第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「愛」「創造」「氣」を合言葉に「Ever Onward ―限りなき前進」を掲げ、事業の持続的発展により、「世の中になくてはならない企業」になることを目指してまいります。

「 愛 」 私たちは、仕事を愛し、人を愛し、国や地域を愛し、

地球を愛することを通じて、人や環境にやさしい

「もの創り」を目指し、社会に貢献します。

「創造」 私たちは、高感度・高感性で創造力を発揮し、

世の中に無い魅力的なものを創り出すことを目指します。

「 氣 」 私たちは、何ごとにも、成し遂げる“氣”を持って挑戦し、

製品やサービスに魂を込め、未来を切り開いていきます。

 

この経営理念の下、当社の持つ技術が世界中に波及し、魅力あるファッション製品の「もの創り」のスタンダードに昇華させ、また当社のコア・コンピタンスが、ファッション製品以外の業界にも貢献できる、新たな成長ステージを創造し、感性情報型企業へ進化していくことを、当社グループの10年後のビジョンに掲げ、その実現に向け当社グループが一丸となって邁進してまいります。

 

 

(2) 経営戦略

消費行動の変化やECビジネスへのシフト、当社顧客業界での更なる効率化経営の追求など、当社を取り巻く経営環境は加速度的に変化しています。

そうした世界的な変化の潮流の中、ビジネスチャンスを確実に掴むべく、当社グループでは「差別化戦略の推進と事業領域の拡大」と「将来の成長に向けた積極的な投資の強化」を中期経営計画のメインシナリオに掲げ、次の4つの成長戦略を推進することで、企業価値の向上に努めてまいります。

 

<4つの成長戦略(重点施策)>

① 横編機事業の最強化

ホールガーメント横編機を核とした革新的なマーケティング手法の提案強化などにより、顧客満足度をさらに高め、コアビジネスである横編機事業をより一層強靭なものにする。

② 独自性をもった事業範囲の拡大

ホールガーメント技術など当社独自の技術を活用し、非衣料市場への横編機事業の展開や自動裁断機事業の強化など、革新的な事業の創出、差別化戦略を推進する。

③ 収益構造の改革

アフターセールス強化などの収益源の多様化、営業キャッシュ・フローの改善など、事業・業務の抜本的な見直しにより、持続可能な収益源の確保と戦略的なコスト削減を進める。

④ 経営基盤の強化

創造力のある人材・多様性のある人材の採用・育成など、人材面を中心に、全般的な経営資源の整備を進めるとともに、CSRをさらに重視した経営体制を構築する。

 

 

(3) 経営環境および対処すべき課題

次世代型の横編機であるホールガーメント機の需要は今後も順調に拡大する見込みでありますが、従来型のコンピュータ横編機は当初想定よりも競合が激化し、また当社の主要販売先となるアパレル・ファッション業界では、世界的な景気減速懸念が強まるなか、中期的な設備投資マインドの冷え込みが顕著に表れてきたことに加え、新型コロナウイルス感染症により各国ユーザーでの設備投資が凍結状態となりました。

一方で、アパレル・ファッション業界は、消費者のエシカル消費やカスタム化などの行動変化、またデジタル化の急速な進展、サステイナビリティ等の企業の社会的責任(CSR)増大など、変化する事業環境への対応が求められており、これまでのようなリードタイムの長い大量生産・大量消費を前提としたビジネスモデルから脱却し、市場ニーズに即した付加価値の高い製品を、必要なときに必要な量だけ生産し、短納期で消費者に届ける「あるべきビジネスモデル」の仕組みをいかに構築するかが問われています。

従来より「トータルファッションシステム」として、新しいモノづくりの在り方を提案してきた当社グループは、こうした状況をビジネスチャンスと捉え、ユーザー業界の課題解決に向け、加速度的に変化する経営環境を踏まえて、意思決定の迅速化や経営の効率性の向上に向けた経営体制の見直しなど短期的戦略の実行と併せて、中期計画で掲げた4つの成長戦略を全社一丸となって引き続き推し進めることにより、当社グループの企業価値の更なる向上に努めてまいります。

 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営指標としては、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、ROEを重視しております。

今後の事業環境については、新型コロナウイルス感染症の収束時期や、経済活動の落ち込みの影響を見通すことができず、先行きは非常に不透明な状況にあるため、当社の次期(2021年3月期)の業績予想につきましては、合理的な算定が困難なため、現時点では未定としております。

このような状況下、中期経営計画に関しても、目標指標を含めた内容の見直しの要否について検討しております。

 

 

次期業績予想

 中期経営計画
 目標値(※)

直近実績

2021年3月期

2021年3月期

2020年3月期

売上高

650億円

332億円

営業利益

100億円

△56億円

経常利益

100億円

△55億円

当期純利益

70億円

△84億円

ROE

5.3%

△7.4%

 

※2019年5月8日発表の修正後の目標値

 

2 【事業等のリスク】

 

当社グループは、事業展開においてリスク要因となり、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な項目を以下のとおり認識しております。

当社グループではこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、その発生の回避および発生時の適切な対応に努めております。なお、記載内容のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 特定の海外市場への依存

アパレルビジネスは労働集約型産業として人件費の安い地域で生産が行われております。そのため、近年、世界最大の生産国である中国から東南アジア地域への生産地シフトが顕著となっております。当社グループの海外売上高比率は80%前後で推移しており、さらにアジア市場の売上は約50%を占めます。当市場は、世界のアパレルの生産拠点として重要な地域であり、横編機の商談も規模が大きくなる傾向があります。そのため、同地域での競合環境、国の政策等で大きく変動することがあります。横編機は設備機械であることから、産業構造の変化、ならびに新設、更新投資が活発なタイミングなど様々な要因が当社の受注環境に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、当社グループでは、オンデマンド生産が可能なホールガーメント横編機の販売を通じ、消費地における生産を提案しております。

 

② 為替レートの変動

当社グループは海外売上高比率が80%前後で推移しており、取引においては日本円以外に外国通貨建てで行われているため、急激な為替レートの変動は当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。主に米ドル建てでの販売地域は、アジア市場、南北アメリカ市場となり、外貨建て売上高の5割程度(2019年度)を占めております。続いてユーロ建て取引での販売地域は、欧州市場ならびに中東トルコ市場となり、外貨建て売上高に占める割合は3割程度(2019年度)となります。その他、韓国ウォン、英国ポンドが続きます。

このため当社グループは、連結財務諸表等 注記事項 (デリバティブ取引関係)に記載の通り、売上債権に対する外貨建債権に対して先物為替予約取引等でリスクヘッジを行っております。

 

③ 与信及び売上債権の回収リスク

売上債権に占める割合の多くは、横編機事業に係る債権となっております。多くのユーザーは素材仕入れから製品販売までの期間が長期にわたることもあり、債権回収も長期にわたることが業界内での特有の商慣習になっております。そのため、当社グループでは、主要地域では直接ユーザーに対する与信管理の強化を行っております。昨今、アジア市場ではグローバルアパレルの成長とニットメーカーの成長が両輪となり、大規模な生産活動が行われております。そのため、1社あたりの取引金額も膨らむ傾向となっております。

回収リスク低減のため、流動化の実施、リース取引の推進を行うと同時に、横編機にPMS(パスワードマネジメントシステム)を搭載し、期日までの支払いを促す仕組みを構築しております。回収遅延等発生している場合には、保守的に引当金を計上する等の対策を行っております。

 

④ 知的財産保護戦略の課題

当社グループが保有する独自技術やノウハウの一部は、法令順守意識の欠如等により知的財産権による完全な保護が不可能または限定的にしか保護されない可能性があります。当社グループの戦略機種であるホールガーメント横編機は横編機事業の売上高の約半数を占めておりますが、特許の侵害等により模倣製品が流通した場合、当社事業に与える影響は大きくなります。このため当社グループは、知的財産部を設置し、他社による特許侵害を常に注視しており、必要に応じて、注意喚起や法的手続きをとる体制を整えております。

 

 

⑤ 生産拠点の一極集中

当社は製品を本社がある和歌山県で集中的に生産し、開発から製造までの一貫体制を敷くことで効率化やコストダウンを図ってきました。このため、和歌山県近郊で大規模な地震災害や重度の感染症が発生した場合、製造ラインの操業が長期間停止する可能性があります。汎用性のある製品は、通常、売上高の1カ月程度の製品在庫を保有しておりますが、保管状態に影響が出た場合や物流の停滞などそれ以上の影響が発生した場合、当社事業の売上高に直結します。当社は日産体制を構築しておりますので、停止期間が継続する場合、その影響は大きくなります。そのため、当社では、停止期間を最小化できるように事業継続計画を策定し、早期に復旧できるような体制を整えております。

 

⑥ 衣料消費の動向や天候不順等による影響

当社グループの製品の主要な販売先は国内外のアパレルやニット製品を製造するメーカーです。そのため衣料品の販売動向が低迷した場合、また消費スタイルが変化した場合に影響を受ける可能性があります。またニット製品は季節性の強い製品が中心であるため、暖冬などの天候不順で想定以上の製品在庫が発生した場合、翌年の生産動向にも影響を与え、設備投資の減退など当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

このため当社グループでは、「KNITify the World」をスローガンに非アパレル分野でのニット化を高めるよう取り組みを行っております。

 

⑦ 情報セキュリティに関するリスク

当社グループにおいて、情報システムは重要な要素の一つです。人的ミス、機器の故障、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵等により、また、外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウィルス感染等により、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報流出等が生じ、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、情報セキュリティポリシーを定め、全ての役員および従業員等に対する情報の取り扱いの行動規範を定めるほか、情報セキュリティの物理的対策および技術的対策の取り組みについて情報セキュリティ委員会を通じて継続した啓発活動を実施しています。

 

⑧ 事業展開地域での社会的な制度変更等の影響

アパレル産業は、経済のグローバル化の進展で、サプライチェーンマネジメントも同時にグローバル化してきました。そのため、労働集約型産業として人件費の安い地域で生産が行われております。消費国と生産国における貿易摩擦等が発生し、経済問題に発展した場合、設備投資動向にも大きく影響を及ぼします。近年発生した米中貿易摩擦など、貿易量の大きい国同士の場合には、その影響額も大きくなる可能性があります。

これに対し、当社グループでは、オンデマンド生産が可能なホールガーメント横編機の販売を通じ、日本や欧米など消費地における生産を提案しております。

 

⑨ 災害等のリスク

地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、感染症の拡大(パンデミック)、国際紛争等が発生した場合、当社ビジネスに影響が及ぶ可能性があります。

1.販売面への影響

主要販売先であるアジア(中国、ベトナムなどASEAN、バングラデシュ)、イタリアを中心とした欧州市場、トルコを中心とした中東市場で影響が拡大した場合には、通常の営業活動に支障をきたし、最悪の場合には営業活動を停止させなくてはいけないため、目標である計画値の到達が難しくなります。

長期化した場合には、当社業績もそれに伴い影響が大きくなります。さらにユーザーの生産活動にも影響を与え、資金繰り悪化による売上債権の回収リスクにも大きく影響を与える可能性があります。「③与信及び売上債権の回収リスクに詳細記載」

2.生産面への影響

生産面では影響の長期化が部品不足を招き、生産停止を余儀なくされることが想定されます。当社は「⑤生産拠点の一極集中」に記載の通り、生産活動がストップした場合には、多大な影響が発生します。

さらに設備投資需要が高まる1月から3月(当社第4四半期)に災害等のリスクが発生した場合は、その影響は拡大する可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績

当連結会計年度における経済の動向は、米国では保護主義的な通商政策の長期化から製造業の景況感が悪化し、欧州でも製造業の生産の低下、輸出の減少が見られました。中国においても内需や設備投資が低迷し、わが国においても輸出が伸び悩むなど減速感が増しました。加えて、第4四半期に入り中国で発生した新型コロナウイルス感染症が全世界に拡大する中で、世界経済の先行きには一段と厳しさが強まりました。

このような状況の中、当社グループが製品を供給するアパレル産業においては経済の先行き懸念とともに環境負荷軽減への取り組みから、商品の過剰生産や在庫数量を抑制する動きが顕著となり、工場サイドでも設備投資マインドは低調なまま推移しました。

当社グループはこうしたユーザー業界の課題解決に向けて、当社製品を活用した適時適量生産体制への転換を訴求することで投資意欲を喚起することに注力しましたが、売上高の回復には繋がらず、当連結会計年度の全体の売上高は332億6百万円(前年同期比35.3%減)となりました。

利益面におきましては、売上高の大幅な減少に加えて生産調整に伴い売上総利益率が悪化したことなどで、営業損失56億2百万円(前年同期は営業利益46億38百万円)、経常損失は55億83百万円(前年同期は経常利益49億91百万円)、また投資有価証券評価損などの特別損失の計上および繰延税金資産の取り崩しなどで親会社株主に帰属する当期純損失は84億27百万円(前年同期は純利益38億35百万円)といずれも大幅な減益となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(横編機事業)

当社のコア・ビジネスである横編機事業の状況は、アジア地域では中国、バングラデシュ、ベトナムなどのOEM型生産工場において先進国アパレルからの受注が減少したことで設備投資計画が見直され、コンピュータ横編機の売上高が落ち込みました。また中国市場では近年、OEM型生産から企画提案型・高付加価値商品の内地生産体制へと転換を図る動きが拡がり、ホールガーメント横編機の導入が拡大していましたが、内需の低迷を受けて販売台数が減少しました。

中東のトルコにおいては第3四半期から第4四半期にかけて欧州アパレル向けの生産量が拡大し、設備投資が回復傾向となりましたが、通期では前期の売上高に及びませんでした。

先進国市場の欧州や北米、国内市場においても総じてコンピュータ横編機の売上高は前期に比べて減少しました。

これらの状況に加えて、第4四半期には新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界各地で工場の操業停止や営業活動の中断を余儀なくされ、販売が低調となりました。

これらの結果、横編機事業の売上高は228億77百万円(前年同期比41.0%減)、セグメント利益(営業利益)は3億48百万円(前年同期比96.0%減)となりました。

(デザインシステム関連事業)

デザインシステム関連事業では、従来機種と比較して処理速度が最大6倍にアップしたアパレルデザインシステム「SDS-ONE APEX4」を投入し、ハイクオリティーな3Dバーチャルシミュレーションの活用による画期的な生産・流通のビジネスモデル転換を提唱しましたが、コンピュータ横編機の販売不振に連動して売上高は減少しました。

また自動裁断機「P-CAM」についても、国内、海外市場ともにテキスタイル分野での需要の落ち込みにより販売が低調となりました。

これらによりデザインシステム関連事業の売上高は36億11百万円(前年同期比17.6%減)、セグメント利益(営業利益)は3億7百万円(前年同期比67.4%減)となりました。

 

(手袋靴下編機事業)

手袋靴下編機事業は、大手ユーザーの設備投資が減少し、売上高は10億54百万円(前年同期比32.2%減)、セグメント損失(営業損失)48百万円(前年同期は営業利益2億37百万円)となりました。

(その他事業)

その他事業については、メンテナンス部品や紡毛糸、ニット製品の販売などで、売上高は56億63百万円(前年同期比14.3%減)、セグメント利益(営業利益)は3億17百万円(前年同期比68.2%減)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比

横編機

16,450

△51.2%

デザインシステム関連

3,212

△26.0%

手袋靴下編機

967

△32.7%

合計

20,631

△47.7%

 

(注) 金額は、販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比

受注残高(百万円)

前年同期比

横編機

22,673

△31.1%

2,913

△6.6%

デザインシステム関連

3,565

△16.0%

195

△19.0%

手袋靴下編機

984

△33.4%

102

△40.5%

合計

27,222

△29.6%

3,211

△9.1%

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比

横編機

22,877

△41.0%

デザインシステム関連

3,611

△17.6%

手袋靴下編機

1,054

△32.2%

その他

5,663

△14.3%

合計

33,206

△35.3%

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%を占める相手先がいないため、記載はありません。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における総資産は、おもに現金及び預金、受取手形及び売掛金の減少などで、前連結会計年度末に比べて144億51百万円減少し、1,306億95百万円となりました。負債合計は買掛債務や短期借入金の減少などで前連結会計年度末に比べて12億34百万円減少し、227億44百万円となりました。純資産は利益剰余金の減少や自己株式の取得などで132億16百万円減少し、1,079億50百万円となりました。また、自己資本の額は前連結会計年度末に比べて132億21百万円減少し1,079億11百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末より0.9ポイント低下し82.6%となりました。

(3)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて52億66百万円減少し、215億82百万円となりました。

各活動別のキャッシュ・フローの状況は次の通りであります。

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

税金等調整前当期純損失の計上となりましたが、売上債権の減少や減価償却費の計上などにより、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは37億76百万円の資金の増加となりました。(前連結会計年度は99億35百万円の資金の増加)

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

有形固定資産の取得や投資有価証券の取得による支出などにより、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは30億85百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は8億72百万円の資金の減少)

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

自己株式の取得による支出や配当金の支払いによる支出などにより、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは55億55百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は65億40百万円の資金の減少)

 

当社グループの資本の財源および資金の流動性については次の通りであります。

当社グループの資金需要の主なものは、事業活動にかかる運転資金、生産能力増強・生産効率化のための設備投資及び新製品開発・成長領域での製品開発投資等によるものであります。資金調達においては、資金の使途、目的に対応して、営業活動から得られるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等、多様な調達方法を組み合わせて低コストかつ安定的な資金を確保するように努めております。財務の安全性を示す指標である自己資本比率及び流動比率は、当連結会計年度末においてそれぞれ、82.6%、517.4%となり、極めて良好な財務状態を保っております。今後も当社グループが将来にわたり世界のリーディングカンパニーとして強固な地位を占め、安定的に成長を維持するために必要な運転資金、設備投資資金及び製品開発投資資金は、良好な財務状態および営業活動により、充分調達することが可能と考えております。

昨今のコロナウイルス感染症による影響につきましては、次期の業績が見通せない状況ではありますが、現時点で必要充分な手許資金を確保しており、また必要に応じて金融機関等から資金調達が可能な体制を整えております。

株主還元については経営における最重要課題のひとつとして位置付けており、利益成長との連動性を高め、連結配当性向を30%以上とするとともに、株価水準や資金の状況、市場環境などを総合的に勘案し、時機に応じて柔軟に自己株式の取得を行うなど、資本効率の向上にも努めるものとしております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。

① 貸倒引当金の計上基準

当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その回収可能性が低下した場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価について、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)」に従い将来の課税所得を見積り、回収可能と認められない金額について評価性引当額を計上しております。当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

③ 固定資産の減損

当社グループは、固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

④投資有価証券の減損

当社グループは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ実質価額が著しく下落したものにつきましては、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。時価のある有価証券につきましては、期末日における時価の簿価に対する下落率が50%以上の場合には、回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満の下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の事業計画などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。時価のない有価証券につきましては、その有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合に回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の事業計画などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。

将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。
 

5 【研究開発活動】

当社の企業グループにおきまして幅広く研究開発活動を行っており、当連結会計年度における研究開発費の総額は、3,675百万円であります。

セグメントに関連付けた研究開発費については、当社の研究開発活動が開発課題に対応したプロジェクトを必要に応じてフレキシブルに編成して取り組んでおり、セグメント別に関連付けることが困難であるため記載しておりません。

当連結会計年度における主な研究開発活動の概要は次のとおりであります。

昨今のファッション業界では、SDGs(持続可能な開発目標)やサステイナブルをテーマに取り組みが見られてきており、当社も業界に対して、ホールガーメント横編機と高精細な3次元バーチャルサンプルを生み出すデザインシステムを活用した「トータルファッションシステム」で持続可能な消費と生産を実現するサステイナブルなもの創りを訴求しています。

当社グループのコア・ビジネスである横編機分野では、ホールガーメント横編機の機種バリエーションの拡充やニット製品の付加価値を高める機能開発に加え、編成作業の効率化、省人化につなげるオプション開発に取り組みました。また、アパレル業界以外への提案を強化するための機種開発も行ってまいりました。

デザインシステム事業においても、刷新したデザインシステム「SDS-ONE APEX4」の機能強化を図り、操作性の向上に引き続き取り組みました。

ニット編成面の開発を進めるトータルデザインセンターでも、最先端の横編み技術を駆使し、ホールガーメントサンプルの開発を中心に行ってまいりました。またこれらの技術をファッション業界にとどまらず、スポーツやメディカル、インテリア業界、産業資材など異業種への提案を行うためのサンプル開発に取り組みました。

また、ニット製品の企画から生産におけるサプライチェーン短縮のため、自動化、省人化の要望が高まっており、その課題に適応するソリューションの開発を強化しており、自社のみならず産学協同での開発や外部リソースを活用して進めています。

また、自動裁断機の「P-CAM」シリーズは、「Total Cutting Solution」を確立させるため、裁断機の開発にとどまらず、延反からラベリング、そしてピックアップと裁断の前後工程において生産性向上や省人化につながる開発を継続しております。当期も裁断時の状況を検知、測定し、裁断の品質を向上させる機能など、市場のニーズに応じた最適な機能開発や改良に取り組みました。

今後も性能の向上に加え、お客様の要望に合わせた開発を継続することで、アパレル業界のみならず、航空宇宙関連、自動車産業、産業資材など様々な業界への浸透を図ってまいります。

以上のように、当社では創業以来、「Ever Onward ― 限りなき前進」の経営理念のもと、「創造性にもとづく独自の技術開発」を基本に、ハードウェア、ソフトウェアを開発し、常に顧客の立場に立った製品及びノウハウを生み出すための研究開発に努めております。