本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社は、①最適・最良のソリューションを提供し、世界に広がるお客さまと社会の発展に貢献する
②自由闊達な明るい企業風土のもと、健全で成長性豊かなグローバル経営に徹する
の経営理念のもと、長年培ってきた「保管」「搬送」「仕分け・ピッキング」のマテリアルハンドリング技術で、生産・流通・サービスなどさまざまな分野のお客さまの物流ニーズに応えてきました。
世界中のお客さまの立場に立って、最適・最良の製品・サービスを提供することに努めてきた結果、売上高で世界ナンバーワン※のマテリアルハンドリングシステムメーカーに成長しました。
※米国Modern Materials Handling誌2021年5月記事
2021年3月期を最終年度とする4カ年中期経営計画「Value Innovation 2020」では、半導体・液晶業界における一時的な設備投資意欲の減退、および新型コロナウイルス感染症の影響により、2019年5月に上方修正した経営目標(連結売上高5,000億円、営業利益率11.5%)に届きませんでしたが、当初の経営目標(連結売上高4,200億円、営業利益率8.0%)は達成しました。ROEは目標の10%以上を全期間で維持し、連結配当性向は毎年度おおむね30%を継続しました。
重点施策の一つであった空港向け事業は、第4のコア事業へと順調に成長したほか、当社グループの柱である一般製造業・流通業向け事業においては、国内外の生産能力を大幅に増強するなど、積極的な成長投資を継続しました。また、ESG全般への取り組みも含めて、当社のブランド力の向上にも努めてまいりました。
2021年4月からスタートした3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」(以下、中計)では、ニューノーマル(新常態)や、グローバルでの自動化ニーズの拡大と多様化といった当社グループを取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、DX2(DX スクエア)※を推進していきます。
※DX2(DX スクエア)=Digital Transformation × Daifuku Transformation
DX2とは、通常のデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation=DX)の推進だけでなく、ダイフク自身も変革し(Daifuku Transformation)、お客さまをはじめとするステークホルダーへの提供価値を変革していくというコンセプトです。
〔図〕中期経営計画「Value Transformation 2023」の概念図

2024年3月期の経営目標は以下のとおりです。()内は2021年3月期実績。
・連結売上高5,400億円(4,739億円)
・営業利益率10.5%(9.4%)
・ROE(自己資本当期純利益率)10%以上(13.2%)
連結配当性向は、2022年3月期~2024年3月期の3カ年の平均で30%以上を目指します。
〔図〕「Value Transformation 2023」最終年度の目標

また、当社グループでは、中計と「サステナビリティアクションプラン」を経営戦略の両輪と位置付け、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。環境面では、中計と併せて策定した「ダイフク環境ビジョン2050」において、2050年に「マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を目指す」を掲げ、2030年までの重点領域と目標を設定しています。
中計の詳細は、当社ウェブサイトの『新3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」策定 他のお知らせ』(2021年2月5日公表)を、ダイフク環境ビジョン2050およびサステナビリティアクションプランは「(4)持続可能な社会の実現への貢献」をご覧ください。
(2)経営環境
1) 事業環境
新型コロナウイルス感染症により、産業界全般の先行きを見通し難い状況にありますが、当社グループのお客さまは、「eコマースの拡大」「デジタル化の進展」「電気自動車へのシフト」「空港のスマート化」など、事業環境の大きな変化に加え、人手不足という社会問題にも直面しており、当社グループが提供する物流ソリューションに引き続き期待が寄せられているものと確信しています。
2) 競争環境
マテリアルハンドリング市場の拡大に伴い、従来の欧米メーカーに加え、中国などの新興メーカーが参入・成長してきており、今後さらなる競争の激化が見込まれます。コンサルティングから、ものづくり・据付・アフターサービスまでの一貫体制、および豊富なハードウエア・ソフトウエアのラインアップを通じて、グローバルに最適・最良のシステムを提供するという当社グループの強みに磨きをかけ、厳しい競争に打ち勝ってまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」の根幹となる事業ポートフォリオについては、従来どおり、①一般製造業・流通業向けシステム、②半導体・液晶生産ライン向けシステム、③自動車生産ライン向けシステム、④空港向けシステムの4つをコア事業とし、継続的な発展を目指します。
一方で、既存の枠組みに止まらず、グローバル市場への戦略投資(M&A、営業拠点などの拡充)、次世代ビジネスモデルの創出、有望な新規領域への投資により、事業領域の拡大を図ることも重要な事業戦略として捉えています。
当社グループは製品や事業ごとに高い専門性を磨いてきた反面、グループの横断的な取り組みには課題があります。2022年3月期は、グループ競争力をさらに強化するための事業間連携に取り組みます。一般製造業・流通業向けシステムは日本国内向けが7割程度なのに対し、半導体・液晶生産ライン向けシステムは逆にお客さまのほとんどが海外といったように違いがあります。海外進出に歴史のある事業、コストダウンやプロジェクト管理に強い事業など、事業ごとに違うさまざまな強みを共有・横展開することで全体最適を図ります。
その一環として、事業運営を見直し、自動車生産ライン向けシステムの部門と空港向けシステムの部門を統合しました。大きな課題である空港向けシステムの収益性向上のため、自動車生産ライン向けシステムの部門が持つ豊富な人材、海外拠点を活用することが狙いです。
生産面においては、新たに生産担当役員を設置します。既に実績のある一般製造業・流通業向けシステムのコストダウンを含む生産改革手法を事業横断的に展開し、グループ全体の生産性の向上と、生産体制の強化を図ります。
加えて、2022年3月期を「ダイフクDX元年」(DX=デジタルトランスフォーメーション)として、グループ全体のデジタル化も推進していきます。そのため、常務執行役員を長とするDX本部を新設しました。従来から強化している各事業におけるさまざまな研究・開発に加え、コーポレート部門や各事業部の管理部門などのバックオフィスにおけるデジタル化が急務となっています。グループ全体最適という視点での、より高度な製品・サービスの開発、生産性向上、業務効率の向上などに取り組んでいきます。
当社グループの2021年3月期の海外売上高比率は65%となりました。当社グループでは内製化、つまり生産の現地化が強みにつながると考えており、一般製造業および流通業向け事業では、中国・タイなどでその成果が出始めています。そこで、eコマースの拡大で稼働率が高まっている北米(Wynright Corporation)の収益性向上に注力します。そのほか、2018年に韓国(Daifuku Korea Co., Ltd.)、2019年にタイ(Daifuku (Thailand) Ltd.)、中国(大福(中国)物流設備有限公司)の生産能力を増強したほか、インドにおいては物流システム企業(Vega Conveyors & Automation Private Limited)を買収し、生産の現地化に向けた積極的な投資を行ってきました。2021年3月期には、中国(大福(中国)自動化設備有限公司、大福自動搬送設備(蘇州)有限公司)、インドの生産能力増強に着手し、中計最終年度の目標である連結売上高5,400億円に向け、上記以外の地域でも生産能力の強化を引き続き進めていきます。
「サステナビリティ」「コンプライアンス」「ガバナンス」「安全」についても引き続き重要な課題であると捉えています。
1)サステナビリティ経営
当社グループでは、中計と「サステナビリティアクションプラン」を経営戦略の両輪と位置付けています。
「サステナビリティアクションプラン」は、SDGsに沿って「スマート社会への貢献」「製品・サービス品質の維持向上」「経営基盤の強化」「人間尊重」「事業を通じた環境貢献」の5つのテーマを設定し、それぞれのテーマに関連する18のマテリアリティを特定するとともに、3カ年の行動計画を定めたものです。
これに先立ち、2020年に「TCFD提言」に基づく気候変動のリスクと機会の分析結果の開示を、2021年2月5日には「ダイフク環境ビジョン2050」を公表しました。同ビジョンは、2050年に「マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を目指す」もので、2030年までの重点領域と目標を定めています。
人的資本への投資では、多様な人財マネジメント制度を採用し、グローバルかつダイバーシティの観点で人財の育成・登用に努めます。具体的な考え方と測定可能な自主目標の設定、方針、実施状況については、統合報告書などで報告していく予定です。
サステナビリティ経営の推進組織としては、CEO(代表取締役社長)を委員長とする「サステナビリティ委員会」を2020年4月に設置し、その取り組みについては適宜、取締役会に報告しています。
2)コンプライアンスの徹底・グループガバナンスの強化
コーポレートガバナンスについては、当連結会計年度は取締役8名中4名の社外取締役を選任しており、企業経営経験者、財務・会計や法律の専門家、海外経験者、女性の登用など取締役会の多様性を確保しています。
また、2021年4月に、「リスク・ガバナンス室」を新設しました。当社グループにおけるリスクを把握し、グループレベルでのコンプライアンス体制強化を中心に、企業価値向上のためのコーポレートガバナンスの推進などを担います。
3)「安全専一」の徹底
一人ひとりの社員が最大のパフォーマンスを発揮できる職場環境づくりに努めていくうえで、社員やその家族、お客さま、お取引先の生命・健康・安全を確保することが何よりも優先されます。「安全は、『第一』『第二』と相対的な順位を付けるものではなく、絶対的なもの、『専一』なものである」という決意で、教育・研修などを通じて、引き続き、グループ一体となって災害の撲滅に取り組んでいきます。
(4)持続可能な社会の実現への貢献
1)ダイフク環境ビジョン2050
当社は2021年2月に、2050年を展望した新たな環境ビジョン「ダイフク環境ビジョン2050」を策定しました。本ビジョンでは、2050年に「マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を目指す」を掲げ、2030年までの重点領域を「気候変動・エネルギー」「資源循環」とし、それぞれの目標を設定しています。詳細は、以下〔図〕〔表〕をご覧ください。取り組み期間は2021年から2030年までとし、CEOを委員長とするサステナビリティ委員会を中心にグループ全体で推進していきます。
〔図〕ダイフク環境ビジョン2050

〔表〕2030年の重点領域
〔表〕2030年の目標
※¹ 当社エコプロダクツ製品などを通じて、お客さまに納入したシステムで環境面から貢献したもの
※² お客さまに納入した製品・サービスから排出されるCO2排出量を、基準年度である2011年時点の
製品・サービスによるCO2排出量から差し引いたもの
※³ 生産拠点における資源循環の実態を把握した上で目標を設定し、2022年4月に開示予定
2)サステナビリティアクションプラン
当社グループは、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を特定し、5つのテーマに沿った目標設定と具体的な行動計画として「サステナビリティアクションプラン」を策定しました。すべての社員があらゆる事業活動を通じてマテリアリティに取り組むことでSDGsの達成に貢献し、持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指します。
〔図〕サステナビリティの概念

(注)SDGsアイコンの説明
〔図〕サステナビリティアクションプランの概要
※1:研究開発費+DX(Digital Transformation)投資額
※2:当社の製品・システムの不具合を原因とした稼働中における死亡事故および重傷病(治療に要する期間が30日以上の負傷・疾病)事故
※3:同一の認証機関による同一基準・スケジュールでの審査を実施し、認証を取得・維持すること
※4:主に設計者を対象とした国際安全規格に基づく安全の知識、能力を有することを認証する資格
※5:自社の業務中における死亡事故(労働災害)
※6:調達先におけるCO2排出削減に向けた取り組み(目標の共有と削減対策支援など)に関する当社独自の枠組み
※7:お客さまに納入した製品・サービスから排出されるCO2排出量を、基準年度である2011年時点の製品・サービスによるCO2排出量から差し引いたもの
※8:当社エコプロダクツ製品などを通じて、お客さまに環境配慮の面で貢献した物件(プロジェクト)
本文中における将来に関する事項の記述については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)リスクの管理体制
当社グループは、CEO(代表取締役社長)を最高責任者として、リスクマネジメント規程に基づく全社的なリスクマネジメント体制を構築しています。
また、海外を含めた当社グループ全体で定期的にリスクアセスメントを行い、経営計画や事業運営に重要な影響を与えるリスクを「影響度」および「発生頻度」の2つの評価軸でマッピングを行っています。今年度は、昨年度に主要なリスクと特定したリスクのモニタリングを実施しました。事業に与えるリスクを低減するため、各種の取り組みを実施していますが、短期間で経営における「影響度」「発生頻度」が大きく変動することは考えにくいため、引き続き昨年度の結果を全社の重要なリスクとして認識して、対策を推進します。特に重要な案件は、適宜取締役会へ報告しています。
新型コロナウイルス感染症につきましては、CEOを最高責任者とするダイフクグループ「新型肺炎対策本部」を設置し、政府の方針や行動計画に基づき社内ルールの徹底などにより、感染拡大の抑止に努めています。
(2)リスク分析の前提条件
当社グループが、リスク分析に当たり主に考慮すべきと考えている前提条件は、以下のとおりです。
・特定業種のお客さまの設備投資動向の影響を大きく受けること
・業態として、長期のプラント工事を伴うこと
・売上の70%近くを海外で上げているグローバル企業であること
・業績やグループ規模が急成長し、今後も持続的成長が見込まれること
・物流システムが重要な社会インフラとして認知され、社会的注目度が向上していること
(3)リスクアセスメント調査
事業環境変化への的確な対応の観点から、当社グループの事業活動に大きく影響を与える重要リスク項目を抽出し、「発生頻度」、「影響度」の2つの評価軸でリスク管理状況を把握・管理しています。
<主要なリスク>
発生頻度と影響度の観点から経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは次の通りです。(1)~(5)は通常の事業運営上で想定されるリスクを重要度順に記載しています。「(6)新型コロナウイルス感染症のリスク」は現下の状況で重要度が高いもの、「(7)気候変動リスク」は国際的な枠組みのもとで開示が求められるものです。
(1)経済危機・景気変動、海外子会社の管理不備
・経済危機・景気変動
半導体・液晶業界を主体とするエレクトロニクス業界は景気変動の波が特に大きく、設備投資の減少により、同業界向けの当連結会計年度売上は前年度に比べて、5.0%減少しました。当社グループではお客さま業界の動向を注視し経営計画に機動的に反映させるよう努めていますが、技術革新のスピードが非常に早い半導体・液晶業界の設備投資動向は、短期間で急速に変化するため、完全な予測は困難です。
・海外子会社の管理不備
当社グループ全体の売上のうち65%は海外売上です。主要製品を生産・輸出するダイフクだけでなく、現地で生産・工事・サービスを行う子会社との連携、特に工事を担当する子会社のプロジェクト予算管理が非常に重要であると認識しています。国内においても、eコマースを中心とする流通業界向けに大型案件が増えています。当社グループは、プロジェクトの予算や進行管理の精度向上に努めていますが、プロジェクト管理の難度は建設地や納期、建屋も含めた進捗、技術的な要素などの条件によって個々の案件ごとに異なるうえに、複数案件の集中度合いによっては人手の確保が難しくなり、工事コストが上昇する可能性があります。
(2) コンプライアンスに関するリスク
当社グループの急成長、子会社や従業員の急速な増加により、当連結会計年度の当社グループの連結会社数は66社、従業員数は11,697名に達し、そのうち連結海外子会社の従業員数は8,045名(68.8%)です。
当社グループは、不祥事の発生などを含むコンプライアンスに関する広範なリスクに対応するために、
・監査本部により内部統制システムを強化
・内部通報制度を改善
・法務・コンプライアンス本部を設置し、贈収賄防止、競争法違反防止などの規程を整備
・M&Aにより取得した海外子会社の成長性、事業リスク、財務などのチェック体制強化のため、グローバルマネジメント室を設置
・監査役の監査の実効性をより高めるために、監査役および監査役会の職務を補助する監査役室を設置
・グループガバナンス強化のため、リスク・ガバナンス室を設置
などの手段を講じてきました。しかしながら、管理対象の大幅な増加、国内外の連携不足等により、コンプライアンスリスクが増す可能性があります。
(3) 人材に関するリスク
後継者(役員、役職者)の育成に関しては、早期選抜制度、海外子会社での経営経験の取得などの機会を設けています。また、人材の採用、教育、育成に関しては、階層別・役職別研修制度を基本に、きめ細かな育成ニーズに応えるべく、各種研修コースの充実を図っています。また、2019年11月からタレントマネジメントシステムを導入し、事業横断的な人材活用を促進しています。併せて、働き方改革の推進や処遇の改善などを図っていますが、効果が出るには一定の時間を必要とします。また、マテリアルハンドリングシステムに関する技術者・技能者は、eコマースの進展などにより、世界的な人手不足が懸念されています。
(4) 大規模な自然災害によるリスク
地震、津波など大規模な自然災害の発生により、ライフラインの停止や従業員の出勤が難しくなり、事業活動が中断するリスクがあります。
対策として、拠点ごとの自然災害ハザード調査、発生時の時系列対応計画(タイムライン)策定と安否確認などの各種訓練、備蓄品の拡充などを進めました。また、必要に応じて、既存の事業継続計画(BCP)などの計画類の実効性向上のため、事業影響度分析、各事業部体制表の見直しなどを実施しています。
これらの取り組みにより、大規模な自然災害が発生した際の被害規模局限化、影響度の低減に努めます。しかしながら、発生した事象が甚大な場合(南海トラフ地震、超大規模台風など)、影響は非常に大きくなる可能性があります。
世界的に流行するような感染症も、大規模な自然災害の一つとして分類しています。新型コロナウイルス感染症による影響は、後述します。
(5)サイバー攻撃のリスク
情報セキュリティ対策のため、コーポレート部門副部門長(執行役員)を委員長とする情報セキュリティ委員会を組成し、当社グループ横断で情報セキュリティの維持・向上に取り組んでいます。情報セキュリティ委員会を軸にCSIRT(Computer Security Incident Response Team:サイバー攻撃による情報漏えいなど、コンピューターセキュリティにかかる事故に対処するための組織)を運営し、サイバー攻撃を受けた場合の影響範囲や損害の特定、被害拡大防止の初動対応、再発防止策の検討などの実施、定期的な社員教育・訓練を実施しています。
(6)新型コロナウイルス感染症のリスク
当社グループは、従前より、地震や津波などに備えてBCP体制を構築し、災害時・緊急時に対処するノウハウや知見を蓄積しています。2020年1月以降に影響が顕在化した新型コロナウイルス感染症に対しては、CEOを最高責任者とする新型肺炎対策本部を立ち上げて対処しています。
国内外の政府や行政機関のガイドラインに則って事業活動を行い、在宅勤務の実施などにより、感染拡大のリスクを最小限に抑えています。長年にわたるグローバルなICTインフラ整備により、在宅勤務などもスムーズに導入でき、事業活動に大幅な支障はきたしていません。
新型コロナウイルス感染症による主なリスクとしては、当社グループおよびお客さまの移動・出社・活動制限、感染者の発生による事業活動の遅延停滞、景気後退に伴うお客さま設備投資の延期・中止、減産による収益性の悪化などが考えられます。
当社グループの主力生産拠点である滋賀事業所は、新型コロナウイルス感染症の影響をほとんど受けておらず、サプライチェーンも健全に機能しています。また、当社グループの海外子会社の工場や営業所、サービス拠点は、各国政府・行政機関の方針に適宜対応して操業しています。
お客さまは業界のトップクラスの企業が多く、信用面での不安は少ないのはもちろん、景況感が悪い時期にでも前向きに設備投資を行う姿勢のお客さまも多く見られます。
当社グループの財務体質も自己資本比率57.7%、D/Eレシオ0.14倍と強固であり、財務基盤を大きく毀損するような懸念事項はありません。
当連結会計年度の経営成績への影響は主に受注面で現れ、前年同期比6.6%減となりましたが、売上は6.8%増、営業利益は10.0%増と順調に推移しました。
上記のような事業環境、自社体制の整備により、本リスクによる影響を最小にしつつ、社員とその家族、お客さま、お取引先さまなどの生命・健康・安全を最優先にすることで、持続的成長を期します。
しかしながら、前記のとおり、新型コロナウイルス感染症が世界経済に及ぼす影響の大きさや期間の長さは現時点では見通せておらず、リスクの及ぶ範囲がさらに拡大する可能性もあると認識しています。
新型コロナウイルス感染症の影響は、各事業部門が状況を精査して取締役会に都度報告しています。
(7)気候変動リスク
当社は気候変動を含む「サステナビリティ経営」に関する審議項目の取締役会への上程、報告、情報提供を適宜行う「サステナビリティ委員会」(委員長:CEO)を設置しており、各事業部門長・関係執行役員を委員に充てています。
取締役会は、サステナビリティ委員会から報告を受け、必要な施策を決議します。
2019年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)勧告に賛同を表明しました。気候変動リスクを以下に記載し、2020年5月に、TCFDの枠組みに沿った情報を当社ウェブサイトで開示しています。21世紀中の気温上昇を4℃、1.5℃未満という2つのシナリオに基づいて分析しました。
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/environmental-management/#eco-2
〔表〕気候変動リスクに対するシナリオ分析概要

当連結会計年度は、上記の開示をさらに充実させるため、気候変動問題を「ダイフク環境ビジョン2020」に代わる「ダイフク環境ビジョン2050」策定の一環として位置づけ、サステナビリティ委員会で検討した案を取締役会で決議し、2021年2月に開示しました。またその中で2030年の目標を定めました。主に気候変動の移行リスクと機会に対応するものとし、2050年に「マテリアルハンドリングシステムが環境負荷ゼロで動く世界を目指す」ためのKPI等を示しました。概要は、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)持続可能な社会の実現への貢献」をご覧ください。
当連結会計年度における世界の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を継続して受けました。年度後半は、日本をはじめ各国で経済活動を再開する動きが見られ、ワクチンの接種も開始されましたが、変異ウイルスの拡大などにより収束の時期は見通せず、先行き不透明な状況が続いています。
このような経済・事業環境のもと、当社グループでは、社員の生命・健康・安全を最優先とし、各国政府などからの要請・ガイドラインに基づいて、テレワークを適宜取り入れ、生産や工事・サービスの現場においても各種感染症対策を講じながら、事業活動を継続しました。
受注は、経済活動の再開に伴い第3四半期以降に回復したものの、第2四半期連結累計期間までの移動や出社制限による商談の遅れなどが影響したため、前期の実績には届きませんでした。売上は、豊富な前期末受注残高をベースに順調に推移し、過去最高となりました。
この結果、受注高は4,510億65百万円(前年同期比6.6%減)、売上高は4,739億2百万円(同6.8%増)となりました。
利益面では、国内の一般製造業・流通業向けシステムの売上増が寄与し、順調に推移しました。
この結果、営業利益は445億66百万円(同10.0%増)、経常利益は458億46百万円(同11.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、323億90百万円(同15.4%増)となりました。
ROEは13.2%となり、前年度の12.4%より改善しました。これは主に売上高当期純利益率が6.8%となり、前年度の6.3%から改善したことによるものです。
〔新型コロナウイルス感染症の影響〕
前記のとおり、受注面を除き、業績への影響は軽微でした。
地域別では、主要市場である日本、北米、中国は事業環境が期初に比べて全体的に改善しています。欧州、東南アジアの一部、インドなどでは改善が遅れ気味です。
業種別では、空港向けシステムは旅客数の減少に伴って一部の空港でオペレーション&メンテナンスが縮小されたものの、空港運営会社が長期的に進める新規投資案件については大きな影響を受けませんでした。
2022年3月期の業績予想は、受注高5,200億円、売上高5,000億円、営業利益470億円、経常利益479億円、親会社株主に帰属する当期純利益340億円、売上高営業利益率9.4%としています。
当社グループを取り巻く経済・事業環境は、新型コロナウイルスの感染拡大の長期化により、先行きに不透明感があるものの、ニューノーマル、グローバルでの物流ニーズの拡大と多様化など新たなニーズも見込まれます。3カ年中期経営計画「Value Transformation 2023」の初年度となる2022年3月期は、増収増益を期するとともに、持続可能な社会実現への貢献と企業価値向上を目指していきます。
上記の業績予想は、主に受注済の案件の進捗見込みや今後受注が見込まれる案件の確度や時期、期中の進捗度合いを想定し算出していますが、現時点で入手可能な情報に基づき判断したものであり、国内外の顧客の動向・競合状況、「2事業等のリスク」に記載している各種リスク要因などのさまざまな不確定要素により、実際の業績は記載の見通しと異なる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症が世界経済に及ぼす影響の大きさや期間の長さは現時点では見通せていません。新型コロナウイルス感染症について認識しているリスクは、「2事業等のリスク」をご覧ください。
2021年3月期 実績
セグメントごとの業績は次のとおりです。受注・売上は外部顧客への受注高・売上高を、セグメント利益は親会社株主に帰属する当期純利益を記載しています。
〔図〕報告セグメントの業績
※1 DNAHC = Daifuku North America Holding Company
※2 CFI = Clean Factomation, Inc.
受注は、上半期に移動や出社制限などにより商談が進まなかった一般製造業・流通業向けシステムが第3四半期以降回復したものの、自動車生産ライン向けシステムや半導体・液晶生産ライン向けシステムが伸び悩み、全体としては減少しました。
売上は、自動車生産ライン向けシステムや半導体・液晶生産ライン向けシステムが減少した一方、一般製造業・流通業向けシステムが豊富な受注残高をベースに順調に推移したことが寄与し、全体としては堅調に推移しました。
セグメント利益は、自動車生産ライン向けシステムの売上減少の影響を受けたものの、一般製造業・流通業向けシステムの売上増、収益率改善により、増益となりました。
この結果、受注高は1,841億44百万円(前年同期比15.7%減)、売上高は1,993億96百万円(同2.5%減)、セグメント利益は260億39百万円(同39.3%増)となりました。
・産業用コンピュータ製品
日本市場では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて企業の設備投資が先送りされるなどの影響がありましたが、ファクトリーオートメーション(FA)分野向けが堅調に推移し、FA分野以外で大型案件を受注したこともあり、売上高はほぼ横ばいとなりました。
米国市場では、医療機器や空港セキュリティ関連向けで売上が増加しました。
・計測制御製品
年度前半に見られた企業の設備投資への慎重な姿勢の影響を受けて、FA分野を中心に販売が減少しました。
・ソリューション製品
自動車関連業界の設備投資の減少を受けて、関連システムの販売が減少しました。
セグメント利益は、前期に計上した投資有価証券の売却益がなくなったため、減少しました。
この結果、受注高は153億36百万円(前年同期比8.9%減)、売上高は162億39百万円(同0.7%減)、セグメント利益は11億71百万円(同27.1%減)となりました。
受注は、前期に大型案件を受注した自動車生産ライン向けシステムの反動減があり、全体としては減少しましたが、eコマース案件がけん引した一般製造業・流通業向けシステムが大きく伸び、また大型案件の受注を獲得した空港向けシステム、半導体工場向けシステムも好調に推移しました。
売上は、自動車生産ライン向けシステムが大きく増加し、一般製造業・流通業向けシステム、空港向けシステムも順調に推移し、過去最高となりました。
セグメント利益は、売上が増加したものの、利益率が低い一部の大型案件などの影響を受けて前年並みとなりました。
この結果、受注高は1,194億26百万円(前年同期比12.7%減)、売上高は1,371億16百万円(同34.1%増)、セグメント利益は60億46百万円(同3.9%減)となりました。
④ Clean Factomation, Inc.(CFI)
受注は、期初の計画に加え、在宅勤務やウェブ会議の利用が進展したことによるデータセンター用半導体の需要増に伴う設備投資の回復もあり、順調に推移しました。売上は前期の受注が低迷した影響を受けました。セグメント利益は、堅調に推移しました。
この結果、受注高は310億88百万円(前年同期比30.6%増)、売上高は305億54百万円(同6.5%減)、セグメント利益は27億94百万円(同8.2%増)となりました。
⑤ その他
「その他」は、当社グループを構成する連結子会社66社のうち、上記②③④以外の国内外の子会社です。これらの各社は、マテリアルハンドリングシステム・機器、洗車機の製造や販売などを行っています。主な子会社の状況は、次のとおりです。
国内子会社:
株式会社ダイフクプラスモアは、サービスステーション、カーディーラー向けの洗車機に加え、トラック・バス用の大型洗車機の販売を強化しています。下半期は販売台数が順調に推移したものの、上半期に移動制限など営業活動の制限を余儀なくされた影響を受け、前期の実績には届きませんでした。
海外子会社:
中国、台湾、韓国、タイ、インドなどに生産拠点があり、グローバルな最適地生産・調達体制の一翼を担いつつ、販売・工事・サービスも行っています。
また、北中米、アジア、欧州、オセアニアに販売・工事・サービスを行う海外子会社を幅広く配置しています。
上半期には新型コロナウイルス感染症による社会活動の制限、急速に悪化した景気の影響を受けましたが、中国や韓国などで大型案件を受注したことに加え、第3四半期以降は景気が回復基調にあり、受注高は1,010億68百万円(前年同期比15.6%増)となった一方、売上高は896億20百万円(同4.6%減)、セグメント利益は23億8百万円(同8.6%減)となりました。
業種別や仕向け地別の詳細につきましては、[図]業種別受注高・売上高および[図]仕向け地別受注高・売上高をご参照ください。
[図]業種別受注高・売上高
[図]仕向け地別受注高・売上高
総資産は、前連結会計年度末に比べ345億69百万円増加し、4,454億56百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が232億60百万円、受取手形・完成工事未収入金等が91億93百万円増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ99億12百万円増加し、1,834億43百万円となりました。主な要因は、未払法人税等が73億7百万円増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ246億56百万円増加し、2,620億12百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が230億85百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ231億95百万円増加し、940億79百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、主に売上債権の増加額が106億69百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が451億9百万円あったことにより、382億29百万円(前年同期は137億6百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、主に固定資産の取得による支出が74億81百万円あったことにより、61億32百万円(前年同期は147億91百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、主に短期借入金の借入による収入が17億60百万円あったものの、配当金の支払額が94億62百万円あったことにより、89億32百万円(前年同期は183億54百万円の減少)となりました。
連結キャッシュ・フローの指標は次のとおりです。
自己資本比率 :(純資産-非支配株主持分-新株予約権)/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち短期借入金、長期借入金を対象とし
ています。
5 利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4)資本の財源及び資金の流動性
1)財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために資金を適切に調達・配分することを財務戦略の基本方針としています。
強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率の水準を50%以上に保ち、「A(シングルAフラット)」以上の発行体格付(株式会社格付投資情報センター(R&I)による格付)の維持向上を目指し、リスク耐性の強化を図ります。
同時に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで金融機関からの借入や社債の発行などの活用も進めることにより、資本コストの低減および資本効率の向上にも努めてまいります。
2)経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、適正な手元現預金の水準について、売上高の約1.5~2.0カ月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、追加的に配分可能な経営資源と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。また、株主の皆さまに対する利益還元を最重要課題と位置づけ、剰余金の配当につきましては、株主の皆さまへのさらなる利益還元を視野に入れて、連結当期純利益をベースとする業績連動による配当政策を取り入れるとともに、残余の剰余金につきましては内部留保金として、今後の成長に向けた投資資金に充てる方針です。
設備投資・研究開発に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。現中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期の3年間累計)では総額609億円となる予定です。
3)資金需要の主な内容
当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための、原材料・部品の仕入、加工、組立等の変動費、ならびに製造間接費・販売費及び一般管理費等の固定費です。
固定費の主なものは人件費、構内外注費、設計外注費、研究開発費、賃借料等です。
4)資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金および外部資金を有効に活用しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、余資は当社に集中し、不足するグループ会社に配分する制度を国内グループ会社で運用しています。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、有価証券報告書提出日現在において、株式会社格付投資情報センターによる発行体格付は「A(シングルAフラット)」となっています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金は問題なく調達可能であると認識しています。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による不測の事態に備え2020年5月に調達した短期借入金100億円は2021年2月に全額返済しましたが、国内金融機関において300億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の資金調達手段を確保しています。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」「第5経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
(6)生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 金額は販売価格によっています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社です。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社および連結上の調整額です。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は報告セグメントに含まれない国内外の子会社および連結上の調整額です。
当連結会計年度(2021年3月期)の受注は6.6%減少しましたが、売上は豊富な前期末受注残高を背景に6.8%増加し、過去最高となりました。営業利益は10.0%、経常利益は11.9%、親会社株主に帰属する当期純利益は15.4%増加しました。ROEは前年度の12.4%から13.2%になりました。これは、売上高当期純利益率が6.3%から6.8%に改善したことが、主な要因です。
業績に大きく影響したのは、日本・米国における物流システムへの投資が活発化したことです。これに伴い一般製造業・流通業向けシステムの売上高が伸長し、利益も増加しました。また、高い水準の受注残高を確保しています。特に「eコマース」は事業戦略の柱の一つとして位置付けてきた分野であり、今後ますます需要が高まるものと思われるため、引き続き注力してまいります((1)経営成績等の状況の概要 [図]業種別受注高・売上高)。
また、業界環境の振幅が大きく、低迷が続いていた半導体・液晶業界の景況感は、「デジタル化」の急加速により下期以降大きく改善し、徐々に投資が回復してきました。案件が大型化していることもあり、リスク管理・収益性に留意しながら、受注増加に向けた取り組みを強化してまいります。
自動車生産ライン向けシステムは、前期に受注した北米の大口案件が売上高に寄与する一方、その反動減、および新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う改造工事の先送りなどの影響を受け、受注は大幅に減少しました。半導体不足に伴う自動車生産の停滞などの不確定要因はありますが、経済活動の再開に伴う投資の回復を見込んでいます。
一方、コロナ禍で最も落ち込みが懸念された空港向けシステムは、旅客数の減少に伴って一部でオペレーション&メンテナンスが縮小されたものの、空港運営会社が長期的に進める案件は大きな影響を受けておらず、受注・売上とも順調に推移しました。最大市場である北米における経済活動が回復しているため、今後も堅調な環境が続くと想定しています。
当社グループの経営成績の分析の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」、課題分析や今後の施策などの詳細は「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
2021年3月期を最終年度とする4カ年中期経営計画「Value Innovation 2020」では、半導体・液晶業界における一時的な設備投資意欲の減退、および新型コロナウイルス感染症の影響により、2019年5月に上方修正した経営目標(連結売上高5,000億円、営業利益率11.5%)には届きませんでしたが、当初の経営目標(連結売上高4,200億円、営業利益率8.0%)は達成しました。ROEは目標の10%以上を全期間で維持し、連結配当性向は毎年度おおむね30%を継続しました。
当社グループの経営陣は、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めています。
当社グループの収益構造は、親会社株主に帰属する当期純利益の約8割をダイフクが上げています((1)経営成績等の状況の概要 [図]報告セグメントの業績)。ダイフクのさらなる収益性向上を図ることはもちろん、海外を中心としたダイフク以外のセグメントの収益力向上が課題です。
また、「第1企業の概況 3事業の内容」に記載のとおり、当社グループの主な事業であるマテリアルハンドリングシステムの製造・販売は、グループ各社の密接な連携の上に成り立っており、グループ全体の横断的な取り組みが重要になります。詳細につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針」をご参照ください。
該当事項はありません。
当社グループでは、最適・最良のマテリアルハンドリングシステムおよび電子機器を幅広く国内外の産業界へ提供するため、「保管」「搬送」「仕分け・ピッキング」の機能を持つ機械設備の新システム・新製品の開発に取り組んでいます。昨今は、企業に求められる社会的責任が経済的側面から環境・社会活動まで含む概念へと広がっており、品質・環境・安全等にも配慮した製品やシステムの開発にも努めています。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は、
報告セグメントごとの研究開発活動は次のとおりです。
① 株式会社ダイフク
1) 一般製造業・流通業向け製品
主に個配・通販の配送センター向けに仕分け装置「クロスベルトソータ」の販売を開始しました。ベルトコンベヤを搭載した台車をループ状に連続配置したもので、台車上へ自動で投入された荷物を、出荷先ごとに高能力・高精度に仕分けます。台車走行、ベルトコンベヤでは高効率な駆動方式にするなど、省エネ、低騒音、耐久性の高い製品にしました。
少品種多量保管に適したパレット自動倉庫「シャトルラックⅮ3(ディースリー)」の販売を開始しました。垂直リフタで各層に荷物を搬送し、各層に配置した親台車・子台車でラックに格納します。従来のパレット自動倉庫「コンパクトシステム」に比べ、ラックの奥行方向に複数の荷物を格納できるため、格納効率が大幅に向上しました。
2) 半導体・液晶生産ライン向け製品
半導体生産ライン向けでは、最先端の回路線幅である5ナノ~3ナノ向けの振動値、低パーティクルおよび窒素パージを考慮した搬送・保管システムの開発を開始しました。
液晶パネル生産ライン向けでは、10世代、8世代向けのシステムのコスト競争力を高めるために、基本的な設計から見直しを実施しています。
ソフトウェア面では、IoTおよびAIを活用し、搬送効率の向上や振動の低減、メンテナンスの利便性向上などを図る開発に加え、Fab間をつなぐことが簡単にできる拡張性のあるシステムの開発を行っています。
3) 自動車生産ライン向け製品
社会全体での労働者人口の減少や新型コロナウイルス感染症など、さまざまな要因から省人化が求められていること、また、働き方改革、生産性・品質向上の面からも自動車組立工程における単純作業や繰り返し作業の自動化要求は高まる一方です。このため、組立工程自動化の開発を強化しています。実現できたシステムで得た新機構・要素技術を既に実績のあるシステムへ転用する検討も進めています。
今後も、さらに高まることが見込まれる省人化・自動化のニーズにお応えできるよう開発を進めていきます。
4) 空港向け製品
手荷物搬送システムにおいて、日本国内初となる、大きさが異なるトレイを混流搬送できるBTS(Baggage Tray System)を開発しました。これにより、トレイサイズごとの搬送ライン設置が不要となり、投資額を抑制するとともに、設備の効率的な稼働も実現可能となりました。
また、お客さまのニーズに応える形で、時間帯による手荷物搬送の物量ピークを平準化できるシステムの開発に力を入れています。
5)洗車機
2021年2月、新型ドライブスルー洗車機「ツインフェクト リーシア」を発売しました。性別・世代を問わず、幅広いユーザー層に気軽に安心してご利用いただける洗車機を目指し、丸みを帯びたフォルムやシンプルなデザインを採用して従来のイメージを一新するとともに、LED照明を複数採用することで夜間でも明るい洗車環境を実現しました。また、受付パネルも本体のデザインと統一感を持たせるよう刷新。液晶画面の大型化、さまざまなキャッシュレス決済にも対応するなど機能を充実させています。
以上に記載の1)~5)を中心に、当社が支出した研究開発費の総額は
② コンテックグループ
産業用コンピュータ製品では、タッチパネルコンピュータ「PT-V10シリーズ」を開発し、2020年11月から販売を開始しました。本製品は産業用コンピュータに求められる「長期安定供給」「耐環境性」を維持しながら、タブレット端末と同等のタッチ操作と省スペース化を実現したもので、業務用装置のコントローラ、印刷機、受付端末など、さまざまな用途での利用を想定しています。
AIによる推論や処理を行う製品として、産業用AIコンピュータ「DX-U1100シリーズ」を開発し、2021年2月から販売を開始しました。FA(ファクトリーオートメーション)における画像検査装置など、幅広い分野のお客さまへの拡販を目指しています。
IoT機器製品では、FA分野で手軽に利用できる計測制御製品「CPIシリーズ」を7種開発し、2021年4月から販売を開始しました。
当グループが支出した研究開発費の金額は
③Daifuku North America Holding Company(DNAHC)グループ
空港向け手荷物搬送システムでは、お客さまのニーズ、競争力向上に即した改良を進めるとともに、生産・工事の両面からコストダウンに取り組んでいます。
一般製造業・流通業向けシステムでは、ピッキングやソーティングシステムの開発に力を入れています。
当グループが支出した研究開発費の総額は
④Clean Factomation, Inc.(CFI)
韓国の半導体メーカーのお客さまに密着して、過去に納めた200mmシステムのリニューアル開発や後工程に関する機器の開発を行っています。
当子会社が支出した研究開発費の総額は