①フォークリフト用エンジン認証での法規違反への対応
当社のフォークリフト用エンジンの経年劣化による排出ガス国内規制値の超過と、排出ガス国内認証に関する法規違反につきましては、外部弁護士による調査に加え、独立した外部有識者による特別調査委員会の調査結果をもとに、本件内容の解明および真因分析、これらに基づく再発防止を徹底してまいります。その後、関係省庁の判断、指示を踏まえ、出荷再開、市場措置に向け取り組んでまいります。
②事業に対する取り組み
新型コロナウイルス感染症の影響から回復基調にある一方、半導体不足、地政学的緊張の高まりを受けた資源価格の高騰、供給制約等の長期化懸念ほかにより、世界経済の先行きは不透明な状況が続いております。
一方で、カーボンニュートラル実現に向けた世界的な取り組みの加速やデジタル化の進展など、政治、経済、テクノロジーの分野における変化は著しく、当社の主要な事業である自動車、産業車両分野においても、電動化、自動運転領域の開発の進展や、IT、デジタル技術の活用による新規参入、業界構造の変化が生じており、企業間の競争がますます激しくなっております。
このような状況のもと、当社はより強固な経営基盤を築き、企業価値を一層向上していくため、次に挙げる3点に取り組んでまいります。
(イ) 基本の徹底
会社の基盤である、安全、健康、品質、コンプライアンス、環境への取り組みを継続し、特に法令遵守の体制やしくみを見直してまいります。加えて、モノづくりにおける「安全第一、品質第二、生産第三」の優先順位を堅持し、安全文化の定着をはかってまいります。
(ロ) 体質強化
刻々と変わる世の中に対してアンテナを高く張り、リスクや課題に対して必要かつ十分な経営資源を投入し、迅速、的確に対応してまいります。また、そのために自ら変革できる組織、風土づくりを進めてまいります。
(ハ) 将来に向けた挑戦
市場や業界の変化を当社の成長に向けたチャンスと捉え、IT、デジタル技術やオープンイノベーションを積極的に活用のうえ、新たな技術、商品開発を進め、お客様が求めるサービスの提供に努め、さらなる成長機会の取り込みをはかってまいります。
これらの取り組みを通じて、持続的な成長を支えるための経営基盤をより強固なものにするとともに、2030年ビジョンに示しますとおり、世界の産業、社会基盤を支え、住みよい地球、豊かな生活、温かい社会づくりに貢献できるように努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが合理的な一定の前提に基づいて判断したものであり、その実現を約束する趣旨のものではありません。実際の結果は不確実性により変更される可能性があります。
(1) ガバナンス
当社グループは取締役会の下位の会議体に、サステナビリティへの取り組みを含む経営ビジョンや中期経営戦略を扱うマネジメント・コミッティ、特定の専門分野を扱うCSR委員会、環境委員会を組織し、CSR重要課題(マテリアリティ)をはじめとする当社グループのサステナビリティ分野の課題やリスクについて、審議、決定し、必要に応じ、取締役会でも報告、審議しております。CSR委員会、環境委員会ともに社長が委員長を務め、CSR重要課題(マテリアリティ)に関する主要な管理指標について中長期目標の策定、進捗管理、必要な投資などを審議、フォローしております。CSR委員会では、主にサステナビリティに関する重要事項について、環境委員会では、主に環境経営推進上の重要事項について審議等を実施しております。コーポレート・ガバナンス体制図については、「
(CSR委員会)
(2) 戦略
① 2030年ビジョンとCSR重要課題(マテリアリティ)
当社グループは創業以来、社是である豊田綱領とそれに基づく基本理念の考え方である「住みよい地球と豊かな社会づくり」のもと、事業を通じて積極的に社会課題の解決に取り組んでまいりました。2030年に目指す姿である「2030年ビジョン」は、創業以来の事業「繊維機械」を原点として「自動車」「産業車両・物流」を両輪に事業展開し、社会と調和しながら、持続的に成長していく方向性を示しております。当社グループは、これからも社会のお役に立つとともに、持続的に成長することを目指して、取り巻く社会の変化や課題に真摯に向き合い取り組んでまいります。
(2030年ビジョン)

この2030年ビジョンに掲げる「住みよい地球と豊かな生活、そして温かい社会づくり」に貢献することを目指し、「豊田自動織機グループサステナビリティ方針」に基づき、事業を通じた持続可能な社会の実現に向け、当社グループが取り組むべき特に重要な事項を次のとおりCSR重要課題(マテリアリティ)として定義し、その解決に努めております。

② 気候変動
当社グループの経営方針、経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連の取り組みのうち、気候変動を重要な項目の1つとして位置付けております。気候変動のリスクと機会が当社グループに与える影響を把握するため、主要事業である産業車両事業についてシナリオ分析を実施しました。時間軸としては中期経営計画と長期環境ビジョンの2030年と2050年とし、選択したシナリオは移行リスクが顕在化する「2℃未満シナリオ」および物理リスクが顕在化する「4℃シナリオ」を設定しました。分析にあたり気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書「代表的濃度経路に関する将来シナリオ(RCP2.6、8.5シナリオ)」、国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlookより「持続可能な開発シナリオ(SDS)」、「公表政策シナリオ(STEPS)」を参照しました。
(シナリオ分析前提条件)
(各シナリオにおける当社グループを取り巻く社会像)
これらのシナリオが事業に与えるリスクと機会のうち影響が大きなものを次の表のとおり抽出しました。その上で、例えば、気候変動緩和に向けた規制強化による売上げ減少のリスクや環境性能に優れた製品の需要拡大による売上げ増加の機会を特定し、CSR重要課題の目標として掲げ、事業戦略へ織り込んでおります。
(シナリオ分析による財務影響の評価)
(リスクと機会への対応)
③ 人的資本
当社グループは、「豊田自動織機グループサステナビリティ方針」に基づき、「企業活動の成功は、従業員一人ひとりの個性と能力を伸ばし、全体の総合力を発揮することによってこそ達成される」との信念のもと、従業員を尊重し、個々人の成長を支援しております。そのために、均等な雇用機会を提供するとともに、従業員の多様性を確保し、職場力の強化に努めております。また、女性の活躍推進活動を進めており、国内では女性活躍推進法に基づき行動計画を策定し、管理職比率などの目標を設定して活動を推進しております。外国人や中途採用者については、個人の能力を公平、公正に評価し、管理職への登用を実施しております。
<人材の育成に関する方針および主な取り組み>
ⅰ) OJT (注)
従業員一人ひとりの能力の向上は、会社の持続的発展に必要不可欠なものであり、従業員の仕事のやりがいにおける最も重要な要素であると認識しております。業務を通じたOJTを人材育成の基本と位置づけ、日々の指導や上司と部下による年2回の面談を通じて、従業員の人材育成に取り組んでおります。さらに、OJTを補完する施策として、新入社員に対する導入研修や、昇格者を対象とした階層別研修、業務遂行上必要な専門知識や能力、技能を身につける専門教育など、職場での実践につながる各種研修を実施しております。
(注) On the Job Trainingの略。
ⅱ) 品質教育
社祖である豊田佐吉の「完全なる営業的試験を行うにあらざれば、発明の真価を世に問うべからず」という遺訓の精神を受け継ぎ、品質こそ会社の生命線と考えております。そこで、全従業員を対象に、実務で必要な品質保証スキルを身につけるため、体系化された品質教育を実施しております。その一環として、SQC(統計的品質管理)と機械学習の基礎教育などを実施し、機械学習の実践活用を拡大するため、職場の問題解決を通じた中核人材の育成をしております。また、技能系職場を対象にQCサークル活動に全員参加で取り組んでおり、それらの成果として、全国のQCサークル大会で発表し多くの賞を頂いております。海外生産拠点でもQCサークル活動に活発に取り組んでおり、各拠点にQCサークルトレーナーを育成、認定して、自律した活動ができるよう指導しております。さらに、創意工夫提案の取り組みでは、全員が日々改善に取り組んでおります。
<社内環境整備に関する方針および主な取り組み>
ⅰ) 人間関係づくり
上司と部下、従業員同士が十分なコミュニケーションを通じて良好な人間関係を構築することが重要だと考えております。そのため、上司と部下の間のコミュニケーションを積極的に行うだけでなく、先輩が後輩の日常の悩み事も含めた良き相談相手となる「職場先輩制度」を設けるなど、職場におけるコミュニケーションの強化に取り組んでおります。加えて、職場や会社全体での一体感醸成のため、日常の業務を離れたインフォーマルなコミュニケーションの促進にも取り組んでおります。近年はコロナ禍により一部中断しておりますが、これまで実施してきた職場単位での慰安会や、運動会、納涼祭、駅伝大会といった会社単位でのイベントなどを、今後も実施していきます。これらの取り組みを通じ、従業員一人ひとりがいきいきと働ける職場づくりを進めております。
ⅱ) 従業員満足度の向上
従業員一人ひとりが最大限能力を発揮でき、やりがいや働きがいを感じられる職場づくりに重点をおいております。従業員の困りごとや職場における不満については、上司と部下のコミュニケーションによる解決を基本としつつ、全社的な従業員意識調査による声の吸い上げも行っております。加えて、労働組合で集約された従業員の意見についても、労使間で徹底的に話し合うことで、職場環境の改善に取り組んでおります。また、従業員の生活の安定も重要であると考えており、より豊かで充実した生活につながる福利厚生制度の整備も推進しております。
ⅲ) 仕事と家庭の両立支援の取り組み
仕事と家庭の両立に取り組む従業員が、高い目標を持って活躍し、キャリアを形成できるよう、「両立支援制度の充実」、「両立に対する理解促進」を柱に取り組みを進めております。両立支援制度の充実では、「事業所内託児所の設置」、「育児、介護、配偶者の転勤による退職者が復職できる制度(ウェルカムバック制度)」、「育児のための短時間勤務制度」、「不妊治療のための公休制度、資金貸与制度」などの導入により、従業員が安心して長期にわたり当社で活躍することを支援しております。また、両立に対する理解促進の取り組みでは、介護に関する知識の習得や、相談しやすい職場風土醸成のため、仕事と介護の両立支援ハンドブックを40歳以上の従業員へ配付しております。その他、従業員や家族を対象とした仕事と介護の両立セミナーの定期開催や、希望者への介護ニュース(メールマガジン)配信も行っております。
このような取り組みの結果、2019年8月にはこの分野での高い水準の活動を評価され、厚生労働省より「プラチナくるみん」企業の認定を受け、2020年2月には、「愛知県 ファミリー・フレンドリー企業表彰」を受賞しました。
<多様性に関する方針および主な取り組み>
ⅰ) 女性の活躍推進の取り組み
担当する仕事や役割において、性差なくすべての従業員が活躍することを「めざす姿」とし、女性の一層の活躍に向けた取り組みを強化しております。各部門の男女メンバーによる事務、技術職女性活躍推進プロジェクトが中心となり、女性活躍に関する課題抽出と会社への施策提言を行い、これらをもとに女性活躍推進の行動計画を作成、その計画に基づいてさらなる女性の活躍推進に向けた取り組みを進めております。また、部下の指導や育成を行う管理職を対象としてセミナーを実施し、これまで1,500人を超える管理職に啓発を行っております。さらに、「育児休職前セミナー」への参加など、性別に関わらず介護や育児などの時間的制約のある従業員が置かれている環境の理解、ライフイベントを意識した育成についての啓発も行っております。このような取り組みの結果、男性の育児休職取得率も増加しております。
また、仕事と育児の両立に取り組む従業員が高い目標を持って活躍し、キャリア形成できる環境を整備するため、キャリアの中断からの早期復帰支援制度を充実させております。「終日在宅勤務制度」や、配偶者とともに復職後の働き方を考える「育児休職前セミナー」、1歳未満の子を養育しながら働く従業員に対する「保育費用補助制度」を導入しました。このような取り組みの結果、女性管理職の人数は着実に増加しております。
そして、2016年10月には厚生労働省より、女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業に対して与えられる「えるぼし」企業認定を、2019年11月には愛知県から「あいち女性輝きカンパニー」における「優良企業」表彰を受けております。今後、女性が仕事の幅を広げその質を高められるような職場づくりや、生産現場の女性活躍推進の取り組みを継続的に行っていきます。加えて、時間的制約などがあるすべての従業員が自分らしく活躍できる環境整備も推進してまいります。
(女性活躍推進の取り組み)

ⅱ) 障がい者雇用の取り組み
「障がい者と健常者が一緒に仕事をし、働きがい、生きがいを共有する」という基本的な考えのもと、毎年継続的に障がい者の採用を行っており、入社後さまざまな職場で健常者とともに活躍しております。
ⅲ) 高年齢者が活躍できる環境整備の取り組み
高年齢者が生産現場でいきいきと働くことができるよう、身体的負担を減らした職場づくりに力を入れております。取り扱う重量や作業環境などについて、高年齢者に配慮した基準の設置や、デジタル技術を活用し、映像から作業姿勢の身体的負荷を自動で評価する「作業姿勢分析システム」を用いた生産ラインにおける工程改善などを行っております。また、50歳、55歳の節目を迎えた従業員に対し、その先10年の生き方や働き方を考える機会として「いきいきセミナー」を実施しております。
基本的な考え方
当社グループはリスク管理について、次の項目を基本として取り組んでおります。
・リスクの未然防止や低減への取り組みを日々の業務の中に織り込み、その実施状況をフォローすること。
・リスクが顕在化した場合には、迅速かつ的確な緊急対応により、事業や社会への影響を最小化するための適切な行動を徹底していくこと。
推進体制
当社グループは毎年、品質、安全、環境、人事労務、輸出取引、災害、情報セキュリティなどにおけるリスクの未然防止や低減への取り組みを、各事業部および本社各部門の活動方針に織り込み、推進しております。その実施状況については、CSR委員会や環境委員会などの機能別の会議体で評価、フォローしております。
CSR委員会ではリスク統括責任者を中心に、全社に関わるリスクから特に重点となるもの(重点リスク)を洗い出し、各機能会議体での対策や、複数の機能にわたる新たなリスクへの対策につなげる活動を強化しております。こうした重点リスクへの対応を含め、各事業部および連結子会社のリスク管理レベルの向上を支援するため、本社の安全、品質、環境などの各機能部門は、連結子会社を含むグループ全体的な視点で規則やマニュアルを制定し、業務監査や現場点検などで確認、フォローを行っております。
気候関連リスクをはじめとするサステナビリティ分野の課題やリスクについては、当社グループのCSR重要課題(マテリアリティ)として明確に定義し、管理指標や目標を明確にし、CSR委員会の中で定期的にモニタリングを行っております。
(4) 指標および目標
① CSR重要課題(マテリアリティ)
当社グループはサステナビリティに関するリスクを緩和し機会を拡大するため、CSR重要課題(マテリアリティ)において、各分野での取り組み目標と活動、および中期目標値を設定し、活動を推進しております。なお、表中の「(単独)」の表記は、その取り組み目標と活動、および目標値が当社グループではなく当社のものであることを示しております。
(注)1 ※1 挑戦目標として、2030年度に2013年度比△50%。
2 最新の取り組み方針、取り組み目標と活動、目標値などにつきましては、下記リンク先「CSR重要課題(マテリアリティ)」に記載の「事業を通じた社会課題の解決に関する取り組み方針・目標・実績」および「事業活動の基盤に関する取り組み方針・目標・実績」を参照ください。下記リンク先は毎年8月頃に更新をしております。
② 気候変動
気候変動に関する指標および目標は、「① CSR重要課題(マテリアリティ)」に含めております。
③ 人的資本
人的資本に関する指標および目標は、以下のとおりであります。
当社グループの財政状態、経営成績および株価などに影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 主要な販売先
当社グループは、車両およびエンジンなどの商品を主にトヨタ自動車株式会社に販売しており、当連結会計年度の販売額は当社グループの総売上高の12.4%となっております。そのため、同社の自動車販売動向によっては経営成績に影響を受ける可能性があります。なお、同社は、当連結会計年度末現在、当社の議決権の24.7%を所有しております。
(2) 商品開発
当社グループは、「魅力ある新商品の開発」という考えのもとに、年々高度化、多様化する市場のニーズを先取りし、お客様の満足が得られるよう、先進技術を導入した積極的な新商品開発を進めております。その主な活動は、現在の事業分野および周辺事業分野での開発、改良であります。この分野での収益が、引き続き、当社グループの収益の大部分を占めると考えており、将来の成長は主にこの分野での新商品の開発と販売に依存すると予想しております。当社グループは、継続して魅力ある新商品を開発できると考えておりますが、「新商品への投資に必要な資金を今後十分充当できる保証はないこと」「市場に支持される新商品を正確に予想できるとは限らず、商品の販売が成功する保証はないこと」「開発した新商品や技術が、知的財産権として必ず保護される保証はないこと」などのリスクをはじめとして、当社グループが市場のニーズを予測できず、魅力ある新商品のタイムリーな開発と市場投入ができない場合には、将来の成長を低下させる可能性があります。
(3) 知的財産権
当社グループは、事業活動を展開する上で、製品、製品のデザイン、製造方法などに関連する特許などの知的財産権を、海外を含め多数取得しておりますが、出願したものすべてが権利として登録されるわけではなく、特許庁で拒絶されたり、第三者からのクレームにより無効となる可能性があります。第三者が当社グループの特許を回避して競合製品を市場に投入する可能性もあります。また、当社グループの製品は広範囲にわたる技術を利用しているため、第三者の知的財産権に関する訴訟の当事者となる可能性があります。
(4) 商品の欠陥
当社グループは、「クリーンで安全な優れた品質の商品を提供すること」を経営の基本理念のひとつとし、総力をあげて品質向上に取り組んでおります。しかし、すべての商品に欠陥がなく、将来にリコールや製造物責任賠償が発生しないという保証はありません。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような商品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を及ぼし、売上げや利益の減少、株価の低下などをまねく可能性があります。
(5) 価格競争
当社グループの収益基盤である自動車事業、産業車両事業をはじめ、各業界における競争は厳しいものとなっております。当社グループの商品は、技術的、品質的、コスト的に他社の追随を許さない高付加価値な商品であると考えておりますが、激化する価格競争の環境下で、市場シェアを維持もしくは拡大することによって収益性を保つことができなくなる可能性があります。このような場合は、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 原材料、部品供給元への依存
当社グループの生産は、原材料、部品を複数の供給元に依存しております。当社グループは供給元と基本取引契約を結び、原材料、部品の安定的な取引を安定的な生産の前提としておりますが、供給逼迫による世界的品不足や供給元の不慮の事故などにより、原材料、部品の不足が生じないという保証はありません。その場合、生産の遅れをまねき、また、原価を上昇させる可能性があります。
(7) 環境規制
当社グループでは、企業の社会的責任の観点から、環境への負荷の低減および適用される法規制遵守に取り組んでおります。具体的には環境規制に適合した商品開発および環境負荷物質の発生を低減する生産工程設計に努めております。しかし、環境に関するさまざまな規制は、今後も改正、強化される傾向にあり、その対応に失敗した場合には、商品の売上げの減少、生産量の限定など、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) コンプライアンスリスク
当社グループは、コンプライアンスの徹底を事業活動の大前提であり経営の最重要課題の一つと位置付け、国内外の法令遵守はもちろん社会規範に則して事業活動を遂行すべく、体制整備や役員と従業員への教育、啓発などを推進し、コンプライアンスリスクの回避または最小化に努めておりますが、当社グループにおいて重大な法令違反等が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜やブランドイメージの毀損など、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 他社との提携
当社グループは、事業の拡大などを目的として、提携や合弁などの形で他社との共同による事業活動も行っております。しかし、業界の属するマーケットの変動が激しい場合、あるいは経営、財務およびその他の理由により両者の間で方針の不一致が生じた場合は、効果を享受できない場合があります。
(10) 為替レートの変動
当社グループの事業には、全世界における商品の生産と販売、サービスの提供が含まれております。一般に、他の通貨に対する円高(特に当社グループの売上げの重要部分を占める米ドルおよびユーロに対する円高)は当社グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。当社グループが日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、製品のグローバルベースでの相対的な価格競争力を低下させ、財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。このような可能性を低減するために、原則として先物為替予約などのデリ
バティブ取引を利用して、為替変動リスクをヘッジしております。
(11) 株価の変動
当社グループは、有価証券を保有しており、その多くが上場株式であるため、株価変動のリスクを負っております。各期末日の市場価額に基づき、当社グループは評価差益を認識しておりますが、有価証券に係る評価差益は将来の株価の変動によって減少する可能性があります。また、株価の下落は年金資産を減少させ、年金の積立不足を増加させる可能性があります。
(12) 災害や停電などによる影響
当社グループは、製造ラインの中断によるマイナス影響を最小化するため、生産設備の定期的な検査、点検を行っております。しかし、当社グループならびに仕入先の生産施設で発生する人的、自然的災害、停電などの中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。特に、当社グループの国内工場や、仕入先などの取引先の多くは、中部地区に所在しており、この地域で大規模な災害が発生した場合、生産、納入活動が遅延、停止する可能性があります。遅延、停止が長期間にわたる場合、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。このような可能性を低減するために、原材料や部品の供給を受ける地域の分散による代替供給手段の確保など、サプライチェーンの最適化に向けて仕入先とともに対策に取り組んでおります。
(13) 国際的な活動に潜在するリスク
当社グループは、さまざまな国で商品の生産と販売、サービスの提供を行っております。その国々における予期しない政治的要因、テロ、戦争、感染症の流行などの社会的混乱、経済状況の変化などにより、当社グループの財政状態と経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14) 退職後給付
当社グループの確定給付制度に係る費用および債務は、割引率などの数理計算上の前提条件に基づいて算出されております。したがって、割引率の低下や制度資産の減少など実際の結果が前提条件と異なった場合、または前提条件が変更された場合は、将来の期間に認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。なお、以下の経営成績等は、IFRSに準拠した連結財務諸表に基づいて記載しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の経済情勢を概観しますと、世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための活動制限の緩和などにより回復がみられたものの、ウクライナ情勢の影響による原材料、エネルギー価格の高騰を発端とした世界的なインフレ進行、各国の政策金利の引上げに伴う景気後退懸念の高まりなど、先行き不透明感が高まりました。また、日本経済は、急速な円安に伴う物価高騰などの影響により回復は緩やかなものとなりました。このような情勢のなかで、当社グループは、自動車の電動化、物流の自動化といったお客様のニーズや各市場の動きに的確に対応して、販売の拡大に努めてまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高につきましては、前連結会計年度を6,747億円(25%)上回る3兆3,798億円となりました。
利益につきましては、原材料の値上がり、人件費の増加、物流費の増加などがありましたものの、売上の増加、為替変動による影響、グループあげての原価改善活動の推進などにより、営業利益は前連結会計年度を109億円(7%)上回る1,699億円、税引前利益は前連結会計年度を168億円(7%)上回る2,629億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度を125億円(7%)上回る1,928億円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(自動車)
自動車におきましては、市場は日本では前期並みとなったものの、中国や北米が牽引し、世界全体で拡大しました。こうしたなかで、当セグメントの売上高は前連結会計年度を1,650億円(21%)上回る9,578億円となりました。営業利益は前連結会計年度を16億円(5%)上回る346億円となりました。
このうち車両につきましては、トヨタ「RAV4」が国内向けは増加したものの、海外向けが減少したことにより、売上高は前連結会計年度並みの831億円となりました。
エンジンにつきましては、主にガソリンエンジンが増加したことにより、売上高は前連結会計年度を548億円(20%)上回る3,224億円となりました。
カーエアコン用コンプレッサーにつきましては、北米や欧州で増加したことにより、売上高は前連結会計年度を736億円(21%)上回る4,297億円となりました。
電子機器ほかにつきましては、電池やDC-DCコンバーターなどが増加したことにより、売上高は前連結会計年度を370億円(43%)上回る1,225億円となりました。
(産業車両)
産業車両におきましては、市場は欧州などで低迷し、世界全体で縮小しました。そのなかで、主力のフォークリフトトラックが主に北米で増加したことにより、売上高は前連結会計年度を4,944億円(28%)上回る2兆2,838億円となりました。営業利益は前連結会計年度を82億円(7%)上回る1,218億円となりました。
(繊維機械)
繊維機械におきましては、市場は主力の中国を含むアジアで堅調に推移しました。こうしたなかで、紡機や繊維品質検査機器が増加したことにより、売上高は前連結会計年度を151億円(22%)上回る843億円となりました。営業利益は前連結会計年度を23億円(41%)上回る78億円となりました。
資産につきましては、主に営業債権及びその他の債権が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ1,940億円増加し、7兆8,211億円となりました。負債につきましては、主に社債及び借入金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ2,806億円増加し、3兆8,857億円となりました。資本につきましては、前連結会計年度末に比べ865億円減少し、3兆9,354億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前利益を2,629億円計上したことにより、1,949億円の資金の増加となりました。前連結会計年度の3,210億円の増加に比べ、1,261億円の減少となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入が8,318億円あったものの、定期預金の預入により9,194億円を支出したことや、有形固定資産の取得により2,899億円を支出したことで、4,276億円の資金の減少となりました。前連結会計年度の2,298億円の減少に比べ、1,978億円の支出の増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入れによる収入が3,548億円あったことにより、1,836億円の資金の増加(前連結会計年度は921億円の資金の減少)となりました。
これらの増減に加え、換算差額、期首残高を合わせますと、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,027億円となり、前連結会計年度末に比べ443億円(18%)の減少となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 自動車セグメントにつきましては、トヨタ自動車株式会社および株式会社デンソーから生産計画の提示を受け、生産能力を勘案し、見込生産を行っているため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社グループにおける重要な会計方針および見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記 2.作成の基礎 (4) 見積りおよび判断の利用」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記 3.重要な会計方針」を参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高につきましては、前連結会計年度を6,747億円(25%)上回る3兆3,798億円となりました。利益につきましては、営業利益は前連結会計年度を109億円(7%)上回る1,699億円、税引前利益は前連結会計年度を168億円(7%)上回る2,629億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度を125億円(7%)上回る1,928億円となりました。
(売上高)
売上高の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業利益)
営業利益の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(税引前利益)
税引前利益は、前連結会計年度を168億円(7%)上回る2,629億円となりました。これは、主に営業利益が前連結会計年度を109億円(7%)上回る1,699億円となったことによります。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度を125億円(7%)上回る1,928億円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前連結会計年度の580円73銭に対し、621円17銭となりました。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、次のとおりであります。
(資金需要と株主還元)
当社グループの資金需要の主なものは、研究開発、設備投資、M&Aなどの長期資金需要と当社グループの製品製造のための材料および部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金需要であります。
当社グループは研究開発および設備投資に資金を重点的に配分するほか、事業の拡大、持続的発展に資すると判断する場合にはM&A等の投資にも資金を配分する方針であります。
株主還元につきましては、連結配当性向30%程度を目安に配当額を決定しております。配当政策に関する詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」を参照ください。
(財務政策)
当社グループは、事業活動のための適切な資金調達、適切な流動性の維持および健全な財政状態の維持を財務方針としております。
当社グループの財務状況は引き続き健全性を保っており、現金及び現金同等物、有価証券などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、社債の発行と金融機関からの借入れによる調達などを通じて、現行事業の拡大と新規事業の開拓に必要な資金を十分に提供できるものと考えております。
当社グループは、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社、ムーディーズ・ジャパン株式会社および株式会社格付投資情報センターから信用格付を取得しており、有利な条件での資金調達を実現するため、格付の維持、向上につとめております。
当社グループの資金マネジメントにつきましては、日本国内におきましては、当社が国内子会社を対象に資金集中管理を実施しており、北米におきましては、トヨタ インダストリーズ ノース アメリカ株式会社(以下、「TINA」という。)が北米の子会社の資金集中管理を実施しております。また、欧州におきましては、トヨタ インダストリーズ ファイナンス インターナショナル株式会社(以下、「TIFI」という。)が、欧州の子会社の資金集中管理を実施しております。
当社とTINA、TIFIが緊密な連携をとることにより、資金効率の向上をはかっております。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等は行われておりません。
当社グループは、提出会社を中心に「魅力ある新商品の開発」という考えに基づき、年々高度化、多様化する市場のニーズを先取りし、お客様の満足度向上に向けて先進技術を導入した積極的な新商品開発を進めております。その主な活動は、既存事業および周辺事業の分野での開発、改良であります。
具体的な取り組みとしましては、省エネルギーや電動化、軽量化を中心とする環境技術や自動化関連技術に磨きをかけ、それらを主力事業である自動車および産業車両の新商品に展開しております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は
自動車セグメントにおきましては、ディーゼルエンジンや、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車など電動車向けの電動コンプレッサーおよび電源機器、ハイブリッド車用の車載電池などの開発に取り組みました。
産業車両セグメントにおきましては、エネルギー効率を高めた電動フォークリフトトラックやフォークリフトトラックの次世代モデル、産業車両機器の自動化技術、物流ソリューションに対応するシステム機器などの開発に取り組みました。
これらセグメント別の研究開発費は、自動車セグメントが