文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループの一貫した基本方針は、「モノづくりに根ざした確かな技術と徹底した品質管理に基づく高品質な製品・設備を提供すること。」であります。
当社グループは、これまで培ってきた技術、経験、ノウハウを活用し、絶え間ない新製品、新技術の開発、改良により、エンジニアリング、化学工業機械等の分野において、新しい時代のニーズに応えるとともに、既存の製品・技術にとらわれない新しい事業分野にも積極的にチャレンジし、顧客のあらゆる要望に応える製品、技術、サービスの提供を目指してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、平成27年度に10年後のあるべき姿として「10年後には売上高1,000億円規模を目指す」とする企業ビジョンを策定いたしました。平成28年度から始まる3ヵ年の中期経営計画は、この企業ビジョンを達成するための第1ステップとして位置づけ、①次世代成長分野への投資、②将来への経営基盤確立の2つを骨子としております。
①次世代成長分野への投資では
1)次世代技術・分野への挑戦と積極投資
2)海外市場開拓と売上の拡大
3)成長に向けたアライアンスの推進
4)構造改革によるエネルギー事業分野の推進
を実施し、達成のため、積極的にアライアンスを活用することとしております。
②将来への経営基盤確立では
1)差別化の推進による既存事業の競争力アップと市場開拓
2)グループ組織再編による組織力強化と収益力向上
3)再構築事業の見直しによる採算性の向上
をはかり、既存事業を基盤事業、積極成長事業、次世代事業、見極め・再構築事業に分類し、注力分野を
明確化して、将来の経営基盤を確立いたします。
(3)経営環境
エンジニアリング事業においては、海外プラント案件が増加しており、台湾やアジア全体では電子・電材向け機能性化学品、自動車関連産業の樹脂新製品、そして、食品を中心としたプラントの新設・増強計画が増加傾向にあります。一方、国内では、老朽化設備、機械設備の更新、生産効率化に向けた設備投資は堅調ではあるものの、施工実施の判断には慎重な動きとなっております。
水素ステーション建設については、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて建設計画が徐々に動き出しております。また業界を通して、CO2フリー水素社会に向けて更なる技術革新(製造、貯蔵、運搬)の動きも活発化しております。
単体機械事業においては、船舶からの大気汚染防止のための規制の強化が始まります。国際海事機関(IMO)は、一般海域を航行する全ての船舶を対象に、2020年1月より硫黄含有率が0.5%以下の燃料油の使用を義務付けました。現行の硫黄分含有率が3.5%の燃料油を継続して使用する場合、SOxスクラバーの設置が必要となり、スクラバー装置の搭載が活発化しております。
(4)対処すべき課題
当社グループは持続的成長と企業価値の向上を目指して、引き続き3ヵ年の中期経営計画の骨子に沿って、事業を展開してまいります。中期経営計画の最終年度にあたる平成30年度の主な取り組み方針は次のとおりです。
①受注の確保・拡大
当社グループの中長期的な成長のためには、受注の確保・拡大は最重要課題であります。受注高の伸び悩みにより売上高が2事業年度連続して減少している状況を踏まえ、受注の確保・拡大を全社的な課題として再認識し、取り組みをさらに強化してまいります。このため、当社は本年4月に、営業戦略立案及び受注拡大支援を目的とした全社横断型の新組織である営業戦略統括室を立ち上げました。また、民間を対象とし顧客が共通するケースも多いプラント及び単体機械の営業部門をワンフロアに集約した新しい営業事務所(名称:川崎フロントオフィス)を、本年5月に開設いたしました。これらを活用し、エンジニアリング・単体機械の各事業の枠を越えた連携、協働及び情報共有を推し進め、戦略的かつ機動性の高い営業活動を展開し、営業力の強化、向上をはかり、重要案件の必注と新規顧客・案件の開拓及び獲得に努めてまいります。海外案件につきましては、東南アジアの既存拠点を活用し、得意分野における案件獲得への取り組みを進めてまいります。
②コスト改善
各種工事における設計段階からの効率化、また、手持工事の施工における工程管理の徹底により、工事コスト改善に引き続き努めてまいります。併せて品質・納期管理を徹底し、顧客満足度のさらなる向上を目指します。
③次世代成長分野事案への対応
中期経営計画において成長分野と位置付けている水素、バイオガス、船舶環境規制対応機器の分野への取り組みを引き続き強化、加速してまいります。水素ステーションにつきましては、政府の燃料電池自動車普及計画の見直しにより案件が減少しておりますが、当社敷地内の実証用施設であるMKK川崎水素ステーションを活用し、今後の案件増加と普及に備えた技術開発を進めてまいります。また、広義の電気エネルギー供給源としての水素を活用した技術の開発にも取り組んでまいります。バイオガスにつきましては、前年度に引き続き、「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証研究」による高効率消化システム実証の取り組みを進めてまいります。船舶環境規制対応機器につきましては、適用規制及び市場動向に的確に対応した製品開発及び受注活動を進め、基盤技術の強化と製品ラインアップの充実をはかってまいります。いずれの事案につきましても、綿密な戦略ロードマップを策定し、市場及び顧客ニーズに適合した製品・技術をご提供できるよう、全社を挙げてフォローしてまいります。
④業務効率化・意識改革・人材育成
全社的には、業務効率化、間接コストの改善、財務体質の強化等による企業体質の強化施策を継続してまいります。各種業務への取り組みにあたっては、PDCA(計画・実行・評価・改善)の一層の重視をはじめとした意識改革を引き続き徹底してまいります。併せて、当社の技術・技能を継承し発展に繋げることを目的とした人材育成施策を引き続き重要課題として取り組んでまいります。また、企業ビジョン及び経営目標の実現に向けて最大限の力を発揮できる組織づくりと、主体的に判断・行動し目標に挑戦する人材の育成を目指して、新しい人事制度を策定、導入することとしております。
また、モノづくりとエンジニアリングを行う企業集団として、安全の確保に、より一層注力してまいります。併せて、社会的に信頼される企業集団を目指して、引き続き法令遵守の徹底と、会社法及び金融商品取引法に対応した内部統制システムの適切な運用に努めるとともに、コーポレート・ガバナンスにつきましても一層の充実をはかってまいります。株主のみなさまにおかれましては、今後とも、なお一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、次のようなものがあります。
なお、本項における将来に関する事項は、連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経済情勢
当社グループの主要顧客である化学・石油・ガス・海運業界及び公共下水処理等の設備投資の動向により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)価格競争
当社グループの受注は請負契約が主体であり、激化する価格競争の中で、競合先に対して価格優位性が保てない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)資材調達コスト
受注から引渡しまでの工期が長期に亘る工事もあり、急激な素材価格等の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)安全、品質問題
多額のコストを必要とする製品欠陥が発生する場合、また、建設工事現場において事故・災害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外取引先の選定・管理
海外企業を調達・下請先として利用することがありますが、これら海外企業の品質不良・納期遅延や倒産等により、プロジェクトの採算が悪化することがあります。海外取引先の選定・管理を誤ると、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)技術者の確保・育成
当社グループの事業に必要な技術を有するエンジニアの確保と育成ができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)研究開発・技術提携
研究開発の結果生み出した新製品・新技術及び技術提携により導入した技術が販売目標を達成できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)取引先企業の信用
顧客企業及び仕入先企業の業績不振、倒産等によって入金遅延、納期遅延等が発生する場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)為替レートの変動
外貨建取引における他の通貨に対する円高は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)株価下落
当社グループは取引先、金融機関等の市場性のある有価証券を保有しておりますが、株価の下落によって保有有価証券に評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)退職給付債務
当社グループの退職給付費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率により算出しており、割引率の低下や年金資産運用利回りの悪化は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)借入金の財務制限条項
当社グループの借入金の一部については、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。当該契約には、融資契約上の債務について期限の利益を喪失する財務制限条項が定められており、これに抵触した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)コンプライアンス違反
従業員等による業務上の不法行為や違法行為により当社グループは刑事上、民事上、行政上の責任を負うことがあります。これらの処分に加え、社会的な信用を失うことは、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)自然災害等
地震や風水害等の災害が発生した場合に、当社グループの主要な生産拠点における生産設備、製品等が破損することがあります。また、これらの災害に起因するサプライチェーンの混乱は、当社グループの生産活動をはじめとする事業全般に影響を及ぼすことがあります。これらの災害により直接的・間接的な被害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュフロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の回復を受けて輸出が増加し、国内においても雇用環境や企業の景況感の改善が続く中、民間設備投資は緩やかに増加し、個人消費も持ち直す等、景気は緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、海外政情不安、北朝鮮情勢をはじめとする地政学リスクの高まり、さらには米国政権における保護主義の強まり等もあり、株価が下落し為替も円高傾向となる等、先行き不透明な状況が続きました。
このような事業環境の下、当社グループは、次世代成長分野への投資及び将来の経営基盤の確立を柱とする3カ年の中期経営計画の2年目にあたり、受注の確保に注力するとともに、コスト改善、水素をはじめとする成長分野事業への対応加速、業務効率化、経費節減等を重要取り組み方針として事業活動を展開し、業績向上に努めてまいりました。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度の受注高減少を反映し、32,336百万円と前連結会計年度と比べ10.4%の減少となりました。
損益面におきましては、売上高の減少による売上総利益の減少により、営業利益は前連結会計年度に比べ21.3%減少の1,018百万円となり、経常利益は前連結会計年度に比べ3.8%減少の1,300百万円となりました。また、投資有価証券売却益及び固定資産売却益を特別利益に計上したことに加え、これまでの実績及び今後の業績動向を勘案して繰延税金資産を計上した結果、法人税等調整額がマイナスとなりましたため、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ202.0%増加の2,949百万円となりました。
エンジニアリング事業については、売上高20,012百万円(前年同期比15.0%減)、営業損失235百万円(前年同期は136百万円の損失)となりました。
単体機械事業については、売上高12,324百万円(前年同期比2.0%減)、営業利益1,253百万円(前年同期比12.4%減)となりました。
財政状態におきましては、当社グループの当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,625百万円増加し、44,359百万円となりました。流動資産は、受取手形及び売掛金の減少1,279百万円等がありましたが、電子記録債権の増加578百万円、主として試験研究費の補助金に係る未収入金が増加したことによるその他の増加1,062百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ395百万円増加し、27,616百万円となりました。
固定資産は、主として株価上昇に伴う時価のある有価証券の評価差額の増加による投資有価証券の増加1,230百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ1,230百万円増加し、16,742百万円となりました。
負債は、未払法人税等の増加828百万円等がありましたが、支払手形及び買掛金の減少1,757百万円、繰延税金負債の減少1,471百万円及び退職給付に係る負債の減少750百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ3,197百万円減少し、22,161百万円となりました。
純資産は、配当金の支払395百万円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上2,949百万円、退職給付に係る調整累計額の増加1,351百万円、その他有価証券評価差額金の増加1,096百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ4,823百万円増加し、22,197百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、売上債権の入金や、投資有価証券・固定資産の売却による収入等により一部相殺されたものの、仕入債務の支払いや、固定資産の取得等に資金を使用した結果、前連結会計年度末に比べ302百万円減少し、当連結会計年度末には4,951百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動に使用した資金は、392百万円となりました(前連結会計年度は860百万円の獲得)。これは、税金等調整前当期純利益の計上2,407百万円、減価償却費の計上587百万円、売上債権の減少額711百万円等により資金が増加しましたが、固定資産売却益の計上495百万円、投資有価証券売却益の計上701百万円、仕入債務の減少1,707百万円、主として試験研究費に係る未収入金の増加の影響によるその他資金の減少658百万円、法人税等の支払373百万円等により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により獲得した資金は、800百万円となりました(前連結会計年度は367百万円の使用)。これは、固定資産の取得による支出749百万円等がありましたが、固定資産の売却による収入550百万円、投資有価証券の売却による収入1,056百万円等の影響によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、524百万円となりました(前連結会計年度は87百万円の獲得)。これは、長期借入金1,000百万円により資金を調達いたしましたが、配当金の支払395百万円、自己株式の取得による支出107百万円、長期借入金の返済1,000百万円等に資金を使用したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
エンジニアリング事業(百万円) |
20,012 |
85.0 |
|
単体機械事業(百万円) |
12,324 |
98.0 |
|
合計(百万円) |
32,336 |
89.6 |
(注)1.金額は販売価額によっております。なお、セグメント間の内部売上高又は振替高はありません。
2.上記の金額は、消費税等を含んでおりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
エンジニアリング事業 |
24,356 |
104.2 |
21,735 |
125.0 |
|
単体機械事業 |
14,112 |
113.5 |
6,962 |
134.6 |
|
合計 |
38,469 |
107.4 |
28,697 |
127.2 |
(注)1.金額は販売価額によっております。なお、セグメント間の内部売上高又振替高はありません。
2.上記の金額は、消費税等を含んでおりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
エンジニアリング事業(百万円) |
20,012 |
85.0 |
|
単体機械事業(百万円) |
12,324 |
98.0 |
|
合計(百万円) |
32,336 |
89.6 |
(注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高はありません。
2.上記の金額は、消費税等を含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等は次の通りであります。
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ3,767百万円減少の32,336百万円、営業利益は前連結会計年度に比べ276百万円の減少の1,018百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,972百万円の増加の2,949百万円となりました。
当連結会計年度末における総資産は44,359百万円と、前連結会計年度末に比べ1,625百万円の増加となりました。また、当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益計上等により増加し、当連結会計年度末の自己資本比率は50.0%(前連結会計年度末は40.7%)に増加いたしました。
キャッシュ・フローについては、仕入債務の支払い、試験研究費に係る補助金の未収入金が増加したこと等により営業キャッシュ・フローはマイナスとなりましたが、投資有価証券の売却、固定資産の売却等による収入があり、フリーキャッシュ・フローはで407百万円の増加となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として造船業界や化学・素材関連などの民間のお客様の経済的環境要因や、政治的判断が影響致します。原油やエネルギー、鉄鋼資材などの調達価格や原材料、素材、化学製品などの市況、為替動向といった経済的環境や、関税などの通商政策や規制緩和、また国内公共事業においては官公庁、地方自治体の政策などがあげられます。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性ですが、資金調達については銀行からの借入により行っております。また、当社は取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメントライン契約を締結し資金の流動性を高めております。なお、当連結会計年度末における当該契約に基づく借入未実行残高は7,300百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、中期経営計画において定めている連結売上高及び連結営業利益としております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
エンジニアリング事業は、顧客ニーズの掘り起こしと引き合い案件の増加をはかり、民間向け各種プラント・装置及び官公庁向け下水処理装置の受注確保に努めました。また、中期経営計画において成長分野として位置付けている水素、バイオガス分野の拡充・強化をはかりました。水素につきましては、当社川崎製作所内に建設を進めておりました実証用水素ステーション(施設名:MKK川崎水素ステーション)が、昨年10月に竣工いたしました。バイオガスにつきましては、国土交通省の下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)に採択されました「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証研究」(佐賀県唐津市浄水センター)を、当社、唐津市、九州大学及び日本下水道事業団の4者体制で進め、実証研究施設を建設し、下水汚泥を含む未利用バイオマスの活用を推進し、地産地消のエネルギーシステムの確立を目指すプロジェクトに取り組みました。海外につきましては、引き続き東南アジア地域において、日系企業向けプラント案件の開拓に取り組みました。
受注高は、官公庁向け下水処理装置が前連結会計年度を大きく上回る成約を得ることができましたが、民間向け各種プラント・装置は、国内向け大型プラント、水素ステーション建設工事及び海外向け大型プラントの厳しい受注競争、期待していた案件の延期、逸注等もあり、前連結会計年度に比べ減少し、24,356百万円(前連結会計年度は23,381百万円)と前年度を4.2%上回るにとどまりました。
売上高は、前連結会計年度の受注高の減少を反映し、20,012百万円(前連結会計年度は23,534百万円)と前連結会計年度を15.0%下回りました。
単体機械事業は、主力製品である三菱油清浄機の拡販と、各種単体機械の提案型営業活動を展開し、受注確保に努めてまいりました。成長分野として位置付けている船舶環境規制対応機器につきましては、製品開発を引き続き推進し、NOx(窒素酸化物)規制対応装置の一つである排ガス再循環(EGR)システムの商用第一号機を出荷いたしました。新製品・新技術として注力しておりますナノ分野、精密ろ過分野向けのダイナフィルター(ディスク型セラミック膜フィルター)につきましても、顧客開拓及び販路整備を進めてまいりました。
受注高は、三菱油清浄機、各種単体機械ともに、前連結会計年度を上回る成約を得ることができ、14,112百万円(前連結会計年度は12,434百万円)と前連結会計年度を13.5%上回りました。
売上高は、前連結会計年度の受注高の減少の影響もあり、12,324百万円(前連結会計年度は12,570百万円)と前連結会計年度を2.0%下回りました。
(1)当社が技術援助を与えている契約
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相手方の名称 |
内容 |
契約期間 |
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韓国 ㈱三工社 |
油清浄機の製作販売 |
平成24年6月28日から 5年間 その後は1年毎に自動更新 |
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韓国 FINE社 |
差動回転式高効率スクリュープレスの製作販売 |
平成28年11月7日から 10年間 |
(2)当社が技術導入をしている契約
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相手方の名称 |
内容 |
契約期間 |
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独国 アンドリッツケーエムピーティ社 |
遠心分離機、乾燥機の製作販売 |
昭和39年6月2日から 平成31年12月31日まで |
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米国 イートンハイドロリクス社 |
ヘイワード・ストレイナの製作販売 |
昭和44年1月28日から 平成32年5月9日まで |
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米国 J.S.シュナイダー他2名による ジョイントテナント(権利継承者) |
シュナイダーフィルタの製作販売 |
昭和48年3月1日から 平成37年12月31日まで |
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米国 ワーレイ・パーソンズ・インターナショナル社 |
硫黄回収装置の製作販売 |
平成12年3月1日から 無期限 |
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オーストリア国 AAT社 |
無動力メタン発酵装置、メンブレンガス貯留装置の製作販売 |
平成14年5月17日から 平成34年5月16日まで |
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米国 NEIトリートメントシステムズ社 |
バラスト水処理装置の製作販売 |
平成18年8月28日から 平成31年8月27日まで |
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デンマーク王国 Nel Hydrogen社 |
水素ステーション充填設備の開発・販売 |
平成27年3月11日から 平成36年12月31日まで |
当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業198百万円、単体機械事業92百万円の総額290百万円であります。主な研究開発は次のとおりであります。
(エンジニアリング事業)
水素ステーションの建設
平成26年12月に燃料電池自動車(FCV)の市販が開始されて以来、普及台数は2,000台を超え、全国の水素ステーション数は本年4月時点で約100ヶ所と水素社会の実現に向けたインフラ整備が着実に進んでおります。
また、経済産業省が平成28年3月に公表した「水素・燃料電池戦略ロードマップ改訂版」により、水素ステーションの設置数は、2020年までに160ヶ所程度、2025年までに320ヶ所程度とする目標が明示されました。これに加え、東京オリンピック・パラリンピックを「水素社会のショーケース」とする方針が示された事、また水素ステーション運営事業者、自動車メーカー等計11社(設立時)による、水素ステーション事業の新会社設立等により、水素社会の実現に向けた取り組みがさらに加速していくことが予想されます。
当社は実証用水素ステーション建設開始初期より、小型水素製造装置の開発・納入及び建設工事に携わってまいりましたが、更なるコスト競争力・技術力強化のため、平成27年にデンマークのH2 Logic社(現Nel Hydrogen社)から水素ステーション充填パッケージ「CAR-100」を技術導入し、日本国内仕様に適合させる商品化開発に取り組んでまいりました。
平成29年度は、水素ステーション充填パッケージHy-Regulusの実証運転、水素製造装置HyGeia-Aの運転最適化・効率化・改良等の検討を目的とした、実証用水素ステーションを当社川崎製作所内に完成させ、実証運転を開始しました。現在も鋭意試験を実施中です。
当社は、Hy-RegulusとHyGeia-Aを積極に市場投入し、CO2削減に寄与する水素社会の実現に貢献してまいります。
高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証研究
当社は下水汚泥を減容化させると同時に汚泥から再生可能エネルギーであるバイオガスを発生させる消化設備を今迄に多数納入してきております。
その一方で、再生可能エネルギーであるバイオガスを、より省エネルギーでより効率的に発生させる汚泥可溶化設備の研究を進めてきました。
この研究成果を基に平成29年2月に国土交通省の平成29年度下水道革新的技術実証事業(B-DASH)に「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証研究」を提案・応募して採択されました。
国土交通省国土技術政策総合研究所からの研究委託として平成29年7月に契約し、平成30年1月に完成させ、実証運転を開始しました。
平成30年度も引き続き委託を受け、実証運転を1年間継続して行い、安定した運転と性能を確認して、本技術を適用する場合のガイドラインを作成していきます。
本システムは、下水処理場に生ごみや他の処理場からの汚泥を受入れ、未利用バイオマスを集積することにより、下水処理場を地産地消エネルギー創世の拠点としていくための理想的なシステムの一つとして注目されています。
実証終了後は、全国に約300箇所あると言われている消化槽を有する下水処理場に向けて本技術の拡販に取組んでいきます。
(単体機械事業)
船舶国際環境規制への対応製品
「SOX規制」
船舶から排出される硫黄酸化物(SOX)の排出規制は、2020年からすべての海域で高価な低硫黄燃料の使用を義務付けました。
当社は、三菱重工業(株)殿と共同して「三菱ハイブリッドSOxスクラバー」を開発、川崎汽船(株)殿の自動車運搬船へ初号機を搭載し、国産で初となる船籍国(パナマ)からの承認を取得するとともに、海事三学会より「コンテナパッケージ型ハイブリッドSOxスクラバーシステム」としてマリンエンジニアリング・オブ・ザ・イヤー2016を受賞いたしました。
当年度は、初号機の納入経験を基に、スクラバーシステムの改良を実施いたしました。
現在、SOxスクラバー需要は急拡大しており、国内外を問わず新造船やレトロフィットの引き合いに対応し、着実に納入実績を重ねております。
「NOX規制」
窒素酸化物(NOX)の排出規制として、平成28年の起工船から、指定された海域での排出規制が開始されています。このNOX規制に対応するエンジンシステム(EGR)の排水処理部分を当社が対応しています。
大手エンジンメーカであるMAN Diesel&Turbo社およびジャパンエンジンコーポレーション社のEGRシステムに対応した排水処理システムをそれぞれ開発し、販売をしています。
また、本年10月に改訂が予定されているIMO規制に対応した処理システムをラインナップし、ユーザーの要求に幅広く対応していきます。
大容量回転式セラミック膜フィルタ(DyF)の開発
当社は、大容量DyFの開発をさらに推し進め、2軸DyFF312/72d機を開発するとともに、これまでのバッチ式運転から連続処理も可能なシステムを開発いたしました。
電子材料、ファインケミカル分野の他、さらに食品、飲料、バイオの分野への用途開拓を進めています。