当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「確かなモノづくりを通して、社会に貢献し、企業のたゆみない発展をめざす。」という経営理念のもと、Vision「持続的な企業価値向上に向け果敢にチャレンジし認められ・求められる企業へ ~サステナブル社会の実現を社員と共に~」を策定したうえ、次の経営方針を掲げております。
・ 市場ニーズを的確に捉え、高品質で付加価値の高い製品を提供する。
・ 個の尊重と相互理解を深め、チャレンジ精神を大切にし、明るく活気ある会社づくりに努める。
・ 高い倫理観を持ち、誠実と公正に徹する。
・ 様々な社会課題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献する。
・ 地域社会と共存する。
この方針に基づき、価格・品質・納期・安全のすべてにおいて最高水準を確保した製品を生産・供給し社会の繁栄、発展に寄与することが、当社の使命であると考えております。
この使命を果たすため、メーカーとして市場の声に基づいた技術開発が不可欠であるとの認識のもと、研究開発体制の強化に努め、顧客の最新のニーズを常に収集し、新技術・新製品の開発に積極的に取り組んでおります。
(2) 経営戦略等
〔精密加工事業部〕
①精密金属加工品
価値作業比率・稼働率・品質の向上、生産管理機能・マネジメント力・固有技術・潜在技術等の強化を目的とした「Do Now!改革活動」を進めております。この活動により従来の各部署が担う役割のテリトリーを超えて、新規製品の受注獲得へ注力するとともに、適正在庫を目指す在庫管理体制の強化に取り組んでおります。
また、企業成長に欠かせない社員教育におきましても、特にマネジメント層の強化を図るため、「あるべき姿」を描き自律的な改善推進等に取り組んでおります。
市場開拓におきましては、国内外のネットワーク活用並びに機械事業部との連携強化による市場及び顧客へのアプローチの強化を行い、EVを始めとした自動車部品の新製品等の獲得に取り組むとともに、加工領域の拡大による取扱製品の拡充、技術開発力強化による高付加価値製品の提供を目指してまいります。
また、マーケティングチームによる市場調査・分析を徹底し、効率的・効果的な製品開発及び営業活動を行ってまいります。
②小口径銃弾
顧客からの高度な要求水準に応えるために、常に基礎技術の蓄積に努め、更なる高性能及び高品質な銃弾製造に取り組むとともに、安全保障環境の変化に柔軟に対応する生産体制の確立に取り組みます。
また、引き続き製造に携わる全従業員の教育を徹底してまいります。
〔機械事業部〕
①プレス機械
マーケティングチームによる市場・顧客動向について多角的な情報収集を行うことによりマーケティング活動の高度化に努め、市場・顧客ニーズに合わせた効率化・高速化・小型化等のプレス機械の開発及び販売に取り組むとともに、受注に応じた工場増設や生産体制の見直しを行っております。
また、海外展開につきましては、新たにイリノイ州で現地法人(Asahi Seiki USA Corp.)設立を決定し、北米市場の開拓に取り組んでおります。
②ばね機械
IoT、AIを活用した高機能・高品質な製品開発に取り組んでおります。
また、海外市場につきましては、アライアンス先企業との連携による製品常設展示場の設置、海外展示会の活用及び現地法人の設立による北米市場の開拓に取り組んでおります。
③自動機・専用機
顧客との信頼関係の維持・向上に努めながら、市場動向を見据えた付加価値の高い製品開発・販売に取り組んでまいります。
また、自動機・専用機の機能を活用したプレス機械・ばね機械の生産ラインのシステム販売へ取り組んでまいります。
(3) 経営環境
今後のわが国経済は、アメリカの政策動向、物価上昇の継続や金利・為替の変動などの懸念材料が多く、予断を許さない状況が続くものと思われます。
このような情勢のもと、当社は、経営基盤を強化するとともに、市場環境の変化を踏まえた事業活動の展開、当社総合力の発揮及び新事業の開拓を推進して、持続的な企業価値向上に向け鋭意努力してまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
〔精密加工事業部〕
①精密金属加工品
従来の市場に留まらず、今後の成長が見込まれる市場への新製品の開発及び販路開拓を目指しつつ、労働生産性の追求による効率的な生産体制の向上等に取り組んでまいります。
②小口径銃弾
小口径銃弾生産に求められる高性能及び高品質の追求、並びにその生産過程における安全な生産体制の徹底に取り組んでまいります。
〔機械事業部〕
①プレス機械
自動車業界向けを中心とした電池缶の市場動向の把握と予測を行いつつ、市場が求めるプレス機械の開発、生産設備及び体制の確保を行い、海外市場の開拓に取り組んでまいります。
②ばね機械
多種多様な顧客ニーズに応えるために、製品ラインナップの強化と海外販路の拡大に取り組んでまいります。
③自動機・専用機
自動車業界を中心とする市場動向の変化に対応した製品開発・販売に取り組んでまいります。
〔財務上の課題〕
様々な事業上の課題を解決するための事業資金を確保するとともに、財務基盤の安定性を維持すべく、手元資金の安定確保を図ってまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は2023年度を初年度とする「2026中期経営計画」を策定し、収益力の向上と経営基盤の強化を通じて、将来の成長に向けた基盤を確立すべく取り組んでおります。具体的な目標数値としては、2026年度売上高165億円、営業利益6億5千万円、営業利益率3.9%としております。当事業年度の経営成績につきましては、売上高117億6千8百万円、営業損失1億2千1百万円となりました。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、“環境保全”を経営の最重要課題の一つとして位置づけ「環境と調和する企業」を目指し、環境汚染の防止及び環境の改善活動を継続的に推進するほか、サステナブル社会の実現に向け、事業活動を通じて様々な社会課題の解決に取り組んでおります。
“環境保全”活動に組織的に取り組むため、認証取得した「ISO14001:2015(環境マネジメントシステム)」に則り、取締役社長をトップとする環境マネジメントシステム推進組織を設けて組織体系を明確にするとともに、具体的な活動を推進する責任者として全体環境管理責任者を常勤取締役の中から選任する他、各階層における責任者を設け、その役割、責任及び権限を明確に定めております。
また当社では、環境以外の幅広いサステナビリティに関する事項に取り組んでいくための組織として、サステナビリティ推進委員会を設置しております。同委員会は、取締役社長を委員長とし、委員は全ての常勤取締役及び執行役員の他、経営企画、総務、人事、環境ISOの各責任者で構成しております。サステナビリティ推進委員会では、当社のサステナビリティ経営の推進に関して必要な事項を幅広く協議するとともに、必要に応じて、個別のテーマ等の検討及び研究等を行うための小委員会を設置して活動を進めてまいります。
(2)戦略
当社では、「人材こそが最大の財産」との考えのもと、社員一人ひとりが持てる能力を最大限に発揮し、活力あふれる働き方を実現できる組織づくりを進めて当社が持続的な成長を実現していくために、次の基本方針のもと各種の施策を実施してまいります。
・果敢にチャレンジできる「挑戦する組織風土」を醸成する。
・多様な人材を確保し、活躍できる職場環境を整備する。
社員の意識改革を促すべく、「挑戦を尊ぶ」ことを訴える機会を積極的に設けて繰り返すとともに、2025年度より人事制度を刷新し、「頑張れば報われる」を社員が実感できる人材マネジメントの仕組みを整え、新制度の運用徹底と浸透に取り組んでまいります。
そして、社員の能力開発や技術力向上においては、職種ごとの目指すべき人材像を明確にしてスキル向上の促進を図るとともに、階層別研修や目的別研修などを組み合わせ、管理職、シニア社員、若手社員等それぞれの役割に応じて、適した教育を適切な時期に実施してまいります。また人材の多様化が企業価値向上に繋がるものと考え、女性活躍の推進に取り組みつつ、キャリア採用を積極的に実施しており、スキル・経験等を総合的に判断して管理職(各人の適性等に応じて管理監督職又は専門職)への登用も推進してまいります。
一方で社員の多様で柔軟な働き方、魅力ある福利厚生の整備・構築をはじめとする各種制度面の充実化にも取り組んでまいります。
「モノづくり」を営む当社においては、職場や作業現場における安全衛生の維持管理についても、経営の最重要課題の一つとして位置づけており、『笑顔で出社して、笑顔で帰る』との基本方針のもと、風通しの良い安全で快適な職場環境づくりに取り組んでまいります。
(3)リスク管理
当社は、環境に関わる課題等については、「ISO14001:2015(環境マネジメントシステム)」のもとリスク管理を行っております。
『事業活動を通じて、社会から信頼される「環境と調和する企業」を目指します』との環境方針のもと、各部門において環境目標を掲げてこれに取り組むとともに、環境目標については、毎年の定期見直しの他、状況等に応じて臨時見直しを実施し、適当かつ有効な活動であることを担保しております。
また、環境以外の当社のサステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ推進委員会にて検討を行い、リスクの重要性等に応じて経営会議等に報告することとしております。
(4)指標及び目標
当社では、上記「(2)戦略」において記載した事項について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
|
指標 |
目標 |
実績(当事業年度) |
|
|
対前年比増 |
(前事業年度:5.0%) |
|
|
対前年比増 |
(前事業年度:2.4%) |
|
|
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 小口径銃弾事業に関するリスク
小口径銃弾は、その納入先のほぼ100%が防衛省であり、毎年当社の売上高に占める割合が高く、当社業績における重要度はきわめて高いものがあります。しかし、官需という性質上、売上高は政府の予算執行に左右され、今後の政府の政策等の変更によって契約額が大きく減少した場合、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。
(2) 精密金属加工品事業における業界動向等に関するリスク
当社の精密金属加工品は、売上の半分以上が自動車関連部品であり、自動車関連業界の影響を受けており、これらの業界において想定を上回る技術革新や産業構造の急速な変化等が生じ、この様な事態に対応できない場合、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。
(3) プレス機械、自動機・専用機、ばね機械における顧客動向等に関するリスク
当社のプレス機械、自動機・専用機、ばね機械は、幅広い顧客に使用されておりますが、顧客をとりまく環境が急速に変化するなどにより大きなキャンセル等が生じた場合には、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。また、当社は顧客の要求に対応すべく品質の向上、納期の短縮、新製品の開発などに取り組んでおりますが、今後、顧客の要求水準が想定外に上がるなどした場合には、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。
(4) 原材料等の調達に関するリスク
当社製品の生産にあたっては国内外の調達先より原材料・部品等の供給を受けておりますが、これらの供給が遅延、中断、停止する等の事態が生じ、他の調達先への変更等の代替手段をとることができず、顧客への納期遅延等が生じるような場合には、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。また、原材料・部品等の調達価格が経済情勢等により大きく変動し、これを製品価格に適切に転嫁できない場合には、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。
(5) 取引先の信用リスク
当社は取引先毎に適正な与信管理を行い、回収リスクの低減に努めていますが、取引先の倒産等不測の事態により債務不履行が生じた場合、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。
(6) 退職給付債務に関するリスク
退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や長期期待運用収益率など見積り数値である基礎率に基づいて計算を行っております。このため、見積りに対応する実績値や見積りの前提となる環境等の変動によっては、当社の業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
(7) 固定資産の減損に関するリスク
当社が保有する固定資産は、将来当社の収益性が大幅に低下し、当該事業に関連する固定資産投資額の回収が見込めなくなった場合には、該当の固定資産について帳簿価額を投資回収可能額まで減損処理を行うことになり、その際には当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。
(8) 不正行為等によるリスク
当社は、内部統制基本方針を定め、その充実・強化を図っております。業務運営において役員、社員の不正及び不法行為の防止に万全を期しておりますが、万一これらの不正行為等が発生した場合、当社の業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
(9) 事故発生等に関するリスク
当社は、事業活動において、火薬類やその他の化学品を使用しており、その取扱いには万全を期しておりますが、万一火災や漏洩等の事故が発生し事業活動が長期間停止するような事態が生じた場合には、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。
(10) 情報システム、情報セキュリティに関するリスク
当社は、販売や生産等の事業活動の全般にわたって情報システムを活用しており、外部からのサイバー攻撃やマルウェア感染、災害等による停電等で、情報システムが長期間停止するような事態が生じた場合には、事業活動が停滞するなどにより、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。
(11) 自然災害・感染症等に関するリスク
当社は国内に本社工場の他、支店、営業所を有しており、これらの地域において地震や台風等の自然災害や未知の感染症の流行等が発生した場合、生産、物流などに支障をきたし事業活動の遂行が阻害される可能性があります。
特に本社工場が位置する東海地方は、南海トラフ地震の発生する可能性が高いと言われております。当社では、これら大規模地震の発生に備え、BCP(事業継続計画)の整備を進めるなど被害の拡大を軽減するための施策に可能な範囲で取り組んでおりますが、大規模地震が発生した場合には、これらの施策にもかかわらず、工場・生産設備等の毀損、通信・交通網の遮断等による生産活動の中断、物流ルートの寸断などが生じ、当社の業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、ウクライナ及び中東地域をめぐる情勢や金利・為替の変動の影響に加え、アメリカの関税政策をはじめとする政策動向など、一層不透明感が高まる状況で推移いたしました。
このような状況のもと当社におきましては、小口径銃弾、精密金属加工品の売上は増加しましたがプレス機械等の売上が減少したため、売上高は117億6千8百万円と前期比10.5%の減少となり、利益面につきましては、誠に遺憾ながら、営業損失1億2千1百万円(前期は4千4百万円の営業損失)、経常損失3千5百万円(前期は0百万円の経常利益)となりました。当期純利益につきましては、投資有価証券売却益を特別利益に計上した結果2億8千7百万円と前期比151.4%の増加となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
〔精密加工事業部〕
精密加工事業部における当事業年度の売上高は、82億2千7百万円と前期比18.6%の増加となり、その内容は以下のとおりです。
a.精密金属加工品
当事業年度の売上高は、主に自動車関連部品等が減少したものの水晶振動子関連部品等が増加したことから、38億5千1百万円と前期比3.4%の増加となりました。
b.小口径銃弾
当事業年度の売上高は、政府の予算執行を受け、43億7千5百万円と前期比36.2%の増加となりました。
〔機械事業部〕
機械事業部における当事業年度の売上高は、35億4千1百万円と前期比42.9%の減少となり、その主な内容は以下のとおりです。
a.プレス機械
当事業年度の売上高は、電気自動車(EV)向け電池缶製造用プレスの売上減により、25億9千9百万円と前期比47.8%の減少となりました。
b.ばね機械
当事業年度の売上高は、大型機種の売上が少なかったこともあり、5億9千9百万円と前期比4.1%の減少となりました。
c.自動機・専用機
当事業年度の売上高は、リードタイムの長い機種が多く出荷が減少したため、3億2千4百万円と前期比2.2%の減少となりました。
財政状態は次のとおりであります。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は116億2千万円(前事業年度末は121億4千1百万円)となり、5億2千1百万円減少いたしました。これは主に、仕掛品が7億5百万円増加したものの、電子記録債権が5億3千4百万円、売掛金が4億2千3百万円、受取手形が1億8千5百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は83億9千2百万円(前事業年度末は85億3千6百万円)となり、1億4千3百万円減少いたしました。これは主に、ソフトウエア仮勘定が1億4千9百万円増加したものの、投資有価証券が2億3千3百万円、機械及び装置が1億2千6百万円それぞれ減少したことによるものであります。
この結果、総資産は200億1千2百万円(前事業年度末は206億7千8百万円)となり、6億6千5百万円減少いたしました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は47億6千8百万円(前事業年度末は53億6千4百万円)となり、5億9千6百万円減少いたしました。これは主に、電子記録債務が4億3千8百万円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は10億7千4百万円(前事業年度末は11億4千万円)となり、6千6百万円減少いたしました。これは主に、退職給付引当金が7千7百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は58億4千2百万円(前事業年度末は65億4百万円)となり、6億6千2百万円減少いたしました。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産合計は141億7千万円(前事業年度末は141億7千3百万円)となり、2百万円減少いたしました。これは主に、繰越利益剰余金が1億1千3百万円増加したものの、その他有価証券評価差額金が1億1千5百万円減少したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1億2千6百万円減少し、当事業年度末には38億5千8百万円となりました。
当事業年度中における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は6億1千4百万円(前年同期比69.8%増)となりました。これは主に、棚卸資産の増加により7億4千9百万円減少したこと及び投資有価証券売却益を4億3千6百万円計上したものの、売上債権の減少により11億4千2百万円増加したこと及び減価償却費を7億4千5百万円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は5億5千9百万円(前年同期比16.7%減)となりました。これは主に、投資有価証券の売却により5億2千7百万円増加したものの、有形固定資産の取得により9億1千1百万円支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は1億8千1百万円(前年同期は2億1千8百万円の増加)となりました。これは主に、配当金で1億7千3百万円支出したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
精密加工事業部(千円) |
8,192,488 |
119.1 |
|
機械事業部(千円) |
3,584,024 |
59.4 |
|
合計(千円) |
11,776,512 |
91.2 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
精密加工事業部 |
8,771,363 |
107.7 |
4,685,254 |
113.1 |
|
機械事業部 |
1,999,355 |
56.4 |
3,386,115 |
68.7 |
|
合計 |
10,770,719 |
92.1 |
8,071,369 |
89.0 |
(注)セグメント間の受注については相殺消去しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
精密加工事業部(千円) |
8,227,434 |
118.6 |
|
機械事業部(千円) |
3,541,397 |
57.1 |
|
合計(千円) |
11,768,831 |
89.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
防衛省 |
3,141,017 |
23.9 |
4,293,575 |
36.5 |
|
Sangsin Energy Display Precision Co., Ltd. |
68,179 |
0.5 |
1,811,732 |
15.4 |
|
Shenzhen Kedali Industry Co., Ltd. |
2,929,632 |
22.3 |
18,459 |
0.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
〔精密加工事業部〕
売上高は、小口径銃弾の増加により82億2千7百万円(前期比18.6%の増加)、セグメント利益は、小口径銃弾の増益により8億2千9百万円(前期比120.7%の増加)、セグメント資産は、主に固定資産の増加により57億9千5百万円(前期比0.2%の増加)となりました。
〔機械事業部〕
売上高は、主にプレス機械の減少により35億4千1百万円(前期比42.9%の減少)、セグメント損失は、主にプレス機械の減益により2億1千7百万円(前期は4億1百万円のセグメント利益)、セグメント資産は、主に売上債権の減少により59億1千3百万円(前期比8.3%の減少)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性にかかる情報
(資金の流動性についての分析)
キャッシュ・フローに関する詳細の記述は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。また、当社のキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
(キャッシュ・フロー指標のトレンド)
|
|
第74期 |
第75期 |
第76期 |
|
自己資本比率(%) |
66.6 |
68.5 |
70.8 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
29.2 |
26.2 |
25.3 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
- |
5.8 |
3.4 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
34.2 |
33.6 |
※自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
2.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
3.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
4.第74期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
(資本の財源についての分析)
当社の資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料・部品の購入のほか、製造に係る労務費・経費、販売費及び一般管理費等の営業費用による運転資金や設備資金であります。また、当社の財務状態といたしましては、当事業年度末における流動比率は243.7%、自己資本比率は70.8%であり比較的健全な財務状態であると認識しております。なお、運転資金及び設備資金につきましては、自己資金の他、借入金により手元資金の拡充を図っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社では、従来から社会や産業界のさまざまな課題や、顧客ニーズに密着した研究開発を進めてまいりました。このため精密加工事業部及び機械事業部にそれぞれ技術開発部を置き、担当分野に係る研究開発に取り組んでおります。さらに、長期的なビジョンとして『ALPHANOMOUS(アルファノマス)』というビジョンを掲げて、2053年の生産現場で人が介在する作業をどこまで軽減できるかという取り組みを全社で推進しております。「IoTやAIを真に活用することで、機械自らに調節、調律する機能を持たせて、作業者が離れた場所にいながらも生産現場に関わることを可能にする」という構想をもつこのビジョンは、未来の製造業において求められる要素が含まれたものであると考えております。
なお、研究開発費については各セグメントに配賦できない研究費用16,840千円が含まれており、当事業年度における研究開発費は、総額で
セグメント別の研究開発の概要は、次のとおりであります。
[精密加工事業部]
精密加工事業部における当事業年度の研究開発費は、
(1) 基礎研究
加工対象となる素材そのものの調査研究はもとより、顧客のニーズに最も適合する加工方法の開発をめざして基礎的な調査研究を行っております。以上、基礎研究に対する研究開発費は3,059千円であります。
(2) 精密加工技術の研究
検査装置を含む最適製造システムの構築のための研究、より高精度の塑性加工技術の開発、各種弾薬の開発を行っております。また、従来技術では加工が難しいとされてきた素材に対しても加工技術の確立に努めてまいります。以上、精密加工技術の研究に対する研究開発費は73,809千円であります。
[機械事業部]
機械事業部における当事業年度の研究開発費は、
(1) 基礎研究
顧客のニーズに最も適合する加工機械の開発をめざして基礎的な調査研究を行っております。また、IoT、AIの加工機械への応用に関する研究を行っております。以上、基礎研究に対する研究開発費は48,035千円であります。
(2) プレス機械の研究
リチウムイオン電池缶加工専用プレス、汎用型NCフォーミング機の開発に取り組んでおります。以上、プレス機械の研究に対する研究開発費は30,456千円であります。
(3) ばね機械の研究
T2、USF-PCシリーズ、CFXシリーズ、iCFシリーズの成形領域の拡大と、新しい成形技術の確立のため、顧客要求のばね形状の試作研究を行いました。また、EV用コイル等非鉄材の試作研究に取り組んでおります。以上、ばね機械の研究開発費は13,919千円であります。