当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による経済政策の効果や米国経済の好調を背景に概ね堅調に推移したものの、期の後半には中国経済の減速に伴い急激に不透明感が広がった。
こうした中、当社グループは利益の確保を重視しながら、受注と売上の拡大に注力した。第1四半期は前年度後半の市場低迷の影響を受け、大きく落ち込んだものの、第2四半期以降は受注・売上ともに回復し、単体ベースでは営業利益43百万円を確保した。しかし、連結ベースでは中国子会社の不振もあり、売上、利益ともに当初計画を下回ったことから、赤字計上となった。
この結果、全体では当期の受注高は40,443百万円(前期比31.6%増加)、売上高は36,916百万円(同比6.3%増加)、営業損失は274百万円(前期 営業損失1,207百万円)、経常損失は381百万円(前期 経常損失1,161百万円)となった。
一方、中国においてウォータジェットルームの製造販売を行っている津田駒機械製造(常熟)有限公司は、2010年12月の設立以来、調達・製造・品質管理・販売体制の整備を進め、商談も徐々に増加したが、立ち上げの遅れと、近年のウォータジェットルーム市場の低迷により業績が低迷した。このため、特別損失として固定資産の減損損失58百万円を計上した。この結果、当期純損失は443百万円(前期 当期純損失1,263百万円)となった。
セグメント別の状況は以下のとおりである。
①繊維機械事業
中心市場の中国市場では、期初には回復の兆しが見られたが第3四半期以降、経済の減速感が強まり、繊維産業の設備投資が低迷した。
インド市場は積極的な経済政策が進む中で、個人消費も伸びてきた。繊維産業についてもシャツ地やボトム(ズボン地)、デニムなどの衣料用織物、また、タオルやシーツなど非衣料織物用のエアジェットルームの引き合いが増加した。また、L/Cの開設も順調に進み、受注、売上の両面で中国市場の落込みをカバーする形となった。国内市場は政府の補助金を活用した設備投資が続いた。
開発面では、昨年11月にイタリア・ミラノ市で開催された国際展示会ITMA2015で、ジェットルーム史上最高回転数となる2,105回転/分(1分間に2,105本のよこ糸挿入)でエアジェットルーム(コンセプトモデル)の安定稼動を実演し、客先から絶賛を得た。また、実用機についても高い高速性能と織物品質に評価を獲得し、引き合いを得た。
コンポジット機械は、国内の航空機や自動車など、炭素繊維の活用を図る幅広い産業分野の客先から様々な引き合いを得た中で、技術開発に注力した。また、連結子会社の共和電機工業㈱では大型の航空機部材の搬送装置の開発を行い、販売した。
一方、中国子会社でのウォータジェットルーム生産は、中国市場の落込みの影響を受け、低調に推移した。
この結果、当事業の受注高は32,543百万円(前期比41.0%増加)、売上高は29,092百万円(同比7.3%増加)、営業利益65百万円(前期 営業損失523百万円)となった。
②工作機械関連事業
当事業部門を取り巻く環境は、国内の工作機械業界や自動車産業の回復、政府の補助金を活用した設備投資などに牽引されて、概ね堅調に推移した。期待されていた国内大手自動車メーカーの生産工程革新に伴う新たな設備投資は、第4四半期に入りようやく本格的に動き始め、当社の新製品のボールドライブ駆動NC円テーブルの受注をいただいた。
海外市場では中国市場でスマートフォンの部品加工用のNC円テーブルの需要が好調であったが、第3四半期以降、急ブレーキがかかった。また、アジア市場全体で中国経済の減速の影響に対する危機感が徐々に高まり、設備投資計画の延期などが見られるようになった。米国市場は好調な経済を背景に、製造業も高稼働を維持したが、主要な生産設備の海外移転が進んだ企業も多く、米国内での設備投資は期待した伸びには至らなかった。
こうした中、当事業部門では新製品のボールドライブ駆動NC円テーブルや新型ダイレクトドライブ方式NC円テーブルの開発・生産体制の構築を進め、本格的な販売を開始した。昨年10月には、イタリア・ミラノ市で開催された世界最大級の展示会EMO2015でボールドライブ駆動NC円テーブルを欧州で初公開し、高い評価を得た。また、既存機種であるウォームホイール駆動のNC円テーブルのモデルチェンジを行い、新モデルでの販売強化を図った。
この結果、当事業の受注高は7,900百万円(前期比3.3%増加)、売上高は7,824百万円(同比2.8%増加)、営業利益643百万円(前期比71.4%増加)となった。
当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ997百万円増加し8,891百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失444百万円の計上やたな卸資産が増加したものの、減価償却費1,042百万円の計上や売上債権の減少などにより、818百万円(前期 1,448百万円)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出638百万円などにより、マイナス670百万円(前期 マイナス653百万円)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出688百万円があったものの、短期借入金及び長期借入金の借入による収入1,532百万円などにより、841百万円(前期 マイナス593百万円)となった。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次の通りである。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
繊維機械事業 | 24,462 | 103.6 |
工作機械関連事業 | 8,811 | 115.3 |
合計 | 33,273 | 106.5 |
(注) 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれていない。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次の通りである。
セグメントの名称 | 受注高 | 前期比(%) | 受注残高 | 前期比(%) |
繊維機械事業 | 32,543 | 141.0 | 7,586 | 183.4 |
工作機械関連事業 | 7,900 | 103.3 | 1,860 | 104.3 |
合計 | 40,443 | 131.6 | 9,447 | 159.6 |
(注) 金額には消費税等は含まれていない。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次の通りである。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
繊維機械事業 | 29,092 | 107.3 |
工作機械関連事業 | 7,824 | 102.8 |
合計 | 36,916 | 106.3 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去している。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりである。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
丸紅テクマテックス㈱ | 11,876 | 34.2 | 6,023 | 16.3 |
3 金額には消費税等は含まれていない。
当社グループは、4期連続の赤字から脱却し、黒字を継続し、競合他社を圧倒できる強い体質の津田駒工業を復活することを当面の経営目標として、グループ全体で挑戦していく。具体的な指標はいまだ立てにくい状況ではあるが、この目標を実現するために、営業利益率6%を当面の目標として活動していく。そのために注力すべき戦略は以下の通りである。
① 抜本的な改革による収益性の回復
近年の激しい世界経済の変動と新興諸国・新興市場の台頭に伴う市場の集中、厳しい価格競争、急激な生産変動の中で、当社グループの強みを十分に活かすことができず、収益性が低下したことを踏まえ、開発・調達・製造・管理のあらゆる面で抜本的な改善を図り、生産体制の適正化を図るとともにコストダウンを進めていく。また、高い技術力を生かして、多様化する市場と顧客要求の変化に対応した最適仕様・サービスの提供を図り、顧客満足の向上を図ることで、売上の拡大を図っていく。
事業構成については、家業の繊維機械は世界のトップブランドとしての地位を維持するため、技術開発、シェア確保に注力していくが、工作機械関連事業、コンポジット機械事業を拡大し、経営の安定を図っていく。
② 製品競争力を生かした市場対応と拡大
主力事業の繊維機械と工作機械関連事業は、それぞれ1909年、1937年以来の歴史と経験を有し、市場における高い認知度と市場占有度を有している。また、世界最高回転数によるジェットルームの安定稼動や、世界初の駆動方式を搭載したNC円テーブルなど、常に最新の技術を市場に問う高い技術力を有している。加えて、きめ細やかかつグローバルで、高度なノウハウの蓄積をベースとした高いサービス力を強みとして、製品競争力の一層の強化を図っていく。
③ コンポジット機械事業・新製品の拡大
主力事業の収益力回復とともに、次世代の中心事業となる、コンポジット機械の事業化を進めていく。当社が開発した炭素繊維複合素材の自動積層機、スリット装置、フォーミング装置は航空機業界をはじめ、自動車産業、一般機械分野から高い注目を集め、様々な形で引き合いを得ている。近い将来には炭素繊維素材の普及とともに必要になる自動化設備の需要に対応し、業界をリードしていく。また、昨年度からスタートした航空機部品の機械加工を順次拡大し、実績を積みながら部品生産への進展を視野に入れて活動していく。
当社グループは、輸出比率が高く、為替変動をはじめ国際経済の影響、取引相手国の政治状況・経済政策の影響を強く受けざるを得ない。また、テロ事件などの騒擾が経済に与える影響も新たな懸念材料と言わざるを得ない。このような状況から、主に次の要因が当社グループの経営成績に影響を及ぼすリスクと考えている。
① 取引相手国(特に新興諸国)の経済・金融政策リスク
② 為替変動リスク
③ 材料素材の価格変動リスク
④ テロ等の騒擾リスク
該当事項はない。
研究開発については、世界市場での優位性を確保するため、引き続き多様性、高度化するマーケットニーズに応え戦略製品の開発に取り組んでいる。当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は1,501百万円である。
当連結会計年度における主な事業の研究開発活動は次のとおりである。
当社が中心となり、イタリア・ミラノで開催された国際繊維機械展示会「ITMA2015」において、「スマートエコロジー 環境と生産の調和」を継続したテーマとして、ジェットルーム史上最速となる2105rpmを達成したエアジェットルームのコンセプト機とエアジェットルームの新型機「ZAX9200i MASTER」、及び、前年のITMA-ASIA2014に参考出品したQSCシステム(クイックスタイルチェンジ)の進化形を出展し、好評を得た。
コンセプト機では、他を寄せ付けない高速性能と高い省エネ性能を発揮、同時に競合比での製織品の品質の高さにも注目を集めた。ZAX9200iでは、広幅機でありながら8色の汎用性と高速性能、高い省エネ性能を展示し、QSCシステムでは、実際に周辺機器メーカとの接続形態を展示することで、大きな関心を得た。また、パネル展示ながら、IoTへの取組としてTISSコンセプト(津田駒・インターネット・サポート・システム)を発表し、顧客利益の拡大を提案した。さらに、他社小間ながら、当社ZW8100を使い電子ジャカードとの組み合わせで車載エアバックの製織を実演し、業界からの高い関心を得た。
経糸準備機械では、スパンサイザを筆頭に、省エネ性能の向上や、糊使用量の削減などを計り、市場から好評を得ている。
繊維機械全般の研究テーマとしては、従来の「省エネルギー、省人化、省資源」をメインテーマとして継続すると共に、新しい技術の取り込みを図り、一層の生産性の向上と汎用性の拡大をスピードを重視しながら取り組んでいる。
当連結会計年度における当事業に係る研究開発費は1,053百万円である。
当社が中心となり、イタリアで開催された欧州国際工作機械展「EMO Milano 2015」において「Smart stream」をテーマとして、「BallDrive」「Direct drive」「Worm drive」の各種駆動機構の特徴を活かしたロータリーテーブル製品群を出展し好評を得た。中でも次世代駆動要素「BallDrive」を初めて回転、傾斜両軸の駆動に採用したNC傾斜ロータリーテーブル「TBS-160」は、その高速性、高精度で来場者の注目を集めた。また、自社開発の「Smart DD」採用の薄型ダイレクトドライブテーブル「RDS-200」は量産小型ワークの高生産性をアピールして関心を集めた。3種類の内製駆動機構を有する数少ないメーカーとして高い顧客満足度を得られるソリューションを提示してゆく。
コモデティ製品関連では、小型ウォーム駆動モデルを中心にクランプ装置のモジュール化など部品の共通化、設計の標準化に注力し、多様化、短納期などの市場要求に対応可能な新シリーズ「RWA」「RWE」「TWA」の全9モデルの開発を完了した。
内外の工作機械メーカーや市中の部品加工メーカーなどのエンドユーザーの両者に軸足をおいた研究を進め、加工機の性能向上や部品の高効率な生産を通して顧客の利益に貢献できる開発・改良に注力している。
当連結会計年度における当事業に係る研究開発費は448百万円である。
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、当連結会計年度末(平成27年11月30日)現在の連結財務諸表等に基づいて分析した内容である。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。
①資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,253百万円増加し37,810百万円となった。主な増減は、借入金の導入により現金及び預金が増加したことや生産の増加によりたな卸資産が増加したこと等によるものである。負債は、前連結会計年度末に比べ1,954百万円増加し23,824百万円となった。主な増減は、借入金の導入による増加等によるものである。純資産は、当期純損失443百万円を計上したこと等から前連結会計年度末に比べ701百万円減少し13,985百万円となり、自己資本比率は34.5%となった。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載している。
当連結会計年度の当社グループの経営成績は売上高36,916百万円、営業損失274百万円、経常損失381百万円、当期純損失443百万円となった。
「1 業績等の概要 (1)業績」に記載したとおり、繊維機械事業は中心市場の中国市場で第3四半期以降、経済の減速感が強まり、繊維産業の設備投資が低迷した。売上高は前期比7.3%増加の29,092百万円、営業利益は65百万円となった。工作機械関連事業については、国内の工作機械業界や自動車産業の回復、政府の補助金を活用した設備投資に牽引され堅調に推移した。売上高は前期比2.8%増加の7,824百万円、営業利益は同比71.4%増加の643百万円となった。
この結果、全体の売上高は前期比6.3%増加の36,916百万円となり、営業損失274百万円となった。営業外収益は102百万円となった。一方、営業外費用は、持分法による投資損失の計上や為替差損の計上等により209百万円となった。特別利益は固定資産売却益0百万円の計上があり、特別損失は固定資産処分損4百万円、減損損失58百万円の計上により、63百万円となっている。