当連結会計年度における世界経済は、新興国の景況感は中国の減速などにより依然として横ばいで推移しています。一方、先進国は緩やかな回復基調にあり、懸念された英国のEU離脱問題の影響は限定的なものに止まりました。米国では大統領選挙後、米国内での財政出動などへの期待感が高まる一方、今後の通商政策が世界経済の変動要因として浮上しています。わが国経済は緩やかに持ち直し、設備投資や輸出は底堅さを見せています。
当社グループの主力事業であるマテリアルハンドリングシステムは、世界的にeコマース対応などの物流関連投資が拡大していること、自動化・大規模化の傾向にあること、人手不足解消や生産性向上への投資が見込めることなどから、今後も成長が期待されます。こうした成長性に着目して、異業種からの参入や業界内のM&Aが近年増加しています。
このような環境のもと、当社グループの業績は順調に推移しました。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも過去最高を更新いたしました。同時に、中期的な経営目標であった営業利益率7%を達成しました。
受注は、第3四半期連結会計期間に続き、第4四半期連結会計期間も1,000億円を超える高い水準となりました。一般製造業や流通業でのマテリアルハンドリングシステム需要の世界的な高まり、液晶・半導体業界の活発な業況、米国自動車メーカーの設備投資の増加と主要分野がいずれも好調でした。
売上は豊富な受注残を背景に、順調に進捗しましたが、円高による目減りがありました。
この結果、当連結会計年度の受注高は3,565億18百万円(前年同期比0.8%減)、売上高は3,208億25百万円(同4.6%減)となりました。
利益は、米国子会社の大幅な収益改善、ダイフク単体の安定した収益力に加え、空港向けシステムを手がける欧州子会社の黒字転換などが寄与しました。
この結果、営業利益は230億99百万円(同10.6%増)、経常利益は237億60百万円(同8.0%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、子会社に関連した特別損失の減少などにより167億46百万円(同22.7%増)となりました。
当社グループは、本年5月20日の創立80周年に合わせ、平成29年3月期を最終年度とする4カ年中期経営計画「Value Innovation 2017」を推進してきました。主な経営目標は、売上高3,400億円、営業利益210億円、ROE10%以上です。円高の影響を受けた売上高以外は、目標を達成することができました。
こうした成果を踏まえて、当社グループは最終年度の経営目標を売上高4,200億円、営業利益率8.0%とする新しい4カ年中期経営計画「Value Innovation 2020」(2018年3月期~2021年3月期)をスタートさせました。企業価値の一層の向上に向けて、全社一丸となって取り組んでまいります。概要は、3〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕をご覧ください。
なお、当連結会計年度の当社グループの平均為替レートは、米ドルで109.45円(前年同期121.04円)となりました。円高により、前年同期比で受注高は約428億円、売上高は約182億円、営業利益は約10億円目減りしました。受注高のうち、当連結会計年度の期中受注に対する影響は約211億円、平成28年3月期末の受注残に対する為替換算の差額影響は約217億円です。
平成29年3月期 実績
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受注高 |
3,565億18百万円 |
(前年同期 |
3,594億27百万円 |
0.8%減) |
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売上高 |
3,208億25百万円 |
( 同 |
3,361億84百万円 |
4.6%減) |
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営業利益 |
230億99百万円 |
( 同 |
208億78百万円 |
10.6%増) |
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経常利益 |
237億60百万円 |
( 同 |
219億95百万円 |
8.0%増) |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
167億46百万円 |
( 同 |
136億52百万円 |
22.7%増) |
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包括利益 |
160億46百万円 |
( 同 |
77億80百万円 |
106.2%増) |
セグメントごとの業績は次のとおりです。受注・売上は外部顧客への受注高・売上高、セグメント利益は親会社株主に帰属する当期純利益を記載しております。セグメントに関する詳細は、後記(セグメント情報等)をご覧ください。
受注は、特に半導体・液晶工場向けシステムの需要増により、大幅に増加しました。一般製造業や流通業向けシステムの受注は、eコマースや生協、医薬卸などの流通、医薬品、冷凍食品などの大型案件、リニューアル案件が堅調に推移しました。自動車生産ライン向けシステムは、国内の自動車会社の設備投資が活発で、サービスや小規模改造案件が順調でした。
売上は、昨年から受注好調が続いていることを反映し、昨年に引き続き高水準で推移しました。
利益は増収、構造改革に伴う原価改善、子会社に関連した特別損失の減少などにより、大幅に改善しました。
この結果、受注高は1,711億70百万円(前年同期比20.4%増)、売上高は1,458億60百万円(同0.6%増)、セグメント利益は133億16百万円(同57.4%増)となりました。
・産業用コンピュータ製品
日本市場では、半導体製造装置業界向けに産業用コンピュータの販売が好調に推移しました。米国市場では、医療機器業界向けの産業用コンピュータの販売が堅調に推移しました。
・計測制御製品
製造業における設備投資が増加したため、生産設備向けの計測制御用ボードの販売が堅調に推移しました。
・ネットワーク製品
半導体関連工場向けの無線LANの販売が好調に推移いたしました。
・ソリューション製品
IoT 関連システムの販売が立ち上がってきたものの、再生エネルギーの買取価格の下落に伴い太陽光発電計測システムの販売が減少いたしました。
この結果、受注高は156億21百万円(前年同期比5.8%増)、売上高は154億56百万円(同2.0%増)、セグメント利益は7億22百万円(同22.7%増)となりました。
受注は、1,000億円台を展望できる規模感となったものの、受注残に対する為替換算の影響を受けました。IoTの進展などで設備投資需要の旺盛な半導体メーカー向けシステムが大きく伸びたほか、一般製造業や流通業向けシステムにおける大型プロジェクトが寄与しました。自動車生産ライン向けシステムも、第4四半期に米系の大型案件を獲得して期初の予定を上回りました。
売上は、自動車生産ライン向けシステムの工事進捗遅れ、空港向けシステムの受注時期遅延の影響を受けましたが、増収基調を維持しました。
利益面では増収に加え、一般製造業や流通業向けシステム、自動車生産ライン向けシステムの大型案件や空港向けシステムの収益改善などにより大幅増益になりました。
この結果、受注高は888億18百万円(前年同期比7.2%減)、売上高は790億63百万円(同2.6%増)、セグメント利益は35億35百万円(同135.1%増)となりました。
洗車機は、ディーラーなどカー・アフターマーケット向けが好調に推移し、期初低調であったサービスステーション市場向けの持ち直しと相まって、過去最高の販売台数であった平成28年3月期に次ぐ販売実績を上げました。一方、市場性や採算性を考慮してボウリング設備・用品の販売、カゴ台車のレンタル事業からは平成29年4月1日をもって撤退しました。
この結果、受注高は113億24百万円(前年同期比8.6%減)、売上高は114億66百万円(同6.7%減)、セグメント利益は1億13百万円(同21.3%減)となりました。
「その他」は、当社グループを構成する連結子会社55社のうち、上記②③④以外の国内外の子会社です。
主要な海外現地法人には、大福(中国)有限公司、台灣大福高科技設備股分有限公司、Daifuku Korea Co., Ltd.、Clean Factomation, Inc.(韓国)、Daifuku (Thailand) Ltd.などがあり、主にマテリアルハンドリングシステム・機器の製造・販売等を行っています。各社とも、グローバルな最適地生産・調達体制の一翼を担い、所在国から国外への輸出も増やしています。
中国では、マテリアルハンドリングシステムの需要が、食品・医薬品などのほか、流通業でも急速に高まっています。そこで、上海近郊の工場を移転して生産体制を拡充しました。売上面では、食品関係の大型案件の工事遅延などの影響を受けました。自動車生産ライン向けシステムは、凍結されていた日系メーカーの投資計画が再開され、期初の受注計画を大幅に上回りました。
液晶工場向けは、有機ELの需要が高まる一方、テレビ用パネルの大型化が進み、世界最大級のサイズのガラスを扱う液晶パネル工場向けシステムを受注するなど、受注目標を大きく上回りました。
台湾では、液晶工場関係の受注が一服し、半導体工場向けの大型案件を中心に推移しています。
韓国では、半導体工場向けの受注が前年同期に比べて大きく減少し、売上・利益にも影響しました。韓国の自動車生産ライン向けシステムは、自動車販売の停滞の影響を受けています。一方で、流通関連の需要が増加、その開拓に注力しています。洗車機は、洗車有料化の定着により、連続洗車機を主とした高処理能力機の需要が増し、受注・売上・利益ともに過去最高となりました。
アセアン諸国のうち、タイでは自動車産業低迷の影響を解消すべく、一般製造業・流通業向けの生産体制を強化しています。インドネシアでは冷凍食品や日用品業界向けなどの需要が伸びており、現地販売体制の整備とも相まって持ち直しの動きが見られます。また、インドでは一般製造業や流通業向けシステムの引き合いが活発になっており、ムンバイに現地法人の支店を開設しました。
オセアニアとアジアを中心に空港向けシステムを扱うBCS Group Limitedは、カナダ・モントリオール空港で期待の新製品である高速搬送バゲージトレイシステム(BTS)を初受注しました。これを契機に、世界各地で導入が検討されているBTSの拡販に向け、グループ各社と連携して取り組んでまいります。
この結果、受注高は695億84百万円(前年同期比26.3%減)、売上高は687億85百万円(同15.9%減)、セグメント利益は22億87百万円(同29.2%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ157億6百万円増加し、647億90百万円(前年同期は490億84百万円)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動におきましては、266億83百万円の収入超過(前年同期は72億6百万円の収入超過)となりました。これは、法人税等の支払額が113億73百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が239億42百万円、減価償却費が42億2百万円、未成工事受入金の増加額が40億38百万円あったことが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動におきましては、53億93百万円の支出超過(前年同期は20億99百万円の支出超過)となりました。これは、固定資産の売却による収入が11億21百万円あったものの、固定資産の取得による支出が63億99百万円あったことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動におきましては、44億4百万円の支出超過(前年同期は87億2百万円の支出超過)となりました。これは、配当金の支払額が38億96百万円あったことが主な要因であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
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株式会社ダイフク |
176,634 |
1.9 |
|
コンテックグループ |
22,748 |
△6.1 |
|
Daifuku North America Holding Companyグループ |
69,428 |
△0.8 |
|
その他 |
58,447 |
△17.1 |
|
合計 |
327,259 |
△3.2 |
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社であります。
4 株式会社ダイフクプラスモアは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期比(%) |
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株式会社ダイフク |
171,170 |
20.4 |
97,417 |
35.1 |
|
コンテックグループ |
15,621 |
5.8 |
3,317 |
5.2 |
|
Daifuku North America Holding Companyグループ |
88,818 |
△7.2 |
77,566 |
14.4 |
|
株式会社ダイフクプラスモア |
11,324 |
△8.6 |
596 |
△19.3 |
|
その他 |
69,584 |
△26.3 |
52,568 |
1.2 |
|
合計 |
356,518 |
△0.8 |
231,466 |
18.2 |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社および連結上の修正額であります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
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株式会社ダイフク |
145,860 |
0.6 |
|
コンテックグループ |
15,456 |
2.0 |
|
Daifuku North America Holding Companyグループ |
79,063 |
2.6 |
|
株式会社ダイフクプラスモア |
11,466 |
△6.7 |
|
その他 |
68,978 |
△20.4 |
|
合計 |
320,825 |
△4.6 |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社および連結上の修正額であります。
(1)経営方針
当社は、社是「日新」(Hini Arata)のもと、日々創意を凝らし、企業価値向上に努めています。さらに、中期経営計画をベースとした持続的成長路線を歩むことで、世界一、二を争うマテリアルハンドリングメーカー、システムインテグレーターに成長いたしました。平成29年(2017年)3月期は、3年連続で売上高世界一の座を維持しました(米国Modern Materials Handling誌2017年5月9日ウェブサイト記事)。
今後は最大の市場である一般製造業・流通業向けや成長性の高い空港向け売上をさらに伸ばすとともに、お客さまからの信頼を一層高める質の高い実績を積み重ねて、「真の世界No. 1 マテハングローバル企業」を目指します。
2017年3月期を最終年度とする4カ年中期経営計画「Value Innovation 2017」では、経営目標をほぼ達成することができました。円高による売上高の目減りはあったものの、収益面で当初の目標であった営業利益率7%を超えることができたのは大きな成果です。
引き続き、2017年4月からスタートした4カ年中期経営計画「Value Innovation 2020」(以下、中計)は、2021年3月期までの4年間だけでなく、10年先のあるべき姿を論議して、さらなる成長をにらんでの中間点としての目標を定めました。
経営理念は、以下のとおり「Value Innovation 2017」を踏襲しました。
①最適・最良のソリューションを提供し、世界に広がるお客さまと社会の発展に貢献する。
②自由闊達な明るい企業風土のもと、健全で成長性豊かなグローバル経営に徹する。
2021年3月期の目標は以下のとおりです。( )内は平成29年3月期実績。
・連結売上高 4,200億円 (3,208億円)
・営業利益率 8% ( 7.2%)
・ROE(自己資本当期純利益率) 10%以上 (12.6% )
・海外売上高比率 70% ( 65%)
当社グループは、平成29年3月期に売上高、総資産、時価総額いずれも3,000億円を超えました。また、平成28年にはJPX400入りを果たしました。企業としてのステージが上がったという自覚のもと、社債の格付向上(現在はAマイナス)などで、さらに上の段階を目指します。
ROE(自己資本当期純利益率)は、主に純利益増加により10%以上の安定維持を目指します。株主還元は、連結配当性向30%という方針のもと、株主さまに配当増で報いるほか、さらなる成長投資や時機に即したM&Aによって企業価値向上を図ります。生産キャパシティは中計売上高目標4,200億円をにらむだけではなく、さらに中長期的な視点で増強していきます。グローバル人材育成にも積極投資を行います。
(2)中期経営計画の課題
当社グループが手掛けるロジスティクスシステムは、「B to C」ならぬ「C to B」、つまり消費者のニーズに合わせた商品を企業がネット通販などで提供する流通革命で欠かすことができない社会インフラになっています。
また、IoT(モノのインターネット)をはじめとするデジタル革命へいかに適応するかが、ビジネスの成否を分けています。中計では、社会的重責を担うという自覚のもと、お客さまに最適・最良のソリューションを提供することで、健全かつ持続的に成長してまいります。
また、当社グループの海外売上高比率は既に65%に達し、70%という中計目標に大きく近づいています。海外子会社の重要性がますます高まるなか、海外子会社の現地密着経営を推進するローカル化、グループ全体としてのシナジーやブランド力を高めるグローバル化、言い換えれば遠心力と求心力のバランスが取れたグループ・ガバナンスが重要になっています。遠心力の面では、海外子会社は自立した立場でそれぞれの地域に根付いた営業・生産・工事・サービス活動を進めます。求心力では、特にM&Aによりグループ入りした海外子会社を含めたダイフクブランドの構築、一体感の醸成に努めます。
(3)対処すべき課題
1)お客さまが求めるスマート・ロジスティクスの提供
消費者と物流がダイレクトにつながるようになり、お客さまの物流に対する要求レベルが飛躍的に高まっています。配送頻度・個数の急増、リードタイムの短縮が進み、物流センターがさらに大規模化・高速化・高精度化・複雑化する傾向にあり、あらゆる面において自動化ニーズが高まっています。今までより一層速く正確であるだけでなく、止まらない、止まってもすぐに復旧する物流システムが求められています。
当社グループは、IoT、ICT(情報通信技術)、AI(人工知能)などの技術の活用により、開発スピードを加速し、バーチャルな検証により納入品質を向上させ、お客さまの求める「スマート・ロジスティクス」を提供していきます。モノを作らなくても開発・検証が可能となり、現場にいなくても状況が把握でき、蓄積されたデータからの予知・予防も行えます。開発から保全まであらゆるプロセスにおいて、品質向上・時間短縮が可能となります。物流の「見える化・最適化」を実現し、お客さまが求める価値と競争優位を実現するソリューションを提供します。開発から保全まであらゆるプロセスにおける品質向上・時間短縮に取り組み、物流コストの削減、物流時間の短縮、物流品質・環境の向上を実現します。
2)空港向けシステムを第4のコア事業として確立
空港向けシステムは、世界の航空旅客が2035年に年間70億人(2015年の2倍)に達すると予測されていることを背景に、今後ますますの成長が見込めます。手荷物だけでなく旅客も含めたソフトウエア領域を強化するとともに、米・欧・ニュージーランドの現地法人の連携を強化して事業規模を拡大します。一般製造業・流通業向け、半導体・液晶工場向け、自動車生産ライン向けという3つのコア事業に次ぐ収益の柱を確立します。
3)新規事業、新ビジネスモデルの立ち上げ
プラント・ビジネスだけでなく、デバイス・ビジネスの立ち上げに注力していきます。半導体・液晶工場のクリーンルーム内搬送システムのノウハウを基にした非接触充電システム「D-PAD」(ディー・パッド)など、新しい芽は出ており、外部リソースも活用して、さらなる果実を生むべくチャレンジを続けていきます。また、隣接する領域や工程への拡大も図っていきます。
4)社会とお客さまの要請にスピーディに応える
当社グループが担うマテリアルハンドリングシステムは、社会と経済のインフラストラクチャーとしてますます重要性を増しています。それとともに、“社会から見られるダイフク、お客さまから見たダイフク”を常に意識する必要が高まってきました。業績のみならず、ESG(環境、社会、ガバナンス)やCSR(企業の社会的責任)という視点での評価・要望に応える必要があります。
コーポレート・ガバナンスでは、PDCAサイクルを回し、実効性を継続的に高めていくことを重視しています。平成29年3月期は、まず、その根幹とも言うべき取締役会規定などを改定しました。
社会性の面では、「働き方改革委員会」を平成29年4月に設置し、長時間労働の是正といった具体的な課題に取り組み、社員がより働きやすい環境を整備するとともに、個々の生き方を一層大切にする企業風土を作っていきます。また、「CSR調達基準」を設け、コンプライアンスや人権などに一層配慮したサプライチェーンを構築、運営していきます。
環境面では、喫緊の対策が求められている気候変動に対する法規制(二酸化炭素排出量削減)の遵守、情報開示、顧客への省エネルギー製品の提供に取り組んでまいります。
当社グループは、平成29年5月20日に創立80周年を迎えます。この間、さまざまな業種のお客さまの多様な要望に一つ一つ丁寧に対応し、培ってきた信頼が現在のダイフクをつくり上げてきました。当社グループの実績・経験・知見、さらに企業文化への期待は日増しに高まっていますが、スピードという要素も加えることが強く求められています。ダイフク独自のDNAを発展させて、さらなる持続的成長を目指します。
当社の財務および事業の方針の決定を支配するものの在り方に関する基本方針は、以下の通りであります。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者については、その者が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるか否かという観点から、検討されるべきであると考えております。
当社が企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させていくためには、
①中長期的視点に立った経営戦略を基に、社会的責任を全うしていくこと
②中長期的な事業成長のため、財務体質の健全化を背景とした機動的・積極的な設備投資及び研究開発投資を行っていくこと
③生産現場や工事現場においては、行政機関・周辺住民等の関係当事者との信頼関係を維持していくこと
④当社グループのコア事業間の有機的なシナジーによる総合力を最大限発揮していくこと
等に重点を置いた経営の遂行が必要不可欠であり、これらが当社の株式の買付を行う者により中長期的に確保され、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。
上記に加え、内部統制体制の強化、具体的には、グローバルに事業を展開するためのリスク管理、財務諸表の信頼性確保に対する組織的かつ継続的な取り組みが、企業存続のためにますます重要になっています。
また、当社グループは、数多くのグループ関連企業から成り立ち、事業分野も幅広い範囲に及んでいます。従って、外部者である買付者からの買付の提案を受けた際に、株主の皆様が、当社の有形無形の経営資源、将来を見据えた施策の潜在的効果、各事業分野の有機的結合により実現され得るシナジー効果、その他当社の企業価値を構成する要素を十分に把握した上で、当該買付が当社の企業価値・株主共同の利益に及ぼす影響を短期間のうちに適切に判断することは、必ずしも容易ではないものと思われます。
こうした事情を鑑み、買付者が当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策、以下「本プラン」)に定める手続を遵守しなかった場合、または当該買付が企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付である場合等所定の要件に該当する場合、当社は、このような買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切と判断すべきであると考えます。
当社は、平成11年3月期から始まる中期経営計画「21世紀初頭のダイフク」を策定以来、中期経営計画をベースとした持続的成長路線を歩むことで、世界一、二を争うマテリアルハンドリングメーカー、システムインテグレーターに成長いたしました。
平成29年3月期の売上高3,400億円、営業利益210億円を主要な経営目標とする4カ年中期経営計画「Value Innovation 2017」は、売上高こそ3,208億円と円高の影響で未達成となったものの、営業利益は230億円で、長年の目標であった営業利益率7%をもクリアすることができました。引き続き、平成29年4月からスタートした4カ年中期経営計画「Value Innovation 2020」では、2021年3月期に売上高4,200億円、営業利益率8%というさらなる成長をにらんだ目標を掲げています。
当社は、この中期経営計画のなかでも、経営理念は踏襲し「最適・最良のソリューションを提供し、世界に広がるお客さまと社会の発展に貢献する」「自由闊達な明るい企業風土のもと、健全で成長性豊かなグローバル経営に徹する」としております。国内外の多様な経営資源をベストミックスさせ、シナジーを追及することを重要な経営戦略として、あらゆる業種・業界、国・地域のお客さまに、最適・最良のソリューションを提供し、社会の発展を支える役割を担ってまいります。
また、当社は、株主の皆様に対する利益還元を最重要課題と位置づけており、剰余金の配当について、株主の皆様への更なる利益還元を視野に入れ、平成17年3月期から連結当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)をベースとする業績連動による配当政策を取り入れております。資本政策面では、「Value Innovation 2017」期間中に発行した新株予約権付社債がすべて株式転換されて自己資本が一層充実したこともあり、平成29年3月期に売上高、総資産、時価総額いずれも3,000億円を超えました。ROE(自己資本当期純利益率)は、主に過去最高の連結当期純利益により、「Value Innovation 2017」前の5.6%から12.6%に改善いたしました。今後も、ROEは主に純利益増加により10%以上の安定維持を目指します。株主還元は、連結配当性向30%という方針のもと、株主さまに配当増で報いるほか、さらなる成長投資や時機に即したM&Aによって企業価値向上を図ります。
当社は、平成27年6月26日開催の第99回定時株主総会において、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」を一部改定の上、更新することについて、株主の皆様のご承認をいただきました。
本プランは、
a.当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付けその他の取得
b.当社が発行者である株券等について、公開買付けを行う者の株券等所有割合およびその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け
に該当する当社株券等の買付けその他の取得もしくはこれに類似する行為またはその提案(以下「買付」)がなされる場合を適用対象とします。そして、a.またはb.に該当する買付がなされたときに、本プランに定められる手続に従い、原則として買付者等による権利行使は認められないとの行使条件および当社が当該買付者等以外の者から当社株券等と引き換えに新株予約権を取得する旨の取得条項等が付された新株予約権(以下「本新株予約権」)の無償割当てをすることが検討されることとなります。
a.またはb.に該当する買付を行う買付者は、買付の実行に先立ち、買付内容の検討に必要な情報および本プランに定める手続を遵守する旨の法的拘束力のある誓約文言等を記載した書面(買付者の代表者による署名又は記名捺印のなされたものとし、条件又は留保等は付されてはならないものとします。)及び当該署名又は捺印を行った代表者の資格証明書(以下、これらを併せて「買付説明書」といいます。)を、当社取締役会に対して、当社の定める書式により日本語で提出していただきます。
その後、買付者や当社取締役会から提出された情報・資料等が、当社経営陣から独立した者のみから構成される特別委員会に提供され、特別委員会はこれらの評価、検討を行います。
特別委員会は、買付者が本プランに定める手続を遵守しなかった場合、または当該買付が企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付である場合等所定の要件に該当し、本新株予約権の無償割当てをすることが相当と認めた場合には、当社取締役会に対して、本新株予約権の無償割当てを実施すべき旨を勧告します。なお、特別委員会は、買付内容について実質的判断が必要な場合、本新株予約権の無償割当ての実施に関して株主総会の承認を予め得るべき旨の留保を付することができるものとします。
当社取締役会は、特別委員会の勧告に従い、本新株予約権の無償割当ての実施または不実施等に関する会社法上の機関としての決議を行うものとします。但し、特別委員会が勧告に株主総会の承認を予め得るべき旨の留保を付した場合、または、当社取締役会が善管注意義務に照らし適切と判断する場合、当社取締役会は、株主総会の開催が実務上著しく困難な場合を除き、株主総会を招集し、本新株予約権の無償割当ての実施に関する議案を付議し、当該株主総会の決議に従うものとします。
本プランの有効期間は、原則として、第99回定時株主総会終結後3年以内に終了する事業年度のうち最終の事業年度に関する定時株主総会の終結の時までとします。
上記(2)①に記載の中期経営計画等の各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針に沿うものです。
また、本プランは、上記(2)②に記載のとおり、企業価値・株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって更新されたものであり、基本方針に沿うものです。特に、本プランは、下記項目のとおり、株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
・株主総会において株主の皆様のご承認を得た上で更新されたものであること。
・本プランの有効期間が3年間と定められた上、取締役会によりいつでも廃止できるとされていること、当社取締役の任期は1年とされていること。
・経済産業省および法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値ひいては株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」に定める三原則をすべて充足していること。
・経営陣からの独立性の高い特別委員会が設置されており、本プランの発動に際しては必ず特別委員会の判断を経ることが必要とされていること。
・特別委員会は当社の費用で第三者専門家を利用することができるとされていること。
・その内容として本プランの発動に関する合理的な客観的要件が設定されていること。
・デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)やスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)ではないこと。
本プランの詳細については、平成27年5月14日付で「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について」として公表しております。このニュースリリースの全文については当社ホームページ(http://www.daifuku.com/jp/)をご参照ください。
当社グループ各部門が主として対応するリスクは以下のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは国内外を問わず全ての工場の設備の予防保全に努めるとともに、設備の安全審査、保安管理体制等の強化を図っています。また、生産トラブルに関しては、設備の損傷のための保険に加入していますが、万一重大な生産トラブルが発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ及び当社グループ取引先の事業拠点が地震、津波、洪水、火災、感染症の世界的流行等の災害やテロ攻撃または政治情勢の変化に伴う社会的混乱により物的・人的被害を受けた場合、当社グループの生産・販売活動に影響が及ぶ可能性があります。当社グループの国内生産拠点は主力の滋賀県のほか、愛知県、大阪府に立地しています。これらの地域で大規模な地震その他の災害が発生した場合、当社製品の生産に支障が生じる可能性があります。そのため、国内各拠点で耐震性の強化等に努めています。
また当社グループは、北米、中国、台湾、韓国、タイ、インド等に生産拠点を有しており、年々、海外での生産・調達体制を強化しています。有事の際には、これら海外工場との連携がバックアップ機能の一翼を担うことになります。
当社グループは、環境保全活動を重要な経営方針のひとつとして掲げ、環境マネジメントシステムの充実を図っており、これまで重大な環境問題を生じさせたことはありません。しかし、将来において環境問題がまったく生じないとの保証は無く、何らかの環境問題が発生した場合、当社グループの事業展開および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、気候変動をはじめとする各種環境関連の法規制の対象になっており、これによりオペレーションに掛かる費用の上昇や事業活動の一部が制限されたり、企業の評判に影響を及ぼしたりする可能性があります。当社グループは大手企業の物流設備や生産設備を担うことがあり、気候変動対策の進展による法規制の適用やそれを見越した顧客による独自の省エネルギー対策や情報開示が求められ、それが取引条件になることなどが考えられます。また、EUなどの特定市場における先進的な規制により、輸出や生産が制限される可能性があります。
当社グループでは安定した労使関係の構築に努めております。国内グループ会社におきましては労使協議会を定期的に開催し、職場環境、労働条件の改善について協議しており、労使関係の悪化による事業リスクは低いと考えております。しかし、事業の拡大を進めております海外の国または地域においては、労使慣行の相違が存在し、また法環境の変化、経済環境の変化、社会環境の変化など予期せぬ事象に起因する労使関係の悪化、労働争議の可能性があり、その場合には一部の子会社において事業の遂行に制約が生じる可能性があります。
当社グループは、海外で合弁事業を営む場合、各国の法律及びその他の要件を踏まえて事業を行っております。これらの合弁事業は、各国の法律の改正、合弁先の経営方針、経営環境の変化等により影響を受けることがあります。
当社グループでは、国内外の特許権をはじめとする知的財産権を事業の競争力維持の為に重要と考えております。
一方、知的財産権の重要性が増すに従い、以下のケースが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性を完全に排除できるものではありません。
① 事業展開のためには、第三者の知的財産権につき実施許諾を得る必要があり、ロイヤルティの支払いが生じる場合、又は実施許諾が得られない場合。
② 第三者により知的財産権侵害の主張をされる場合。
③ 特定の国または地域において、法的実効性が必ずしも十分でないため、不正競争品を効果的に排除できない場合。
当社グループが競争力を維持するためには、優秀な人材を安定的に国内外で確保・採用することが必要であると考えております。しかし、有能な人材の確保競争は激しさを増しており、当社グループがそのような人材を充分に確保し育成できない場合には、技術・技能の承継にも支障をきたし、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの販売は自動車業界やエレクトロニクス業界をはじめとする大手の比較的安定した取引先向けの比率が高く、売上債権等にかかる回収リスクは軽微であると認識しております。また、貸倒れが懸念される債権につきましては、回収可能性を勘案して引当金を計上しております。
しかしながら、予測していない不良債権や貸倒れが発生するリスクは一般的に存在しております。景気後退やグローバル規模での競争激化の影響を受け、国内外を問わず潜在的に将来の資本力が脆弱化する取引先がないという保証はありません。
当社グループでは、事業遂行に関連し多くの重要情報や個人情報を入手することがあります。これらの情報の外部への流出防止・目的以外への流用等が起こらないよう情報セキュリティ委員会を組織して、情報セキュリティ規定等を定め、周知徹底及び運用を図っておりますが、予期せぬ事態により流出する可能性がまったくないとは言えません。
当社グループは、国内はもとより、北米、アジア地域をはじめとして、グローバルに事業を展開しており、これらの海外市場への事業進出には、以下に掲げるような海外事業展開に共通のリスクがあります。
① 各国政府の予期しない法律または規制の変更
② 社会・政治及び経済状況の変化または治安の悪化
③ 輸送の遅延、電力等のインフラの障害
④ 為替制限、為替変動
⑤ 各種税制の不利な変更
⑥ 移転価格税制による課税
⑦ 保護貿易諸規制の発動
⑧ 異なる商習慣による取引先の信用リスク等
⑨ 異なる雇用制度、社会保険制度
⑩ 労働環境の変化や人材の採用と確保の難しさ
⑪ 疾病の発生
また、海外売上高比率は、平成29年3月期に65%に達し、世界にマーケットを求めて事業展開していることから、今後も海外事業のウエートは高くなることを想定しております。海外売上高の増加に付随して、海外での据付現場、生産現場における現地国情の相違等により、安全、品質、調達、納期、コスト等に万全を期しておりますものの国内に比してリスクは高いと認識しております。
当社グループは半導体・液晶関連市場及び自動車関連市場向けの販売が多く、当社の業績は両市場の設備投資動向の影響を受けます。特に、当社グループのコア事業の一つである半導体・液晶関連市場に対する売上で、日本・北米・韓国・中国・台湾における搬送・保管システムの需要が特定の取引先に集中する傾向があります。これらの取引先は、いずれも業界では最上位群に位置し、将来を見据えた設備投資にも積極的で力強く成長している企業ではありますが、半導体・液晶市場の需要動向が激変すれば、一時的に設備投資の中止・延期によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。自動車関連市場向けでは、日本メーカーを中心に世界中で幅広い顧客を確保しておりますが、いずれの国でも景気動向の影響を受けます。
当社グループの収益基盤である物流システム事業をはじめ、各業界における競争は厳しいものとなっています。当社グループの製品は、技術的・品質的・コスト的に他社の追随を許さない高付加価値な製品であると考えていますが、激化する価格競争の環境次第で収益が圧迫される可能性があります。
当社グループでは国内外を問わず生産する全ての商品について、万全の品質管理に努めています。
また、予期せぬ品質クレームに備え賠償保険に加入していますが、当該保険は無制限、無条件に当社グループの賠償責任を担保するものではなく、重大な品質クレームが発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの新製品開発活動は収益拡大のための重要な課題でありますが、当社グループの製品に対する市場からの開発ニーズはその多様性を増し、ニーズの変化速度も以前に増して早くなってきております。
新製品開発は製品が市場から評価され、販売されてはじめて収益に寄与いたしますが、新製品開発には以下にあげるものをはじめ様々なリスクが存在しており、これらのリスクが回避できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
① 当社グループが開発した新製品または新技術に対する市場からの支持を正確に予測できるとは限らず、これらの製品が市場に受け入れられない可能性がないとはいえません。
② 競合他社の製品開発のスピードが当社グループを上回った場合、その製品のシェアが低下する可能性があります。
③ 新たに開発した製品または技術が、当社グループ独自の知的財産権として保護されない可能性があります。
④ 競合他社の開発品または技術が、他社の知的財産権として保護され、当社の新製品開発を阻害する可能性があります。
⑤ 新たに開発した製品を代替する他社の新技術製品が出現する可能性があります。
当社グループは、生産に必要な原材料、部品を外部のサプライヤーから調達していますが、市況の変化による価格の高騰や品不足、さらには供給元の不慮の事故などにより、原材料・部品の不足が生じる可能性があります。需給の逼迫などにより原材料等の価格が高騰した場合には、徹底したコスト管理などを通じてコストダウンに努めると同時に原材料費上昇分の製品価格への転嫁に努めておりますが、コストアップを吸収しきれなければ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
6) プロジェクトの大型化
昨今のeコマースの進展に伴い、物流センターに求められる機能や能力が増しており、人手不足やIoTやAIなど先端技術との融合と相まって、当社が手がけるシステムが従来にないほど高度化・大規模化する傾向があります。また、半導体の微細化、液晶パネルの大型化などに伴い、半導体・液晶工場向けのシステムでも大きな受注金額のアイテムが増えています。これら大型案件の受注計上時期、プロジェクトの収益管理の巧拙が業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはグローバルに事業展開を推進しているため、様々な国の法令等の適用を受けます。そのため、企業行動規範をはじめ、コンプライアンスの観点から以下のような事項につき当社グループの役職員として守るべき諸般のルールを制定して、イントラネットへの掲示等によりその周知徹底を図っています。また、海外子会社に対するガバナンスを全般的に強化して各所在国における法令等を遵守する体制を構築・運用しております。しかし、法令等に反する事態が生じた場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起により、社会的信用の失墜を招いたり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
① 公正な取引と自由な競争のための方針
② 協力会社との取引方針
③ 贈答・接待に関する方針
④ 企業情報の開示
⑤ インサイダー取引の禁止
⑥ 人権・個人情報保護に関する方針
⑦ 安全・衛生に関する方針
⑧ 政治献金等の取り扱い
⑨ 反社会的勢力・団体との関係
⑩ 会社資産の保護
該当ありません。
当社グループは「保管」「搬送」「仕分け・ピッキング」をトータルソリューションのコアとなるシステムととらえ、最適・最良のマテリアルハンドリングシステムおよび電子機器を幅広く国内外の産業界へ提供するため、新システム・新製品の開発に取り組んでおります。昨今は、企業に求められる社会的責任が経済的側面から環境・社会活動まで含む概念へと広がっており、当社としても品質・環境・安全等にも配慮した製品やシステムの開発に努めています。
当連結会計年度における当グループが支出した研究開発費の総額は、74億89百万円であります。
報告セグメント別の研究開発活動は次のとおりであります。なお、株式会社ダイフクプラスモアは洗車機の販売に特化し、研究開発活動は行っていないため記載しておりません。
① 株式会社ダイフク
a.一般製造業および流通業向け製品
パレット系自動倉庫のスタッカークレーンを高層タイプおよび重量級でモデルチェンジしました。フレームの軽量化、高効率モータ採用により、環境への配慮を一層高めました。また、組立式ラックをモデルチェンジし、軽量化と積載効率向上を図りました。地震発生時に自動倉庫内での格納物落下を低減するため、製品の品揃えを強化しました。ラックの揺れ低減効果が高い製品を安価に提供できるようにしました。
b.半導体および液晶パネル生産ライン向け製品
従来に引き続き、半導体生産ライン向けでは微細化対応、フレキシブル搬送・高能力搬送システム、液晶パネル生産ライン向けでは高精細パネル対応と高能力搬送及び10世代クラスの大型機器の開発などを進めました。ソフトウェア面では、ともに生産効率の大幅向上を目指し、柔軟なレイアウト変更、保守性向上、製造装置とのスケジューリング機能強化を図っています。
c. 自動車生産ライン向け製品
自動車業界では、自動運転技術や電動化などの次世代に向けた車両技術開発が打ち出される一方、生産設備では中国、北・中米を中心とした能力増強、日本国内のような老朽化した設備の刷新や自動化設備の導入など、設備投資の方向性が地域ごとに鮮明になりつつあります。こうした多様な顧客ニーズに応え、デジタルエンジニアリングやIoTなどを駆使しての提案とトータルコストダウン・車両品質確保をテーマとした開発に努めました。特に、塗装ライン向け商品群で、作業者に優しくエコな商品として成果を出しています。
d. 洗車機
セルフSS市場向けとして、平成28年11月に新型ドライブスルー機「ツインフェクト フィート」を、平成28年12月に省スペース型泡洗車システム「スライディングバブル」を発売しました。
「スライディングバブル」は、洗車機の上部に搭載した噴射装置が前方に伸びて高圧水と泡を車全体へ吹き付ける業界初のシステムです。豊富な泡は、ドライバーへのPR効果による集客性が高くお客様より高い評価を受けています。これら新型機により、今後のセルフSS市場拡販をさらに強化していきます。
以上に記載のa.~d. を中心に、当社が支出した研究開発費の金額は59億69百万円であります。
② コンテックグループ
IoT市場向け製品「CONPROSYS」(手軽に設備の稼働状況が監視でき、クラウドサーバーへ情報を送信することができる)は、拡張性のあるスタック型タイプの10製品を新たに開発し、平成28年11月から平成29年1月にかけて販売を開始しました。
産業用コンピュータ製品は、マイナス40℃からプラス70℃の温度環境下でも起動及び動作が可能な「ボックスコンピュータBX-830」を開発し、平成28年6月から販売を開始しました。また、タッチパネルを搭載し卓上に設置可能な「パネルコンピュータ PT-970」を開発し、平成29年3月から受注を開始しました。
ネットワーク製品は、世界各国の電波認証を取得したグローバル対応の無線LANユニットを開発し、平成28年10月から販売を開始しました。
当グループが支出した研究開発費の金額は9億82百万円であります。
③ Daifuku North America Holding Company (DNAHC) グループ
一般流通業・製造業向け製品では、ピッキングや倉庫管理システムの開発に力を入れています。無人搬送車は、空港向けの移動式検査台「MIT」(Mobile Inspection Table)のブラッシュアップのほか、シリーズ全体の拡充を進めています。
当グループが支出した研究開発費の金額は2億31百万円であります。
本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度末における総資産は3,035億40百万円(前年同期比74億84百万円の増加)となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が72億92百万円減少したものの、現金及び預金が156億14百万円増加したことが主な要因であります。
当連結会計年度末における負債は1,611億99百万円(前年同期比47億39百万円の減少)となりました。これは未払法人税等が46億79百万円減少したことが主な要因であります。
当連結会計年度末における純資産は1,423億40百万円(前年同期比122億24百万円の増加)となりました。これは、利益剰余金が128億48百万円増加したことが主な要因であります。
当社グループの経営成績の分析につきましては、第2〔事業の状況〕 1〔業績等の概要〕(1)業績の項目をご参照ください。
当社グループのキャッシュ・フローの分析につきましては、第2〔事業の状況〕 1〔業績等の概要〕(2) キャッシュ・フローの状況の項目をご参照ください。
なお、連結キャッシュ・フローの指標は次の通りであります。
|
|
平成28年3月期 |
平成29年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
42.9 |
45.8 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
77.9 |
111.3 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
5.7 |
1.5 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
14.4 |
64.8 |
自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分-新株予約権)/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(注5)利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
⑥資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための、原材料・部品の仕入、加工、組立等の変動費、ならびに製造費・販売費及び一般管理費等の固定費であります。
固定費の主なものは人件費、構内外注費、設計外注費、研究開発費、減価償却費、賃借料等であります。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。
詳細につきましては、第2〔事業の状況〕3〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕をご参照ください。