第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

(単位:百万円)

 

前中間
連結会計期間

当中間
連結会計期間

増減額

増減率 (%)

受注高

399,697

451,319

51,622

12.9

売上収益

394,536

448,768

54,232

13.7

営業利益

39,951

50,062

10,111

25.3

売上収益営業利益率 (%)

10.1

11.2

親会社の所有者に帰属する

中間利益

29,216

31,341

2,124

7.3

基本的1株当たり中間利益 (円)

63.28

67.84

4.57

7.2

 

(注) 当社は、2024年7月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っています。前連 結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、基本的1株当たり中間利益を算出しています。

 

当中間連結会計期間における我が国経済は、個人消費や企業の設備投資が持ち直し、景気は緩やかな回復傾向が継続しました。世界経済は、欧米の高い金利水準の継続や中国経済の停滞による下振れリスクはあるものの、持ち直しの動きがみられました。一方で、米国の政策動向、米中の対立による半導体輸出管理規制強化、ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクには注視が必要な状況です。 

このような環境の下、当社グループは2023年を初年度とした3か年の中期経営計画「E-Plan2025」において、「顧客起点での価値創造」をテーマに対面市場別組織へ移行し競争力の強化を図り、経営指標の達成に向けた各種施策への取り組みを進めています。 

当中間連結会計期間の受注高は、「エネルギー」においては、大型案件の期ずれにより前年同期を下回りました。一方で、「環境」においては、大型案件の受注があり前年同期を上回りました。「精密・電子」においては、生成AI向け半導体の需要増加により、濃淡はあるものの一部顧客の工場稼働率の回復や増産投資の再開を受けて前年同期を上回りました。この結果、全社の受注高は前年同期比で増加となりました。売上収益、営業利益は、「エネルギー」「インフラ」「環境」「精密・電子」が寄与して増収増益となりました。

これらの結果、当中間連結会計期間における受注高は4,513億19百万円前年同期比12.9%増)、売上収益は4,487億68百万円前年同期比13.7%増)、営業利益は500億62百万円前年同期比25.3%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は313億41百万円前年同期比7.3%増となりました。

 

 

 

《事業セグメント別の概況》

(単位:百万円)

セグメント

受注高

売上収益

セグメント損益

前中間
連結会計
期間

当中間
連結会計
期間

増減率

(%)

前中間
連結会計
期間

当中間
連結会計
期間

増減率

(%)

前中間
連結会計
期間

当中間
連結会計
期間

増減率

(%)

建築・産業

123,660

125,533

1.5

114,784

113,876

△0.8

7,806

6,865

△12.0

エネルギー

95,574

86,913

△9.1

92,660

109,047

17.7

7,502

11,174

48.9

インフラ

28,733

31,181

8.5

25,835

32,637

26.3

3,082

5,608

81.9

環境

35,227

65,839

86.9

38,385

42,069

9.6

3,609

4,428

22.7

精密・電子

115,913

141,302

21.9

122,280

150,555

23.1

19,294

23,451

21.5

報告セグメント計

399,110

450,768

12.9

393,945

448,186

13.8

41,295

51,528

24.8

その他

586

550

△6.2

590

581

△1.5

△1,237

△1,350

調整額

△107

△115

合計

399,697

451,319

12.9

394,536

448,768

13.7

39,951

50,062

25.3

 

 

 

《事業セグメント別の事業環境と事業概況》

セグメント

2025年12月

中間期の事業環境

2025年12月

中間期の事業概況と受注高の増減率(注)1

建築・産業

<海外>

・北米は高金利の継続、建設コストの高騰、労働力不足が引き続き重荷となり、市場の停滞が続いている。

・欧州は経済の先行き不透明感から投資意欲が低調で、特に西欧主要国では住宅市場の回復がみられず、建築市場は引き続き低迷している。

・中国は不動産市場の調整局面が継続しており、住宅・商業分野の投資が抑制されている。一方、政府主導の投資により、公共系分野は堅調に推移している。

 

<国内>

・建築設備市場は、建設コスト上昇の影響により建築着工棟数は鈍化している。サービス市場での需要は引き続き増加傾向である。

・産業市場は、脱炭素化を見据えた設備投資の検討や事業構造の転換など中長期で大きな変化が想定されるが、足元では堅調に推移している。一方で、国内外の製造業・建設業の不振により鉄鋼需要が減退し、さらに輸入材の増加によって国内鉄鋼業界が低迷して、設備投資が停滞している。
 

<海外>

・北南米及びアジア地域では産業向け案件が堅調に推移しているが、中国の景気低迷により、受注高は前年同期を下回る。

 

<国内>

・サービス&サポートの受注が堅調に推移しており、受注高は前年同期を上回る。


エネルギー

・新規製品分野は、北米・アジア地域を中心に石油化学市場の需要は堅調に推移している。LNG市場は、北米においては米国の関税政策やインフレ、建設コストの高騰等により顧客の投資判断に慎重さがみられる。中国の電力市場は引き続き活発に推移している。

・サービス分野は、メンテナンスの需要が一巡し通常レベルに戻る兆しがみられるが、足元では堅調に推移している。

・製品の受注高は、前年同期を下回る。

・サービス分野の受注高は、前年同期を上回る。


インフラ

 

<海外>

・水インフラ市場は、中国では景気減速の影響でポンプ需要が減少し競争が激しくなっているが、東南アジアや北米においては、経済成長や施設の老朽化による整備などが進み需要は堅調に推移している。

 

<国内>

・社会インフラの更新・補修に対する投資は、堅調に推移している。

・公共向け建設市場は、例年どおりに推移している。既存設備のアフター関連は堅調な需要が継続している。

<海外>

・水インフラの受注高は大型案件のあった前年同期を下回る。

 

<国内>

・公共向けの受注高は総合評価案件やアフターサービスの受注拡大などの施策の継続的な取り組みにより堅調に推移しており、前年同期を上回る。


 

 

セグメント

2025年12月

中間期の事業環境

2025年12月

中間期の事業概況と受注高の増減率(注)1

 環境

(注)2

<国内>

・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は例年どおりに推移している。

・既存施設のO&Mの発注量は例年どおり推移している。

・民間向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設は、一定の建設需要が継続している。

<国内>

・第2四半期に大型案件の受注があり、EPCは横ばいながらO&Mが大きく伸び前年同期を大きく上回る。

 

[大型案件の受注状況]

・公共向け廃棄物処理施設の基幹的設備改良工事(1件)

・公共向け廃棄物処理施設の基幹的設備改良工事及び長期包括運営契約(1件)


 精密・電子

・顧客の工場稼働率は、半導体需要の全般的な回復や生成AI向け需要の増加によって回復傾向ではあるものの、顧客により濃淡がみられ、本格的な増産投資の再開は限定的。

・製品受注は、顧客により濃淡がみられるものの、メモリ、ロジック・ファウンドリ向けを中心に、前年同期を上回る。また、顧客の工場稼働率の回復に伴い、サービス&サポート受注も前年同期を上回る。


 

(注)1.矢印は受注高の前年同期比の増減率を示しています。

+5%以上の場合は


、△5%以下の場合は


、±5%の範囲内の場合は


で表しています。

 

2.O&M(Operation & Maintenance) …………………… プラントの運転管理・メンテナンス

  EPC(Engineering, Procurement, Construction)… プラントの設計・調達・建設

 

 

 

 

 

(資産)

当中間連結会計期間末における資産総額は、前年度末に比べて有形固定資産が319億83百万円増加した一方、契約資産が254億95百万円、営業債権及びその他の債権が141億7百万円、現金及び現金同等物が72億50百万円減少したことなどにより、132億61百万円減少し、9,918億23百万円となりました。

 

(負債)

当中間連結会計期間末における負債総額は、前年度末に比べて営業債務及びその他の債務が106億47百万円、未払法人所得税が30億24百万円減少したことなどにより、186億98百万円減少し、5,010億50百万円となりました。

 

(資本)

当中間連結会計期間末における資本は、配当金を147億81百万円支払い、在外営業活動体の換算差額が108億78百万円減少した一方、親会社の所有者に帰属する中間利益313億41百万円を計上したことなどにより、前年度末に比べて54億36百万円増加し、4,907億73百万円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は4,795億58百万円で、親会社所有者帰属持分比率は48.4%となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

① キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、堅調な営業利益に支えられ、547億7百万円の収入超過(前年同期比95億39百万円の収入減少)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出437億86百万円などにより、444億50百万円の支出超過(前年同期比276億31百万円の支出増加)となりました。

営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、102億57百万円の収入超過(前年同期比371億71百万円の収入減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い147億81百万円や、リース負債の返済支出で30億10百万円減少したことなどにより、173億36百万円の支出超過(前年同期比63億5百万円の支出減少)となりました。

以上の結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から72億50百万円減少し、1,637億81百万円となりました。

 

② 財務戦略の基本方針

当社グループは、資本効率と財務健全性のバランスに配慮しつつ、適宜適切なタイミングで資本の調達と配分を行うことを財務戦略の基本と考えています。現在の事業推進に必要十分と考える「シングルAフラット(※)」の信用格付け維持を基本とし、D/Eレシオを財務規律としつつ負債の活用を図ります。また、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善と非効率資産の選別/処分を通じ投下資本の効率的活用を促進します。その上で、株主還元として連結配当性向35%以上を維持しつつ、企業価値向上に繋がる投資対象への資本投下の機を逃さずに行い、「長期的な企業価値の最大化」を目指します。

(※)格付投資情報センター(R&I)による格付

 

③ 資金調達について

当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金として、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.3~0.5を基準に負債の活用を進め、資本コストの低減・資本効率の向上を図ります。

また、現金・預金等の水準(手元流動性)については、連結売上収益の2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融リスク等不測の事態に対応するためのコミットメントライン契約や季節要因等の手元資金変動に対応するための当座貸越契約を締結することで、代替流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金を当社に集中する制度を運用しています。

 

契約の種別並びに当中間連結会計期間末の借入未実行残高は次のとおりです。

種別

金額

当座貸越契約

550億円

コミットメントライン契約

800億円

借入実行高

借入未実行残高

1,350億円

 

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費の総額は、104億2百万円です。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

(5) 今後の見通し

当社を取り巻く事業環境については、米国の関税等の政策動向、米中の対立による半導体輸出管理規制強化、ウクライナや中東情勢の長期化に伴う資源価格への影響、為替変動などといった懸念材料があり、不透明な状況が続くと見込まれます。なお、現時点で想定される米国の関税政策による業績への影響は限定的であると見込んでいます。

そのような中で、2025年12月期通期の業績予想については、前回決算発表時(2025年5月15日)以降の業績の動向を踏まえ、建築・産業における売上収益の減少、エネルギー及び環境における売上収益の増加により、予想を以下のとおり修正いたします。受注高については前回予想から変更ありません。また、事業セグメント別の修正後の予想は以下のとおりです。

業績見通しの前提となる為替レートについては変更ありません。(1米ドル=145円、1ユーロ=160円、1人民元=20円)

なお、実際の業績は市場環境の変化等により、見通しと異なる結果となる可能性があります。

 

《業績見通し》

通期

(単位:億円)

 

受注高

売上収益

営業利益

税引前利益

親会社の所有者に帰属する当期利益

前回発表予想(A)

9,400

9,000

1,015

1,006

724

今回修正予想(B)

9,400

9,000

1,025

1,015

724

増減額(B-A)

10

9

増減率(%)

1.0

0.9

(ご参考)
前期実績

(2024年12月期)

8,605

8,666

979

998

714

 

 

 

《事業セグメント別の業績見通し》

通期

(単位:億円)

 

建築・

産業

エネルギー

インフラ

環境

精密・

電子

その他

合計

前回発表予想(A)

受注高

2,550

2,100

560

970

3,200

20

9,400

売上収益

2,500

2,000

580

900

3,000

20

9,000

セグメント利益

180

245

50

65

510

△35

1,015

今回修正予想(B)

受注高

2,550

2,100

560

970

3,200

20

9,400

売上収益

2,420

2,050

580

930

3,000

20

9,000

セグメント利益

170

245

50

75

510

△25

1,025

増減額

(B-A)

受注高

売上収益

△80

50

30

セグメント利益

△10

10

10

10

 

 

 

 

《事業セグメント別の事業環境の見通し》

セグメント

事業環境

建築・産業

<海外>

・欧州は設備投資の低迷が続き、建築設備市場は横ばい、もしくは緩やかな減速が見込まれる。

・米国は関税政策の影響により投資に対する慎重姿勢が続く見通し。一方、データセンターなど一部分野では底堅い成長が見込まれる。

・中国は商業施設や住宅などの建築設備市場が引き続き低調に推移する見通し。一方、政府主導の公共系分野への投資により、一定の需要が維持されると見込まれる。

 

<国内>

・建築設備市場は、建築需要は堅調であるものの、資材価格や人件費の上昇を懸念した工事の先送りや計画見直しの動きは継続すると見込まれる。

・産業市場は、特に化学市場において、石油化学分野での再編機運や川下である機能性化学への成長投資を伴う市場変化が大きくなると見込まれる。市場全体としては設備投資などの需要が継続すると見込まれるが、鉄鋼業界は低迷が継続すると見込まれる。

 

<2025年12月期の市場見立て>

 海外:2%台成長見込み

 国内:横ばい

エネルギー

・新規製品分野は、北米・アジア・中東地域を中心に石油化学市場の需要が堅調に推移することが見込まれる。北米では、LNG市場は堅調ながらも関税政策の影響を受け、顧客側の最終投資決定や案件遂行判断の遅れが見込まれる。

・脱炭素関連市場は、アンモニア、CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)等を中心に需要の拡大が見込まれる。

・電力市場は、国内やアジアを中心にアンモニア転換プロジェクトの計画が増加し、中国では火力発電の新設及び高効率化改造の需要が継続すると見込まれる。

・サービス分野は、メンテナンス需要は通常レベルに戻るとみられる。

 

<2025年12月期の市場見立て>

 LNG:5%台成長見込み

 エチレン:4%台成長見込み

インフラ

<海外>

・中国では景気減速傾向の影響があるものの、市場全体では緩やかな経済成長が見込まれ、人口増による水需要はアジアを中心に堅調である。また、地球温暖化・異常気象により世界各地で洪水被害が年々増えており、河川排水ポンプは一定の需要が続くことが見込まれる。

<国内>

・激甚化・頻発化する自然災害に対する流域治水の取り組み、加速するインフラ設備の老朽化への対応、インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーションの推進等により需要は堅調に推移すると見込まれる。

 

<2025年12月期の市場見立て>

 国内:横ばい

 海外:4%台成長見込み

 環境

<国内>

・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は、概ね例年どおり推移すると見込まれる。

・民間向けのバイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設の建設需要は継続すると見込まれる。

・老朽化施設の延命化需要が増加しているが、短期的には例年並みと見込まれる。

 

<2025年12月期の市場見立て>

 国内:横ばい

 精密・電子

・顧客工場の稼働率は回復傾向にあるが、依然として顧客により濃淡がみられる。また、増産投資の再開も一部の顧客に留まっている。市場全般としては、生成AI関連を中心に拡大が想定されるものの、不透明さがある。

 

<2025年12月期の市場見立て>

 WFE:3%台成長見込み

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。