第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、確約されたものではありません。

(1)グループ経営ビジョン

当社グループは、100年企業へ向けて以下の「グループ経営ビジョン」を定めております。

・お客様の立場に立ち、誠心を込めて高性能かつ高品質な製品とサービスをご提供できる、活力と新規性に満ちた開発型企業となる。

・コストダウンや社内コア技術を中心とした改良型商品開発から、市場のニーズを確実に捉え、さまざまな企業とコラボレーションする柔軟な企業となる。

・世界No.1を目指して、グループの全従業員が一丸となり、お客様満足度の最大化に努め、革新的な技術・製品を常に生み出していく、「真のグローバルワン・エクセレントメーカ」になることを目指す。

(2)経営方針・経営戦略等

3ヶ年にわたる新たな中期経営計画に基づく事業活動を第1四半期連結会計期間より開始しております。

新中期経営計画の概要

目的:

当社グループは100年企業に向けて「真のグローバルワン・エクセレントメーカ」を目指し、さらなる成長を獲得します。

考え方:

「ONLY ONE」の商品で、市場ごとの「NUMBER ONE」シェアを目指し、グループ一丸「ONE ANEST IWATA」で「GLOBAL ONE」をさらに発展する。

「ONLY ONE」:「真の開発型企業」となるために、高性能・高品質製品を提供し続ける。

「NUMBER ONE」:ターゲット市場をグローバル・ニッチ市場に定め、安定かつ持続的成長で、各市場でNo.1シェアを獲得する。

コンセプト:

グローバル・ニッチ市場開拓へ「THINK GLOBALLY, ACT LOCALLY」

100年企業となり、持続的成長へ向けて6つの観点から投資を行う。

1.人的投資(人財採用・育成)

2.開発投資

3.設備投資

4.市場開拓投資

5.風土改革投資

6.IT投資

 


 

当社の存在意義:全てのステークホルダーの満足度を向上させ、社会に貢献すること。
数値目標:

目標(2022年3月期)評価指標(KGI)

1.連結売上高 470 億円以上

2.連結営業利益率 10%以上

3.ROE 10%以上

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

次期連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の蔓延により世界経済の不確実性が強まる中で、回復の程度に見合った各地域ごとの施策を展開し、感染によるリスクを最小化しつつ、発生前の業績水準へ戻すことが必要であると考えます。この様な経営環境の中、当社グループは、全ての従業員並びにその家族を始めとするステークホルダーの皆さまの安全確保と、雇用の堅持を最優先に捉え、従来からの施策に基づいた事業活動を進めてまいります。一方で100年企業を見据えた投資についても、営業・物流改革を始め、IT投資を主として、着実に実行してまいります。

 

・事業推進における社会課題への取り組み

エアエナジー事業では、当社が世界で初めて発売したオイルフリースクロールコンプレッサの技術を応用してスクロール膨張機の開発を進めています。当社が蓄積してきたノウハウによって、工場の余剰エネルギーとして排出される水蒸気の再利用の可能性を追求することで、CO2の排出削減に貢献してまいります。

コーティング事業では、100%近い塗着効率を実現する新たな霧化方式であるエレクトロスプレー法の実用化や、VRやIoTなど完全自動化技術を活用した塗装設備の提案などを通じて、環境にやさしいコーティング技術の普及に努めています。

・サプライチェーンの最適化

新型コロナウイルス禍によるサプライチェーン分断を回避する為、サプライヤー毎のBCPを策定し、特に特殊な材料や加工、処理を必要とする部品や海外における一国集中生産等に関しては、サプライヤーへの取引条件の支援等とともに、サプライヤー並びに生産地の追加等を進めています。

また、かねてより、生産効率の向上とサプライチェーンの安定化を目指した生産計画改革を進めてまいりましたが、新型コロナウイルス禍においても、安定した生産と製品供給を実現する為、この改革を更に強力に推進してまいります。

・お客さまとの関係性・接点を強化する業務改革

ITの急速な進展により事業環境が大きく変化している状況に対応するため、多様なデジタル経路から製品・サービスに関する情報に容易にアクセス可能な環境を構築することで、世界のお客さまに最適な接点を築きブランドの浸透・強化を推進します。加えて、デジタルでお客さまとつながる環境の構築を通じて、多様化するニーズに応える製品開発をより一層強化してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した「事業の状況」、「経理の状況」等に関する事項のうち、経営者が当社グループの企業価値並びに財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

(1)事業活動に関するリスク

①事業環境の変化

当社グループは創業以来、塗装機器及び空気圧縮機といった製品とそれらに付随するサービスを市場へ提供することにより、世界のモノづくりに貢献してまいりました。その結果、海外販売比率が過半となり、人財、製品・サービス、資金の流れが多様化する中で、目まぐるしく変化する事業環境の影響を受ける割合がますます増加しております。

そのため、既存の市場や製品、ビジネスモデルなどに固執したままでは、市場構造の変化を要因とした現行製品の需要減などにより、持続的な成長を遂げられなくなるリスクがあります。既存の事業において品質向上への絶え間ない努力、グローバルな視点でのモノづくりを通じて社会的な課題解決につながる製品開発を継続することは元より、新規の事業開拓を行い、柱となる事業構築をしていく必要があること、そのためには、失敗を恐れず、果敢に挑戦する企業文化を育むと同時に、様々な外部企業とのコラボレーションを行う上で全従業員の意識・行動改革を推進することが喫緊の課題であると認識しております。

当社グループはグループ間での交流や情報収集をさらに強化し、市場ニーズの把握に努め、国や市場ごとの重要性を見極めたうえで、事業環境の変化に対して柔軟かつ素早い対応を可能とする体制の構築と経営戦略の確立を目指してまいります。

 

②製品の品質

当社グループは、ISO9001に基づいた品質管理体制のもと製品の品質確保に細心の注意を払っておりますが、製品の調達、加工、組立等における欠陥が看過されたまま品質基準を満たさない製品が市場に供給され、欠陥に起因する損害が発生した場合、製造物責任保険で補償されない賠償責任を負担する可能性があります。合わせて、クレームに対する処理、製品回収及び交換等によって多額の費用が発生し、企業価値並びに経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。そこで当社は、かかる事態の発生を未然に防止するために、原材料規格、製品規格などの必要な規程を遵守し、製品開発の初期段階から品質保証部門が客観的見地に立ち潜在的課題の撲滅をはかっています。さらに、国内のみならず海外の生産拠点に対しても適切な品質管理体制を整備することにより、各国における市場要求を満たす製品の品質を確保しております。

なお、不測の事態が発生した際は、取締役会並びに経営会議に速やかに報告がなされるとともに、品質保証部門により、リコールを含めた必要な処置を迅速に講じてまいります。

③M&Aを始めとした事業拡大

前中期経営計画期間では4件のM&Aを実施するなど、当社グループは事業基盤の強化を加速し持続的な成長を確保するために、必要と認識した企業への資本参加や買収を含めた協働先との包括的な業務提携を積極的に推進しております。M&Aにあたっては確認項目を明確化しており、事前にリスクやリターン、対象企業の財務内容や契約関係等に関する慎重な検討、及びデューデリジェンスを経て、十分なシナジー効果が得られるとの判断をもとに実施しております。しかしながら、その後の方向性の共有が順調に進まなかったことに起因する会社間の関係悪化、又は何らかの理由により当初想定した効果や利益を得られなかったことによる対象企業の業績低迷のほか、場合によっては期待した収益性が維持できず、のれん代の償却を一括で行うなど、業績に対して負のインパクトを与える可能性があります。さらに取得会社との関係が決裂した場合には、その販売エリア・市場の信用・顧客を失うことが考えられます。このようなリスクに対しては、事後のPMIを適切に行い、経営陣や担当の事業部門より経営支援をしていくことで発生の未然防止に努めますが、やむを得ず発生した場合は、契約の継続可否や損失の確定など、速やかに経営判断を進めてまいります。

(2)人財に関するリスク

①人財の確保

当社グループは、全従業員の正社員化を原則として、通年にわたり採用活動を行っておりますが、現有の採用戦略や採用した人財に対する育成方針、人事評価制度にこだわり続け、事業環境の変化などを踏まえた改善を行わない場合、将来の持続的な成長に向けた十分な人財確保ができず、事業活動が停滞し持続的な成長ができなくなるリスクがあります。そのため、適法な労務管理の下、適所に適材を配置するための人財開発やグローバル視点での人事評価制度構築、評価者への教育などを重点的に行ってまいります。

②労働問題

当社グループ従業員の過半数は、海外拠点に勤務する外国人によって構成されています。各国の社会情勢、労働環境に応じた働き方が求められる状況下では、国内外における労働組合等の団体との間に、勤務条件等をめぐる労働問題が提起される可能性があります。労働争議が提起され早期に収拾できない事態に至ると、事業運営の安定性及び継続性が損なわれ、深刻化することで製品の供給に重大な影響を与えるとともに、お客様からの信頼を失うことで企業価値並びに経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

そこで当社は、社是「誠心(まことのこころ)」を中核とする「アネスト岩田フィロソフィ」の浸透推進により、当社グループへの帰属意識の向上を図るとともに、海外拠点の代表者の職務権限に基づいて、各国の制度・実情に適合した雇用条件や評価制度に基づく裁量を認めることで、勤務条件や労働環境に対する不満の発生を未然に防止するよう努めています。なお、当該リスクが発生した際は、経営陣を含む必要な体制を整備し、勤務条件等の見直し、又はサプライチェーンの組み換えをはじめとした必要な対応策を講じてまいります。

 

(3)ITに関するリスク
①IT投資

グローバル展開における競争力の強化を着実に推進するためには、絶え間ない革新が続いているITを導入することによって、ビジネスモデルの改革や高付加価値の製品開発、業務効率の向上を実現することが不可欠であると考えています。しかしながら、不測の事態によって、ITに対する知見やノウハウが社内から喪失することでIT戦略の実行が滞った場合、又は最新のITトレンドに合致した製品開発に遅れが生じた場合は、市場における競争力が低下したり、経営効率が損なわれたりすることで、企業価値並びに経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。そこで当社では、経営計画と合わせて、中長期的なIT戦略を策定し、IT投資を会社の成長を牽引する重要な要素に位置付けるとともに、企業成長への貢献度を継続的に検証しています。なお、当該リスクが発生した際は、積極的な人材登用や新たなパートナー企業との提携を開始するとともに、陳腐化したIT資産を償却することによって経営基盤の建て直しを図ってまいります。

②情報セキュリティ

事業活動を安定的かつ持続的に推進するために、情報システムの安全性・信頼性を維持していくことに対する重要性はますます高まってきております。当社は、事業活動を展開する過程で取得した技術開発や営業に関する機密情報、及び個人情報について厳重な管理を施しています。

しかしながら、自然災害や予期しないサイバー攻撃、又はコンピュータウイルスの侵入を原因とする不正アクセス等によって、情報漏えいや改ざん及びシステムの障害が発生したり、従業員の故意、又は過失により情報が流出した場合、市場からの信頼が損なわれるものと予測されます。さらに、流出した情報が悪用された場合には損害賠償の責任を負うことで企業価値、並びに経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。そこで当社グループは、適切な情報セキュリティ体制を整備し、必要かつ十分なセキュリティ対策を講じるとともに、従業員に対する啓発教育をおこなっています。

なお、当該リスクが発生した際は、その要因・経緯を速やかに把握し適切な対処を実行する体制を構築するとともに、必要に応じて被害内容を開示することで二次被害の最小化と信頼の回復に努めてまいります。

(4)法令等に関するリスク

①環境規制

環境に関する意識が世界的に向上する中、日本及び諸外国においては、環境に対する法規制の新設や強化が行われております。規制の内容には国や地域によって差異があるため、各国に点在する現地子会社が情報収集及びその対応を行えるよう、必要な機能を移管するなどの体制整備を進めております。しかしながら、基準を満たした製品の投入や規制対応に遅れが生じた場合には当社グループの事業活動に制限を受ける可能性があります。その際には規制に対応することの経済的合理性をもって、当該項目に関する更なる投資の可否を判断いたします。

②不正会計及びその他の不正行為

近年、不正会計処理や不祥事件など、内部統制の欠陥に関わる問題の発生により企業の信頼性が著しく失墜する、あるいは企業の存立を揺るがす事態が発生しております。当社は、グループ役員及び従業員がコンプライアンスに則した行動をとるための体制構築や仕組みづくり、グループ会社に対する健全な経営支援を推進するともに、海外子会社を含めた内部通報制度の策定、監査等委員による不定期監査といったモニタリング体制を築くことで、当社グループ内においてコンプライアンス違反行為が発生しないよう努めております。しかしながら、万が一そのような事態が発覚した場合には、賠償責任の発生といった短期的な業績への損害のみならず、当社の信用が失墜することにより販売活動や採用活動に支障を来すなど、長期にわたり経営環境が悪化する可能性があります。

かかる事態の発生に対しては、親会社の取締役会に速やかに報告がなされた後、第三者による調査を実施いたします。その後、該当者に対する適切な処分を行い、再発防止策の立案とその開示を迅速に行います。

 

③知的財産

当社グループは幅広く海外展開を進めていますが、当社グループが現在保有する、あるいは将来にかけて開発する製品及び技術やビジネスモデルなどにおいて、第三者から模倣される、あるいは意図せずに、他社の知的財産権や特許権、商標を侵害してしまうリスクがあります。その場合、損害賠償や訴訟の発生により費用面のみならず技術自体を使用できない、あるいは不利な状態での使用を余儀なくされることなどに起因して、業績又は財政状態に悪影響を及ぼすことも考えられます。そのため、製品の機能やデザインに関する知的財産権や特許権、商標権を取得し、管理を強化するとともに、関係する外部機関の協力を得ながら、その影響を受けない、あるいは影響を最小限とする体制を構築してまいります。

④移転価格税制

当社グループは世界の主要な地域に子会社を有し、グローバルな事業活動を展開しております。グループ会社間取引におきましては、移転価格税制の遵守に努め、取引価格を設定しておりますが、見解の相違から税務当局より指摘を受けた場合は、追徴課税などの発生に伴い、当社グループの業績及び財務状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。その為、外部機関の協力を得ながら、正しい法的理解の下、税務当局との見解の相違が生じないよう努めてまいります。

(5)その他のリスク

①新型コロナウイルス

2019年末から現在に至るまで、全世界に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して、取引先様及びグループ従業員に感染が確認された場合、関係先の営業停止や一時閉鎖等により事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、お客様や従業員の安全を最優先として、行政の指針に基づいて感染予防に努めるとともに、不要不急な出張の中止や在宅勤務(テレワーク)の推進、時差出勤の徹底を実施しております。同時に、生産体制への影響を最小限にとどめるため、在庫の拡充や特定の調達先に対する依存度を低下させるなどの対応策を継続しております。また、世界的な流行に歯止めがかからない状況が長期化することにより、経営成績の悪化につながる恐れがあるため、社長執行役員を委員長とする危機管理委員会を開催し、BCP(事業継続計画)の最適化を図るとともに、当社グループを取り巻く経営環境を迅速かつ適切に把握することにより、必要な対策を講じてまいります。

②予期しない発生事象

当社グループは世界各国に事業を展開しております。これらの国や地域において、予測のできない政治的・経済的変動、テロ行為・戦争の勃発、感染症の流行、地震や台風といった自然災害の発生などが起こった場合、事業所の損壊、原材料調達や物流の停滞などにより、世界各地への製品供給に甚大な影響を与え、当社の事業活動及び業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。当社ではBCPを策定するとともに、生産機能を分散、グループ間での製品調達の可能性を模索するなど、万が一そのような事態が発生した場合でも速やかに供給体制の確立が行える組織づくりに努めております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)業績に関する説明

①経営成績

当連結会計年度の業績は、売上高39,091百万円(前連結会計年度比0.7%増)、営業利益3,876百万円(同10.7%減)、経常利益4,401百万円(同6.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,717百万円(同7.8%減)となりました。

(ご参考値)事業部別の状況

(単位:百万円)

事業部

(製品区分)

当連結会計年度
2019年4月1日~2020年3月31日

連結売上高

(前年同期比)

連結営業利益

(前年同期比)

エアエナジー事業部

22,224

△3.6%

1,774

 

圧縮機

20,669

△2.6%

 

真空機器

1,554

△15.6%

コーティング事業部

16,866

7.1%

2,101

 

塗装機器

12,832

△2.1%

 

塗装設備

4,034

52.5%

合計

 

39,091

0.7%

3,876

△10.7%

 

(注)事業部別の連結営業利益は、当社グループ独自の基準により算定しております。

②財政状態の分析
1)資産

資産は、流動資産が、26,763百万円(前連結会計年度比2.8%増)となりました。これは、主に「受取手形及び売掛金」が386百万円増加したことによるものです。固定資産は、21,338百万円(同0.9%減)となりました。これは、主に「投資有価証券」が272百万円増加した一方で、「のれん」が419百万円減少したことなどによるものです。

2)負債

負債は、流動負債が、9,497百万円(同4.6%減)となりました。これは主に、「短期借入金」が489百万円減少したことなどによるものです。固定負債は、4,034百万円(同1.6%減)となりました。これは主に、「退職給付に係る負債」が70百万円減少したことなどによるものです。その結果、負債合計は13,531百万円(同3.7%減)となりました。

3)純資産

純資産は、34,570百万円(同3.2%増)となりました。これは主に、「利益剰余金」が1,757百万円増加したことなどによるものです。また、純資産より非支配株主持分を除いた自己資本は31,092百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の62.9%から64.6%と1.7ポイントの増加となりました。

③キャッシュ・フローの状態

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます)は、前連結会計年度末に比べ233百万円増加し、当連結会計年度末には10,092百万円(同2.4%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果、資金収支は4,141百万円の収入(同14.6%減)となり、前連結会計年度末に比べ706百万円の減少となりました。これは主に、「税金等調整前当期純利益」が366百万円減少したことや「売上債権の増減額」が634百万円増加したことなどによるものです。

 

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果、資金収支は1,543百万円の支出(同179.7%増)となり、前連結会計年度末に比べ991百万円の支出の増加となりました。これは主に、資産の有効活用を目的とした社債の購入などにより「投資有価証券の取得による支出」が603百万円発生したことやフランスのE.M.S. CONCEPT SARLへの資本提携により「出資金の払込による支出」が53百万円発生したことなどによるものです。

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果、資金収支は2,281百万円の支出(同23.5%増)となり、前連結会計年度末に比べ433百万円の支出の増加となりました。これは主に、「短期借入金の純増減額」が387百万円減少したことや「自己株式の取得による支出」が179百万円増加したことなどによるものです。

 

(2)生産、受注及び販売の状況

①生産実績

当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

セグメント

金額(百万円)

前期比増減率(%)

日本

16,152

△2.6

ヨーロッパ

1,236

△6.4

アジア

9,388

9.0

その他

590

6.5

合計

27,368

1.1

 

(注) 表示金額には、消費税等は含まれておりません。

②受注実績

当連結会計年度における塗装設備の受注状況は、次のとおりであります。

セグメント

受注高(百万円)

前期比増減率(%)

受注残高(百万円)

前期比増減率(%)

日本

2,370

76.9

1,131

148.6

ヨーロッパ

アジア

2,800

91.0

1,079

979.0

その他

136

△68.2

30

△93.1

合計

5,307

64.0

2,241

126.6

 

(注) 1.表示金額には、消費税等は含まれておりません。

2.この受注及び受注残高は、塗装設備製品のものです。塗装設備製品以外は受注から販売までが短期間であり、受注及び受注残高の管理対象としておりません。

3.日本の受注及び受注残高の増加は、主に自動車生産に関連した設備投資が増加したことなどによるものです。

4.アジアの受注及び受注残高の増加は、主に中国における自動車生産や木工品生産に関連した設備投資が増加したことなどによるものです。

5.その他の受注及び受注残高の減少は、主に売上計上と受注のバランスによる影響を受けたことなどによるものです。

③販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメント

金額(百万円)

前期比増減率(%)

日本

17,735

1.2

ヨーロッパ

4,431

△1.1

アジア

11,850

△0.0

その他

5,072

2.5

合計

39,091

0.7

 

(注) 表示金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①概要及び経営成績

当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱等の影響が世界に波及したことで、先行き不透明な状況が続きました。また、国内経済は、世界経済における不透明性の高まりを受けて設備投資に慎重な見方が広がるなど、製造業における景況感には弱さが見られました。そのほか、年明け以降には新型コロナウイルスの感染拡大が顕著となっており、我が国を含め世界経済に深刻な影響を与えることが強く懸念されております。

このような状況の中、当連結会計年度の業績は、売上高が前連結会計年度に比べ0.7%増の39,091百万円となり、創業以来の最高実績となった一方で、連結売上高に占める塗装設備製品の割合が増加したことなどにより売上原価が2.2%増加し、さらには100年企業へ向けた成長投資を行ったことなどにより販売管理費が2.2%増加したことから、営業利益が前連結会計年度に比べ10.7%減の3,876百万円となりました。これらの結果により、当連結会計年度のROEは8.9%となりましたが、自己資本比率は64.6%と1.7ポイント改善しております。

②セグメントの業績

当社グループで採用しております地域別セグメントの状況は以下のとおりです。なお、セグメントの業績の詳細については、「第5〔経理の状況〕-1〔連結財務諸表等〕-〔注記事項〕」の(セグメント情報等)をご参照ください。

日本

売上高は22,877百万円(前連結会計年度比0.4%増)、セグメント利益は3,405百万円(同14.0%減)となりました。利益額の減少は、100年企業に向けた積極的な人的投資により販売管理費が増加したこと及び塗装設備製品の販売が拡大し商品ミックスの変動が生じたことなどによるものです。

圧縮機製品では、年度末にかけて実施したキャンペーンの効果や、輸送用車両搭載向け圧縮機ユニットの販売が堅調に推移した一方で、各業種の設備投資に慎重な見方が広がったことにより売上が減少しました。

真空機器製品では、装置メーカの開拓や当年度の初期から続く半導体市場の停滞に一部持ち直しの兆しが見られましたが、停滞感は払拭されず半導体製造関連装置向け真空ポンプの売上減少が継続しました。

塗装機器製品では、塗装ブースを主とした環境装置の販売が堅調に推移したほか、当社の主力製品であるスプレーガン“WIDERシリーズ”のフルモデルチェンジに伴うキャンペーン効果やECサイトを活用している販売店様向けのエアーブラシ販売が堅調に推移し、売上が伸長しました。

塗装設備製品では、前連結会計年度に新設した研究開発施設であるコーティングソリューションセンターを活用した提案活動を本格化させると共に、年間を通じて自動車部品製造向けの引き合い及び受注件数が増加したことで、売上が大きく増進しました。

ヨーロッパ

売上高は4,643百万円(前連結会計年度比2.4%減)、セグメント利益は236百万円(同41.9%増)となりました。利益額の増加は、前連結会計年度における子会社の再編後、イタリアの子会社を主とした経営効率の改善により、収益状況が良化したことによるものです。

圧縮機製品では、オイルフリー圧縮機の需要が高い市場や装置メーカ開拓を進めました。また、当年度に資本提携を開始したフランスのE.M.S. CONCEPT SARLとの協業が着実に進行しております。

真空機器製品では、OEM供給先において継続した需要の減少が見られましたが、付加価値が高い装置メーカ開拓を継続しており、実績を重ねております。

塗装機器製品では、継続的なプロモーション活動や展示会への出展により、自動車補修向けスプレーガンの売上が伸長しました。また、ドイツの連結子会社であるHARDER & STEENBECK GmbH & Co.KGでは、エアーブラシの供給能力を増強すべく設備投資を行い、売上の拡大に注力しております。

 

アジア

売上高は13,819百万円(前連結会計年度比1.9%増)、セグメント利益は1,121百万円(同3.5%減)となりました。利益額の減少は、中国における塗装設備製品の売上が増加したことにより売上原価が増加した一方で東南アジア及びインドにおける塗装機器製品の売上が減少したことなどによるものです。

圧縮機製品では、中国において食品、薬品製造向けオイルフリー圧縮機ユニットの売上が伸長しましたが、輸送用車両搭載向け圧縮機ユニットの売上が大幅に減少しました。また、インドにおいては医療機器や輸送用車両搭載向け圧縮機ユニット及び中形圧縮機の売上が堅調に推移しましたが、年度末には新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受け事業活動は急激に停滞しました。

真空機器製品については、中国において現地子会社へ日本人スタッフを派遣するなど事業体制の強化を図ったことにより装置メーカ開拓が進展し、売上が伸長しました。

塗装機器製品では、販路の再構築を進めているインド並びに東南アジアにおける自動車生産市場の減速を受けて、売上が減少しました。

塗装設備製品では、引き続き自動車部品や木工品製造向け塗装設備が好調に推移し、販売が拡大しました。

その他

売上高は5,280百万円(前連結会計年度比3.3%増)、セグメント利益は185百万円(同5.9%減)となりました。利益額の減少は、メキシコにおける塗装設備製品の売上が増加したことにより売上原価が増加した一方で北米における塗装機器製品の売上が減少したことなどによるものです。

圧縮機製品では、アメリカやブラジルにおいて歯科・医療向けにオイルフリー圧縮機の売上が堅調に推移しました。オーストラリアのサービス事業に関しましては、営業体制の再構築などを進めてまいりましたが、当初の見通しに対して業績に乖離が見られることから、のれんの減損処理を行っております。

真空機器製品では、アメリカにおいて当年度の第3四半期より引き続き装置メーカや大型の研究施設を顧客として開拓すべく積極的な活動を行い、売上が伸長しました。

塗装機器製品では、アメリカにおいてエアーブラシの販売が伸長した一方で、自動車補修市場における流通チャネルの再編が進み、プロモーション活動が停滞したことなどから売上が減少しました。

塗装設備製品では、メキシコにおける自動車部品製造向け塗装設備の受注・納入により売上が伸長しました。

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの財源については自己資本を基本としつつも、一部、金融機関等からの借り入れにより調達しています。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、海外子会社を含む設備投資、M&A等によるものであります。

また、当社グループの当連結会計年度末において、短期借入金909百万円に対して現金及び現金同等物の期末残高10,092百万円と資金の流動性を確保しています。なお、当座貸越限度額及び貸出コミットメント契約8,305百万円を結んでおり、この契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高は403百万円です。

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。当社が採用する重要な会計方針については、「第5〔経理の状況〕-1〔連結財務諸表等〕-〔注記事項〕」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)をご参照ください。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、権限を明確に定め、適切な情報に基づく判断に努めていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルス感染症が当社の業績に与える影響は一定期間にわたり継続すると仮定して、会計上の見積もりを行っております。

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1)国内子会社の吸収合併

当社は、2019年10月1日開催の取締役会において、当社の100%子会社であるアネスト岩田コンプレッサ株式会社及びアネスト岩田コーティングソリューションズ株式会社を吸収合併することを決議し、2020年4月1日付で合併いたしました。

本合併は、当社を存続会社とする吸収合併方式で、消滅会社であるアネスト岩田コンプレッサ株式会社及びアネスト岩田コーティングソリューションズ株式会社は解散いたしました。

詳細は、「第5〔経理の状況〕-1〔連結財務諸等〕-〔注記事項〕」の(重要な後発事象)をご参照ください。

(2)フランスの圧縮機メーカとの資本提携

当社は、2019年10月9日を契約成立日として、フランスの車両搭載用圧縮機メーカであるE.M.S. CONCEPT SARLの持分を14.8%取得し、資本提携をすることとなりました。製品ラインナップの拡大や生産体制の強化、欧州規格への対応力を強化することにより、欧州及び欧州規格適応エリアにおける圧縮機事業成長のさらなる加速を目指してまいります。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、主として当社が主体となり関係会社と共同推進する形をとっており、環境保全を技術開発の大きな目的にするとともに、固有技術の進化と先端技術の応用展開を進めながら、お客さまのご要望に応えるための新製品開発と既存製品の改良を積極的に進めております。

なお、当期の研究開発費の総額は528百万円です。その他に製品の改良・改造に使用した556百万円を製造経費としております。報告セグメントは日本、ヨーロッパ及びアジアとなり、合計1,084百万円のうち日本は832百万円です。