文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。
当社グループ(当社及び連結子会社)では、「ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く」ことを存在意義として定義し、これを実現するための基本的な考え方として、「品質と信頼性」を追求し、我々を取り巻く社会とすべてのステークホルダーからの信頼度の総和を最大化することを経営の基本としています。
この経営の基本を実行するための戦略として、中期経営計画を策定し、顧客価値創造を通じたESG課題解決と収益向上の好循環を生み出し、持続的な成長を図ります。
<中期経営計画:「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」>
2022年4月より、3カ年(2022年度~2024年度)の中期経営計画「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」 がスタートしています。
中期経営計画では、「安全で生産性の高い、スマートでクリーンな未来の現場をお客さまとともに実現する」という目指すべき姿に向けて、ダントツ商品(製品の高度化)、ダントツサービス(稼働の高度化)、ダントツソリューション(現場全体の最適化)が三位一体となるダントツバリュー(新たな顧客価値)の創出に取り組みます。
未来の現場の実現に向けては、モノ(機械の自動化・自律化と効率化・低排出カーボン化)とコト(顧客プロセス全体の最適化)の両面でのイノベーションに取り組んでいきます。更に、地球温暖化対策と事業成長の両立を実現するため、未来の現場へのロードマップを策定し、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを経営目標のチャレンジ目標としています。
未来の現場へのロードマップ
<成長戦略3本柱と重点活動>
現中期経営計画では、前中期経営計画から引き続き、サステナビリティを重視し、目指す姿からバックキャスティングを行うとともに、外部環境の変化と経営課題などを踏まえ、成長戦略の3本柱として、①イノベーションによる成長の加速、②稼ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築に取り組んでいます。
成長戦略3本柱
足元の外部環境は、気候変動などのサステナビリティリスクに加え、長期化するウクライナ情勢などの地政学リスク、半導体などの先端技術を巡る経済安全保障リスクや、サイバーセキュリティリスクの増大などにより、不確実性がますます高まっています。
主力の建設・鉱山機械事業の市場環境は、中長期的には、新興国を中心とした人口増や都市化の進展、あるいは、先進国における堅調なインフラ更新投資などにより、緩やかな成長が見込まれますが、短期的には、前述のように、様々な外部環境リスクがあり、需要のボラティリティは高いと見込まれます。
こうした環境の中、当社では、将来に向けて、電動化や自動化・自律化・遠隔操作化、コンポーネントやシステム開発などの技術分野、及びソリューションビジネスやバリューチェーンビジネス、林業機械、坑内掘りハードロックなどの事業分野を成長分野と位置付け、価値創造(イノベーション)のための重点投資を継続していきます。
また、地域・分野特性に応じた商品企画・開発などによる成長市場でのプレゼンス拡大や、内製コンポーネントとIoT(Komtrax)活用の強みを活かしたメンテナンス契約付き延長保証の拡大などのアフターマーケット事業の強化により、既存事業における収益機会を最大化し、収益性の更なる向上を図り、需要変動に左右されにくい事業構造の構築を進めていきます。
これらの活動を下支えする経営基盤については、デジタルトランスフォーメーション(DX)や構造改革の推進、環境変動に強いサプライチェーンの構築などに取り組み、事業運営の効率性の向上及び外部環境リスクへの対応力を高めていきます。この活動の一環として、パンデミックや高まる自然災害リスクへの備えを含めた事業継続性の向上とオペレーションの全体最適の観点から、本社機能の一部を、シナジーの見込める国内の他拠点に移管する取り組みを加速させていきます。また、本社ビルの建て替えを2024年1月から2026年末までかけて行うことを2023年3月の取締役会にて決定しました。グローバル本社として、今後、必要とされる機能や役割を検討し、カーボンニュートラルに向けたCO2排出量の削減やステークホルダーとのコミュニケーション機能の強化、更には、社員の多様な働き方を前提に、イノベーションを生み出す職場環境の改善に取り組んでいきます。
成長戦略における主な重点活動の当期実績と次期以降の課題
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成長戦略の3本柱 |
主な活動事例 |
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1.イノベーションによる 成長の加速 |
当期の主な実績 |
・DXスマートコンストラクション:新アプリケーションの導入(SC Simulation, SC Quick 3D) ・無人ダンプトラック運行システム(AHS)の市場導入台数:累計643台 ・顧客現場における大型ICTブルドーザーの遠隔操作・自動運転トライアルを開始 ・建設機械見本市(ドイツ、アメリカ)に、20トンクラスの電動ショベルなどを出展 ・コマツNTC㈱、国内電池メーカーより、車載電池製造装置を初受注 |
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次期以降の課題 |
・スマートコンストラクションの海外展開の加速 ・鉱山用オープンテクノロジープラットフォームを活用したビジネス展開 ・電動化建機の本格的な市場導入 ・森林管理ソリューションビジネスの確立 ・コマツNTC㈱における車載電池製造装置事業の強化 |
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2.稼ぐ力の最大化 |
当期の主な実績 |
・アジアを中心とした都市土木仕様の油圧ショベル(CEシリーズ)の拡販 ・メンテナンス契約付き延長保証の拡大とアフターマーケット事業の伸長 ・スウェーデン・Bracke社を買収(植林アタッチメントメーカー) ・豪マインサイトテクノロジーズ社を買収(坑内掘り鉱山向けソリューションプロバイダー) ・独GHH社の買収を決定(坑内掘り鉱山機械) ・チリ・コデルコ社と「マイニングTBM」のトライアル実施に合意 ・ギガフォトン㈱、新生産棟の建設開始 |
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次期以降の課題 |
・戦略地域の特性に応じた商品戦略の推進 ・林業機械事業、坑内掘りハードロック事業の一層の強化 ・次世代KOMTRAXを活用したビジネスモデルのグローバル展開 ・リマン・リビルド事業の強化 |
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3.レジリエントな 企業体質の構築 |
当期の主な実績 |
・クロスソーシング、マルチソーシングの展開 ・坑内掘り石炭(ソフトロック)向け事業の構造改革:中国生産拠点の一部売却 ・CSIRT構築による情報セキュリティ体制の強化 ・ダイバーシティ&インクルージョンに関する教育・啓蒙活動の推進 ・AI及びDX人材育成の推進 |
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次期以降の課題 |
・クロスソーシング、マルチソーシングの一層の展開によるサプライチェーンの強化 ・構造改革の継続 ・DX推進による業務改革 ・リスクマネージメント体制の強化 ・グローバルなブランド戦略の展開、社員エンゲージメント向上施策の推進 |
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<成長戦略を通じたESG課題解決>
当社は、サステナビリティ基本方針に基づき、事業活動を通じて社会に貢献していくことを目指しています。中期経営計画では、持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」17のゴールの中から、当社グループの重要課題(マテリアリティ)と特に関連性の高い10のゴールを選定しました。
更に、成長戦略3本柱を通じたESG課題解決を着実に遂行していくために、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定し、その達成状況を把握し、統合報告書で開示していきます。
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SDGsとの関係 |
マテリアリティ(重要課題) |
ESG課題の解決に向けた活動テーマ(主なKPI) |
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人 と 共 に |
ジェンダー 平等
パートナー シップ |
働きがいと 経済成長
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不平等を なくす
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[社員][人権] ・労働安全衛生 ・エンゲージメント向上 ・D&I推進 ・能力開発 ・人権の尊重 |
安全で安心して働ける職場環境づくり (労働災害関連指標) |
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社員エンゲージメントの向上 (エンゲージメントサーベイスコア) |
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ダイバーシティ&インクルージョンの推進 (女性、障がい者比率) |
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個人の能力開発と事業成長の実現(DX・AI人材教育) |
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人権デューデリジェンスの推進(実績開示) |
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社 会 と 共 に |
産業と 技術革新
パートナー シップ |
まちづくり
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つくる・ つかう責任
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[顧客][倫理・統治] [地域社会] ・ソリューション提供 ・製品安全・品質 ・ガバナンス ・コンプライアンス ・地域社会への貢献 |
スマートコンストラクション推進による建設現場の 生産性向上(導入現場数) |
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持続可能な資源開発を実現する製品・ソリューションの提供(AHS累積導入台数) |
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顧客現場の安全性・生産性向上ソリューション:技術開発 (自動化、安全装置 開発ステージ) |
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環境・需要変動に対応力のあるバリューチェーンの構築 (アフターマーケット事業:売上伸び率、マルチソーシング比率) |
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ガバナンスの充実、コンプライアンスの徹底(実績開示) |
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地 球 と 共 に |
クリーン エネルギー
気候変動 への対策 |
産業と 技術革新
陸の豊かさ
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つくる・ つかう責任
パートナー シップ |
[環境] ・低炭素・環境負荷低減へのソリューション開発 ・資源循環 ・エネルギー使用量の低減 ・事業を通じた森林保全への貢献 |
地球環境負荷ゼロ向上(CO2低減、再エネ使用、水使用量) |
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顧客現場におけるCO2排出削減 (製品使用のCO2低減、電動化建機開発) |
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持続可能な循環型林業を支援するソリューション提供 (林業機械事業関連指標:売上伸び率、植林、スマート林業等) |
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循環型ビジネス(リマン)の促進 (リマン事業:売上伸び率) |
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<中期経営計画の経営目標>
経営目標については、業界トップレベルの「成長性」、「収益性」、「効率性」、「健全性」とともに、「ESG」の経営目標を掲げています。「株主還元」については、成長戦略への重点投資を優先しながら、引き続き安定的な配当の継続に努め、連結配当性向を40%以上とします。
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項目 |
経営指標 |
経営目標 |
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成長性 |
・売上高成長率 |
・業界水準を超える成長率 |
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収益性 |
・営業利益率 |
・業界トップレベルの利益率 |
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効率性 |
・ROE*1 |
・10%以上 |
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健全性 |
・ネット・デット・ エクイティ・レシオ*2 |
・業界トップレベルの財務体質 |
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リテール ファイナンス事業 |
・ROA*3 ・ネット・デット・ エクイティ・レシオ*2 |
・1.5%-2.0% |
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・5倍以下 |
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ESG |
・環境負荷低減 |
・CO2排出削減:2030年50%減(2010年比) 2050年カーボンニュートラル(チャレンジ目標) ・再生可能エネルギー使用率:2030年50% |
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・外部評価 |
・DJSI*4選定(ワールド、アジアパシフィック) ・CDP*5 Aリスト選定(気候変動、水リスク) |
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株主還元 |
・連結配当性向 |
・成長への投資を主体としながら、株主還元(自社株買いを含む)とのバランスをとる |
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・連結配当性向を40%以上とする |
*1 ROE=当社株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)
*2 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本
*3 ROA=セグメント利益/((期首総資産+期末総資産)/2)
*4 ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ:米国S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が提供するESG投資指標
*5 企業や政府が温室効果ガス排出量を削減し、水資源や森林を保護することを推進する国際的な非営利団体
当社は、従来より、ESGを重視した経営を行うことを宣言し、安全に配慮した高品質・高能率な商品・サービス・ソリューションの提供など、事業活動を通じたESG課題の解決を目指してきました。今後も、世界的な気候変動や様々な外部環境の変化に柔軟に対応し、サステナビリティ課題の解決を目指します。
<サステナビリティ基本方針の策定>
当社は、事業活動を通じた社会貢献を基本的な姿勢としており、2021年4月に100周年を機に、当社グループの「コーポレートアイデンティティー」を定め、当社の存在意義を「ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く」として明文化しました。この存在意義の下、気候変動や社会の要請に対して誠実に対応する姿勢を明示し、更なるサステナビリティ経営の推進を目指すため、2021年12月に「サステナビリティ基本方針」を策定しました。今後も、本方針に掲げたとおり、持続可能な社会の実現と事業の成長のために重要な課題に取り組むことにより、ESG課題の解決と収益の向上の好循環を加速し、SDGsの達成に貢献していきます。
・サステナビリティ基本方針:https://komatsu.disclosure.site/ja/themes/201
(1) ガバナンス
<サステナビリティの推進体制>
2021年4月、当社はグループのサステナビリティ経営推進に関する業務を統括する社長直轄の組織「サステナビリティ推進本部」を新設しました。社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を年2回(ほか必要時)開催し、グループ全体にわたるサステナビリティ推進に関する方針や施策の立案と推進状況を審議・決定し、その実施を促進しています。更にサステナビリティ推進委員会における検討内容は取締役会に報告し、審議を受けています。
① 気候変動に関するガバナンス(TCFD提言に基づく情報開示)
当社は、気候変動への対応を重要な経営課題の一つとして事業戦略上の目標に織り込んでおり、サステナビリティ推進委員会・リスク管理委員会が委員会ごとに気候変動に関する議論を行い、戦略検討会へ提言・取締役会に報告することで、適切に監督される体制を整備しています。また、執行役員ミーティングは、目標に関する進捗管理の機能を果たしています。
② 人材の育成に関するガバナンス
当社は、社長を委員長とする「コマツウェイ推進委員会」を年2回(ほか必要時)開催し、グループ全体の人事、労務、教育・人材育成、福利厚生、安全健康管理に関する方針及び重要な施策の審議・決定とその実施を促進しています。更にコマツウェイ推進委員会における検討内容は取締役会に報告し、審議を受けています。
上記のサステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続きに関する詳細は、
https://www.komatsu.jp/ja/-/media/home/ir/library/annual/ja/2022/kmt_kr22j_print.pdf
当社のコーポレート・ガバナンスの概要については、
(2) 戦略
近年、外部環境が大きく変化し、不確実性がますます高まるなか、デジタルトランスフォーメーションやカーボンニュートラル、ダイバーシティ&インクルージョンなどの潮流をビジネス機会と捉え、持続可能な成長基盤を整備するとともに、事業を通じた課題解決による社会貢献を実現していくことが課題と考えています。このような課題認識を踏まえ、当社では中期経営計画の策定に先立つ2020年度に外部環境の変化と事業リスクへの対応力を強化するため、マテリアリティの見直しを実施しました。中期経営計画における成長戦略の考え方である、ESG課題解決と収益向上の好循環を生み出すために、こうした分野への活動を成長戦略の中にも反映させています。
① 気候変動に関する戦略(TCFD提言に基づく情報開示)
短期、中期及び長期にわたり当社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会の重要な項目の一つである気候変動関連については、主に建設・鉱山機械を対象に、TCFDによる提言最終報告書に記載のリスクと機会の例を参照し、16のリスク・機会を抽出しています。次に、売上げや収益などへ影響する内的要因及びシナリオ下で想定される外的要因で評価したうえで、重要な4つのテーマとして、「資源需要の変化」「低炭素製品への移行」「製造コスト」「自然災害」にグルーピングしています。
気候変動のリスクと機会が当社に与える影響を計るため、上述の4つのテーマに対してシナリオ分析を実施しています。
4つのテーマに関するリスクと機会、それに対する戦略は下表のとおりです。
重要な4つのテーマ
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テーマ |
リスク |
機会 |
戦略 |
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資源需要の変化 |
・化石燃料発電への規制 ・石炭生産量は大幅に減少 ・当社グループの石炭顧客向け売上げの減少 ・石炭鉱山への投資意欲の減少 |
・化石燃料で動く機械が電動化へ急速に転換 ・電動化(モーター、バッテリー、燃料電池など)に必要な銅などの需要が増加 ・電動化が進み、当社グループの銅鉱山や銅関連顧客向け売上げが増加 ・鉱山の効率化のための投資が増大 |
中期経営計画の成長戦略3本柱「イノベーションによる成長の加速」「稼ぐ力の最大化」「レジリエントな企業体質の構築」の推進により、資源需要の変化がもたらす機会を開拓し、持続的成長を実現する |
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低炭素製品への移行 |
・低排出規制による開発・設備投資コスト増加 ・顧客の電動化要望に対応できない場合の売上げ減少 ・技術開発と競争軸の急激な変化、新規競争者の参入 ・顧客主導により駆動コンポーネントが開発・製造されるようになり、長期的な技術優位性の低下 |
・電動・低燃費・バイオ燃料機械の需要増大により売上げが増加 伝統市場の変化に対応することによりいずれ来る戦略市場の変化にも迅速に対応できる ・循環経済への移行で再生(リマニュファクチャリング)事業が拡大 ・低炭素化に効果があるソリューションビジネスの需要が増加 ・蓄電池など高品質なコンポーネントを安定供給できる調達先を確保することで製品の信頼性が高まる |
カーボンニュートラルを達成するための活動を実施し、世界が求める低炭素製品への移行に応える |
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製造コスト |
・化石燃料、排出CO2に対し課税 ・購入品価格上昇 ・CO2排出量が少ない生産設備への投資によるコスト増加 |
・CO2排出量を削減する生産技術で競争力向上 |
CO2削減目標や再エネ目標達成でコスト上昇緩和 環境負荷の低い生産工場を実現 |
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自然災害 |
・異常気象による大雨・洪水の頻度増加 ・洪水リスクが高い当社グループ工場の被災リスク ・サプライヤーが被災した際の部品供給遅れ |
・治水工事等の需要増加 |
バリューチェーン全体で大雨・洪水対策を行う(物理リスクに対応) |
② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当社では、グローバルに発展し、持続的に成長していくため、文化や習慣の異なる全世界の社員が共有すべき価値観として「コマツウェイ」を2006年に明文化し、世界中の社員への浸透を図っています。この活動を土台としながら、人材育成に関する取り組みを継続しています。
また、中期経営計画では、成長戦略における重点活動として「多様性に富む人材基盤の充実化」を掲げ、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」「多様な能力開発機会の提供とエンゲージメントの向上」「デジタル人材、オープンイノベーション推進人材の育成」をはじめとした施策の展開を進め、人材育成をはじめとした人的資本への取り組みを加速させていきます。
(i) ダイバーシティ&インクルージョンの推進
多様な人材がお互いの個性や能力を認め合い、活かし合うことができる環境の実現が、イノベーションの創出、ひいては会社全体の成長につながっていくものと考え、継続して「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」に取り組んでいます。
社員の外国籍比率が約7割にのぼるなか、現地法人ではナショナル社員(現地社員)がトップマネジメントとして経営を担っています。そのなかでも主要な海外現地法人のトップを「グローバルオフィサー」に任命し、地域のトップとしてだけではなく、当社グループの経営幹部としての責務を負う体制とし、更に当社グループの経営の中核を担う人材を当社の執行役員として任命しています。
ジェンダー・ダイバーシティ推進の取り組みでは、中期経営計画のなかでグローバルKPIを掲げ、女性の積極的な採用、育成、キャリア継続のための環境整備などといった諸施策を進めています。これまでの取り組みを踏まえ、2022年度には「令和4年度なでしこ銘柄(※)」に選定されました。(※全上場会社約3,700社、17業種より各1社が選定)
また、多様性に富む人材基盤の充実化を進めていくうえで、経験者採用社員の獲得・活躍も重要な取り組みであると考え、今後更に積極的な採用を進めていくとともに、中核人材としての活躍も促進していきます。
(ii) 多様な能力開発機会の提供とエンゲージメント向上
当社では、各分野でのプロフェッショナルになるための教育の充実、各階層に求められる知識やスキル習得の支援など、多様な能力開発機会の提供に取り組んでいます。次世代リーダー層の育成においては、国内・海外の主要ポジションを「グローバルキーポジション」として位置づけてサクセッションプランを策定し、グローバルでの計画的な育成プログラムを展開しています。更に、社員の主体的なチャレンジ・自律的なキャリア形成を支援するため、「CDP(Career Development Program)」を2023年度から展開し、各種人事施策と社員のキャリア形成支援の連携・連動を高めていきます。
また、社員エンゲージメントの向上は、会社の持続的な成長に欠かせないものと考え、全世界の社員を対象にグローバルエンゲージメントサーベイを実施し、地域・組織ごとの強み・課題を反映した人事諸施策の整備に取り組んでいます。今後も継続的に社員エンゲージメントを把握・分析することで、刻々と変化する課題に対応しながら、社員一人ひとりが、よりいきいきと活躍できる環境の実現を目指していきます。
(iii) デジタル人材/オープンイノベーション推進人材の育成
デジタル人材の育成について、2019年度からスタートした「AI人材教育」に加え、2022年度には「DX人材教育」を国内でスタートし、基礎知識習得をねらいとした入門教育から、業務やプロジェクトでの実践による課題解決を目指した実践教育まで、社員のレベルに応じたカリキュラムを設け、人材の育成を推進しています。「DX人材教育」の入門教育では、DX概論講義動画を全社員向けに公開するなど、より幅広い社員のリスキリングにもつながる取り組みを展開しています。
また、オープンイノベーション推進人材の育成について、産官学連携をより加速させるため、社内・社外のプログラムの実施・活用などを進めています。ダントツ商品はもちろんのこと、お客様へのダントツサービス、ダントツソリューションの実現を担う人材の育成に向けた取り組みを、今後も継続的に進めていきます。
上記の戦略に関する詳細は、
https://www.komatsu.jp/ja/-/media/home/ir/library/annual/ja/2022/kmt_kr22j_print.pdf
(3) リスク管理
<リスク管理体制>
当社グループでは、事業の継続と安定的発展を確保していくことをリスク管理の基本方針とするとともに、リスクを適切に認識し、管理するための規程として「リスク管理規程」を定めています。リスクが顕在化した時の対応体制・ルールやリスク項目及び各リスク項目の主たる責任部門を明示した「リスク管理基本マニュアル」の定期的な見直しを実施することで、常に変化し続ける企業環境とリスクに適応できる管理体制づくりに取り組んでいます。また、リスク管理に関するグループ全体の方針の策定、リスク管理体制の見直し、個別リスクに対する対策実施状況の点検・フォロー、リスクが顕在化したときのコントロールを行うために、「リスク管理委員会」を設置しており、審議・活動の内容を定期的に取締役会に報告しています。
また、新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ情勢のような重大なリスクが顕在化したときには緊急対策本部を設置し、被害を最小限に抑制するための適切な措置を講じています。コーポレート・ガバナンスやコンプライアンス、気候変動リスク、自然災害リスクへの対応、反社会的勢力取引根絶のための仕組みづくりは、いずれも大変重要な課題であり、継続的な活動に取り組んでいます。
上記のリスク管理に関する詳細は、
https://www.komatsu.jp/ja/-/media/home/ir/library/annual/ja/2022/kmt_kr22j_print.pdf
(4) 指標及び目標
① 気候変動に関する方針の指標及び当該指標を用いた目標
当社は、気候変動関連の指標及び目標として、経営指標に環境負荷低減を掲げ、具体的には以下の経営目標を掲げています。
・CO2排出削減 2030年 50%減(2010年比)、2050年 カーボンニュートラル(チャレンジ目標)
・再生可能エネルギー使用率 2030年 50%
また、当社は、上記「(2)戦略」において記載した、気候変動に関する戦略について、中期経営計画として、次の指標を用いています。当該指標に関する目標は次のとおりです。
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方針 |
指標(KPI) |
目標(2024年度) |
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地球環境負荷ゼロ工場の実現 |
生産によるCO2削減率 |
2010年比△45% |
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再生可能エネルギー使用比率 |
20% |
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顧客現場におけるCO2排出削減 |
製品使用によるCO2排出量の削減率 |
2010年比△24% |
※上記の指標及び目標に関する詳細及び実績については、
https://www.komatsu.jp/ja/-/media/home/ir/library/annual/ja/2022/kmt_kr22j_print.pdf
https://sustainability-cms-komatsu-s3.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/jp/csr/pdf/KOMATSUCSR2022_j.pdf
② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針の指標及び当該指標を用いた目標
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、中期経営計画として、次の指標を用いています。当該指標に関する目標は次のとおりです。
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方針 |
指標(KPI) |
目標(2024年度) |
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ダイバーシティ&インクルージョンの推進 |
女性管理職比率 |
13.0%以上 |
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女性正社員比率 |
17.0%以上 |
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障がい者雇用率 |
毎年2.5%以上 |
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多様な能力開発機会の提供とエンゲージメント向上 |
サクセッションプラン |
海外グループ各社経営幹部層へのサクセッションプラン拡大 |
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エンゲージメントサーベイスコア ※スコアは好意的回答の比率 ※サーベイは隔年実施 (次回2023年度実施予定) |
・グローバル:85以上 ・国内:75以上 (※2023年度目標) |
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デジタル人材/オープンイノベーション推進人材の育成 |
DX、AI人材の育成 |
教育受講者数(3年累計) ・DX人材 実践180人/入門900人 ・AI人材 実践30人/入門90人 |
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スマートコンストラクション・ コンサルタント育成 |
1,000人(累計) |
※特に記載がない限り、当社グループ連結による目標です。
※人的資本に関する指標等に関する詳細は、
※2022年度実績及び詳細については、7月更新予定の
当社グループは開発・生産・販売等の拠点を世界各国に設け、グローバルに事業を展開しています。当社グループを取り巻く経営環境において、現在予見可能な範囲で考えられる主な事業等のリスクは次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。
1.経済、市場の状況
当社グループのおかれる事業環境や製品の需要は、地域により異なる経済・市場環境、政治・社会情勢及び競争条件等により、大きく変動する可能性があります。
当社グループの事業は、先進国市場においては総じて景気循環的な産業であり、住宅着工、工業生産水準、インフラへの公共投資、民間設備投資等の、当社グループにとってコントロール不能な要因が当社グループ製品の需要に影響を与える可能性があります。新興国市場においては、需要動向について常に注意を払っていますが、資源需要や資源価格の変動、通貨価値の急激な変動等、不安定な要因を多分にもっており、この変化が当社グループの経営成績に不利益な影響を与える可能性があります。また、当社の予期せぬ方向に世界的規模で同時に経済・市場環境が急激に変化した場合は、更に受注の減少、顧客によるキャンセルの増加、債権回収の延滞等が発生する可能性があります。
これらの事業環境の変化が、売上高の減少、在庫水準・生産能力の不適正化を生じさせ、収益性の低下や追加費用の発生を通じて、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
2.為替レートの変動
当社グループの海外売上高の主要な部分が外国為替の変動の影響を受けます。通常は他の通貨に対して円高になれば当社グループの経営成績にマイナスの影響を及ぼし、円安になればプラスの影響を及ぼします。また、外国為替の変動は同一市場において当社グループと外国企業が販売する製品の相対的な価格や、製品の製造に使用する材料のコストに影響を与える可能性があります。これに対し当社グループでは、グローバルに生産拠点を配置して生産を行うなど、このリスクを軽減するよう努めています。また、当社グループは短期の為替変動の影響を最小にするためヘッジ取引も行っています。しかし、為替レート水準の予期せぬ変動は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
3.金融市場の変動
当社グループは資産の効率化を進めていますが、金融機関からの借入や、社債の発行等による有利子負債があります。長期の固定金利調達を織り交ぜることにより金利変動リスクの影響を軽減していますが、市場金利の上昇は有利子負債の支払利息を増加させ、当社グループの利益を減少させるリスクがあります。また、当社グループの年金資産に関しては、定期的に運用状況の評価やポートフォリオの見直しを行っていますが、市場性のある証券の公正価値や金利など金融市場における変動が年金制度の積立不足金額や債務を増加させ年金費用の増加となり、当社グループの経営成績や財政状態に不利益な影響を与えるリスクがあります。
4.各国の規制
当社グループが事業を展開する各国において、各種規制や承認手続き等の影響を受けます。将来、それらの国における規制、例えば関税、輸出入規制、通貨規制、その他各種規制等が導入又は変更されたときに、これらに対応するための費用の発生及び製品の開発、生産、販売・サービス活動等に支障をきたす可能性があります。また、グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される日本及び相手国の移転価格税制を順守するよう細心の注意を払っていますが、税務当局から取引価格が不適切であるなどの指摘を受ける可能性があります。更に政府間協議が不調となるなどの場合、結果として二重課税や追加課税を受ける可能性があります。これらの予期しない事態に直面した場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
5.環境規制・気候変動関連等
当社グループの事業、製品は多くの国のますます厳しくなる環境規制に対応する必要があります。また、世界では気候変動の要因とされる温室効果ガスの削減への取り組みが進められています。そのため、当社グループは各国においての環境規制及び関連法規等を順守するため、また、気候変動への対応のため、研究開発費をはじめ多くの経営資源を投入しています。しかし、将来において環境規制の変更や、気候変動の影響により、当社グループにとって更に多くの費用や設備投資が必要になった場合、あるいは製品の開発、生産、販売・サービス活動等に支障をきたした場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
6.製造物・品質責任
当社グループの提供する製品は、社内で確立した厳しい基準のもと、品質と信頼性の維持向上に努めています。万が一、予期せぬ製品の設計・製造に起因する不具合で事故等が発生した場合には、リコール等の改善措置を行っていますが、損害に対する賠償等の発生や、当社グループの評判・信用失墜により当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
7.提携・協力・企業買収等
当社グループは国際的な競争力を強化するために、様々なビジネスパートナーとの提携・協力や企業買収等を行っており、それらを通じて製品の開発、生産、販売・サービス体制の整備・拡充、ソリューションビジネスの展開を図っていますが、その期待する効果が得られない場合、あるいは提携・協力関係が解消された場合には、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
8.調達・生産等
当社グループの部品・資材の調達は、素材市況やエネルギー価格の変動に影響を受けます。鋼材等の素材価格や原油・電力等のエネルギー価格の高騰は当社グループ製品の製造原価の増加をもたらします。また、部品・資材の品薄、調達先の倒産あるいは生産打ち切り、多国間での輸出入規制、国際輸送の混乱等により、適時の調達・生産が困難になり生産効率の低下や販売機会を逸する可能性があります。材料費の増加等による製造原価の上昇については原価低減や販売価格の見直し等によって対応し、適時の調達・生産の問題については、調達先の複数化と生産体制の相互供給化、安全在庫の保有、関係各部門の連携による生産管理の強化等により影響を最小限にする考えですが、グローバルサプライチェーンの混乱、予期せぬ素材やエネルギー価格の高騰や供給の逼迫の長期化は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
9.情報セキュリティ・知的財産等
当社グループはグローバルな事業活動において顧客情報・個人情報等を入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しています。これらの情報の保管に加え、当社グループの様々な業務を遂行するために社内外のシステムを利用しています。当社グループはこれらの情報の機密保持及びシステムの安定稼働に細心の注意を払っており、コンピューターウィルスへの感染、サイバー攻撃等による不正アクセス、改ざん、破壊、漏洩及び滅失等を防ぐため、管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じています。しかし、顧客情報・個人情報等の漏洩・滅失等の事故が起きた場合には、損害賠償責任を負ったり、当社グループの評判・信用に悪影響を与えたりするなどのリスクがあります。また、想定を超えた地震・火事などの災害や電源設備の障害等により当社グループが利用する社内外のシステムが停止するリスクもあります。サイバー攻撃やなりすまし等の不正行為の脅威は益々高まっており、当社グループもしくは当社の主要サプライヤーにて被害が発生した場合は重要な業務の中断による生産や販売への影響を与えるリスクがあります。また、営業上・技術上の機密情報が漏洩・滅失した場合もしくは第三者に不正利用された場合、知的財産権を侵害された場合、当社グループが第三者により知的財産権の侵害を追及された場合は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。更には、サイバー攻撃が高度化すると、情報セキュリティ対策強化のためのコストが増加するリスクがあります。
10.自然災害・事故・感染症等
当社グループの拠点において、地震・津波・水害等の自然災害、感染症の流行、放射能汚染、暴動、火災・爆発等の災害事故、第三者による当社グループに対する非難・妨害が発生し、短期間で復旧不可能な甚大な損害を被る可能性があります。また、当社グループが直接の損害を受けなくとも、物流網及び供給網の混乱、電力・ガス等の供給不足や通信障害、協力企業の生産障害等が長期にわたり継続する可能性があります。当社グループではこれらのリスクの顕在化に備え、事業継続計画の策定及び訓練等を行っており、重大リスクが顕在化した場合は、緊急対策本部を設置し、被害を最小限にするための適切な措置を講じます。
11.戦争・テロ・地政学リスク
当社グループは開発・生産・販売等の拠点を世界各国に設け、グローバルに事業を展開しており、特定地域における社会的、政治的、軍事的な緊張の高まりは、当社の事業へ影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、多様化する地政学リスクがもたらす資源価格変動や輸出入規制、サプライチェーンへの影響等を最小限にすべく、各国の政治・経済情勢や法規制の動向を確認し、状況の分析及び対応を行っています。特に、ウクライナ情勢に関して、当社グループを取り巻くサプライチェーンの混乱は深刻化し、金融・経済への影響が生じていますが、当社では危機管理方針に沿って、緊急対策本部を発足させ、社員とその家族の安全の確保、各国の輸出規制への対応を実施しています。
また、他地域においても、世界の更なる政治的分断により各国の規制が強化される可能性があります。当社グループでは、経済安全保障推進法を始めとする経済安全保障関連・諸規制の動向への対応として、経済安全保障担当執行役員を任命し、情報の収集と分析にあたっています。しかし、予期しない事態に直面した場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況は次のとおりです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 概要
当連結会計年度の連結売上高は、3,543,475百万円(前連結会計年度比26.4%増)となりました。利益については、営業利益は490,685百万円(前連結会計年度比54.8%増)となりました。売上高営業利益率は前連結会計年度を2.5ポイント上回る13.8%となりました。税引前当期純利益は、476,434百万円(前連結会計年度比46.8%増)、当社株主に帰属する当期純利益は326,398百万円(前連結会計年度比45.1%増)となりました。
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2022年度 |
前連結会計年度比 |
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|
売上高 |
3,543,475 |
百万円 |
26.4% |
増 |
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建設機械・車両 |
3,296,566 |
百万円 |
28.6% |
増 |
|
リテールファイナンス |
85,630 |
百万円 |
19.2% |
増 |
|
産業機械他 |
190,941 |
百万円 |
1.4% |
増 |
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消去 |
△29,662 |
百万円 |
|
- |
|
セグメント利益 |
493,514 |
百万円 |
56.4% |
増 |
|
建設機械・車両 |
443,603 |
百万円 |
60.9% |
増 |
|
リテールファイナンス |
27,267 |
百万円 |
58.5% |
増 |
|
産業機械他 |
22,586 |
百万円 |
0.0% |
減 |
|
消去又は全社 |
58 |
百万円 |
|
- |
|
営業利益 |
490,685 |
百万円 |
54.8% |
増 |
|
税引前当期純利益 |
476,434 |
百万円 |
46.8% |
増 |
|
当社株主に帰属する当期純利益 |
326,398 |
百万円 |
45.1% |
増 |
② 為替レート変動の影響
当連結会計年度は前連結会計年度に比較し、為替レートが米ドル、ユーロ、豪ドル等に対して円安に推移しました。為替レートの変動により、建設機械・車両事業のセグメント利益は前連結会計年度比で約1,330億円増加したと試算されます。為替レート変動の影響は、各社の外貨建取引額に各為替レートの変動を乗じて算出した金額の合計として試算されています。為替レート変動に対応した販売価格変更の影響は考慮していません。
③ 売上高
売上高は前連結会計年度の2,802,323百万円と比較して26.4%増加の3,543,475百万円となりました。国内売上高は前連結会計年度の389,085百万円と比較して5.2%増加の409,414百万円、海外売上高は前連結会計年度の2,413,238百万円と比較して29.9%増加の3,134,061百万円となりました。
④ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度比23.8%増加して2,504,449百万円となりました。売上高に対する比率は70.7%と前連結会計年度比で1.5ポイント減少しました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比17.6%増加して545,512百万円となりました。
なお、売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、前連結会計年度比17.0%増加して906億円となりました。
⑤ 長期性資産等の減損
長期性資産等の減損は、前連結会計年度の1,372百万円と比較して4,149百万円増加の5,521百万円となりました。当連結会計年度の長期性資産等の減損は、主として有形固定資産及び非償却無形固定資産の減損によるものです。
⑥ その他の営業収益
その他の営業収益は、前連結会計年度の2,851百万円の収益に対し2,692百万円の収益となりました。
⑦ 営業利益
営業利益は以上の結果、前連結会計年度の317,015百万円と比較して54.8%増加の490,685百万円となりました。
⑧ その他の収益(△費用)
受取利息及び配当金は、前連結会計年度の5,332百万円と比較して7,119百万円増加の12,451百万円となりました。支払利息は、前連結会計年度の12,222百万円と比較して20,149百万円増加の32,371百万円となりました。
⑨ 税引前当期純利益
税引前当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の324,568百万円と比較して46.8%増加の476,434百万円となりました。
⑩ 法人税等
法人税等は、前連結会計年度の92,578百万円と比較して42,969百万円増加の135,547百万円となりました。税引前当期純利益に対する法人税等の比率(実効税率)は、前連結会計年度並みの28.5%となりました。法定税率31.3%と実効税率28.5%との差異は、海外子会社の適用税率の差異等によるものです。
⑪ 持分法投資損益
持分法投資損益は、前連結会計年度の5,258百万円の利益と比較して32百万円増加の5,290百万円の利益となりました。
⑫ 当期純利益
当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の237,248百万円と比較して108,929百万円増加の346,177百万円となりました。
⑬ 非支配持分に帰属する当期純利益
非支配持分に帰属する当期純利益は、コマツカミンズチリ㈲やコマツオーストラリア㈱等の当期純利益が増加したことから、非支配持分に帰属する部分が増加し、前連結会計年度の12,321百万円と比較して7,458百万円増加の19,779百万円となりました。
⑭ 当社株主に帰属する当期純利益
当社株主に帰属する当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の224,927百万円と比較して45.1%増加の326,398百万円となりました。1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の237.97円から345.22円となりました。潜在株式調整後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の237.92円から345.18円となりました。
⑮ セグメント利益の状況
(セグメント利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。)
建設機械・車両事業のセグメント利益は、資材価格や物流コスト上昇の影響はあるものの、販売価格の改善や円安の影響により、前連結会計年度の275,768百万円と比較して167,835百万円増加の443,603百万円となりました。
リテールファイナンス事業のセグメント利益は、円安や貸倒引当金の減少の影響などにより、前連結会計年度の17,199百万円と比較して10,068百万円増加の27,267百万円となりました。
産業機械他事業のセグメント利益は、世界的に半導体需要が増加し、エキシマレーザー関連事業の売上が好調に推移したものの、資材価格の上昇や、自動車産業向けの大型プレスの売上が減少したことから、前連結会計年度の22,595百万円と比較して9百万円減少の22,586百万円となりました。
これらに、全社及びセグメント間取引消去を差し引いたセグメント利益(連結)は、前連結会計年度の315,536百万円と比較して177,978百万円増加の493,514百万円となりました。
なお、セグメント利益(連結)は米国会計基準に則っていませんが、財務諸表利用者に有益な情報を提供するために表示しています。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権や棚卸資産が増加したものの、当期純利益などにより、206,474百万円の収入(前連結会計年度比94,496百万円の収入減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の購入などにより、169,518百万円の支出(前連結会計年度比25,949百万円の支出増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、66,613百万円の支出(前連結会計年度は93,868百万円の支出)となりました。
各キャッシュ・フローの合計に為替変動の影響を加えた結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ25,385百万円減少し、289,975百万円となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の実績については、「2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」における各事業の種類別セグメント業績に関連付けて示しています。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。作成にあたって当社のマネジメントは、知り得る限りの情報に基づいて妥当であると考えられる見積りや判断を継続して実施しています。これらの見積りや判断は、連結財務諸表において、決算日の資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値及び偶発資産・債務の開示情報に影響を与えます。これらの見積りや判断は、当社グループの過去からの経験、既存の諸契約の内容、業界動向の分析、顧客からの情報、その他の外部からの情報に基づいているものですが、その性質上、内在する不確実性の度合いが影響するため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。当社の重要な会計方針は、連結財務諸表注記1に記載されています。
ウクライナ情勢に起因するサプライチェーンや金融・経済の混乱等が当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響については、収束時期等が不透明であるものの、現時点で入手可能な情報や予測に基づき、今後も一定程度当該影響が継続すると仮定しています。会計上の見積りの中でも比較的重要性のある貸倒見積額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断、長期性資産及び営業権の減損の判定については、当該仮定を含んだ最善の見積りを行っていますが、今後の実際の推移が当該仮定と乖離する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表等に重要な影響を及ぼすと考えています。
① 貸倒引当金
当社グループは、それぞれの顧客の財務状態等を含む多くの要素を考慮して最終的な実現可能性を判定し、債権の回収可能性を推定しています。
当社グループは、過去の実績を含む顧客の信用情報をもとに、貸倒れが発生すると推定される金額の引当金を計上しています。顧客の信用状況は継続的に内外の情報を入手して分析を行い把握しています。特にリテールファイナンス事業の金融債権は回収が長期間に及ぶうえに、貸倒見積額の算定及び担保による回収可能見込額の算定には不確実性が伴うことから、顧客ごとの信用状況や期日未回収債権の状況調査及び担保となる資産の市場価格調査を行い、入手可能な情報に基づいて最善の見積りを行っています。これまで実際に発生した貸倒れは、当社グループが予測し、計上した引当金の範囲内であり、当社のマネジメントは、当社グループの見積りが妥当であると考えていますが、債権の種類の構成が変化したり、予見できない大きな経済環境の変動により顧客の財務状態に変化が生じるような場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
詳細は、連結財務諸表注記4に記載されています。
② 法人税等と繰延税金資産
当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、各構成単位で納税地の税法に基づいて法人所得税・未払法人税の見積りを行っています。また、繰越欠損金や税務上と会計上の取扱いの違いにより生じる一時差異については、税効果計算を実施し、連結貸借対照表に繰延税金資産・負債を計上しています。
繰延税金資産の計上にあたっては、これらが将来の課税所得や有効な税務計画により実現されることの確実性を検証する必要があります。
当社のマネジメントは、取締役会で承認された経営計画や、期中での各社からの経営報告、将来の市場状況、実行性の高い税務戦略等に基づき、将来の課税所得を推定し繰延税金資産の回収可能性を判断しており、実現できないと考えられる部分については評価性引当金を計上しています。将来の課税所得あるいは課税時期に関する当社のマネジメントの判断が変わることにより、評価性引当金が変動する可能性があります。
また、当社グループは、税務ポジションの不確実性から生じる影響額については、税務上の技術的な解釈に基づき、税務ポジションが認められる可能性が50%超である場合、財務諸表で認識しています。その税務ポジションに関連するベネフィットは、税務当局との解決により、50%超の可能性で実現が期待される最大金額で測定されます。
当社のマネジメントは、計上した繰延税金資産(評価性引当金控除後)全額が実現可能であり、認識された不確実性のあるすべての主要な税務ポジションは瑕疵なく持続していると判断していますが、経営計画が実現できず、将来の課税所得の見積りが大幅に減少する場合や、関連する税務当局との法令解釈の相違等、これらの判断が結果として現実と異なる場合には、評価性引当金や認識すべき財務諸表への影響額を見直す必要があり、追加の税金費用が発生することで当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
詳細は、連結財務諸表注記16に記載されています。
③ 長期性資産及び営業権の評価
当社グループは長期性資産に関して、経営環境の変化により、将来その資産から生み出されるキャッシュ・フローが減少するなど、帳簿価額相当額を回収することができないと判断されるような事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を実施しています。
当社グループが保有しかつ使用している資産の回収可能性は、帳簿価額とその資産から生じる割引前将来キャッシュ・フローとの比較で判定されます。この割引前将来キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出されます。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定されます。もし、資産の帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを上回り、回収可能性が認められずその資産が減損状態であると判定された場合、帳簿価額が公正価値を上回った額が減損額として測定され計上されます。公正価値は、主に市場において想定されるキャッシュ・フローの変動リスクを考慮した加重平均資本コストを割引率として使用する割引後将来キャッシュ・フローモデル、あるいは独立した鑑定評価で測定されます。処分予定の長期性資産については、帳簿価額と公正価値から処分のためのコストを差し引いた額とのいずれか低い方で評価されます。
当社グループは営業権については、少なくとも各年度に1回、又は減損の可能性を示す事象や、状況の変化が生じた時点で減損の検討を実施しています。
報告単位の公正価値の測定にあたっては、通常、割引後将来キャッシュ・フローモデルにより算定しています。将来見積キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出されます。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定されます。報告単位の帳簿価額が公正価値を上回る場合、その報告単位に配分された営業権の帳簿価額を限度とし、当該差額を営業権の減損損失として認識します。
現状では、長期性資産及び営業権については、重要な追加の減損の発生はないと考えていますが、経営戦略の変更、市場の変化があった場合には、その資産から将来得られるキャッシュ・フローの予想や公正価値の算出に影響し、長期性資産及び営業権の回収可能性の評価判断が変更となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 金融商品の公正価値
主に外国為替予約や金利スワップ契約等のデリバティブ金融商品の公正価値は、市場で観察可能なインプットに基づいた業者からの情報をもとに評価しています。この公正価値の情報は、特定のある時点での適切な市場の情報と商品についての情報に基づいて推定されるものですが、これらの推定はその性格上、市場の不確実性を含んでいるため、実際の結果と異なってくる可能性があります。
市場性のある持分証券は、公正価値で評価されています。公正価値の変動は、当期純利益で認識しています。
市場性がなく、容易に算定可能な公正価値がない持分証券のうち、1株当たり純資産価値で評価している持分証券以外について、減損による評価下げ後の取得価額にて測定しています。また、同一発行体の同一又は類似する投資に関する秩序ある取引における観察可能な価格の変動を識別した場合は、当該持分証券を観察可能な取引が発生した日の公正価値で測定しています。
関連会社に対する投資の公正価値については、公正価値の下落があった場合、それが一時的かどうかについて、下落の期間や程度、被投資会社の財政状態及び業績予想等を考慮して判断しています。
現状では、投資有価証券あるいは関連会社に対する投資については、重要な追加の減損の発生はないと考えていますが、将来の経済環境の変化によっては投資先の企業の業績が悪化し、減損を認識する可能性があります。
詳細は、連結財務諸表注記20、21、22に記載されています。
⑤ 退職給付債務及び費用
当社グループの年金債務及び年金費用の額は、算出時に使用した仮定に影響されます。これらの仮定は連結財務諸表注記12に記載されており、割引率、長期期待収益率、平均報酬水準増加率等を含みます。当社グループは、仮定と実績が乖離した場合には、その差額を累積し従業員の平均残存勤務年数にわたって償却を実施する事で、将来の期間にわたり、費用として認識します。
割引率は、現在かつ年金受給が満期となる間に利用可能と予想される信用度の高い固定利付き債券の利率に基づいて算出されます。また、長期期待収益率は、投資対象の様々な資産カテゴリー別に将来収益に対する予測や過去の運用実績を考慮し決定されます。
当社グループは、これらの仮定は妥当なものであると考えていますが、重要な実績との乖離もしくは重要な仮定の変化があった場合、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度末の当社グループの年金制度において、割引率又は長期期待収益率が0.5%変動した場合、当連結会計年度末の年金債務及び翌連結会計年度の年金費用に及ぼす影響は、その他すべての仮定を一定とすると、それぞれ以下のとおりです。
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仮定の変更 |
変動率 |
年金債務 |
年金費用 |
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割引率 |
0.5%増 / 0.5%減 |
302億円減 / 329億円増 |
3億円減 / 12億円増 |
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長期期待収益率 |
0.5%増 / 0.5%減 |
- |
14億円減 / 14億円増 |
⑥ 今後適用となる新会計基準
米国財務会計基準審議会は、2016年6月に会計基準アップデート2016-13「金融商品-信用損失:金融商品に関する信用損失の測定」を発行しました。同アップデートは、多くの金融資産について、現行の発生損失モデルではなく予想信用損失モデルに基づいて損失を認識することを要求しています。予想信用損失モデルでは、対象となる金融資産の残存期間に発生することが見込まれる予想信用損失をただちに認識することになります。当初同アップデートは、米国証券取引委員会(SEC)に登録していない企業においては、2020年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用される予定でしたが、米国財務会計基準審議会は、2019年11月に適用日の変更を行い、同アップデートは、2022年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用されることとなりました。なお、早期適用も認められています。同アップデートは、適用開始期間の期首の利益剰余金で累積影響額を調整する修正遡及適用アプローチにより適用されます。当社グループは、2023年4月1日より開始する連結会計年度から適用します。なお、同アップデートの適用が、当社グループの財政状態及び経営成績に与える重要な影響はありません。
米国財務会計基準審議会は、2022年9月に会計基準アップデート2022-04「サプライヤー・ファイナンス・プログラムに係る債務の開示」を発行しました。同アップデートは、製品やサービスの購入時にサプライヤー・ファイナンス・プログラムを利用する企業に対し、プログラムの主要な条件や期末の債務残高に関する情報、期首から期末までの変動を開示することを要求しています。同アップデートのうち、プログラムの主要な条件や期末の債務残高に関する情報の開示要求については、2022年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用されます。また、同アップデートのうち、期首から期末までの変動の開示要求については、2023年12月16日以降開始する連結会計年度から適用されます。当社グループは、2023年4月1日より開始する連結会計年度から適用し、現在、開示に与える影響について検討しています。なお、同アップデートの適用が、当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響はありません。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の連結売上高は3,543,475百万円(前連結会計年度比26.4%増)となりました。建設機械・車両事業では、北米、アジアを中心に鉱山機械の需要が好調に推移しました。クロスソーシングの活用及びマルチソーシングの強化など、外部環境の変動に強いサプライチェーンの構築に取り組み、新車需要を着実に取り込みました。部品・サービス売上げの増加や、各地域での販売価格の改善や円安の影響もあり、売上高は前連結会計年度を上回りました。産業機械他事業では、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械については、主に大型プレスの売上げが減少したものの、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業は、世界的な半導体需要の増加により売上げが好調に推移したことにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。利益については、資材価格や物流コスト上昇の影響はあるものの、販売価格の改善や円安の影響により、営業利益は490,685百万円(前連結会計年度比54.8%増)となりました。
当連結会計年度末は、米ドルなどに対して為替が前連結会計年度末に比べ円安となったことに加え、売上債権や棚卸資産などの増加により、総資産は前連結会計年度末に比べ528,325百万円増加の4,875,847百万円となりました。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ106,382百万円増加の1,053,762百万円となりました。また、株主資本は前連結会計年度末に比べ307,130百万円増加の2,539,641百万円となりました。これらの結果、株主資本比率は前連結会計年度末に比べ0.7ポイント増加の52.1%となりました。
② 流動性及び資金の源泉
<資金使途の考え方>
当社グループは、持続的な企業価値の増大を目指して、外部環境の変化や需要変動に左右されない健全な財務体質の構築と競争力強化に努めています。資金を成長のための投資、バランスシート改善(財務健全性維持)、株主還元にバランスよく配分して、総合指標であるROE(自己資本利益率)をモニタリングしています。想定される株主資本コストを上回るROE10%以上を経営目標として、ROE向上と株主資本コスト低減の両面からエクイティ・スプレッド(ROE-株主資本コスト)の拡大に取り組んでいます。
<資金調達と流動性管理>
当社グループは、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針としています。この方針に従い、当社グループは金融機関借入、社債等の発行、融資枠の設定等、様々な資金調達の源泉を確保しています。設備投資資金及び運転資金については、営業活動から得られたキャッシュ・フロー及び外部より調達した資金を充当しています。更に、当社グループの資金の効率性を高めるため、海外子会社を含めたグループ間のキャッシュマネジメントシステム(グローバルキャッシュマネジメントシステム、以下、「GCMS」)を特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預入総額を上限にGCMS参加会社は借入を行っています。当GCMSにおいては、預入金及び借入金の残高を相殺できる条項が含まれており、当連結会計年度末現在の相殺金額は265,627百万円となっています。
短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入及びコマーシャル・ペーパーの発行等でまかなっています。当社及び一部の連結子会社は、当連結会計年度末現在、金融機関との間に合計304,630百万円のコミットメントライン契約を締結して代替流動性を確保しており、その未使用枠は284,898百万円となっています。コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、当社で220,000百万円、コマツファイナンスアメリカ㈱で1,100百万米ドルのプログラムを保有しており、未使用枠はそれぞれ180,000百万円、300百万米ドルとなっています。
当社は、中長期資金需要に機動的に対応するため、社債発行枠とユーロ・ミディアム・ターム・ノート(以下、「EMTN」)プログラムを保有しています。当社は2022年11月に2年間有効の100,000百万円の社債発行枠を登録しました。当連結会計年度末現在の未使用枠は100,000百万円となっています。なお、これ以外の過去に登録した社債発行枠に基づいて発行した分も含めた当社グループの社債の当連結会計年度末現在の残高は189,898百万円です。これには、2022年10月に当社100%子会社であるコマツファイナンスアメリカ㈱を通じて発行した日本企業としては初の外貨建てサステナビリティ・リンク・ボンド600百万米ドルも含まれます。また、当社、コマツファイナンスアメリカ㈱及び欧州コマツコーディネーションセンター㈱で合わせて2,200百万米ドルのEMTNプログラムを保有しており、このプログラムに基づいて、それぞれの発行体はディーラーとの間で合意されたすべての通貨の債券を発行できます。当連結会計年度末現在、当該EMTNプログラムにより発行された債券の残高は155,549百万円です。
当連結会計年度末現在、当社グループの短期債務残高は310,738百万円となり、前連結会計年度末に比べて68,992百万円増加しました。短期債務は主に銀行、保険会社等からの借入金等であり、運転資金等に使用されています。
当連結会計年度末現在、長期債務残高(1年以内期限到来分含む)は743,024百万円で、前連結会計年度末に比べて37,390百万円増加しました。長期債務は銀行、保険会社等からの借入金等397,577百万円、無担保社債189,898百万円、EMTN155,549百万円で構成されており、主に設備投資資金及び長期運転資金に使用されています。
当連結会計年度末現在の有利子負債残高は前連結会計年度末比106,382百万円増加の1,053,762百万円となり、現預金を差し引いたネット有利子負債残高は前連結会計年度末比133,077百万円増加の763,787百万円となりました。これらに加え株主資本が増加した結果、当連結会計年度末現在のネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット有利子負債と株主資本の比率)は前連結会計年度末の0.28に対して0.30となりました。
当連結会計年度末現在、流動資産は2,836,575百万円となり、前連結会計年度末に対し、415,294百万円増加し、また流動負債は1,371,661百万円となり、前連結会計年度末に対し47,640百万円増加しました。その結果、流動比率は206.8%と前連結会計年度末に対し23.9ポイント増加となりました。
営業活動から得られるキャッシュ・フロー、様々な資金調達手段、流動比率の水準に基づき、当社グループは、流動性ニーズや将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えています。
なお、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は289,975百万円であり、そのうち238,377百万円は海外子会社が保有しています。
当社グループは、スタンダード&プアーズ、ムーディーズ・インベスターズ・サービス及び㈱格付投資情報センターから信用格付を取得しています。当連結会計年度末現在、当社グループの発行体格付けは、スタンダード&プアーズ:A(長期)、A-1(短期)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス:A2(長期)、Prime-1(短期)、㈱格付投資情報センター:AA-(長期)、a-1+(短期)となっています。
<設備投資>
建設機械・車両事業では、主に生産性の向上や循環事業強化のための設備投資等を行いました。リテールファイナンス事業では、主に賃貸用資産に係る設備投資等を行いました。産業機械他事業では、主に生産能力の増強や老朽設備更新のための設備投資等を行いました。これらの結果、当連結会計年度の設備投資額は161,563百万円と前連結会計年度比13,801百万円の増加となりました。
<契約上の債務>
当連結会計年度末現在の契約上の債務は次のとおりです。
|
|
期間別支払見込額 |
(百万円) |
|||
|
|
合計 |
1年以内 |
1-3年 |
3-5年 |
5年超 |
|
短期債務 |
310,738 |
310,738 |
- |
- |
- |
|
長期債務 |
743,024 |
176,835 |
355,068 |
192,539 |
18,582 |
|
オペレーティングリース債務 |
74,853 |
19,212 |
17,911 |
8,365 |
29,365 |
|
有利子負債に関する利息 |
73,937 |
28,772 |
32,138 |
12,599 |
428 |
|
年金及びその他の退職給付債務 |
4,698 |
4,698 |
- |
- |
- |
|
合計 |
1,207,250 |
540,255 |
405,117 |
213,503 |
48,375 |
(注)1.長期債務の公正価値の調整額はありません。
2.有利子負債に関する利息は、当連結会計年度末現在有効な利率に基づき計算されています。
3.年金及びその他の退職給付債務は、2024年度以降の拠出額は未確定であるため、2023年度に生じるものだけを記載しています。
なお、当連結会計年度末現在の設備発注残高は、約25,100百万円です。
③ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
<建設機械・車両事業セグメント>
建設機械・車両事業の売上高は3,296,566百万円(前連結会計年度比28.6%増加)となりました。
中期経営計画の成長戦略「イノベーションによる成長の加速」においては、鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)の導入を着実に進め、2023年3月末時点の総稼働台数は累計643台となりました。また、建設機械の遠隔操作化に取り組み、中型油圧ショベル向けの遠隔操作システムを開発し、本年3月よりお客様への提供を開始しました。カーボンニュートラルの実現に向けて、建機の電動化においては、パートナーとの共同開発を推進し、電動マイクロショベル「PC05E-1」をはじめ、各機種の開発及び早期市場導入に向けて取り組みました。本年3月には国際的な建設機械見本市「CONEXPO-CON/AGG 2023」において、電源がない環境での充電が可能な蓄電機能付き充電器を初出展しました。また、燃料電池や水素エンジンなどの新動力源の研究開発に取り組むと同時に、新技術が実現するまでの「ブリッジテクノロジー」の一環として、欧州地域の工場で出荷時に充填される燃料をディーゼル燃料から、CO2排出量を大幅に削減可能な水素化植物油(HVO燃料)へ切り替える準備を進めました。「稼ぐ力の最大化」では、都市土木作業に特化して仕様を最適化した油圧ショベルCEシリーズ「PC200-10M0」を活用した2ラインモデル戦略において、アジア地域での拡販を進めるとともに、中南米への導入を開始しました。また、ライフサイクルサポートビジネスによる差別化の推進を目指し、キーコンポーネントを自社開発・生産している強みを活かしたメンテナンス契約付き延長保証プログラムの拡大を着実に進めました。「レジリエントな企業体質の構築」では、昨年に完全子会社化した中国生産法人の合併など合理化を進め、グローバルクロスソーシング拠点としての競争力強化に取り組みました。また、湘南工場内に新たに竣工した開発棟に、自動化・自律化・遠隔操作化などの研究・開発機能を集約し、開発の効率化を図りました。
建設機械・車両事業セグメントの地域別売上高(外部顧客向け売上高)
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|
|
|
(金額単位:百万円) |
||
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|
2021年度 |
2022年度 |
増 減 |
||
|
金 額 |
増減率 % |
||||
|
日本 |
303,628 |
321,746 |
18,118 |
6.0% |
|
|
|
北米 |
590,695 |
864,912 |
274,217 |
46.4% |
|
中南米 |
395,885 |
545,072 |
149,187 |
37.7% |
|
|
米州 |
986,580 |
1,409,984 |
423,404 |
42.9% |
|
|
|
欧州 |
239,294 |
314,008 |
74,714 |
31.2% |
|
CIS |
184,483 |
120,206 |
△64,277 |
△34.8% |
|
|
欧州・CIS |
423,777 |
434,214 |
10,437 |
2.5% |
|
|
中国 |
96,416 |
79,690 |
△16,726 |
△17.3% |
|
|
|
アジア※ |
295,431 |
461,613 |
166,182 |
56.3% |
|
オセアニア |
263,436 |
316,161 |
52,725 |
20.0% |
|
|
アジア※・オセアニア |
558,867 |
777,774 |
218,907 |
39.2% |
|
|
|
中近東 |
53,874 |
86,300 |
32,426 |
60.2% |
|
アフリカ |
135,708 |
177,015 |
41,307 |
30.4% |
|
|
中近東・アフリカ |
189,582 |
263,315 |
73,733 |
38.9% |
|
|
合計 |
2,558,850 |
3,286,723 |
727,873 |
28.4% |
|
※ 日本及び中国を除きます。
地域別の概況は以下のとおりです。
(日本)
日本では、公共工事及び民間工事向けの新車需要は減少したものの、新車販売の増加や販売価格の改善などにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。
(米州)
北米では、一般建機の需要は金利上昇の影響で住宅建設向けが減少したものの、レンタル、インフラ向けが好調に推移し、エネルギー関連向けも引き続き増加しました。加えて、鉱山機械の需要が好調に推移したことや、販売価格の改善及び円安の影響もあり、売上高は前連結会計年度を上回りました。中南米では、一般建機の需要は第3四半期以降減速しているものの、鉱山機械の需要は堅調に推移しました。鉱山機械の部品・サービスの売上げ増加や、販売価格の改善及び円安の影響により、売上高は前連結会計年度を上回りました。
(欧州・CIS)
欧州では、エネルギー価格高騰などの影響はあるものの、サプライチェーンの混乱が改善し、主要市場であるドイツ、英国、フランスを中心に一般建機の販売が増加しました。販売価格の改善などにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。CISでは、ウクライナ情勢に起因したサプライチェーン及び金融・経済の制約の影響から、売上高は前連結会計年度を下回りました。
(中国)
中国では、ゼロコロナ政策などによる経済活動の停滞により需要が低迷したことから、売上高は前連結会計年度を下回りました。
(アジア・オセアニア)
アジアでは、インドネシアにおける石炭、ニッケル鉱山向け機械の需要が好調であったことに加え、フィリピン、ベトナム、マレーシアを中心に一般建機の需要が堅調であったことから、売上高は前連結会計年度を上回りました。オセアニアでは、鉱山機械及び一般建機の需要が堅調に推移しました。部品・サービス売上げが増加したことや円安の影響もあり、売上高は前連結会計年度を上回りました。
(中近東・アフリカ)
中近東では、サウジアラビアやUAEなどの産油国でのプロジェクトなどにより、一般建機の需要が好調に推移したことから、売上高は前連結会計年度を上回りました。アフリカでは、主に南部アフリカ地域における鉱山機械の需要が好調に推移したことから、売上高は前連結会計年度を上回りました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比351,520百万円増加の3,513,355百万円となりました。
なお、建設機械・車両事業セグメントの生産規模は、主に鉱山機械の需要が好調に推移したことにより、前連結会計年度比31.8%増加し、約3兆5,780億円(販売価格ベース、連結ベース)でした。
<リテールファイナンス事業セグメント>
リテールファイナンス事業では、円安の影響や一般建機及び鉱山機械の販売増加により、新規取組高は増加しました。前期に一部リース車を中古車として販売した影響があったものの、売上高は85,630百万円(前連結会計年度比19.2%増加)となりました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比140,197百万円増加の1,121,107百万円となりました。
<産業機械他事業セグメント>
産業機械他事業では、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業は、世界的な半導体需要の増加により売上げが好調に推移したものの、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械については、主に大型プレスの売上げが減少しました。売上高は190,941百万円(前連結会計年度比1.4%増加)となりました。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比14,462百万円増加の220,743百万円となりました。
なお、産業機械他事業セグメントの生産規模は、前連結会計年度比23.8%増加し、約2,122億円(販売価格ベース、連結ベース)でした。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
2025年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画の経営目標に対し、2022年度の実績は以下のとおりとなりました。
|
項目 |
経営指標 |
経営目標 |
2022年度 |
|
成長性 |
・売上高成長率 |
・業界水準を超える成長率 |
+26.4% |
|
収益性 |
・営業利益率 |
・業界トップレベルの利益率 |
13.8% |
|
効率性 |
・ROE*1 |
・10%以上 |
13.7% |
|
健全性 |
・ネット・デット・ エクイティ・ レシオ*2 |
・業界トップレベルの財務体質 |
0.30 |
|
リテール ファイナンス 事業 |
・ROA*3 |
・1.5%-2.0% |
2.6% |
|
・ネット・デット・ エクイティ・ レシオ*2 |
・5倍以下 |
3.77 |
|
|
ESG |
・環境負荷低減 |
・CO2排出削減: 2030年50%減(2010年比) 2050年カーボンニュートラル(チャレンジ目標) ・再生可能エネルギー使用率:2030年50% |
・製品使用によるCO2削減 21%減(見込値) ・生産によるCO2削減 42%減(見込値) ・再生可能エネルギー 使用率 17%(見込値) |
|
・外部評価 |
・DJSI*4選定(ワールド、アジアパシフィック) ・CDP*5 Aリスト選定(気候変動、水リスク) |
・DJSI*4選定 ・CDP*5気候変動 評価A ・CDP*5水リスク 評価A |
|
|
株主還元 |
・連結配当性向 |
・成長への投資を主体としながら、株主還元 (自社株買いを含む)とのバランスをとる |
40.3% |
|
・連結配当性向を40%以上とする |
*1 ROE=当社株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)
*2 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本
*3 ROA=セグメント利益/((期首総資産+期末総資産)/2)
*4 ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ:米国S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が提供するESG投資指標
*5 企業や政府が温室効果ガス排出量を削減し、水資源や森林を保護することを推進する国際的な非営利団体
該当事項はありません。
当社グループは、建設機械・車両、産業機械他の分野において、「品質と信頼性」の追求を基本として、新技術と新商品の研究開発を積極的に推進しています。
当社グループの研究開発体制は、当社のCTO(最高技術責任者)室、開発本部の建設機械・車両関連の研究開発部門及び関係会社の技術部門等からなっており、当連結会計年度の当社グループの研究開発費は
(1) 建設機械・車両事業セグメント
グローバル化に対応した建設機械・鉱山機械・車両の効率的な研究開発をねらいとして、国内外に研究開発拠点を配置し、グローバルな開発体制を敷くとともに、相互の人材交流や共同開発の拡大などを行いながら研究開発活動を推進しています。また、「イノベーション」を起こすため、CTO室を窓口として、有望な分野での先進技術を有する国内外の大学、研究所、企業と積極的に協同・連携し、社内のコア技術と外部の知見の融合(オープンイノベーション)による技術革新のスピードアップに取り組んでいます。「安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場」をお客様とともに実現することを目指し、中・長期的な重点テーマとして、以下の分野に取り組んでいます。
<ICT(情報通信技術)>
情報化技術(最新計測技術・通信技術を活用した機械の位置情報・稼働情報や機械診断情報などのリモート管理技術等)及び制御技術・知能化技術の研究開発を進めています。これらの技術を利用して開発した建設・鉱山機械の制御システムと管理システムは急速に普及しており、建設・鉱山機械の稼働と管理の自動化、効率化が図られ生産性向上に寄与しています。また、こうした技術を使い、情報化施工、「KOMTRAX」(2023年3月末時点配車台数:722,637台)、鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)(2023年3月末時点総稼働台数:643台)についても、お客様の視点に立った次世代への展開に向けた活動を推進しています。
施工の自動化、作業精度と作業効率の大幅向上を実現する作業機全自動制御機能搭載ICTブルドーザー、ICT油圧ショベルの開発とレトロフィットキットの拡大で、建設現場が抱える様々な課題を解決し「未来の現場」を実現させていくためのソリューションを開発、提供していくサービス事業「スマートコンストラクション」は導入地域や規模を拡大しました。高精度測量技術の活用や現場のあらゆる情報をICTで繋ぐことで、生産性の大幅な向上と安全な現場を実現します。
建設現場向けには、デジタルトランスフォーメーションに対応した、オープンプラットフォーム「LANDLOG」、自律、協調など高度化したICT建機、生産技術を活用し施工を最適化する施工シミュレーションの開発を推進しています。
農林業向けには、「スマートコンストラクション」のノウハウを活用し林業全体を効率化するスマート林業の提案や、ICT農業用建機による農作業の効率化を進めています。
<環境、省資源、安全>
エコロジー(環境に優しい)とエコノミー(経済性に優れている)の両立を追求し、お客様に満足いただける優れたものづくりを行うことを、コマツ地球環境方針の下に基本理念とし、商品の生産から廃棄・再利用までのライフサイクル全体の環境負荷が最小限になるように努めるとともに、燃費の向上など、経済性にも優れた商品を提供するために、常に技術革新に取り組んでいます。
燃費向上技術については、CO2排出量削減と経済性の両面から最重要課題として取り組んでいます。ハイブリッドシステム搭載の油圧ショベルを日本、中国、北米、欧州、その他世界各地に導入し、2023年3月末時点での累計導入台数は5,535台に達しました。
環境対応については、世界各地の排出ガス規制に対応した製品を市場導入しています。
環境負荷物質の低減活動も積極的に展開しています。環境とは地球環境だけではなく人間への環境も含むという観点から、安全対応(「KomVision人検知衝突軽減システム」、「衝突検知警報システム」)や騒音・振動低減、オペレーター作業環境改善にも積極的に取り組んでいます。
電動化については、建設機械見本市「bauma 2022」、「CONEXPO-CON/AGG 2023」において、フル電動のホイールローダーコンセプトマシン、3トンクラスの電動ミニショベル、20トンクラスの電動油圧ショベルなどを出展しました。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
|
製品区分 |
機種 |
|
油圧ショベル |
PC78US-11, PC200/200LC-11M0, PC210/PC225LC/PC235HD-11M0, PC240-11M0, PC260LC-11M0, PC300/PC350/PC360-8M2, PC330/330LC-11M0, PC360-11M0, PC375LC-11M0, PC520LC-11M0, PC550LC-11M0, PC650LC-11M0, PC700LC-11M0, PC950-11, PC5500-11 |
|
ICT油圧ショベル |
PC490LCI-11 |
|
ホイールローダー |
WA470-8M0 |
|
モーターグレーダー |
GD535-6, GD955-7 |
|
ユーティリティ(小型機械) |
SK715-8E0, SK815-8E0/SK820-8E0 |
|
フォークリフト |
FE25G-2, FE30G-2 |
|
全旋回型不整地運搬車 |
CD110R-3 |
当事業セグメントの当連結会計年度に係る研究開発費は
(2) 産業機械他事業セグメント
主として、板金鍛圧機械、工作機械及びその他産業機械などに関する研究開発を行っています。
産業機械他事業においては、お客様の困りごとを解決するソリューションの提供を推進し、昨年8月に経済産業省のDX認定を取得しました。突発的なプレスライン停止を回避する予知保全システムを拡販し、国内、中国、米国の累計導入契約ライン数は2022年度のKPIである30ラインとなりました。また、プレス機械の使われ方モニタ機能(過負荷モニタ、荷重トレンド、自動タイムスタディ)を新規の機械には標準搭載、レトロフィット対応ではコントローラーのリニューアルとセット販売することで拡販が進みました。更に、「産機Komtrax」で使用している通信モデムの4G切替対応として各種新オプションコンテンツを選択することで工事費を無料とするキャンペーンを実施したことで、LTV(Life Time Value)が向上しました。
板金機械では、業界初の水中での形状切断を実現したファイバーレーザー加工機である「TWCL」シリーズの販売を開始しました。一般的にファイバーレーザー加工機は、皮膚への露光や拡散反射の観察の危険性により、安全に作業を行うために機体全面をカバーなどで覆うことが必要ですが、当該機は、コマツ産機㈱独自開発の方式により切断時のレーザー光を減光し、レーザー安全クラス1を実現しました。これによりマシンカバーが不要となり、鋼板や製品の出し入れなどの作業性を改善しました。これに加え、水中でレーザー切断することにより鋼板の温度上昇を少なくできるため、熱影響による切断不良の低減や歩留まりを改善しました。これらにより、従来のファイバーレーザー加工機に対してお客様の現場における品質の向上及びカーボンニュートラル実現に貢献することが出来ました。他にプレスブレーキ「PVS」の大型の操作盤パネルを搭載したモデルチェンジも行いました。画面サイズは従来の15型から21.5型になり、1画面の情報量が増加しました。またあわせて画面操作フローを見直すことで、金型交換時の操作回数を8回から2回にするなど、操作性を向上しました。
工作機械では、フレキシブルな生産ニーズに応える5軸マシニングセンター「CX500」を市場導入しました。同時に工具のリアルタイム状態監視ができるモニタリング装置「Komtas」の開発を行い市場導入しました。
その他には、半導体露光装置用エキシマレーザー、EUV光源、半導体基板小径加工用エキシマレーザー、半導体製造業向けの高性能温調機器とその要素である高性能サーモモジュール熱交換ユニット、光通信用向けの超小型サーモモジュール及び熱電発電モジュールとそのシステムに関する研究開発などを推進しました。
当事業セグメントの当連結会計年度に係る研究開発費は