第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「愛」「創造」「氣」を合言葉に「Ever Onward ― 限りなき前進」を掲げ、事業の持続的発展により、「世の中になくてはならない企業」になることを目指してまいります。

「 愛 」 私たちは、仕事を愛し、人を愛し、国や地域を愛し、

地球を愛することを通じて、人や環境にやさしい

「もの創り」を目指し、社会に貢献します。

「創造」 私たちは、高感度・高感性で創造力を発揮し、

世の中に無い魅力的なものを創り出すことを目指します。

「 氣 」 私たちは、何ごとにも、成し遂げる“氣”を持って挑戦し、

製品やサービスに魂を込め、未来を切り開いていきます。

 

この経営理念の下、当社の独創的な技術が広まることで、ファッション業界の発展に貢献する「課題解決型企業」へ進化していることと、ファッション業界で培った強みを活かして、他の業界の発展にも貢献する「感性情報型企業」へ進化していることを、当社グループの10年後ビジョンとして掲げ、その実現に向けグループが一丸となって邁進してまいります。

 

 

(2) 経営戦略

消費行動の変化やコロナ禍を背景にしたEC化の加速、SDGsへの関心の高まり、当社顧客業界での更なる効率化経営の追求など、当社を取り巻く経営環境は加速度的に変化しています。

そうした世界的な変化の潮流の中、ビジネスチャンスを確実に掴むべく、社員一人一人の「意識」と「スピード」を変革し、ゼロから生まれ変わるべく、当社グループでは「変革」と「再生」をキーワードとし、次の4つの重点施策を推進することで、業績の回復ならびに企業価値の向上に努めてまいります。

 

<4つの重点施策>

① ホールガーメント事業の最強化

成型機中心からホールガーメント機中心の事業構造へ

② ソリューションビジネスへの業態変換

ファッション業界全体のサプライチェーン改革へ

③ 独自性を持った事業多角化の推進

早期の新事業立ち上げによる経営安定化へ

④ 社会の変化に対応した経営基盤の再構築

コロナ後を見据えた経営体制へ

 

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、2020年度を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画「Ever Onward 2020」を掲げ、取り組んでまいりました。しかし、当社の主要販売先となるアパレル・ファッション業界では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から需要環境の回復が見通せないことに加えて、近年の環境意識の高まりを背景に商品の過剰生産や在庫数量を抑制する動きが継続し、顧客業界での設備投資は総じて低調な推移となりました。

今後、新型コロナウイルス感染症ワクチンの普及や各国の追加経済対策により、景気は緩やかに回復軌道に戻ることが期待されますが、米中対立の長期化や、感染症再拡大やワクチン普及の遅れによる経済活動の抑制などのリスクも想定され、先行きは引き続き不透明感が強い状況にあり、特に従来型のコンピュータ横編機の競合環境は激しさが増しています。

他方、アパレル・ファッション業界においては、エシカル消費やカスタム志向などの消費行動の変化や、デジタル化の急速な進展、SDGsなどサステイナビリティへの企業の社会的責任の増大など、コロナ禍を転機に、変化する事業環境への対応が求められています。こうした環境下、これまでのようなリードタイムの長い大量生産・大量消費を前提としたビジネスモデルから脱却し、市場ニーズに即した消費者満足度の高い商品を、必要なときに必要な量だけ生産し、短納期で消費者に届ける「あるべきビジネスモデル」の構築が、顧客業界では急務となっています。

従来より「トータルファッションシステム」として、新しいモノづくりの在り方を提唱してきた当社グループは、こうした状況をビジネスチャンスと捉え、2021年度から開始した新しい中期経営計画「Ever Onward 2023」においては、4つの重点施策の取り組みに全社一丸となって注力し、顧客業界の課題解決への寄与を通じて、まずは今後3年間で、業界全体の変革の流れを作りながら、連結業績の黒字化を目指します。

 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営指標としては、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益を重視しております。

 

 

次期業績予想

 中期経営計画
 目標値

直近実績

2022年3月期

2024年3月期

2021年3月期

売上高

 280億円

540億円

  244億円

営業利益

△70億円

 20億円

 △91億円

経常利益

△63億円

 25億円

 △72億円

当期純利益

△64億円

 20億円

△178億円

 

 

 

2 【事業等のリスク】

当社は、当社グループの事業活動に関するリスクを所管するリスク管理委員会を設置し、リスク管理規程に従い、リスク管理体制の構築と運用にあたっております。

当社グループは、事業展開においてリスク要因となり、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な項目を以下のとおり認識しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや現時点において影響度が小さいと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

当社グループではこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、その発生の回避および発生時の適切な対応に努めております。なお、記載内容のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 市場環境の変動リスク

当社グループの製品の主要な販売先は国内外のアパレルやニット製品を製造するメーカーです。そのため消費者の生活様式や消費スタイルの変化、サステイナビリティ対応等の環境意識の変化、暖冬などの天候不順などが生産動向に影響を与え、その結果横編機等の設備投資に影響を及ぼす可能性があります。

またサプライチェーンにおける通商問題の悪化や新型コロナウイルス感染症の拡大、従来生産拠点とされていた地域の消費地への変化など、市場環境・産業構造の急速な変化が設備投資の減退を招くなど、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクに対し、当社グループではデザインシステムとホールガーメント横編機の活用による、消費地における需要動向に対応した適時適量生産の提案を積極的に行っております。また顧客とのコミュニケーションを密にし、ニーズを把握することにより新たな価値を提案できる仕組みの構築や「KNITify the World」をスローガンに非アパレル分野でのニット化を高める取り組みを行っています。

 

② 事業展開地域での社会的な制度変更などの影響

アパレル産業は、経済のグローバル化の進展で、サプライチェーンマネジメントも同時にグローバル化してきました。消費国と生産国において貿易摩擦などが発生し、経済問題に発展した場合、設備投資動向にも大きく影響を及ぼします。

近年発生した米中貿易摩擦に端を発する相互関税の引き上げ、技術輸出規制などの経済措置の動向には細心の注意を払い、適切に対処していくべく努めておりますが、各国政府や国際的枠組みによる規制が新たに導入、変更された場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。このため、世界各国に張りめぐらした現地法人・販売代理店などのネットワークを活用して、いち早く現地動向を察知し、迅速な行動が取れるよう整備を進めております。

 

③ 為替レートの変動

当社グループは海外売上高比率が80%前後で推移しており、取引においては日本円以外に外国通貨建で行われているため、急激な為替レートの変動は当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループは、連結財務諸表等 注記事項(デリバティブ取引関係)に記載のとおり、売上債権のうち外貨建債権に対して先物為替予約取引などでリスクヘッジを行っております。

 

④ 与信及び売上債権の回収リスク

売上債権に占める割合の多くは、横編機事業に係る債権となっております。多くのユーザーは素材仕入れから製品販売までの期間が長期にわたることもあり、債権回収も長期にわたることが業界内での特有の商慣習になっております。そのため、当社グループでは、主要地域では直接ユーザーに対する与信管理の強化を行っております。近年、アジア市場ではグローバルアパレルとニットメーカーが両輪となり、大規模な生産活動が行われ、1社あたりの取引金額も膨らむ傾向となっております。回収リスク低減のため、債権流動化の実施、担保設定、リース取引の推進、貿易保険の付保を行うと同時に、横編機にPMS(パスワードマネジメントシステム)を搭載し、期日までの支払いを促す仕組みを構築しております。回収遅延などが発生している場合には、過去の実績率や個別の回収可能性等の見積りに基づき保守的に引当金を計上するなどの対策を行っております。

 

⑤ 知的財産保護戦略の課題

当社グループが保有する独自技術やノウハウの一部は、法令順守意識の欠如などにより知的財産権による完全な保護が不可能または限定的にしか保護されない可能性があります。ホールガーメント横編機は、高度な技術が結集された当社グループの戦略機種ですが、特許の侵害などにより模倣製品が流通した場合、当社事業に与える影響は大きくなります。このため当社グループは、知的財産部を設置し、他社による特許侵害を常に注視し、また各国の現地法人、代理店等からの情報を有効活用し、必要に応じて注意喚起や法的手続きをとる体制を整えております。

 

⑥ 人材に関するリスク

当社は創業当時から、世の中にないものを創り出し、最高機能の製品を経済的な価格で提供することを続け、業界から高く評価されてきました。これらを支えるのは高度な専門性、創造性、独自性を持つ人材であり、継続的な人材の確保、育成に努めておりますが、その技術の伝承や後継となる人材の確保・育成が計画通りに進まなかった場合、あるいは退職等により人材が流出した場合には、製品開発力や製品品質の低下をまねき、その結果事業競争力の低下により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。このため、若手社員に対する社内研修の充実や各種技能検定へのチャレンジ推奨、ベテラン社員によるOJTの拡充など技術の伝承に積極的に取り組んでおります。

 

⑦ 製造物責任に関するリスク

当社グループでは、最高機能の製品を経済的な価格でお届けするというSHIMA SEIKIスピリットのもと、品質環境基本方針を定め、専門の委員会活動を展開し、製品品質、顧客満足度の向上に努めておりますが、製品の欠陥等が発生した場合、損害賠償や対策コスト等により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、製造物にかかる賠償責任に備え保険に加入し、リスクの低減を図っております。

 

⑧ 情報セキュリティに関するリスク

当社グループにおいて、情報システムは重要な要素の一つです。人的ミス、機器の故障、通信事業者などの第三者の役務提供の瑕疵等により、また、外部からのサーバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染などにより、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延などの障害、情報流出などが生じ、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、情報セキュリティポリシーを定め、すべての役員及び従業員などに対する情報の取り扱いの行動規範を定めるほか、情報セキュリティの物理的対策及び技術的対策の取り組みについて情報セキュリティ委員会を通じて継続した啓発活動を実施しています。

 

⑨ 災害、事故、感染症の拡大などのリスク

地震、台風、津波などの自然災害、火災、停電、感染症の拡大(パンデミック)、国際紛争などが発生した場合、当社ビジネスに影響が及ぶ可能性があります。

(1)販売面への影響

主要販売先であるアジア(中国、ベトナムなどASEAN、バングラデシュ)、イタリアを中心とした欧州市場、トルコを中心とした中東市場で影響が拡大した場合には、通常の営業活動に支障をきたし、最悪の場合には営業活動を停止させなくてはならないため、長期化した場合には当社業績に与える影響が大きくなります。さらにユーザーの生産活動にも影響を与え、資金繰り悪化による売上債権の回収リスクにも大きく影響を与える可能性があります。「④与信及び売上債権の回収リスク」に詳細記載。

(2)生産面への影響

生産面ではサプライヤーの操業停止等による影響の長期化が部品不足を招き、生産抑制を余儀なくされることが想定され、多大な影響が発生します。さらに設備投資需要が高まる1月から3月(当社第4四半期)に災害などのリスクが顕在化した場合は、その影響は拡大する可能性があります。当社グループでは緊急時に向けた在庫の確保、複数社からの購買による安定した部品供給体制の構築などの対策を実施しております。

 

 

⑩ 生産拠点の一極集中

当社は、製品を本社がある和歌山県で集中的に生産し、開発から製造までの一貫体制を敷くことで効率化やコストダウンを図ってまいりました。このため、和歌山県近郊で大規模な地震、風水害等の自然災害や当社工場での火災等の事故、重度の感染症等が発生した場合、製造ラインの操業が長期間停止する可能性があります。汎用性のある製品は、通常、売上高の1ヶ月程度の製品在庫を保有しておりますが、保管状態に影響が出た場合や物流の停滞などそれ以上の影響が発生した場合、当社事業の売上高に直結します。当社は日産体制を構築しておりますので、停止期間が継続する場合、その影響は大きくなります。そのため、当社では、各種保険の付保や操業停止期間を最小化できるように事業継続計画の整備を行うとともに、建物等の耐震工事、非常時を想定した訓練の実施及び安否確認システムの導入等の対策を講じ、早期に復旧できるような体制を整えております。しかし被害想定を超えた規模の災害等が発生した場合、機能停止・設備の損壊・インフラの供給停止、交通機関や通信手段の停止等により、事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 新型コロナウイルス感染症等の流行に関するリスク

新型コロナウイルス感染症等の世界的な拡大(パンデミック)に伴い、社内において感染症の拡大が認められた場合、一時的に工場の稼働停止など事業活動の停止により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、社長を本部長とする危機管理本部を設置し、感染拡大防止策に取り組んでおります。不要・不急の会議・出張の禁止、工場見学の受入中止、予防措置の強化(毎日の検温・マスク着用・手指消毒の徹底等)、在宅勤務等を実施することにより従業員の安全確保を優先しつつ事業への影響を最小限に留めるよう対応を実施しております。

 

⑫ コンプライアンスに関するリスク

当社グループでは事業活動を行うにあたり、様々な法令・規則等の適用を受けておりますが、意図せずに違反する場合も含め不正行為など重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的な信用を失墜させ、また取引の停止や訴訟等による損害の発生など、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。これに対し、当社グループでは、コンプライアンス委員会を設けコンプライアンスの推進を図るとともに、「シマセイキグループ行動基準」を定め、その遵守に努めています。また法令違反等その他のコンプライアンスに関する通報窓口として企業倫理ヘルプラインを設けています。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績

当連結会計年度における経済の動向は、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けました。米国では財政支出拡大や金融緩和に支えられ景気は回復基調にありますが、欧州では感染拡大と行動制限から経済正常化の遅れが懸念されています。中国ではプラス成長を維持し景気の回復基調が鮮明になっております。わが国においては感染者数の動向に左右される形で景気停滞感が強く、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社グループが製品を供給するアパレル産業においては、感染症拡大の影響から需要環境の回復が見通せないことに加えて、環境意識の高まりを背景に商品の過剰生産や在庫数量を抑制する動きが継続し、設備投資は総じて低調なまま推移しました。

当社グループは、ユーザー業界の課題解決に向けて、マスカスタマイゼーション、オンデマンド生産を可能にするホールガーメント横編機、3Dデザインシステムを核に、デジタル技術を駆使した新しい生産の仕組みなどのトータルソリューション提案を強化すると同時にサステイナブルなモノ作りのさらなる浸透を図りました。さらに世界中の糸を検索・閲覧・ダウンロードでき、バーチャルサンプルに活用することで商品企画の効率アップに貢献する世界初のウェブサービスである『yarnbank』を開設し、また多様化する勤務形態に対応するデザインソフトウェアのサブスクリプションサービスである『APEXFiz』の新サービスを開始するなど、ユーザーの投資意欲を喚起することに注力しましたが、売上高の回復には繋がらず、当連結会計年度の全体の売上高は244億89百万円(前年同期比26.3%減)となりました。利益面におきましては、売上高の大幅な減少に加えて、販売単価の下落や生産調整に伴い売上総利益率が悪化したことなどで、営業損失91億43百万円(前年同期は営業損失56億2百万円)、経常損失は72億73百万円(前年同期は経常損失55億83百万円)、また固定資産の減損損失、関係会社株式評価損などの特別損失の計上があり親会社株主に帰属する当期純損失は178億66百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失84億27百万円)といずれも大幅な損失となりました。

なお、前第1四半期より当社グループの連結決算においてSHIMA SEIKI U.S.A. INC.、SHIMA SEIKI EUROPE LTD.およびSHIMA SEIKI SPAIN, S.A.U. の3社について、連結決算日に仮決算を行う方法に変更したため、前期の経営成績には当該連結子会社の2019年1月1日から2020年3月31日までの15ヵ月間の業績が反映されております。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(横編機事業)

当社のコア・ビジネスである横編機事業の状況は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により世界各地での店舗閉鎖や外出自粛により消費需要が低迷したことからアパレル産業の設備投資が総じて低調となったこと、また世界各地で工場の操業停止や営業活動の中断を余儀なくされ、コンピュータ横編機の売上高が落ち込みました。

アジア地域では、中国・香港市場においてOEM型生産から企画提案型・高付加価値商品の体制へと転換を図るとともに、人件費上昇と人手不足から省人化を進める動きは強く、ホールガーメント横編機の導入は拡大傾向にありますが、大手ニットメーカーの設備投資が慎重となり販売台数を伸ばすことはできませんでした。バングラデシュにおいては、第3四半期から第4四半期にかけて海外アパレルからの受注が増加し設備投資が回復傾向となりました。

先進国市場では、北米でホールガーメント横編機の販売台数は増加しましたが、欧州や国内市場においては、総じてコンピュータ横編機の販売台数は前期に比べて減少しました。

これらの結果、横編機事業の売上高は155億47百万円(前年同期比32.0%減)、セグメント損失(営業損失)は32億81百万円(前年同期は営業利益3億48百万円)となりました。

 

(デザインシステム関連事業)

デザインシステム関連事業は、アパレルデザインシステム「SDS-ONE APEX4」での企画・デザインから配色検討、リアルなファブリックシミュレーション、そして製品の3Dバーチャルサンプリングの活用による画期的な生産・流通のビジネスモデル転換を提唱し、下半期には多様化する勤務形態にフィットするデザインソフトウェアのサブスクリプションサービスである『APEXFiz』の新サービスを開始しましたが、コンピュータ横編機の販売不振に連動して売上高は減少しました。

また自動裁断機「P-CAM」についても、国内、海外市場ともにテキスタイル分野での需要の落ち込みにより販売が低調となりました。

これらによりデザインシステム関連事業の売上高は25億8百万円(前年同期比30.5%減)、セグメント利益(営業利益)は1億13百万円(前年同期比63.1%減)となりました。

(手袋靴下編機事業)

手袋靴下編機事業は、大手ユーザーの設備投資が順調となり、売上高は19億69百万円(前年同期比86.8%増)、セグメント損失(営業損失)2億42百万円(前年同期は営業損失48百万円)となりました。

(その他事業)

その他事業については、メンテナンス部品や紡毛糸の販売などで、売上高は44億63百万円(前年同期比21.2%減)、セグメント利益(営業利益)は12百万円(前年同期比96.2%減)となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比

横編機

9,779

△40.6%

デザインシステム関連

2,190

△31.8%

手袋靴下編機

2,016

108.4%

合計

13,986

△32.2%

 

(注) 金額は、販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。

 

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比

受注残高(百万円)

前年同期比

横編機

16,348

△27.9%

3,714

27.5%

デザインシステム関連

2,555

△28.3%

242

24.0%

手袋靴下編機

2,400

143.8%

533

420.3%

合計

21,303

△21.7%

4,489

39.8%

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比

横編機

15,547

△32.0%

デザインシステム関連

2,508

△30.5%

手袋靴下編機

1,969

86.8%

その他

4,463

△21.2%

合計

24,489

△26.3%

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%を占める相手先がいないため、記載はありません。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における総資産は、受取手形及び売掛金、有形固定資産の減少などで、前連結会計年度末に比べて205億55百万円減少し、1,101億40百万円となりました。負債合計は短期借入金の減少などで前連結会計年度末に比べて26億40百万円減少し、201億4百万円となりました。純資産は利益剰余金の減少などで179億14百万円減少し、900億36百万円となりました。また、自己資本の額は前連結会計年度末に比べて179億15百万円減少し899億96百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末より0.9ポイント低下し81.7%となりました。

(3)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて39億99百万円増加し、255億82百万円となりました。

各活動別のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

税金等調整前当期純損失の計上となりましたが、売上債権の減少やたな卸資産の減少などにより、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは59億37百万円の資金の増加となりました。(前連結会計年度は37億76百万円の資金の増加)

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資有価証券の売却による収入などにより、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは12億99百万円の資金の増加となりました。(前連結会計年度は30億85百万円の資金の減少)

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

短期借入金の返済や配当金の支払いなどにより、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは37億76百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は55億55百万円の資金の減少)

 

当社グループの資本の財源および資金の流動性については次のとおりであります。

当社グループの資金需要の主なものは、事業活動にかかる運転資金、生産能力増強・生産効率化のための設備投資及び新製品開発・成長領域での製品開発投資等によるものであります。資金調達においては、資金の使途、目的に対応して、営業活動から得られるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等、多様な調達方法を組み合わせて低コストかつ安定的な資金を確保するように努めております。財務の安全性を示す指標である自己資本比率及び流動比率は、当連結会計年度末においてそれぞれ、81.7%、565.9%となり、極めて良好な財務状態を保っております。今後も当社グループが将来にわたり世界のリーディングカンパニーとして強固な地位を占め、安定的に成長を維持するために必要な運転資金、設備投資資金及び製品開発投資資金は、良好な財務状態および営業活動により、充分調達することが可能と考えております。

昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、依然として先行きは不透明な状況が続いておりますが、現時点で必要充分な手許資金を確保しており、また必要に応じて金融機関等から資金調達が可能な体制を整えております。

 

株主還元については経営の最重要課題のひとつとして位置付けており、事業の持続的な発展を通じて、安定した配当を長期にわたって継続することを基本方針としております。中期経営計画「Ever Onward 2023」に基づき、業績の黒字化を実現し、連結配当性向30%を目安とするとともに、株価水準や資金の状況、市場環境などを総合的に勘案し、時機に応じて柔軟に自己株式の取得を行うなど、資本効率の向上にも努めるものとしております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。

① 貸倒引当金の計上基準

当社グループは、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その回収可能性が低下した場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価について、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)」に従い将来の課税所得を見積り、回収可能と認められない金額について評価性引当額を計上しております。当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

③ 固定資産の減損

当社グループは、固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

④投資有価証券の減損

当社グループは、その他有価証券のうち、取得価額に比べ実質価額が著しく下落したものにつきましては、回復可能性があると認められる場合を除き、減損処理を行っております。時価のある有価証券につきましては、期末日における時価の簿価に対する下落率が50%以上の場合には、回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満の下落の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の事業計画などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。時価のない有価証券につきましては、その有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合に回復可能性がないものとして判断し、30%以上50%未満の場合には、当該有価証券の発行会社の財務状況及び将来の事業計画などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。

将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。
 

5 【研究開発活動】

当社の企業グループにおきまして幅広く研究開発活動を行っており、当連結会計年度における研究開発費の総額は、3,310百万円であります。

セグメントに関連付けた研究開発費については、当社の研究開発活動が開発課題に対応したプロジェクトを必要に応じてフレキシブルに編成して取り組んでおり、セグメント別に関連付けることが困難であるため記載しておりません。当連結会計年度における主な研究開発活動の概要は次のとおりであります。

ファッション業界は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けておりますが、業界全体にSDGs(持続可能な開発目標)やサステイナブルをテーマに取り組みが広がってきています。当社も業界に対して、ホールガーメント横編機と高精細な3次元バーチャルサンプルを生み出すデザインシステムを活用した「トータルファッションシステム」で持続可能な消費と生産を実現するサステイナブルなモノづくりを訴求しています。

当社グループのコア・ビジネスである横編機分野では、編地のバリエーションを増やし、付加価値を高める機種、機能の開発に取り組み、競合他社を圧倒する製品開発を目指しています。また、ニット製品のモノづくりにおける自動化、省人化のニーズに対応するためソリューションの開発も進めています。

ニット製品の企画から生産におけるサプライチェーンの短縮化やサステイナブルを実現させるためにはモノづくりにおけるデジタル化が不可欠となっており、その核となるデザインシステム「SDS-ONE APEX4」では、バーチャルサンプル作成のシミュレーション機能の高速化、高精細化など機能向上に取り組みました。そして自社のみならず産学協同での開発や外部リソースを活用し、開発スピードを加速させています。当期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響からテレワーク等、新しい勤務形態が加速、定着しつつある中で、これらに対応できるデザインのソフトウェア「APEX Fiz」を開発、サブスクリプションサービスとして発表しました。

ニット編成面の開発を進めるトータルデザインセンターでも、最先端の横編み技術を駆使し、ホールガーメントサンプルの開発を中心に行っており、これらの技術をファッション業界にとどまらず、スポーツやメディカル、インテリア業界、産業資材など異業種への提案を行うためのサンプル開発も継続しています。またホールガーメント製品の普及を加速させるために、素材開発にも取り組んでいます。

一方、自動裁断機の「P-CAM」シリーズは、効率的な裁断の追求、裁断面の品質を向上させる機能開発などに取り組みました。また、延反からラベリング、そして裁断、ピックアップまでの流れを一元化した「Total Cutting Solution」では、ロボットアームとの連動による自動ピックアップなど、生産性向上や省人化につながる開発を継続しております。

今後も性能の向上に加え、お客様の要望に合わせた開発を継続することで、アパレル業界のみならず、航空宇宙関連、自動車産業、産業資材など様々な業界への浸透を図ってまいります。

以上のように、当社では創業以来、「Ever Onward ― 限りなき前進」の経営理念のもと、「創造性にもとづく独自の技術開発」を基本に、ハードウェア、ソフトウェアを開発し、常に顧客の立場に立った製品及びノウハウを生み出すための研究開発に努めております。