文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「創造の力で未来に幸せを」というパーパス(存在意義)のもと、「人と地球の未来のためにあらゆる課題解決に挑戦し続けます」「つながりを大切にワクワクする新たな価値をつくります」というミッション(私たちの使命)を掲げて、「世の中になくてはならない企業」になることを目指しています。
この経営理念のもと、「相互尊重」「広い視野」「チャレンジ」「時間を大切に」「共につくる」というバリュー(私たちが大切にする価値観)を掲げて、その実現に向けグループの全社・全社員が一丸となって邁進してまいります。
(2) 経営戦略
消費行動の変化やコロナ禍を背景にしたEC化の加速、SDGsへの関心の高まり、当社顧客業界での更なる効率化経営の追求など、当社を取り巻く経営環境は日々加速度的に変化しています。
そうした世界的な大きな変化の潮流の中、ビジネスチャンスを確実に掴むべく、4つの重点施策を推進しております。これにより、従業員一人ひとりが自律的に考え、行動できる組織をつくり上げ、新たな企業価値の創造と社会貢献を目指し、業績の回復ならびに企業価値の向上に努めてまいります。
<4つの重点施策>
① 経営基盤の再構築
② ソリューションビジネスの確立
③ 横編機事業の再生
④ 自動裁断機事業の拡大
(3) 経営環境及び対処すべき課題
今後の世界経済見通しにつきましては、米国の関税政策やウクライナや中東の地政学リスクにともない、依然として先行きは不透明な状況が継続すると思われます。
当社の主要販売先となるアパレル・ファッション業界においては、エシカル消費やトレーサビリティの要求など消費行動の変化や、ECサイトなどデジタル化の急速な進展、SDGsなどサステナビリティに関する企業の社会的責任の増大など、変化する事業環境への対応がますます求められています。こうした環境のもと、これまでのようなリードタイムの長い大量生産・大量消費を前提としたビジネスモデルから脱却し、市場ニーズに即した消費者満足度の高い商品を、必要なときに必要な量だけ生産し、短納期で消費者に届ける「あるべきビジネスモデル」の構築が急務となっています。事業環境においては、世界人口増加やGDP成長にともない安定的にマーケットは拡大傾向にあり、モノづくり環境の変化に基づくマーケットの移動は加速しています。一方、多発する紛争や複雑化する世界経済による投資意欲の減退、中国メーカーなど競合他社とのシェア争いが激化することも想定されます。
当社グループは、このようなアパレル・ファッション業界の課題や事業環境の変化に対して積極的に取組むことで社会貢献や事業発展の機会とし、10年後のあるべき姿を実現するため企業理念を再定義するとともに、2024年度から始まった3ヵ年の中期経営計画「Ever Onward 2026」において、2027年3月期の経営目標として、連結売上高550億円、営業利益70億円、親会社株主に帰属する当期純利益55億円、ROE6.0%以上とすることを定めております。
この目標の実現に向けた取り組みとして下記の4つの重点施策を実行してまいります。
・経営基盤の再構築
収益の安定化と事業の成長に向けた抜本的な意識改革と社内体制・業務プロセスの刷新を断行し、持続的な企業成長に向けた経営基盤の再構築を進めます。
・ソリューションビジネスの確立
ファッション業界のサプライチェーンにおける課題解決のためのソリューションを提供し、業界全体の付加価値を高めていくことを通じて、当社グループの持続的な企業成長につなげていきます。
・横編機事業の再生
市場にマッチした新製品の開発、徹底したコストダウンの実行、ファッション産業以外の新規市場の開拓などの諸施策を通じ、横編機事業の持続的な成長を確実なものにします。
・自動裁断機事業の拡大
機械性能を大幅に向上させた製品ラインアップを市場投入するとともに、積極的な投資により販売ルートおよびアフターサービス網を拡充し、横編機事業に続く事業の柱へと成長させます。
このような取り組みとあわせて研究開発、人的資本などの投資をこれまで以上に積極的に推進し、さらにグループ内においては、引き続き徹底したコストダウンや経費削減に注力し企業価値の向上に努めてまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営指標としては、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益を重視しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「創造の力で未来に幸せを」のパーパスのもと、製品やサービスを通じて社会課題の解決や新たな社会的価値を生み出し、より良い社会と環境づくりに貢献することを目指しております。そのなかでサステナビリティを「社会的な要請を果たし、企業価値を向上させる重要な取り組み」と位置付け、専任部門「サステナビリティ推進室」と、代表取締役社長執行役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、気候変動をはじめとする各種課題に対応しております。
ガバナンス体制

気候変動において、市場にマッチした新製品の開発、提供を通して、ファッション業界はもちろん、ファッション業界以外にも当社が保有するニットや編み機の技術、あるいはホールガーメント横編機やデザインシステムを核としたトータルファッションシステムや多くのソリューションなど、これら当社製品やサービスが環境保護、低炭素、脱炭素に貢献します。
当社が販売する環境配慮型製品の細部をさらに見直し、生産工程の効率化、低炭素部品の採用、リサイクル素材の使用など、積極的な取り組みを進めます。
当社グループが直接解決すべき課題として、次の実現を目指しております。

また、当社グループにおける人材育成及び社内環境整備に関する方針は、次のとおりであります。
当社では「創造の力で未来に幸せを」のパーパスのもと、「創造の力」の源泉である人材を企業の持続的な成長には欠かせないものとして考えています。そのため当社では、個々の力を高め最大限に発揮できる環境整備や個性あふれる多様な人材の採用や育成など、人的資本を高める施策を推進しております。
(人材育成方針)
企業の持続的な発展を目指していくためには、従業員一人ひとりが自律的に学び、高い目標に向かってチャレンジしていくことが重要であると考えております。当社ではこのような個人の成長をバックアップするため、充実した研修制度を整備しております。一人ひとりが目標を持って活躍できるよう各階層別のキャリア研修をはじめ、ビジネスパーソンとしての基礎研修やグローバル企業として能力を発揮できるよう英語、中国語などの語学研修を実施しているほか、定年や再雇用後に向けて備えるためのライフプラン研修などを実施し、安心して働けるサポート体制も整えています。また、次世代経営人材の継続的な育成として、選抜型研修等を通じて次世代人材の育成を積極的に進めるとともに、候補者の把握と育成策の検討、育成の仕組み化を推進しております。
人材活用の面では自ら手を上げることで希望する業務にチャレンジできる社内公募制度に加え、期間限定で他部署の仕事を経験できる部門間トレーニー制度を導入し、従業員が前向きに経験の幅を広げることができる環境づくりに取り組んでおります。
人材の採用面では、多様な経験や価値観を持ったさまざまな人材が混ざり合い、互いを尊重し刺激を受け合うことで生まれる化学反応が、組織の発展と新たな価値創造に大きな影響をもたらすと考えております。年齢や性別、国籍を問わず多様な人材を積極的に採用し、能力や適性に基づいた登用を実施するとともに個人のパフォーマンスを最大限に発揮できる環境づくり(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進しております。
(社内環境整備方針)
当社では、従業員の安全の確保と健康な心身の維持・向上が、持続的な成長の源泉であると考えております。従業員のワーク・ライフ・バランスを重視し、誰もが働きがいと充実した生活を実感しながら活躍できる職場環境を目指しています。当社では、安全衛生活動を通じて健康増進をはじめ、労働災害および通勤途上災害の撲滅に努めるとともに、労働生産性の向上に努めております。また、仕事と生活を両立するため、育児休暇や介護休暇制度、法定期間を上回る時短勤務制度など、多様化する働き方に合わせ、従業員が選択できる制度を設けており、個人のワーク・ライフ・バランスの実現をサポートする体制を整えています。
当社グループは、IPCC第6次報告書などに基づいたシナリオ分析を実施し、特定したリスク、機会、状況について「サステナビリティ委員会」で協議分析し、当社の事業に関する社会課題、気候変動リスクの監視、管理を行っております。
特定・評価プロセス
当社の事業活動に関する社会課題を抽出し、重要度を評価するとともに、その妥当性を検証し、最終取締役会にて承認します。
管理プロセス
当社の事業における気候変動関連リスクは、取り組み状況や進捗状況について、関連する各部門、各委員会にて運用実施し、サステナビリティ推進室が定期的に監視します。

シナリオ分析に基づいた気候変動リスクと機会

当社グループは、GHGプロトコルに沿った温室効果ガス(GHG)排出量の年次推移を公開しております。
気候変動に伴うリスクの低減、および機会の最大化を実現すべく、温室効果ガス(GHG)削減目標を次の通り設定しております。
・2030年 温室効果ガス(GHG)排出量 30%削減
・2050年 Scope1,2カーボンニュートラル(CN) 達成
全社取り組みとして、脱炭素ロードマップ「SHIMA SEIKI 2030 PLAN」を策定し、数多くの施策を実行し、CO2排出量の削減を可視化、共有して、脱炭素活動を推進しております。
※詳細な情報については、弊社ウェブサイトをご参照ください。
TCFD提言に準拠した気候関連財務情報開示
温室効果ガス(GHG排出量算定情報)
また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材育成及び社内環境整備に関する方針については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社および一部の連結子会社のものを記載しております。なお、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況 5従業員の状況 (4)男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。また、男性労働者の育児休業取得率については、当面の間は前年以上の比率とすることを継続目標として人材育成ならびに社内環境整備を強化してまいります。
当社は、当社グループの事業活動に関するリスクを所管するリスク管理委員会を設置し、リスク管理規程に従い、リスク管理体制の構築と運用にあたっております。
当社グループは、事業展開においてリスク要因となり、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な項目を以下のとおり認識しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや現時点において影響度が小さいと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
当社グループではこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、その発生の回避及び発生時の適切な対応に努めております。なお、記載内容のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 市場環境・競合状況の変動リスク
主要な販売先である国内外のニット製品メーカーが、消費者の生活様式や消費スタイルの変化、サステナビリティ対応等の環境意識の高まり、経済活動の停滞、暖冬などの天候不順等の影響を受けた結果、横編機等の設備投資が大きく減退する可能性があります。
また、当社グループが展開する各事業においては、日々変化する顧客ニーズに対し、競合他社の技術革新も日進月歩で進んでいます。
併せて資材調達では、国際的な通商問題や感染症の世界的大流行によるサプライチェーンの混乱や燃料費の高騰などによっても、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。(「⑨自然災害、国際紛争、事故、感染症の拡大などのリスク(2)生産面への影響」に詳細記載。)
加えて、顧客や取引先等との重要な契約が増加している中、見解の相違による他社特許の侵害、秘密情報の漏洩等により、賠償問題に発展し、業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。(「⑤知的財産保護戦略の課題」及び「⑧情報セキュリティに関するリスク」に詳細記載。)
こうした環境変化に対し、当社が適切に対応できず、競争優位性を失った場合、当社グループの業績及び財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このような事業リスクに対し、当社グループでは、ホールガーメント横編機とデザインシステムの活用による、消費地における需要動向に対応した適時適量生産の提案を積極的に行う等、製品・サービスの訴求力の向上に日々努めております。
さらに顧客や取引先等とのコミュニケーションを密にし、潜在的なニーズを的確にキャッチすることにより、アパレル・ファッションの業界課題を解決する新たなビジネスモデルの確立や、非アパレル業界でのニット化の推進など、当社グループにおいて新たな事業価値と事業領域の創出を進めております。なお、当社グループは新たな事業領域(新規事業)への投資に積極的に取り組んでいく方針であり、その取り組みについては、綿密な市場調査・分析や、入念な事業計画を策定し、収益化までの期間や撤退基準を設けるなど、より厳しいプロセスを経て行うこととしておりますが、予測とは異なる状況が発生し計画通りに進まない場合には、当社の事業及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、日々変化する事業環境において、経営基盤や社内体制を抜本的に見直し、適切なリスク管理体制の維持・向上に全社一丸となって取り組むことで、当社グループの企業価値の持続的な向上に努めております。
② 事業展開地域での社会的な制度変更などの影響
アパレル産業は、経済のグローバル化の進展に伴い、サプライチェーンも同時にグローバル化してきました。消費国と生産国において貿易摩擦などが発生し、通商問題に発展した場合、設備投資動向にも大きく影響を及ぼします。
米中貿易摩擦に端を発する相互関税の引き上げ、技術輸出規制などの経済措置の動向には細心の注意を払い、適切に対処していくべく努めておりますが、各国政府や国際的枠組みによる規制が新たに導入、変更された場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。このため、世界各国に展開している現地法人・販売代理店などのネットワークを活用して、いち早く現地動向を察知し、迅速な行動が取れるよう体制の整備を進めております。
③ 為替レートの変動
当社グループは海外売上高比率が80%前後で推移しており、取引においては日本円以外に外国通貨建で行われているため、急激な為替レートの変動は当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループは、連結財務諸表等 注記事項(デリバティブ取引関係)に記載のとおり、売上債権のうち外貨建債権に対して先物為替予約取引などでリスクヘッジを行っております。
④ 財務に関するリスク
(1)与信及び売上債権に関するリスク
売上債権に占める割合の多くは、横編機事業にかかる債権となっております。多くのユーザーは素材仕入れから製品販売までの期間が長期となり、債権回収も長期間にわたることが業界内での特有の商慣習になっております。そのため、当社グループでは、主要地域において直接ユーザーに対する与信管理の強化を行っております。引き続き、アジア市場ではグローバルアパレルとニットメーカーが両輪となり、大規模な生産活動が行われ、1社あたりの取引金額も膨らむ傾向となっております。回収リスク低減のため、債権流動化の実施、担保設定、リース取引の推進、貿易保険の付保を行うと同時に、横編機にPMS(パスワードマネジメントシステム)を搭載し、期日までの支払いを促す仕組みを構築しております。回収遅延などが発生している場合には、過去の実績率や個別の回収可能性等の見積りに基づき保守的に引当金を計上するなどの対策を行っております。
(2)資金調達に関するリスク
当社グループでは、現状資金が借入金を上回っており、安定的な財務基盤を維持しております。一方、中長期的には、今後の業績次第で必要に応じて資金を適切な条件で調達できない場合に、当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があるという事を認識した上で、業務改善及び適切な対策を図ってまいります。
⑤ 知的財産保護戦略の課題
当社グループが保有する独自技術やノウハウの一部は、海外競合他社における法令遵守意識の欠如などにより知的財産権による完全な保護が不可能または限定的にしか保護されない可能性があります。ホールガーメント横編機をはじめとする当社製品は、高度な技術が結集されています。当社グループでは開発本部の中に知的財産開発チームを設け、「横編機等の機構・制御」、「ニットの編成技術」、「デザインシステム関連」など幅広い技術について知的財産権で保護し、他社との差別化を図っています。しかし特許の侵害などにより模倣製品が流通した場合、当社事業に与える影響は大きくなります。
他方、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品等の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、製品等の開発や販売に支障をきたす可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更され、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
このため当社グループは、他社による特許侵害を常に監視し、また各国の現地法人、代理店等からの情報を有効活用し、必要に応じて注意喚起や法的手続きをとる体制を整えるとともに、他社の知的財産に関しては、製品開発の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施しております。万が一、見解の相違等により他社から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等に備え、非侵害の主張やライセンス条件等の交渉・訴訟を行うための人材を社内法務関連部門に配置するとともに、経験豊富な弁護士と連携し、事案の内容に応じて適切に対応する体制を整えております。
⑥ 組織及び人材に関するリスク
当社は創業当時から、世の中にないものを創り出し、最高機能の製品を経済的な価格で提供することで、業界から高く評価されてきました。これらを支えるのは高度な専門性、創造性、独自性を持つ人材であり、継続的な人材の確保、育成に努めておりますが、その技術の伝承や後継となる人材の確保・育成が計画通りに進まなかった場合、あるいは退職等により人材が流出した場合には、製品開発力や製品品質の低下を招き、その結果事業競争力の低下により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。このため、若手社員に対する社内研修の充実や各種技能検定へのチャレンジ推奨、ベテラン社員によるOJTの拡充など技術の伝承に積極的に取り組んでおります。さらに、特定の人材、組織に過度に依存しない体制構築のため、当社グループ各組織間の連携・情報共有をより密にし、当社グループ全体の組織力強化に努めてまいります。
⑦ 製造物責任に関するリスク
当社グループでは、最高機能の製品を経済的な価格でお届けするというシマセイキスピリットのもと、品質環境基本方針を定め、専門の委員会活動を展開し、製品品質、顧客満足度の向上に努めておりますが、万一製品の欠陥等が発生した場合、損害賠償や対策コスト等により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、製造物にかかる賠償責任に備え保険に加入し、リスクの低減を図っております。
⑧ 情報セキュリティに関するリスク
当社グループにおいて、情報システムは重要な要素の一つです。人的ミス、機器の故障、通信事業者などの第三者の役務提供の瑕疵等により、また、外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染などにより、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延などの障害、情報流出などが生じ、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、情報セキュリティポリシーを定め、すべての役員及び従業員などに対する情報の取り扱いの行動規範を定めるほか、情報セキュリティの物理的対策及び技術的対策の取り組みについて情報セキュリティ委員会を通じて継続した啓発活動を実施しています。
⑨ 自然災害、国際紛争、事故、感染症の拡大などのリスク
地震、台風、津波などの自然災害、国際紛争、火災、停電、感染症の拡大(パンデミック)などが発生した場合、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(1)販売面への影響
主要販売先であるアジア(中国、ベトナムなどASEAN、バングラデシュ等)、イタリアを中心とした欧州市場、トルコを中心とした中東市場でリスクが拡大した場合には、通常の営業活動に支障をきたし、長期化することにより当社業績に与える影響が大きくなります。さらにユーザーの生産活動にも影響を及ぼし、資金繰り悪化による売上債権の回収リスクが高まる可能性があります。(「④財務に関するリスク(1)与信及び売上債権に関するリスク」に詳細記載。)
(2)生産面への影響
生産面ではサプライヤーの操業停止の長期化により部品不足を招き、生産抑制を余儀なくされることが想定され、当社業績及び財政状況に多大な影響を及ぼします。そのため、当社グループでは緊急時に向けた在庫の確保、複数社からの購買による安定した部品供給体制の構築などの対策に取り組んでおります。
⑩ 生産拠点の一極集中
当社は、製品を本社がある和歌山県で集中的に生産し、開発から製造までの一貫体制を敷くことで効率化やコストダウンを図ってまいりました。このため、和歌山県近郊で大規模な地震、風水害等の自然災害や当社工場での火災等の事故、社内での感染症の拡大が発生した場合、製造ラインの操業が長期間停止する可能性があります。当社は日産体制を構築しておりますので、停止期間が継続する場合、その影響は大きくなります。そのため、当社では、各種保険の付保や操業停止期間を最小化できるよう事業継続計画の整備を行うとともに、建物等の耐震工事、非常時を想定した訓練の実施及び安否確認システムの導入等の対策を講じ、早期に復旧できるような体制を整えております。しかし被害想定を超えた規模の災害等が発生した場合、機能停止・設備の損壊・インフラの供給停止、交通機関や通信手段の停止等により、事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 感染症等の流行に関するリスク
新型コロナウイルス感染症等の世界的な拡大(パンデミック)に伴い、社内において感染症の拡大が認められた場合、一時的に工場の稼働停止など事業活動の停止により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、社長を本部長とする危機管理本部を設置し、不要・不急の会議・出張の禁止、工場見学の受入中止、予防措置の強化(毎日の検温・マスク着用・手指消毒の徹底等)、在宅勤務、ワクチンの職域接種等を実施することにより従業員の安全確保を優先しつつ事業への影響を最小限に留めるなどの体制を整えております。
⑫ コンプライアンスに関するリスク
当社グループでは事業活動を行うにあたり、様々な法令・規則等の適用を受けておりますが、意図せずに違反する場合も含め不正行為など重大なコンプライアンス違反を起こした場合は、当社グループの社会的な信用を失墜させ、また取引の停止や訴訟等による損害の発生など、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、当社グループでは、「シマセイキグループ行動基準」を定め、その遵守に努めるとともに、コンプライアンス体制強化のためのコンプライアンス委員会、法令遵守と企業倫理に関する通報、相談できる窓口として企業倫理ヘルプラインを設置し、コンプライアンス違反の影響拡大の防止に努めております。
⑬ サステナビリティ課題に関するリスク
ステークホルダーからのESGを重視した経営やSDGsへの関心は年々高まっており、サステナブルな社会の実現への取り組みが、今後ますます重要になっております。
環境面においては、世界的な気候変動対策の観点から脱炭素社会に向けた温室効果ガス排出量の削減や、製品・サービスの環境配慮が、顧客やサプライヤーに加えて社会全体からも求められています。
当社は環境マネジメントシステムの運用に基づき、環境関連諸規制における要求事項の遵守とともに、顧客における環境負荷低減に配慮した製品・サービスの設計・開発を行っています。もの創りにおいてはCO2排出抑制/削減のための電力使用量削減、廃棄物の排出量削減とリサイクルの推進、資源の有効利用などにも取り組んでおります。
しかし各種の法規制が変更又は新たに制定された場合はその遵守対応のための費用が増加し、当社の業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、グローバルに事業を展開する企業に対する「ビジネスと人権」に関する意識はますます高まっており、ステークホルダーによる人権への対応要求やサプライチェーンにおける紛争鉱物や強制労働への対応要求が求められています。
当社は人権方針を策定し、事業活動に関わるすべての人の人権を尊重するためにあらゆる人が固有にもつ多様性を尊重し、誰もが働きやすい職場環境の実現に取り組んでおります。
しかし、当社及びサプライチェーンにおいて適切な対応が取られていない場合、取引の停止や行政罰、企業に対する社会的信頼の喪失、事業機会の損失等により、当社の業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社は今後も製品・サービスを通してサステナブルなもの創りを提案し、企業活動を通じて社会課題の解決に取り組んでまいります。
当連結会計年度における経済の動向は、わが国においては堅調な企業業績により雇用・所得環境も改善傾向が続き景気は緩やかな回復基調となりました。一方、ウクライナや中東の緊張状態の長期化や米国の関税政策への警戒感から、世界経済は依然として先行き不透明な状況が継続しました。
このような経済情勢の中、当社グループは新中期経営計画「Ever Onward 2026」に基づき、顧客の「サステナブルなモノづくり」を支援する各種製品・サービス・ソリューションの提案活動を世界各地で展開しました。2025年1月にはイタリアのフィレンツェで開催された、糸・ニット素材が中心の歴史ある国際展示会であるPitti Immagine Filati展に出展し欧州だけにとどまらず、世界的なグローバルアパレルブランドやニットメーカーの関係者が来場する中で、ホールガーメント横編機の最新機種である「SWG®-XR22」のデモ編成を実施、加えてソリューションビジネスである「APEXFiz®」、「SHIMA Datamall™」、「yarnbank®」のブースも設置し、包括的な提案を行いました。しかしながら、中国や欧州など世界的な景気減速にともない、顧客の設備投資が低調となり主力の横編機事業の売上が減少しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高については325億20百万円(前期比9.4%減)となりました。利益面におきましては、売上高の減少や棚卸資産の評価損および貸倒引当金を計上したことにより、営業損失119億14百万円(前期は営業利益4億30百万円)、経常損失114億81百万円(前期は経常利益10億18百万円)、また減損損失を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失は142億75百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益10億30百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(横編機事業)
当社のコア・ビジネスである横編機事業は、アジア地域では、主要マーケットである中国市場において景気回復の遅れから内需向けの設備投資は低調であり、香港大手顧客による東南アジアの生産拠点に向けた生産効率の高い「N.SVR®」など主力機種の販売が中心となりましたが、横編機全体の売上高は減少しました。先進国向けニット製品の生産拠点であるバングラデシュは、前期に比べ売上高は増加しましたが、7月中旬以降の大規模な反政府デモから生産工場の操業停止によりサプライチェーンが停滞し、顧客の設備投資時期の遅れにより販売台数が想定を下回りました。欧州のイタリア市場においては、景気減速に加え昨年の暖冬の影響から有名アパレルブランドなど市場全体の設備投資意欲が減退しホールガーメント横編機、成型編機ともに販売台数が減少しました。また中東のトルコ市場においても、国内アパレルブランドの需要減少やEU市場の景気減速によりファストファッションアパレルからの受注が低調となり、コンピュータ横編機は前期に比べ売上高が減少しました。国内市場においては、総じてコンピュータ横編機の販売台数は前期に比べて減少しました。
これらの結果、横編機事業全体の売上高は232億29百万円(前期比10.3%減)、セグメント損失(営業損失)は50億19百万円(前期は営業利益44億21百万円)となりました。
(デザインシステム関連事業)
デザインシステム関連事業においては、欧米、国内の大手アパレルブランドを中心にSDS®-ONE APEXソフトウェアのサブスクリプションサービスである「APEXFiz®」のライセンス契約数が新規・更新ともに伸長しましたが、自動裁断機「P-CAM®」については販売台数が減少し、売上高は28億17百万円(前期比18.7%減)、セグメント利益(営業利益)は1億13百万円(前期比86.8%減)となりました。
(手袋靴下編機事業)
手袋靴下編機事業は、海外大手ユーザーの設備投資が伸長し売上高は7億56百万円(前期比69.2%増)、セグメント利益(営業利益)は25百万円(前期比58.8%減)となりました。
(その他事業)
その他事業については、メンテナンス部品や紡毛糸の販売などで、売上高は57億16百万円(前期比6.5%減)、セグメント損失(営業損失)は1億33百万円(前期は営業利益13億17百万円)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載はありません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、売上債権、棚卸資産の減少などで、前連結会計年度末に比べて83億98百万円減少し、994億5百万円となりました。負債合計は、短期借入金の増加などで前連結会計年度末に比べて57億88百万円増加し、216億65百万円となりました。純資産は、利益剰余金、為替換算調整勘定の減少などで141億86百万円減少し、777億40百万円となりました。また、自己資本の額は前連結会計年度末に比べて141億87百万円減少し777億1百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末と比べて7.0ポイント減少し78.2%となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて24億46百万円減少し、103億63百万円となりました。
各活動別のキャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
税金等調整前当期純損失の計上となり、当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは44億61百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は41億20百万円の資金の減少)
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
定期預金の預入による支出や有形固定資産の取得による支出などにより、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは32億22百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は1億67百万円の資金の減少)
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
短期借入金の増加やファイナンス・リース債務の返済による支出などにより、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは53億76百万円の資金の増加となりました。(前連結会計年度は3億48百万円の資金の増加)
当社グループの資本の財源および資金の流動性については次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、事業活動にかかる運転資金、生産能力増強・生産効率化のための設備投資及び新製品開発・成長領域での製品開発投資等によるものであります。資金調達においては、資金の使途、目的に対応して、営業活動から得られるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等、多様な調達方法を組み合わせて低コストかつ安定的な資金を確保するように努めております。財務の安全性を示す指標である自己資本比率及び流動比率は、当連結会計年度末においてそれぞれ、78.2%、420.8%となり、極めて良好な財務状態を保っております。今後も当社グループが将来にわたり世界のリーディングカンパニーとして強固な地位を占め、安定的に成長を維持するために必要な運転資金、設備投資資金及び製品開発投資資金は、良好な財務状態および営業活動により、充分調達することが可能と考えております。
米国の関税政策およびウクライナ・中東の地政学リスクにより、先行きは依然として不透明な状況が続いておりますが、現時点で必要十分な手許資金を確保しており、また必要に応じて金融機関等から資金調達が可能な体制も整えております。
株主還元については経営の最重要課題のひとつとして位置付けており、事業の持続的な発展を通じて、安定した配当を長期にわたって継続することを基本方針としております。2024年度から始まっている3ヵ年の中期経営計画「Ever Onward 2026」に基づき、収益力の向上につながる積極的な成長投資と財務体質の強化に努めながら、連結配当性向40%を目安に株主配当を行います。なお、自己株式取得については、株価水準や資金の状況、市場環境などを総合的に勘案し、時機に応じて柔軟に実施してまいります。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要である会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであり、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
昨今、環境汚染や労働環境問題など地球規模の課題が山積する市場環境を背景に、サステナブルなビジネスモデルへの転換が急速に広がりつつあります。当社ではこのような局面をビジネスチャンスと捉え、サプライチェーン全体を見据えた製品・ソリューションの提案をはじめ、ホールガーメント横編機やデザインシステムの開発に注力することで、持続可能な生産と消費を実現するサステナブルなモノづくりを訴求しています。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、
当連結会計年度における主な研究開発活動の概要は次のとおりであります。
当社グループのコア・ビジネスである横編機分野では、ホールガーメント横編機や新型超立体マルチロール横編機など、市場にマッチした付加価値を高める新製品や、アパレル・ファッション業界以外の新規市場開拓を実現する機種の開発に注力しています。また、徹底したコストダウンと顧客のニーズを超えるサービスを創出し、競合他社を凌駕する製品の開発を目指します。
アパレル・ファッション業界のサプライチェーンにおける課題解決には、業界全体のDXを推進することが必須です。当社では、デザインシステム「SDS®-ONE APEXシリーズ」を核として、糸など素材の調達からリサイクルまで幅広く対応する各種WEBサービスと組み合わせたソリューションを提案しております。また、AIを活用したデザインシステムの開発にも注力し、より操作性の高い製品・サービスの提供を目指します。
自動裁断機分野では、新型自動裁断機「P-CAM®R」の高精細な裁断性能が、世界最高水準であると好評を得ております。横編機と自動裁断機、ニットと布帛の両方を扱える世界唯一のメーカーであるという強みを活かした開発を進めるとともに、積極的な投資により販売ルートおよびアフターサービス網の拡充に取り組みます。
ニット編成面の開発を行うトータルデザインセンターでは、最先端の横編み技術を駆使し、ホールガーメントをはじめとした種々のニットサンプルの開発に取り組んでおります。最新機種である「SWG®-XR」や成型機「SES®-R」を中心に、機械特性を活かした柄や多様なデザインを取り入れたニットサンプル開発に加え、スポーツやメディカル、インテリア、産業資材などアパレル・ファッション業界以外のお客様の要望にもお応えできるニットサンプル開発を継続しています。
また、当社ではこれまでアパレル・ファッション業界で培った経験を活かし、産学協同での研究開発や他社との連携強化を図ることで開発スピードを加速させ、さまざまな業界での課題解決を目指しています。
以上のように、当社では「創造の力で未来に幸せを」のパーパスのもと、サプライチェーン全体における課題解決のための製品とソリューション開発に取り組んでおります。今後もアパレル・ファッション業界のみならず幅広い業界のサステナブルなモノづくりをサポートするとともに、 新たなビジネスの創出を目指してまいります。