第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

業績等の概要については、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に含めて記載している。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。

 このため生産、受注及び販売の状況については、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における各事業の種類別セグメント業績に関連付けて示している。

 

3【対処すべき課題】

 当社グループは、お客様の現場を革新しイノベーションを提供することで自らの成長を目指すとして、2013年4月から2016年3月までの3カ年を対象とした中期経営計画「Together We Innovate GEMBA Worldwide」に取り組んできた。この間、建設・鉱山機械の需要は、新興国の成長鈍化や原油等の資源価格低迷の影響を受け、2014年度から大幅な減少が続き、特に鉱山機械の需要は2012年度の約3割の水準にまで落ち込んだ。中期経営計画の中核である「将来の成長に向けた種蒔き」に関わる重点活動については変更することなく着実に実行した。需要が、中期経営計画策定時の「3年間で微増」との想定から大きく下方に乖離し、環境が変化する中、構造改革を加速するなどの対応をした結果、一定の成果を出すことができた。

 建設・鉱山機械の需要は、現在は主に「戦略市場」で調整局面が続いており、今後しばらく足踏みすることが予想されるが、世界の人口の増加及び都市化率の上昇を背景に長期では増加していくとの認識である。また、産業機械の需要は、主要な顧客である自動車業界及び半導体業界で生産設備投資の増加が見込まれることから、今後数年にわたり多少の変動はあるものの堅調に推移する見通しである。2021年の当社の創立100周年を見据え、そしてそれ以降も継続的な成長を目指すため、当社グループは新たな3カ年(2016-2018年度)の中期経営計画「Together We Innovate GEMBA Worldwide -Growth Toward Our 100th Anniversary (2021) and Beyond-」を本年4月よりスタートした。

 今回の中期経営計画においては、引き続き「イノベーションによる成長戦略」、「既存事業の成長戦略」、「土台強化のための構造改革」の3つの経営戦略のもと、将来の成長に向けた種蒔きに注力するとともに、建設・鉱山機械の需要が停滞する中でも、当社グループの強みである「IoT(Internet of Things)」の更なる活用などにより成長を加速させる。「KOMTRAX(機械稼働管理システム)」、「スマートコンストラクション」、「無人ダンプトラック運行システム(AHS)」、「KOM-MICS(Komatsu Manufacturing Innovation Cloud System)」等の当社グループのIoTで、お客様の現場、代理店の現場及び協力企業も含む生産現場の全体をつなぐことで、すべての現場の安全と生産性の向上を図り、これまで以上にお客様にとってなくてはならない存在になることを目指す。

 また、リテールファイナンス事業を新たな事業セグメントとして独立させ、リテールファイナンス部門の透明性を高める。KOMTRAXから得られる機械の稼働情報や位置情報を与信管理に活かすことに特徴を持つ我々のリテールファイナンス事業を今後更に発展させていく。
 過去3年間で、リテールファイナンス事業を除く事業部門の借入金は、計画通りに削減した。今後の資金の使途については、成長のための投資を主体としながら、自社株買いを含む株主還元に一層配慮する。具体的には、連結配当性向を40%以上とし、連結配当性向が60%を超えない限り減配はしない方針である。

 当社グループの経営の基本は、「品質と信頼性」を追求し、企業価値を最大化することである。企業価値とは我々を取り巻く社会とすべてのステークホルダーからの信頼度の総和であると考えている。今回の中期経営計画においても、当社グループの全社員が「コマツウェイ」を共有し、E(環境)/S(社会)/G(企業統治)についてもこれまで以上に強く意識しながら以下の重点活動にチームで取り組むことで、業績の向上、企業体質の更なる改善及び社会的使命の達成をバランスよく実現していく。

 

(参考:当社グループにおける「市場」の位置づけ)

  伝統市場

  日本、北米、欧州

  戦略市場

  中国、中南米、アジア、オセアニア、アフリカ、中近東、CIS

 

<経営目標>

 「収益性」、「効率性」、「株主還元」、「健全性」に加え、「成長性」を新たな経営目標の指標に設定した。また、セグメント化したリテールファイナンス部門は、経営の効率性及び財務の健全性の視点から、独自の経営目標を設けた。

 

成長性

 業界水準を超える成長率を目指す。

収益性

 業界トップレベルの営業利益率を目指す。

効率性

 ROE*1は10%レベルを目指す。

株主還元

 ①成長への投資を主体としながら、株主還元(自社株買いを含む)とのバランスをとる。

 ②連結配当性向を40%以上とし、60%を超えない限り減配はしない。

健全性

 業界トップレベルの財務体質を目指す。

 

リテールファイナンス事業

 ①ROA*2 2.0%以上

 ②ネット・デット・エクイティ・レシオ*3を5倍以下

   *1 ROE=当社株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)

   *2 ROA=税引前当期純利益/((期首総資産+期末総資産)/2)

   *3 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本

 

<3つの経営戦略と重点活動>

① イノベーションによる成長戦略

 「品質と信頼性」を追及する当社グループのモノ作り技術をベースに、グループ内で得られない技術については産学連携、産産連携により積極的に取り込むことで、ダントツ商品、ダントツサービス、ダントツソリューションを生み出し、お客様の現場にこれまでに無かった新しい価値を創造する「イノベーション」を引き続きスピード感を持って起こしていく。

 建設機械・車両事業では、お客様の現場の「安全性」、「環境性」、「生産性」を大幅に改善するため、最先端のICTの活用により一層の自動化、無人化を実現する次世代の建設・鉱山機械を開発し市場導入を進める。同時に、車体自身の基本性能を飛躍的に高める次世代のコンポーネントの開発にも注力し、フォークリフトを含めた商品に搭載していく。
 現場の改善に必要不可欠な機械及び施工の「見える化」を徹底的に行うため、KOMTRAXを一層進化させるとともに、建設・鉱山現場の人、モノ(建設機械、トラック等)、地形についての情報を共有できるプラットフォームを構築し提供する。

 見える化された情報を元にお客様の現場の課題解決に貢献する2つのダントツソリューション、建設現場向け「スマートコンストラクション」、鉱山現場向け「無人ダンプトラック運行システム」は、サービス内容の更なる充実を図り、導入地域や規模を拡大し大きく育てていく。
 産業機械他事業では、工作機械及び板金・鍛圧機械の主要コンポーネントの内製化を進め、大幅に生産性を高めたダントツ商品を開発する。また、ギガフォトン㈱において最先端の半導体リソグラフィ用EUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外)光源の早期商品化に努める。

 

② 既存事業の成長戦略

 新商品の開発、生産、販売に加え、部品の供給やサービス活動を行うアフターマーケット事業、レンタル・中古商品の循環事業及びリテールファイナンス事業等で構成するバリューチェーン全体をM&A等も活用しながら拡大、強化する。当社グループの総合力を結集して、建設・鉱山機械及び産業機械のライフサイクルコストの低減をお客様に提案することで、価格競争から一線を画して既存事業の成長を図る。

 バリューチェーンの中でも最も重要なのが新商品の開発である。これまで以上にダントツ商品の開発に注力しつつ、伝統市場向けに新排出ガス規制対応機種や、戦略市場各国のニーズにあった建設・鉱山機械の開発を進め、解体、産廃、農業土木、浚渫等の分野向け商品の拡充にも努める。またフォークリフト事業では、新型のバッテリー車(FEシリーズ)及び油圧駆動式エンジン車(FHシリーズ)の商品系列拡大に注力する。今後大きな成長が見込まれるアジアで「ダントツNO.1」の確固たる地位を築くため、開発センタとトレーニングセンタを新設し、現地向けの商品開発や代理店人材の育成に一層努める。

 機械の大きさや用途から一般建機と鉱山機械の中間に位置づけられる砕石・セメント分野に焦点を当て、建設・鉱山現場向けソリューションで培ったノウハウを活かし、お客様の現場の課題解決に貢献することで、当分野における我々の存在感を全世界で高める。また、林業機械事業では本体やアタッチメントの拡充を図るとともに、伐採だけではなく造林・育林までを含む林業現場向けのソリューションを提供する。

 

③ 土台強化のための構造改革

 当社グループの売上高は2000年代初めに比べ約2倍となったが、固定費をほぼ一定に抑制している。今後も「成長とコストを分離する」という考え方に立ち、成長への投資と並行して積極的な原価低減及び適正な固定費水準の維持に努めていく。
 開発についても、計測及び計算・シミュレーション技術等の向上にも努め、開発にかける期間やコストを従来から3割削減することを目指す。また、当社グループの工場だけでなく協力企業の生産設備までもネットワークでつなぎ、リアルタイムに現場を見える化し改善する「KOM-MICS」による生産改革を推進していく。更に、市場情報を工場に直結化することで、製品及び部品供給のスピードアップと在庫の適正化を図る。

 当社グループの社員一人ひとりが、お互いを尊重し合う環境の中で、自身の個性を磨き、強みを発揮することが、次の「ダントツ」を生み出し会社の持続的な成長につながる。当社グループは、多様性こそ会社と個人の発展の原動力であると捉え、それぞれが働きがいと誇りを持ち能力を十分に発揮できる職場や仕組みを提供するとともに、人材育成を継続して行っていく。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループは開発・生産・販売等の拠点を世界各国に設け、グローバルに事業を展開している。当社グループを取り巻く経営環境において、現在予見可能な範囲で考えられる主な事業等のリスクは次のとおりである。

 

1.経済、市場の状況

 当社グループのおかれる事業環境や製品の需要は、地域により異なる経済・市場環境及び競争条件により、大きく変動する可能性がある。

 当社グループの事業は、先進国市場においては総じて景気循環的な産業であり、住宅着工、工業生産水準、インフラへの公共投資、民間設備投資等の、当社グループにとってコントロール不能な要因が当社グループ製品の需要に影響を与える可能性がある。新興国市場においては、需要動向について常に充分な注意を払っているが、資源価格や通貨価値の急激な変動等、不安定な要因を多分にもっており、この変化が当社グループの経営成績に不利益な影響を与える可能性がある。また、当社の予期せぬ方向に世界的規模で同時に経済・市場環境が急激に変化した場合は、更に受注の減少、顧客によるキャンセルの増加、債権回収の延滞等が発生する可能性がある。

 これらの事業環境の変化が、売上げの減少、在庫水準・生産能力の不適正化を生じさせ、収益性の低下や追加費用の発生を通じて、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

2.為替レートの変動

 当社グループの海外売上げの主要な部分が外国為替の変動の影響を受ける。通常は他の通貨に対して円高になれば当社グループの経営成績にマイナスの影響を及ぼし、円安になればプラスの影響を及ぼす。また、外国為替の変動は同一市場において当社グループと外国企業が販売する製品の相対的な価格や、製品の製造に使用する材料のコストに影響を与える可能性がある。これに対し当社グループでは、グローバルに生産拠点を配置して生産を行うなど、このリスクを軽減するよう努めている。また、当社グループは短期の為替変動の影響を最小にするためヘッジ取引も行っている。しかし、為替レート水準の予期せぬ変動は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

3.金融市場の変動

 当社グループは有利子負債を減少させるべく資産の効率化を進めているが、2016年3月末で合計4,575億円の短期・長期の有利子負債がある。長期の固定金利調達を織り交ぜることにより金利変動リスクの影響を軽減しているが、市場金利率の上昇は有利子負債の支払利息を増加させ、当社グループの利益を減少させるリスクがある。また、当社グループの年金資産に関しては、市場性のある証券の公正価値や金利率など金融市場における変動が年金制度の積立不足金額や債務を増加させ年金費用の増加となり、当社グループの経営成績や財政状態に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

4.各国の規制

 当社グループが事業を展開する各国において、その国固有の政府の規制や承認手続きの影響を受ける。将来、その国の政府による規制、例えば関税、輸出入規制、通貨規制、その他各種規制等が導入又は変更されたときに、これらに対応するための費用が発生したり、製品の開発、生産、販売・サービス活動等に支障をきたす可能性がある。また、グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される日本及び相手国の移転価格税制を順守するよう細心の注意を払っているが、税務当局から取引価格が不適切であるなどの指摘を受ける可能性がある。更に政府間協議が不調となるなどの場合、結果として二重課税や追加課税を受ける可能性がある。これらの予期しない事態に直面した場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

5.環境規制

 当社グループの事業、製品は多くの国のますます厳しくなる環境規制に対応する必要がある。そのため、当社グループは各国においての環境規制及び関連法規等を順守するため、研究開発費をはじめ多くの経営資源を投入している。しかし、将来において環境規制の変更により、当社グループにとって更に多くの費用や設備投資が必要になった場合、あるいは製品の開発、生産、販売・サービス活動等に支障をきたした場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

6.製造物・品質責任

 当社グループはその事業及びその製品のために、社内で確立した厳しい基準のもと、品質と信頼性の維持向上に努めているが、万が一予期せぬ製品の不具合によりリコールや事故が発生した場合、製造物・品質責任に関する対処あるいはその他の義務に直面する可能性がある。この費用が保険等によってカバーできない場合、当社グループの利益を減少させるリスクがある。

 

7.提携・協力関係

 当社グループは国際的な競争力を強化するために、販売代理店、協力企業等のビジネスパートナーと様々な提携・協力を行っており、それらを通じて製品の開発、生産、販売・サービス体制の整備・拡充、ソリューションビジネスの展開を図っているが、その期待する効果が得られない場合、あるいは提携・協力関係が解消された場合には、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

8.調達・生産等

 当社グループの部品・資材の調達は、素材市況やエネルギー価格の変動に影響を受ける。鋼材等の素材価格や原油・電力等のエネルギー価格の高騰は当社グループ製品の製造原価の増加をもたらす。また、部品・資材の品薄や調達先の倒産あるいは生産打ち切りにより、適時の調達・生産が困難になり生産効率が低下する可能性がある。材料費の増加等による製造原価の上昇については他の原価低減や販売価格の見直し等によって対応し、適時の調達・生産の問題については、関係各部門の連携を密にすることにより影響を最小限にする考えであるが、予期せぬ素材やエネルギー価格の高騰や供給の逼迫の長期化は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

9.情報セキュリティ・知的財産等

 当社グループは事業活動において顧客情報・個人情報等を入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有している。当社グループはこれらの情報の機密保持に細心の注意を払っており、サイバー攻撃等による不正アクセス、改ざん、破壊、漏洩及び滅失等を防ぐため、管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じている。しかし、顧客情報・個人情報等の漏洩・滅失等の事故が起きた場合には、損害賠償責任を負ったり、当社グループの評判・信用に悪影響を与えたりするなどのリスクがある。また、営業上・技術上の機密情報が漏洩・滅失した場合もしくは第三者に不正利用された場合、知的財産権を侵害された場合、当社グループが第三者により知的財産権の侵害を追及された場合は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

10.自然災害・戦争・テロ・事故等

 当社グループの拠点において、地震・津波・水害等の自然災害、感染症の流行、放射能汚染、戦争、テロ、暴動、火災・爆発等の災害事故、第三者による当社グループに対する非難・妨害、コンピューターウイルスへの感染等が発生し、短期間で復旧不可能な甚大な損害を被る可能性がある。また、当社グループが直接の損害を受けなくとも、物流網及び供給網の混乱、電力・ガス等の供給不足や通信障害、協力企業の生産障害等が長期にわたり継続する可能性がある。これらにより、材料・部品の調達、生産活動、製品の販売・サービス活動に遅延や中断、金融市場の混乱による資金調達環境の悪化等が発生した場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、日成ビルド工業㈱との間で、当社の連結子会社であるコマツハウス㈱の発行済株式総数の85%に相当する株式を譲渡することについて、2016年3月22日付で契約を締結した。この契約に基づき、当社は2016年4月28日付で当該株式を日成ビルド工業㈱に譲渡した。なお、株式譲渡と同日付で、コマツハウス㈱は社名を㈱システムハウスアールアンドシーに変更した。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、建設機械・車両、産業機械他の分野において、「品質と信頼性」の追求を基本として、新技術と新商品の研究開発を積極的に推進している。

 当社グループの研究開発体制は、当社のCTO(最高技術責任者)室、開発本部の建設機械・車両関連の開発センタ及び関係会社の技術部門等からなっており、当連結会計年度の当社グループの研究開発費は70,736百万円である。各事業部門別の研究開発の目的、成果、研究開発費は次のとおりである。

 

(1) 建設機械・車両事業セグメント

 グローバル化に対応した建設機械・車両の効率的な研究開発をねらいとして、国内外に研究開発拠点を配置し、グローバルな開発体制を敷くとともに、相互の人材交流や共同開発の拡大などを行いながら研究開発活動を推進している。また、「イノベーション」を起こすため、CTO室を窓口として、有望な分野での先進技術を有する国内外の大学、研究所、企業と積極的に協同・連携している。「お客様の現場をお客様とともに革新し、新しい価値を創造する」をミッションとし、中・長期的な重点テーマとして、以下の分野に取り組んでいる。
<ICT(情報通信技術)>

 情報化技術(最新計測技術・通信技術を活用した機械の位置情報・稼働情報や機械診断情報などのリモート管理技術等)及び制御技術・知能化技術の研究開発を進めている。これらの技術を利用して開発した建設・鉱山機械の制御システムと管理システムは急速に普及しており、建設・鉱山機械の稼働と管理の自動化、効率化が図られ生産性向上に寄与している。また、情報化施工についても、お客様の視点に立った次世代への展開に向けた活動を推進している。

 施工の自動化、作業精度と作業効率の大幅向上を実現する作業機全自動制御機能搭載ICTブルドーザー、ICT油圧ショベルの開発に加え、建設現場が抱える様々な課題を解決し「未来の現場」を実現させていくためのソリューションを開発、提供していくサービス事業「スマートコンストラクション」は導入地域や規模を拡大した。高精度測量技術の活用や現場のあらゆる情報をICTで繋ぐことで、生産性の大幅な向上と安全な現場を実現する。
<環境、省資源、安全>

 エコロジー(環境に優しい)とエコノミー(経済性に優れている)の両立を追求し、お客様に満足いただける優れたモノ作りを行うことを、地球環境基本方針の下に基本理念とし、商品の生産から廃棄・再利用までのライフサイクル全体の環境負荷が最小限になるように努めるとともに、燃費の向上など、経済性にも優れた商品を提供するために、常に技術革新に取り組んでいる。

 燃費向上技術については、CO2排出量削減と経済性の両面から最重要課題として取り組んでいる。ハイブリッドシステム搭載の油圧ショベルは、日本、中国、北米、欧州、中南米、アジア、オセアニアに導入されており、累計導入台数は3,600台を超えた。

 環境対応については、2014年より開始された排出ガス規制(北米:Tier4 Final、欧州:StageⅣ、日本:特定特殊自動車排出ガス2014年基準)に対応した建設機械の市場導入を順次進めている。

 環境負荷物質の低減活動も積極的に展開している。また、環境とは地球環境だけではなく人間への環境も含むという観点から、安全対応や騒音・振動低減、オペレーター作業環境改善にも取り組んでいる。

 

 当連結会計年度の主な成果は次のとおりである。

油圧ショベル

HB335-3, PC30UU-6, PC120-11, PC128US-11, PW98MR-10

ICT油圧ショベル

PC128USi-10, PC360i-11, PC490i-11

ブルドーザー

D37EX/PX-24, D39EX/PX-24

ICTブルドーザー

D85EXi/PXi-18

ホイールローダー

WA30-6E0, WA40/50-8, WA320-8, WA500-8, WA600-8

ダンプトラック

980E-4

モーターグレーダー

GD535-5

自走式破砕機

BR380JG-3

フォークリフト

FE30-1

 

 当事業セグメントの当連結会計年度に係わる研究開発費は61,825百万円である。

 

(2) 産業機械他事業セグメント

 主として、板金鍛圧機械及び工作機械等に関する研究開発を行っている。

 鍛圧機械では、小型サーボプレス「H1F150」の開発を完了し、「H1Fシリーズ」の計画全系列機種を市場導入した。板金機械では、当社グループ製プラズマ発生器を搭載することで切断コストを30%低減できる(当社グループ従来機比)プラズマ切断機「ツイスター」を市場導入した。

 工作機械では、2020年の燃費・排ガス規制に対応する次期エンジン加工ライン向けの次世代機(「NX400」、「N40HT」、「N40HC」)の開発を完了し、市場導入するとともに、モジュール設計をベースとしたシリーズ化を展開中である

 その他には、半導体製造業向けの液浸露光装置用ArFエキシマレーザーの性能向上及び次世代露光装置用EUV光源、高性能温調機器とその要素である高性能サーモモジュール熱交換ユニット、光通信用向けの超小型サーモモジュール及び熱電発電モジュールとそのシステムに関する研究開発などを推進した。

 当事業セグメントの当連結会計年度に係わる研究開発費は8,911百万円である。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものである。

 

1.重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成している。作成にあたって当社のマネジメントは、知り得る限りの情報に基づいて妥当であると考えられる見積りや判断を継続して実施している。これらの見積りや判断は、連結財務諸表において、決算日の資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値及び偶発資産・債務の開示情報に影響を与える。これらの見積りや判断は、当社グループの過去からの経験、既存の諸契約の内容、業界動向の分析、顧客からの情報、その他の外部からの情報に基づいているものであるが、その性質上、内在する不確実性の度合いが影響するため、実際の結果はこれらと異なる場合がある。当社の重要な会計方針は、連結財務諸表注記1に記載されている。

 当社は特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表等に重要な影響を及ぼすと考えている。

 

(1) 貸倒引当金

 当社グループは、それぞれの顧客の財務状態等を含む多くの要素を考慮して最終的な実現可能性を判定し、債権の回収可能性を推定している。

 当社グループは、過去の実績を含む顧客の信用情報をもとに、貸倒れが発生すると推定される金額の引当を計上している。顧客の信用状況は継続的に内外の情報を入手して分析を行い把握している。これまで実際に発生した貸倒れは、当社グループが予測し、計上した引当金の範囲内であり、当社のマネジメントは、当社グループの見積りが妥当であると信じているが、債権の種類の構成が変化したり、予見できない大きな経済環境の変動により顧客の財務状態に変化が生じるような場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。
 詳細は、連結財務諸表注記4に記載されている。

 

(2) 法人税等と繰延税金資産

 当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、各構成単位で納税地の税法に基づいて法人所得税・未払法人税の見積りを行っている。また、繰越欠損金や税務上と会計上の取扱いの違いにより生じる一時差異については、税効果計算を実施し、連結貸借対照表に繰延税金資産・負債を計上している。

 繰延税金資産を計上するにあたっては、これらが将来の課税所得や有効な税務計画により実現されることの確実性を検証する必要がある。

 当社のマネジメントは、取締役会で承認された経営計画や、期中での各社からの経営報告、将来の市場状況、実行性の高い税務戦略等に基づき、将来の課税所得を推定し繰延税金資産の回収可能性を判断しており、実現できないと考えられる部分については評価性引当金を計上している。将来の課税所得あるいは課税時期に関する当社のマネジメントの判断が変わることにより、評価性引当金が変動する可能性がある。

 また、当社グループは、税務ポジションの不確実性から生じる影響額については、税務上の技術的な方法に基づき、50%超の可能性で認められる場合、財務諸表に認識している。その税務ポジションに関連する財務諸表への影響額は、税務当局との解決により50%超の可能性で実現が予想される最大金額で測定される。当社グループはその税務ポジションが有効的に解決されるまで、決算日ごとに持続可能性を検証し、見積りによる変動の影響を財務諸表へ反映させる。

 当社のマネジメントは、計上した繰延税金資産(評価性引当金控除後)全額が実現可能であり、認識された不確実性のあるすべての主要な税務ポジションは瑕疵なく持続していると判断しているが、経営計画が実現できず、将来の課税所得の見積りが大幅に減少する場合や、関連する税務当局の解釈等、これらの判断が結果として現実と異なる場合には、評価性引当金や認識すべき財務諸表への影響額を見直す必要があり、追加の税金費用が発生することで当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。

 詳細は、連結財務諸表注記15に記載されている。

 

(3) 長期性資産及び営業権の評価

 当社グループは長期性資産に関して、経営環境の変化により、将来その資産から生み出されるキャッシュ・フローが減少するなど、帳簿価額相当額を回収することができないと判断されるような事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を実施している。

 当社グループが保有しかつ使用している資産の回収可能性は、帳簿価額とその資産から生じる割引前将来キャッシュ・フローとの比較で判定される。この割引前将来キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出される。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定される。もし、資産の帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを上回り、回収可能性が認められずその資産が減損状態であると判定された場合、帳簿価額が公正価値を上回った額が減損額として測定され計上される。公正価値は、主に市場において想定されるキャッシュ・フローの変動リスクを考慮した加重平均資本コストを割引率として使用する割引後将来キャッシュ・フローモデル、あるいは独立した鑑定評価で測定される。処分予定の長期性資産については、帳簿価額と公正価値から処分のためのコストを差し引いた額とのいずれか低い方で評価される。

 当社グループは営業権については、少なくとも各年度に1回減損の検討を実施している。それは次の2段階のテストによって実施されている。まず、第1段階では潜在的な減損を識別するため報告単位の公正価値と営業権を含む帳簿価額を比較する。報告単位の帳簿価額が公正価値を超える場合、減損損失の額を測定するためにテストの第2段階を行う。第2段階のテストでは報告単位の営業権の想定公正価値と帳簿価額を比較する。営業権の想定公正価値を測定するには、割引後将来キャッシュ・フローモデル、鑑定評価、あるいは他の評価方法に基づいて、報告単位の識別可能な資産負債の公正価値を算出する必要がある。報告単位の営業権の帳簿価額が営業権の想定公正価値を超える場合、その超える額が減損損失として認識される。

 現状では、長期性資産及び営業権については、重要な追加の減損の発生はないと考えているが、経営戦略の変更、市場の変化があった場合には、その資産から将来得られるキャッシュ・フローの予想や公正価値の算出に影響し、長期性資産及び営業権の回収可能性の評価判断が変更となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。

 

(4) 金融商品の公正価値

 主に外国為替予約や金利スワップ契約等のデリバティブ金融商品の公正価値は、市場で観察可能なインプットに基づいた業者からの情報をもとに評価している。この公正価値の情報は、特定のある時点での適切な市場の情報と商品についての情報に基づいて推定されるものであるが、これらの推定はその性格上、市場の不確実性を含んでいるため、実際の結果と異なってくる可能性がある。

 投資有価証券及び関連会社に対する投資の公正価値については、市場性のあるものは市場で値付けされた価額で評価しているが、公正価値の下落があった場合、それが一時的かどうかについて、下落の期間や程度、被投資会社の財政状態及び業績予想等を考慮して判断している。市場性のない投資の価値の下落が一時的かどうかの判断は、被投資会社の財政状態及び業績予想等から行っている。

 現状では、投資有価証券あるいは関連会社に対する投資については、重要な追加の減損の発生はないと考えているが、将来の経済環境の変化によっては投資先の企業の業績が悪化し、減損を認識する可能性がある。

 詳細は、連結財務諸表注記19、20、21に記載されている。

 

(5) 退職給付債務及び費用

 当社グループの年金債務及び年金費用の額は、算出時に使用した仮定に影響される。これらの仮定は連結財務諸表注記12に記載されており、割引率、長期期待収益率、平均報酬水準増加率等を含む。当社グループは、仮定と実績が乖離した場合には、その差額を累積し従業員の平均残存勤務年数にわたって償却を実施する事で、将来の期間にわたり、費用として認識する。

 割引率は、現在かつ年金受給が満期となる間に利用可能と予想される信用度の高い固定利付き債券の利率に基づいて算出される。また、長期期待収益率は、投資対象の様々な資産カテゴリー別に将来収益に対する予測や過去の運用実績を考慮し決定される。

 当社グループは、これらの仮定は妥当なものであると信じているが、重要な実績との乖離もしくは重要な仮定の変化があった場合、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性がある。

 当連結会計年度末の当社グループの年金制度において、割引率又は長期期待収益率が0.5%変動した場合、年金債務及び年金費用に及ぼす影響は、その他すべての仮定を一定とすると、それぞれ以下のとおりである。

仮定の変更

変動率

年金債務

年金費用

割引率

0.5%増/0.5%減

147億円減/159億円増

11億円減/12億円増

長期期待収益率

0.5%増/0.5%減

7億円減/7億円増

 

(6) 今後適用となる新会計基準

 米国財務会計基準審議会は、2014年5月に会計基準アップデート2014-09「顧客との契約から生じる収益」を発行した。同アップデートは、米国財務会計基準審議会会計基準編纂書605「収益の認識」を改訂し、顧客への財やサービスの移転を、企業が財やサービスと交換に受け取れると見込まれる対価を反映した金額で収益を認識することを要求している。同アップデートは、2016年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用され、早期適用は認められない。米国財務会計基準審議会は、2015年8月に会計基準アップデート2015-14「顧客との契約から生じる収益-適用日の延期」を発行した。同アップデートは、収益認識に関する基準書の強制適用日を1年延期するものであるが、当初の適用日から適用することも認められる。当社グループは、現在、適用時期及び適用による財政状態及び経営成績に与える影響について検討中である。

 

 米国財務会計基準審議会は、2015年9月に会計基準アップデート2015-16「企業結合-測定期間中の修正に関する会計処理の簡素化」を発行した。同アップデートは、企業結合が完了した後の会計期間(測定期間)中の修正について、財務諸表を遡及修正する規定を削除し、その修正金額が確定した報告期間に認識することを要求している。同アップデートは、2015年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用される。当社グループは、現在、適用による財政状態及び経営成績に与える影響について検討中である。

 

 米国財務会計基準審議会は、2015年11月に会計基準アップデート2015-17「繰延税金の貸借対照表上の分類」を発行した。同アップデートは、貸借対照表を流動・非流動に区分して表示する場合に、すべての繰延税金資産及び繰延税金負債を非流動に分類することを要求している。同アップデートは、2016年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用され、早期適用も認められる。当社グループは、現在、適用時期及び適用による財政状態に与える影響について検討中である。

 

 米国財務会計基準審議会は、2016年1月に会計基準アップデート2016-01「金融資産及び金融負債の認識及び測定」を発行した。同アップデートは、企業が保有する持分投資が損益計算書に与える影響及び公正価値オプションの適用を選択した金融負債の公正価値変動の認識を変更するものである。持分投資については、原則として公正価値で評価され、その公正価値変動を損益で認識することを要求している。また、公正価値オプションの適用を選択した金融負債については、当該金融負債固有の信用リスクによる公正価値の変動をその他の包括利益で認識することを要求している。同アップデートは、2017年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用され、早期適用は一部について認められる。当社グループは、現在、適用時期及び適用による財政状態及び経営成績に与える影響について検討中である。

 

 米国財務会計基準審議会は、2016年2月に会計基準アップデート2016-02「リース」を発行した。同アップデートは、借手については、ほとんどすべてのリース契約に対して、貸借対照表上でのリース資産とリース負債の計上を要求している。貸手については、現行基準から概ね変更されていない。同アップデートは、2018年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用され、早期適用も認められる。当社グループは、現在、適用時期及び適用による財政状態及び経営成績に与える影響について検討中である。

 

2.業績報告

(1) 概要

 当連結会計年度の連結売上高は、1,854,964百万円(前連結会計年度比6.3%減)となった。建設機械・車両事業では、北米において一般建設機械の需要を着実に取り込んだものの、鉱山機械の需要低迷に伴う販売減少や中国をはじめとする新興国の需要が大幅に減少し、売上高は前連結会計年度を下回った。産業機械他事業では、半導体業界の安定的な設備稼働に支えられギガフォトン㈱の売上高が伸長したものの、全体として売上高は前連結会計年度を下回った。利益については、主に米ドルに対して為替が円安に推移する中、建設・鉱山機械の需要変動に対応するための構造改革を引き続きグローバルに推進し、固定費の削減に取り組んだものの、建設機械・車両事業の販売量減少により、営業利益は208,577百万円(前連結会計年度比13.8%減)となった。売上高営業利益率は前連結会計年度を1.0ポイント下回る11.2%、税引前当期純利益は204,881百万円(前連結会計年度比13.2%減)、当社株主に帰属する当期純利益は137,426百万円(前連結会計年度比10.8%減)となった。

 

 

2015年度 実績

前連結会計年度比

売上高

1,854,964百万円

6.3%減

営業利益

208,577百万円

13.8%減

税引前当期純利益

204,881百万円

13.2%減

当社株主に帰属する当期純利益

137,426百万円

10.8%減

 

(2) 為替レート変動の影響

 当連結会計年度は前連結会計年度に比較し、主に米ドルが円安に推移した。為替レートの変動により、建設機械・車両事業のセグメント利益は前連結会計年度比で約230億円増加したと試算される。為替レート変動の影響は、各社の外貨建取引額に各為替レートの変動を乗じて算出した金額の合計として試算されている。為替レート変動に対応した販売価格変更の影響は考慮していない。

 

(3) 売上高

 売上高は前連結会計年度の1,978,676百万円と比較して6.3%減少の1,854,964百万円となった。国内売上高は前連結会計年度の424,381百万円と比較して2.3%減少の414,762百万円、海外売上高は前連結会計年度の1,554,295百万円と比較して7.3%減少の1,440,202百万円となった。

 事業の種類別セグメントの状況は以下のとおりである。

 

<建設機械・車両事業セグメント>

 建設機械・車両事業の売上高は前連結会計年度を6.9%下回る1,641,042百万円となった。

 昨年2月に日本で開始した建設現場向けソリューション事業「スマートコンストラクション」については、昨年9月よりサービス運用を始めたクラウドプラットフォーム「KomConnect」と、ICT建機に新たに搭載した「ステレオカメラ」により、施工現場の全エリアを3次元データで掌握することを実現し、着実に導入現場数を増やした。またICT建機は、商品系列の拡大に加え、日本、北米、欧州に続きオーストラリアでも導入を開始した。日本、北米、欧州で2014年から順次適用が始まっている新排出ガス規制に対応した商品については計33機種を開発し、販売拡大に努めた。また、建設・鉱山機械の新車需要が落ち込む中でも、アフターマーケットの需要を着実に取り込んだ結果、当連結会計年度の部品の売上高は前連結会計年度に続き過去最高となった。

 今後大きな成長が見込まれるアジアでの事業強化を図るため、昨年5月にインドに油圧ショベル新工場を、昨年8月にミャンマーに建設・鉱山機械のリマン(コンポーネントの再生販売)及び発電機の製造などを行う生産拠点を開設した。

(以下、地域別売上高は外部顧客向け売上高を表示している。)

(日本)

 新排出ガス規制導入に伴いミニ建機の需要は一時的に拡大したものの、レンタル業界向け油圧ショベルの需要が大幅に減少したことから、売上高は前連結会計年度を6.3%下回る309,908百万円となった。

(米州)

 北米では、鉱山向けやエネルギー向けの需要は引き続き低迷したものの、米国の住宅建設及び道路等インフラ分野向けの需要が伸長したため、売上高は前連結会計年度を22.9%上回る400,395百万円となった。中南米では、鉱山機械の需要が低調に推移したことに加え、ブラジルでは一般建設機械の需要も低迷したため、売上高は前連結会計年度を18.8%下回る219,465百万円となった。なお、当連結会計年度より、メキシコ代理店の買収に伴い、北米に含まれていた一部のメキシコ向け売上高を中南米に変更した。売上高の増減率は前連結会計年度の売上高を組替えたものと比較して表示している。

(欧州・CIS)

 欧州では、需要の伸長とともに販売は増加したものの、為替が前連結会計年度に比べ円高に推移したことから売上高は前連結会計年度を4.5%下回る141,668百万円となった。CISでは、鉱山向けの販売は増加したものの、一般建設機械の需要が減少したことに加え、為替がルーブル安に推移したことから、売上高は前連結会計年度を12.1%下回る47,766百万円となった。

(中国)

 排出ガス規制の強化に伴う需要の押し上げもあり、本年2月の春節(旧正月)後の販売台数はやや増加したものの、中国政府による金融緩和等の景気対策は低迷する需要に対する効果が見えず、売上高は前連結会計年度を32.3%下回る74,641百万円となった。

(アジア・オセアニア)

 アジアでは、インド等で需要を取り込むことができたものの、最大市場であるインドネシアで需要が低迷したことから、売上高は前連結会計年度を10.2%下回る190,789百万円となった。オセアニアでは、鉱山向け需要が依然低調に推移し、売上高は前連結会計年度を17.8%下回る112,612百万円となった。

(中近東・アフリカ)

 中近東では、オマーン、カタール等の湾岸諸国でインフラ工事プロジェクト向けの需要を取り込んだものの、原油安等の影響により主要市場であるサウジアラビアの需要が低調であったことから、売上高は前連結会計年度を3.5%下回る58,697百万円となった。アフリカでは、主要市場である南アフリカの鉱山向け需要が減少したことから、売上高は前連結会計年度を26.2%下回る82,469百万円となった。

 

 なお、建設機械・車両事業全体の生産規模は、前連結会計年度比11.2%減少し、約1兆5,272億円(販売価格ベース、連結ベース)であった。

 

<産業機械他事業セグメント>

 産業機械他事業では、半導体業界の安定的な設備稼働に支えられ、ギガフォトン㈱の売上高が伸長したものの、鍛圧機械の販売が減少したことから、売上高は前連結会計年度を0.6%下回る220,165百万円となった。ギガフォトン㈱では、お客様の半導体製造工場の稼動コスト低減及び世界的なネオンガス不足への対応をサポートする新たなプログラムを提供し、更なる販売拡大に努めた。産業機械事業の一層の競争力向上のため、昨年10月に工作機械事業を富山地区に、板金・鍛圧機械事業を石川地区に集約し、それぞれ開発から生産、営業、サービスに至るまで一本化した事業体制に再編した。また、高い生産性とランニングコストの大幅な低減を実現した小型ACサーボプレス機「H1F-2」シリーズについては昨年6月に新機種を追加し、更なる販売拡大に努めた。

 

 なお、産業機械他事業全体の生産規模は、前連結会計年度比9.1%増加し、約2,194億円(販売価格ベース、連結ベース)であった。

 

(4) 売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度比6.1%減少して1,315,773百万円となった。売上高に対する比率は70.9%と前連結会計年度比で0.1ポイント増加した。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比0.2%増加して337,133百万円となった。

 なお、売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、前連結会計年度並みの70,736百万円となった。

 

(5) 長期性資産の減損

 長期性資産の減損は、前連結会計年度の1,124百万円と比較して1,908百万円増加の3,032百万円となった。当連結会計年度の長期性資産の減損は、主として有形固定資産の減損によるものである。

 

(6) その他の営業収益

 その他の営業収益は、前連結会計年度の2,209百万円の収益に対し7,342百万円増加の9,551百万円の収益となった。これは主として固定資産売却益が当連結会計年度では増加したことによるものである。

 

(7) 営業利益

 営業利益は以上の結果、前連結会計年度の242,062百万円と比較して13.8%減少の208,577百万円となった。

 

(8) その他の収益(△費用)

 受取利息及び配当金は、前連結会計年度の3,266百万円と比較して423百万円増加の3,689百万円となった。支

払利息は、前連結会計年度の9,328百万円と比較して557百万円減少の8,771百万円となった。

 

(9) 税引前当期純利益

 税引前当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の236,074百万円と比較して13.2%減少の204,881百万円

となった。

 

(10) 法人税等

 法人税等は、前連結会計年度の78,495百万円と比較して14,778百万円減少の63,717百万円となった。税引前当

期純利益に対する法人税等の比率(実効税率)は、前連結会計年度33.3%から2.2ポイント減少し、当連結会計

年度は31.1%となった。法定税率33.4%と実効税率31.1%との差異は、海外子会社の適用税率の差異等によるも

のである。

 

(11) 持分法投資損益

 持分法投資損益は、前連結会計年度の3,869百万円の利益と比較して1,896百万円減少の1,973百万円の利益となった。

 

(12) 当期純利益

 当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の161,448百万円と比較して18,311百万円減少の143,137百万円となった。

 

(13) 非支配持分に帰属する当期純利益

 非支配持分に帰属する当期純利益は、主に小松山推建機公司やバンコックコマツ㈱の収益が減少したことから、非支配持分に帰属する部分が減少し、前連結会計年度の7,439百万円と比較して1,728百万円減少の5,711百万円となった。

 

(14) 当社株主に帰属する当期純利益

 当社株主に帰属する当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の154,009百万円と比較して10.8%減少の

137,426百万円となった。1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の162.07円から145.80円

となった。潜在株式調整後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の161.86円から145.61円となった。

 

(15) セグメント利益の状況

 (セグメント利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出している。)

 建設機械・車両事業のセグメント利益は、北米において一般建設機械の需要を着実に取り込んだものの、鉱山機械の需要低迷に伴う販売減少や中国をはじめとする新興国の需要が大幅に減少したことから、前連結会計年度の227,272百万円と比較して43,104百万円減少の184,168百万円となった。

 産業機械他事業のセグメント利益は、鍛圧機械等の販売が減少したものの、半導体業界の好調な設備稼働に支えられギガフォトン㈱の売上高が伸長したことから、前連結会計年度の16,257百万円と比較して3,129百万円増加の19,386百万円となった。

 これらに、全社及びセグメント間取引消去を差し引いたセグメント利益(連結)は、前連結会計年度の

240,977百万円と比較して38,919百万円減少の202,058百万円となった。

 なお、セグメント利益(連結)は米国会計基準に則っていないが、財務諸表利用者に有益な情報を提供するた

めに表示している。

 

3.流動性及び資金の源泉

(1) 資金調達と流動性管理

 当社グループは、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針としている。この方針に従い、当社グループは金融機関借入、社債等の発行、融資枠の設定等、様々な資金調達の源泉を確保している。設備投資資金及び運転資金については、営業活動から得られたキャッシュ・フロー及び外部より調達した資金を充当している。更に、当社グループの資金の効率性を高めるため、海外子会社を含めたグループ間のキャッシュマネジメントシステム(グローバル・キャッシュ・プーリング、以下、「GCP」)を特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預入総額を上限にGCP参加会社は借入を行っている。当GCPにおいては、預入金及び借入金の残高を相殺できる条項が含まれており、当連結会計年度末現在の相殺金額は176,753百万円となっている。

 短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入及びコマーシャル・ペーパーの発行等でまかなっている。一部の連結子会社は、当連結会計年度末現在、金融機関との間に合計20,269百万円のコミットメントライン契約を締結して代替流動性を確保しており、その未使用枠は15,094百万円となっている。コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、当社で150,000百万円のプログラムを保有しており、未使用枠は128,000百万円となっている。
 当社は、中長期資金需要に機動的に対応するため、社債発行枠とユーロ・ミディアム・ターム・ノート(以下、「EMTN」)プログラムを保有している。当社は2014年11月に2年間有効の100,000百万円の社債発行枠を登録した。当連結会計年度末現在の未使用枠は100,000百万円となっている。なお、これ以外の過去に登録した社債発行枠に基づいて発行した分も含めた社債の当連結会計年度末現在の残高は80,000百万円である。また、当社、コマツファイナンスアメリカ㈱及びコマツキャピタルヨーロッパ㈱で合わせて14億米ドルのEMTNプログラムを保有しており、このプログラムに基づいて、それぞれの発行体はディーラーとの間で合意されたすべての通貨の債券を発行できる。当連結会計年度末現在、当該EMTNプログラムにより発行された債券の残高は61,897百万円である。
 当連結会計年度末現在、当社グループの短期債務残高は144,552百万円となり、前連結会計年度末に比べて47,385百万円減少した。短期債務は主に銀行借入であり、運転資金として使用されている。
 当連結会計年度末現在、長期債務残高(1年以内期限到来分含む)は313,000百万円で、前連結会計年度末に比べて84,192百万円減少した。長期債務は銀行、保険会社等からの借入金等170,096百万円、無担保社債80,000百万円、EMTN61,897百万円、キャピタルリース債務1,007百万円で構成されており、主に設備投資資金及び長期運転資金に使用されている。

 当連結会計年度末現在のキャピタルリース債務を含めた有利子負債残高は前連結会計年度末比131,577百万円減少の457,552百万円となり、更に現預金を差し引いたネット有利子負債残高は前連結会計年度末比132,736百万円減少の349,081百万円となった。これらに加え株主資本が増加した結果、当連結会計年度末現在のネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット有利子負債と株主資本の比率)は前連結会計年度末の0.32に対して0.23となった。
 当連結会計年度末現在、流動資産は1,386,453百万円となり、前連結会計年度末に対し、134,982百万円減少し、また流動負債は700,894百万円となり、前連結会計年度末に対し104,017百万円減少した。その結果、流動比率は197.8%と前連結会計年度末に対し8.8ポイント増加となった。
 営業活動から得られるキャッシュ・フロー、様々な資金調達手段、流動比率の水準に基づき、当社グループは、流動性ニーズや将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えている。

 なお、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は106,259百万円であり、そのうち93,370百万円は海外子会社が保有している。

 当社は、スタンダード&プアーズ、ムーディーズ・インベスターズ・サービス及び㈱格付投資情報センターから信用格付を取得している。当連結会計年度末現在、当社の発行体格付けは、スタンダード&プアーズ:A(長期)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス:A2(長期)、㈱格付投資情報センター:AA-(長期)、a-1+(短期)となっている。

 

(2) キャッシュ・フロー

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益143,137百万円に加え、たな卸資産の減少等により、319,634百万円の収入(前連結会計年度比24,020百万円の収入減)となった。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の購入等により、148,642百万円の支出(前連結会計年度比33,151百万円の支出減)となった。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払い等により、173,079百万円の支出(前連結会計年度は143,983百万円の支出)となった。

 これらに為替変動の影響を加えた結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ354百万円増加し、106,259百万円となった。

 

(3) 設備投資

 建設機械・車両事業では、主に生産性向上及び電力使用量削減並びに循環事業強化等のための設備投資を行った。産業機械他事業では、老朽設備更新等のための設備投資を行った。これらの結果、当連結会計年度の設備投資額は160,051百万円と前連結会計年度比32,673百万円の減少となった。

 

(4) 契約上の債務

 当連結会計年度末現在の契約上の債務は次のとおりである。

 

期間別支払見込額

(百万円)

 

合計

1年以内

1-3年

3-5年

5年超

短期債務

144,552

144,552

長期債務

(キャピタルリース債務を除く)

311,850

99,758

157,307

49,446

5,339

キャピタルリース債務

1,007

432

240

229

106

オペレーティングリース債務

8,997

3,537

3,305

1,271

884

有利子負債に関する利息

(キャピタルリース債務を含む)

 

11,037

5,225

4,627

1,116

69

年金及びその他の退職給付債務

4,378

4,378

合計

481,821

257,882

165,479

52,062

6,398

  (注)1.長期債務の金額は、公正価額の調整額143百万円(損)を除いている。

2.有利子負債に関する利息は、当連結会計年度末現在有効な利率に基づき計算されている。

3.年金及びその他の退職給付債務は、2017年度以降の拠出額は未確定であるため、2016年度に生じるものだけを記載している。

 

 なお、当連結会計年度末現在の設備発注残高は、約13,700百万円である。