第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、Heart(信頼される技術を通じて、人間としての豊かさと成果を)を経営理念として掲げ、モノづくりの新たな価値を創造し、世界のお客様と共に成果と喜びを分かち合うことを新東の使命とし、「技術の差別化」と「信頼のサポート」により関係する全ての人との絆を深め、新しい提案、新しい解決策を提供し続けることで新東ブランドを高めることを目指します。

 こうした基本方針のもと、世界の仲間たちと感動の共創を実現することを長期ビジョンにおき、グローバル市場において持続的な成長と発展を図り、連結企業価値の向上及び株主価値重視の姿勢を堅持してまいります。

 

(2)経営戦略等

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 少子高齢化による労働人口の減少、コロナ禍を経て加速する情報化社会、規制強化が進む地球環境問題など、当社グループを取り巻く環境は前中期経営計画がスタートした3年前に想定した状況とは比較できないほど、変化しています。また、主要産業である自動車業界においてもEV化へのシフトが急速に進むなど、大変革期を迎えています。

 このような時代の変化にしっかりと対応していくためにも、私たちが大切にしつづけている「モノづくりの心を大切にして、社会に貢献したい」という思いのもと、モノづくりの新たな価値を創造し、世界の仲間たちと感動の共創を目指します。グローバルに広がる課題を解決するために、世界中の仲間たちとともに、知恵を出し合い、技術を磨いて、新たな価値を創出することでこれから先の時代を切り拓いていくことを目指し、2024年4月から2027年3月までの3年間に渡る中期経営計画《『「共創」~新しい価値を求めて~ 』地球とともに、仲間とともに》、を策定いたしました。

 同計画では、お客さまを含む全ての仲間たちに“ありがとう”と言っていただける会社を目指し、「お客さまに選ばれつづける」ための体制づくりを強化してまいります。「事業戦略の方向性」として、①「既存のお客さまを大事にする」、②「付加価値の追求で競争力アップ」、③「効率化によるムダ排除・正味率アップ」の3点を掲げております。お客さまにおける設備投資のニーズが多様化する中、時代の変化に対応して成長する1社1社のお客さまにしっかりと寄り添い、最善策を一緒になって考えて、提供することを通じて、お客さまとの絆を強化していきます。また、お客さまニーズ(省人化・省エネ・作業環境改善など)を実現する付加価値を追求した提案、日本など先進国の少子高齢化による「人手不足」の課題が深刻化することが予測される中、デジタル技術を活用したプロセス最適化や自働化による効率化の提案を通じて、仕事の効率化を進めてまいります。また、前中期経営計画で育ててきた新たな(既存技術)の市場への展開、新技術も今後成長が見込まれる市場に投入することで、新たな事業の確立を目指します。

 これらにより、「お客さまに選ばれつづける」ための取り組みを強化するとともに、会社としてマテリアリティ[環境/人材/技術開発・ものづくり/ステークホルダー/企業基盤]に向き合い、持続可能な開発目標(SDGs)へのかかわりを通じてサステナビリティ社会実現に貢献してまいります。こうした取り組みを通じて、お客さまのすそ野を拡げ、お客さまとの絆を強め、売上の拡大と収益の確保、そして、企業価値向上に努めてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、3年後の2027年3月期において、1社1社のお客さまに寄り添い、お客さまのニーズを実現することを通して、部品カバー率を向上(+5pt)させ、新たに当社を選んでいただける、新規お客さま数3,900社の増加を目指します。また、競争力を高め、成長していくための指標として、売上総利益率+3pt、一人あたり付加価値額+10%にも取り組んでまいります。これらの取り組みにより、売上高EBITDA比率8%以上を達成することを目標としております。

 

(4)経営環境

 世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や欧州経済の低迷などの悪材料に加え、中東情勢の悪化などもあり、脱コロナを原動力とする景気回復は道半ばとなりました。米国では、金融引き締めにもかかわらず、投資促進策などにより、底堅い景気を維持しました。一方、中国では、不動産市場の低迷のほか、欧州向けを中心に輸出が減少し、個人消費の回復力の弱さもあり、景気は停滞しました。わが国においては、ロシアによるウクライナ侵攻や堅調な米国経済がもたらす大幅な円安の進行で、広範囲に物価が上昇。消費マインドが低下し、力強さに欠けた景気となりました。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、1934年の創業以来、“ものづくりの心を大切にして社会に貢献したい”という思いのもと、技能を磨き上げ、世界に通用する技術を追求し、技術を通じてお客様との信頼関係を築き上げて参りました。私たちは「信頼の絆を築く」ため、一社一社のお客さまにしっかりと寄り添い、多種多様なお客さまのニーズの実現に向けた最善策を一緒になって考え、新しい価値をお届けします。私たちに関わるすべての皆さまとの絆を深めて、いつの時代もお客さまに選ばれ続ける企業であることを目指していきます。

 

①成長戦略

当社グループの事業環境につきましては、デジタル情報社会の進展や地球環境問題に対しての規制強化に加え、自動車業界ではEV化へのシフトが急速に進むなど大変革期を迎える中、お客さまの中から将来を見据えた取り組みが出てくると予想されます。こうした事業環境を踏まえ、既存のお客さまを大切にし、付加価値向上に取り組むことにより収益を高め、当期からの更なる飛躍を示せるよう努力してまいります。

企業価値向上に向けたM&A、設備投資、研究投資、人的資本投資などの成長投資を優先的に行い、資本効率を追求して、資本コストを上回る株主資本利益率(ROE)の向上を目指し、これにより株価純資産倍率(PBR)1倍以上にするための戦略を最適化し、持続的な成長投資と安定的な利益還元に取り組むことでステークホルダーへの価値を最大限に高め、持続的な成長を実現します。また、有利子負債の調達、および政策保有株式の売却により、加重平均資本コスト(WACC)を低減させ、最適な資本構成を目指してまいります。

 

②重要課題(マテリアリティ)

私たちが目指す姿として、①環境に優しい循環型社会、②ものづくりを通じた安全・安心・豊かな社会、③感動・成長・幸せを実感できる社会、の3つを掲げ、この実現に向けて、「環境」、「人的資本」、「技術開発・ものづくり」、「ステークホルダー」、「企業基盤」の5つを重要課題として選定し、取り組んで参ります。

・環境への取組み

気候変動による事業への影響は重要な課題と捉え、特に水害やエネルギーコストの上昇に伴う収益への影響、規制の強化による原材料の高騰や入手困難等を注視して、リスク管理を行って参ります。

・人的資本への取組み

海外拠点のトップマネジメントは、原則として、現地の方が務めているとともに、当社製品のメンテナンススキルは、全世界共通の評価基準に基づいて評価しております。女性の活躍推進についても、取組みを加速させて参ります。

・企業基盤への取組み

当社グループでは、リスクに対する基本方針を、取締役会直轄の「リスク管理委員会」で定め、企業活動に伴うリスクを把握、評価して、見える化しています。リスク管理委員会の活動結果を取締役会に報告し、更なるリスク管理体制の強化を図って参ります。

また、ガバナンス強化の観点から、取締役会実効性評価の取組みを強化して参ります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)気候変動への対応とTCFD提言への取組状況

 当社グループでは、気候変動への対応を重要課題と捉え、シナリオ分析等の取組みを行い、2022年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に対する賛同を表明しました。

 主力の鋳造事業等で、エネルギーを使用する当社グループにとって、気候変動への対応は喫緊の課題と捉えて取り組んでいます。

 

(2)ガバナンス

 社長を委員長とするサステナビリティ委員会において、当社グループにおける気候関連のリスク及び機会を監視し、管理します。サステナビリティ委員会の決議事項は、取締役会に報告され、監督されています。

 

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(3)リスク管理

 サステナビリティ委員会において、気候変動に伴うリスク及び機会を明確にした上で気候変動の緩和・適応に向けた活動に取り組んでいます。特に、激甚化傾向にある自然災害に対しては、リスクマネジメント計画及び事業継続計画以下、BCPの策定と実行によりリスク低減に努めています。さらに、製品のエネルギー効率向上及びビジネスパートナーや顧客との協働などを通じてバリューチェーン全体での脱炭素社会づくりに貢献していきます。

2023年度は、サステナビリティ委員会により気候変動リスクを決定し、業績への影響等を評価実施いたしました。

また、リスク管理委員会で、気候変動リスクをリスクマップに追加するとともに、BCPマニュアルの再点検を行いました。

 

<サステナビリティに関する戦略>

TCFD提言に基づき、気候変動シナリオ分析を行いました。新東工業グループにおいて2℃未満及び4℃気温上昇時の世界を想定し、リスク・機会の抽出と対応策を検討しました。2℃未満上昇時は炭素税の高騰が事業へのインパクトが大きく、4℃上昇時は異常気象の激甚化が事業に大きく影響を及ぼすことが想定されます。これらの分析を基に事業への影響評価を実施のうえ、対応策を実施してまいります。

 

<気候変動分析シナリオ>

 

想定される世界観

主な参照シナリオ

2°C未満シナリオ

(2100年までの平均気温上昇が産業革命以前と比べて2°C未満に抑えられている世界)

脱炭素社会への移行に伴う変化が事業に影響を及ぼす(主として、移行リスク)

 

・気候変動に関する規制が強化され、炭素税導入、電源構成の非化石燃料化、自動車産業の電動車へのシフトなどが発生する

・社会全体が脱炭素に向かい、企業の脱炭素への取り組みが評価され、工場、事務所等における脱炭素化設備の導入が進む

WEO2021 (APS、SDS)、

IPCC RCP2.6等

4°Cシナリオ

(2100年までの平均気温上昇が産業革命以前と比べて4°C上昇する世界)

気象変動による物理的な被害が事業に影響を及ぼす

(主として、物理リスク)

 

・気候変動に関する規制は導入されるものの限定的

・異常気象の激甚化が進み、自然災害が頻発

・気温上昇により、労働環境の悪化、地域によっては取水制限等が生じる

WEO2021 (STEPS)、

IPCC RCP8.5等

 

<TCFD提言に基づくリスク・機会の影響評価>

区分

特定したリスク/機会

財務影響評価

2℃未満

4℃

移行

リスク

政策と法

炭素税の導入

・炭素集約度の高い素材の仕入れコストの増加

省エネ政策強化

・ガソリン車市場の縮小による売上の減少

技術市場

低炭素技術への移行

・既存生産設備の早期更新によるコスト増加

・環境配慮製品・サービスの開発遅れによる売上の減少

・環境配慮製品・サービス開発のための研究開発投資費用の増加

市場

エネルギー市場の変化

・再生可能エネルギーへの切り替え等に伴うエネルギーコストの増加

物理的

リスク

急性

極端な気象現象の増加

・洪水頻度の上昇による営業停止、売上機会の損失

慢性

平均気温の上昇

・気温上昇に伴う暑熱対策コストの増加

・渇水による取水制限による工場操業停止、操業

 コストの増加

機会

資源効率性

生産効率の向上

・エネルギー使用削減等による工場操業コストの

 削減

エネルギー源

再エネ政策の

利用

・再生可能エネルギー関連産業向け売上の増加

製品・

サービス

CO2 低排出製品・サービスの拡充

・リサイクルサービスの拡大による売上の増加

・環境配慮製品・サービスの開発、拡充による売上の増加

市場

新市場の創出

・EV市場における売上の拡大

 ※財務影響評価

 大:財務的影響が大きいことが想定される(およそ10億円以上)

 中:財務的影響が中程度と想定される(およそ1億円以上10億円未満)

 小:財務的影響が小さいことが想定される(およそ1億円未満)

 

(4)指標及び目標

 2017年に、創立100周年に向けて「環境経営」の方針を策定して目標を設定し、「エコプロダクツ・サービス(環境配慮商品の提案活動)」「エコファクトリー(省エネルギー活動)」「エコロジスティクス(物流の効率化活動)」の3つの活動により、CO2排出量の削減と情報開示に取り組んで参りました。2023年4月に、目標を見直し、2021年を基準として、「2030年にCO2 排出量24%削減」「2034年にCO2 排出量32%削減」という環境目標を定め、取組みを進めて参ります。

現在、Scope1,2に加え、Scope3のサプライチェーン全体を通じた目標値の設定に取組中であるとともに、サプライヤーの排出量を集計中です。

                                             (単位:tCO2)

 

2021年

2022年

2023年

Scope1

18,272

18,738

17,005

Scope2

55,448

44,403

44,732

合計

73,720

63,141

61,737

 

新東工業グループ CO排出量削減計画

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(5)人的資本

 当社グループでは「社員に人生の舞台として選ばれる会社」をめざし、“会社=自分自身を育て、成長する場”として定義しました。価値観が多様化し、働き方が大きく変化する中、年齢・性別問わずに社員が成長し自身のキャリアを描くことができる会社として、一人ひとりが働きがいを持って、絶えず前進しチャレンジする企業風土の醸成に努めています。

 

①戦略

 経営理念の実現に向け、当社グループの事業活動から影響を受ける全ての人々の人権を尊重する取り組みをグループ全体で推進し、責務を果たす努力をしています。社員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、国籍、人種、宗教、性別、信条、政治的意見、出身地、社会的出身、その他、遂行すべき業務と何ら関係のない属性を理由に、賃金、労働時間その他の労働条件について差別を禁止し、あらゆるハラスメントを禁止しています。また、いかなる形態の強制労働および児童労働も認めていません。また「SINTO取引先ガイドライン~未来の子供たちの未来のために~」を通じてサプライチェーン全体での人権尊重を推進しています。

 

基本的な考え方(活人主義)

 人事制度の根幹となる考え方が「活人主義」です。活人主義とは文字通り社員に生きがいを持って活きいきと働いてもらう経営であり、社員の力を最大限に活かす経営です。まさに、人材(=社員)こそが企業にとって最大の財産であり、人材の成長と活躍が、会社全体の発展に繋がると考えています。また、当社はものづくりの心を大切にして社会に貢献したいという思いのもと、世界に通用する技術を追求することで発展してきました。これからもお客さまから「ありがとう」と言われる企業を目指していきます。そのためにも、経営理念である「HEART」の精神に基づき、社員一人ひとりが世界に通用する技能、技術を身に付け、進化していくことが欠かせないと考えています。入社から退社までの長い期間を見据えて、会社の目標と、社員自身の目標とのベクトル合わせを行いながら、個人の能力向上、スキルの向上を奨励し、能力開発に頑張った人が報われる人事諸施策を展開しています。

 

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思想

経営理念「HEART」、活人主義、中期経営計画、会社方針、トップの思い、当社独自の発想・考え方を伝え、社員としての誇り(帰属意識)を育みます。

知識

人材開発体系表に基づくOFF-JT教育によるマネジメント知識、業務遂行のために必要な専門知識教育、能力開発ポイントの加点による“やる気の喚起”など人事制度とも連動しています。

技能

頭で理解・習得した知識を繰り返し訓練することで技能として体得、新東キャリア制度と連動した技能(スキル)教育を展開します。

実践力

職場でのOJT教育による経験の付与、SS改善(小集団)活動による知恵・工夫・創造力の涵養を図ります。また、人事ローテーションの推進や人事考課(業績評価)の面談を通じた仕事の振返りにより、能力を高めます。

 

②指標及び目標

指標

2024年3月期実績

目標

管理職に占める女性労働者の割合(※)

3.7

5.0%以上

男性労働者の育児休業取得率(※)

76.5

100

労働者の男女の賃金差異(※)

63.0

(※)提出会社の実績及び目標値です。

 

3【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。ただし、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)市場及び事業に関するリスク

①市場の競争激化

 当社グループ製品の主要市場では激しい競争が繰り広げられており、当社グループはビジネスを展開している世界各地域で、現地のローカルメーカーとの競争に直面しております。市場において、設備投資環境の急激な変動が起き競争が激化した場合、受注台数や受注価格の低下などが起きる可能性があり、これにより、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに大きな影響を与える可能性があります。

 

②自動車関連業界の業況の影響

 当社グループの主要顧客である自動車業界は、100年に一度とも言われる大きな変革期を迎えています。当社グループの製品は、自動車メーカー・自動車部品メーカーに多く納入されていますが、電動化の進展やカーシェアの普及などによって、自動車を構成する素材・部品などの変化による鋳物部品の減少や自動車業界全体の市場成長の頭打ちで、同業界における設備投資が抑制され、当社製品の受注高が低下する可能性があります。当社グループは、昨今の同業界の急激な変化に対応し、今後も競争力の維持強化に向けた様々な取組みを進めていきますが、売上高の低下により、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに大きな影響を与える可能性があります。

 

③製品の契約不適合・欠陥に伴う賠償

 当社グループ製品の製造販売には、顧客との契約に適合する品質、機能、安全性、納期等に万全を期していますが、製造・販売した製品の契約不適合や欠陥により性能が不充分であったり、製品の安全上の問題で設備事故や労災事故を発生させ、また納期遅延等を発生させることにより、顧客や第三者に損害を与えたことによる損害賠償請求を受ける可能性があります。特に、海外において係る訴訟が発生し、相当の賠償・和解費用等を負担せざるを得ない場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに大きな影響を与える可能性があります。

 

④企業買収等に係るリスク

 事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、事業用の資産や買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形資産を保有することになり、今後の経営環境の変化に伴い買収等の対象事業について効率的な経営資源の活用ができず、これらの資産の収益性が低下し投資額の回収が見込めなくなった場合にはその回収可能性を踏まえて減損損失を計上する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。

 

⑤人材の確保及び合理化・体質強化に係るリスク

 当社グループ製品は、一品一様の受注生産品が一定程度あることから、製造過程においては労働集約型な面があり、事業拡大・継続のためには一定水準以上のスキルを有する優秀な人材の確保が不可欠なものと認識しております。現時点では、人事制度・教育制度により、必要な人材は確保されておりますが、少子化問題、労働市場の逼迫により必要とする優秀な人材または労働力を確保できない場合、競争力の低下や事業展開が制約される可能性があります。それら要因を軽減するために、省力化・省人化にも取組んでおりますが、情報技術の活用が進むなか事業構造の変化に追いつかず遅れが生じた場合、製造コストの低減が実現できず、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。

 

⑥仕入先への外注加工品供給の依存

 当社グループは、外注加工品、購入部品、原材料などを複数の競合する仕入先から調達していますが、外注加工品の中には他の仕入先への代替が難しく、特定の仕入先に依存しているものがあり、生産面への影響を受ける可能性があります。それらを軽減するため、仕入先分散や新規仕入先の発掘・育成などの対応を進めておりますが、当社グループが、それら仕入先からの外注加工品を継続的にタイムリーかつ低コストで調達できない場合、生産に遅延またはコストの増加を引き起こし、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。

 

(2)金融・経済のリスク

①原材料等調達価格の影響

 鋼材、スクラップ等、当社グループが製造に使用する原材料価格の上昇は、製造コストの上昇につながり、これらのコストを製品の販売価格に十分に転嫁できない結果、当社グループの収益性に悪影響を与える可能性があり、特に、国際的な需要の逼迫により急激な価格高騰があった場合には、急激に調達コストが上昇し、経営成績及びキャッシュ・フローに大きな影響を与える可能性があります。

 

②エネルギー価格の変動

 当社グループは、主力製品である消耗品等の製造においては、電力使用量が多大なため、エネルギー価格の変動によるリスクや各国政府のエネルギー政策による変動リスクを負っております。コスト低減のための省エネルギー対策などリスクの軽減を図っておりますが、電気料金や原油価格の変動に伴うエネルギー価格の動向が経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

③為替変動の影響

 当社グループの収益は、外国為替相場の変動の影響を受け、主として日本円、米ドル、ユーロ、中国元、ブラジルレアル等の価格変動によって影響を受けます。外国通貨で販売する製品及び調達する材料で発生する取引リスクを軽減するために、当社グループでは可能な限り、海外現地化を進め、地産地消に取組んでおり影響は限定的であります。但し、当社の連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクという形でも為替変動の影響を受けており、外国為替相場の大幅な変動が起きた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④投資有価証券の保有に対するリスク

 当社グループが保有する投資有価証券は、当連結会計年度末の総資産に占める割合が15.2%(28,566百万円)であり、株式市況の下落、発行会社の業績悪化等によって投資価値が大きく下落する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。

 

(3)法的手続・情報セキュリティ・災害等に関するイベント性のリスク

①法的手続

 当社グループは、製造物責任、知的財産権の侵害等、様々な法的手続の当事者となる場合があります。研究開発及び生産活動においては様々な知的財産権の使用について万全を期しておりますが、当社グループの認識の範囲を超えて第三者から知的財産権の侵害を主張され係争等に発展する場合があります。それらの法的手続きにおいて予期せずに不当な判断がされた場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

②情報セキュリティに係るリスク

 当社グループは、技術情報等の重要な機密情報や顧客その他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報の外部への流出を防止し、不正なアクセスによるシステムの毀損を防ぐため、社内規程の整備や社員教育の徹底、セキュリティシステムの強化等様々な対策を講じておりますが、不測の事態により情報システムの毀損、停止または一時的な混乱、機密情報を含む内部情報が漏洩した場合、当社グループの企業価値の毀損、社会的信用の失墜、顧客その他関係者への補償等により、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

③気候変動等による自然災害、感染症発生、インフラの障害の発生

 当社グループの主力製造拠点が集中する愛知県は、大規模な地震の発生が懸念されており、これが発生した場合には当社グループの生産能力が著しく低下し、当社グループの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。

 また、当社グループ製品を製造する地域において、気候変動等による、台風、豪雨、竜巻、洪水その他の自然災害やエネルギーコストの上昇、原材料・資材の高騰等が想定され、伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック)が発生した場合、天災などによる電力・交通機能・ガス・水道・通信等のインフラの障害、操業の中断などが発生した場合、当社グループの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。当社グループは、これらによって業務遂行が阻害されるような事態が生じた場合であっても、その影響を最小限に抑えるべく、事業継続計画(BCP)の整備、非常時を想定した訓練等を実施しています。しかし、想定を超える事態が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに大きな影響を与える可能性があります。

 

(4)戦争、突発的なテロ、紛争等を含む地政学リスク

 当社グループは、日本・欧米・アジアを中心に生産拠点を持ち、16カ国に展開している営業拠点を通じ、グローバルでお客さまに製品・サービスを提供しています。このため、ロシア・ウクライナ問題を含む戦争、中東情勢、突発的なテロ、紛争や米中貿易摩擦など国際関係変化やそれに起因する社会・環境の変化、法規制の変更などが事業活動に影響を及ぼす可能性があります。特に、各国の輸出規制、技術移転の制限、関税の引き上げ等により、営業、調達、生産等の事業活動が制限を受け、お客さまへの製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクに対して、各地域の政治・経済情勢や法規制の動向などについて、各拠点を通じて定期的にモニタリングし、事業への影響を迅速に把握するとともに、リスクが顕在化したときは、グローバルでの効果的な対応体制を構築し、被害や損害を最小限とすることに努めています。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や欧州経済の低迷などの悪材料に加え、

中東情勢の悪化などもあり、脱コロナを原動力とする景気回復は道半ばとなりました。米国では、金融引き締めにもか

かわらず、投資促進策などにより、底堅い景気を維持しました。一方、中国では、不動産市場の低迷のほか、欧州向け

を中心に輸出が減少し、個人消費の回復力の弱さもあり、景気は停滞しました。わが国においては、ロシアによるウク

ライナ侵攻や堅調な米国経済がもたらす大幅な円安の進行で、広範囲に物価が上昇。消費マインドが低下し、力強さに

欠けた景気となりました。

当社グループの事業環境につきましては、主要なお客様である自動車産業ではカーメーカーの品質不正に伴う生産調

整の影響を受けましたが、半導体産業は引き続き好調で、電子業界向けを中心に部品・消耗品が堅調に推移しました。

こうした情勢下、当連結会計年度の受注高は対前年同期比9,752百万円増加の123,916百万円(前連結会計年度比8.5%

増)、売上高は同9,114百万円増加の115,495百万円(同8.6%増)、受注残高は同8,420百万円増加の60,593百万円(同

16.1%増)となりました。収益につきましては、営業利益は同3,167百万円増加の5,409百万円(同141.3%増)、経常利

益は3,558百万円増加の7,510百万円(同90.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は同2,518百万円増加の8,706百万円(同40.7%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメントごとの経営成績については、セグメント間の内部売上高等を含めて表示しております。

 

〔表面処理事業〕

売上高は46,124百万円(前連結会計年度比0.2%増)、営業利益は3,659百万円(同26.5%増)、受注高は46,483百万円(同4.0%減)、受注残高は8,765百万円(同4.3%増)となりました。

 

〔鋳造事業〕

売上高は40,608百万円(同11.5%増)、営業損益は335百万円(前連結会計年度は83百万円の損失)、受注高は47,658百万円(前連結会計年度比26.9%増)、受注残高は35,408百万円(同27.9%増)となりました。

 

〔環境事業〕

売上高は11,735百万円(同9.6%増)、営業利益は1,136百万円(同49.7%増)、受注高は12,299百万円(同10.0%増)、受注残高は5,993百万円(同14.9%増)となりました。

 

〔搬送事業〕

売上高は8,332百万円(同35.8%増)、営業利益は1,215百万円(同151.9%増)、受注高は8,666百万円(同5.3%増)、受注残高は4,543百万円(同8.9%増)となりました。

 

〔特機事業〕

売上高は9,486百万円(同8.0%増)、営業損益は368百万円(前連結会計年度は629百万円の損失)、受注高は8,604百万円(前連結会計年度比0.3%減)、受注残高は5,880百万円(同12.1%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2,920百万円増加して、43,579百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及びその要因は、次のとおりであります。

 

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

 当連結会計年度において、営業活動によって得られた資金は5,937百万円となりました(前連結会計年度は5,491百万円の収入)。これは、税金等調整前当期純利益12,637百万円等の資金の増加要因があったことによるものであります。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

 当連結会計年度において、投資活動により支出した資金は744百万円となりました(前連結会計年度は1,623百万円の支出)。これは、有形固定資産の取得による支出3,108百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

 当連結会計年度において、財務活動により支出した資金は3,025百万円となりました(前連結会計年度は7,092百万円の支出)。これは、配当金の支払2,203百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

表面処理事業(百万円)

42,954

103.1

鋳造事業(百万円)

40,361

109.3

環境事業(百万円)

10,972

107.3

搬送事業(百万円)

8,028

183.1

特機事業(百万円)

11,235

165.5

その他(百万円)

82

47.7

合計(百万円)

113,635

113.5

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。

 

 b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

表面処理事業

46,483

96.0

8,765

104.3

鋳造事業

47,658

126.9

35,408

127.9

環境事業

12,299

110.0

5,993

114.9

搬送事業

8,666

105.3

4,543

108.9

特機事業

8,604

99.7

5,880

87.9

その他

204

120.0

1

合計

123,916

108.5

60,593

116.1

(注)上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

表面処理事業(百万円)

46,123

100.2

鋳造事業(百万円)

39,937

111.6

環境事業(百万円)

11,521

110.2

搬送事業(百万円)

8,295

135.7

特機事業(百万円)

9,414

120.2

その他(百万円)

203

119.2

合計(百万円)

115,495

108.6

(注)上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容

 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及び重要な会計上の見積り」に記載しておりますが、下記の項目についてはその見積りが当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと判断しております。

 

a.一定期間にわたり認識する収益

 当社グループは設備装置の請負工事に関して、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗率を見積り、当該進捗率に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。一定の期間にわたり充足される履行義務に関する売上高は、収益の総額及び進捗率に基づいて算定され、進捗率は見積製造原価に対する当連結会計年度末までに発生した実績製造原価の割合に基づき算定されます。見積製造原価は、案件の仕様、過去の類似案件における原価発生状況、案件の難易度などを勘案しております。

 

b.非上場株式の評価

 市場価格の無い株式等(非上場株式)の取得原価は、取得時の持分純資産価額に超過収益力・経営権等を反映した実質価額に基づいて計上されていますが、財政状態の悪化や超過収益力等の毀損状況により実質価額が著しく低下したときは、減損処理を実施することとしております。減損処理を実施していない投資有価証券については、投資先における市場環境の変化、投資先の予算と実績の乖離状況、業績の推移、事業計画の進捗状況、直近のファイナンス状況等から、投資先の事業計画が合理的であるという仮定に基づき、超過収益力は毀損しておらず、実質価額は著しく低下していないと判断しています。

 

c.貸倒引当金

  売掛金・貸付金等の債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権

及び破産更生債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

 

d.受注損失引当金

  受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注契約に係る損失見込額を受注損失引当金として計上しております。受注損失引当金は、見積製造原価が受注金額を超える案件のうち、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額に基づき算定されます。見積製造原価は、案件の仕様、過去の類似案件における原価発生状況、案件の難易度などを勘案しております。

 

 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析、検討内容

(1)当社グループの当連結会計年度の経営成績等

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

(2)当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

(3)当社グループの資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものです。

短期運転資金及び設備投資や長期運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は14,935百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は43,579百万円となっております。

 

(4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2021年度よりスタートした中期経営計画「Plus」を基本方針とし、2023年度の達成すべき目標に向け活動したとともに、その先の将来に向けても成長を続けることができる経営基盤の構築に邁進しました。

 

      目標とする経営指標

 

2023年度(第127期)

目標達成状況

目標

実績

新商品売上比率

機械30%

消耗品10%

機械9.4%

消耗品0.9%

未達成

新規お客様数

+2,500社

+2,837社

達成

新市場比率

68.0%

62.7%

未達成

成約カバー率

+5ポイント

+2.6ポイント

未達成

営業利益率

8.0%以上

4.7%

未達成

 

(5)セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析

〔表面処理事業〕

売上高は、半導体の旺盛な需要による電子関連向けやインフラ、自動車関連向けで表面処理装置が堅調に推移したことで増加しました。営業利益は、原材料高騰に伴う汎用機の価格改定や付加価値提案の推進等で増加しました。

 

〔鋳造事業〕

売上高は、海外ではお客様の工場建屋の建設工事の遅れによる設備の納入延期などがありましたが、国内では電装部品など一部で納期が長い部品の影響を受けたものの大型プラント案件の進捗が順調に推移したことにより増加しました。営業損益は、原材料費・エネルギー価格の高騰、輸送費の高止まり、工事業者のマンパワー不足が影響したものの、増収により黒字化しました。

 

〔環境事業〕

売上高は、鋳造、鉄鋼、セメントなど向けで集塵機が堅調に推移したほか、メンテナンスも堅調だったことに加え、風力発電装置向けの大型設備の納入もあり、増加しました。営業利益は、増収により増加しました。

 

〔搬送事業〕

売上高は、自動車産業向けが低調だったものの、工作機械向けが堅調だったほか、物流業界向けの需要が継続し、増加しました。営業利益は、増収により増加しました。

 

〔特機事業〕

売上高は、高圧ロールプレスが好調に推移した上、サーボシリンダも電池製造装置向けが好調で、増収となりました。営業損益は、サーボシリンダの値上げ申し入れの成果が現れ、黒字転換しました。

5【経営上の重要な契約等】

(1)技術援助契約(技術等の導入)

契約会社名

相手会社名

国名

契約品目

契約の内容

契約期間

新東工業

株式会社

ケミッシュテルミッシェプロツェステクニーク社

オーストリア

酸化装置

吸着装置

窒素化合物除去装置

熱交換装置

CTP触媒

(1)独占的製造販売権の許諾

(2)技術情報の提供

(3)技術者の相互派遣の許諾

自 2023年2月26日

至 2028年2月25日

 

(2)技術援助契約(技術等の供与)

契約会社名

相手会社名

国名

契約品目

契約の内容

契約期間

新東工業

株式会社

サイアム

ブレーター社

タイ

スチールショット

スチールグリット

亜鉛ショット

(1)タイにおける独占的製造販売権及びその他の国への非独占的販売権の供与

(2)商標使用権の供与

(3)技術及び販売資料の提供

(4)技術者の相互派遣の許諾

自 2020年1月1日

至 2024年12月31日

 

(3)子会社株式の取得

 当社は、Elastikos(France) S.A.S.の全株式を取得し、子会社化することを2023年8月11日開催の取締役会において決議し、2023年9月29日に株式譲渡契約を締結しました。なお、2024年4月4日に本件取引を実施いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

(4)リボルビング・クレジット・ファシリティ契約

契約会社名

契約締結日

契約内容

株式会社三菱UFJ銀行

2024年3月25日

総額35,045百万円のリボルビング・クレジット・ファシリティ契約による借入枠の設定

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、「素材に形をいのちを」を企業理念に、金属、セラミックス、樹脂等の素形材関連設備及び消耗品を主体とするメーカーとして、これら素材の成形を基本としたコア技術とその周辺技術、関連技術に関する研究開発を行っております。特に従来の資源循環型スマート社会の構築に向けた新プロセス・新商品・新事業の提案と実用化に加えて、IT化、再生エネルギー、軽量化などの社会ニーズにも応えるべくグループトータルでの技術開発を推進しております。中でも産業用ロボットに採用が期待される高分解能の力覚センサーの事業、さらに、DX・IoTの推進では、設備稼働モニタ、遠隔モニタリング、様々なセンサーを無線でつなぎ見える化する“C-BOX”などにも幅広く取り組んでおり、新規事業開発で今後の成果が期待されます。

 研究開発関係等に要した費用の総額は2,561百万円であり、セグメント別の主な研究開発活動の状況及び研究開発費を示すと次のとおりであります。なお、研究開発費については、各セグメントに配分できない基礎的研究費408百万円が含まれております。

 

(1)表面処理事業

 主に、当社が中心となって当事業の研究開発活動を行っております。

 当事業では、表面処理技術であるブラスト、バレル研磨、ブラシ研磨の3つをコア技術として、環境に適した素材変化も含めて、安全・安心な循環型社会に貢献する技術の提供を目的として開発を行っております。主な取り組みとしては、活況な積層造形業界に対し、各材質に応じた造形後の表面処理プロセスを開発し、美観や疲労強度を向上させる表面づくりを継続して進めております。

 また、第4のコア技術としてレーザー技術に着目し、レーザーピーニングの研究開発を進めており、加工サービスの提供を開始しました。ショットピーニングで達成可能な疲労強度向上に加えて、環境に優しく新たな表面機能の付与が期待できる当技術は、次世代の表面処理技術としてお客様の研究開発部門を中心にご活用頂いております。

 更には、お客様の人手不足解消・作業者負担軽減の観点から、当社が納めさせていただいた設備に対し、工程の無人化を実現するためのシステム商品の開発にも注力しております。

 今後活況な業界への開発活動を進めるとともに、今般のSDGsに鑑みて、環境配慮した表面処理技術の開発を行い、お客様に選ばれ続ける活動を続けてまいります。

 当事業に係る研究開発活動は、516百万円であります。

 

(2)鋳造事業

 主に、当社が中心となって当事業の研究開発活動を行っております。

当事業はグローバル市場という視点から見ると、中国・インドを中心に安定的成長が今後も見込まれますが、国内や欧米市場では産業としての成熟期を迎え、品質向上と安定かつ効率的な設備稼働を指向する技術が強く求められています。当社はこれを受け、理想の鋳造工場を「SINTO SMART FOUNDRY(略称SSF)」と名付け、環境負荷の低減を含めたお客様視点での「いい鋳物づくり」への貢献を果たすべく、センシング技術を活用した商品開発を進めております。その成果は、砂型へのレーザーマーキング技術による製品1個単位でのトレーサビリティ対応、不良分析をサポートする不良登録システムと品質管理システムなど、鋳物品質向上を目指したSSF商品を計画的に市場投入してきております。

 当事業に係る研究開発活動は、434百万円であります。

 

(3)環境事業

 主に、当社が中心となって当事業の研究開発活動を行っております。

 「働く人の安全と健康を守る」という活動方針に向かい、集塵・排ガス処理・水処理の従来からのカテゴリ商品に加えて、磨き床や作業環境改善に貢献する商品など、新しい価値を生み出す開発にも力を入れております。

 直近では、工場の環境状態をリアルタイムに見える化し、効率的な環境対策や粉塵などによる作業環境の悪化を未然防止できる「アメニティメータ」をリリースしました。今後は、このシステムで得られたデータを活用し、お客様へ環境改善や対策を提案するサービスの拡充を進めていきます。

 その他にも、集塵機で捕集した粉塵をバインダーレスで圧縮固化するダスト固化装置を開発しリリースしました。現在は主にレーザー加工機から発生する粉塵を対象とし、廃棄時の飛散による健康被害の防止や廃棄物減容による環境負荷低減を実現させていますが、今後は他の廃棄粉塵に対してもリサイクル可能な有価物化する用途を狙い、ラインナップの拡充を進めていきます。

 当事業に係る研究開発活動は、178百万円であります。

 

(4)搬送事業

 主に、子会社の株式会社メイキコウが中心となって当事業の研究開発活動を行っております。

 近年は 工場や倉庫等での荷役作業の人手不足解消に貢献できる省力機械を中心に商品開発しており、トラックヤードにおけるコンテナやトラックからの荷降ろし装置を拡充するため、移動や設置の作業負担を軽減できる「軽量ワーク用デバンダ」や、荷降ろし作業の無人化を実現すべく多関節ロボットを活用した「全自動荷降ろし装置」の製品化への検証を進めております。

 その他、電動式シザーリフトの新ラインナップとして、多段式の高揚程リフトについても製品化に向けた市場調査と実機検証を行っています。

 当事業に係る研究開発活動は、90百万円であります。

 

(5)特機事業

 主に、当社が中心となって当事業の研究開発活動を行っております。

 検査装置分野では、パワー半導体向け電気特性テスタをSiC(シリコンカーバイド)に対応するため、大電流化や高分解能化の要素開発を進めると同時に、ハンドリングを融合させた計測トータルシステムとして商品の競争力向上に取り組んでおります。

 メカトロ分野では主力商品であるサーボシリンダの競争力を向上させるため、演算速度の高速化や操作性を改善した新型サーボコントローラの開発を進めています。また最も注力している二次電池市場に対しては、ドライ電極やカーボンナノチューブの加工といった次世代技術に取り組んでおります。

 機能性粉末分野では、当社グループのコア技術である溶融金属のアトマイズ技術を深耕し、粒径2μmと微細かつ球状の金属ガラス磁性材料を開発・市場投入し、車載用用途、民生機器用途の磁性材市場で高評価を得ています。また、新たな金属磁性材料の開発を進めております。

 当事業に係る研究開発活動は、932百万円であります。