「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(2019年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(30)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しています。
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
<長期ビジョン:「E-Vision2030」>
当社グループは1912年の創業以来、創業の精神である「熱と誠」のもとに、「水と空気と環境の分野で広く社会に貢献する」ことを企業理念とし、事業を行ってきました。創業当時は日本の水インフラの整備に貢献し、「水を安全かつ安定的に供給するための事業を通じて国づくりに貢献する」という意思をもって臨みました。そして、第2次世界大戦後の戦後復興と高度経済成長期には、産業インフラ・都市化による建設需要に対して、さまざまなニーズに基づく多種多様な風水力製品・サービスを提供し、市民生活の高度化に伴って生じる廃棄物を処理する焼却設備等を提供してきました。さらに、情報化社会の進展に伴い半導体製造装置・機器を開発し、近年は持続可能な社会の要請に対して製品の省エネ化を徹底するなど、事業を通じて社会の様々な課題の解決に貢献してきました。
今後100年の人類社会や地球環境を展望すると、特に注目すべきは温暖化現象の悪化による異常気象と自然災害の激甚化、海面上昇による高潮、陸地の浸食、さらには食料や水の資源枯渇等の問題の発生があります。また、高度情報化社会はますます進化し、デジタル社会の加速によりライフスタイルが大きく変化することが予想され、社会を支える半導体の技術革新はさらに進むとともに需要も拡大していくと考えます。
このように事業環境が見通しにくい中で、当社グループが今後も社会課題の解決を通じて更なる成長を続けていくためには、今後の社会の展望と課題を認識したうえで、将来のありたい姿を描き、その実現に向けた方針・戦略を明確にすることが不可欠と考え、長期ビジョン「E-Vision2030」を策定しました。
「E-Vision2030」は、10年後のあるべき姿とそれに向かう道筋を“価値創造ストーリー”として表したもので、「技術で、熱く、世界を支える」というスローガンを掲げ、当社グループが2030年に向けて解決・改善していく重要課題を“5つのマテリアリティ”として設定しています。5つのマテリアリティはSDGsをはじめとする社会課題の解決に資するものであり、当社グループは事業を通じて社会・環境価値と経済価値を同時に向上させ、それにより企業価値を向上させることで、グローバルエクセレントカンパニーを目指します。
① 持続可能な社会づくりへの貢献
技術で、熱く、持続可能で地球にやさしい社会、安全・安心に過ごせる社会インフラ、水や食べるものに困らない世界を支えます。
② 進化する豊かな生活づくりへの貢献
技術で、熱く、世界が広く貧困から抜け出す経済発展と、進化する豊かで便利なくらしを実現する産業を支えます。
③ 環境マネジメントの徹底
二酸化炭素排出を実質的にゼロにするカーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギー利用を含めた二酸化炭素削減を推進します。
④ 人材の活躍促進
多様な人材が働き甲斐と働き易さを感じながら活躍し、“競争し挑戦する企業風土”を具体化します。
⑤ ガバナンスの更なる革新
成長へのビジョンを描き、グローバルで勝ち続ける経営を後押しする攻めと守りのガバナンスを追求します。
(2) 中期的な経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは、「E-Vision2030」に示した進むべき方向性に対して、バックキャストして今後3年間で取り組むべき戦略・課題と、前中期経営計画「E-Plan2019」の振り返りから明確になった解決すべき課題への対応等に基づき、2020年度からの3か年の中期経営計画「E-Plan2022」を策定しました。
<前中期経営計画「E-Plan2019」の総括>
「E-Plan2019」は、計画期間完了時に、世界規模で事業展開し成長する産業機械メーカへと更なる発展を目指すために、全事業の収益性を徹底的に改善することを目標とし、「成長への飽くなき挑戦」を実践する期間と位置づけ、各事業において施策を遂行しました。「E-Plan2019」の振り返りから明らかになった課題は、「収益基盤の強化」、「S&S事業の拡充」及び「新規事業の創出」の3点であり、「E-Plan2022」でも引き続き重点課題として取り組んでいきます。
なお、「E-Plan2019」における経営指標等の達成状況は以下のとおりです。
「E-Plan2019」 経営指標等の達成状況
※2017年12月期は決算期変更により、9か月間です。
<新中期経営計画:「E-Plan2022」>
「E-Plan2022」は「E-Vision2030」の最初の3年間の中期経営計画として、「更なる成長に向けた筋肉質化」のステージと位置づけ、以下の4つの基本方針を策定しました。
Ⅰ. 事業成長への挑戦
新事業の開拓・創出、既存事業におけるグローバル市場への更なる展開
Ⅱ. 既存事業の収益性改善
収益基盤強化のための事業構造の変革と全事業でのS&S売上高の伸長
Ⅲ. 経営・事業インフラの高度化
デジタルトランスフォーメーション(DX)への積極的な取り組み等による経営のスピードアップ、ROIC経営の深化
Ⅳ. ESG経営の進化
変化する環境問題への取り組み、社会とのつながり及びガバナンスの強化
<目標とする経営指標>
E-Plan2022では、以下の理由により投下資本利益率(ROIC)と売上高営業利益率を最重要経営指標としています。
① 投下資本利益率
投下資本を有効活用しながら中長期的に資本コストを上回るリターンをあげることを強く意識し、さらに事業ポートフォリオに基づき、成長事業と収益改善事業に区分し、メリハリのある事業別戦略を実行します。
② 売上高営業利益率
「E-Plan2019」の振り返りも踏まえ、S&S事業の拡充等による収益基盤の強化を重要課題と認識し、事業の収益性改善を行います。
最重要経営指標(KPI)
目標を達成するためのモニタリング指標
成長投資
株主還元方針
(3)経営環境
E-Plan2022を策定するうえで前提とした経営環境は以下のとおりです。

(4)対処すべき課題
E-Plan2022を「更なる成長に向けた筋肉質化」のステージと位置づけ、さらに前述の市場環境の下、3年間で優先して取り組むべき課題は以下のとおりです。
・ニーズの発掘とシーズの発見・育成を行い、新事業を創出
・事業ポートフォリオの最適化により収益を拡大
・経営スピードを速め、効率的なグローバルオペレーションの基盤を強化
・社会に範となる事業活動・行動の実践
これらの課題に対処すべく、以下の5つの軸で経営戦略を設定し、計画を策定し、実行していきます。
1. 新規事業
新たなニーズ・シーズを探求し、その需要を満たす製品・サービスが何か、それに対して当社が保有する技術、インフラでの強みを発揮できるかを全社視点でグローバルに検討するためのマーケティング・R&D組織を設置し、顧客へのソリューション提供につなげていきます。
新規事業の模索・成長に向けては、自前にこだわらず、社外研究機関やベンチャーを含む他企業等との連携や出資、買収等の手段も積極的かつ柔軟に活用します。
中長期案件としては廃プラスチックのケミカルリサイクル、水素エネルギー関連分野、CO2回収・有効利用・貯蔵(CCUS)等を候補とし、短中期案件としては3D積層技術、マイクロバブル、陸上養殖等の事業化・実用化に取り組みます。
2. 既存事業
既存の対面市場のみならず、マーケットインの視点で当社の強みを生かした製品やサービスにより、付加価値を提供することができる新たな市場・領域の探索や適切なビジネスモデルを検討し、顧客ニーズにマッチした製品改良・開発や新しいサービスの提供を行います。実行においては、常に業務のスピードアップを意識し、個々の事業での対応のみならず、各事業の連携を通じたシナジーを最大限に発揮します。
1)サービス&サポート事業の全社的な強化
グローバルに経済合理性を実現できる最適なアプローチを事業横断的に考え、各市場・顧客、各国・地域で最適なサービスを提供できる体制を構築します。
具体的には、製品は異なるが対面市場が同一の事業(カスタムポンプとコンプレッサ・タービン等)のS&S組織を統合又は連携し、技術力やグローバルネットワーク等の相互の強みを活かしたシナジーを産み出します。
2)メリハリある事業別戦略の実施
事業ポートフォリオにより、将来にわたり成長が期待できる事業(成長事業)と、対面市場が成熟している又は収益性に課題がある事業(収益改善事業)とに分け、それぞれの戦略を設定します。成長事業として標準ポンプ事業及び精密・電子事業にフォーカスした成長投資を行うとともに、収益改善事業のうちカスタムポンプ事業とコンプレッサ・タービン事業は収益性の確保を重点に置いた事業運営を最優先とします。
3)圧倒的な製品を生み出す開発力の強化
圧倒的競争優位性を持つ製品を開発し続けます。対象市場で必要かつ最適な性能、品質、納期の要件を徹底的に検討、規定し、それを満たした上で、最大の収益が得られる価格での販売を行います。例えばポンプ事業においては、省エネ化、小型・軽量化、スマート化した製品などが対象となります。
4)調達力強化
調達コスト低減のため、グローバルでの調達力を強化し、最適地調達を強化します。
3. 市場戦略
人口増加に伴い経済成長も見込まれるグローバル市場と、成熟した日本市場とで戦略を分けて施策を実行します。
1)グローバル市場
人口増加、経済成長、特定産業の発展など、成長が期待できる地域や国での売上拡大のため、設備・M&Aの投資やリソースの積極的配分により、拡大に必要な製品・サービスの拡充や人材の確保を行います。
標準ポンプについては10か所以上の拠点設立によるカバレッジの拡大を実行し、特に未開拓で今後人口増加・経済発展が見込まれるアフリカ市場におけるプレゼンスを高めます。また、地域ニーズを的確に把握し、拠点での製品開発も積極的に実施します。精密・電子事業は成長する中国市場の参入を確実に実行し、その他の事業は中国・インドを中心としたアジア地域で事業を拡大させます。
マーケティング、生産、調達、販売、サービス及び物流については、事業の枠に囚われず、拠点の相互乗り入れ・活用などを用い、最適なグローバルバリューチェーンを構築します。
2)国内市場
日本市場が成熟することを前提に、サービス事業の確実な刈取りに加え、IoT・AI等の先端情報化技術の活用等を先行して行い、事業の効率化、収益の最大化を行います。
4. 経営資本(リソース)の強化
事業の成長に必要な6つの資本(人、製造(建物・設備)、財務、知的(技術・特許)、社会/関係(SCM、代理店)、自然/環境)を、様々な事業環境の変化やグローバルでの事業拡大に資するものに進化・強化させます。
1)ROIC経営・ポートフォリオ経営の強化
ROIC-WACC(加重平均資本コスト)の乖離とS&S売上高を最重要指標として評価・管理するため、事業別かつグループ・グローバルでの各指標(及びそれをツリー分解した重要指標)の算出の正確性・迅速性を向上させます。また、全事業において売上債権や棚卸資産を中心としたバランスシートコントロールを強化して投下資本の回転率を高める一方、事業別にはメリハリのある投資等のアクションに結びつけるポートフォリオ経営を実践します。
2)製造・技術・情報に係る戦略
事業運営の効率性を高め、成長していくため、データとデジタル技術を駆使し、製品やサービス、ビジネスモデルをグローバルに変革します。また、それを支えるERPの全社的導入等により業務インフラを整備するとともにグローバルに最適化された業務フローや業務ルールを構築します。
製造においては自動化工場のノウハウを体系化し、国内外グループ会社への生産自動化の水平展開を実施します。
3)人的資源に係る戦略
「E-Plan2019」に改定を行った人事制度の有効性を高める運用として、年功に拠らないドラスティックな人材配置やグローバルでの展開等を推進します。その基盤となるタレントマネジメントシステムをグローバルで導入し、国籍や性別に関わらず優秀な人材を育成・抜擢し、適材適所の配置を実現するプラットフォームとして構築します。また、高度専門人材等のキャリア採用やグローバルモビリティの向上等により、人材の多様化を推進し、世界中から競争し挑戦する人材を採用、育成します。
労働安全管理、ストレスマネジメントや健康増進策など、従業員が安心・安全に働き、より高いパフォーマンスを発揮できる職場環境を整備します。
5. 高度なESG経営の実践
E-Plan2019期間中に一定の深みを増したESG経営については、引き続きSDGsをはじめとする社会課題の解決に事業を通じて持続的に貢献し、社会・環境価値と経済価値を同時に向上させていきます。
① 環境問題への取り組み(E)
各事業の製品・サービスの高効率化等により温室効果ガス排出量を抑えることが、当社の環境問題への最大の貢献であることを自覚し、その強化・推進に努めます。合わせて、ケミカルリサイクルや水素社会への対応等を検討します。一方で、事業活動により生じる環境負荷はグローバルで確実に把握し、その最小化に向けた取組みを計画的に実施します。
② 社会とのつながり(S)
事業活動によって安全、安心、便利な製品・サービスを届けることにより社会価値創造・提供を行っていきます。事業活動にあたっては、地域社会発展への寄与や人権尊重など、社会とのつながりを強く意識する一方、非営利の社会貢献は事業活動による社会価値の提供は位置付けを明確に分けたうえで、文化施設への支援などを推進します。
③ ガバナンス(G)
取締役会主導による中長期の経営方針と執行部門による実行のサイクルを更に進化させ、より実効性の高い体制を整えます。また、グローバル経営の進展等に合わせ、グループガバナンスやリスクマネジメントを進化させます。
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(2019年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(31)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しています。
当社グループの事業等に関するリスクについて、長期ビジョン『E-Vision2030』及び中期経営計画『E-Plan2022』の策定にあたっては、中長期的な社会情勢や市場環境の変動をシナリオプランニングによって分析しています。また、足下の当社グループを取り巻くリスクについては、事業特性に照らし想定し得るリスクのうちから当社グループにとっての発生可能性、影響度及び対策後の残存リスクを分析する、全社リスクアセスメントを定期的に実施しています。
(1)長期的トレンドとしての変動リスク
(2)短期的なボラタイルリスク
(3)対面市場・当社事業別リスク
当社グループはリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(2019年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(32)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績
(単位:百万円)
当連結会計年度における事業環境は、世界経済では石油・ガス市場において一定の投資水準が継続する一方、半導体市場においては投資の調整局面にありましたが、一部で設備投資再開の動きも見られました。日本経済では、公共投資が堅調に推移しており、民間設備投資では例年並みの状況が続いています。全体として市況は底堅く推移しました。
こうした事業環境の下、当連結会計年度の受注高は、風水力事業が増加したものの、環境プラント事業と精密・電子事業の減少により前期比で233億50百万円減少して5,522億25百万円となりました。
売上高は、精密・電子事業が減少したものの、風水力事業と環境プラント事業の増加により、前期比で132億49百万円増加して5,224億24百万円となりました。
売上原価は3,857億36百万円、売上原価率は73.8%となり、売上総利益は1,366億88百万円となりました。販売費及び一般管理費は1,013億89百万円、営業利益は精密・電子事業が減少したものの、風水力事業と環境プラント事業の増加により前期比で28億16百万円増加して352億98百万円となりました。
営業外損益の純額は、持分法による投資利益7億49百万円を計上したことなどにより、2億72百万円のプラスとなりました。その結果、経常利益は前期比で42億90百万円増加して355億71百万円となりました。
特別損益の純額は、減損損失11億12百万円を計上したことなどにより、3億86百万円のマイナスとなりました。その結果、税金等調整前当期純利益は、351億84百万円となりました。
また、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額が100億45百万円になったほか、非支配株主に帰属する当期純利益は17億89百万円となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で50億87百万円増加して233億49百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
セグメント別では、受注高は環境プラント事業と精密・電子事業で前期を下回りました。環境プラント事業の減少は、前年の受注が例年に比べ高水準だったことがその要因です。精密・電子事業の減少は、半導体設備投資の減速による影響を受けたことによるものです。売上高・営業利益は風水力事業、環境プラント事業でいずれも増収増益と堅調に推移しましたが、精密・電子事業は半導体メモリメーカによる投資減速の影響が大きく、減収減益となりました。
風水力事業では、受注高は前期から53億29百万円増の3,316億7百万円、売上高は141億39百万円増の3,231億39百万円、営業利益は85億26百万円増の172億74百万円となりました。ポンプ事業については、中国で石油ガス市場向けの需要が旺盛だったことに加え、国内の標準ポンプ事業において業務効率化や価格改定効果などもあり、増収増益となりました。コンプレッサ・タービン事業については、サービス&サポートによる売上増に加え、クライオポンプ事業が好調により増収増益となりました。冷熱事業は中国市場での新製品投入や国内更新需要の着実な取り込みなどにより増収増益となりました。
環境プラント事業では、受注高は前期から155億8百万円減の914億79百万円、売上高は66億93百万円増の695億5百万円、営業利益は25億81百万円増の74億86百万円となりました。前期はDBOや長期包括契約によるO&M※などの大型案件を複数受注したため、過去の水準と比べても受注高が高水準でした。今期の受注高も引き続きDBO案件を3件受注するなど高水準を維持しました。前期に長期包括や延命化案件などの受注が増加したことに加え、原価低減が進捗したことなどにより増収増益となりました。
精密・電子事業では、受注高は前期から130億43百万円減の1,276億11百万円、売上高は74億53百万円減の1,282億55百万円、営業利益は81億96百万円減の103億71百万円となり、いずれも前期を下回りました。メモリメーカを中心に投資低迷の影響を受けましたが、第3四半期の後半から一部の顧客で設備投資を再開する動きがみられ、発注や前倒し納入依頼がありました。営業利益は、減収に加え、CMP事業における案件ミックス、開発案件や人件費などがかさみ、収益性が低下しました。また、開発案件の増加や海外拠点の人員強化なども行っており減収減益となりました。
※O&M(Operation & Maintenance) プラントの運転管理・メンテナンス
《セグメント別の事業環境と事業概況》
注)1.矢印は受注高の前期比の増減率を示しています。
2.EPC(Engineering, Procurement, Construction)…プラントの設計・調達・建設
O&M(Operation & Maintenance) ……………………プラントの運転管理・メンテナンス
DBO(Design, Build, Operate)………………………プラントの設計・調達・建設に加え、建設後の
運転管理・メンテナンスを一定期間請け負う。
また、当社グループは、投下資本利益率(ROIC)、全社及び各報告セグメント別の売上高営業利益率を経営指標としています。中期経営計画「E-Plan2019」(2017年度~2019年度)の最終年度である当連結会計年度の実績は以下のとおりとなり、目標に対して未達でした。これを踏まえて次期中期経営計画「E-Plan2022」(2020年度~2022年度)において、経営指標の改善に邁進していく所存です。
(ROIC)
(売上高営業利益)
生産、受注及び販売の状況は以下のとおりです。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 上記①から③の金額は、いずれも販売価格によっており、消費税等は含まれていません。また、セグメント間取引消去後の金額です。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における資産総額は、前年度末に比べて、現金及び預金が165億95百万円減少した一方、建物及び構築物が117億52百万円、建設仮勘定が61億7百万円増加したことなどにより、36億57百万円増加し、5,952億39百万円となりました。建物及び構築物と建設仮勘定の増加は、主に精密・電子事業における国内の工場増設など、成長投資の実行によるものです
セグメントごとでは、風水力事業は3,130億32百万円(28億36百万円増)、環境プラント事業は524億18百万円(102億85百万円増)、精密・電子事業は1,419億9百万円(107億36百万円増)、その他は272億57百万円(17億58百万円増)となりました。
当連結会計年度末における負債総額は、前年度末に比べて流動負債(その他:設備未払金等)が67億64百万円増加した一方、電子記録債務が30億6百万円、支払手形及び買掛金が27億39百万円、長期借入金が23億89百万円減少したことなどにより、13億92百万円減少し、3,034億11百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を233億49百万円計上した一方、自己株式の取得による減少150億4百万円、配当金を58億77百万円支払ったことなどにより50億49百万円増加し、2,918億27百万円となりました。自己資本は2,836億51百万円で、自己資本比率は47.7%となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度末との比較を行っています。
(3) キャッシュ・フロー並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、風水力事業を中心に事業が好調に推移した結果、267億20百万円の収入超過(前期比78億90百万円の収入減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に精密・電子事業における国内の工場増設など、成長投資の実行により、240億77百万円の支出超過(前期比81億49百万円の支出増加)となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、26億43百万円の収入超過(前期比160億39百万円の収入減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出150億4百万円、配当金の支払い58億77百万円などにより、201億88百万円の支出超過(前期比262億23百万円の支出減少)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から172億5百万円減少し、933億51百万円となりました。
② 財務戦略の基本方針
当社グループは、企業価値向上のために適宜適切なタイミングで経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としており、強固な財務体質と高い資本効率をともに兼ね備えることが重要だと考えています。
自己資本は信用格付として維持すべき水準と考える『シングルAフラット(※)』となり、現在の事業推進に必要十分な状態となっています。従って、現在の当社の財務の状態においては、売上債権、棚卸資産を圧縮し、創出された資金を厳選した成長投資に振り向け固定資産を増強する一方、資本効率を高めるために自己資本を一定水準に抑制していきます。
(※)格付投資情報センター(R&I)による格付
③ 資金調達について
当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金を、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.3~0.5を基準に負債の活用を進め、資本コストの低減・資本効率の向上を図ります。
また、資金の流動性については、連結売上高の2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融上のリスクに対応するためにコミットメントライン契約等を締結することで、手許流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金を当社に集中する制度を運用しています。
代替流動性
当座貸越契約 50億円
コミットメントライン契約 450億円
いずれの契約においても、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
完成工事高に対して将来予想される瑕疵担保費用を一定の比率で算定し、完成工事補償引当金として計上しています。
引当金の見積りにおいて想定していなかった完成工事の不具合による補償義務の発生や、引当の額を超えて補償費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の補償費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。
製品売上高に対して将来予想される瑕疵担保費用を一定の比率で算定し、製品保証引当金として計上しています。
引当金の見積りにおいて想定していなかった製品の不具合による保証義務の発生や、引当の額を超えて保証費用が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。一方、実際の保証費用が引当金の額を下回った場合は引当金戻入益を計上することになります。
受注時における戦略的低採算案件や工事契約における未引渡工事のうち損失の発生する可能性が高く、工事損失額を期末において合理的に見積ることが出来る工事等については、当該損失見込額を工事損失引当金として計上しています。
技術的難易度の高い長期請負工事や海外でのカントリー・リスク等のある工事等において、工事の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合は、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
⑥ 完成工事高及び完成工事原価の計上
成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)により完成工事高を計上しています。想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価が影響を受け、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
⑦ 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
記載すべき重要な契約はありません。
記載すべき重要な契約はありません。
記載すべき重要な契約はありません。
当社グループの研究開発は、①事業の根幹を支える共通基盤技術、その融合による製品コア技術の研究開発、②中長期的展望に基づいた技術シーズの探索と実用化、③現有技術の拡張展開、新技術の実用化・新製品応用のための研究開発、④既存製品の高付加価値化のための研究開発に区分されます。①と②はコーポレート研究開発組織を中心に、カンパニーと密接に連携を取り、大学等の外部研究機関との共同研究も積極的に活用して進めました。さらに、特徴のある技術を有する中小企業との連携を発展させ、研究開発に係わる試作機能を強化しました。③と④については個別の事業部門及びグループ各社が主体となって実施しました。これらのいずれにも区分されない領域は、新事業創出のための制度であるEIX(Ebara Innovation for X)制度を活用し、プロセスイノベーション等への取り組みと成果の利用を加速し進めています。当連結会計年度の研究開発費は
セグメントごとの研究開発活動の状況は、以下のとおりです。
風水力事業分野では、中長期的に成長の持続が期待される、水インフラ、エネルギー(石油・ガス、電力)、建築設備分野などのグローバル市場向け製品に関し、海外グループ会社との連携強化を含め、ラインナップ拡充や製品力強化に取り組んでいます。標準ポンプでは、省エネ・省資源・環境負荷低減を指向した製品群の開発を継続して進めると共に、顧客利便性向上に向けインバータ内蔵PMモータを搭載した新型給水ユニット製品を市場投入しました。カスタムポンプでは、エネルギー分野と水利分野において省エネ・省資源・環境負荷低減を指向した製品群の開発を継続して進めており、高速コンパクト化した大容量斜流ポンプや漏洩リスクをゼロにするキャンドモータポンプ等を市場投入しました。コンプレッサ・タービン分野では、省エネ・省資源に貢献する新型高効率タービンの開発を継続して進めています。冷凍機分野では、環境負荷低減化の要望の高まりに応えるため、当該技術のラインナップ拡充、応用範囲拡大に努めています。基盤技術に関しては、社内研究組織と連携し、「素形材・溶接・表面改質・加工等に対する新しい生産基盤技術」、「数値シミュレーションと新しい最適化手法の導入などによる開発スループットの一層の向上とプロセスの標準化」、「実験基盤技術の拡充」、「製品性能や信頼性の向上に寄与する製品ライフサイクルを支えるIoT技術の開発・応用」などについて継続して取り組んでいます。これらの基盤技術のうち、生産基盤技術はEIX制度の活用によって、またその他の研究はコーポレート研究開発組織と連携して取り組んでいます。当連結会計年度の研究開発費は
環境プラント事業分野では、廃棄物処理施設の建設工事(EPC)から施設運営・維持管理(O&M)までを長期的に一括して行うDBO事業、既存施設の延命化を提案する延命化事業、既存施設のO&Mを長期にわたり運営委託を受ける長期包括事業に取り組んでおり、これまで以上に提案力や、品質、コスト競争力強化が求められています。これらの状況を踏まえ、施設更新に伴う機能強化、ライフサイクルコスト低減を可能とする新技術・新製品開発、保守運営技術の改良開発に加え、これらを支えるAIやIoT技術の活用を推進しています。また、再生可能エネルギーの1つとしてのバイオマス、廃プラスチックなどを燃料とする発電施設の需要を見込み、発電効率や運転の安定性を向上するための要素技術の開発に取り組んでいます。さらに、世界的な重要課題となっている気候変動問題や廃プラスチック問題の解決に寄与すべく、ガス化技術を用いた廃プラスチックのケミカルリサイクルについて、検討を開始しました。当連結会計年度の研究開発費は
精密・電子事業分野では、半導体デバイス製造プロセス装置において、チップの微細化や3次元集積化だけでなく、重要度が増している新しいパッケージング技術などの開発要求やAI、IoT分野などの市場を見据えた技術開発要求に対応できるよう、装置の改良・改善及び新機種の開発に取り組んでいます。コンポーネント製品においては、更なる省エネ化及び環境負荷低減に貢献できる製品の開発に取り組んでいます。また、顧客との共同開発・コンソーシアムへの参画、さらには各大学との共同研究などを通して、次世代半導体プロセス技術の研究も継続しています。当連結会計年度の研究開発費は