第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものである。

 

 当社グループ(当社及び連結子会社)の経営の基本は、「品質と信頼性」を追求し、企業価値を最大化することである。企業価値とは、我々を取り巻く社会とすべてのステークホルダーからの信頼度の総和であると考えている。

 2022年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value - FORWARD Together for Sustainable Growth」では、2021年の創立100周年とその先の成長を目指し、①イノベーションによる価値創造、②事業改革による成長戦略、③成長のための構造改革、の3つの経営戦略(成長戦略3本柱)に取り組む。足元の市場環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響に加え、政治・経済・社会情勢が流動的であり、先行き不透明かつ不確実な状況となっている。そのような中、将来に向けて、上記の成長戦略3本柱に基づいた重点投資を、費用対効果と戦略的価値を見極めながら実行し、需要の変動に左右されにくい事業構造を強化しつつ、収益向上とESG(環境・社会・ガバナンス)の課題解決の好循環による持続的成長を目指す。

 特に、ESG課題の中でも、気候変動に影響を及ぼす温室効果ガス(CO2等)排出量削減に関する昨今の世界的な潮流や、デジタルトランスフォーメーションの加速化を背景として、当社グループとしても、環境負荷低減に向けた取り組みを最重要課題の1つと認識している。事業活動に関わる様々な領域でのCO2排出量削減を行いつつ、これらの活動をビジネスチャンスとしてとらえ、事業の持続的成長につなげていく。

 

 

 

 

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<成長戦略3本柱の進化とともに実現する「ダントツバリュー」>

 成長戦略3本柱を推進するため、これまで当社グループが取り組んできた「ダントツ商品・ダントツサービス・ダントツソリューション」を、更にスピードをあげて進化・レベルアップさせ、顧客価値創造を通じてESG課題の解決と収益向上の好循環を生み出す「ダントツバリュー」の実現を目指す。モノ(建設機械の高度化・自動化)とコト(顧客の施工オペレーションの最適化)の両面で、施工のデジタルトランスフォーメーションの推進を強力にサポートし、安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場をお客様とともに実現していく。

 スマートコンストラクションの導入現場では、安全性・生産性を大幅に向上する効果が実証されており、労働力不足やオペレーターの高齢化などを背景に、今後も着実に普及が進むと考えている。ウィズコロナ、アフターコロナの時代には、ハードでは、遠隔操作や自動化、無人化といったニーズが一層高まり、ソフトでは、建設現場の施工のデジタル化が一気に進展する可能性がある。これに対して、当社グループでは、建設機械分野における、デジタルトランスフォーメーション・スマートコンストラクションや自動化、鉱山機械分野における、新しいプラットフォームと無人ダンプトラック運行システム(AHS)、遠隔操作といったソリューションの提供などにより、スピード感をもってお客様のニーズに応えていく。

 

 

 

 

 

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未来の現場へのロードマップ

 

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<2022年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画の経営目標>

 経営目標については、業界トップレベルの「成長性」、「収益性」、「効率性」、「健全性」を継続しながら、「ESG」の経営目標を追加している。成長戦略への重点投資を優先しながら、「株主還元」については引き続き安定的な配当の継続に努め、連結配当性向を40%以上とする。

 

 

経営指標

経営目標

成長性

・売上高成長率

・業界水準を超える成長率

収益性

・営業利益率

・業界トップレベルの営業利益率

効率性

・ROE*1

・ROE*1 10%以上

健全性

・ネット・デット・

 エクイティ・レシオ*2

・業界トップレベルの財務体質

リテール

 ファイナンス事業

・ROA*3

・ネット・デット・

 エクイティ・レシオ*2

・ROA*3 1.5%-2.0%

・ネット・デット・エクイティ・レシオ*25倍以下

ESG

・環境負荷低減

・外部評価

・環境負荷低減

 CO2排出削減:2030年50%減(2010年比)

 再生可能エネルギー使用率:2030年50%

・外部評価

 DJSI*4選定(ワールド、アジアパシフィック)

 CDP*5 Aリスト選定(気候変動、水リスク)等

 

株主還元

・配当性向

・成長への投資を主体としながら、株主還元(自社株買いを含む)との

 バランスをとる。

・連結配当性向を40%以上とする。

   *1 ROE=当社株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)

   *2 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本

   *3 ROA=税引前当期純利益/((期首総資産+期末総資産)/2)

   *4 ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ:米国S&Pダウ・ジョーンズ社とスイスのロベコ・

     サム社によるSRI指標

   *5 企業や政府が温室効果ガス排出量を削減し、水資源や森林を保護することを推進する国際的な非営利団体

 

  <経営戦略における重点活動の主な実績と次期以降の課題>

3つの経営戦略

 

活動の例

1.イノベーション

  による価値創造

当期の

実績

 ・デジタルトランスフォーメーション・スマートコンストラクションの市場導入

   (日本・北米・欧州・豪州)

 ・3D施工を可能にする油圧ショベル用後付けキット「スマートコンストラクション・レトロ

   フィットキット」の装着開始とミニショベルへの適用

 ・無人ダンプトラック運行システム(AHS)の総稼働台数352台の達成

 ・中小型クラス油圧ショベル電動化共同実証実験を米国プロテラ社との協業で開始

 ・株式会社NTTドコモとの商用5Gによる鉱山向け大型ICTブルドーザー遠隔操作の実証実験の

   成功

 ・ダム施工における本格的自動化施工の開始

次期以降の

課題

 ・デジタルトランスフォーメーション・スマートコンストラクションの拡大、グローバル

   展開

 ・鉱山用新オープンテクノロジープラットフォーム開発

 ・自動化・自律化・電動化・遠隔操作化の技術開発

2.事業改革による

  成長戦略

当期の

実績

 ・規制対応、商品力UP、アジアダントツNo.1等を目的とした開発機種の商品化

 ・メンテナンス契約付延長保証の拡大

 ・KomVision人検知システム及び衝突軽減システム搭載車の拡充

 ・林業機械事業の拡大(シルビカルチャー(造林・育林)とスマート林業への取り組み)

 ・次世代KOMTRAXの導入

 ・坑内掘りハードロックのダントツ商品開発

 ・電動式フォークリフト「FE25-2」、「FE30-2」を新発売

 ・コマツNTC株式会社 EV(電気自動車)車載用電池製造装置の開発と市場導入

次期以降の

課題

 ・坑内掘りハードロック事業の市場ポジション向上

 ・次世代KOMTRAX活用による新しいビジネスモデルの構築

 ・ライフサイクルサポート実現に向けたバリューチェーン改革の継続推進

 ・産業機械事業改革(建設機械事業とのシナジー拡大、コア技術による成長)

3.成長のための

  構造改革

当期の

実績

 ・坑内掘りソフトロック事業の構造改革

 ・「DXグランプリ2020」に選定

 ・氷見第二工場内に新シールリング工場の着工

 ・南アフリカにて新リマン工場完成

次期以降の

課題

 ・ICT・IoTによる業務改革推進

 ・構造改革と継続的なコスト改善活動の推進

 ・次世代工場、地球・作業環境負荷ゼロ工場の推進

 ・グローバルな人材強化、ダイバーシティの推進

 

<成長戦略3本柱によるESG課題の解決>

 当社グループは以前から、本業を通じたCSR活動を行うことを基本方針とし、当社グループの事業とステークホルダーの双方にとって重要な社会課題の中から優先課題を選定し、CSR重点3分野について活動を進めてきた。加えて、持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」については、17のゴールの中から当社グループの事業と特に関連性が大きい5つのゴールと紐づけて活動を行っている。

 中期経営計画では成長戦略3本柱を通じたESG課題解決を目指しており、着実に遂行していくために、成長戦略3本柱と関連づけたKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定し、その達成状況を把握し、統合報告書において開示している。

 

CSR重点分野

成長戦略3本柱によるESG課題の解決

SDGsとの関係

生活を豊かにする

-社会が求める商品を

提供する-

 ・持続可能なインフラ整備と資源開発及び循環型の地球環境保全

   (リマン・林業)に貢献する商品・サービス・ソリューションの

   提供

 ・自動化などのイノベーションを通じたバリューチェーン全体での

   生産性向上・効率化、安全確保、環境負荷低減(CO₂排出削減、

   再生可能エネルギー比率の向上)

 ・技術と信頼性を持って、よりよい地球と未来を実現するダントツ

   バリュー(顧客価値創造・最大化)の追求

 

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人を育てる

 ・生産性・技能レベルが高く、多様な人材育成

 ・持続可能な現場の実現を支援するダイバーシティ・グローバル

   人材の強化と育成

 ・バリューチェーン横断型人材の育成

 

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社会とともに発展する

 ・ステークホルダーとの協業による社会的課題の解決

 ・コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスの徹底、人権の

   尊重などの責任ある企業行動

 

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2【事業等のリスク】

 当社グループは開発・生産・販売等の拠点を世界各国に設け、グローバルに事業を展開している。当社グループを取り巻く経営環境において、現在予見可能な範囲で考えられる主な事業等のリスクは次のとおりである。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものである。

 

1.経済、市場の状況

 当社グループのおかれる事業環境や製品の需要は、地域により異なる経済・市場環境、政治・社会情勢及び競争条件等により、大きく変動する可能性がある。

 当社グループの事業は、先進国市場においては総じて景気循環的な産業であり、住宅着工、工業生産水準、インフラへの公共投資、民間設備投資等の、当社グループにとってコントロール不能な要因が当社グループ製品の需要に影響を与える可能性がある。新興国市場においては、需要動向について常に注意を払っているが、資源需要や資源価格の変動、通貨価値の急激な変動等、不安定な要因を多分にもっており、この変化が当社グループの経営成績に不利益な影響を与える可能性がある。また、当社の予期せぬ方向に世界的規模で同時に経済・市場環境が急激に変化した場合は、更に受注の減少、顧客によるキャンセルの増加、債権回収の延滞等が発生する可能性がある。

 これらの事業環境の変化が、売上げの減少、在庫水準・生産能力の不適正化を生じさせ、収益性の低下や追加費用の発生を通じて、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

2.為替レートの変動

 当社グループの海外売上げの主要な部分が外国為替の変動の影響を受ける。通常は他の通貨に対して円高になれば当社グループの経営成績にマイナスの影響を及ぼし、円安になればプラスの影響を及ぼす。また、外国為替の変動は同一市場において当社グループと外国企業が販売する製品の相対的な価格や、製品の製造に使用する材料のコストに影響を与える可能性がある。これに対し当社グループでは、グローバルに生産拠点を配置して生産を行うなど、このリスクを軽減するよう努めている。また、当社グループは短期の為替変動の影響を最小にするためヘッジ取引も行っている。しかし、為替レート水準の予期せぬ変動は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

3.金融市場の変動

 当社グループは資産の効率化を進めているが、2021年3月末で合計9,099億円の短期・長期の有利子負債がある。長期の固定金利調達を織り交ぜることにより金利変動リスクの影響を軽減しているが、市場金利の上昇は有利子負債の支払利息を増加させ、当社グループの利益を減少させるリスクがある。また、当社グループの年金資産に関しては、定期的に運用状況の評価やポートフォリオの見直しを行っているが、市場性のある証券の公正価値や金利など金融市場における変動が年金制度の積立不足金額や債務を増加させ年金費用の増加となり、当社グループの経営成績や財政状態に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

4.各国の規制

 当社グループが事業を展開する各国において、各種規制や承認手続き等の影響を受ける。将来、それらの国における規制、例えば関税、輸出入規制、通貨規制、その他各種規制等が導入又は変更されたときに、これらに対応するための費用が発生したり、製品の開発、生産、販売・サービス活動等に支障をきたす可能性がある。また、グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される日本及び相手国の移転価格税制を順守するよう細心の注意を払っているが、税務当局から取引価格が不適切であるなどの指摘を受ける可能性がある。更に政府間協議が不調となるなどの場合、結果として二重課税や追加課税を受ける可能性がある。これらの予期しない事態に直面した場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

5.環境規制・気候変動関連等

 当社グループの事業、製品は多くの国のますます厳しくなる環境規制に対応する必要がある。また、世界では気候変動の要因とされる温室効果ガスの削減への取り組みが進められている。そのため、当社グループは各国においての環境規制及び関連法規等を順守するため、また、気候変動への対応のため、研究開発費をはじめ多くの経営資源を投入している。しかし、将来において環境規制の変更や、気候変動の影響により、当社グループにとって更に多くの費用や設備投資が必要になった場合、あるいは製品の開発、生産、販売・サービス活動等に支障をきたした場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

6.製造物・品質責任

 当社グループの提供する製品は、社内で確立した厳しい基準のもと、品質と信頼性の維持向上に努めている。万が一予期せぬ製品の設計・製造に起因する不具合で事故等が発生した場合には、リコール等の改善措置を行っているが、損害に対する賠償等の発生や、当社グループの評判・信用失墜により当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

7.提携・協力・企業買収等

 当社グループは国際的な競争力を強化するために、様々なビジネスパートナーとの提携・協力や企業買収等を行っており、それらを通じて製品の開発、生産、販売・サービス体制の整備・拡充、ソリューションビジネスの展開を図っているが、その期待する効果が得られない場合、あるいは提携・協力関係が解消された場合には、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

8.調達・生産等

 当社グループの部品・資材の調達は、素材市況やエネルギー価格の変動に影響を受ける。鋼材等の素材価格や原油・電力等のエネルギー価格の高騰は当社グループ製品の製造原価の増加をもたらす。また、部品・資材の品薄、調達先の倒産あるいは生産打ち切り、多国間での輸出入規制等により、適時の調達・生産が困難になり生産効率が低下する可能性がある。材料費の増加等による製造原価の上昇については原価低減や販売価格の見直し等によって対応し、適時の調達・生産の問題については、調達先の複数化、安全在庫の保有、関係各部門の連携による生産管理の強化等により影響を最小限にする考えであるが、予期せぬ素材やエネルギー価格の高騰や供給の逼迫の長期化は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。

 

9.情報セキュリティ・知的財産等

 当社グループは事業活動において顧客情報・個人情報等を入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有している。当社グループはこれらの情報の機密保持に細心の注意を払っており、コンピューターウィルスへの感染、サイバー攻撃等による不正アクセス、改ざん、破壊、漏洩及び滅失等を防ぐため、管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じている。しかし、顧客情報・個人情報等の漏洩・滅失等の事故が起きた場合には、損害賠償責任を負ったり、当社グループの評判・信用に悪影響を与えたりするなどのリスクがある。また、営業上・技術上の機密情報が漏洩・滅失した場合もしくは第三者に不正利用された場合、知的財産権を侵害された場合、当社グループが第三者により知的財産権の侵害を追及された場合は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがある。更には、サイバー攻撃が高度化すると、情報セキュリティ対策強化のためのコストが増加するリスクがある。

 

10.自然災害・戦争・テロ・事故・感染症等

 当社グループの拠点において、地震・津波・水害等の自然災害、感染症の流行、放射能汚染、戦争、テロ、暴動、火災・爆発等の災害事故、第三者による当社グループに対する非難・妨害が発生し、短期間で復旧不可能な甚大な損害を被る可能性がある。また、当社グループが直接の損害を受けなくとも、物流網及び供給網の混乱、電力・ガス等の供給不足や通信障害、協力企業の生産障害等が長期にわたり継続する可能性がある。当社グループではこれらのリスクの顕在化に備え、事業継続計画の策定及び訓練を行う等、重大リスクが顕在化した場合は、緊急対策本部を設置し、被害を最小限にするための適切な措置を講じる。

 また、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行にあたり、当社グループでは各国政府の方針に基づき、社会インフラを支える事業(Essential Business)に従事するお客様への責任を果たすため、お客様への製品・部品・サービスの継続的な供給活動を行っている。

 なお、2020年度の新型コロナウイルス感染症の当社グループへの影響は「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであるが、各地域における需要回復のばらつきや、各国政府の行動制限措置等に伴うサプライチェーンの供給遅延の発生などのリスクが存在しており、2021年度の業績に与える影響は不透明である。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況は次のとおりである。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 概要

 当連結会計年度の連結売上高は、2,189,512百万円(前連結会計年度比10.4%減)となった。利益については、営業利益は167,328百万円(前連結会計年度比33.3%減)となった。売上高営業利益率は前連結会計年度を2.7ポイント下回る7.6%となった。税引前当期純利益は、162,775百万円(前連結会計年度比27.0%減)、当社株主に帰属する当期純利益は106,237百万円(前連結会計年度比30.9%減)となった。

 

 

2020年度 実績

前連結会計年度比

売上高

2,189,512

百万円

10.4%

建設機械・車両

1,975,958

百万円

10.6%

リテールファイナンス

66,394

百万円

6.4%

産業機械他

171,255

百万円

3.6%

消去

△24,095

百万円

 

-

セグメント利益

172,339

百万円

32.4%

建設機械・車両

143,788

百万円

36.7%

リテールファイナンス

10,574

百万円

16.6%

産業機械他

16,342

百万円

19.3%

消去又は全社

1,635

百万円

 

-

営業利益

167,328

百万円

33.3%

税引前当期純利益

162,775

百万円

27.0%

当社株主に帰属する当期純利益

106,237

百万円

30.9%

 

② 為替レート変動の影響

 当連結会計年度は前連結会計年度に比較し、為替レートが主に米ドルに対して円高に推移した。為替レートの変動により、建設機械・車両事業のセグメント利益は前連結会計年度比で約101億円減少したと試算される。為替レート変動の影響は、各社の外貨建取引額に各為替レートの変動を乗じて算出した金額の合計として試算されている。為替レート変動に対応した販売価格変更の影響は考慮していない。

 

③ 売上高

 売上高は前連結会計年度の2,444,870百万円と比較して10.4%減少2,189,512百万円となった。国内売上高は前連結会計年度の396,584百万円と比較して3.1%減少384,302百万円、海外売上高は前連結会計年度の2,048,286百万円と比較して11.9%減少1,805,210百万円となった。

 

④ 売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度比8.0%減少して1,608,457百万円となった。売上高に対する比率は73.5%と前連結会計年度比で2.0ポイント増加した。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比7.3%減少して408,716百万円となった。

 なお、売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、前連結会計年度比1.2%減少して738億円となった。

 

⑤ 長期性資産等の減損

 長期性資産等の減損は、前連結会計年度の3,194百万円と比較して791百万円減少の2,403百万円となった。当連結会計年度の長期性資産等の減損は、主として非償却無形固定資産及び有形固定資産の減損によるものである。

 

⑥ 営業権の減損

 営業権の減損は、当連結会計年度に計上がなかったため、3,699百万円減少となった。

 

⑦ その他の営業収益(△費用)

 その他の営業収益(△費用)は、前連結会計年度の2,570百万円の収益に対し2,608百万円の費用となった。

 

⑧ 営業利益

 営業利益は以上の結果、前連結会計年度の250,707百万円と比較して33.3%減少の167,328百万円となった。

 

⑨ その他の収益(△費用)

 受取利息及び配当金は、前連結会計年度の7,378百万円と比較して2,085百万円減少の5,293百万円となった。支払利息は、前連結会計年度の24,592百万円と比較して10,826百万円減少の13,766百万円となった。

 

⑩ 税引前当期純利益

 税引前当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の223,114百万円と比較して27.0%減少の162,775百万円となった。

 

⑪ 法人税等

 法人税等は、前連結会計年度の62,873百万円と比較して15,954百万円減少の46,919百万円となった。税引前当期純利益に対する法人税等の比率(実効税率)は、前連結会計年度の28.2%から0.6ポイント増加し、当連結会計年度は28.8%となった。法定税率31.3%と実効税率28.8%との差異は、海外子会社の適用税率の差異等によるものである。

 

⑫ 持分法投資損益

 持分法投資損益は、前連結会計年度の3,443百万円の利益と比較して683百万円減少の2,760百万円の利益となった。

 

⑬ 当期純利益

 当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の163,684百万円と比較して45,068百万円減少の118,616百万円となった。

 

⑭ 非支配持分に帰属する当期純利益

 非支配持分に帰属する当期純利益は、コマツマーケティングサポートオーストラリア㈱等の収益が増加したことから、非支配持分に帰属する部分が増加し、前連結会計年度の9,840百万円と比較して2,539百万円増加の12,379百万円となった。

 

⑮ 当社株主に帰属する当期純利益

 当社株主に帰属する当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の153,844百万円と比較して30.9%減少

106,237百万円となった。1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の162.93円から112.43

となった。潜在株式調整後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の162.80円から112.39円となった。

 

⑯ セグメント利益の状況

 (セグメント利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出している。)

 建設機械・車両事業のセグメント利益は、固定費の削減に取り組んだものの、販売量減少や構成差、円高の影響等により、前連結会計年度の227,311百万円と比較して83,523百万円減少の143,788百万円となった。

 リテールファイナンス事業のセグメント利益は、支払猶予の影響及びリースアップ車の評価を見直したこと等もあり、前連結会計年度の12,673百万円と比較して2,099百万円減少の10,574百万円となった。

 産業機械他事業のセグメント利益は、半導体市場向けエキシマレーザー関連事業の売上高が堅調であったことから、前連結会計年度の13,703百万円と比較して2,639百万円増加16,342百万円となった。

 これらに、全社及びセグメント間取引消去を差し引いたセグメント利益(連結)は、前連結会計年度の
255,030百万円と比較して82,691百万円減少の172,339百万円となった。

 なお、セグメント利益(連結)は米国会計基準に則っていないが、財務諸表利用者に有益な情報を提供するた

めに表示している。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産が減少したこと等により、354,129百万円の収入(前連結会計年度比58,948百万円の収入増加)となった。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の購入等により、163,057百万円の支出(前連結会計年度比27,873百万円の支出減少)となった。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払い等により、199,667百万円の支出(前連結会計年度は3,457百万円の支出)となった。

 これらに為替変動の影響を加えた結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ5,813百万円減少し、241,803百万円となった。

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。

 このため生産、受注及び販売の実績については、「2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」における各事業の種類別セグメント業績に関連付けて示している。

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものである。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成している。作成にあたって当社のマネジメントは、知り得る限りの情報に基づいて妥当であると考えられる見積りや判断を継続して実施している。これらの見積りや判断は、連結財務諸表において、決算日の資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値及び偶発資産・債務の開示情報に影響を与える。これらの見積りや判断は、当社グループの過去からの経験、既存の諸契約の内容、業界動向の分析、顧客からの情報、その他の外部からの情報に基づいているものであるが、その性質上、内在する不確実性の度合いが影響するため、実際の結果はこれらと異なる場合がある。当社の重要な会計方針は、連結財務諸表注記1に記載されている。

 新型コロナウイルス感染症が当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響については、収束時期等が不透明であるものの、現時点で入手可能な情報や予測に基づき、今後も一定程度当該影響が継続すると仮定している。会計上の見積りの中でも比較的重要性のある貸倒見積額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断、長期性資産及び営業権の減損の判定については、当該仮定に基づき最善の見積りを行っているが、今後の実際の推移が当該仮定と乖離する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。

 当社は特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表等に重要な影響を及ぼすと考えている。

 

① 貸倒引当金

 当社グループは、それぞれの顧客の財務状態等を含む多くの要素を考慮して最終的な実現可能性を判定し、債権の回収可能性を推定している。

 当社グループは、過去の実績を含む顧客の信用情報をもとに、貸倒れが発生すると推定される金額の引当を計上している。顧客の信用状況は継続的に内外の情報を入手して分析を行い把握している。特にリテールファイナンス事業の金融債権は回収が長期間に及ぶうえに、貸倒見積額の算定及び担保による回収可能見込額の算定には不確実性が伴うことから、顧客ごとの信用状況や期日未回収債権の状況調査及び担保となる資産の市場価格調査を行い、入手可能な情報に基づいて最善の見積りを行っている。これまで実際に発生した貸倒れは、当社グループが予測し、計上した引当金の範囲内であり、当社のマネジメントは、当社グループの見積りが妥当であると信じているが、債権の種類の構成が変化したり、予見できない大きな経済環境の変動により顧客の財務状態に変化が生じるような場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。
 詳細は、連結財務諸表注記4に記載されている。

 

② 法人税等と繰延税金資産

 当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、各構成単位で納税地の税法に基づいて法人所得税・未払法人税の見積りを行っている。また、繰越欠損金や税務上と会計上の取扱いの違いにより生じる一時差異については、税効果計算を実施し、連結貸借対照表に繰延税金資産・負債を計上している。

 繰延税金資産を計上するにあたっては、これらが将来の課税所得や有効な税務計画により実現されることの確実性を検証する必要がある。

 当社のマネジメントは、取締役会で承認された経営計画や、期中での各社からの経営報告、将来の市場状況、実行性の高い税務戦略等に基づき、将来の課税所得を推定し繰延税金資産の回収可能性を判断しており、実現できないと考えられる部分については評価性引当金を計上している。将来の課税所得あるいは課税時期に関する当社のマネジメントの判断が変わることにより、評価性引当金が変動する可能性がある。

 また、当社グループは、税務ポジションの不確実性から生じる影響額については、税務上の技術的な方法に基づき、50%超の可能性で認められる場合、財務諸表に認識している。その税務ポジションに関連する財務諸表への影響額は、税務当局との解決により50%超の可能性で実現が予想される最大金額で測定される。当社グループはその税務ポジションが有効的に解決されるまで、決算日ごとに持続可能性を検証し、見積りによる変動の影響を財務諸表へ反映させる。

 当社のマネジメントは、計上した繰延税金資産(評価性引当金控除後)全額が実現可能であり、認識された不確実性のあるすべての主要な税務ポジションは瑕疵なく持続していると判断しているが、経営計画が実現できず、将来の課税所得の見積りが大幅に減少する場合や、関連する税務当局の解釈等、これらの判断が結果として現実と異なる場合には、評価性引当金や認識すべき財務諸表への影響額を見直す必要があり、追加の税金費用が発生することで当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。

 詳細は、連結財務諸表注記16に記載されている。

 

③ 長期性資産及び営業権の評価

 当社グループは長期性資産に関して、経営環境の変化により、将来その資産から生み出されるキャッシュ・フローが減少するなど、帳簿価額相当額を回収することができないと判断されるような事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を実施している。

 当社グループが保有しかつ使用している資産の回収可能性は、帳簿価額とその資産から生じる割引前将来キャッシュ・フローとの比較で判定される。この割引前将来キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出される。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定される。もし、資産の帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを上回り、回収可能性が認められずその資産が減損状態であると判定された場合、帳簿価額が公正価値を上回った額が減損額として測定され計上される。公正価値は、主に市場において想定されるキャッシュ・フローの変動リスクを考慮した加重平均資本コストを割引率として使用する割引後将来キャッシュ・フローモデル、あるいは独立した鑑定評価で測定される。処分予定の長期性資産については、帳簿価額と公正価値から処分のためのコストを差し引いた額とのいずれか低い方で評価される。

 当社グループは営業権については、少なくとも各年度に1回、又は減損の可能性を示す事象や、状況の変化が生じた時点で減損の検討を実施している。

 報告単位の公正価値の測定にあたっては、通常、割引後将来キャッシュ・フローモデルにより算定している。将来見積キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出される。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定される。報告単位の帳簿価額が公正価値を上回る場合、その報告単位に配分された営業権の帳簿価額を限度とし、当該差額を営業権の減損損失として認識する。

 現状では、長期性資産及び営業権については、重要な追加の減損の発生はないと考えているが、経営戦略の変更、市場の変化があった場合には、その資産から将来得られるキャッシュ・フローの予想や公正価値の算出に影響し、長期性資産及び営業権の回収可能性の評価判断が変更となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。

 

④ 金融商品の公正価値

 主に外国為替予約や金利スワップ契約等のデリバティブ金融商品の公正価値は、市場で観察可能なインプットに基づいた業者からの情報をもとに評価している。この公正価値の情報は、特定のある時点での適切な市場の情報と商品についての情報に基づいて推定されるものであるが、これらの推定はその性格上、市場の不確実性を含んでいるため、実際の結果と異なってくる可能性がある。

 市場性のある持分証券は、公正価額で評価されている。公正価額の変動は、当期純利益で認識している。

 市場性がなく、容易に算定可能な公正価値がない持分証券のうち、1株当たり純資産価値で評価している持分証券以外について、減損による評価下げ後の取得価額にて測定している。また、同一発行体の同一又は類似する投資に関する秩序ある取引における観察可能な価格の変動を識別した場合は、当該持分証券を観察可能な取引が発生した日の公正価値で測定している。

 関連会社に対する投資の公正価値については、公正価値の下落があった場合、それが一時的かどうかについて、下落の期間や程度、被投資会社の財政状態及び業績予想等を考慮して判断している。

 現状では、投資有価証券あるいは関連会社に対する投資については、重要な追加の減損の発生はないと考えているが、将来の経済環境の変化によっては投資先の企業の業績が悪化し、減損を認識する可能性がある。

 詳細は、連結財務諸表注記20、21、22に記載されている。

 

⑤ 退職給付債務及び費用

 当社グループの年金債務及び年金費用の額は、算出時に使用した仮定に影響される。これらの仮定は連結財務諸表注記12に記載されており、割引率、長期期待収益率、平均報酬水準増加率等を含む。当社グループは、仮定と実績が乖離した場合には、その差額を累積し従業員の平均残存勤務年数にわたって償却を実施する事で、将来の期間にわたり、費用として認識する。

 割引率は、現在かつ年金受給が満期となる間に利用可能と予想される信用度の高い固定利付き債券の利率に基づいて算出される。また、長期期待収益率は、投資対象の様々な資産カテゴリー別に将来収益に対する予測や過去の運用実績を考慮し決定される。

 当社グループは、これらの仮定は妥当なものであると信じているが、重要な実績との乖離もしくは重要な仮定の変化があった場合、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性がある。

 当連結会計年度末の当社グループの年金制度において、割引率又は長期期待収益率が0.5%変動した場合、年金債務及び年金費用に及ぼす影響は、その他すべての仮定を一定とすると、それぞれ以下のとおりである。

仮定の変更

変動率

年金債務

年金費用

割引率

0.5%増 / 0.5%減

289億円減 / 312億円増

4億円減 / 12億円増

長期期待収益率

0.5%増 / 0.5%減

14億円減 / 14億円増

 

⑥ 今後適用となる新会計基準

 米国財務会計基準審議会は、2016年6月に会計基準アップデート2016-13「金融商品-信用損失:金融商品に関する信用損失の測定」を発行した。同アップデートは、多くの金融資産について、現行の発生損失モデルではなく予想信用損失モデルに基づいて損失を認識することを要求している。予想信用損失モデルでは、対象となる金融資産の残存期間に発生することが見込まれる予想信用損失をただちに認識することになる。当初同アップデートは、米国証券取引委員会(SEC)に登録していない企業においては、2020年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用される予定であったが、米国財務会計基準審議会は、2019年11月に適用日の変更を行い、同アップデートは、2022年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用されることとなった。なお、早期適用も認められている。同アップデートは、適用開始期間の期首の利益剰余金で累積影響額を調整する修正遡及適用アプローチにより適用される。当社グループは、現在、適用時期及び適用による財政状態及び経営成績に与える影響について検討中である。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の連結売上高は、2,189,512百万円(前連結会計年度比10.4%減)となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響により不透明かつ不確実な状況下、建設機械・車両事業では、当第3四半期連結会計期間以降、一般建機を中心に需要の着実な回復が見られたものの、通期では当第2四半期連結会計期間までの需要減少の影響が大きく、売上高は前連結会計年度を下回った。産業機械他事業では、自動車業界向けの鍛圧機械、板金機械及び工作機械の設備投資が低調に推移したこと等により、売上高は前連結会計年度を下回った。利益については、固定費の削減に取り組んだものの、建設機械・車両事業の販売量減少及び構成差、円高の影響等により、営業利益は167,328百万円(前連結会計年度比33.3%減)となった。

 当連結会計年度末は、たな卸資産が減少した一方、米ドルなどに対して為替が前連結会計年度末に比べ円安となったことに加え、売上債権の増加等により、総資産は前連結会計年度末比131,155百万円増加の3,784,841百万円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末比102,395百万円減少の909,983百万円となった。株主資本は前連結会計年度末比140,691百万円増加の1,912,297百万円となった。これらの結果、株主資本比率は前連結会計年度末比2.0ポイント増加の50.5%となった。

 

② 流動性及び資金の源泉

<資金使途の考え方>

 当社グループは、持続的な企業価値の増大を目指して、外部環境の変化や需要変動に左右されない健全な財務体質の構築と競争力強化に努めている。資金を成長のための投資、バランスシート改善(財務健全性維持)、株主還元にバランスよく配分して、総合指標であるROE(自己資本利益率)をモニタリングしている。想定される株主資本コストを上回るROE10%以上を経営目標として、ROE向上と株主資本コスト低減の両面からエクイティ・スプレッド(ROE-株主資本コスト)の拡大に取り組んでいる。

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<資金調達と流動性管理>

 当社グループは、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針と
している。この方針に従い、当社グループは金融機関借入、社債等の発行、融資枠の設定等、様々な資金調達
の源泉を確保している。設備投資資金及び運転資金については、営業活動から得られたキャッシュ・フロー及
び外部より調達した資金を充当している。更に、当社グループの資金の効率性を高めるため、海外子会社を含
めたグループ間のキャッシュマネジメントシステム(グローバル・キャッシュ・プーリング、以下、「GCP」)を特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預入総額を上限にGCP参加会社は借入を行っている。当GCPにおいては、預入金及び借入金の残高を相殺できる条項が含まれており、当連結会計年度末現在の相殺金額は271,433百万円となっている。

 短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借
入及びコマーシャル・ペーパーの発行等でまかなっている。当社及び一部の連結子会社は、当連結会計年度末現在、金融機関との間に合計458,330百万円のコミットメントライン契約を締結して代替流動性を確保しており、その未使用枠は443,989百万円となっている。コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、当社で300,000百万円、コマツファイナンスアメリカ㈱で962百万米ドルのプログラムを保有しており、未使用枠はそれぞれ190,000百万円、233百万米ドルとなっている。
 当社は、中長期資金需要に機動的に対応するため、社債発行枠とユーロ・ミディアム・ターム・ノート(以下、「EMTN」)プログラムを保有している。当社は2020年11月に2年間有効の100,000百万円の社債発行枠を登録した。当連結会計年度末現在の未使用枠は100,000百万円となっている。なお、これ以外の過去に登録した社債発行枠に基づいて発行した分も含めた当社グループの社債の当連結会計年度末現在の残高は158,399百万円である。また、当社、コマツファイナンスアメリカ㈱及び欧州コマツコーディネーションセンター㈱で合わせて2,000百万米ドルのEMTNプログラムを保有しており、このプログラムに基づいて、それぞれの発行体はディーラーとの間で合意されたすべての通貨の債券を発行できる。当連結会計年度末現在、当該EMTNプログラムにより発行された債券の残高は138,397百万円である。

 当連結会計年度末現在、当社グループの短期債務残高は271,462百万円となり、前連結会計年度末に比べて212,196百万円減少した。短期債務は主にコマーシャル・ペーパーであり、運転資金等に使用されている。

 当連結会計年度末現在、長期債務残高(1年以内期限到来分含む)は638,521百万円で、前連結会計年度末に比べて109,801百万円増加した。長期債務は銀行、保険会社等からの借入金等341,725百万円、無担保社債158,399百万円、EMTN138,397百万円で構成されており、主に設備投資資金及び長期運転資金に使用されている。

 当連結会計年度末現在の有利子負債残高は前連結会計年度末比102,395百万円減少の909,983百万円となり、現預金を差し引いたネット有利子負債残高は前連結会計年度末比95,849百万円減少の666,856百万円となった。これらに加え株主資本が増加した結果、当連結会計年度末現在のネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット有利子負債と株主資本の比率)は前連結会計年度末の0.43に対して0.35となった。

 当連結会計年度末現在、流動資産は1,989,292百万円となり、前連結会計年度末に対し、42,502百万円増加し、また流動負債は992,869百万円となり、前連結会計年度末に対し165,756百万円減少した。その結果、流動比率は200.4と前連結会計年度末に対し32.4ポイント増加となった。

 営業活動から得られるキャッシュ・フロー、様々な資金調達手段、流動比率の水準に基づき、当社グループ
は、流動性ニーズや将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えている。

 なお、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は241,803百万円であり、そのうち222,052百万円は海外子会社が保有している。

 当社グループは、スタンダード&プアーズ、ムーディーズ・インベスターズ・サービス及び㈱格付投資情報
センターから信用格付を取得している。当連結会計年度末現在、当社の発行体格付けは、スタンダード&プア
ーズ:A(長期)、A-1(短期)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス:A2(長期)、Prime-1(短
期)、㈱格付投資情報センター:AA-(長期)、a-1+(短期)となっている。

 

<設備投資>

 建設機械・車両事業では、主に生産性向上のための設備投資及び循環事業強化のための設備投資等を行った。リテールファイナンス事業では、主に賃貸用資産に係る設備投資等を行った。産業機械他事業では、主に老朽設備更新等のための設備投資を行った。これらの結果、当連結会計年度の設備投資額は163,174百万円と前連結会計年度比3,378百万円の減少となった。

 

<契約上の債務>

 当連結会計年度末現在の契約上の債務は次のとおりである。

 

期間別支払見込額

(百万円)

 

合計

1年以内

1-3年

3-5年

5年超

短期債務

271,462

271,462

長期債務

638,521

98,004

385,804

154,632

81

オペレーティングリース債務

62,736

16,526

17,225

8,844

20,141

有利子負債に関する利息

24,104

11,871

9,965

2,267

1

年金及びその他の退職給付債務

4,455

4,455

合計

1,001,278

402,318

412,994

165,743

20,223

  (注)1. 長期債務の公正価額の調整額はない。

2. 有利子負債に関する利息は、当連結会計年度末現在有効な利率に基づき計算されている。

3. 年金及びその他の退職給付債務は、2022年度以降の拠出額は未確定であるため、2021年度に生じるものだけを記載している。

 

 なお、当連結会計年度末現在の設備発注残高は、約38,900百万円である。

 

③ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

<建設機械・車両事業セグメント>

 建設機械・車両事業の売上高は前連結会計年度を10.6%下回る1,975,958百万円となった。

 中期経営計画における成長戦略3本柱の重点活動を推進し、「イノベーションによる価値創造」の重点活動の一つである「建設・鉱山機械・ユーティリティ(小型機械)の自動化・自律化、電動化、遠隔操作化」については、引き続き、鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)の強化に取り組み、3月末時点の総稼働台数は累計352台となった。また、商用の第5世代移動通信方式(商用5G)による鉱山向け大型ICTブルドーザー「D375Ai-8」の遠隔操作の実証実験を進めるとともに、鉱山のお客様の安全性向上及びオペレーションの最適化を目指したプラットフォーム構築に取り組んだ。一般建機の電動化においては、リチウムイオンバッテリーシステムを活用した中小型クラスの油圧ショベルの電動化の実証実験に向け活動を開始した。建設現場向けソリューション「デジタルトランスフォーメーション・スマートコンストラクション」については、お客様の施工の最適化に貢献するソリューションとして訴求し、建設現場のデジタルトランスフォーメーション実現を加速させるため、国内においては、既存の従来型建機にICT機能を提供するレトロフィットキットの装着を推進した。「事業改革による成長戦略」の重点活動については、循環型ビジネスの強化に取り組み、コンポーネントを再生、再利用するリマン事業においては、南部アフリカ地域に新工場を設立した。あわせて、林業事業においても、シルビカルチャー(造林・育林)を促進する林業機械の導入を進めた。「成長のための構造改革」については、その一環として、コマツマイニング㈱において坑内掘り石炭向け鉱山機械の生産再編を引き続き進め、米国・豪州のコンベア事業の売却及び英国のルーフサポート生産機能の移管など、不採算事業の見直しと生産能力の適正化に取り組んだ。

(以下、地域別売上高は外部顧客向け売上高を表示している。)

(日本)

 日本では、新型コロナウイルス感染拡大の影響が小さかった公共工事等を中心に需要が堅調に推移したものの、当第2四半期連結会計期間までの民間工事の停滞や営業・サービス活動制限等により、売上高は前連結会計年度を5.1%下回る294,890百万円となった。

(米州)

 北米では、住宅建設向け及びレンタル向けの需要は回復基調にあるものの、当第2四半期連結会計期間までの新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済停滞や、エネルギー関連向けの一般建機や鉱山機械の需要が低調に推移したことにより、売上高は前連結会計年度を22.5%下回る444,366百万円となった。中南米では、ブラジルにおける一般建機需要が堅調に推移したことに加え、チリの銅鉱山向けの売上高が増加したものの、当第2四半期連結会計期間までの新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、売上高は前連結会計年度を6.8%下回る288,097百万円となった。

(欧州・CIS)

 欧州では、主要市場であるドイツ、英国、フランスやイタリアにおいて需要は新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復基調にあるものの、当第2四半期連結会計期間までの需要が低調であったことから、売上高は前連結会計年度を16.5%下回る183,537百万円となった。CISでは、インフラ及びエネルギー関連向けの一般建機の需要が回復基調にあることに加え、金鉱山向け需要が堅調であったものの、石炭向け鉱山機械需要が低調に推移したことやロシアルーブル安の影響もあり、売上高は前連結会計年度を11.8%下回る112,379百万円となった。

(中国)

 中国では、国産メーカーの販売比率が上昇している一方で、新型コロナウイルス感染収束後のインフラ投資等の景気下支え策により需要が引き続き堅調に推移した。また、2021年2月の春節(旧正月)後の販売シーズンに加え、2020年2月の春節後の販売シーズンが新型コロナウイルス感染拡大の影響により後ろ倒しになったことから当連結会計年度の需要が増加し、売上高は前連結会計年度を15.1%上回る146,225百万円となった。

(アジア・オセアニア)

 アジアでは、インドネシア、タイ、マレーシアにおいて一般建機を中心に需要の着実な回復が見られたことや、石炭価格の回復に伴い、当第4四半期連結会計期間からインドネシアにおける石炭向け鉱山機械の需要に回復の兆しが見られたものの、当第2四半期連結会計期間までの新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、売上高は前連結会計年度を32.5%下回る138,790百万円となった。オセアニアでは、鉄鉱石向け鉱山機械需要及び一般建機需要が堅調に推移し、売上高は前連結会計年度を13.1%上回る230,122百万円となった。

(中近東・アフリカ)

 中近東では、原油安の影響及び新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、引き続きサウジアラビアで需要が低調に推移しているものの、トルコ等での需要が堅調なことから、売上高は前連結会計年度を5.5%上回る32,338百万円となった。アフリカでは、南部アフリカ地域において、新型コロナウイルス感染拡大の影響等により一般建機の需要が引き続き低調に推移したことに加え、鉱山機械の販売も減少したことにより、その他地域での需要の回復は見られたものの、売上高は前連結会計年度を7.9%下回る90,463百万円となった。

 

 当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比167,781百万円増加2,689,427百万円となった。

 

 なお、建設機械・車両事業全体の生産規模は、前連結会計年度比14.5%減少し、約1兆8,892億円(販売価格ベース、連結ベース)であった。

 

<リテールファイナンス事業セグメント>

 リテールファイナンス事業では、当第4四半期連結会計期間において北米等での新規取組高の増加や為替の影響により資産が増えたものの、当第3四半期連結会計期間までの新規取組高減少の影響により、売上高は前連結会計年度を6.4%下回る66,394百万円となった。

 

 当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比46,062百万円増加887,125百万円となった。

 

<産業機械他事業セグメント>

 産業機械他事業では、鍛圧機械、板金機械及び工作機械については新型コロナウイルス感染拡大の影響等により自動車業界の設備投資が低調に推移したことや、海外のお客様の現場における据付け作業の遅延により、売上高は前連結会計年度を3.6%下回る171,255百万円となった。

 

 当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比14,918百万円減少の201,810百万円となった。

 

 なお、産業機械他事業全体の生産規模は、前連結会計年度比9.2%減少し、約1,664億円(販売価格ベース、連結ベース)であった。

 

④ 目標とする経営指標の達成状況等

 2022年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画の経営目標に対し、2020年度の実績は以下のとおりとなった。

 

経営目標

経営指標

2020年度

成長性

 ・業界水準を超える成長率

 ・売上高成長率

△10.4%

収益性

 ・業界トップレベルの営業利益率

 ・営業利益率

7.6%

効率性

 ・ROE*1 10%以上

 ・ROE*1

5.8%

健全性

 ・業界トップレベルの財務体質

 ・ネット・デット・

   エクイティ・

   レシオ*2

0.35

リテール

ファイナンス事業

 ・ROA*3 1.5%-2.0%

 ・ROA*3

1.2%

 ・ネット・デット・エクイティ・レシオ*25倍以下

 ・ネット・デット・

   エクイティ・

   レシオ*2

3.69

ESG

 ・環境負荷低減

  CO2排出削減:2030年50%減(2010年比)

  再生可能エネルギー使用率:2030年50%

 ・環境負荷低減

 ・製品使用によるCO2削減

        14%減(見込値)

 ・生産によるCO2削減

        33%減(見込値)

 ・再生可能エネルギー

   使用率 13%(見込値)

 ・外部評価

  DJSI*4選定(ワールド、アジアパシフィック)

  CDP*5 Aリスト選定(気候変動、水リスク)等

 ・外部評価

 ・DJSI*4選定

 ・CDP*5気候変動 評価A

 ・CDP*5水リスク 評価A

株主還元

 ・成長への投資を主体としながら、株主還元(自社株買い

  を含む)とのバランスをとる。

 ・連結配当性向

48.9%

 ・連結配当性向を40%以上とする。

*1 ROE=当社株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)

*2 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本

*3 ROA=税引前当期純利益/((期首総資産+期末総資産)/2)

*4 ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ:米国S&Pダウ・ジョーンズ社とスイスのロベコ・サム社によるSRI指標

*5 企業や政府が温室効果ガス排出量を削減し、水資源や森林を保護することを推進する国際的な非営利団体

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、2021年4月30日開催の取締役会で以下の事項を決議し、同日付で株式会社NTTドコモ(以下、「ドコモ」)、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、「ソニー」)、及び株式会社野村総合研究所(以下、「NRI」)との間で、合弁契約及び出資契約を締結した。

(1)当社とドコモ、ソニー、及びNRIとの間で、建設業向けデジタルソリューション(現場可視化デバイス、プラットフォーム、アプリケーション)の開発、提供、保守等を当社の完全子会社である株式会社ランドログ(以下、「ランドログ」)において合弁事業として行うこと(以下、「本合弁化」)

(2)本合弁化に向け、2021年7月1日(予定)を効力発生日として、会社分割(吸収分割)の方法により、ランド
ログに対して当社が有するスマートコンストラクション事業に関する権利義務の一部を承継させた後、ランド
ログが、ドコモ、ソニー、NRIに対して、第三者割当増資を行うこと

本合弁化に伴い、ランドログは社名を「株式会社EARTHBRAIN」に変更する予定である。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表に関する注記26.重要な後発事象」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項 重要な後発事象」に記載のとおりである。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、建設機械・車両、産業機械他の分野において、「品質と信頼性」の追求を基本として、新技術と新商品の研究開発を積極的に推進している。

 当社グループの研究開発体制は、当社のCTO(最高技術責任者)室、開発本部の建設機械・車両関連の研究開発部門及び関係会社の技術部門等からなっており、当連結会計年度の当社グループの研究開発費は73,840百万円である。各事業部門別の研究開発の目的、成果、研究開発費は次のとおりである。

 

(1) 建設機械・車両事業セグメント

 グローバル化に対応した建設機械・鉱山機械・車両の効率的な研究開発をねらいとして、国内外に研究開発拠点を配置し、グローバルな開発体制を敷くとともに、相互の人材交流や共同開発の拡大などを行いながら研究開発活動を推進している。また、「イノベーション」を起こすため、CTO室を窓口として、有望な分野での先進技術を有する国内外の大学、研究所、企業と積極的に協同・連携し、社内のコア技術と外部の知見の融合(オープンイノベーション)による技術革新のスピードアップに取り組んでいる。「安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場」をお客様とともに実現することを目指し、中・長期的な重点テーマとして、以下の分野に取り組んでいる。
<ICT(情報通信技術)>

 情報化技術(最新計測技術・通信技術を活用した機械の位置情報・稼働情報や機械診断情報などのリモート管理技術等)及び制御技術・知能化技術の研究開発を進めている。これらの技術を利用して開発した建設・鉱山機械の制御システムと管理システムは急速に普及しており、建設・鉱山機械の稼働と管理の自動化、効率化が図られ生産性向上に寄与している。また、こうした技術を使い、情報化施工、「KOMTRAX」についても、お客様の視点に立った次世代への展開に向けた活動を推進している。

 施工の自動化、作業精度と作業効率の大幅向上を実現する作業機全自動制御機能搭載ICTブルドーザー、ICT油圧ショベルの開発に加え、建設現場が抱える様々な課題を解決し「未来の現場」を実現させていくためのソリューションを開発、提供していくサービス事業「スマートコンストラクション」は導入地域や規模を拡大した。高精度測量技術の活用や現場のあらゆる情報をICTで繋ぐことで、生産性の大幅な向上と安全な現場を実現する。

 建設現場向けには、デジタルトランスフォーメーションに対応した、オープンプラットフォーム「LANDLOG」、自律、協調など高度化したICT建機、生産技術を活用し施工を最適化する施工シミュレーションの開発を推進している。

 農林業向けには、「スマートコンストラクション」のノウハウを活用し林業全体を効率化するスマート林業の提案や、ICT農業用建機の商品化を目指している。
<環境、省資源、安全>

 エコロジー(環境に優しい)とエコノミー(経済性に優れている)の両立を追求し、お客様に満足いただける優れたモノ作りを行うことを、地球環境基本方針の下に基本理念とし、商品の生産から廃棄・再利用までのライフサイクル全体の環境負荷が最小限になるように努めるとともに、燃費の向上など、経済性にも優れた商品を提供するために、常に技術革新に取り組んでいる。

 燃費向上技術については、CO2排出量削減と経済性の両面から最重要課題として取り組んでいる。ハイブリッドシステム搭載の油圧ショベルは、日本、中国、北米、欧州、中南米、アジア、オセアニア、中近東に導入されており、累計導入台数は5,000台を超えた。

 環境対応については、最新の排出ガス規制(北米:Tier4 Final、欧州:StageⅤ、日本:特定特殊自動車排出ガス2014年基準)に対応した建設機械の市場導入を順次進めている。

 環境負荷物質の低減活動も積極的に展開している。また、環境とは地球環境だけではなく人間への環境も含むという観点から、安全対応や騒音・振動低減、オペレーター作業環境改善、電動化にも積極的に取り組んでいる。

 

 当連結会計年度の主な成果は次のとおりである。

製品区分

機種

油圧ショベル

PC138US-11E0, PC7000-11, PC130-10M0, PC200-10M0, PC138US-11人検知システム

ブルドーザー

D51-24E0, D71-24, D37/39-24, D51/61-24, D275A-6(極寒地仕様)

ホイールローダー

WA200-8E0, WA270/320-8衝突検知警報システム

ダンプトラック

HD1500-8/8E0, 830E-5AT

ユーティリティ(小型機械)

PC78US-11/11E0, PC88MR-11, PW98MR-11E0

フォークリフト

FH100/120/135/160-1, FE25/25H/30-1衝突検知システム, FE25/30-2

自走式破砕機

BR380JG-3E0

林業機械

PC135F-10M0

 

 当事業セグメントの当連結会計年度に係わる研究開発費は65,145百万円である。

 

(2) 産業機械他事業セグメント

 主として、板金鍛圧機械、工作機械及びその他産業機械などに関する研究開発を行っている。

 鍛圧機械では、突発的なプレスライン停止を回避するための予知保全システムの拡販を行いつつ、保全部位の拡大と更なるAIの精度向上を進めている。また、プレス生産ドライブレコーダや、「KOMTRAX」のオプション機能としてプレス機械の使われ方モニタ機能(過負荷モニタ、荷重トレンド、自動タイムスタディ)をリリースした。

 板金機械では、より高速かつ厚板にも対応できるように、「プラズマ切断機TFP/TFPLシリーズ」を3型にモデルチェンジし、販売を開始した。また、パンチング加工機では、従来の300型仕様の「GT3300」に対して、165型仕様の「GT3165」の系列もリリースした。

 工作機械では、マシニングセンター「NH4555Y」のバルブフィニッシュ仕様機を開発し、また、建機・トラック用ディーゼルエンジン加工向けマシニングセンター「NX500」の開発に着手した。

 その他には、半導体露光装置用エキシマレーザー、EUV光源、半導体基板小径加工用エキシマレーザー、半導体製造業向けの高性能温調機器とその要素である高性能サーモモジュール熱交換ユニット、光通信用向けの超小型サーモモジュール及び熱電発電モジュールとそのシステムに関する研究開発などを推進した。

 当事業セグメントの当連結会計年度に係わる研究開発費は8,695百万円である。