第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、確約されたものではありません。

(1)グループ経営ビジョン

当社グループは、100年企業へ向けて以下の「グループ経営ビジョン」を定めております。

・お客様の立場に立ち、誠心を込めて高性能かつ高品質な製品とサービスをご提供できる、活力と新規性に満ちた開発型企業となる。

・コストダウンや社内コア技術を中心とした改良型商品開発から、市場のニーズを確実に捉え、さまざまな企業とコラボレーションする柔軟な企業となる。

・世界No.1を目指して、グループの全従業員が一丸となり、お客様満足度の最大化に努め、革新的な技術・製品を常に生み出していく、「真のグローバルワン・エクセレントメーカ」になることを目指す。

(2)経営方針・経営戦略等

3ヶ年にわたる新たな中期経営計画に基づく事業活動を2023年3月期より開始しております。

この計画に基づき、成長市場を海外と位置付け、「真の開発型企業」として、「全ての顧客に感動を与える商品開発」と「高性能・高品質」を提供し続けてまいります。

新中期経営計画の概要

①数値目標
  目標(2025年3月期)評価指標(KGI)
  連結売上高555億円以上、連結営業利益65億円以上、ROE10%以上
 (オーガニック成長を基本。以下、内訳としてのご参考値)
  1)エアエナジー事業
     連結売上高335億円以上、連結営業利益36.5億円以上
  2)コーティング事業
     連結売上高220億円以上、連結営業利益28.5億円以上

 


 

②コンセプト

専業メーカである当社にとって、対象市場において社会課題の解決に貢献しうる製品・技術を創造し、社会に幅広く提供することは使命であり、そのように社会的価値を追求し、新たなビジネスチャンスを獲得することが当社の成長につながる。

③基本戦略

 1)世界で各地域に見合った「ONLY ONE」の商品をつくり、「NUMBER ONE」のシェアを獲得

 2)子会社間のシナジーを最大限に活用し効果を発揮

 3)日本におけるサービスビジネス拡大とビジネスモデルの変革

 4)新規事業の開発

 5)サステナビリティ経営の強化

a.専業メーカである当社がE,S,Gのそれぞれを大切にしてきたことが2022年度の最高収益達成の原動力であり、その継続・強化が「500&Beyond」の中心にある考え方。「VISION 2030(液体と気体で世界を彩り社会を豊かに)」を掲げマテリアリティの考察、サステナブル・ゴールを設定

b.人材への投資と育成

・今中計期間には人材への投資を重視し、総人件費マネジメントの採用により「一人ひとりが稼ぐ」力を強化、労働生産性の向上

・企業価値向上に向けた、働き方改革の進化と健康経営の継続

c.SDGsの観点に立った製品開発と社会への貢献

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

次期連結会計年度においては、現中期経営計画をもとに、エネルギーや原材料をはじめとする仕入価格の高騰や地政学的リスクなどを含むさまざまな不確実性に左右されない強力な経営基盤の確立を実現してまいります。事業拡大の主戦場を海外市場と位置付け、エリアの特性に対応した成長戦略を個別に策定し、世界的に不確実性が高まる状況においてもグループ全社を挙げて経営資源の有効活用を進めます。
 このような経営環境の中、当社グループは、持続的な成長を確保するため多角的な投資を強化してまいります。新たなニーズを開拓する新規事業の開発や、グローバル展開を推進する多様な人材を育成すべく人的投資や開発投資を拡大し、100周年を超えて全てのお客様に感動を提供する「真の開発型企業」を目指してまいります。

・事業推進における社会課題への取り組み

エアエナジー事業では、当社が世界で初めて開発・発売したオイルフリースクロールコンプレッサをさらに進化させてエネルギー効率を高め、省エネ性を実現することによりCO2の排出削減に貢献してまいります。また、オイルフリー機の販売比率を高めることで、工業用潤滑油の生成時に排出されるCO2を削減し環境負荷の低減を目指してまいります。
 コーティング事業では、塗装時に発生するVOC(揮発性有機化合物)の排出量を削減するため、コーティング技術の追求を継続するとともに、塗装・乾燥・搬送時におけるエネルギーコストを最大限に抑えるためのコーティング機器と設備の開発に注力してまいります。また、排水処理等の点で環境負荷が高いメッキや、導入コストが高い蒸着の代替工法として、低コストで環境にやさしく、かつ精度の高い均一薄膜を実現できる、インジウムミラーコーティングシステムの普及に努めてまいります。

・サプライチェーンの最適化

様々な不確実性によるサプライチェーンの分断を回避するため、サプライヤーごとのBCPを策定し、特に特殊な材料や加工、処理を必要とする部品や海外における一国集中生産等に関しては、サプライヤーへの取引条件に関する支援等とともに、サプライヤー並びに生産地の追加等を進めています。

また、かねてより生産効率の向上とサプライチェーンの安定化を目指した生産計画改革を進めてまいりましたが、安定した生産と製品供給を実現するため、この改革をさらに強力に推進してまいります。

・お客様との関係性・接点を強化する業務改革

ITの急速な進展により事業環境が大きく変化している状況に対応するため、多様なデジタル経路から製品・サービスに関する情報に容易にアクセス可能な環境を構築することで、世界のお客様に最適な接点を築きブランドの浸透・強化を推進します。加えて、デジタルでお客様とつながる環境の構築を通じて、多様化するニーズに応える製品開発をより一層強化してまいります。

・従業員と家族の健康維持による組織の活性化

当社グループが持続的な成長を遂げる豊かな社会の実現に貢献するためには、従業員とその家族の健康を維持・増進させることが必要不可欠な要素であると認識しています。当社は、代表取締役社長執行役員を健康経営推進最高責任者(CHO:Chief Health Officer)とし、健康経営推進委員会をはじめとした関連部署が一体となり、ヘルスリテラシーの向上やライフワークバランスの確保に向けた働き方改革に取り組んでいます。
 当連結会計年度には、一連の活動が評価され、経済産業省と日本健康会議から「健康経営優良法人2022(ホワイト500)」に3年連続で認定、及び経済産業省と東京証券取引所から「健康経営銘柄2023」に2年連続で認定されました。今後とも従業員とその家族の健康増進に取り組み、「機械セクタにおけるホワイト企業トップ」を目指してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

当社グループは、「社是」「グループ経営理念」を中核とした「アネスト岩田フィロソフィ」を作成し、当社グループのステークホルダーで共有しています。この中には、当社グループの基本方針を定めており、サステナビリティに関する項目も含めております。これらの実現を推進するため、当社の取締役会傘下に任意の委員会としてサステナビリティ・CSR委員会を設置しています。本委員会は代表取締役、非業務執行取締役4名、委員長を務める 経営企画担当責任者で構成し、経営企画部門が事務局を務めています。当社グループのサステナビリティに関する重要事項、リスク管理、コンプライアンス対応、会社情報開示管理、内部通報対応などについて審議を行い、必要に応じて取締役会に答申・報告をしています。

また、サステナビリティ関連事項に柔軟かつ迅速に対応するため、業務執行機関を統括するサステナビリティ協議会を、サステナビリティ・CSR委員会の下部組織として設けております。サステナビリティ・CSR委員長が本協議会の議長を兼任し、選任された各部門長を中心にアドバイザーである執行役員数名及び事務局を務める経営企画部門で構成し、当社グループのサステナビリティに関する協議のほか、当社内のESG情報の共有を行っており、その内容は定期的にサステナビリティ・CSR委員会へ報告しています。

このような体制のもと、ESG経営を推進しています。

 

<サステナビリティ推進体制>


(2)リスク管理

当社グループは、上記「(1)ガバナンス」において記載した推進体制を構築するとともに、サステナビリティを含む全社的なリスクマネジメントの一環として、1年ごとに執行役員(取締役兼務を含む)が当社の企業価値や経営成績などに重要な影響を与える可能性があるリスクの特定と評価を行っています。その結果をサステナビリティ・CSR委員会で審議し、その内容を取締役会で決議することによって、リスク・危機対応時の体制整備を図っています。

人材に関するリスクの内容については、「第2〔事業の状況〕-3〔事業等のリスク〕-(2)人材に関するリスク」をご参照ください。

 

(3)戦略

人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、国・地域の法制度や文化に密接に絡む部分があり一律に当社グループ全体へ導入することが難しいことから、当社グループの主要な事業を営む提出会社における方針を以下に記載しております。 なお、連結子会社については、代表者の職務権限に基づき、各国の制度・実情に適合した運用方針に対する裁量を認めたうえで、様々な施策を実施しています。
 

①人材育成方針

当社グループは人材育成において「変革と成長」をキーワードとし、「Be an OWNER 当事者であれ」「WILL 志を持つ、やり抜く」「OPEN 外に目を向ける」という従業員が目指すべき3つの姿を設定しています。失敗を恐れずに挑戦する従業員を尊重し、成長・活躍・自己表現の場を創出することで、当社が目指す「真のグローバルワン・エクセレントメーカ」の実現に近づくと考えています。具体的な取り組み内容は、以下のとおりであります。

a.階層別研修

若手社員研修、中堅社員研修、管理職研修、幹部候補研修など、各階層に向けて実施していますが、研修を受講するだけでなく、その場で学んだことを実践する期間を設定することで、スキルの定着を目指しています。

b.若手社員を中心とした社内カルチャー改革プロジェクト

若手社員を中心に、会社をよりよくするために必要なことを自ら考え、部署を横断したグループで実行に移す活動を行っています。若手社員が自らの考えを発信し行動に移すことで、ボトムアップ型企業風土の醸成に繋げています。

c.社内公募制度

従業員の自律的なキャリア形成を支援するため、社内公募が出された部署に応募できる制度を導入しております。自分のキャリアを自分で作れる職場風土及び組織・人材の活性化を図っています。

d.キャリアプランニング制度

従来運用していた「自己申告制度(主に異動希望者の調査をするもの)」を2022年に大幅にリニューアルし、本来の目的である「従業員の自己実現と会社の発展を目指すこと」を達成するために、よりポジティブに従業員の志を育む機会として「キャリアプランニング制度」へと一新いたしました。従業員全員が毎年1回、自身のキャリアプランについての考えを会社に提出し、上司や人事担当者と相談をしながら自身のキャリアに向き合う機会としております。

e.工場における人材育成強化プロジェクト

産業機械メーカとして、工場の生産現場の人材育成を強化していく必要があると考えています。そのため、工場内の管理職と人事担当者で構成するプロジェクトを立ち上げ、技能伝承やスキルの向上も含めた人材育成を図っています。

・工場内管理職向けに集合研修やe-ラーニングによる工場マネジメント教育の実施

・工場内の人材育成計画について、工場管理職と人事部門での定期ディスカッションの実施

 

②社内環境整備方針

当社グループは社内環境整備において、「ダイバーシティ&インクルージョン」と「健康経営」の推進を大きなテーマとして積極的に取組みを実施しております。

1)ダイバーシティ&インクルージョン

年齢や性別などの属性・ライフスタイルに関わらず、長い職業人生において誰もが活躍し輝ける環境を整備することで多様性の確保をするため、様々な取り組みを実施してまいりました。その具体的な内容は、以下のとおりであります。

a.年齢や属性ライフスタイルに関わらず活躍できる制度の構築

ライフもワークも充実させ、様々な属性や個性の従業員が協力し合いながら成果を出せるような働きがいのある環境を構築するため、様々な先進的な制度を採り入れています。

・兼業副業制度、それに伴う週休3日制度

・65才までの定年延長と同時に、55歳から65歳の間で定年を選択できる制度

・通年採用の実施とアルムナイ制度

(退職者のうち一定の条件を満たす者にカムバックパスを発行する「カムバック採用」)

・テレワーク制度や時差出勤制度

b.多様な人材の活用

当社はダイバーシティ推進の一環として性別にとらわれない従業員の活躍推進に取り組んでいますが、業界特性もあり、現状は女性従業員数が少ない状況です。そのため、まずは2030年までに正社員における女性従業員比率30%以上を目標に掲げ各種施策を実施しています。また女性従業員の成長につながる仕組みや、能力を発揮できる機会を創出することで、各々の自律的な成長を積極的にサポートしています。

・次世代を見据え、部署を超えた有志の若手女性従業員の連帯を図るためのプロジェクトの発足

・女性従業員に向けたアンケートによる意識調査の実施

・女性自身や、女性の部下を持つ男性上司へのキャリアマインドセット研修の実施

c.育児休業を含む子育て支援

従業員がキャリアを止めることなく活躍できるよう、これまでも仕事と育児の両立支援に取り組んでおりましたが、更なる推進のため2022年4月に制度の変更を行い、対象となる全ての従業員に対する育児休業取得促進にも力を入れております。

・男性育休取得促進(対象者への個別の制度説明、体験談やアンケートを社内イントラに掲載)

・多様な時短勤務制度
(勤務時間について4・5・6・7時間のいずれかを選択でき、小学校卒業まで利用可能)

・育児休業復帰時のテレワーク制度

・法定日数を上回る看護休暇日数
(1人の子に対して年に8日うち有給は3日。2人以上の場合は年に16日うち有給は6日取得可能)

・育児退職者の再雇用保障制度

2)健康経営

当社グループでは『機械セクタにおけるホワイト企業トップ』を目指して健康経営を推進しております。また企業の発展には一人ひとりの「生産性の向上」と「組織の活性化」が重要であり、その基盤は従業員とその家族の健康であると考えています。代表取締役社長執行役員を健康経営推進最高責任者(CHO:Chief Health Officer)として、全社で人事制度・福利厚生の充実、食事・運動・コミュニケーションや健康意識調査などの各種施策を実施しています。その結果、ライフワークバランスやヘルスリテラシーの向上を実現した成果が評価され、経済産業省と東京証券取引所から「健康経営銘柄2023」に2期連続で選定されました。今後も従業員とその家族が「笑顔でイキイキと輝ける」ように、様々な健康維持・増進活動を戦略的に実行してまいります。

その具体的な内容は、以下のとおりであります。

 

a.ライフワークバランスの推進

従業員の健康維持のためには十分な休息が重要と考え、生活時間や睡眠時間を確保するための各種施策を実施しています。

・有給休暇を「スマイルホリデー」と称し、取得しやすいネーミングにするなど取得率100%の実現に向けた施策の実施

・勤務時間インターバル制度の導入
(勤務終了後から翌日の出社までの間に11時間以上の休息時間を設ける)

b.産業保健支援体制の確立

個人の健康管理を目的として産業保健師を常駐し、健康診断結果に基づくきめ細かいフィードバックや保健指導を実施することで、2次健診の受診率は2020年度・2021年度2期連続で100%となりました。

・本社と工場に保健師常駐

・支店営業所への年1回の巡回

・オンライン面談の実施

c.病気治療と仕事の両立支援

万が一の疾病の備えとして「三大疾病サポート保険」を導入し、治療と仕事の両立を支援する制度の充実を図っています。

 

そのほかのESGに関する取り組みを含むサステナビリティ情報については、2023年9月に当社ウェブサイト(URL https://www.anestiwata-corp.com/jp/ir/library/integrated-report)において公表予定の統合報告書2023年度版をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記「(3)戦略」において記載した方針について、次の指標を用いております。これらの指標に関する目標及び実績は、連結会社における主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

実績(当事業年度)

管理職に占める
女性労働者の割合(注1)

2030年までに8%

2.8%

男性労働者の
育児休業取得率(注2)

2030年までに100%

61.5%

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した
ものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)
の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した「事業の状況」、「経理の状況」等に関する事項のうち、経営者が当社グループの企業価値並びに財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、経営成績)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

(1)事業活動に関するリスク

①事業環境の変化

当社グループは創業以来、塗装機器及び空気圧縮機といった製品とそれらに付随するサービスを市場へ提供することにより、世界のモノづくりに貢献してまいりました。その結果、海外販売比率が過半となり、人材、製品・サービス、資金の流れが多様化する中で、目まぐるしく変化する事業環境の影響を受ける割合がますます増加しております。
 このため、既存の市場や製品、ビジネスモデルなどに固執したままでは、市場構造の変化を要因とした現行製品の需要減などの理由から持続的な成長を遂げられなくなり、その結果として当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 また、グローバルな事業を展開する上で、当社グループにおける販売や資材調達等の取引には外貨建取引が含まれており、予期しない急激な為替変動についても当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
 このようなリスクを未然に防止するため、既存の事業において品質向上への絶え間ない努力、グローバルな視点でのモノづくりを通じて気候変動をはじめとする社会的な課題解決につながる製品開発を継続することはもとより、新規の事業開拓を行い、柱となる事業構築をしていく必要があること、そのためには、失敗を恐れず、果敢に挑戦する企業文化を育むと同時に、全従業員の意識・行動改革を推進し、様々な外部企業とのコラボレーションを行います。また、当社グループはグループ間での交流や情報収集をさらに強化し、市場ニーズの把握に努め、国や市場ごとの重要性を見極めた上で、事業環境の変化に対して柔軟かつ素早い対応を可能とする体制の構築と経営戦略の確立を目指してまいります。加えて、需要の増加や物流コストの上昇が発生した場合でも製品を安定供給する体制を確保するため、複数購買の実施や物流網の見直しなどサプライチェーンの強化に努めております。
 なお、持続的な成長が遂げられず、経営成績等へ悪影響を及ぼすような状況に陥った場合には、取締役会及び経営会議などを通じて速やかに協議を行い事業戦略の立て直しを図ります。

②製品の品質

当社グループにおいて、製品の調達、加工、組立等における欠陥が看過されたまま品質基準を満たさない製品が市場に供給され、欠陥に起因する損害が発生した場合、賠償による損失やクレームに対する処理、製品回収及び交換等によって多額の費用が発生するとともに、製品に対するお客様の信頼を失い、当社グループの経営成績等に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
 そこで当社グループは、かかる事態の発生を未然に防止するために、原材料規格、製品規格などの必要な規程を順守し、製品開発の初期段階から品質保証部門が客観的見地に立ち介在することで潜在的課題の撲滅をはかっています。さらに、国内のみならず海外の生産拠点に対しても、ISO9001を推進する上での手法等を活用し、適切な品質管理体制を整備することにより、各国における市場要求や品質基準を満たす製品の品質を確保しております。
 なお、不測の事態が発生した際は、当社の取締役会並びに経営会議に速やかに報告がなされるとともに、品質保証部門により、リコールを含めた必要な処置を迅速に講じてまいります。

 

③M&Aをはじめとした事業拡大

当社グループは事業基盤の強化を加速し持続的な成長を確保するために、必要と認識した企業への資本参加や買収を含めた協働先との包括的な業務提携を積極的に推進しております。
 しかしながら、その後の方向性の共有が順調に進まなかったことに起因して、その販売エリアにおけるお客様の信用を失うこと、または当初想定した効果や利益を得られなかったことによる対象企業の業績低迷のほか、期待した収益性を維持できず実質の価値が著しく低下した場合には、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
 このため、M&Aにあたっては確認項目を明確化しており、事前にリスクやリターン、対象企業の財務内容や契約関係等に関する慎重な検討、及びデューデリジェンスを経て、十分なシナジー効果が得られるとの判断をもとに実施しております。またPMIを適切に行い、経営陣や担当の事業部門より経営支援をしていくことでリスクの未然防止に努めております。
 やむを得ずリスクが実現した場合は、契約継続に関する可否判断や損失の確定などを行い、速やかに経営判断をいたします。

④当社株式に対する敵対的な大規模買付行為による企業価値の毀損

当社グループは、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、企業価値・株主共同の利益に資するものである限り、当社株式の大規模買付行為を一概に否定するものではありません。しかしながら、株式の大規模買付の中には、その目的などから見て企業価値・株主共同の利益を著しく毀損するもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるものも少なからず見受けられます。こうした行為があった場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を与えたり、事業分割や譲渡により持続的な成長を大きく毀損したりする可能性があります。そのため、企業価値・株主共同の利益の保護及び株主に買い付けに応じるか否かを株主が適切に判断する時間を確保することを目的として、「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」を導入しております。なお同方針は、定時株主総会に諮り、毎年承認を得ることを条件に、株主共同の利益を担保しております。

(2)人材に関するリスク

①人材の確保

当社グループは、持続的な成長と市場環境の変化に対応するためには多様な個性と能力をもつ人材を確保・育成することが不可欠と認識しております。そのため、国内では全従業員の正社員化を原則として、通年にわたり採用活動を行っております。
 しかしながら、現有の採用戦略や採用した人材に対する育成方針、人事評価制度にこだわり続け、事業環境の変化などを踏まえた改善を行わない場合、将来の持続的な成長に向けた十分な人材確保ができず、事業活動の停滞を招き持続的な成長ができなくなる可能性があります。
 このため、適法な労務管理の下、適所に適材を配置するための人材開発やグローバル視点での人事評価制度の構築によるダイバーシティ・マネジメントの整備、多国籍人材の採用強化並びに評価者への教育などを重点的に行います。併せて、各種業務の自動化・デジタル化を推進することによって労働力の有効活用に取り組み、業務改革を加速してまいります。

②健康経営による組織パフォーマンスの強化

当社グループが組織パフォーマンスを強化し競争力を高める上で、事業展開を支える従業員一人ひとりの健康を維持・増進させる活動の重要性が高まっております。社長執行役員が健康経営推進最高責任者(CHO:Chief Health Officer)となり、「健康経営宣言」の下で様々な施策を講じて健康経営に取り組んでおりますが、当該活動が停滞・縮小するなどして所定の効果を見込めなくなった場合、健康リスクの増加や労働環境の悪化により経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「機械セクタにおけるホワイト企業トップ」を目指してライフワークバランスやヘルスリテラシーの向上を実現した成果が評価され、経済産業省と東京証券取引所から「健康経営銘柄2023」に2期連続で選出されました。今後も、常にいきいきとした活力と新規性のある技術力を持った開発型企業として、創造力とチームワークを最大限に高める企業風土の確立に取り組んでまいります。

 

③労働問題

当社グループ従業員の過半数は、海外拠点に勤務する外国人によって構成されています。

各国の社会情勢、労働環境に応じた働き方が求められる状況下では、国内外における労働組合等の団体との間に、勤務条件等をめぐる労働問題が提起される可能性があります。労働争議が提起され早期に収拾できない事態に至ると、事業運営の安定性及び継続性が損なわれ、深刻化することで製品の供給に重大な影響を与えるとともに、お客様からの信頼を失うことで企業価値並びに経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

そこで当社は、社是「誠心(まことのこころ)」を中核とする「アネスト岩田フィロソフィ」の浸透推進により、当社グループへの帰属意識の向上を図るとともに、海外拠点の代表者の職務権限に基づいて、各国の制度・実情に適合した雇用条件や評価制度に基づく裁量を認めることで、勤務条件や労働環境に対する不満の発生を未然に防止するよう努めています。

3)ITに関するリスク
①IT投資

グローバル展開における競争力の強化を着実に推進するためには、絶え間ない革新が続いているITを導入することによって、ビジネスモデルの改革や高付加価値の製品開発、業務効率の向上を実現することが不可欠であると考えています。
  しかしながら、不測の事態によって、ITに対する知見やノウハウが社内から喪失することでIT戦略の実行が滞った場合、又は最新のITトレンドに合致した製品開発に遅れが生じた場合は、市場における競争力が低下したり、経営効率が損なわれたりすることで、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
  そこで当社グループでは、経営計画と合わせて、中長期的なIT戦略を策定し、IT投資を会社の成長を牽引する重要な要素に位置付けるとともに、企業成長への貢献度を継続的に検証しています。
  なお、当該リスクが実現した際は、積極的な人材登用や新たなパートナー企業との提携を開始するとともに、陳腐化したIT資産を償却することによって経営基盤の建て直しを図ってまいります。

②情報セキュリティ

事業活動を安定的かつ持続的に推進するために、情報システムの安全性・信頼性を維持していくことに対する重要性はますます高まってきております。当社グループは、事業活動を展開する過程で取得した技術開発や営業に関する機密情報、及び個人情報について厳重な管理を施しています。
 しかしながら、自然災害や予期しないサイバー攻撃、又はコンピュータウイルスの侵入を原因とする不正アクセス等による情報漏えいや改ざん及びシステムの障害の発生、並びに従業員の故意又は過失により情報が流出、これらの情報が悪用された場合における損害賠償の責任等により、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
 そこで当社グループは、適切な情報セキュリティ体制を整備し、重要なデータの適切なバックアップを取得するなど必要かつ十分なセキュリティ対策を講じるとともに、従業員に対する教育をおこなっています。
 なお、当該リスクが実現した際は、その要因・経緯を速やかに把握し適切な対処を実行する体制を構築するとともに、必要に応じて被害内容を開示することで二次被害の最小化と信頼の回復に努めてまいります。

(4)法令等に関するリスク

①地球環境、気候変動に関する規制、基準への対応

地球環境、気候変動に関する意識が世界的に向上する中、日本及び諸外国では環境に対する法規制の新設や厳格化が行われる傾向にあります。これらの規制に準拠した製品の投入に遅れが生じた場合には事業活動の制限や収益機会の損失に繋がり、当社グループの事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。
 規制の内容には国や地域によって差異があるため、各国に点在する現地子会社が情報収集及びその対応を行えるよう、必要な機能を移管するなど体制の整備を進めています。将来において予期しない法規制の改正やさらなる厳格化等が行われた場合には、経済的合理性をもって、当該項目に関する追加投資や撤退の要否を判断します。
 また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づく情報開示の重要性を認識し、適切な情報開示を実施すべく、サステナビリティ・CSR委員会を中心として必要な取り組みを行ってまいります。

 

②法令等違反による不正行為

近年、企業の不祥事などについて報道されることが増えております。当社グループにおいて、万が一そのような行為が行われた場合には、賠償責任の発生といった短期的な経営成績等への影響のみならず、当社グループの信用が著しく失墜することにより販売活動や採用活動に支障を来すなど、長期間にわたって当社グループの企業価値が悪化する、あるいは企業の存立を揺るがす事態に陥る可能性があります。
 そのため、当社グループでは役員及び従業員が不正行為を行わないための体制構築や仕組みづくり、グループ会社に対する健全な経営支援を推進するとともに、海外子会社を含めた内部通報制度の策定や監査等委員や内部監査部門による監査の実施等のモニタリング体制を築くことで、法令等違反行為が発生しないように努めています。
 かかる事態が発生した場合には、当社の取締役会へ速やかに報告され、第三者による調査や、事実の開示、該当者に対する適切な処分等の対応を行い、再発防止策の立案とその開示を迅速に行える体制を整えています。

③知的財産

当社グループは、世界中のお客様に対して、高性能かつ高品質な製品とサービスをご提供できる活力と新規性に満ちた開発型企業を目指しています。この結果、当社グループが現在保有する、あるいは将来にかけて開発する製品及び技術やビジネスモデルなどにおいて、第三者から模倣される、あるいは、意図せずに第三者の知的財産権や特許権、商標を侵害してしまうリスクがあります。その場合、損害賠償や訴訟の発生により費用面のみならず技術自体を使用できない、あるいは不利な状態での使用を余儀なくされることなどに起因して、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼすことが考えられます。
 そのため、当社グループでは製品の機能やデザインに関する知的財産権や特許権、商標権を取得して管理を強化するとともに、関係する外部機関の協力を得ながら、その影響を受けない、あるいは影響を最小限とする体制を構築してまいります。

④国際税務

当社グループは、世界の主要な地域に子会社を有し、グローバルな事業活動を展開しております。グループ会社間取引におきましては、移転価格税制などの法規制の遵守に努め、適正な取引価格を設定するなど国際税務リスクには細心の注意を払っていますが、見解の相違から税務当局より指摘を受けた場合は、追徴課税などが発生するほか、当社グループの経営成績等に悪影響を与える可能性があります。
 当社グループでは国際財務の動向に注視しつつ、外部機関の協力を得ながら正しい法的理解の下、税務当局との見解の相違が生じないよう努めてまいります。

⑤固定資産の減損損失等の会計処理

固定資産の減損損失等の適切な会計処理のためには、将来キャッシュ・フローを適切に見積った事業計画が必要になります。当社グループでは、(1)③で触れましたようにM&Aを含む子会社等への投資を積極的に行っておりますので、特に以下の会計処理を判断する場合において、各子会社等の適切な事業計画が必要となります。
  ・当社の個別財務諸表における関係会社株式等の減損損失の判定
  ・連結財務諸表の基礎データとなる子会社等の保有する固定資産の減損損失の判定
  ・連結財務諸表におけるのれんの計上時の償却年数の算定、及び、減損損失の判定
 これらの判断時点における事業計画が適切なものではない場合には、結果として不適切な会計処理をおこなったことになり、当社の信用が著しく失われるリスクがあるものと理解しております。
 このため、各子会社等の事業計画の策定にあたっては、主管である当社の事業部門及び経理部門が積極的に関与しております。また、これらの事業計画は経営及び会計に知見のある社外取締役が過半数を占める取締役会に報告されており、その指導・監督を受けております。これらの透明性のある手続きにより、事業計画の適切性を確保しております。

 

(5)その他のリスク(予期しない発生事象)

当社グループは世界各国に事業を展開しております。これらの国や地域において、予測のできない政治的・経済的変動、覇権主義の台頭による戦争・テロ行為の勃発など地政学的リスクの顕在化、感染症の流行、大規模な地震や台風といった自然災害の発生などが起こった場合、事業所の損壊、原材料調達や物流の停滞などにより、世界各地への製品供給に甚大な影響が生じることが考えられます。かかる事態が長期化した場合や、発生可能性の増加に対する対応が不十分だった場合、固定資産の減損や収益性の低下などに伴い当社グループの経営成績等に重大な悪影響を及ぼす可能性が高まります。
 当社グループではBCPを策定するとともに、生産機能を分散、グループ間での製品調達の可能性を模索するなど、上記の事態による影響を最小限にとどめる供給体制を確立するとともに、当社グループを取り巻く経営環境を迅速かつ適切に把握することにより、事業活動の強靭化に努めております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)業績に関する説明

①経営成績

当連結会計年度の業績は、売上高48,515百万円(前連結会計年度比14.6%増)、営業利益 5,838百万円(同22.1%増)、経常利益7,043百万円(同26.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,381百万円(同23.7%増)となりました。

(ご参考値)事業部別の状況

(単位:百万円) 

事業部

 

当連結会計年度
2022年4月1日2023年3月31日

(製品区分)

連結売上高

(前年同期増減率)

連結営業利益

(前年同期増減率)

エアエナジー事業部

29,349

17.3%

3,269

30.1%

 

圧縮機

26,983

17.6%

 

真空機器

2,366

14.6%

コーティング事業部

19,165

10.6%

2,569

13.3%

 

塗装機器

16,512

14.3%

 

塗装設備

2,652

△7.6%

合計

 

48,515

14.6%

5,838

22.1%

 

(注)事業部別の連結営業利益は、当社グループ独自の基準により算定しております。

②財政状態の分析
1)資産

資産は、流動資産が、36,773百万円(前連結会計年度比7.1%増)となりました。これは主に、「受取手形及び売掛金」が1,097百万円増加したことなどによるものです。固定資産は、23,363百万円(同8.7%増)となりました。これは主に、 「建物及び構築物」が903百万円増加したことや「投資有価証券」が934百万円増加したことなどによるものです。その結果、総資産は60,136百万円(同7.7%増)となりました。

2)負債

負債は、流動負債が、11,719百万円(同0.9%増)となりました。これは主に、「支払手形及び買掛金」が130百万円増加したことなどによるものです。固定負債は、3,161百万円(同20.8%減)となりました。これは主に、退職給付信託の設定に伴い「退職給付に係る負債」が1,043百万円減少したことなどによるものです。その結果、負債合計は14,881百万円(同4.7%減)となりました。

3)純資産

純資産は、45,255百万円(同12.5%増)となりました。これは主に、「利益剰余金」が3,037百万円増加したことなどによるものです。また、純資産より非支配株主持分を除いた自己資本は40,025百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の63.8%から66.6%と2.8ポイントの増加となりました。

③キャッシュ・フローの状態

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます)は、前連結会計年度末に比べ835百万円減少し、当連結会計年度末には12,080百万円(同6.5%減)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果、資金収支は4,329百万円の収入(同11.3%増)となり、前連結会計年度末に比べ439百万円の増加となりました。これは主に、「税金等調整前当期純利益」が1,549百万円増加したことや「棚卸資産の増減額」の変動により収入が1,780百万円増加したことなどによるものです。

 

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果、資金収支は3,323百万円の支出(同208.1%増)となり、前連結会計年度末に比べ2,244百万円の支出の増加となりました。これは主に、福島工場などへの設備投資の強化により「有形固定資産の取得による支出」が980百万円増加したことなどによるものです。

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果、資金収支は2,357百万円の支出(同12.1%増)となり、前連結会計年度末に比べ254百万円の支出の増加となりました。これは主に、「配当金の支払額」が312百万円増加したことなどによるものです。

 

(2)生産、受注及び販売の状況

①生産実績

当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

セグメント

金額(百万円)

前期比増減率(%)

日本

19,833

6.3

欧州

2,377

39.4

米州

781

12.9

中国

7,686

△5.5

その他

5,601

13.8

合計

36,280

6.3

 

②受注及び受注残高

当連結会計年度における塗装設備の受注状況は、次のとおりであります。

セグメント

受注高(百万円)

前期比増減率(%)

受注残高(百万円)

前期比増減率(%)

日本

1,227

△46.8

898

△38.2

欧州

米州

22

470.9

14

中国

269

△73.2

24

△88.0

その他

426

153.5

253

16.4

合計

1,944

△44.2

1,190

△36.5

 

(注) 1.この受注及び受注残高は、塗装設備製品のものです。塗装設備製品以外は受注から販売までが短期間であり、受注及び受注残高の管理対象としておりません。

2.日本の受注及び受注残高の減少は、主に自動車の生産に関連した設備投資案件の獲得ペースが緩やかになったことなどによるものです。

3.中国の受注の減少は、主に自動車の生産に関連した設備投資案件の獲得ペースが緩やかになったことなどによるものです。

③販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメント

金額(百万円)

前期比増減率(%)

日本

17,473

7.1

欧州

7,233

26.8

米州

5,863

18.0

中国

10,336

11.1

その他

7,608

25.8

合計

48,515

14.6

 

(注) 1.欧州の増加は、主にフランスやドイツの塗装機器の販売が増加したことなどによるものです。

2.その他の増加は、主にインドの圧縮機の販売が増加したことなどによるものです。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①概要及び経営成績

当連結会計年度における世界経済は、暖冬による欧州でのエネルギー価格高騰の抑制や中国のゼロコロナ政策の解除などがあったものの、欧米の利上げや高水準が続くインフレ率、中国における政策転換前の活動制限などの影響により景気の減速感が見られました。日本経済においては、物価高や外需の悪化が下押し要因となり、力強さを欠く状況が続く一方で、インバウンド消費の回復などに伴う景況感の改善やその進展に対する期待から設備投資意欲の高まりが見られました。
  このような状況のなか、当連結会計年度の業績は、売上高48,515百万円(前連結会計年度比14.6%増)、営業利益5,838百万円(同22.1%増)、経常利益7,043百万円(同26.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,381百万円(同23.7%増)となりました。これらの結果により、当連結会計年度のROEは11.6%(同1.2ポイント増)となり、自己資本比率は66.6%と2.8ポイント改善しております。

②セグメントの業績

当社グループで採用しております地域別のセグメントの状況は以下のとおりであります。なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しています。セグメントの業績の詳細については、「第5〔経理の状況〕-1〔連結財務諸表等〕-(1)〔連結財務諸表〕-〔注記事項〕」の(セグメント情報等)をご参照ください。

(日本)

売上高は25,154百万円(前連結会計年度比9.5%増)、セグメント利益は3,519百万円(同6.5%増)となりました。
 圧縮機製品では、年度末にかけた設備投資意欲の高まりにより汎用圧縮機の需要が拡大したほか、医療向けオイルフリー圧縮機の売上が伸長しました。
 真空機器製品では、急拡大を続けていた半導体市場が調整局面に入った影響を受け、半導体製造関連装置向け真空ポンプの売上は減少しました。
 塗装機器製品では、スプレーガンの需要が堅調に推移したことに加え、経済活動の正常化とともに投資意欲が改善されたことで、環境装置の受注が増加し、総じて売上は伸長しました。
 塗装設備製品では、自動車部品製造向け塗装設備をはじめとした大型案件の納入が完了したことで売上は伸長しました。

(欧州)

売上高は7,505百万円(前連結会計年度比24.3%増)、セグメント利益は504百万円(同9.4%増)となりました。
 圧縮機製品では、引き続き搾乳用途を始めとしたオイルフリー圧縮機の売上が堅調に推移しました。加えて、特定市場向け圧縮機の新規顧客開拓や代理店との関係強化に注力しています。
 塗装機器製品では、マーケティング戦略が奏功し、当第2四半期連結会計期間に上市した自動車補修市場向け新型スプレーガンの需要拡大が続いています。

(米州)

売上高は6,257百万円(前連結会計年度比16.2%増)、セグメント利益は640百万円(同9.8%増)となりました。
 圧縮機製品では、北南米における車両搭載向け圧縮機やブラジルにおける医療向け圧縮機の売上が伸長しました。
 真空機器製品では、アメリカにおけるリチウムイオン電池製造装置向けや研究施設向け真空ポンプの売上が堅調に推移しました。
 塗装機器製品では、アメリカにおいて、エアーブラシの販売は巣篭り需要の発生前と同水準に戻ったものの、工業塗装市場向け塗装機器の顧客開拓が進んだことで、総じて売上は堅調に推移しました。
 

 

(中国)

売上高は11,164百万円(前連結会計年度比13.1%増)、セグメント利益は815百万円(同52.5%増)となりました。利益の増加は、圧縮機の販売増加などによるものです。
 圧縮機製品では、輸出が好調な上海斯可絡圧縮機有限公司の販売やリチウムイオン電池製造関連装置向け圧縮機の販売などが引き続き好調に推移しています。
 真空機器製品では、半導体やLED、リチウムイオン電池製造関連装置向け真空ポンプの売上が伸長しました。
 塗装機器製品では、ゼロコロナ政策により営業活動が制限された影響で回復スピードは鈍化しましたが、前年度に比べ売上は伸長しました。
 塗装設備製品では、前連結会計年度に納入した大型設備の反動により、前年度に比べ売上は減少しました。
  (その他)

売上高は9,406百万円(前連結会計年度比20.6%増)、セグメント利益は1,467百万円(同34.3%増)となりました。利益の増加は、インドにおける主力の圧縮機や東南アジアにおける塗装機器の売上増加などによるものです。
 圧縮機製品では、インドの汎用及び特定市場向け圧縮機が年間を通じて好調に推移しました。また、東南アジアにおいて汎用市場向け圧縮機の販路開拓が進展したほか、医療向け圧縮機の売上が伸長しました。
 塗装機器製品では、欧州・米州・日本の技術者数名で構成するグローバル・テクニカルチームの活動により、東南アジアにおいて自動車補修市場向けスプレーガンの売上が伸長しました。

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの財源については自己資本を基本としつつも、一部、金融機関等からの借り入れにより調達しています。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、海外子会社を含む設備投資、M&A等によるものであります。
 また、当社グループの当連結会計年度末において、短期借入金908百万円に対して現金及び現金同等物の期末残高12,080百万円と資金の流動性を確保しています。なお、当座貸越限度額及びコミットメントライン契約額約15,540百万円を結んでおり、これらの契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高は375百万円です。

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。当社が採用する重要な会計方針については、「第5〔経理の状況〕-1〔連結財務諸表等〕-(1)〔連結財務諸表〕-〔注記事項〕 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。 連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、権限を明確に定め、適切な情報に基づく判断に努めていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。なお、詳細については、「第5〔経理の状況〕-1〔連結財務諸表等〕-(1)〔連結財務諸表〕-〔注記事項〕」の(重要な会計上の見積り)をご参照ください。

(有形固定資産及びのれんを含む無形固定資産の減損)

固定資産の減損損失の認識の判定においては、将来キャッシュ・フローを見積もった事業計画をもとに行っております。当社グループは事業拡大を目的としてM&Aを含む子会社等への投資を積極的に行っているため、特に関係会社株式等や子会社等の保有する固定資産、のれんの減損損失の判定、及びのれん計上時の償却年数の算定は当社グループの業績等に重要な影響を及ぼすと認識しており、その際に使用される見積りや前提条件については慎重に検討し取締役会が監督することで適切性を確保しています。しかしながら、市場環境の変化等により、将来キャッシュ・フローの見積りの前提条件が変化した場合には、減損損失が認識されるか否かの判定及び減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、当社が主体となり関係会社と共同推進する形をとっており、環境保全を技術開発の大きな目的にするとともに、固有技術の進化と先端技術の応用展開を進めながら、顧客ニーズに応えるための新製品開発と既存製品の改良を積極的に進めております。

なお、当期の研究開発費の総額は810百万円です。その他に製品の改良・改造に使用した545百万円を製造経費としております。報告セグメントは日本、欧州及び中国となり、合計1,355百万円のうち日本は1,110百万円です。