第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、技術に立脚し社会が求める優れた商品及びサービスを提供することにより、全てのステークホルダーの繁栄並びに経済・社会の発展に貢献すること、及び常に技術の研究開発に努め、グローバル化の時代に即した国際競争力のある企業体質を涵養し、世界の企業として発展することを経営の基本方針としております。
 また、東京証券取引所が定めるコーポレートガバナンス・コードへの対応に伴い、更なる持続的な成長と企業価値の向上を目指して全ステークホルダーとの協働を可能とするための行動基準を策定し実践しており、内部統制の強化、内部監査機能の充実により法令遵守の徹底に努めております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当事業年度における当社を取り巻く事業環境は、国内においては限られたシェアを獲得する為、競合他社との競争は依然厳しく、また海外においても欧米・アジアの圧縮機メーカーとのシェア争いは激しく、予断をゆるさないものとなっております。
 このような状況下、当社は「2017中期経営計画」(2017年度~2020年度)を策定し、当事業年度より取り組んでおります。企業理念である「技術に立脚した製品の提供により社会に貢献し、研究開発に努め競争力ある企業として発展する。」に則り以下に示す3つの基本方針及び7つの活動方針のもと、それぞれの施策に取り組むことで「将来の収益基盤の確立・整備」と「安定かつ強固な経営体質の構築」を目指しております。
 また、当社は2017年3月16日に三井造船株式会社(現 株式会社三井E&Sホールディングス)の連結子会社となる事で提携を強化し、事業活動において一定の成果を出しております。今後も更なるシナジーを目指すことで、企業価値向上を追求してまいります。

 

<基本方針>

① 既存製品業界での地位を確立し海外市場への拡大
② 新規商品開発への取り組み
③ 業容を拡大し、“信頼できる機器メーカー” としての知名度と自覚の向上 

<活動方針と施策>

1.水素関連事業用圧縮機の地位確立
 エネルギー構造の転換と地球温暖化防止に対応する水素社会に向けて水素関連事業用圧縮機の開発・営業を強化します。前中期経営計画に続き、燃料電池車(FCV)充填用を始めとした超高圧水素圧縮機の性能向上とコスト低減に向けた改良を重ねます。また、サービス体制の充実を図ります。

 

2.スピードある受注と収益を確保する体質への改革
 顧客・製品ごとの営業・見積・設計体制の最適化・強化を図り、顧客満足度強化を図るとともに適正採算を確保します。

 

3.新製品分野への取り組み、既存技術のブラッシュアップ
 新製品の開発、および既存製品の改良・改善開発を推進し周辺機器・基幹部品の開発に取り組み事業拡大の基盤を構築します。また、個々の技術力のレベルアップを図るとともに設計・開発体制の再構築に向けた基礎固めを加速します。

 

4.アフターサービス拡販
 サービスの領域・地域の拡大を図り、顧客に貢献できるアフターサービス体制を強化し、収益の安定化を目指します。

 

5.安定的な品質維持体制の深化
 全社一丸となり業務・管理プロセスの見直し、設計の標準化を推進することで、製品の安定的な品質維持を目指します。

 

6.生産体制・要員の最適化・強化
 工場の近代化と最適化、生産性の向上、効率化を目指し、品質・技術・価格競争力のある製品を成長市場に提供するため、経営資源の投入を強化します。当該計画期間である4年間で設備投資には生産設備の更新で20億円を、また研究開発投資には5億円を投入します。

 

7.経営基盤の強化
 事業活動を最大化させるための人材戦略を推進し、業容拡大に向けた業務最適化と管理体制を構築するとともにコンプライアンスの強化を更に推進します。

 

 

 

2 【事業等のリスク】

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社はこれらリスク発生に対する予防策、ならびにリスクが発生した場合における対応策につき適切なる対応に努める所存であります。

なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2018年6月28日)現在において当社が判断したものであり、また本記載は将来発生しうるすべてのリスクを必ずしも網羅したものではありません。

 

(1)材料価格高騰に係るリスク

当社製品の主要原材料のひとつである鋼材等の市況変動により、当社の経営成績と財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)品質問題に係るリスク

当社はISO9001にもとづいた品質管理体制のもと、当社製品およびサービスの提供に取り組んでおります。しかしながら、製造過程における予期せぬ欠陥あるいは不具合等の発生により、当社の経営成績と財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)設備投資動向に係るリスク

当社が主に製造販売する特殊高圧圧縮機の販売動向は、製造業を中心とした企業の設備投資状況に影響を受けることがあります。当社といたしましてはこれらのリスクを最小化すべく各業界の設備投資動向を把握し、新規の需要開拓や受注拡大に鋭意努力してまいりますが、経済環境の変化によっては当社の経営成績と財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品販売価格に係るリスク

当社は市場競争力を持つ差別化された製品を提供すべく研究開発に注力していますが、製品によっては他社との競合により受注価格の下落を招く場合もあり、当社の経営成績と財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)製品に係るリスク

当社は高圧ガス保安法に基づいた圧縮機をはじめ各種の圧縮機を製造しております。当社が製造・納入した製品において将来欠陥等により製造物責任の賠償を求められないという保証はありません。これらのリスクをカバーすべく製造物責任賠償保険に加入しておりますが、多額の賠償額が発生した場合には当社の経営成績と財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6)人材の確保・育成に係るリスク

当社は高度な技術開発力および機械加工・研磨・切削等の精緻な技術力に支えられた製品を製作しております。これら技術に立脚した事業を維持するために、毎年数名程度の新卒採用を行うと同時に、必要と判断される場合には適時にキャリア採用を行い事業の推進に対応しておりますが、当社が必要とする専門的技術・知識・資格を持つ人材の育成が計画通りに進まない場合には当社の経営成績と財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)退職給付債務に係るリスク

当社従業員の退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されています。割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率において実際の結果が前提条件と異なる場合、当社の経営成績と財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)情報システムに係るリスク

当社の事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大しており、当社は情報セキュリティ強化のため、ネットワークの社内網整備や情報保存媒体の使用制限を設けるなど、情報漏えいリスクの軽減に努めております。しかしながら、コンピュータウイルスその他の要因によって情報システムの機能に支障が生じた場合には、正常な事業遂行が難しくなり、当社の経営成績と財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)自然災害等に係るリスク

当社は、自然災害等による事業活動への被害を最小限にとどめるため、災害対応マニュアルの策定等の対応を進めております。しかしながら地震等大規模な自然災害その他の事象により、当社の事業遂行に直接的または間接的な影響が生じた場合は、当社の経営成績と財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、緩やかに回復しています。
 日銀短観(2018年3月調査)によれば、2017年度の経常利益計画(全規模・全産業)は、前年度比7.1%増と12月調査から2.6%上方修正されています。しかし、設備投資計画(全規模・全産業)は、前年度比4.0%増と12月調査から0.4%下方修正されており、力強さに欠ける内容となっています。

このような状況下、当事業年度における当社業績は、国内における燃料電池車(FCV)用の水素ステーションの建設実施件数の減少、及び大口の石油精製・石油化学向け案件の販売時期が来期以降へ変更となった影響等により売上高が伸び悩み、前年同期比13.9%減の4,364百万円となりました。売上総利益は売上高が減少したものの、原価削減への取り組みにより、前年同期比1.0%減の1,295百万円にとどまりました。一方、販売費及び一般管理費において、海外案件の販売促進強化の目的から見積の為の費用が増加したことや、研究開発強化による費用増等により前年同期比131百万円増加し、営業利益は前年同期比39.8%減の218百万円、経常利益は前年同期比37.1%減の226百万円、当期純利益は前年同期比37.1%減の158百万円となりました。

 

 ② 財政状態の状況

当事業年度末の総資産は、7,889百万円で前事業年度末に比べ39百万円減少しました。この主な要因は、仕掛品の増加289百万円及び預け金の増加300百万円があったものの、受取手形の減少88百万円及び売掛金の減少574百万円があったことによります。

当事業年度末の負債は、2,046百万円で前事業年度末に比べ95百万円減少しました。この主な要因は、前受金の増加80百万円があったものの、支払手形の減少101百万円及び短期借入金の減少70百万円があったことによります。

当事業年度末の純資産は、5,842百万円で前事業年度末に比べ56百万円増加しました。この主な要因は、剰余金の配当99百万円があったものの、当期純利益の計上158百万円があったことにより、繰越利益剰余金が58百万円増加したことによります。

以上の結果、自己資本比率は74.1%となりました。

 

  ③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は509百万円で、前事業年度末に比べ30百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は541百万円であります(前年同期は45百万円の増加)。この増加は主に、たな卸資産の増加額281百万円があったものの、売上債権の減少額663百万円及び税引前当期純利益226百万円があったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は340百万円であります(前年同期は352百万円の減少)。この減少は主に、有形固定資産の取得による支出36百万円、預け金の増加額300百万円があったことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は170百万円であります(前年同期は169百万円の減少)。この減少は主に、短期借入金の返済による支出70百万円及び配当金の支払額98百万円によります。

 

 

   ④ 生産、受注及び販売の実績

    a. 生産実績

 当事業年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

圧縮機事業

4,834,105

△3.9

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

    b. 受注実績

 当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

圧縮機事業

5,481,011

15.5

2,403,503

86.7

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 受注残高の著しい増加は、主に海外の大口の石油精製・石油化学向け案件の受注を複数獲得した
ことによるものであります。

 

    c. 販売実績

 当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

圧縮機事業

4,364,806

△13.9

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

  ① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としており、それらを過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき作成しております。

 

  ② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の経営成績は、FCV用の水素ステーションの建設実施件数の減少、大口の石油精製・石油化学向け案件販売時期の来期への変更等の外的要因により、前年同期と比較し減収減益となりました。詳細は前述の「(1)経営成績等の状況の概要」をご確認ください。
一方、「2017中期経営計画」初年度である当事業年度における種々施策の実行により期末時点の受注残高は、前年対比1,116百万円増の2,403百万円となりました。具体的な取り組みと成果は以下の通りです。

 

a. 前事業年度から継続している海外案件への販売促進に向けた組織改編を含む体制強化による受注増

b. 高効率・省エネ・省メンテナンスを追及したPETボトル成型用圧縮機の新製品の発表

 

また、国内外における同業他社とのシェア争いは厳しさを増すと考えられますが、今後の受注・販売増加に向けた具体策として以下を実行することで、下記2018年度及び2020年度の目標数値の達成に向け努力してまいります。

 

a. 当社が中長期的成長商品と位置付けているFCV用水素ステーション向け圧縮機の機能向上

b. アフターサービスも含めた販売促進のための体制・体質強化を目的とした営業部門と設計部門の更なる
     組織改編

c. 研究開発や品質向上を加速させるための経営陣の管掌範囲の見直し

 

なお、当社は企業価値向上を重要な経営課題の一つと考えており、そのため売上高・経常利益・純利益の他、ROE(自己資本利益率)を重要な指標として位置づけており、「2017中期経営計画」においては、2年目の2018年度と最終年度である2020年度に下記計数目標を設定しております。

 

 

2018年度

2020年度

経営指標

目標

目標

売上高

63億円

75億円

経常利益

5.5億円

8億円

純利益

3.5億円

5億円

ROE

5.5%

7.5%

 

 

  ③ 資本の財源および資金の流動性

当社は、運転資金及び設備資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借入による方針です。
当事業年度においては、運転資金及び設備資金のほとんどを自己資金でまかなっており、当事業年度末における現金及び預金の残高は509百万円であり、余剰資金は親会社である三井造船株式会社(現 株式会社三井E&Sホールディングス)に対する預け金で運用しており、当事業年度末における残高は2,700百万円であります。金融機関からの有利子負債については短期借入金のみであり、当事業年度末における残高は60百万円であります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社は「技術に立脚し社会が求める優れた商品を提供する」ことを基本理念とするとともに、環境問題・社会要請などにも応えるべく以下のような研究開発に取組んでおります。当事業年度の試験研究費の総額は106百万円であります。

 

当事業年度においては、既に市場投入・販売展開している『水素ステーション用一括昇圧型水素圧縮機』(商品名HyKom340)の次期モデルとして、更なるコストダウン・コンパクト・短納期の実現をコンセプトに新たな水素ステーション(ST)用圧縮機を開発しました。

次期モデルは定置型水素STの標準仕様(吐出圧力:82 MPa、吐出量:340 Nm3/h)であり、従来モデルの後継機となります。従来の技術は継承した上で、シリンダを3気筒から2気筒に変更し、各部品の小型化を実現することで、コンパクト化に成功、さらにメンテナンスにも配慮した設計にしております。2017年12月に試運転を実施し、予定の性能を満たしていることを確認しており、2018年度は引続き耐久運転を実施することで品質向上に向けた検証を行ない、2019年度の商品化を予定しております。

当社は、水素ステーション以外にも、成長分野市場が求める商品の開発と市場投入を実現するため、そのベースとなる高圧技術・環境対応技術の基礎研究を継続するとともに、既存商品の更なる改良開発を進めております。