第2 【事業の状況】

 

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、創業者の「農家を過酷な労働から解放したい」という熱い想いを起業の原点に、1926年の会社創立以来、農業機械の総合専業メーカーとしてわが国農業の近代化に貢献してまいりました。その間、一貫して農業の効率化、省力化を追求し続け、その過程のなかで数々の農業機械を他に先駆けて開発し、市場に供給してまいりました。世界人口の増加と食糧問題、食糧自給率や国土保全、地球環境問題などを考えると、農業の果たす役割は大きく、農業機械メーカーの社会的使命はますます重要になると考えております。

当社グループは「お客様に喜ばれる製品の提供」を通して、今後もわが国ならびに世界の農業に貢献することを経営の基本理念として活動を続けるとともに、一層の企業価値向上に努めてまいります。

 

【社是】

 

 

当社は、

1.需要家には喜ばれる製品を

 

    

2.従業員には安定した職場を

 

    

3.株主には適正な配当を

 

 経営理念とし、もって社会的使命を達成する

 

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、事業領域の拡大と収益性の改善を目指し、「連結売上高、連結営業利益、ROE(自己資本利益率)」を経営指標として重視しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社は、2025年に創立100周年を迎えます。

創立100周年までにグローバルマーケットでも農機専業メーカーとして確固たる地位を築き上げるため、これまで培ってきた強みを発揮し、世界の市場で競争力のある商品づくりと提案力により、国内農業構造変化への対応強化と海外事業の拡大、ならびに組織、ガバナンスの強化にグループを挙げて取り組んでまいります。

1)激変する国内農業への対応強化

国内農業は、農業従事者の高齢化や担い手不足を背景とした大規模化、主食用米から畑作・野菜作への作付転換など、農業の構造変化が加速しています。

当社は、これまでも「国内農業の変化への対応」を重点課題として取り組んできましたが、より一層スピードを上げ、激変する国内農業への対応強化をハードとソフトの両面で推進してまいります。

農家数減少、大規模化する市場への対応のため、大型整備センターを核とした営業拠点の整備と人員再配置により、広域化した体制に転換し効率化を推進します。また、地域マーケットの変化を踏まえ、担い手、畑作・野菜作市場への推進強化を図るとともに、売上拡大や営業費圧縮による収支構造の改善に加え、販売網の再編等により強みの展開と更なる効率化を進め、市場動向に左右されない収益基盤の構築に努めます。

ハード面では、低価格シンプル機や先端技術、野菜作機械など、当社の高い技術力を活かした市場ニーズに対応した商品開発への取組みを強化します。特に、2025年までに担い手農家のほとんどがデータを活用する「スマート農業の実現」が政策目標として掲げられ、先端技術の導入・実証が進む中、大型でICT技術搭載の「オールジャパンシリーズ」を、すでにトラクタ・コンバインに投入し、営農支援ソフト「アグリノート」との連携等によりさらに競争力を向上させてまいります。 

ソフト面では、先進的営農技術の研究・実証や担い手への普及支援を行う「夢ある農業総合研究所(夢総研)」、「ISEKI グローバルトレーニングセンター」を中心に、市場ニーズに対応できる人材を育成し、サービス力、提案・サポート力の更なるレベルアップを図ります。 

 

ハードとソフトの両面から、日本の農家の「夢ある農業」を応援することを通じて、「激変する国内農業への対応強化」を図ってまいります。

2)海外事業の拡大

 海外は、北米・欧州・中国・アセアン市場を4極の柱とし、各市場における戦略パートナーとともに、事業領域の拡大に取り組んでいます。
 北米市場は、OEM先との協業を一層強化し、一昨年投入した好調な小型トラクタでシェアアップを図ることに加え、顧客ニーズに合わせた品揃えの拡充で更なる売上の拡大を目指します。

 欧州市場は、ISEKI France S.A.Sを事業展開の核に据え、昨年投入した新商品を梃に、欧州における「ISEKI」ブランドの更なる構築を図るとともに、サービス・サポート体制を強化し、売上・シェア拡大に注力してまいります。

 成長エンジンとして位置付ける、中国・アセアン事業は、合弁先パートナーとの協業を一層強化し業容の拡大に取り組みます。

 中国市場では、農機市場の成熟化や現地メーカーを含めた販売競争が激化する中、中国国内での一層の事業発展と事業運営の現地化を図るため、戦略パートナーである東風汽車グループが東風井関農業機械有限公司(以下、東風井関)への追加出資を行いました。これに伴い、当社の出資比率が50%から25%に変更となりましたが、中国市場の潜在力の大きさから、当社グループにとって中国事業の重要性は変わることなく、引き続き東風井関への製品・部品の輸出や当社の高機能・先端機種等の技術供与など技術面でのサポートを中心に展開してまいります。

 タイ市場では、2013年からIST Farm Machinery Co.,Ltd.での販売を通じて「ISEKI」ブランドの構築を図ってきました。また、2016年にはタイ市場だけでなくアセアン全域における当社製品の販売・サービス力の更なる強化のため、ISEKI (THAILAND) CO.,LTD.を設立しました。今後、合弁先パートナーとの協業を一層強化することにより、タイでの事業を確立するとともにタイ周辺国への販路拡大を目指します。

 また、一昨年末には世界最大のトラクタ市場のインドにおいて第2位の大手農機メーカーTractors and Farm Equipment Ltd.(TAFE社)と技術・業務提携契約を締結しました。今後、インド市場において同社による当社製品の販売や中型トラクタの製造等を通じ、事業展開を図ってまいります。

 地域の特性を活かした商品開発、生産、販売ならびにサービス体制を強化するとともに、それらを支える人材の育成強化に取り組み、海外事業の拡大を図ります。

3)開発・生産最適化による収益力の強化

 当社グループは、販売競争が激化する内外市場に競争力ある商品を投入すべく、開発製造部門を中心にコスト構造改革を推進しております。設計の標準化・共通化による開発のスピードアップや原価低減、製造現場における工数低減や間接業務改善など、徹底的な効率化による生産性向上に向けた取組みを継続強化するほか、生産負荷変動への対応力の強化を図ってまいります。また、アセアン市場における生産拠点の核、PT.ISEKI INDONESIAの生産量は年々増えており、調達先の適正化や現場改善を図るなど収益拡大の取組みを強化するとともに、生産能力の増強により更なる事業拡大を図ってまいります。「グローバル戦略商品プロジェクト推進部」が海外商品の収益向上に向けた取組みを引き続き総括管理するとともに、今後もグループを挙げてコスト構造改革を継続し収益力の向上に取り組んでまいります。

4)成長に向けた積極的な設備投資

 激変する市場への対応を図るため、国内市場においては、整備センターの大型化・充実をはじめ、営業拠点の整備を進めており、今後も更なる充実を図ってまいります。
 拡大する海外市場においても、北米・欧州・アセアン向け戦略機の生産拠点であるPT.ISEKI INDONESIAでの生産能力増強のための投資を行ってまいります。
 また、国内生産拠点についても、排出ガス規制対応エンジン内製化のためのライン増設等により、更なる商品競争力向上に向け布石を打つとともに、技術革新による効率化を企図した生産設備の増強等、内外の成長に向けた積極的な設備投資に取組んでまいります。

5)人材・ガバナンス強化による企業価値向上

 激変する国内農業への対応強化、海外事業の拡大など、開発・生産・営業各部における事業活動を支える人材確保と育成に加え、「働き方改革」への対応が課題となっております。

 当社は、開発の若手設計者を育成する「設計基本技術トレーニングセンター」、国内外の生産現場で活躍する人材を育成する「ISEKI テクニカルトレーニングセンター」、国内外の販売・サービス人材を育成する「ISEKIグローバルトレーニングセンター」を整備し、人材育成強化に努めております。「働き方改革」への対応には、個々人での「ムリ・ムダ・ムラ」の徹底排除を通じた業務効率化に加え、組織横断的な効率化テーマの推進や業務そのものの見直しなどにより、生産性向上と多様な働き方に対応できる職場づくりを推進してまいります。また、企業の社会的責任として、内部統制及びコンプライアンスの強化に取り組んでまいります。関係法令・規則の順守はもとより、役職員一人ひとりの高い倫理観と社会的良識を持った責任ある行動を目指し、啓蒙活動や社内教育等を徹底してまいります。

また、ガバナンスの強化については、取締役候補者の選任プロセスを透明化するため、独立社外取締役を主要な構成員とする「指名諮問委員会」を2018年に設置しました。取締役の選解任に関する株主総会議案の提案および代表取締役の選定・解職等について、同委員会での審議・答申を踏まえ決定していく手続きとしています。なお、同委員会については、指名に関する事項に加え、2020年3月に取締役の報酬における審議・答申の機能を追加し、「指名報酬委員会」として再編しています。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努めてまいる所存であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

1)経済情勢及び農業環境の変化

 国内外の景気の低迷、農業政策の転換等により農機需要が減少し、業績が悪化する可能性があります。

2)為替レートの変動

 外国為替相場の急激な変動が業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

3)原材料の価格高騰、調達難、サプライチェーンの混乱

 当社グループは、多数の取引先より原材料や部品を調達しており、これらの価格が予想を大きく上回る急激な高騰や供給逼迫の長期化により、当社グループの業績が悪化する可能性があります。

 また、サプライチェーンの停滞に起因する生産減等が当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

4)特定の取引先、調達先への依存

 特定の取引先や調達先の方針変更や業績不振、倒産等により業績が悪化する可能性があります。

5)他社との競争

 市場では競合他社との厳しい競争が展開されており、サービスを含めた商品競争力を強化しなければ、業績が悪化する可能性があります。

6)商品やサービスの重大な瑕疵や欠陥の発生

 商品やサービスに重大な瑕疵や欠陥が発生し、業績が悪化する可能性があります。

7)株式市場の動向

 当社グループは有価証券を保有しており、株価の下落により、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

8)環境問題等の公的規制や問題の発生

 商品や事業活動に関し、環境問題等の公的規制への対応や、問題発生時の是正措置、訴訟等により、業績が悪化する可能性があります。

9)国際的な事業活動に伴うリスク

 当社グループは、海外事業展開を進展させていますが、国際的な事業活動をする上で、各国の税・法制度や貿易政策の予期せぬ変化、政情不安等により業績が悪化する可能性があります。

 また、当社グループはアジア地域への事業展開に注力しておりますが、主に同地域における人材確保の困難性、未成熟な技術水準や不安定な労使関係などが、当社グループの事業展開を阻害する可能性があります。

10)法令違反リスク

 当社グループは、法令順守と倫理に基づいた「井関グループ倫理行動規範」を定め、内部統制の体制を整え、グループ一丸となって法令順守及び倫理行動規範の徹底に努めております。それにもかかわらず、当社グループの役職員が法令に違反する行為を行った場合には、当社グループの事業活動が制限され、業績が悪化する可能性があります。

11)自然災害や予期せぬ事故、感染症の拡大等に関するリスク

 地震、台風、水害等の自然災害、予期せぬ事故等が発生し、業績が悪化する可能性があります。

 また、感染症の拡大等に伴う事業活動の制約やサプライチェーンの停滞に起因する生産減等が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

12)他社との業務提携、合弁事業及び戦略的投資

 当社グループは、必要に応じて他社との業務提携、合弁事業、戦略的投資を行うことがあります。これらの施策は双方の経営資源を有効に活用し、タイムリーに開発、生産、販売するうえで有効な手段であると当社グループは考えております。

 しかしながら、業務提携や合弁事業において、財政状態やその他の理由により、当事者間で利害の不一致が生じた場合には、提携を維持できなくなる可能性があります。また、買収等戦略的投資については、事業、技術、商品及び人材などの統合において、期待する成果や効果が得られない可能性があり時間や費用などが想定以上にかかる可能性があります。従って、これらの施策の成否は当社グループ事業に重大な影響を及ぼし、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

13)借入金のリスク

 当社は、取引金融機関とシンジケート・ローン契約及びコミットメント・ライン契約を締結しており、これらの契約に付されている財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上返済義務が生じる可能性があり、当社グループの財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、借入金利の上昇により業績が悪化する可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(重要な会計方針及び見積り)

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、資産・負債の評価及び収益・費用の認識について、重要な会計方針に基づき見積り及び判断を継続して行っております。実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため見積りと異なる可能性があり、特に貸倒引当金、退職給付に係る負債、法人税等は、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の見積りと判断に重要な影響を及ぼすものと認識しております。

 

(1) 経営成績の状況

 当期におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、製造業の業績や輸出を中心に一部に弱さが見られるものの、各種政策の効果もあり、緩やかな回復基調が継続しました。海外については、米国経済は個人消費の増加などから回復を続ける一方、欧州経済は生産や輸出に弱さが見られ、また中国経済は米中貿易摩擦の影響を受けた輸出の減少に加え、個人消費の伸び悩みなどから緩やかな減速が継続しました。世界経済全体では総じて緩やかな回復が見られるものの、米中貿易摩擦の長期化や英国のEU離脱の行方等の不透明感から回復のテンポが鈍化しております。

 一方、国内農業環境につきましては、担い手への農地集積や畑作・野菜作への作付転換など農業の構造的な変化が進む中、農機市場は消費増税に向けた駆込み需要が見られたものの、基本的には横ばいで推移しました。

 このような状況の中、当社グループは、国内においては新商品の投入や顧客対応の充実を図るなど、農業構造変化への対応強化、海外においては主力市場である北米、欧州、中国、アセアンでの販売強化に努めてまいりましたが、当社グループの連結経営成績は以下のとおりとなりました。

 

〔当期連結業績〕

 当期の売上高は、前期比6,056百万円減少し、149,899百万円(前期比3.9%減少)となりました。国内においては、補修用部品・修理収入が堅調に推移したものの、期中における消費増税の影響も受けた農機製品の減少、前期に大型工事の完工があった施設工事の減少などにより、国内売上高は前期比5,094百万円減少の117,717百万円(前期比4.1%減少)となりました。海外においては、北米は、新商品の小型トラクタが好調に推移したことなどにより増加した一方で、欧州は、景観整備製品等が堅調だったものの為替円高影響により円貨ベースでは減少、中国では現地在庫調整による田植機半製品の出荷減少、アセアンではタイ向けトラクタの出荷やインドネシア政府入札の減少などにより、海外売上高は前期比962百万円減少し、32,181百万円(前期比2.9%減少)となりました。
 営業利益は、減収による影響を、国内販売会社収支構造改革による収益改善や販管費の削減などにより一部吸収したものの、前期比434百万円減少の2,745百万円(前期比13.6%減少)となりました。
 経常利益は、前期に計上のあった受取技術料がなくなったことや持分法投資損失の計上などにより、前期比1,520百万円減少の1,108百万円(前期比57.8%減少)となりました。
 親会社株主に帰属する当期純利益は、企業結合に係る特定勘定取崩益、投資有価証券売却益等の特別利益の計上に加え、税金費用の減少等により前期比367百万円減少の723百万円(前期比33.7%減少)となりました。

 

〔当期個別業績〕

 当期の売上高は90,016百万円(前期比3.3%減少)、営業利益は992百万円(前期比97.7%増加)、経常利益は2,241百万円(前期比4.9%減少)、当期純利益は1,555百万円(前期比11.5%減少)となりました。

 

 商品別の売上状況につきましては、次のとおりであります。

〔国内〕

 整地用機械(トラクタ、乗用管理機など)は25,373百円(前期比7.5%減少)、栽培用機械(田植機、野菜移植機)は9,049百万円(前期比1.5%減少)、収穫調製用機械(コンバインなど)は18,591百万円(前期比6.9%減少)、作業機、補修用部品、修理収入は40,809百万円(前期比0.5%増加)、その他農業関連(施設工事など)は23,894百万円(前期比6.7%減少)となりました。

〔海外〕

 整地用機械(トラクタなど)は25,319百万円(前期比2.2%減少)、栽培用機械(田植機など)は1,177百万円(前期比39.5%減少)、収穫調製用機械(コンバインなど)は1,704百万円(前期比193.1

%増加)、作業機・補修用部品は2,802百万円(前期比1.0%増加)、その他農業関連は1,177百万円(前期比39.4%減少)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,645百万円減少し197,511百万円となりました。資産の部では、流動資産が前連結会計年度末に比べ4,632百万円減少し、固定資産が987百万円増加しました。主に受取手形及び売掛金の減少3,652百万円、流動資産その他の減少2,367百万円、リース資産の増加2,005百万円、建設仮勘定の減少1,380百万円、長期貸付金の増加1,587百万円、投資その他の資産その他の減少1,361百万円によるものであります。

 負債の部は、前連結会計年度末に比べ3,938百万円減少し128,259百万円となりました。主に短期借入金及び長期借入金の減少2,571百万円、仕入債務の減少1,983百万円、リース債務の増加2,101百万円、退職給付に係る負債の減少1,004百万円によるものであります。

 純資産の部は、前連結会計年度末に比べ292百万円増加し69,252百万円となりました。主に、退職給付に係る調整累計額の増加488百万円、為替換算調整勘定の減少215百万円によるものであります。

 なお、自己資本比率は34.2%となっております。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ981百万円増加し8,369百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、10,509百万円の収入(前期比2,892百万円の収入増)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,302百万円、減価償却費6,852百万円、売上債権の減少額3,528百万円であり、支出の主な内訳は、仕入債務の減少1,867百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、7,104百万円の支出(前期比2,840百万円の支出減)となりました。収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入638百万円であり、支出の主な内訳は有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出8,354百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、2,396百万円の支出(前期比4,367百万円の支出増)となりました。収入の主な内訳は、長期借入による収入12,176百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済11,902百万円によるものであります。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの主な資金需要は、部品原材料の購入及び製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用に係る運転資金のほかに、生産設備の更新や営業拠点の整備等の設備投資資金であります。

これらの資金は、自己資金及び金融機関からの借入金により調達しております。また、当社はコミットメント・ライン契約を締結し資金の流動性を高めております。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、創立100周年となる2025年の中期ビジョン「国内・海外市場で確固たる地位を築く」の実現に向けた重要なステップとして、2016年に前半5ヵ年の現中期経営計画を策定し、基本戦略及び目標数値(連結売上高1,900億円、連結営業利益90億円、ROE(自己資本利益率)8.0%以上)を定めました。重視する経営指標の進捗状況は以下のとおりであります。

 

 

2018年12月期

(実績)

2019年12月期

(実績)

2020年12月期

(計画)

連結売上高

155,955百万円

149,899百万円

156,000百万円

連結営業利益

3,179百万円

2,745百万円

3,600百万円

ROE(自己資本利益率)

1.6%

1.1%

2.5%

 

 

しかしながら、国内外とも当初想定していた事業環境に大きな変動が生じており、今後、新たな中期経営計画を策定していく予定です。

なお、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載の現中期経営計画における5つの基本戦略については、その妥当性は確かなものと考えており、今後も引き続き実行してまいります。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。なお、当社は「農業関連事業」のみの単一セグメントであるため、「農業関連事業」の製品別生産実績を記載しております。

製品区分

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

 

整地用機械

52,388

△4.5

 

栽培用機械

12,967

△9.8

 

収穫調製用機械

22,115

35.4

 

作業機・補修用部品

2,302

△15.0

 

その他農業関連

5,008

△21.5

 

合計

94,782

0.1

 

(注) 金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

主として需要見込みによる生産方式であり、受注生産はほとんど行っていないため記載をしておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は「農業関連事業」のみの単一セグメントであるため、「農業関連事業」の製品別販売実績を記載しております。

製品区分

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

 

整地用機械

50,692

△4.9

 

栽培用機械

10,226

△8.1

 

収穫調製用機械

20,296

△1.2

 

作業機・補修用部品・修理収入

43,611

0.5

 

その他農業関連

25,071

△9.0

 

合計

149,899

△3.9

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合。

相手先

前連結会計年度

(自  2018年1月1日

至 2018年12月31日)

当連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

全国農業協同組合連合会

16,711

10.7

15,051

10.0

 

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、創業以来「お客様に喜ばれる製品」の提供を企業理念の一つに掲げ、お客様に満足して使っていただける、お求めやすい商品をタイムリーに提供することをモットーに研究開発活動を展開しております。お客様のニーズに応えるため、徹底した調査に基づき、省エネ・低コスト農業、安全作業・環境保全への配慮など積極的に取り組んでおります。

国内においては、主力である稲作機械のほか、省力化ニーズの高い畑作・野菜作分野への機械化に注力しております。また、ICTやロボット技術を活用した超省力化農業、経験と感の農業から誰もができる農業、データを駆使した戦略的な農業を可能とする、スマート農業にも積極的に取り組んでおります。海外においては、北米や欧州向コンパクトトラクタ市場への対応や、中国・アセアンそして韓国やインドへの日本で培った稲作技術を活用した商品展開など、地域のニーズに対応した商品展開に積極的に取り組んでおります。

また、毎年、技術研究発表会を開催し、研究開発の成果や発明情報の共有とともに、討論を重ねグループ全体のスキルアップを図っています。

なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は1,760百万円であり、主たる研究成果は次のとおりであります。

 

農業関連事業

 

(トラクタ)

 欧州のプロ用景観整備市場では、公園などでの使いやすさから、30~40馬力のコンパクトサイズの中型トラクタの需要があります。このたび、好評をいただいています、欧州向け中型トラクタTHシリーズをモデルチェンジしました。HSTトランスミッションのサーボ化やキャビン仕様の設定、欧州ノンロードディーゼルエンジン排出ガス第5次規制適合エンジン(EU StageV)を搭載し、高性能、充実装備と高い環境性能で欧州の景観整備プロユーザを応援します。

  同じく欧州景観整備市場において、草刈から冬作業までシーンを選ばず活躍するサブコンパクトトラクタとして、プロからプライベートユーザまで幅広く好評をいただいていますTXGの後継機「TXGS24」を市場投入しました。デザインの一新に加えて、多様なニーズに対応すべく外部油圧の充実を図り、使い勝手を向上させました。

(田植機)

・ 当社は業界に先駆け「可変施肥田植機」を投入、「直進アシストシステム Operesta 搭載さなえ」を追加しスマート田植機の普及に取り組んできました。このたび市場からの要望に応え、7条植仕様を追加投入し、6条・7条・8条植がラインアップしました。GNSSとステアリングモータで構成される「直進アシスト機能」で、オペレータの疲労や運転技術の習熟にかかる時間コストを低減できます。

  (コンバイン)

 国内市場では、農業従事者の高齢化、担い手への農地集約など農家を取り巻く環境が急激に変化しつつある中、簡単な操作による作業の省力化と高能率化の要望が高まっていることから、2・3条刈クラス コンバインHZVシリーズに、高速・高能率タイプとして「フロンティア ラピッド」HVZ220(2条刈)、HVZ323(3条刈)を追加投入しました。早くてカンタン、使いやすい快速コンバインで農家の皆様を応援します。

・ 海外では、韓国市場で高性能、高品質への要望が高まっていることから、長年日本で好評をいただいています、プロ農家向けの高能率多条刈コンバインHJシリーズを市場投入しました。

 

(野菜作商品)

・ 広がりを見せる野菜作市場では、高能率で楽に作業ができる乗用半自動野菜移植機が好評をいただいています。このたび、多様な野菜の作付け及び地域特有の作付体系への適応性を向上させた、乗用2条半自動野菜移植機「ナウエルナナ」PVHR200シリーズを市場投入しました。

・ また、収穫機では、掘り取り速度の向上や、フレコンバックの取扱い性を高めた、にんじん収穫機を市場投入しました。

(スマート農業)

・ 生産性の向上に向けたICTやスマート農機の要望が高まっていることから、作業・機械管理システム「アグリサポート」と他社の農業ICTツールとの機械連携の対応機種を増やしました。各企業が取り扱う農業ICTツールの提供も含め、水稲作機械体系におけるスマート農業一貫体系の実現に貢献しました。

(その他商品)

・ 農業の大規模化に伴い、籾摺り機も4インチ、5インチクラスへのニーズが高まっています。使いやすさを追求し、進化・熟成した「スーパーメイト」MZ、MZJ、MZPシリーズを市場投入しました。

 世界で環境に対する意識が高まる中、これまでより一段と厳しい欧州ノンロードディーゼルエンジン第5次排出ガス規制(EU StageV)に適合したエンジンを開発しました。当エンジンは、今後欧州市場向けのモーアやトラクタに順次搭載します。

 

当社は、「ISEKIレポート」「知的財産報告書」等において当社グループの研究開発の考え方、活動、知的財産戦略等について情報開示を行っております。「特許行政年次報告書」(特許庁編)によれば、日本における分野別登録数(2014年までは分野別公開数)および全産業を対象とした特許査定率において、上位を維持しています。

 

(分野別登録数・分野別公開数の年度別推移)

2000~2006

2007~2014

2016~2017

2018

統計数

分野別公開数

分野別登録数

分 野

農水産

その他の特殊機械

順 位

1位

2位

 

 

2004~2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

特許査定率

91.8%

94.7%

97.0%

99.2%

97.5%

100.0%

98.1%

96.4%

順 位

1位

2位

1位

2位

 

※ 特許査定率 = 特許査定件数 / (特許査定件数 + 拒絶査定件数 + 取下・放棄件数)

  取下・放棄件数 … 拒絶理由通知後に取下げまたは放棄した件数