第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

◆長期ビジョン

当社は、「繋ぐ技術を、世界へ」を長期ビジョンとし、今まで培ってきた技術を磨き、お客様との繋がりを世界に拡大し、そして明るい未来へ繋げていくことを目指しています。

 

繋ぐ技術を、世界へ

 

「我々の技術で、

機械が繋がる、

お客様と繋がる、

社員が繋がる、そして未来が繋がる」

 

◆経営方針

当社グループは、100年に一度の変革期を迎えている自動車業界及びそのサプライチェーンの変化に対し、営業力の強化とコスト削減を今一度徹底することが必要と考え、次の二点を経営課題として掲げております。

① 市場拡大

既存顧客との関係強化に加え、『未開拓マーケットへのアプローチ』としてガソリンエンジン以外の領域への営業開拓を推進する。

② 競争力のあるFactory実現

デジタル技術を活用し、業務プロセス改革、品質向上、生産性向上を行い、製造コスト削減を図る。

 

<取組内容>

◆営業力の強化、新しいマーケットの営業基盤構築

1.マーケット別の営業部門の分化

2.展示会への積極的な出店

3.SIer子会社(エンシュウコネクティッド)の設立

 

◆顧客ニーズを先取りした開発

1.新規市場のニーズを捉えた主体的な開発活動のための組織への再編

2.自動化ニーズへの対応のための積極的な開発

 

◆市場の変化に柔軟に対応できる技術・製造部門の構築、ものづくり技術の進化

1.最適生産体制の整備に向けた組織への再編

2.理論値生産活動を通したコスト低減活動

 

(2) 中期経営計画 2021-2025 『チャレンジ500』

当社グループは、『チャレンジ500』(2021年~2025年)として、2026年3月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画を進めています。この5年間は、①市場拡大、②競争力のあるFactory実現を経営方針としています。売上高500億円(工作機械関連事業で370億円、部品加工関連事業で130億円)、営業利益率7.0%を目指します。

2022年度は、中期経営計画の2年目として売上高248億円、営業利益率0.3%の実績となりました。

 

指標

2023年3月期

(実績)

2024年3月期

(中期経営計画)

2026年3月期

(中期経営計画)

全社売上高(億円)

248

300

500

工作機械関連売上高(億円)

131

180

370

部品加工関連売上高(億円)

115

120

130

営業利益率(%)

0.3

5.0

7.0

 

 

中期経営計画の3年目となる2023年度は、計画を下回る見込みとなっておりますが、以下の施策により、達成を図っていく所存です。

 

工作機械関連事業 → 事業構造の改革

◆SIer子会社(エンシュウコネクティッド)とサービス事業の強化

◆システム事業のテコ入れ

・EV量産に向け国内外のフォロー体制の構築

・新規市場の開拓

・エンジン市場における既存機械の保守、改造需要の取り込み

◆汎用機事業の強化

・商社との関係強化による受注拡大

◆北米、アセアン地域の営業強化

◆国内外におけるOEM事業への取り組み

 

部品加工関連事業 → 利益率改善

◆生産負荷変動対応によるコスト削減

◆理論値生産活動や自動化等による労務費率の改善

 

(3) 会社の対処すべき課題

工作機械関連事業におきましては、当社の主要顧客である自動車業界でのEV化にともなうニーズの変化への対応に加え、新たな市場拡大に向けて、2021年5月に公表いたしました中期経営計画に基づき、営業力の強化、新しいマーケットの営業基盤構築、顧客ニーズを先取りした開発に取り組んでまいりました。2023年4月からは一層の受注拡大に向け、市場のニーズを捉えた開発を進めるための体制への見直しに加え、サービス部門やシステムインテグレーション子会社への人員補強など事業構造の変革を進めてまいります。

部品加工関連事業におきましては、主要顧客の順調な需要、新規引き合いも多くいただいており、今後も堅調な仕事量を見込んでおります。一方収益力の強化は課題であり、製造経費削減、原価低減活動に加え、原価高騰の価格転嫁も引き続き進めてまいります。

気候変動への対応につきましては、重要な経営課題と位置付け、お客様の環境負荷低減に寄与する製品やサービスの提供、自社工場の環境負荷低減推進、自然災害等の危機管理の徹底を引き続き図ってまいります。

人材戦略は企業の成長に必要な重要な経営課題と捉えており、採用、教育活動を始めとして力を入れております。今後も人的資本投資についてより活発に議論を行い対応してまいります。

 

(4) 経営改革

2021年4月より、市場拡大、コスト削減といった経営課題に対応すべく、工作機械・レーザー事業部と輸送機器事業部からなる事業部制を廃止し、営業・開発本部と技術・製造本部を新設した機能別組織体制へ変更いたしました。

2023年度は中期経営計画の更なる推進のため、執行役員体制の若返りを図るとともに、経営体制を3トップ体制から2人体制に変更し、スピード感をもって邁進してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、経営理念にもある“共生共栄”の考えに基づき、“ものづくり”で培った技術力をもって、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業価値の向上を目指します。

これを実現するために私たちは、気候変動などの地球環境問題、人権の尊重、従業員の健康・労働環境や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、地域社会への貢献、自然災害等への危機管理などサステナビリティを巡る課題に対して、積極的に取り組んでおります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、気候変動への対応を含むサステナビリティ課題への対応として社内に「SDGs委員会」を設置しております。同委員会は、当社グループのサステナビリティに対する取り組みの推進を行い、経営会議に報告し、必要に応じて提言を行う体制となっております。また、同委員会の活動内容については、取締役会に年2回以上報告され、監査等委員会の構成員である取締役は、代表取締役社長を中心としたサステナビリティに関する取り組み状況を継続的に監査しております。

 


 

 

(2)戦略(リスクと機会)

① 気候変動への対応

移行リスク

脱炭素化に伴う原材料等の高騰によるコスト増加が見込まれます。また、炭素税などの導入や環境に関する法令などの対応に伴い、事業コストの増加が見込まれます。

EV化への段階的な移行に伴い部品点数が減少すると言われており、工作機械業界全体として影響が見込まれます。その一方でモーターケースなどのEVに関係する部品加工や、省エネ型機械のニーズの高まりが見込まれ、省エネ型内燃機関に対する設備投資も当面の間見込まれます。また、風力発電などの環境設備投資については増加が見込まれます。

 

物理リスク

当社高塚工場においては、浜松市の天竜川ハザードマップにおいて、約2mの浸水が1000年に一度程度発生するリスクがあるとされております。当社としては、浜北工場を含め地震や浸水被害などを想定したBCPを推進しリスクの低減に努めてまいります。

 

 

機会

当社工作機械事業が得意とする自動化やインテグレート技術をお客様に提供することにより、工場の効率化や環境負荷の低減に貢献することが出来ると考えております。また、軽量化・省エネ機器導入等の省エネ技術を搭載した製品やサービスを提供することでもお客様の環境負荷低減に貢献することが出来ると考えております。

 

想定されるリスク

影響

移行リスク

・脱炭素化に伴う原材料やエネルギー等の高騰、

入手困難による生産影響

・コスト増加

・工場稼働停止

・炭素税などの導入や環境に関する法令などの対応

・事業コストの増加

・EV化への移行(部品点数減少)

・切削加工機械の市場縮小

物理リスク

・天竜川氾濫による浸水

・高塚工場稼働停止

・操業における消費エネルギー(電力等)の増大

・コスト増加

 

 

想定される機会

影響(必要な対応)

・EVに関する部品加工増加

・販売拡大

・省エネ型機械のニーズの高まり

・販売拡大(対応機械の開発)

・風力発電など環境設備投資増加

・販売拡大(対応機械の開発)

・自動化やインテグレート技術ニーズの高まり

・販売拡大

 

 

② 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

企業の持続的な成長と企業価値向上のために、女性、外国人、様々なキャリアを持つ中途採用者などの多様な人材が、チャレンジングに仕事を行える職場環境の整備や人事施策を継続的に行うよう努めております。

 

・女性社員の登用

女性応募者を増やすため、女子学生比率の高い大学へ積極的アプローチを行い、女性採用の強化を図っております。

また、女性社員に対しては、女性キャリアアップ制度を設けております。キャリアアップを望む女性社員に対し、面談を通して育成計画を作成したうえでプログラムを実施し、キャリアアップを促進しております。

外部のキャリアアップセミナーやリーダー育成セミナーへ派遣し、リーダー職になるためのスキル習得や自身のキャリア展望について考える機会を設けております。

女性社員のさまざまな相談に対応できるよう、女性社員相談窓口を設置し、ライフイベントと就業の両立がしやすい環境を整備しております。

 

・中途採用者の登用

中途採用者につきましては、積極的に採用活動を行っております。入社後は新卒・中途の区別なく公平・公正に扱っており、管理職登用状況は30.2%となっております。

また、新卒・中途の区別なく教育を受ける機会を提供し、階層に応じた教育を行っております。入社時には特別研修を実施し、社内規定や制度について学び、不安なくスタートできるようにしております。

中途採用者のフォロー窓口も設置し、安心して働ける環境づくりを行い、入社後の定着を図っております。

 

・外国人の登用

国籍に関わらず、各人が持つ能力を重視して採用を行っております。

国籍の区別なく公平に教育を受ける機会を提供し、希望者には日本の習慣や文化などを説明し、言葉の言い回しや立ち居振る舞いなどを解説しております。

外国人相談窓口を設置し、相談先を明確にすることで安心して働ける環境整備を行っております。

 

 

・男性育児休業推進

社内報による育児休業制度の周知を行っております。また、妊娠出産の申し出をした社員に対し、制度説明や給与シミュレーション等を行うことや、その上司の理解を促進するために制度の説明やハラスメント教育を実施し、取得の推進に努めております。今後は取得推進のための制度改定の検討をしてまいります。

 

(3)リスク管理

気候変動に関するリスクについて、当社グループは事業所別の環境データを毎期測定し、エネルギー使用量及び原単位の推移をモニタリングしております。Scope1及びScope2のCO2排出量の実績推移も毎期算出しモニタリングしており、合わせて社長が議長を務める経営会議に報告しております。

SDGs委員会においては、お客様の環境負荷低減に向けた製品開発やサービスの提供、社内設備の環境負荷低減についてなど環境に関する取り組み状況を確認し、推進してまいります。また、経営会議に対して活動内容の報告、提言を行い、経営会議は必要な対応策を決議し、実行いたします。

 

(4)指標及び目標

① 気候変動への対応

当社グループは、気候変動における指標をCO2排出量と定め、当社から排出されるScope1及びScope2のCO2排出量について算出し毎期モニタリングしております。また、2030年度に2014年度比△38%(売上高原単位)の削減目標を定め取り組んでまいります。目標に向けての取り組みとして、既存生産設備の省エネ(モーター、間欠運転、エアー)、省エネ設備導入(高効率空調、LED)などを計画、推進しております。また2022年度より、Scope3のCO2排出量も算出しております。

 

CO2排出量

 

2014年度

2020年度

2021年度

2022年度

Scope1[t-CO2]

2,408

2,084

2,502

2,435

Scope2[t-CO2]

11,276

7,678

7,988

8,436

CO2排出量

売上原単位

[t-CO2/億円]

49.0

51.3

50.2

48.7

Scope3[t-CO2]

74,134

 

(注) Scope3カテゴリ8、9、10、14、15は算定対象外であります。

 

② 人材の多様性の確保を含む人材の育成

上記「(2) 戦略」において記載した「② 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」に係る指標について、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する実績は連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

・女性社員の登用に関する状況

<指標> 女性社員採用比率

<目標> 対象期間(2021/4/1~2026/3/31)における女性社員の採用比率を5年の平均で20%以上とし、

女性社員の採用、育成、環境整備に注力してまいります。

<実績> 女性採用比率:2018年度~2022年度平均20.4%

 

 

・中途採用者の登用に関する状況

<指標> 管理職における中途採用者比率

<目標> 当社において、2022年度の中途採用者比率は29.7%、管理職比率は30.2%となっております。

中途採用に積極的に取り組んできたことにより、当社における中途採用者の各比率は高い水準にあると考えられます。今後も、中途採用者比率30%以上を目標として維持できるよう、積極的な採用活動や新卒・中途の区別無く公平・公正な人事評価と人材育成に取り組んでまいります。

<実績> 2022年度 中途採用者の管理職登用状況:30.2%(26名/86名)

2022年度 全社員における中途採用者の割合:29.7%(215名/723名)

 

・外国人の登用に関する状況

<指標> 外国人社員比率

<目標> グローバル化を促進するため、外国人の多様な考え方を取り入れることが重要ですが、現時点では、

目標年度・人数に基づく外国人社員比率を具体的に示すことは困難な状況です。当面は、特定技能外国人も含め、採用増を検討してまいります。

<実績> 2022年度 外国人社員比率:0.6%(4名/723名)

 

・男性育児休業推進

<指標> 男性労働者の育児休業取得率

<目標> 2022年度は、育児休業制度の周知、上司の理解の促進、ハラスメント教育の実施に取組んでまいりまし

たが、当社の取得率は、9.1%と低い水準となっております。今後は、上司の取得推進への取組み強化や、職場の理解を高めていくことを徹底するとともに、現実的に取得の妨げとなっていると思われる育児休業取得時の収入約2割減の処遇改善等を含めて検討することにより、2026年3月末に60%以上の取得を目指してまいります。

<実績> 2022年度 男性労働者の育児休業取得率:9.1%(1名/11名)

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場動向によるリスク

当社グループの工作機械関連事業の受注は顧客の設備投資活動に直接結びついているため、市場の景気動向に対して極めて敏感であり、民間設備投資、特に主要顧客である自動車業界の設備投資の増減の影響を大きく受けます。その上、好況時と不況時の変動も大きく、不況時は需給関係により販売価格が低下する傾向にあります。

また、当社グループの主要顧客である自動車業界は、電動化による内燃機関の減少、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)やMaas(Mobility as a Service)による構造変化が想定され、顧客・社会のニーズは大きく変化しています。当社は非内燃機関向け、商社販売の拡大に注力しておりますが、引続き自動車業界の市場動向は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 特定取引先への依存のリスク

当社グループの部品加工関連事業においては、ヤマハ発動機株式会社への売上(受託加工)依存度が高い割合となっていますので、同社の事業方針は当社グループの業績に強い影響を与える可能性があります。

最近の同社向販売実績及び売上高全体に占める割合は、次のとおりであります。

相手先

2021年3月

2022年3月

2023年3月

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

ヤマハ発動機㈱

5,939

26.8

7,962

33.3

8,856

35.7

 

 

(3) 為替レートの変動によるリスク

当社グループの全社の海外売上高比率は2023年3月期で36.4%となっております。決済は主に円建でありますが、USD建及びEUR建等の取引もあり為替レートの変動によるリスクを有しております。円建取引の増加や為替予約により影響を少なくするよう努力しておりますが、大幅な為替レートの変動は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 金利変動によるリスク

当社グループの借入金依存度(借入金の総資産に対する割合)は、2023年3月期で33.5%となっております。当社グループでは将来の金利変動によるリスク回避を目的として、借入金の一部を金利スワップにより固定金利としておりますが、金利変動の影響を受ける可能性があります。

 

(5) 資金調達に係るリスク

当社グループは、借入金依存度が相応に高いことから、金融機関の融資姿勢の変化等によって資金調達が困難になるリスクがございます。また、シンジケートローンにつきましては、契約内容に一定の財務制限条項等が付されている場合があり、当該事由に抵触した場合には当社グループの資金繰りに影響を与える可能性があります。

 

(6) 競合によるリスク

当社グループの工作機械関連事業は競合するメーカーが多く、価格競争により販売価格が低下する傾向にあります。特に汎用工作機械分野では競合メーカー製品との競合等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

 

(7) 特定の原材料及び部品の供給業者への依存

当社グループの工作機械関連事業は製品の製造に使用する原材料及び部品等について、当社グループ外の多数の供給業者から調達しています。一部については特定の供給業者に依存しており、需給状況、災害等の要因によっては納期遅延、コストアップ等の影響が生じることがあります。原材料価格の高騰等は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 棚卸資産の評価損に関するリスク

当社グループでは、「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用しており、販売目的の棚卸資産の収益性を期末において評価し、収益性が低下していると判断される場合には評価損を計上することになります。このため、当社グループの棚卸資産について、需給関係による販売価格の低下やシステム工作機械における追加費用の発生により収益性が低下していると判断し評価損を計上する場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(9) 品質に関するリスク

当社グループは、製品の品質には万全を期しておりますが、工作機械関連事業のシステム工作機械においてはオーダーメイド方式のため、より高度な品質管理が求められており、追加費用が発生する可能性があります。また、部品加工関連事業においても、予期しない品質トラブルにより多額の改修費用及び補償費用が発生する可能性があります。このような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループといたしましては、海外拠点を含めて、品質の維持・向上を最優先課題として取り組んでおります。

 

(10) 自然災害等のリスク

当社グループは地震等の自然災害の発生により生産拠点が損害を受ける可能性があります。被害の影響を最小限に抑えるため、建物・設備などの耐震対策、防火対策等の予防策を順次進めていますが、万一、予想される南海トラフ巨大地震が発生した場合、当社グループの生産拠点が静岡県内に集中していることもあり、操業の中断、多額の復旧費用等、当社グループの業績が大きな影響を受ける可能性があります。

 

(11) 情報セキュリティに関するリスク

顧客情報や機密情報の漏洩等の防止は、会社の信用維持、円滑な事業運営にとって、必要不可欠の事項といえます。当社グループにおいては、社内規程の制定、社内教育、情報セキュリティシステムの構築等の措置を講じていますが、万一、情報漏洩等の事態が発生した場合、当社グループの信用低下、顧客等に対する損害賠償責任が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における経済は、新型コロナウィルス感染症による厳しい状況が緩和される中で景気の持ち直しの動きがみられる一方、ウクライナ情勢の長期化や中国におけるコロナ感染の再拡大の影響等による海外景気の不透明感、原材料価格の上昇や供給面での制約等による問題に見舞われました。

このような状況の中、当社グループは従業員の安全を確保しつつ受注活動に努め、国内外に拡販を図るとともに、生産効率化や原価低減などの推進に取り組んでまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、工作機械関連事業、部品加工関連事業ともに増収し、24,813百万円(前期比3.8%増)となりました。

損益につきましては、工作機械事業において新規開発や展示会出展を積極的に行ったことによる経費増や部品加工事業におけるエネルギーコストの高騰により、営業利益は79百万円(前期比89.4%減)、経常損失は39百万円(前期は経常利益638百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は104百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益370百万円)となりました。

また、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ198百万円増加し34,168百万円(前期末比0.6%増)となりました。このうち流動資産は253百万円減少し19,442百万円(前期末比1.3%減)となり、固定資産は437百万円増加し14,684百万円(前期末比3.1%増)となりました。流動資産の減少の主な要因は、商品及び製品が1,368百万円増加したものの、現金及び預金が2,071百万円減少したことによります。固定資産の増加の主な要因は、有形固定資産が359百万円増加したことによります。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて458百万円減少し22,805百万円(前期末比2.0%減)となりました。このうち流動負債は85百万円増加し14,912百万円(前期末比0.6%増)となり、固定負債は543百万円減少し7,893百万円(前期末比6.4%減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が676百万円減少したものの、電子記録債務が605百万円、1年内償還予定の社債が280百万円増加したことによります。固定負債の減少の主な要因は、社債が740百万円増加したものの、長期借入金が570百万円、退職給付に係る負債が630百万円減少したことによります。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて657百万円増加し11,362百万円(前期末比6.1%増)となりました。増加の主な要因は親会社株主に帰属する当期純損失104百万円を計上し、為替換算調整勘定が425百万円増加したことによるものであります。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

工作機械関連事業部門

工作機械事業におきましては、アジアを中心とした海外での売上が伸び悩んだ一方で、国内において汎用機の大幅な売上増加をはじめ、システム、パーツでも売上を伸ばすことができた結果、当連結会計年度の売上高は13,177百万円(前期比6.2%増)となりました。営業利益面においては、販売拡大に向けた開発費や販売費が増加したこともあり、営業損失は332百万円(前期は営業利益142百万円)となりました。

 

部品加工関連事業部門

部品加工関連事業におきましては、一部顧客での生産減少の影響もありましたが、主要顧客の堅調な需要を受けて増収となり、売上高は11,565百万円(前期比1.3%増)となりました。損益面におきましては、電力料や物流費等の原価高騰の影響を受けたことと、客先の急激な生産変動の影響により、営業利益は362百万円(前期比35.0%減)となりました。なお、原価高騰に対しての価格転嫁は下期より取り組みを始め改善が進んでおります。

 

その他部門

その他事業の部門におきましては、不動産賃貸事業により、売上高は70百万円(前期と同額)となり、セグメント利益(営業利益)は50百万円(前期比2.5%減)となりました。

 

② 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

工作機械関連事業

15,835

25.3

部品加工関連事業

11,882

△0.5

その他

合計

27,717

12.8

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

2.金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

工作機械関連事業

11,791

△15.8

5,843

△19.2

部品加工関連事業

11,832

4.5

4,278

6.6

その他

70

合計

23,694

△6.7

10,121

△10.0

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

工作機械関連事業

13,177

6.2

部品加工関連事業

11,565

1.3

その他

70

合計

24,813

3.8

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

ヤマハ発動機株式会社

7,962

33.3

8,856

35.7

 

 

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前期と比べて2,106百万円減少し4,493百万円(前期末比31.9%減)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,312百万円の支出(前年同期は2,250百万円の獲得)となりました。これは主として増加要因である減価償却費1,186百万円、未収消費税等の減少額227百万円を、棚卸資産の増加額2,361百万円及び仕入債務の減少額269百万円等が上回ったことによります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、845百万円の支出(前期比63.1%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、254百万円の支出(前期比24.6%減)となりました。これは主として短期借入れによる収入を長期借入金の返済による支出が上回ったことによります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工作機械関連事業の製品製造のための材料費、外注費、人件費等であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

設備投資資金や長期運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としており、短期運転資金の調達につきましては、金融機関からの短期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金、リース債務及び社債を含む有利子負債の残高は11,839百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,493百万円となっております。

 

(2)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術受入契約

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

日産自動車株式会社

日本

ホーニング機能搭載
マシニングセンタ

技術情報に関する実施許諾契約

2016年11月1日から
2021年10月31日まで
(以後、1年ごとに自動更新)

 

 

(2) 技術援助契約

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

BANGKOK ENSHU MACHINERY Co.,Ltd.

タイ

EV360Te、EV450Te、
GE15Ve、GE30Ve、
WE30Ve、SH350e、SV130e
立形マシニングセンタ

製造に関する技術及び販売契約

2023年4月5日から
2026年4月4日まで
(以後、2年ごとに自動更新)

遠州(青島)機床製造有限公司

中国

EV360Te、EV450Te
GE15Ve、GE30Ve、WE30Ve
立形マシニングセンタ

製造に関する技術及び販売契約

2023年2月6日から
2026年2月5日まで
(以後、2年ごとに自動更新)

ENSHU VIETNAM Co.,Ltd.

ベトナム

鍛造ピストン及び
ボディーシリンダ

製造に関する技術

2013年4月1日から
2014年3月31日まで
(以後、1年ごとに自動更新)

 

(注) 上記の技術援助契約においては、ロイヤリティとして売上高の一定率を受け取っております。

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、「繋ぐ技術を、世界へ」を長期ビジョンとし、サプライチェーンの変化にフレキシブルに対応できる自動化製品、システムアップ製品、その核となる工作機械やレーザー加工機の開発を進めています。弊社の強みは「工作機械メーカー」であり、「システムインテグレーター」であり、「部品加工メーカー」でもあることです。これらの部門がシームレスに連動することで自社製品の改善や新たな製品開発、加工技術の開発に繋げております。

なお、当社グループにおける研究開発活動は、提出会社の開発部が行っております。2023年4月から開発部は、ひとつの課から目的別のグループ体制へ変更し、よりスピード感を持った開発を推進する環境を整えました。また、企画戦略、要素開発、機械構想、実験研究といった、開発のPDCAがより円滑に回るような仕組みを作りました。

当連結会計年度を振り返りますと、世界的な気候変動への対応、CO2排出量の削減への提案として、「Saving Center」シリーズをJIMTOF2022で発表。設置スペース、機械高さ、設備投資コスト、消費エネルギーを「Saving」することをコンセプトにしたSV130並びにSH350の2機種を提案し、お客様から好評を得ました。この2機種をきっかけに、内燃機関から電動車への市場、さらには、新規の市場に展開できるよう市場の声を聞きながら研究開発業務に取り組んでまいります。

加えて、部品加工関連事業部門の量産ラインへ新機種、新技術を投入し、工場のショールーム化、技術のスパイラルアップに努めると同時に、次世代技術の先行実証試験も量産ラインを活用して積極的に取り組んでおります。

カーボンニュートラル、SDGsの観点では、弊社製品・技術利用による実生産性向上だけでなく、お客様での運用時のみならず、自社での生産時における資源及びエネルギーも従来機種より削減した新製品の開発に取り組んでおります。

当連結会計年度における研究開発費は867百万円であります。