当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの一貫した基本方針は、「モノづくりに根ざした確かな技術と徹底した品質管理に基づく高品質な製品・設備を提供すること。」であります。
当社グループは、これまで培ってきた技術、経験、ノウハウを活用し、絶え間ない新製品、新技術の開発、改良により、エンジニアリング、化学工業機械等の分野において、新しい時代のニーズに応えるとともに、既存の製品・技術にとらわれない新しい事業分野にも積極的にチャレンジし、顧客のあらゆる要望に応える製品、技術、サービスの提供を目指してまいります。
当社グループは、2021年11月に「三菱化工機グループ2050経営ビジョン」(以下「経営ビジョン」)を策定し公表いたしました。2050年を最終到達年として、2035年の当社創立100周年を踏まえた長期ビジョンであり、 SDGsへの取組みも含め、2035年には当社の既存技術・製品からなる事業と、それをさらに深化させた事業に加え、新しい分野の事業を合わせて事業規模を1,000億円に拡大していくものであります。
2050年までに、5つの社会課題「CO2・気候変動」「資源循環」「水・食料」「自然災害」「労働力不足」の解決に貢献する企業グループを目指し、全社目標に「持続可能な発展に挑戦し、快適な社会を実現する」を掲げ、以下の4つの事業領域を展開することといたしました。
①持続可能な循環型社会推進事業
②水素を核としたクリーンエネルギー事業
③デジタルを活用した省力・省エネ事業
④水・食・自然災害等の課題解決に向けた次世代技術開発事業
当社グループは、昨年新たな中期経営計画(2022年度~2024年度)を策定いたしました。本中期経営計画は、経営ビジョン実現に向けた成長の足固め期間と位置付け、① 新たな事業ポートフォリオの確立、② 経営基盤の確立の2つを骨子としております。
2) 既存事業の再構築および収益性の改善
を実施し、新規事業領域への経営資源創出のため、各事業の選択と集中を進め、新たな獲得事業や既存事業の深化に対して経営資源をシフトしてまいります。
に注力してまいります。戦略的事業領域に対応する製品開発の推進、グループ連携強化による連結業績の向上・人的リソースの活用、非財務情報の開示強化や資本政策の強化といった社会・資本市場からの要請に対応していくことで経営基盤の確立をはかってまいります。
(エンジニアリング事業)
プラント事業においては、前連結会計年度に引き続き化学関連プラントの需要が堅調に推移しました。半導体に関連する設備投資が増大いたしましたが、ウクライナ情勢、新型コロナウイルスの影響による継続的なサプライチェーン混乱の影響により、電子部品の納期遅延や資材価格の高騰が続き、プラントコストが増大しました。
水素関連においては、半導体電子材料業界を中心に需要は底堅く推移いたしました。また、カーボンニュートラルに向けて脱炭素関連の案件が増加しました。水素関連市場の立ち上がりは依然として途上ですが、脱炭素化の加速により、水素のブルー及びグリーン化を求める動きが加速しております。
環境事業においては、PFI等の発注形態である大型案件が増加しております。主力の下水処理分野における需要は、昨年同様ほぼ横ばいの状況が続きました。一方で、バイオガス関連では脱炭素化の加速により、民間でのバイオガス利用市場に活発な動きがみられました。
(単体機械事業)
各種産業機械においては、化学・ファインケミカル、医薬、エネルギー・発電の分野で国内生産増強、老朽化設備の更新需要が堅調に推移しております。また、脱炭素化、生産効率向上を目的とした設備投資の検討が具体化しております。
主力の油清浄機においては、造船業界及び海運業界の復調から販売が堅調に推移しておりますが、燃料のクリーンエネルギー化が加速しており、その対応が求められております。
SOx(硫黄酸化物)規制においては、一般海域を航行する全ての船舶を対象に、2020年1月より硫黄分0.5%以下の燃料油使用、または、スクラバの設置を義務化しております。一部でスクラバの設置がありましたが、規制適合燃料の採用傾向が続いております。
一方、NOx(窒素酸化物)規制においては、国内新造船市況の回復に伴い、欧州及び米国の規制海域(ECA)を航行する船舶向けの環境規制対応機器の販売が堅調に推移いたしました。
当社が昨年策定した新たな中期経営計画で対処すべき課題は以下の2点であります。
①新たな事業ポートフォリオの確立
1)既存事業の再構築
昨年10月より新規投資及び既存事業見直しのため、ROIC(投下資本利益率)を用いた評価ルールの運用を開始いたしました。成長性と収益性の観点から事業を評価し、必要に応じて梃入れ・撤退を実施し事業の選択と集中を推進するものです。これにより既存事業の事業規模維持と営業利益率の改善をはかります。
2)新規事業の創出
本年4月に経営ビジョンで定めた4つの戦略的事業領域、中でも水素を核としたクリーンエネルギー事業とリサイクルを中心とする循環型社会推進事業を一体となって推し進めるため、核となる環境事業本部と水素・エネルギープロジェクトセンターを統合し、環境・水素・エネルギー統括本部を立ち上げました。同本部と昨年設置した技術開発・生産統括本部が連携し、全社的な活動を通じて、新たな事業領域、戦略的事業領域での社会貢献価値の創出に努めてまいります。
②経営基盤の確立
1)モノづくり戦略の確立
以下の3点を推進することで当社グループのモノづくり戦略を確立してまいります。
・省エネ、脱炭素化、ゼロエミッション工場を推進
・DXを活用したモノづくりの高度化・効率化、生産体制の強化を推進
・モノづくりにより培ったノウハウで戦略的事業領域に対応する製品開発を推進
「モノづくり戦略の確立」の一環としての川崎製作所の建替事業のより具体的な検討を進めてまいります。
2)グループ経営の推進
当社グループの保有するビジネスチェーン、人的リソースを活用することで機会損失の減少、収益力の向上を目指してまいります。
3)企業価値の向上
TCFD提言に沿った取り組み等、非財務情報の積極的開示を通じてステークホルダーとのエンゲージメントを深めてまいります。
人事施策につきましては多様性の観点を基本とし、適材適所の配置を行うことで、すべての従業員が能力を発揮し活躍できる環境を整備するとともに、当社の持続的成長のための事業環境の変化に対応できる先見性・リーダーシップ・変革意識を備えた人材の採用・育成を通じて、経営人材・専門人材のプールを構築し、当社グループ横断での人材開発・活用を推進してまいります。
財務面では、自己資本比率の適切な水準維持とROE向上のため資本効率を高める施策を実行してまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)等については、中期経営計画において定めている連結売上高、営業利益率及びROEとしております。当社グループでは、利益指標を最重視しており、安定的高収益体制を構築するため営業利益率を、また、資本効率の向上で市場評価を高めることを目的としてROEをそれぞれ収益性の指標として採用しております。
(注)上記KPIについては有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティについての取組
当社は、これまで培ってきた技術とノウハウを活かし、SDGsの取組みも含め社会課題に対応する企業グループを目指し、「持続可能な発展に挑戦し、快適な社会を実現(MORE Sustainable, KEEP Innovating for a KINDHEARTED Society)」をビジョン・ステートメントに掲げた「三菱化工機グループ2050 経営ビジョン」を策定いたしました。
その中で、CO2・気候変動対策を解決すべき社会課題の1つとして設定し、「循環型社会推進」「クリーンエネルギー」「省力・省エネ」「次世代技術」を中核とした戦略的事業領域の取組みを進めております。
また、この経営ビジョンの実現に向けて、2022年度から3ヵ年の中期経営計画において、戦略的事業領域から特に「循環型社会推進」に関連する有機性廃棄物リサイクル等、及び「クリーンエネルギー」に関連するカーボンリサイクル、ブルー・グリーン水素製造等の分野への取り組みを積極展開しております。それにより、企業価値の向上をはかり、全てのステークホルダーの皆様に信頼される企業を目指し、本計画の達成に全力で取り組んでおります。
当社は、2022年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD, Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言への賛同を表明しております。中期経営計画の達成への取組みと相まって、気候変動への取り組みを積極的に推進し、同提言に則って、気候変動に関わるガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標について開示を行ってまいります。
①ガバナンス
当社取締役会は、気候変動問題への対応を経営上の重要課題の1つであると認識しており、リスク管理の観点だけでなく事業創出の観点からも重要な施策の意思決定をするとともに執行状況を監督しています。
重要課題に対する進捗を測る経営指標と目標を定め、当社取締役社長を統括責任者として気候変動問題への対応を含むサステナビリティに関する活動を全社的・継続的に推進する常設委員会である「サステナビリティ委員会」を中心とした推進体制のもと、進捗モニタリングをしていきます。また、当社取締役会が定期的に当委員会から当社グループの気候変動問題への対応を含むサステナビリティへの取組状況に関する報告を受ける体制を構築しています。

当社は、2100年時点の世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して、1.5℃以下に抑制しながら経済成長を目指すシナリオ(以下「1.5℃シナリオ」)と現状ベースで化石燃料をエネルギーの主体として経済成長を目指し同4.0℃上昇することが想定されるシナリオ(以下「4℃シナリオ」)の2つの気候変動シナリオを設定し、分析を実施しています。
1.5℃シナリオでは、移行リスクとして、例えば炭素税の導入による資材・エネルギーコストの上昇、それによるエネルギー効率の低い設備需要の減少、並びに化石資源関連産業及び化石燃料を使用する設備向けの製品の需要減少などが想定される一方で、脱炭素化に対応した製品・技術へのニーズが一層高まることが想定されます。当社は水質汚濁防止・大気汚染防止などの環境分野をはじめとして社会課題に対応した装置・設備の設計・製作・建設で多くの実績を有しております。これらの要素技術は脱炭素化に対応する水素に係る製品・技術や藻類の培養・活用にも応用できる当社の強みと考えており、事業機会も十分に存在するものと考えております。
4℃シナリオでは、気候変動による自然災害の激甚化によるリスクに対応するレジリエントな装置・設備ニーズに対して当社の既存製品・技術を提供する機会が生ずるものと考えておりますが、洪水・海面上昇等による調達先や輸送網といったサプライチェーンへの影響や工程の遅延、及び平均気温上昇による作業効率の低下などによる物理的リスクの方が大きいものと考えております。
気候変動がもたらすリスク
※1 資材・電力の調達コスト増(利益減)は、利益率10%と仮定し、影響額÷10%=売上額の換算で影響度を評価
※2 エンジニアリング&マニュファクチャリング
気候変動がもたらす機会
気候変動問題に関連するリスクの管理については、ガバナンスの項の図で示した通り既存の「リスク管理委員会」と相互連携しています。その役割分担は、常設委員会である「(仮称)サステナビリティ委員会」においてリスクの抽出・特定を管掌するとともに、「リスク管理委員会」においてリスク対応方針の決定・進捗管理を管掌しています。
「リスク管理委員会」においては、全社リスク管理において対象とするリスクの類型に気候変動問題に関連するリスクがあることを明示するとともに、「サステナビリティ委員会」で重要と判断されたリスクを全社重要リスクとして管理し、その対応状況を定期的に取締役会に報告しています。
これらの活動を通じて、全社的な短期・中期・長期のリスクを抽出し、評価及び対応策の検討を行い、取締役会にて監督を行っています。
当社は、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、バリューチェーンでの温室効果ガス(GHG)排出量を算 定・把握し、2つの目標を設定し取り組みを進めてまいります。
ⅰ)当社グループのGHG排出量(Scope1,2)を2050年までにNet Zeroへ
当社グループは、工場・オフィスからのGHG排出量を2050年までに排出量実質ゼロとしてまいります。この長 期目標の達成に向けて、再生エネルギー由来の非化石証書付きの電力供給契約のほか主力工場における太陽光PPAモデルによる使用電力の一部再生エネルギー化を実施する等により、2030年までに2021年度比で50%以上の削減を図ってまいります。
ⅱ)社会課題への貢献に寄与する新規事業領域の成長を加速
当社は、「三菱化工機グループ2050 経営ビジョン」を掲げ、CO2・気候変動や資源循環などの5つの社会課題 を抽出し、持続可能な発展に挑戦し、快適な社会の実現に向けて4つの戦略的事業領域を設定しております。
戦略的事業領域のうち、①持続可能な循環型社会推進事業、②水素を核としたクリーンエネルギー事業、③デジタル技術を活用した省力・省エネ事業の3つは、当社グループのバリューチェーン全体のCO2排出量削減につながるものであり、2035年までの中核事業と位置づけて取り組みを進めています。
①持続可能な循環型社会推進事業
産業や一般家庭から排出されるCO2を含む廃棄物を再資源化する事業であり、有機性廃棄物のリサイクルにおけるバイオガス事業、有価物リサイクルにおける廃プラスチックリサイクル事業、カーボンリサイクルにおけるCO2回収事業などに代表されるものです。可溶化技術、バイオガス化技術、膜・吸着等分離技術など当社技術の活用・深化により展開をはかってまいります。
②水素を核としたクリーンエネルギー事業
CO2排出低減に貢献する水素を核としたクリーンエネルギーの生成・利活用事業であり、水素製造におけるグリーン水素・ブルー水素事業、水素サプライチェーンにおける水素輸送・貯蔵・供給関連事業、創エネルギーにおけるバイオ関連事業などに代表されるものです。再生可能エネルギー創生技術、水素製造技術、高効率水電解技術、吸蔵合金技術、培養・抽出技術など当社技術の活用・深化により展開をはかってまいります。
③デジタルを活用した省力・省エネ事業
デジタルを活用し、工場のエネルギーや廃棄物の極小化に貢献するE&M(エンジニアリング&マニュファクチャリング)及びO&M(オペレーション&メンテナンス)事業であり、EPCの自動化・高効率化技術、3Dエンジニアリング、RPAなど全社横断的に当社技術を活用・深化することにより機能を発揮すべく、新たに設置した「技術開発・生産統括本部」と「DX推進部」を中心に全社協働して省力・省エネ事業の基盤強化に努めてまいります。
戦略的事業領域は、当社グループのバリューチェーン全体のCO2排出量削減につながるものであることから、これら事業を中核事業に据えるとともに新たな事業ポートフォリオの確立をはかり、2035年までに既存事業領域と合わせて売上高1,000億円を達成すべく、取り組みを進めてまいります。
(3)人的資本
『モノづくりに根ざした確かな技術と徹底した品質管理に基づく高品質な製品・設備を提供し社会の発展に貢献する』ことを企業理念としている当社グループにおいては、「人」は最大の経営資本です。従業員一人ひとりが心身ともに健康に、働きがい(働きやすさとやりがい)を感じながらイキイキと活動することにより、個人と企業がともに成長・発展することのできる職場環境と風土づくりを推進しています。
①ガバナンス
取締役社長を含む経営陣幹部の任命は、すべてのステークホルダーにとって企業の中長期的発展・サステナビリティに関わる最も重要な問題のひとつであることから、当社においては指名報酬委員会を設置し、経営陣幹部の選解任・人材育成状況のモニタリング等を行っております。また、従業員は事業活動を支える最も重要な経営資本であることから、職業能力を伸長・発揮することができるよう、経営陣幹部を構成員とする人事管理委員会を設置し、人事評価・昇降格その他人事管理に関する適正な運用の確保に努めるとともに、当該委員会に設けた分科会において主要役職の人材プールを設定し、計画的な人材育成に努めています。
②戦略
当社は、高い技術とプロ意識を持ち、人の和とルールの遵守を大切にした人材を育成することを人材理念としております。その理念に基づき、①各部門において日常業務を通じて継続的に行われるOJT、②階層別教育訓練・職能別専門教育訓練等のOff-JT、③自己啓発及び④業務を通じての能力発揮機会の提供を組み合わせて継続的に実施していくこととしております。
今後の経営戦略に照らすと、事業領域のシフトと拡大を推進するとの観点から、行動力・実行力、自律性、高い技術力及び倫理観等の能力を備える人材を育成することが必要と考えており、自らの役割を主体的にとらえて創造性を発揮する自律型人材の育成を進めるべく、各人の役割から具体的に導かれる遂行実績(成果)とそれを創出するための行動を評価する人事制度、及び、自律的な教育訓練を支援する研修制度を導入しています。
また、働き方改革や職場風土改革の活動を通じて自由闊達で一体感のある職場風土を醸成し、社内に異なる経験・技能・属性を有する多様な人材を確保することのできる職場環境を整備し、会社の持続的な成長がはかれるように努めています。
具体的な取り組みについては、以下のとおりです。
ⅰ)働き方改革・ワークライフバランス
2019年度に働き方改革PJチームを設置し、ダイバーシティと生産性向上の取り組みを推進してまいりました。従来から実施しているフレックスタイム制度に加えて、テレワーク勤務制度、電子化の促進、Web会議システムの導入等、柔軟かつ多様な働き方を実現できる環境整備を行っております。また、新しい働き方に対応する事務所の集約・移転を実施いたしました。
ⅱ)育児休業等取得のための環境づくり
次世代育成支援の取り組みとして、仕事と育児を両立させることのできる働きやすい職場環境づくりを進めております。法定の育児休業等に加えて、産前産後の配偶者の特別休暇制度、失効年休積立による看護・介護休暇の有給化、小学校3年生までの育児短時間勤務制度、ジョブリターン制度等を実施しております。特に男性従業員の育児休業取得率の向上を目標に施策を実施しており、2022年度の実績では 男性育児休業の取得率は70%以上となっています。
ⅲ)職場風土改革の実践
2014年度より風土改革推進委員会を設置し、全従業員に意識調査(エンゲージメント調査)を実施し、その結果に基づいた風土改革活動を継続しております。従業員一人ひとりが当社の従業員として誇りと責任を持ち、イキイキと働き、仕事を通して更なる自己実現ができる企業風土へと変革させ、そうした多様な人材の活躍を価値創造につなげることができるよう、今後もこの活動を継続してまいります。
ⅳ)社内公募制度
従業員が当社における自らのキャリアイメージを明確化することにより自己研鑽や早期育成の促進をはかるとともに、本人希望や適性をマッチングさせたジョブローテーションや育成等に資するため、キャリアデザインシートによる自己申告を実施し、従業員のキャリア開発を支援し、組織及び従業員の活性化並びに長期的な発展に努めてまいりました。これに加えて2022年度からは、社内公募制度を開始し、従業員がより自律的にキャリアを形成し、キャリアオーナーシップを持って働くことのできる環境を整備しております。
③リスク管理
会社の事業活動においては、多様な人材が集まり、一人ひとりが職業能力を最大限発揮できることが重要と考えています。人材の流動性が高まる中、採用競争力が低下して計画した人材獲得ができなくなることや、従業員の離職により組織の総合力が低下することは、当社にとって重要なリスクであると考えていることから、雇用・人事・人材流出をリスク管理委員会において対象とするリスクとして管理し、定期的にリスクアセスメントの状況をモニタリングして必要な対応に努めています。
④指標と目標
上記の②戦略に係る指標につきましては、当社においてはこれらに係る具体的取り組み及び関連する指標のデータ管理が行われているものの、当社連結グループに属する全ての会社で一律には行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(1)女性の採用促進と管理職への登用
当社は、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、女性が職業生活において一層活躍することのできる雇用環境の整備に努めてまいりました。もともと当社では、女性従業員の割合が低いこと、女性管理職がいないことが課題でありましたが、正社員の採用者における女性比率の向上等に努め、2023年3月末現在、従業員に占める女性の割合は約15%であり女性の管理職3名の登用に至っております。現状、組織・事業の状況に応じて属性を問わない適材適所の柔軟な人材登用を進めるため、女性の管理職の登用自体に関する目標は設定しておりませんが、管理職の一つ下位である係長級の女性割合を10%以上とし、これを維持することを目標として取り組んでおります。
(2)中途採用者の管理職への登用
当社は、上記の多様性の確保についての考え方に基づき、中途採用者の人材の確保に取り組んでまいりました。2023年3月末現在、管理職の約48%を中途採用者が占めており、今後も現状以上を維持することを目標としております。
(3)外国人の管理職への登用
当社は、上記の多様性の確保についての考え方に基づき、外国人の人材の確保に取り組んでまいりました。2023年3月末現在、外国人管理職1名の登用に至っており、今後も現状以上を維持することを目標としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、本項における将来に関する事項は、連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの主要顧客である化学・石油・ガス・海運業界及び公共下水処理等の設備投資の動向により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの受注は請負契約が主体であり、激化する価格競争の中で、競合先に対して価格優位性が保てない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
受注から引渡しまでの工期が長期に亘る工事もあり、急激な素材価格等の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
多額のコストを必要とする製品欠陥が発生する場合、また、建設工事現場において事故・災害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
海外企業を調達・下請先として利用することがありますが、これら海外企業の品質不良・納期遅延や倒産等により、プロジェクトの採算が悪化することがあります。海外取引先の選定・管理を誤ると、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
雇用環境の変化が急速に進むなかで必要とする人材の確保ができなかった場合、当社グループの事業に必要な技術を有するエンジニアの確保と育成ができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
研究開発の結果生み出した新製品・新技術及び技術提携により導入した技術が販売目標を達成できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
顧客企業及び仕入先企業の業績不振、倒産等によって入金遅延、納期遅延等が発生する場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
外貨建取引における他の通貨に対する円高は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは取引先、金融機関等の市場性のある有価証券を保有しておりますが、株価の下落によって保有有価証券に評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの退職給付費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率により算出しており、割引率の低下や年金資産運用利回りの悪化は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 借入金の財務制限条項
当社グループの借入金の一部については、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。当該契約には、融資契約上の債務について期限の利益を喪失する財務制限条項が定められており、これに抵触した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
従業員等による業務上の不法行為や違法行為により当社グループは刑事上、民事上、行政上の責任を負うことがあります。これらの処分に加え、社会的な信用を失うことは、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
地震や風水害等の災害が発生した場合に、当社グループの主要な生産拠点における生産設備、製品等が破損することがあります。また、これらの災害に起因するサプライチェーンの混乱は、当社グループの生産活動をはじめとする事業全般に影響を及ぼすことがあります。これらの災害により直接的・間接的な被害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウィルス等の感染症のまん延などにより、当社関連工場や現場での当該感染者の発生、及び資機材の納期遅延などによる既存工事または計画における工程遅延の発生、そして、新型コロナウイルス等感染症の終息長期化に伴う景気後退による顧客の設備投資やメンテナンス工事などの減少、延期、中止などは、業績に影響を与える可能性があります。
(15)気候変動
世界の二酸化炭素の排出量の増加による地球温暖化は、大型台風や集中豪雨等の自然災害の激甚化・増加、平均気温の上昇による猛暑等をもたらすなど、経済社会環境へ様々な影響があります。また、これらの抑制のための社会的要求や、環境規制等に伴う製品・設備・職場環境等の低炭素、脱炭素への移行は、当社の製品の研究・開発、生産など、経営全般に亘って当社グループに影響をもたらします。これらは、当社グループのみならず、当社グループのサプライチェーンへの影響を通じて、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続きましたが、行動制限が徐々に緩和され経済社会活動が正常化に向かう中で、個人消費、民間設備投資には持ち直しの動きもみられました。一方で、ウクライナ情勢の長期化、円安の影響、資源・原材料価格の上昇とこれに伴う物価上昇、また、海外景気の下振れにより輸出等一部に弱さも見られ、景気は先行き不透明な状況が続きました。
このような事業環境の下、当社グループは、受注の確保及びコスト改善への取り組みを通じて、営業利益の確保に努めるとともに、引き続き次世代成長分野事案の推進、企業体質の強化等への取り組みを推進し、業績向上に努めてまいりました。また、脱炭素化等の社会課題を踏まえて一昨年策定・公表した「三菱化工機グループ2050経営ビジョン」の達成に向けた第一歩として、①新たな事業ポートフォリオの確立及び②経営基盤の確立を骨子とし当連結会計年度を初年度とする新たな中期経営計画(2022年度~2024年度)を策定・公表し、計画の達成に向けて活動を開始しました。中期経営計画の当社グループ内への一層の理解・浸透を図るため取締役社長自ら従業員と対話するタウンホールミーティングを実施するとともに、新たな事業ポートフォリオの確立を進めるため、事業の垣根を越えた全社目線の価値観の醸成を目的とした組織変更、新たな事業領域の取り組みに向けた協業・出資、カーボンニュートラルに関連した案件への取り組み強化や出資、今後の事業推進に向けた施設・設備の刷新等を行いました。
売上高は、国内連結子会社の売上高が減少し、44,590百万円と前連結会計年度と比べ1.9%の減少となりました。
損益面におきましては、人件費や見積設計費等販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は前連結会計年度に比べ9.0%減少の2,521百万円、経常利益は為替差益が減少したこと等により、前連結会計年度に比べ11.5%減少の2,859百万円となりました。減損損失及び固定資産撤去費用等を特別損失に計上いたしましたが、投資有価証券売却益を特別利益に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ19.5%増加の3,043百万円となりました。
エンジニアリング事業については、売上高31,247百万円(前年同期比5.9%減少)、営業利益308百万円(前年同期比78.5%減少)となりました。
単体機械事業については、売上高13,342百万円(前年同期比9.1%増加)、営業利益2,212百万円(前年同期比65.9%増加)となりました。
財政状態におきましては、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,378百万円増加の52,899百万円となりました。流動資産は、受取手形の減少2,185百万円等がありましたが、現金及び預金の増加1,887百万円、電子記録債権の増加451百万円、売掛金の増加766百万円、契約資産の増加2,278百万円、仕掛品の増加168百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ3,727百万円増加し、39,029百万円となりました。
固定資産は、退職給付に係る資産の増加897百万円等がありましたが、繰延税金資産の減少295百万円、政策保有株式を売却したこと等による投資有価証券の減少1,837百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ1,349百万円減少し、13,870百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金の増加305百万円、未払法人税等の増加409百万円等がありましたが、電子記録債務の減少231百万円、退職給付に係る負債の減少1,269百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ639百万円減少し、22,574百万円となりました。
純資産は、政策保有株式を売却したこと等によるその他有価証券評価差額金の減少944百万円等がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加2,505百万円、退職給付に係る調整累計額の増加1,385百万円等の影響により、前連結会計年度末に比べ3,017百万円増加し、30,325百万円となりました。
なお、退職給付に係る資産・負債並びに退職給付に係る調整累計額の増減は、当連結会計年度に実施した退職給付制度の一部改正の影響を受けております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、売上債権の増加や、固定資産の取得による支出等により一部相殺されたもの、税金等調整前当期純利益の計上や、投資有価証券の売却による収入等の結果、前連結会計年度末に比べ1,887百万円増加し、当連結会計年度末には13,114百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、前連結会計年度に比べ4,127百万円減少し、996百万円となりました。これは、投資有価証券売却損益の計上1,894百万円、売上債権の増加1,227百万円、法人税等の支払い856百万円等がありましたが、税金等調整前当期純利益の計上4,363百万円、減価償却費の計上643百万円等の影響によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に獲得した資金は、1,346百万円となりました(前連結会計年度は558百万円の使用)。これは、主として固定資産の取得による支出914百万円、投資有価証券の取得による支出448百万円等がありましたが、主として投資有価証券の売却による収入2,809百万円等の影響によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、前連結会計年度に比べ21百万円増加の533百万円となりました。これは、主に配当金の支払額537百万円等に資金を使用したことによるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価額によっております。なお、セグメント間の内部売上高又は振替高はありません。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価額によっております。なお、セグメント間の内部売上高又は振替高はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の内部売上高又は振替高はありません。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次の通りであります。
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ848百万円減少し、44,590百万円となりました。営業利益は、売上原価率が改善し売上総利益は増加いたしましたが、人件費や見積設計費等販売費及び一般管理費の増加により、前連結会計年度に比べ249百万円減少し、2,521百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の減少、為替差益の減少等により経常利益が減少いたしましたが、投資有価証券売却益を特別利益に計上したこと等により、前連結会計年度に比べ496百万円増加し3,043百万円となりました。
連結会計年度末における総資産は、政策保有株式を売却したこと等による投資有価証券の減少等はありましたが、現金及び預金の増加、売掛債権の増加、退職給付に係る資産の増加等により前連結会計年度末に比べ2,378百万円増加し、52,899百万円となりました。一方、当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により3,017百万円増加し、当連結会計年度末の自己資本比率は57.3%(前連結会計年度末は54.1%)に増加いたしました。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループは、2022年度を初年度とする中期経営計画において、売上高47,500百万円、営業利益2,500百万円、営業利益率5.3%、ROE6.0%を達成目標としておりました。中期経営計画の初年度となる当連結会計年度は、売上高は44,590百万円と計画未達となりました。一方、利益面では、売上原価率が改善したこと等により営業利益は2,521百万円、営業利益率は5.7%、ROE10.6%となり計画を達成することができました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
エンジニアリング事業では、顧客ニーズの掘り起こしをはかり、民間向け各種プラント・装置及び官公庁向け下水処理装置の受注確保に努めてまいりました。また、経営ビジョンで掲げた4つの戦略的事業領域から、循環型社会推進事業、クリーンエネルギー事業に関連する分野並びにバイオガス関連の技術の拡充・強化のための各種研究開発及び実証試験、並びに海外プラント案件の開拓に取り組んでまいりました。
受注高は、期待していた海外プラント案件の延期や逸注があり、また、官公庁向け下水処理装置も前年度を下回りましたが、国内の民間向け各種プラント、水素製造装置等の成約を重ねることができ、38,343百万円(前連結会計年度は33,234百万円)と前連結会計年度を15.4%上回りました。
売上高は、国内連結子会社の売上高減少等を反映し、31,247百万円(前連結会計年度は33,212百万円)と前連結会計年度を5.9%下回りました。
単体機械事業では、主力製品である三菱油清浄機の拡販と各種単体機械の提案型の営業活動を展開し、受注確保に努めるとともに、原材料費上昇への対応に取り組んでまいりました。また、成長分野として位置付けている船舶環境規制対応機器等の製品開発と市場投入を引き続き推進いたしました。
受注高は、造船業界及び海運業界の復調、並びに民間設備投資の持ち直しの動きから、三菱油清浄機及びそのアフターサービス部品並びに船舶環境規制対応機器がともに前連結会計年度を上回る成約を得ることができ、14,850百万円(前連結会計年度は13,549百万円)と前連結会計年度を9.6%上回りました。
売上高は、前連結会計年度及び当連結会計年度の受注高の増加を反映し、13,342百万円(前連結会計年度は12,225百万円)と前連結会計年度を9.1%上回りました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係わる情報
キャッシュ・フローについては、減価償却費の計上、税金等調整前当期純利益の計上等により、営業キャッシュ・フローはプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出を投資有価証券の売却による収入が上回りプラスとなりました。その結果、フリーキャッシュ・フローは2,342百万円の増加となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、資金調達については銀行からの借入により行っております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は昨年より増加しており、依然として高い水準を確保していることに加え、当社は取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメントライン契約を締結し資金の流動性を高めております。なお、当連結会計年度末における当該契約に基づく借入未実行残高は5,300百万円となっております。
当社グループの資金需要の主なものは、事業に係る運転資金と工場用機械設備や基幹システムに係るソフトウェア等の設備投資資金であります。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針等につきましては、注記事項「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
当社グループの研究開発活動は、既存技術・各種装置の高度化並びに技術の差別化・競争力の向上を目指し、開発を行っております。また、新分野への積極的展開及び新技術・新製品開発を行っており、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発費は、エンジニアリング事業
(エンジニアリング事業)
「廃プラスチックのガス化及びメタノール化実証事業」
世界では海洋プラスチック問題が社会問題化するなど環境保護等の観点から、プラスチックのリサイクル方法確立の必要性が急速に高まっており、本事業はこれまで廃棄されていたプラスチックについて、ケミカルリサイクルによる資源循環システム構築を目指すものです。
現在、実用化されている廃プラスチックのリサイクル技術は、リサイクル品の品質を確保するため、原料に一定の純度・清浄度が求められております。
純度・清浄度が低く、リサイクルが困難な雑多なプラスチック(以下、雑多な廃プラ)は、
単純焼却・熱利用焼却・埋立てにより処理されておりますが、プラスチック資源の循環と脱炭素化をいかに両立していくかが大きな課題となっております。
上記のような課題に対し、流動床ガス化技術を有する神鋼環境ソリューション、廃プラスチックのケミカルリサイクルを推進する大栄環境及びDINS関西、水素製造・合成ガス製造技術を有する三菱化工機及び環境循環型メタノール構想を推進する三菱ガス化学は、循環型社会の構築に貢献するために、廃プラスチックの有効資源化を進めたいという共通の思いのもと、雑多な廃プラであっても処理可能な流動床式ガス化技術をベースに、雑多な廃プラをガス化して得られた合成ガスからメタノールを合成する、国内初のケミカルリサイクル技術を構築する共同実証プロジェクトを立ち上げました。当社は、水素製造技術等で培った触媒技術・ガス改質技術を活用し、廃プラスチック等のガス化炉から得られる合成ガスをケミカルリサイクル可能なガスに改質するプロセスを提供いたします。本技術を確立することで脱炭素社会に貢献してまいります。
「高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用化技術」
本研究は、2020年3月に国土交通省/国総研よりガイドラインを公表して頂いて以降、自主研究を継続しております。昨年度は自主研究4年目といたしまして、以下の項目を継続調査しております。
・高効率消化システム(熱可溶化)によるバイオガスの増量及び分解率の向上効果
・排出汚泥量の削減効果
・本システムを導入する場合に懸念される可溶化汚泥による返流水負荷上昇に伴う放流水質の影響
昨年度の調査結果といたしましては、以下の項目を確認しております。
・投入有機物当たりのガス発生量:約23%増、消化率:約12%の向上
・排出汚泥量:約46%減
・放流水質への悪化影響は確認されないこと
上記調査結果に関しましては、日本下水道協会主催「第34回下水汚泥の有効利用に関するセミナー」(2022年11月開催)にて発表しており、今年度8月に開催される第60回下水道研究発表会でも同様の調査報告を発表する予定です。
国内各自治体でも脱炭素への取組みとしまして、改めて消化設備への取り組みが注目されており、今後はこの調査結果をもとに、各自治体向けに本システムの更なる導入促進・拡販に取り組んでまいります。
(単体機械事業)
「iFactory®の開発」
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構)が取り組む「戦略的省エネルギー技術革新プログラム/テーマ設定型事業者連携スキーム」の一環で、当社は現在のバッチ式製造法にかわり、連続生産方式を採用した再構成可能なモジュール型の医薬品製造設備「iFactory®」(アイファクトリー)の開発に参画しております。
当社は新製品である連続真空ろ過機「CURUPO®」(クルポ)と連続棚段乾燥機「プレートドライヤ―」を、プロセスに応じて組み換え可能なモジュール「iCube」内へ組み込み、制御システムの動作検証、自動運転調整を行った後、2022年10月に株式会社高砂ケミカル様の掛川工場iFactoryに納入致しました。その後、iFactoryを構成する前後段のiCube、ユーティリティを構成する「iConnect」と連結され、消防検査を経て、2023年2月、掛川工場iFactoryの竣工式が執り行われ、iFactory全体の運転検証を開始しております。
2023年度はファインケミカルの連続生産実証試験を行い、本開発を完了する予定です。当社は日本の医薬品・ファインケミカルの製造において省人化、省エネルギー化等、生産と資源の効率化に貢献する生産設備の構築と実用化に取り組んでまいります。
(その他)
「微細藻類によるカーボンニュートラル社会の実現を目指した研究開発」
当社は、製造機能を兼ね備えたエンジニアリング会社として、常に新しい時代のニーズに対応した装置・設備を設計・製作・建設することで、2050年までにカーボンニュートラルな社会を実現できるよう取り組んでおります。その1つとして、1980年代にはクロレラの培養・生産設備の建設に携わり、2000年代後半からの微細藻類を原料としたバイオジェット燃料開発への研究協力など、微細藻類に関連する取り組みを進めてまいりました。
2022年度は、当社もメンバーとして参画しております「バイオDX産学共創コンソーシアム(代表機関:広島大学)」が、『Bio-Digital Transformation(バイオDX)産学共創拠点』として国立研究開発法人科学技術振興機構「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)・共創分野(本格型)」に採択され、2032年3月までの10年間にわたる研究プロジェクトが開始しました。
当社を含む研究グループ(5大学及び6企業、1自治体)は、この『バイオDX産学共創拠点』がSDGsに基づくあるべき将来像の構想として定めたターゲット「カーボンゼロを推進するバイオものづくり」を目標に、研究開発課題リーダーである東京工業大学太田啓之名誉教授のもと、「微細藻類および植物による有用物質生産プラットフォームの開発」に取り組んでおり、当社川崎製作所敷地内に実証エリア(200㎡)を設け、多角的な微細藻類の研究開発を実施しております。
2022年度は東京工業大学に300L規模の当社「都市型フォトバイオリアクター」を採用いただき、当社の実証エリアの整備、研究装置の製作を実施いたしました。2023年度に設置を完了し、実証試験を開始いたします。今後、レースウェイ培養装置を複数基設置すると共に、隣接する当社の水素製造装置「HyGeia-A」から排出されるCO2を藻類培養のCO2供給源として活用し、CO2利用(CCU:Carbon dioxide and Utillization)をはかり、培養後の工程(収穫~抽出)の研究設備についても整備してまいります。
また、ちとせグループが運営し、多様な業界から様々な企業が参加している藻類を活用した企業連携型プロジェクト『MATSURI(まつり)』の活動に賛同し、当社は2022年度に法人パートナー契約を締結いたしました。『MATSURI』は、光合成を活用した藻類の生産を通じてカーボンニュートラル実現を推進すると同時に、パートナー企業間で連携して事業開発を行い、再生燃料をはじめプラスチックや食品、化粧品など人々の生活を支える藻類製品を社会に普及させることをめざすプロジェクトです。
取り組みの一つとしまして、ちとせグループの中核法人である株式会社ちとせ研究所は、2023年3月に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」に「光合成によるCO2直接利用を基盤とした日本発グローバル産業構築」のテーマで採択されており、当社としましても、パートナー企業と共にエンジニアリング技術や微細藻類ソリューション技術を応用して、新規事業を見据えた新たなソリューションの開発・提案に取り組み、サステナブルな社会づくりに貢献してまいります。