文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「愛」「創造」「氣」を合言葉に「Ever Onward ―限りなき前進」を掲げ、事業の持続的発展により、「世の中になくてはならない企業」になることを目指してまいります。
「 愛 」 私たちは、仕事を愛し、人を愛し、国や地域を愛し、
地球を愛することを通じて、人や環境にやさしい
「もの創り」を目指し、社会に貢献します。
「創造」 私たちは、高感度・高感性で創造力を発揮し、
世の中に無い魅力的なものを創り出すことを目指します。
「 氣 」 私たちは、何ごとにも、成し遂げる“氣”を持って挑戦し、
製品やサービスに魂を込め、未来を切り開いていきます。
そして、この経営理念の下、当社の持つ技術が世界中に波及し、魅力あるファッション製品の「もの創り」のスタンダードに昇華させ、また当社のコア・コンピタンスが、ファッション製品以外の業界にも貢献できる、新たな成長ステージを創造し、感性情報型企業へ進化していくことを、当社グループの10年後のビジョンとしています。
さらに当社グループは、当社株主に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつとして位置付け、事業の持続的発展を通じて、安定した配当を長期にわたって継続することを利益還元の基本方針とし、そのうえで、長期的視点に立った成長投資および今後の事業展開に備えた内部留保にもバランス良く配分を行ってまいります。
(2) 目標とする経営指標
創業から50余年を経た当社グループにおいて、中期経営計画を「次の50年」の企業成長の礎を築くための「成長を加速させる」フェーズとして位置づけております。
中期経営計画においては、顧客ニーズに応えるための積極的な投資を実施するとともに、さらなる業績の向上と財務の健全化を目指し、当社グループとして「売上高:650億円」「営業利益:100億円」「経常利益:100億円」「当期純利益:70億円」「ROE:5.3%」を2021年3月期の達成目標とし、より一層の企業価値の向上に努めてまいります。
(3) 経営環境および対処すべき課題
消費行動の変化やECビジネスへのシフト、当社顧客業界での更なる効率化経営の追求など、当社を取り巻く経営環境は加速度的に変化しています。
そうした世界的な変化の潮流の中、ビジネス機会を確実に掴むべく、当社グループでは「差別化戦略の推進と事業領域の拡大」と「将来の成長に向けた積極的な投資の強化」を中期経営計画のメインシナリオに掲げ、次の4つの成長戦略の推進により、中期経営目標の達成を目指してまいります。
Ⅰ. 横編機事業の最強化
ホールガーメント横編機を核とした革新的なマーケティング手法の提案強化などにより、顧客満足度をさらに高め、コアビジネスである横編機事業をより一層強靭なものにする。
Ⅱ. 独自性をもった事業範囲の拡大
ホールガーメント技術など当社独自の技術を活用し、非衣料市場への横編機事業の展開や自動裁断機事業の強化など、革新的な事業の創出、差別化戦略を推進する。
Ⅲ. 収益構造の改革
アフターセールス強化などの収益源の多様化、営業キャッシュ・フローの改善など、事業・業務の抜本的な見直しにより、持続可能な収益源の確保と戦略的なコスト削減を進める。
Ⅳ. 経営基盤の強化
創造力のある人材・多様性のある人材の採用・育成など、人材面を中心に、全般的な経営資源の整備を進めるとともに、CSRをさらに重視した経営体制を構築する。
当社グループは、事業展開においてリスク要因となり、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な項目を以下のとおり認識しています。
当社グループではこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、その発生の回避および発生時の適切な対応に努めております。なお、記載内容のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①特定の海外市場への依存
当社グループの海外売上比率は80%を超える水準で推移しており、なかでも中国やバングラデシュさらにASEAN諸国などを合わせたアジア市場での売上高は2分の1を超えています。当市場における他社横編機メーカーとの競合、金融政策、税制の変更、他地域との貿易摩擦などの経済及び政治状況等の変化が受注減につながる懸念があり、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
②為替レートの変動
当社グループは全世界に製品を販売しており、取引においては円貨以外に外国通貨建で行われております。このため先物為替予約取引等によりリスクヘッジを行っておりますが、円高による外貨建債権の評価損の発生や価格競争力の低下により計画した販売活動を確実に実行できない場合があるため、急激な為替レートの変動は当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
③与信及び売上債権の回収リスク
世界販売戦略のなかで主要マーケットである中国及び欧州市場においては当社グループが直接、ユーザーに対する適正な与信管理を行い、債権の回収リスクと販売のバランスを図りながら総合的な海外営業戦略を実施しております。一方で、連結経営における的確な与信対応の重要性が一層高まり、ユーザーの業績や信用状態の変動及びカントリーリスクの顕在化が、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
④知的財産保護戦略の課題
当社グループが持つ独自の技術とノウハウの一部は、特定の国、地域においては法令遵守意識の欠如等により知的財産権による完全な保護が不可能または限定的にしか保護されない状況にあります。そのため第三者が当社グループの知的財産権を違法に使用して模倣製品を製造する行為を、効果的に防止できない可能性があり、それに伴う売上シェアの低下や価格競争を引き起こすことで当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑤生産拠点の一極集中
当社は製品を本社のある和歌山県で集中的に生産し、開発から製造までの一貫体制を敷くことで効率化を図っております。このため、和歌山県近郊で大規模な地震災害等が発生した場合、製造ラインの操業が長期間停止する可能性があります。また、電力供給が安定的に受けられない事態が発生した場合には、計画どおりに生産が行えず、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑥事業展開地域での社会的な制度変更等の影響
当社グループは日本国内はもとより、全世界にわたり事業を展開しております。これらの地域においては、以下のようなリスクが内在しており、これらの事象の発生は当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅰ. 経済状況の悪化による需要の低迷
Ⅱ. 予期しない法律または規制の変更
Ⅲ. テロ、戦争、政変、治安の悪化その他の要因による社会的混乱
Ⅳ. 地震等の天変地異
⑦衣料消費の動向や天候不順等による影響
当社グループの製品の主要な販売先は国内外のアパレルやニットメーカーであり、百貨店や量販店などの店頭やウェブサイト等での売上は、衣料に対する個人の消費マインドやトレンドの変化に左右される傾向があります。また猛暑、暖冬、風水害などの天候不順が衣料における市場動向を決定する大きな要因のひとつであり、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑧情報システムに関するリスク
当社グループにおいて、情報システムは重要な要素の一つです。人的ミス、機器の故障、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵等により、また、外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウィルス感染等により、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報の流出等が生じ、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
このような経済環境の中、当社グループは第2次中期経営計画「Ever Onward 2020」にもとづき、世界各地のユーザーに向けて積極的な提案営業を展開しました。
しかしながら、当連結会計年度の売上高の状況は、主力の横編機事業で生産地における政治情勢の影響や競争の激化を受けてコンピュータ横編機の販売が低迷し、大幅な減収となりました。デザインシステム事業においても横編機事業の不振にともなってアパレルデザインシステムの売上高は低調となりました。手袋靴下編機事業においても売上高は減少しました。その他事業については堅調な推移となりました。
この結果、当連結会計年度の全体の売上高は513億52百万円(前年同期比28.5%減)となりました。
利益面におきましては、売上高の大幅な減少に加えて、生産調整にともない売上総利益率が悪化したことや、一部顧客の支払遅延に対応して貸倒引当金繰入額を増加させたことなどで営業利益は46億38百万円(前年同期比68.9%減)、経常利益は49億91百万円(前年同期比67.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は38億35百万円(前年同期比66.0%減)といずれも大幅な減益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(横編機事業)
当社のコア・ビジネスである横編機事業の状況は、アジア地域では中国市場において同国のアパレル消費の拡大にともなって、従来のOEM型生産から企画提案型・高付加価値商品の国内向け生産体制へと転換を図る動きが拡がり、ホールガーメント横編機の導入が拡大しました。一方で先進国アパレル向けの大量生産拠点であるバングラデシュで政情の影響を受けて設備投資が停滞したことや、世界経済の減速懸念からアパレルの生産動向に不確実性が高まったことで、香港大手ニットメーカーのASEAN諸国への設備投資も慎重な姿勢となり販売は低迷しました。また近年急速に販売が拡大したスポーツシューズ生産向けのコンピュータ横編機は丸編機や中国製の廉価な横編機との競合が厳しくなり、売上高を伸ばすことができませんでした。中東のトルコにおいても7月以降のリラ安の進行がユーザーの資金調達難を招き、第2四半期以降の設備投資が低調となりました。
先進国市場では欧州や北米での売上高も前年並みとなった一方で、国内市場におけるコンピュータ横編機の売上高はホールガーメント横編機を中心に前期に比べて拡大しました。
これらの結果、横編機事業の売上高は388億6百万円(前年同期比34.6%減)、セグメント利益(営業利益)は87億67百万円(前年同期比54.9%減)となりました。
(デザインシステム関連事業)
デザインシステム関連事業ではアパレルデザインシステム「SDS-ONE APEX3」の3Dバーチャルシミュレーションの活用による画期的な生産・流通のビジネスモデルを提唱し、積極的に営業展開しましたが、コンピュータ横編機の販売不振に連動して売上高は減少しました。
一方で自動裁断機「P-CAM」については、国内、海外市場ともにテキスタイル分野や自動車内装品分野、その他の産業資材分野に順調に販売が伸びました。
これらによりデザインシステム関連事業の売上高は43億80百万円(前年同期比11.3%増)、セグメント利益(営業利益)は9億44百万円(前年同期比19.0%減)となりました。
(手袋靴下編機事業)
手袋靴下編機事業は、大手ユーザーの設備投資が減少し、売上高は15億55百万円(前年同期比34.5%減)、セグメント利益(営業利益)は2億37百万円(前年同期比50.0%減)となりました。
(その他事業)
その他事業については、メンテナンス部品や紡毛糸、ニット製品の販売などで、売上高は66億9百万円(前年同期比7.0%増)、セグメント利益(営業利益)は9億99百万円(前年同期比849.8%増)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%を占める相手先がいないため、記載はありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、おもに受取手形及び売掛金の減少などで、前期末に比べて91億91百万円減少し、1,451億46百万円となりました。負債合計は仕入債務や未払法人税等の減少などで前期末に比べて68億66百万円減少し、239億79百万円となりました。純資産は自己株式の取得などで23億24百万円減少し、1,211億66百万円となりました。また、自己資本の額は前期末に比べて23億45百万円減少し1,211億32百万円となり、自己資本比率は前期末より3.5ポイント上昇し83.5%となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて26億25百万円増加し、268億49百万円となりました。
各活動別のキャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
たな卸資産の増加や仕入債務の減少などによる資金の減少はありましたが、売上債権の減少や減価償却費の計上などにより、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは99億35百万円の資金の増加となりました。(前連結会計年度は93億97百万円の資金の増加)
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資有価証券の売却による収入などがありましたが、有形固定資産の取得や投資有価証券の取得による支出などにより、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは8億72百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は48億43百万円の資金の減少)
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
自己株式の取得による支出や配当金の支払いによる支出などにより、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは65億40百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は17億31百万円の資金の増加)
当社グループの資金調達においては、資金の使途、目的に対応して、営業活動から得られるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等、多様な調達方法を組み合わせて低コストかつ安定的な資金を確保するように努めております。
財務の安全性を示す指標である自己資本比率及び流動比率は、当連結会計年度末においてそれぞれ、83.5%、542.4%となり、極めて良好な財務状態を保っております。
今後も当社グループが将来にわたり世界のリーディングカンパニーとして強固な地位を占め、安定的に成長を維持するために必要な運転資金および設備投資資金は、良好な財務状態および活発な営業活動により、充分調達することが可能と考えております。
次期においても、世界の各市場においてグループ各社の連携による積極的な事業展開を推進するとともに、なお一層のコスト削減を進め、さらなる業績の向上、収益力の強化を図ってまいります。
該当事項はありません。
当社の企業グループにおきまして幅広く研究開発活動を行っており、当連結会計年度における研究開発費の総額は、
セグメントに関連付けた研究開発費については、当社の研究開発活動が開発課題に対応したプロジェクトを必要に応じてフレキシブルに編成して取り組んでおり、セグメント別に関連付けることが困難であるため記載しておりません。
当連結会計年度における主な研究開発活動の概要は次のとおりであります。
当社グループのコア・ビジネスである横編機分野では、国際繊維機械見本市(ITMA 2019)(2019年6月開催)に向けて、生産効率向上や省電力を両立させた新機種や新機能の開発を行ってまいりました。
昨今、ファッション業界では、サステイナブルをテーマに取り組みが見られてきており、当社も業界に対して、ホールガーメント横編機と高精細な3次元バーチャルサンプルを生み出すデザインシステムを活用した「トータルファッションシステム」でサステイナブルなもの創りを訴求しております。
このような中、製品作りの無縫製化の機運が高まっており、そのニーズに対応したホールガーメント横編機のエントリーモデル「MACH2VS」を新たに開発しました。自走式キャリアを採用し、色柄の作成を可能にします。成型編機においては、「SSR」「SVR」などの主力機種でキャリッジシステムを改良し、生産効率を高めた新機種をそれぞれ開発しました。
またデザインシステムは、3次元のバーチャルシミュレーションのさらなる高速化、操作性の向上を図った新製品「SDS-ONE APEX4」の開発に取り組みました。システム上で、よりリアルなサンプル作成につなげ、企画・デザインから生産までのもの創りを一気通貫でサポートします。
ニット編成面の開発を進めるトータルデザインセンターでは、最先端の横編み技術を駆使し、ホールガーメントサンプルの開発を中心に行ってまいりました。ITMA 2019に向けて、当社独自の機能を活用したサンプル開発や、ファッション業界にとどまらずスポーツやメディカル、インテリア業界、産業資材など異業種への提案を行うためのサンプルの開発も強化しました。
一方、自動裁断機の「P-CAM」シリーズは、「Total Cutting Solution」を確立させるため、裁断機の開発にとどまらず、延反からラベリング、そしてピックアップと裁断の前後工程において生産性向上や省人化につながる開発を継続しています。
当期は一枚断ち自動裁断機の「P-CAM160」をリニューアルしました。これまでと違い、密閉ビニールを使用せず裁断できるようにしたことで、効率化に加え、ビニールの廃棄ロスもなく環境にやさしい仕様となりました。また、海外販売を強化するため、市場のニーズに応じた最適な機能改良にも取り組みました。
今後も性能の向上に加え、お客様の要望に合わせた開発を継続することで、アパレル業界のみならず、航空宇宙関連、自動車産業、産業資材など様々な業界への浸透を図ってまいります。
以上のように、当社では創業以来、「Ever Onward ― 限りなき前進」の経営理念のもと、「創造性にもとづく独自の技術開発」を基本に、ハードウエア、ソフトウエアを開発してまいります。また、外部リソースを有効に活用しながら開発スピードを高め、常に顧客の立場に立った製品及びノウハウを生み出すための研究開発に努めております。