(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境は改善が続き、後半には生産や輸出に持ち直しの動きが見られるなど、景気は緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、新興国経済の減速、英国のEU離脱問題、米国新政権の政策運営動向など先行き不透明感の高まりもあり、民間設備投資は力強さを欠き、個人消費も低迷が続きました。
このような事業環境の下、当社グループは、受注の確保に注力するとともに、確実な品質・納期管理に基づく工事施工及び機器製作により、顧客満足度の向上に努めてまいりました。また、当連結会計年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画における、「次世代成長分野への投資」及び「将来への経営基盤確立」という骨子に沿って諸施策を実施するとともに、業務効率化や諸経費の節減をはかり、業績向上に努めてまいりました。
当連結会計年度の売上高は、既受注工事の売上寄与が前期で終了したことと、受注高の減少を反映し、36,104百万円と前連結会計年度と比べ8.1%の減少となりました。
損益面におきましては、売上高の減少に加え、見積設計費や水素をはじめとする成長分野への研究開発費等の増加もありましたが、エンジニアリング事業におけるプロジェクト管理の徹底による手持工事の採算改善等の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ27.4%減少しましたが、1,294百万円を確保いたしました。経常利益は前連結会計年度に比べ13.2%減少の1,352百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ15.1%減少の976百万円となりました。
エンジニアリング事業については、売上高23,534百万円(前年同期比10.0%減)、営業損失136百万円(前年同期は48百万円の損失)となりました。
単体機械事業については、売上高12,570百万円(前年同期比4.4%減)、営業利益1,430百万円(前年同期比21.9%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、負債の減少や固定資産の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、営業活動や、長期借入により資金を獲得した結果、前連結会計年度末に比べ521百万円増加し、当連結会計年度末には5,254百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度より181百万円減少し、860百万円となりました。これは、仕入債務の減少435百万円、前受金の減少485百万円、法人税等の支払359百万円等により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益の計上1,388百万円、減価償却費の計上609百万円、売上債権の減少300百万円等により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、前連結会計年度より40百万円減少し、367百万円となりました。これは主に固定資産の取得による支出414百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、87百万円となりました(前連結会計年度は3,340百万円の使用)。これは主に長期借入金700百万円により資金を調達いたしましたが、配当金の支払395百万円、長期借入金の返済200百万円に資金を使用したことによるものであります。
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
エンジニアリング事業(百万円) |
23,534 |
90.0 |
|
単体機械事業(百万円) |
12,570 |
95.6 |
|
合計(百万円) |
36,104 |
91.9 |
(注)1.金額は販売価額によっております。なお、セグメント間の内部売上高又は振替高はありません。
2.上記の金額は、消費税等を含んでおりません。
(2)受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
エンジニアリング事業 |
23,381 |
80.4 |
17,391 |
99.1 |
|
単体機械事業 |
12,434 |
91.4 |
5,173 |
97.5 |
|
合計 |
35,816 |
83.9 |
22,564 |
98.7 |
(注) 上記の金額は、消費税等を含んでおりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
エンジニアリング事業(百万円) |
23,534 |
90.0 |
|
単体機械事業(百万円) |
12,570 |
95.6 |
|
合計(百万円) |
36,104 |
91.9 |
(注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高はありません。
2.上記の金額は、消費税等を含んでおりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループの一貫した基本方針は、「モノづくりに根ざした確かな技術と徹底した品質管理に基づく高品質な製品・設備を提供すること。」であります。
当社グループは、これまで培ってきた技術、経験、ノウハウを活用し、絶え間ない新製品、新技術の開発、改良により、エンジニアリング、化学工業機械等の分野において、新しい時代のニーズに応えるとともに、既存の製品・技術にとらわれない新しい事業分野にも積極的にチャレンジし、顧客のあらゆる要望に応える製品、技術、サービスの提供を目指してまいります。
(2)経営戦略等
今後のわが国経済の見通しにつきましては、景気が緩やかに回復していくことが期待されますが、米国新政権の政策の行方、海外政情不安や円高傾向等による先行き不透明感が強まっており、企業は設備投資にはなお慎重姿勢であり、個人消費も低迷しており、予断を許さない状況が続くものと思われます。
このような状況の下、当社グループは、平成27年度に10年後のあるべき姿として「10年後には売上高1,000億円規模を目指す」とする企業ビジョンを策定いたしました。平成28年度から始まる3ヵ年の中期経営計画は、この企業ビジョンを達成するための第1ステップとして位置づけ、①次世代成長分野への投資、②将来への経営基盤確立の2つを骨子としております。
①次世代成長分野への投資では
1)次世代技術・分野への挑戦と積極投資
2)海外市場開拓と売上の拡大
3)成長に向けたアライアンスの推進
4)構造改革によるエネルギー事業分野の推進
を実施し、達成のため、積極的にアライアンスを活用することとしております。
②将来への経営基盤確立では
1)差別化の推進による既存事業の競争力アップと市場開拓
2)グループ組織再編による組織力強化と収益力向上
3)再構築事業の見直しによる採算性の向上
をはかり、既存事業を基盤事業、積極成長事業、次世代事業、見極め・再構築事業に分類し、注力分野を
明確化して、将来の経営基盤を確立いたします。
(3)対処すべき課題
当社グループは持続的成長と企業価値の向上を目指して、引き続き3ヵ年の中期経営計画の骨子に沿って、事業を展開してまいります。中期経営計画の2年目にあたる平成29年度の主な取り組み方針は次のとおりです。
①受注の確保・拡大
当社の中長期的な成長のためには、受注の確保・拡大は最重要課題であります。当連結会計年度に受注が大きく減少した結果を踏まえ、エンジニアリング・単体機械の両事業とも、営業戦略を再度見直し、顧客ニーズの掘り起こしと引き合い案件の増加をはかり、主要案件の確実な受注を目指します。また、海外案件への取り組みもより一層強化してまいります。
②コスト改善
各種工事において設計段階から効率化をはかり、また、手持工事の施工にあたっては工程管理を徹底し、さらなる工事コスト改善を目指します。併せて品質・納期管理を徹底し、顧客満足度のさらなる向上を目指します。
③次世代成長分野事案への対応加速
中期経営計画において成長分野と位置付けている水素、バイオガス、船舶環境規制対応機器の分野への取り組みを更に強化、加速してまいります。水素につきましては、近く完成予定の当社川崎製作所実証用水素ステーションにより、水素ステーションの最適仕様の確立、建設工事のコストダウン、より適切なメンテナンスの確立を進めてまいります。バイオガスにつきましては、本年3月に国土交通省の平成29年度下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)に採択されました「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証研究」(佐賀県唐津市浄水センター)を通じて、高効率消化システム実証の取り組みを進めてまいります。船舶環境規制対応機器につきましては、今後の規制及び市場動向に的確に対応した製品開発及び受注活動を進めてまいります。
なお、研究開発に係る新組織を立ち上げ、上記成長分野を中心とした各種開発テーマの進捗フォロー、及び中長期的な開発テーマへの対応を強化してまいります。
④業務効率化・意識改革・人材育成
全社的には、引き続き業務効率化、間接コストの改善、財務体質の強化等により、企業体質の強化をはかってまいります。また、中期経営計画における課題をはじめとした各種業務への取り組みにあたっては、これまで以上にPDCA(計画・実行・評価・改善)を重視し、特に進捗確認並びに結果及び次なる課題については「見える化」を徹底し、迅速かつ適切な対応を行うよう意識改革に努めてまいります。併せて、これまで蓄積した技術・技能を継承し当社の発展に繋げるため、人材育成施策についても重要課題として取り組んでまいります。
また、モノづくりとエンジニアリングを行う企業集団として、安全の確保に、より一層注力してまいります。併せて、社会的に信頼される企業集団を目指して、引き続き法令遵守の徹底と、会社法及び金融商品取引法に対応した内部統制システムの適切な運用に努めるとともに、コーポレート・ガバナンスにつきましても一層の充実をはかってまいります。株主のみなさまにおかれましては、今後とも、なお一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、次のようなものがあります。
なお、本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において判断したものであります。
(1)経済情勢
当社グループの主要顧客である化学・石油・ガス・海運業界及び公共下水処理等の設備投資の動向により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)価格競争
当社グループの受注は請負契約が主体であり、激化する価格競争の中で、競合先に対して価格優位性が保てない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)資材調達コスト
受注から引渡しまでの工期が長期に亘る工事もあり、急激な素材価格等の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)安全、品質問題
多額のコストを必要とする製品欠陥が発生する場合、また、建設工事現場において事故・災害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外取引先の選定・管理
海外企業を調達・下請先として利用することがありますが、これら海外企業の品質不良・納期遅延や倒産等により、プロジェクトの採算が悪化することがあります。海外取引先の選定・管理を誤ると、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)技術者の確保・育成
当社グループの事業に必要な技術を有するエンジニアの確保と育成ができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)研究開発・技術提携
研究開発の結果生み出した新製品・新技術及び技術提携により導入した技術が販売目標を達成できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)取引先企業の信用
顧客企業及び仕入先企業の業績不振、倒産等によって入金遅延、納期遅延等が発生する場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)為替レートの変動
外貨建取引における他の通貨に対する円高は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)株価下落
当社グループは取引先、金融機関等の市場性のある有価証券を保有しておりますが、株価の下落によって保有有価証券に評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)退職給付債務
当社グループの退職給付費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率により算出しており、割引率の低下や年金資産運用利回りの悪化は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)借入金の財務制限条項
当社グループの借入金の一部については、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。当該契約には、融資契約上の債務について期限の利益を喪失する財務制限条項が定められており、これに抵触した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)コンプライアンス違反
従業員等による業務上の不法行為や違法行為により、当社グループは刑事上、民事上、行政上の責任を負うことがあります。これらの処分に加え、社会的な信用を失うことは、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)自然災害等
地震や風水害等の災害が発生した場合に、当社グループの主要な生産拠点における生産設備、製品等が破損することがあります。また、これらの災害に起因するサプライチェーンの混乱は、当社グループの生産活動をはじめとする事業全般に影響を及ぼすことがあります。これらの災害により直接的・間接的な被害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)当社が技術援助を与えている契約
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相手方の名称 |
内容 |
契約期間 |
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韓国 ㈱三工社 |
油清浄機の製作販売 |
平成24年6月28日から 5年間 その後は1年毎に自動更新 |
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韓国 FINE社 |
差動回転式高効率スクリュープレスの製作販売 |
平成28年11月7日から 10年間 |
(2)当社が技術導入をしている契約
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相手方の名称 |
内容 |
契約期間 |
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独国 アンドリッツケーエムピーティ社 |
遠心分離機、乾燥機の製作販売 |
昭和39年6月2日から 平成31年12月31日まで |
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米国 イートンハイドロリクス社 |
ヘイワード・ストレイナの製作販売 |
昭和44年1月28日から 平成32年5月9日まで |
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米国 J.S.シュナイダー他2名による ジョイントテナント(権利継承者) |
シュナイダーフィルタの製作販売 |
昭和48年3月1日から 平成37年12月31日まで |
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米国 ワーレイ・パーソンズ・インターナショナル社 |
硫黄回収装置の製作販売 |
平成12年3月1日から 無期限 |
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オーストリア国 AAT社 |
無動力メタン発酵装置、メンブレンガス貯留装置の製作販売 |
平成14年5月17日から 平成34年5月16日まで |
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米国 NEIトリートメントシステムズ社 |
バラスト水処理装置の製作販売 |
平成18年8月28日から 平成31年8月27日まで |
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デンマーク王国 Nel Hydrogen社 |
水素ステーション充填設備の開発・販売 |
平成27年3月11日から 平成36年12月31日まで |
当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業481百万円、単体機械事業102百万円の総額584百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。
(エンジニアリング事業)
水素ステーション充填パッケージの開発および川崎製作所内水素ステーションの建設
平成26年12月に燃料電池自動車(FCV)の市販が開始されて以来、普及台数は1,700台程度まで進み、全国の水素ステーション数は本年4月時点で約90ヶ所と水素社会の実現に向けたインフラ整備が着実に進んでおります。
また、経済産業省が平成28年3月に公表した「水素・燃料電池戦略ロードマップ改訂版」により、水素ステーションの設置数は、2020年までに160ヶ所程度、2025年までに320ヶ所程度とする目標が明示されました。これに加え、東京オリンピック・パラリンピックを「水素社会のショーケース」とする方針が示された事、また水素ステーション運営事業者、自動車メーカー等計11社による、水素ステーション事業の新会社設立が動き出した事等により、水素社会の実現に向けた取り組みがさらに加速していくことが予想されます。
当社は実証用水素ステーション建設開始初期より、小型水素製造装置の開発・納入及び建設工事に携わってまいりましたが、更なるコスト競争力、技術力強化のため、平成27年にデンマークのH2 Logic社(現Nel Hydrogen社)から水素ステーション充填パッケージ「CAR-100」を技術導入し、日本国内仕様に適合させる商品化開発に取り組んでまいりました。
平成28年度は、充填パッケージの実証運転、HyGeia-Aの運転最適化、効率化、改良等の検討を進めるため、当社川崎製作所内に充填パッケージ及び当社水素事業の主力製品である小型水素製造装置HyGeia-Aを組み込んだ、試験用の水素ステーションの建設を行ってまいりました。
建設中の水素ステーション試験設備は、充填パッケージの採用、ユーティリティー設備のパッケージ化等により建設費の低減、工期の短縮等をはかることができるため、川崎市が取り組む「水素社会実現に向けた川崎水素戦略」の一環であるパッケージ型水素ステーションの実証プロジェクトとしても川崎市と当社が連携してすすめております。
当社は、水素ステーション充填パッケージとHyGeia-Aを積極に市場投入し、CO2削減に寄与する水素社会の実現に貢献してまいります。
下水バイオガス原料による水素創エネ技術
当社は、水素ステーション用の水素製造装置の商品開発を行い、既に都市ガスやLPGを原料とした水素製造装置を、水素ステーション用に多数納入しております。
その一方で、再生可能エネルギーであるバイオガスを原料とした水素製造について研究をすすめてまいりました。この研究成果を基に平成26年2月に国土交通省の平成26年度下水道革新的技術実証事業(B-DASH)に、「下水バイオガス原料による水素創エネ技術実証事業」を福岡市殿、九州大学殿、豊田通商株式会社殿と連携して提案・応募し、採択されました。
国土交通省国土技術政策総合研究所からの委託研究として、平成26年度に実証設備を完成させ、実証運転を行いました。引続き平成27年度も委託を受け、1年間実証運転を行い、安定した運転と水素品質を確認、また平成28年5月には国土交通省から「普及展開戦略検討業務」を委託され、効率的な運転とランニングコスト低減に関する検討を行ないました。
これら本実証事業の成果については、地方公共団体等の下水道事業者が本技術の導入を検討する際に参考となるべく、技術の概要・評価、導入検討、設計・維持管理等に関する技術的事項についてガイドラインとして取りまとめられ、平成28年10月に国土技術政策総合研究所から「下水バイオガス原料による水素創エネ技術導入ガイドライン(案)」として公表されております。
本設備は地産地消型再生可能エネルギーからの理想的な水素の製造・供給システムであることと、商用規模では世界初であることより、マスコミの感心も高く多方面に情報発信された結果大きな反響を呼び、自治体・研究機関・民間企業・海外等から多数の見学希望を頂き、当社知名度の向上につながっております。
更には、「下水汚泥バイオガスからの水素創エネ、FCV用水素ステーションの実証について、基礎研究から出口戦略まで一気通貫の強固な連携体制で世界初を実現」したことが評価され、平成28年8月に内閣府の「つなげるイノベーション大賞(第14回産学官連携功労者表彰)国土交通大臣賞」を受賞しています。
当社は全国に約300箇所あると言われている消化槽を有する下水処理場に向けて本技術の普及に取り組んでまいります。
(単体機械事業)
船舶国際環境規制への対応
船舶から排出される硫黄酸化物(SOx)の排出規制として、平成32年からすべての海域で高価な低硫黄燃料の使用が義務付けられました。また、窒素酸化物(NOx)の排出規制として、平成28年起工船から、指定された海域での排出規制が開始されました。
当社は、SOx規制に対応するため、三菱重工業(株)殿と共同して「三菱ハイブリッドSOxスクラバー」を開発し、川崎汽船(株)殿の自動車運搬船へ初号機を搭載し、国産で初となる船籍国(パナマ)からの承認を取得いたしました。
「三菱ハイブリッドSOxスクラバー」は、海事三学会(日本マリンエンジニアリング学会、日本航海学会、日本船舶海洋工学会)より「コンテナパッケージ型ハイブリッドSOxスクラバーシステム」としてマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー2016を受賞いたしました。
また、NOx規制に対しましては、舶用エンジンの最大手MAN Diesel&Turbo社向けEGR用排水処理ユニットを開発し、販売を開始致しました。
大容量回転式セラミック膜フィルタの開発
電子材料やファインケミカル業界においては、ナノ粒子を素材とした機能性部材の開発が活発化しており、当社ではナノレベルの微細粒子を精密に分離できる分離機として回転式セラミック膜フィルター「三菱ダイナフィルター」DyF152シリーズを開発し販売しておりますが、このたび大型量産機のニーズに応えDyF312シリーズを開発、製品化致しました。
これにより食品、飲料、バイオ等の大容量処理が必要とされる広範囲の分野への適応が可能となりました。
(1)当連結会計年度の財政状態の分析
当社グループの当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,522百万円増加し、42,733百万円となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金の減少696百万円等がありましたが、現金及び預金の増加521百万円、電子記録債権の増加379百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ140百万円増加し、27,220百万円となりました。
固定資産は、主として株価上昇に伴う時価のある有価証券の評価差額の増加による投資有価証券の増加1,537百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ1,381百万円増加し、15,512百万円となりました。
負債は、電子記録債務の増加965百万円、長期借入金(1年以内返済予定を含む)の増加500百万円、繰延税金負債の増加431百万円等がありましたが、支払手形及び買掛金の減少1,408百万円、前受金の減少483百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ38百万円減少し、25,358百万円となりました。
純資産は、配当金の支払395百万円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上976百万円、その他有価証券評価差額金の増加1,077百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ1,561百万円増加し、17,374百万円となりました。
また、資金状況につきましては、営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度より181百万円減少し、860百万円となりました。これは、仕入債務の減少435百万円、前受金の減少485百万円、法人税等の支払359百万円等により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益の計上1,388百万円、減価償却費の計上609百万円、売上債権の減少300百万円等により資金が増加したことによるものであります。
投資活動に使用した資金は、前連結会計年度より40百万円減少し、367百万円となりました。これは主として、前連結会計年度において関係会社出資金の払込による支出を行なったこと等の影響によるものであります。
財務活動により獲得した資金は、87百万円となりました(前連結会計年度は3,340百万円の使用)。これは、前連結会計年度において短期借入金を4,000百万円減少させたこと、並びに当連結会計年度における長期借入による資金の調達が前連結会計年度に比べ573百万円減少したことの影響によるものであります。
以上及び現金及び現金同等物に係る換算差額等により、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から521百万円増加し、5,254百万円となりました。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の売上高は、既受注工事の売上寄与が前年度で終了したことと当期受注高の減少を反映し、36,104百万円と、前連結会計年度に比べ8.1%減少いたしました。
売上原価は、売上高の減少に加え、エンジニアリング事業におけるプロジェクト管理の徹底による手持工事の工事採算改善もあり、前連結会計年度に比べ3,229百万円減少の29,039百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費等の減少がありましたが、見積設計費、研究開発費等の増加があり、前連結会計年度に比べ、520百万円増加の5,770百万円となりました。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ、487百万円減少の1,294百万円となりました。
セグメントの営業利益の状況は、次のとおりであります。
エンジニアリング事業では、国内外での多くの建設工事の実績により蓄積された「エンジニアリング技術とノウハウ」を基盤として、民間向け各種プラント・装置及び官公庁向け下水処理装置の受注確保に努めました。中期経営計画において成長分野として位置付けている事業のうち、水素につきましては当社川崎製作所内での実証用水素ステーションの建設、バイオガスにつきましては高効率下水汚泥消化システムの実証に向けた取り組み等を行い、関連技術の拡充・強化に向けた活動を行いました。海外につきましては引き続き東南アジア地域において、日系企業向けプラント案件の開拓に取り組みました。
受注高は、当社関連業界における設備投資が依然として力強さを欠く中での厳しい受注競争に加え、期待していた案件の延期、水素ステーション案件の減少、海外プラント案件での逸注等もあり、前連結会計年度を下回りました。
売上高は、既受注工事の売上寄与が前年度で終了したことと、受注高の減少を反映し、23,534百万円と前連結会計年度を10.0%下回りました。
単体機械事業では、製造業として築いてきた「モノづくりに根ざした確かな技術と徹底した品質管理」を基盤として、主力製品である三菱油清浄機の拡販と、各種単体機械案件の掘り起こし等により、受注確保に努めてまいりました。また、中期経営計画において成長分野として位置付けている船舶環境規制対応機器等の製品開発を引き続き推進するとともに、新製品・新技術として今後成長が期待される電子材料等向け精密ろ過機の開発にも注力してまいりました。
受注高は、造船不況の影響による三菱油清浄機の引き合い減少、当社関連業界における設備投資が依然として力強さを欠く中での各種単体機械の厳しい受注競争、また、発電所向け海水取水用除塵設備案件の一部延期等もあり、前連結会計年度を下回りました。
売上高は、12,570百万円と前連結会計年度を4.4%下回りました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は976百万円となりました。