当連結会計年度における事業環境は、全体的には原油価格の低迷や地政学的リスクによる先行き不透明感が継続する中、米国や欧州では景気は緩やかに回復しました。アジアでは中国の景気が減速し、また国内では公共投資が緩やかに減少する一方で、民間設備投資に持ち直しの動きがみられるなど、全体としては回復基調が継続しました。
このような事業環境のもと、当社グループは平成28年度を目標年度とする3ヵ年の中期経営計画「E-Plan2016」を策定し、①市場の成長を確実に当社ビジネスに取り込むこと、②製品・プラントのライフサイクル全体を対象とするサービス業たること、③産業機械メーカとしてのCore Competence(技術力)を継続的に強化していくこと、④グローバル事業展開を支える経営インフラの拡充を図ること、という4つの基本方針のもと、この3ヵ年を「『経営基盤強化』から『成長』へと明確に舵を切る変換点」と位置付け、スピード感を持った変化の実現と成長の加速を図る施策に注力しました。
この結果、当連結会計年度の受注高は、風水力事業で減少したものの、精密・電子事業、エンジニアリング事業の増加により、全体としては前年度を上回りました。売上高も、風水力事業で減少したものの、精密・電子事業、エンジニアリング事業の増加により前年度並みとなりました。営業利益は、精密・電子事業の大幅な増益により、前年度を上回りました。
当連結会計年度における売上高は4,862億35百万円(前年度比0.7%増)、営業利益は380億11百万円(前年度比10.0%増)、経常利益は364億71百万円(前年度比0.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として訴訟損失引当金繰入額64億57百万円を計上したことなどにより172億54百万円(前年度比26.8%減)となりました。
ポンプ事業では、海外において、東南アジア等の電力プロジェクト、石油化学プラント及び肥料プラント向け案件の受注は堅調に推移しましたが、中東や東南アジアでの石油・ガス向け新規プロジェクトが一部中止・延期となり、受注高は前年度を下回りました。国内においては、民間部門では建築着工棟数は前年度並みで推移している中、新製品の投入や工場の設備更新需要の掘り起こしにより、受注高は前年度を上回りました。公共部門の受注高は、社会インフラの更新・補修に対する投資が前年度並みに推移している中、大型ポンプ場や大規模換気設備などの案件を獲得したことを受け、前年度を上回りました。
コンプレッサ・タービン事業では、原油安の影響による石油・ガス市場での顧客の発注延期や投資判断先延ばしの状況が依然として継続していることに加え、中国の景気減速に伴う市場縮小や新規案件の価格競争激化の影響により受注高は前年度を下回りましたが、北米の石油化学プラント向け案件や韓国・アフリカの石油精製案件、中東の石油化学プラント向け包括サービス案件等を受注しました。
冷熱事業では、日本国内での需要は回復傾向にあるものの、中国では市場の成長鈍化により厳しい競争環境が継続しました。こうした中で、中東では産業用途の大型案件を受注するなどし、全体の受注高は前年度を上回りました。
当連結会計年度における風水力事業の売上高は3,208億29百万円(前年度比6.2%減)、セグメント利益は193億35百万円(前年度比6.9%減)となりました。
エンジニアリング事業では、廃棄物処理施設の建設工事(EPC)や、施設の建設から長期的な運営までを含めたDBO方式での発注量は、発注スケジュールの延期等により前年度をやや下回りました。既存施設の運転維持管理(O&M)の発注量については例年通り推移しました。また、地方自治体において、施設運営を民間企業に委託する動きが高まり、O&Mを単年度から多年度にわたる包括的な委託(長期包括)に移行する動きが進みました。
このような状況の中、当年度における大型案件の受注は、新規施設の建設工事3件、既存施設の基幹的設備改良工事1件、長期包括4件となりました。
当連結会計年度におけるエンジニアリング事業の売上高は703億81百万円(前年度比8.4%増)、セグメント利益は64億31百万円(前年度比3.2%増)となりました。
精密・電子事業では、これまでスマートフォン等モバイル端末の需要が半導体市場全体を牽引してきましたが、その成長に少しずつ鈍化の傾向がみられました。そのため海外の一部顧客で先端投資が抑制されました。一方で国内のイメージセンサメーカや3次元NANDフラッシュメモリメーカの設備投資は増加し、海外においてもメモリメーカの半導体設備投資が順調に推移しました。そのような中、主力製品であるCMP装置の需要が回復し、新型めっき装置の受注も好調でした。
当連結会計年度における精密・電子事業の売上高は933億28百万円(前年度比26.2%増)、セグメント利益は116億97百万円(前年度比65.7%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の回収が進んだ結果、215億28百万円の収入超過(前年度比102億32百万円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出124億98百万円などの結果、143億44百万円の支出超過(前年度比15億49百万円の支出減少)となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、71億84百万円の収入超過(前年度比117億82百万円の収入増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金を66億23百万円支払ったことや短期借入金を純額で13億49百万円返済したことなどにより、96億55百万円の支出超過(前年度比26億10百万円の支出増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から44億19百万円減少し、911億85百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
報告セグメント |
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風水力事業 | 316,006 | △6.3 |
エンジニアリング事業 | 19,400 | 24.4 |
精密・電子事業 | 74,803 | 42.8 |
報告セグメント計 | 410,210 | 1.2 |
その他 | - | - |
合計 | 410,210 | 1.2 |
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
報告セグメント |
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風水力事業 | 307,624 | △8.0 | 174,754 | △8.5 |
エンジニアリング事業 | 80,095 | 8.6 | 170,243 | 6.0 |
精密・電子事業 | 101,870 | 31.3 | 20,537 | 68.7 |
報告セグメント計 | 489,590 | 0.8 | 365,535 | 0.5 |
その他 | 1,690 | △2.1 | 1 | △86.2 |
合計 | 491,280 | 0.8 | 365,536 | 0.5 |
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
報告セグメント |
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風水力事業 | 320,829 | △6.2 |
エンジニアリング事業 | 70,381 | 8.4 |
精密・電子事業 | 93,328 | 26.2 |
報告セグメント計 | 484,538 | 0.7 |
その他 | 1,696 | △1.3 |
合計 | 486,235 | 0.7 |
(注) 上記(1)から(3)の金額は、いずれも販売価格によっており、消費税等は含まれていません。また、セグメント間取引消去後の金額です。
当社グループは、平成28年度を目標年度とする3ヵ年の中期経営計画「E-Plan2016」に基づき、グローバルに存在感を発揮する高収益体質を構築し、各事業領域において確固たる地位を確保するため、内外リソースの機動的・集中的な活用によるスピード感を持った変化の実現と成長の加速を図ります。
また、当社は、平成27年6月より指名委員会等設置会社に移行しました。これにより、取締役会による経営の監督機能の強化と透明性の向上、執行組織における業務執行権限の拡大と競争力強化、グローバルに理解されやすいコーポレートガバナンス体制の構築を推進していきます。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
当社グループが事業を展開している市場は競争が激しく、当社グループのほとんどの製品及びサービスが価格低下の圧力に直面しており、価格低下の圧力が当社グループの事業、業績を悪化させる可能性があります。また、エンジニアリング事業では公共事業割合が高く公共事業費支出動向の影響を受け、精密・電子事業ではシリコンサイクルに伴う市況変動等の影響を大きく受けることがあります。
当社グループは、国内外での大型プロジェクトにおいて機械・プラントの設計・製作、据付・施工等を行っていますが、これらの中には技術的難易度が高いものが含まれ、不適合や所定の能力への到達期間が長期化すること等により追加コストが発生する可能性があります。また、海外事業にはカントリーリスク等国内と異なる事業環境に伴うリスクがあり、海外グループ会社及びその従業員のコンプライアンスには困難が伴う場合があります。これらのリスクに対する管理は万全を期していますが、適切に対処できない場合には当社グループの業績や社会的信用等に影響を与える可能性があります。
当社グループは不断に経営基盤の強化に取り組んでおり、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行うことがありますが、かかる事業再編が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
海外における事業活動に係る外貨建取引等は、連結財務諸表作成のために円換算されています。これらは換算時の為替レートの変動により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの有利子負債は固定金利と変動金利からなっており、金利の高下が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループが借入契約の財務制限条項に抵触した場合は、金利の上昇を請求されたり期限の利益を喪失したりする可能性があり、当社の格下げや市場の混乱といった事態が生じた場合は、当社グループの借入コストや資金調達能力に影響を与える可能性があります。
当社グループの事業所が、大規模な台風、地震等の自然災害に見舞われた場合は操業に支障を来たすことがあり、また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合には事業活動の停止や制約等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの繰延税金資産については、将来の課税所得見込額から回収可能性を判定し、回収が不確実と考えられる部分(回収懸念額)に対しては評価性引当額を計上しています。将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
当社グループは製造や建設等のために部品・資材・工事の調達を行っており、市況の変動による影響を受けます。素材価格又は工事費の高騰は当社グループの調達コストの増加につながり、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは国内外で事業を展開しており、許認可、製造物責任、貿易、租税、競争、汚職、知的財産、環境、労務等に関する各国の法的規制を受けているため、当社グループがかかる法的規制に違反した場合、当社グループの業績及び社会的信用等に影響を与える可能性があります。また、法令の制定、改廃等により計画の前提条件が変更になる場合があります。それらの前提条件の変更が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの事業活動において、製造物責任、知的財産、環境保全、労務問題等に関し訴訟を提起されたり訴訟を提起する場合があり、また、当社グループの製品による知的財産権の侵害を理由に製品供給先から訴訟提起等をされる場合があります。これらの動向によっては当社グループの業績及び社会的信用等に影響を与える可能性があります。
旧本社・羽田工場の跡地については、ヤマト運輸株式会社との譲渡契約に従い明渡しが完了していますが、その後、同社の物流ターミナル建設工事に伴い石綿含有スレート片が発見され、同社より譲渡契約における債務不履行又は瑕疵担保責任を理由に85億5百万円及び遅延損害金の支払いを求める損害賠償請求訴訟を提起されています。当社は、当該スレート片は債務不履行又は瑕疵には該当しないとの見解であり、法律事務所からも当社の見解を支持する法的意見書を入手しています。当社は見解の正当性を主張・立証してまいりましたが、平成28年4月28日、東京地方裁判所より56億18百万円及び遅延損害金の支払いを命じる判決があり、当社は控訴しました。当社は平成28年3月期において判決に伴う訴訟損失引当金64億57百万円を計上済みですが、今後の事態の進展によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは中東地域等へ製品を輸出していますが、国際的な協調政策や地域政情変動等の政治要因により輸出債権の回収不能が見込まれる恐れがあります。回収不能が発生する場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
退職給付制度に関する費用負担の変動(年金資産の時価や運用利回りの変動等)が、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、数理計算上の差異及び過去勤務費用の変動が、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。
記載すべき重要な契約はありません。
記載すべき重要な契約はありません。
記載すべき重要な契約はありません。
当社グループの研究開発は、①事業を根幹から支え競争力の源泉となる共通基盤技術、及びその融合による製品コア技術の研究開発、②中長期的展望に基づいた技術シーズの探索と実用化、③現有技術の拡張展開、新技術の実用化・新製品応用のための研究開発、④既存製品の改善・改良、高付加価値化のための研究開発に区分されます。①と②は平成26年4月から活動を開始したコーポレート研究開発組織を中心に、カンパニーと密接に連携を取り、大学等の外部研究機関との共同研究も積極的に活用して進めました。また、③と④については個別の事業部門及びグループ各社が主体となって実施しました。さらにこれらのいずれにも区分されない新規領域の研究開発を推進するため、EIX(Ebara Innovation for X)制度を新設し、運用を開始しました。当連結会計年度の研究開発費は76億32百万円です。
セグメントごとの研究開発活動の状況は、以下のとおりです。
風水力事業分野では、ポンプ事業において、中長期的に成長が期待される水インフラ、エネルギー(電力、石油・ガス)、環境(省エネ)などのグローバル市場向け製品に関し、海外グループ会社と連携して、ラインナップ拡充や製品力強化に取り組み、新製品の市場投入を行いました。製品開発では、マーケティング活動から市場投入後の損益目標達成まで一貫したプロダクトマネジメントシステムを導入しました。冷熱事業においては、ターボ冷凍機について産業向けの製品開発に取り組み、製品シリーズの拡充を図りました。基盤技術に関しては、製品開発における重要な機械要素の開発に加え、数値シミュレーション技術や最適化技術の強化、数値解析・評価プロセスの標準化、サービス&サポート向け技術の開発・応用などに取り組みました。当連結会計年度の研究開発費は50億64百万円です。
エンジニアリング事業分野では、廃棄物処理施設の建設工事(EPC)から運営・維持管理(O&M)までを長期的に一括して行うDBO事業、既存施設の延命化を提案する延命化事業、既存施設のO&Mを長期にわたり運営委託を受ける長期包括事業に取り組んでおり、これまで以上に提案力とコスト競争力強化が求められています。また、再生可能エネルギー電力固定価格買取制度(FIT)開始によりバイオマス発電の需要が高まりを見せています。これらの状況を踏まえ、施設更新に伴う機能強化、ライフサイクルコスト低減を可能とする新技術・新製品開発、保守運営技術の改良開発、並びにバイオマス発電における要素技術の開発を推進しています。当連結会計年度の研究開発費は1億30百万円です。
精密・電子事業分野では、半導体デバイス製造プロセス用装置において、チップの微細化や3次元集積化だけでなく、昨今注目されている新しいパッケージング技術などの開発要求に対応できるよう、装置の改良・改善及び新機種の開発に取り組んでいます。コンポーネント製品においては、更なる省エネ化及び環境負荷低減に貢献できる製品の開発に取り組んでいます。また、顧客との共同開発・コンソーシアムへの参画、さらには各大学との共同研究などを通して、次世代半導体プロセス技術における研究も継続しています。当連結会計年度の研究開発費は24億38百万円です。
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度末における資産総額は、流動資産が83億22百万円増加し、有形固定資産が26億98百万円増加したことなどにより、前年度末に比べて91億51百万円増加し、5,795億43百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。
流動資産は、現金及び預金が47億33百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が64億46百万円、仕掛品が52億73百万円それぞれ増加したことなどにより、83億22百万円増加しました。
有形固定資産と無形固定資産は、資本的支出157億29百万円の実施、減価償却費116億10百万円の計上等の結果、42億45百万円増加しました。
投資その他の資産は、投資有価証券の減少等により、34億16百万円減少しました。
当連結会計年度末における負債総額は、固定負債が91億12百万円減少した一方、流動負債が153億72百万円増加したため、前年度末に比べて62億60百万円増加し、3,290億99百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。
流動負債は、短期借入金が128億8百万円増加したことに加えて、支払手形及び買掛金と電子記録債務が純額で53億90百万円増加したことなどにより、153億72百万円増加しました。
固定負債は、訴訟損失引当金64億57百万円を計上したものの、長期借入金が147億74百万円減少したことなどにより、91億12百万円減少しました。
当連結会計年度末における純資産は、配当金を66億23百万円支払ったほか、為替換算調整勘定が48億63百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を172億54百万円計上したことなどにより、前年度末に比べて28億91百万円増加し、2,504億44百万円となりました。自己資本は2,410億16百万円で、自己資本比率は41.6%となりました。
売上高は、風水力事業で減少したものの、精密・電子事業、エンジニアリング事業における増加により、前年度比35億35百万円増加して4,862億35百万円となりました。
売上原価は、前年度比30億80百万円減少し、3,533億44百万円となりました。売上原価率は前年度から1.1ポイント改善して72.7%となり、売上総利益は前年度比66億15百万円増加し1,328億91百万円となりました。販売費及び一般管理費は、前年度比31億71百万円増加し、948億79百万円となりました。主な要因は、貸倒引当金繰入額の増加15億40百万円等です。その結果、営業利益は34億44百万円増加し380億11百万円となりました。
営業外損益の純額は、前年度比32億30百万円悪化し、15億39百万円のマイナスとなりました。営業外収益は、為替差益が15億97百万円減少したこと等により、前年度比17億33百万円減少し23億57百万円となりました。営業外費用は、為替差損が18億45百万円増加したこと等により、前年度比14億97百万円増加し38億97百万円となりました。その結果、経常利益は前年度比2億13百万円増加し364億71百万円となりました。
特別損益の純額は、前年度比53億15百万円悪化し、47億85百万円のマイナスとなりました。特別利益は、土地売却費用引当金戻入額15億89百万円を計上したこと等により、前年度比11億33百万円増加し20億49百万円となりました。特別損失は、訴訟損失引当金繰入額64億57百万円を計上したこと等により、前年度比64億48百万円増加し68億34百万円となりました。その結果、税金等調整前当期純利益は、前年度比51億1百万円減少し316億86百万円となりました。
また、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は前年度比13億25百万円増加したほか、非支配株主に帰属する当期純利益は16億42百万円となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比63億26百万円減少し、172億54百万円となりました。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積もりと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
完成工事高に対して将来予想される瑕疵担保費用を一定の比率で算定し、完成工事補償引当金として計上しています。
引当金の見積りにおいて想定していなかった完成工事の不具合による補償義務の発生や、引当の額を超えて補償費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の補償費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。
製品売上高に対して将来予想される瑕疵担保費用を一定の比率で算定し、製品保証引当金として計上しています。
引当金の見積りにおいて想定していなかった製品の不具合による保証義務の発生や、引当の額を超えて保証費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の保証費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。
工事契約について、未引渡工事のうち損失の発生する可能性が高く、工事損失額を期末において合理的に見積もることが出来る工事については、当該損失見込額を工事損失引当金として計上しています。
技術的難易度の高い長期請負工事や海外でのカントリー・リスク等のある工事等において、工事の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
財務基盤の強化については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としています。当連結会計年度においては、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、71億84百万円の収入超過となり、前年度比117億82百万円の収入増加となりました。これは、営業活動によるキャッシュ・フローが前年度比102億32百万円の収入増加となり、投資活動によるキャッシュ・フローも前年度比15億49百万円の支出減少となったことが原因です。
また、当連結会計年度末において、有利子負債残高は1,201億26百万円(短期有利子負債784億55百万円、長期有利子負債416億70百万円)で、前年度末の有利子負債残高1,215億円からは13億73百万円減少しました。
資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしています。また、金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約等を締結することで手許流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を運用しています。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は911億85百万円であり、金融機関との間で当座貸越契約50億円、コミットメントライン450億円の契約を締結しています。これら契約に基づく当座貸越極度額及びコミットメントラインの総額500億円に対し、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
当社グループは、平成26年5月に平成28年度を最終年度とする中期経営計画「E-Plan2016」を策定しました。当計画では、投下資本利益率(ROIC)を重要経営指標と位置付け、その改善を図っていきます。また、D/Eレシオ(安定性指標)と自己資本利益率(ROE)(効率性指標)を経営管理上の重点指標と位置づけ、それらの均衡の取れた改善を図っていきます。上記を踏まえ、各事業部門としては売上高営業利益率を事業遂行上の重点指標と位置付け、その管理を行っていきます。
セグメントごとの見通しと個別戦略は、以下のとおりです。
(風水力事業)
風水力事業の市況は、一部の地域で引き続き原油価格の変動や地政学的リスクの影響を受けるものの、全体としては緩やかに回復していくと予想されます。
ポンプ事業は、海外では米国や東南アジアを中心に電力・石油化学・肥料・水インフラなどの需要が堅調に推移するものと見込まれます。国内では、建築設備市場はマンション建設の減少傾向が継続するものの、首都圏を中心とした再開発に関わる民間の設備投資が好調に推移して、全体の市況は前年度並みになると見込まれます。コンプレッサ・タービン事業では、米国・中東・中国・ロシアなどで石油精製及び石油化学、LNG関連の大型案件が具体化する見込みです。冷熱事業は、海外では中国市場における成長の鈍化が続くものの、国内の需要は堅調に推移する見込みです。
このような状況において、海外では地域ごとのニーズに合った製品開発の推進と、グローバルな生産・販売体制及びサービス&サポート体制の充実を図ることにより、事業範囲の拡大を進めていきます。また、国内では顧客ニーズに対応した販売・サービス体制の拡充を図ります。
(エンジニアリング事業)
エンジニアリング事業では、公共部門においては、新規施設の建設のみならず、既存施設に対する大規模延命化工事、温暖化ガス排出抑制のための基幹的設備改良工事等、施設更新に関し一定の需要が継続する見込みです。また、地方自治体が施設運営を民間企業に委託する動きが高まっており、運転及び維持管理(O&M)を多年度にわたり包括的に民間企業に委託する長期包括契約化は今後も増加が見込まれ、建設から長期的な施設の運営までを含めたDBO方式の案件は引続き堅調に推移すると想定されます。また、国のエネルギー政策の見直しに伴い、民間企業における木質バイオマス等を用いた発電施設の計画が今後増加する見込みです。
このような状況において、施設の建設工事(EPC)から運転及び維持管理(O&M)を一貫体制で行う当事業体の利点を生かし、EPCとO&Mそれぞれの技術を結集することにより、公共事業におけるDBOや基幹的設備改良工事、民間企業における発電事業施設など、顧客ニーズに合う提案を積極的に行い受注拡大に努めます。
(精密・電子事業)
精密・電子事業では、昨年度好調であったメモリを中心とする半導体設備投資が一時的に減速する一方で、ロジック先端投資の回復が見込まれています。また、年度後半にはメモリメーカの設備投資の復調が期待されています。
このような状況の中、昨年度末に熊本工場の規模拡張を決定しました。新工場は主力生産機種であるCMP装置をはじめ、各種半導体製造装置の生産にも対応できる柔軟性の高さを特徴としています。今後も様々な顧客ニーズに対応し、また生産革新活動による生産性向上にも引き続き取り組みながら、さらなる事業の拡大を図ります。