第2 【事業の状況】

 

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは今日まで「農家を過酷な労働から解放したい」という創業の精神を連綿と受け継ぎ、2025年には創立100年を迎えます。2026年以降の次の100年においても、当社グループが農家に最も寄り添う存在であり続けるために、2021年に策定した5か年の中期経営計画で礎づくりを実行し飛躍を果たします。

当社グループが次の100年に向けて目指す基本理念は、「『お客さまに喜ばれる製品・サービスの提供』を通じ豊かな社会の実現へ貢献する」、としています。

これからは製品の提供だけではなくサービス(情報・コト・機能など)にも注力し、お客さまに喜ばれる井関として活動を続けてまいります。


 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、事業環境が大きく変化する中で、農業機械総合専業メーカーとして培ってきた知見、経験などをコアに社会課題を解決し、新たな価値を創造するソリューションカンパニーを目指してまいります。目標とする経営指標を「2025年までに連結営業利益率5%」として企業価値向上を図ってまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

1)事業環境と課題

当社グループを取り巻く事業環境は目まぐるしく変化しております。中期経営計画策定時の環境認識に加え、新型コロナウイルス感染拡大によるサプライチェーンの混乱や原材料価格の高騰、またロシア・ウクライナ問題をはじめとした地政学リスクの高まりによるこれらの影響増幅や、エネルギー価格の高騰など先行き不透明な状況が続いております。

上記の環境認識のもと、当社グループは①需要、ニーズ変化への対応②財務体質改善・収益拡大③ESGへの取り組み強化④技術革新の実現を経営課題と認識し、長期ビジョンの実現に向けて各種施策を推し進めてまいります。


 

2)中期経営計画(2021年~2025年)

当社グループの長期ビジョンは、「『食と農と大地』のソリューションカンパニー」

~夢ある農業と美しい景観を支え、持続可能な「食と農と大地」の未来を創造する~

としています。

「農」は「食」と「大地」を守り、豊かな「人・社会」を実現しています。その「農」と「農家」を支えるのが当社グループであり、これらに関連する課題を解決していく企業であり続けたいという想いを込めています。この長期ビジョンの実現に向けて、当社グループは7つの誓いを胸に変革してまいります。

 


 

 〔当社グループの7つの誓い〕

1.Spirit   :

創業の志を受け継ぎ、食と農と大地に向き合い、ともに歩む

2.Front runner:

フロントランナーとして、画期的な製品・サービスを生み出す

3.Quality   :

上質な製品を、情熱をもって作る

4.Solution  :

お客さまの課題解決を目指し、アクションを起こす

5.Innovation  :

先端技術でイノベーションを巻き起こし、新しい価値を提供する

6.Global      :

よりグローバルに、世界の社会課題を解決する

7.Future      :

食と農と大地の明日を、未来を切り拓く

 

 

 

・基本戦略の進捗

 当社グループは長期ビジョンの達成に向けた中期経営計画の基本戦略を

 ①  ベストソリューションの提供

 ②  収益とガバナンス強化による企業価値向上

   の2つとしております



数値目標

 当社グループでは、中期経営計画の数値目標を「2025年までに連結営業利益率5%」とし取り組みを進めております。売上高に左右されることなく、収益を確実に上げられる筋肉質な会社を目指してまいります。

 中期経営計画の初年度である2021年実績は計画を達成しましたが、当期実績及び次期予想につきましては、売上高は計画を上回って推移しているものの、収益面では原材料価格高騰が影響し厳しい状況が続いております。中期経営計画の軌道へ早期に回復できるよう、取り組みを着実に遂行してまいります。


 

 

基本戦略① ベストソリューションの提供(お客さまに向けて)

<海外事業の拡大>

 当期の海外売上高は前期に続き過去最高を更新し、海外売上高比率も32.4%と上昇しました。特に欧州市場の売上高は、前期拡大した個人ユーザー層向けが引き続き堅調であったことに加え、プロ向けの景観整備商材も増加しました。また、現地販売代理店のISEKIドイツを連結子会社化したことによる増加もあり好調でした。欧州市場は環境性能を重視した製品のニーズがますます高まっている地域です。このニーズに対し、当期より電動モーアの限定販売を開始しました。今後は顧客評価等を得ながら本格投入に向けた準備を着実に進めてまいります。


 

 

 

<国内事業の展開>

 日本農業においては、農業の環境負荷低減と生産基盤強化を目指す政府方針「みどりの食料システム戦略」が展開されております。化学農薬使用量の低減や有機農業の取り組み面積割合拡大などの2050年までに目指す姿と2030年における中間目標が示されており、有機農業を軸とした環境保全型農業への積極的転換が求められております。そのような中、当社グループは環境保全型スマート農業の普及促進において、自治体・民間企業との連携を進めております。その中でも、農薬を使用せず水田における雑草の成長抑制に資する「アイガモロボ」を開発


<アイガモロボ>

する有機米デザイン社と出資業務提携をしました。「アイガモロボ」は、当期200か所以上で実証実験を実施し、結果を踏まえて仕様の見直しも行いました。次期から本格販売を開始し有機農業の推進に取り組んでまいります。

 また、農業の大規模化やスマート農業化など農業構造の変化が加速している中、これらの市場に向けた商品開発および営業戦略の展開に引き続き注力してまいります。大型農機については、大規模生産者向け高性能・高耐久「ALL Japanシリーズ」を軸として、拡販を図ってまいります。スマート農機については、GPSを活用した直進アシスト仕様の実装が進んでおります。当期においてもトラクタで同仕様の新商品を投入しました。今後もスマート農機の販売拡大に努めてまいります。サービス面でも、従来より実施している大型整備拠点の拡充や大規模農家のニーズに応える教育など引き続き強化していくことに加え、サービスの概念を「情報」にも広げてまいります。現在、デジタル技術を導入した新しい農業は着実に進化しています。これを広めていくことも当社グループの役割と考えております。スマート農機から得られたデータを活用する新しい営業サービスや商品開発を展開するなど、トータルICTソリューションによりビジネスモデルの進化を図ってまいります。

 

 

基本戦略② 収益とガバナンス強化による企業価値向上(株主、取引先、従業員に向けて)

<最適生産体制構築>

当社グループの課題である収益性については、特に国内外製造所の最適生産体制の構築を重点施策として進めております。これにより、グループ人材の最適配置および設備を有効活用し生産性の向上を図り、売上高に左右されることなく収益を確実に上げられる筋肉質への体質転換を進めてまいります。

当期においては、最適生産体制構築の一環として、海外生産子会社であるPT.ISEKIインドネシアに日本で生産していた海外製品の一部を生産移管しました。PT.ISEKIインドネシアは2014年に北米向けトラクタの生産開始以降、アセアン向け、欧州向け等の機種拡充及び生産台数の増加が続いております。海外事業拡大及び生産移管による生産台数増加への対応として、新建屋の増築を2023年3月完成予定で進めております。このPT.ISEKIインドネシアでの取り組みを足掛かりに、グローバルベースでの最適生産体制構築を加速させ、収益性の改善を図ってまいります。

 

<環境への取り組み>

当社グループは、脱炭素社会と循環型社会の実現を重要課題のひとつと位置付け、環境方針を定め環境経営を実践しております。昨今の気候変動をはじめ、脱炭素社会の実現が求められる中、本年新たに環境ビジョンを策定し、従来の環境基本方針・環境中長期目標を見直しました。今後も取り組みを一層活発化させ、持続可能な社会の実現を目指してまいります。また同時に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言にも賛同しました。TCFDに沿った情報を開示してまいります。

 


 

<人的資本、多様性に関する取り組み>

2023年2月28日開催の取締役会において人材育成方針及び社内環境整備方針を決議いたしました。引き続き、「従業員エンゲージメントの向上」と「人事の変革」をテーマとしてグループ人材力の最大化を図ってまいります。

(人材育成方針)

井関グループは、課題解決を果たすのはすべて「人」であり、企業の持続的成長と価値向上に欠かせない存在と考えています 。

先端技術やグローバル化の推進など、事業戦略の実行に向けた中核人材の確保に注力するとともに、「食と農と大地」のソリューションカンパニーの実現に向けて、DXをはじめとする教育プログラムの更なる充実により、一人ひとりの力を最大限に引き出し「変革」を起こすチャレンジ精神あふれる人材を育成してまいります。

(社内環境整備方針)

井関グループは、「従業員には安定した職場を」という社是に基づき、従業員への安全・安心な職場の提供と働きがいのある職場づくりを目指しています。

人権の尊重とコンプライアンスの徹底を前提に、当社と従業員がともに発展して行くため、エンゲージメント向上に取り組むとともに、多様性に富んだ健全で透明性の高い社内環境を整備してまいります。

 

<ガバナンスの強化に向けた対応>

ガバナンスの強化については、取締役の選解任に関する株主総会議案の提案、執行役員の選任・解任、代表取締役の選定・解職等指名に関する事項に加え、取締役及び執行役員の報酬における取締役会の諮問機関として、代表取締役2名及び独立社外取締役3名で構成する「指名報酬委員会」(委員長:独立社外取締役)を設置しております。

当社の取締役の報酬は、「固定報酬」、「賞与」および「株式報酬型ストックオプション」により構成されていましたが、2022年度より「固定報酬」、「賞与」について、「基本報酬(金銭)」、「業績連動・評価報酬(金銭)」に見直すとともに、「株式報酬型ストックオプション」の報酬制度を廃止し、新たに信託を用いた「業績連動型株式報酬」を導入しました。取締役の報酬と当社の業績および株式価値との連動性をより明確にし、取締役が株価の変動による利益・リスクを株主の皆さまと共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的としております。また、取締役会の機能のさらなる向上を目的とした取締役会実効性評価の実施など、取り組みを進めております。

重要課題(マテリアリティ)解決のための取り組みは、当社グループのESG向上に関する取締役会の諮問機関として、取締役、執行役員で構成し、独立社外取締役を委員長とする「ESG委員会」において進捗を管理しております。委員会は原則として毎月開催し、気候変動への対応や人権の尊重、従業員の健康をはじめとするグループ全体のESGに関する取り組みについてリスクと成長機会の観点から検討・審議を行っております。また、委員会にて審議した内容は取締役会に答申し、基本方針・マテリアリティその他重要な事項については、取締役会において審議・決定する仕組みとすることで、経営陣の関与強化を図っております。加えて、ESGに係る8つのワーキンググループを設置し活動を進めております。これら取り組みにより、当社グループの更なるESG向上を図ってまいります。

 


 

 

2 【事業等のリスク】

経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努めてまいる所存であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

1)

経済情勢及び農業環境の変化

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループは、農業機械の開発・製造・販売を主な事業内容としております。主な事業基盤である国内農業においては、農業従事者の高齢化、担い手不足による農家戸数の減少等の構造的な課題を抱えています。また、政府による農業政策転換等の影響に加え、天候に左右されやすい農作物の価格次第では農家の購買意欲に影響を及ぼします。

こうした農業機械市場特有の構造に加え、国内外の景気の低迷等により農業機械需要が減少した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、国内農業の抱える構造的な課題への対応として、既存の県別販売エリアをブロックに分割し、ブロック単位での営業・サービス力を強化するとともに、ブロック内の拠点や人員を最適配置し、経営効率化を図っております。ブロック内では、中核拠点を中心に営業・サービスを展開し、中核拠点は大規模農家に対応するため大型拠点化を進めております。また、農政が進める「みどりの食料システム戦略」への対応や、昨今の農産資材価格の高騰に伴い、化学肥料や農薬を使わず環境にも配慮した有機農業の作付増加が期待されます。こうした有機農業導入に資する新たな商材や、営農に関するソリューションの需要拡大が見込まれ、これらは当社グループにとって事業展開の機会でもあると分析しています。

2)

為替レートの変動

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループは、海外事業を展開し、当連結会計年度の連結売上高における海外売上高比率は32.4%です。当社グループが国内で生産し輸出する事業においては、円高に振れた場合、価格競争力の低下を招く可能性があります。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたり、現地通貨で作成される海外関連会社の財務諸表を円換算しているため、現地通貨における価値が変わらなくても、為替レートの変動による影響を受けます。外国為替相場の急激な変動が、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、為替レート変動によるリスクを軽減するため、外貨と円貨の両建てでの輸出取引や原材料および部品の海外調達を実施しています。また、為替予約の活用により短期的なリスクの軽減を図っております。

3)

原材料の価格高騰、調達難、サプライチェーンの混乱

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループは、多数の取引先から原材料や部品を調達しており、調達価格の急激な高騰や、供給逼迫の長期化、サプライヤーからの供給品に起因する当社製品の信頼性や評判低下等のリスクがあります。また、生産品の出荷・運搬に際し、輸送用コンテナやトラックの不足等から出荷が停滞するリスクがあります。リスクが顕在化した場合、サプライチェーンの停滞等に起因する生産減や出荷の停滞、製造コストの上昇による収益性の低下等が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、原材料価格高騰部分の価格転嫁、調達および出荷の両面で取引先を複数とすることや複数の輸送手段等の確保、取引先の信用情報調査や人権尊重を含むCSR調達アンケートの実施、供給遅延が懸念される部品等の早期発注、安全在庫量の確保等による安定生産・供給体制の構築を図っております。

4)

特定の取引先、調達先への依存

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループの連結売上高のうち、主要販売先上位3社の占める割合は、当連結会計年度において約23%となっております。また、当社製の製品に使用している原材料や購入部品には、調達先が特定されているものがあります。特定の販売先や調達先の方針変更や業績不振、倒産等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、特定の販売先や調達先との取引関係は安定的に継続しており、今後も取引先との定期的なコミュニケーションやトップレベルの関係性強化等を通じ、良好な関係の維持に努めてまいります。

 

 

5)

他社との競争

 

リスクの説明

リスクへの対応

国内農機市場においては、現在2025年までに担い手農家のほとんどがデータを活用する「スマート農業の社会実装」が国の政策目標として掲げられ、先端技術の導入・実証が進んでいます。市場では、スマート農業に対応する高機能製品の開発や、農業資材低減ニーズを受けた低価格化等の面で、知的財産権の獲得を含め競合他社との激しい競争が展開されております。

海外では、地域ごとに環境は異なりますが、多様なニーズや環境意識の高まりなど、事業環境は常に変化しております。

こうした環境や競争に対して当社グループがアフターサービスを含めた商品競争力を強化できなかった場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、競合他社との激しい競争による市場価格の下落等に対しては、多様なニーズに対応した製品の市場投入や、お客様への製品の販売に併せたソリューションの提案等を実施するなど付加価値を向上し、販売価格の維持に取り組んでおります。また、ICTや自動化等スマート農業関連及びカーボンニュートラルに寄与する電動化技術を含む将来型の開発テーマを増やすことで、市場での競争力向上に資する知的財産権の獲得を図っております。

海外では、環境意識の高い欧州市場向けに電動化製品の発売や、国内と市場特性が類似する東アジアでの大型・先端技術搭載製品の供給等、市場におけるプレゼンスの向上を図っております。

6)

商品やサービスの重大な瑕疵や欠陥の発生

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループの開発・製造する商品やサービスに重大な瑕疵や欠陥が発生した場合、または当社グループ及び当社製品への信頼が失われた場合、多額の損害賠償請求等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、「需要家には喜ばれる製品を」を社是の第一に掲げ、お客さまに満足いただける商品を提供するための品質管理・品質保証体制を構築しております。商品化にあたっては、次のステージへの移行可否判断(デザインレビュー)等、社内で定められたプロセスを厳格に運用し、製品の開発・生産・アフターサービスを行っております。また、品質問題の発生に備え、生産物賠償責任保険の加入等により、リスクの低減を図っております。

7)

株式市場の動向、土地およびその他の固定資産の価値下落

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループは、有価証券で時価のあるもの、および事業用の土地等を保有しております。当連結会計年度末における有価証券で時価のあるものが5,066百万円、土地が44,744百万円となっております。そのため、株価や地価が大きく下落した場合には、減損損失、評価損または売却損等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが保有するその他の固定資産等については、経営環境の著しい悪化等に伴う収益性の低下や、市場価格の下落等により減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は有価証券のうち保有目的が純投資目的である投資有価証券は保有しておりません。当社が保有する政策保有株式については、毎年、取締役会において個別の銘柄ごとに保有に伴う便益やリスク等について、定性と定量の両面から総合的に勘案のうえ、保有の意義を検証しております。検証の結果、保有意義が希薄となった政策保有株式については、売却検討対象としています。

また、当社グループの連結会社においては、製造・販売の両面で構造改革を進めております。具体的には、製造拠点では設備と特性等を勘案した最適生産体制の構築を、販売拠点では収支構造の改善等を進めております。これらの施策の進捗について、業績管理を担う部門にてトレースし、収益性の低下につながる事象を把握した場合には、適時に対応策を検討しております。

8)

環境問題等の公的規制や問題の発生

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループは、事業活動をするうえで大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理、有害物質の排除等に関する国内外の環境規制に対応するために必要な経営資源を投入しています。規制や市場の要求が厳格化した場合のコスト負担や、環境問題発生時の是正措置、訴訟等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、生産と生産以外の事業活動の両面から環境負荷の低減に努めております。国内外の環境規制に適合する商品の開発はもとより、生産面においては大気や排水に含まれる規制物質等の環境負荷データをモニタリングし、環境負荷低減に資する生産活動をしております。生産以外の事業活動面においては、環境負荷低減に資する国内での「エコ商品」の販売推進や、国内外の連結会社における廃棄物の取扱いについて法令に従い適切に対応しております。

 

 

9)

国際的な事業活動に伴うリスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループは、アジアをはじめとして海外にも拠点を持ち、また国内の生産拠点においては海外の取引先から原材料や部品を調達して生産し、製品を内外の顧客に供給しています。こうした国際的な事業活動をする上で、各国の税制・法令・貿易政策の予期せぬ変化に加え、米中関係等の国際関係の変化、台湾有事やウクライナ地域などの紛争等により、サプライチェーンや生産・営業活動が制限を受け、顧客への製品供給に支障をきたした場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループはアジア地域への事業展開に注力しておりますが、主に同地域における人材確保の困難性、未成熟な技術水準や不安定な労使関係などが、当社グループの事業展開を阻害する可能性があります。

当社グループでは、各国の税制・法令・貿易政策の変更や雇用情勢等については、現地連結会社からの情報収集と分析、関係先との情報共有を行っております。地政学的リスクについては、報道や官公庁通達の他、当社グループの海外駐在員等がその予兆を察知した場合には事業継続の可否や対応について事前に検討し、突発的な発生事象については従業員の安全を第一に対応しております。また、これらを通じて得られた情報と分析結果から、必要に応じて操業形態やサプライチェーンの見直し等を行うことにより、事業への影響の低減を図っております。

10)

法令違反リスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループの役職員が法令に違反する行為を行った場合、当社グループの信用失墜を招く他、事業活動が制限され、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、グループ全員が順守すべき「基本理念」と「行動規範」から成る「井関グループ倫理行動規範」を定め、コンプライアンスの徹底に努めております。不正および不祥事の発生を未然に防止するため、コンプライアンス担当役員が統括管理にあたり、コンプライアンスの徹底においては各本部の統括部門長等で構成するコンプライアンスワーキンググループが中心となって強化しております。
また、企業内部の問題を早期に察知し、不祥事の発生を未然に防止することを目的として、「井関グループ内部通報制度(倫理ホットライン)」を設置しており、社内窓口のほか、経営陣から独立した社外の第三者窓口を設置するなど体制を整えております。

11)

自然災害や予期せぬ事故、感染症の拡大等に関するリスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループの国内外の主要拠点において、地震、台風、水害等の自然災害、予期せぬ事故、感染症等が発生した場合、当社グループの事業活動に直接的または間接的に影響を及ぼす可能性があります。こうした自然災害や予期せぬ事故の発生、感染拡大の事態が深刻化、長期化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、火災や風水害の各種保険の付保に加え、耐震工事の実施、取引先との連携強化等により、自然災害等発生時のリスク分散を図っております。また「食」と「農」と「大地」に係るユーザーに必要不可欠な製品・部品・サービスの提供のため、事業継続計画を整備しております。修理メンテナンス、受発注・出荷、仕入・支払など事業継続のための重要業務を遂行できるよう、支援・代替策の確保等の検討を継続してまいります。不測の事態の発生時は、代表取締役社長を本部長として「対策本部」を設置し、情報収集・避難指示・支援指示を迅速に行います。

また、当社グループは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、従業員への安全面・健康面への配慮を優先しつつ、在宅勤務・分散勤務等の勤務形態の弾力化をはじめ、インターネットを活用した会議や行事運営などの継続的な実施により、事業活動への影響の低減を図っております。

 

 

12)

他社との業務提携、合弁事業及び戦略的投資

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループは、必要に応じて他社との業務提携、合弁事業、戦略的投資を行います。これらの施策は双方の経営資源を有効に活用し、タイムリーに開発、生産、販売するうえで有効な手段であると当社グループは考えております。

しかしながら、業務提携や合弁事業において、財政状態やその他の理由により、当事者間で利害の不一致が生じた場合には、提携を維持できなくなる可能性があります。また、買収等戦略的投資については、事業、技術、商品及び人材などの統合において、期待する成果や効果が得られない可能性があり時間や費用などが想定以上にかかる可能性があります。従って、これらの施策の成否は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、各地の戦略パートナー等と提携関係を進めるうえで、その効果の最大化を図るため、トップマネジメントから担当者レベルまでの各階層において緊密な連携を図っています。業務提携や投融資に際しては、その内容や金額的重要性に応じ、取締役会・経営会議等による審議や決議をしています。しかしながら、その提携が所期の効果を発揮できないと判断した場合には、提携の解消や結びつきを弱めることもあり、発生し得る経済的影響を最小限とする手段を検討しております。

13)

借入金のリスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

当連結会計年度末における当社グループの借入金の連結貸借対照表計上額は、61,103百万円と、総資産の29.6%を占めており、金融情勢が変化し借入金利が上昇した場合には、借入コストが増加し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、取引金融機関とシンジケート・ローン契約及びコミットメント・ライン契約を締結しており、これらの契約に付されている財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上返済義務が生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、収益性改善や棚卸資産の削減等によりキャッシュ・フローの創出力を高めるとともに、資金調達方法の多様化を目的とした債権の流動化により、有利子負債の圧縮を図っております。また、固定金利等の種々の借入条件を適宜組み合わせることで、急激な金利変動に備えております。

14)

人材の確保、人材不足

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループが持続的成長と企業価値の向上を果たしていくためには、それを実現する優秀な人材が必要です。そのため、事業に必要な人材の確保・育成が進まなかった場合には、長期的に当社グループの競争力が低下し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、従業員エンゲージメント向上の取り組みを強化するとともに、国籍や性別を問わず、優れた知識・能力・経験を有する人材の採用・育成を進めています。採用方法として、キャリア採用強化のほか、リファラル採用、ジョブリターン制度の導入も進めております。育成面においても、階層別教育や技術・技能伝承のためのマイスター制度等の多様な人材育成プログラムに加え、事業戦略に沿ったグローバル人材、DX人材等の育成プログラムも強化してまいります。

従業員とのエンゲージメントについては、タレントマネジメントシステムを活用し、コンプライアンス研修・人権研修・SDGs研修等の機会を設け、働きやすく健全な職場環境の整備を図っております。

15)

情報セキュリティのリスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループは、業務上必要となる個人情報を含む各種の情報をシステム上で管理しております。サイバー攻撃による不正アクセスやコンピュータウイルス感染等により、情報漏洩及びシステム停止・破損等が発生した場合、当社グループの業務の停滞に加え信用の低下を招くなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、電子情報のセキュリティや情報インフラの管理規程を整備し、サイバー攻撃・コンピュータウイルス対策の実施に加え、データセンタやクラウドサービスを活用したセキュリティ対策の強化に努めるほか、外部からの不正アクセスを常時監視するサービスの導入など、情報セキュリティ管理体制の継続的な改善を実施しております。

また、不測の事態に備えサイバー保険を付保しております。

 

 

16)

気候変動のリスク

 

リスクの説明

リスクへの対応

当社グループの事業基盤である農業において、気候変動は、作物体系の変化や農地の減少などによる需給の変動、当社グループの商品構成や販売量をはじめ事業活動全般に大きな影響を及ぼし、適切な対応ができなかった場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
気温上昇を+2℃未満に抑えるシナリオ(主として移行リスク)においては、脱炭素化に向けた政府等の規制強化による運営コストの増加や脱炭素化の進展に伴う調達コストの増加、脱炭素需要に対応できないことによる事業機会の損失等が、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、気温上昇が+4℃となるシナリオ(主として物理的リスク)においては、風水害の甚大化によるサプライチェーンを含む生産・販売拠点などの被災影響、また、平均気温上昇に伴う米の品質低下や稲作可能地域の減少等を受け、稲作用の農機需要の減少が懸念され、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、主に2℃シナリオにおいては、太陽光発電等の再生可能エネルギー活用の他、液化天然ガス(LNG)への燃料転換、また自家発電設備の排熱をボイラー等で利用するなどエネルギー構造の変更により、気候変動に影響するGHGの排出抑制を図っています。一方、脱炭素化に向けた農業機械や農法の変化は、当社グループにとって事業展開の機会でもあると分析しています。例えば、農業機械の電動化や、施肥の最適化など効率的な農作業を実施するスマート農機・ロボット農機の導入促進に加え、農業分野のGHG排出の一定割合を占める水田のメタン排出量削減に資する農法の普及や、化学肥料・農薬を使用しない有機農業の進展が見込まれ、これらに対応するためのソリューションの需要拡大が想定されます。

また4℃シナリオにおいては、事業継続計画の継続的見直し、商品構成や販売網の見直し等により、影響の抑制を図っています。一方、自然環境の変化に対応するため、ロボット農機による農作業の代替関連技術、AIによる気象データ・生育データ分析の自律化等、持続可能な農業生産基盤の構築に資するソリューションの需要拡大が見込まれ、これらは当社グループにとって事業展開の機会でもあると分析しています。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定)

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、資産・負債の評価及び収益・費用の認識について、重要な会計方針に基づき見積り及び判断を継続して行っております。重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(1) 経営成績の状況

当期における世界経済・日本経済は、新型コロナウイルス感染症対策の進展や行動制限の緩和により緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方で、国内外ともに原材料価格の高騰や、サプライチェーンの混乱による供給制約に加えてロシアのウクライナ侵攻など、先行き不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社グループは、国内では顧客対応の充実など農業構造変化への対応強化、海外では主力市場である北米、欧州、アジアでの販売強化に努めた結果、連結経営成績は以下のとおりとなりました。

〔当期連結業績〕

当期の売上高は、前期比8,437百万円増加し、166,629百万円(前期比5.3%増加)となりました。

国内売上高は前期比4,758百万円減少112,638百万円(前期比4.1%減少)となりました。農機製品はサプライチェーン混乱に伴う生産遅延や米価低迷・資材価格高騰による購買意欲減退に加え、前期にあった経営継続補助金の反動もあり減少しました。また、作業機も補助金反動により減少となりました。一方で、補修用部品及び修理整備等のメンテナンス収入は、農機製品の売上が減少する中でも前期を維持しました。

海外売上高は前期比13,195百万円増加53,991百万円(前期比32.3%増加)となり、前期に続き過去最高の売上高を更新しました。北米はコンパクトトラクタ市場が調整局面に入るも、現地在庫レベル回復に向けた当社出荷は続伸しました。欧州はライフスタイルの変化に伴う市場の動きを捉え、コンシューマー向けを中心に販売が伸長、加えて景観整備向け需要の回復に伴うプロ向け販売も増加しました。また、Iseki-Maschinen GmbHの連結子会社化による増加もありました。アジアは韓国向けが増加しましたが、中国向け半製品の出荷減などをカバーできず減少しました。

営業利益は前期比613百万円減少3,534百万円(前期比14.8%減少)となりました。各地域で価格改定を実施しましたが、原材料価格高騰影響の全てをカバーするには至らず収益を圧迫、加えて販管費も増加しました。

経常利益は前期比924百万円減少の3,762百万円(前期比19.7%減少)となりました。為替差益の増加はあったものの前期に計上した受取和解金の剥落や持分法による投資損失の拡大もあり、減少となりました。

税金等調整前当期純利益は前期比890百万円増加5,257百万円(前期比20.4%増加)となりました。減損損失の計上はあったものの、Iseki-Maschinen GmbHの連結子会社化による段階取得に係る差益及び負ののれん発生益や中国の持分法適用関連会社が実施した第三者割当増資に伴う持分変動利益など特別利益の発生により増加となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比922百万円増加4,119百万円(前期比28.9%増加)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は467百万円減少、営業利益は55百万円減少、経常利益は7百万円増加しております。 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

〔当期個別業績〕

当期の売上高は97,467百万円(前期比6.2%増加)、営業損失は839百万円(前期は営業利益854百万円)、経常利益は1,277百万円(前期比66.6%減少)、当期純損失は160百万円(前期は当期純利益2,924百万円)となりました。

 

商品別の売上状況につきましては、次のとおりであります。

〔国内〕

整地用機械(トラクタ、耕うん機など)は22,908百万円(前期比4.3%減少)、栽培用機械(田植機、野菜移植機)は7,907百万円(前期比12.9%減少)、収穫調製用機械(コンバインなど)は16,090百万円(前期比3.3%減少)、作業機・補修用部品・修理収入は42,023百万円(前期比3.1%減少)、その他農業関連(施設工事など)は23,708百万円(前期比2.8%減少)となりました。

〔海外〕

整地用機械(トラクタなど)は41,076百万円(前期比33.3%増加)、栽培用機械(田植機など)は1,467百万円(前期比34.1%減少)、収穫調製用機械(コンバインなど)は1,867百万円(前期比20.5%減少)、作業機・補修用部品・修理収入は4,892百万円(前期比33.6%増加)、その他農業関連は4,687百万円(前期比169.1%増加)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ18,806百万円増加206,491百万円となりました。資産の部では、流動資産が前連結会計年度末に比べ18,311百万円増加し、固定資産が495百万円増加しました。主に、現金及び預金の減少4,101百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加6,037百万円、棚卸資産の増加15,460百万円によるものであります。

負債の部は、前連結会計年度末に比べ13,022百万円増加134,146百万円となりました。主に、仕入債務の増加6,221百万円、短期借入金及び長期借入金の増加6,164百万円によるものであります。

純資産の部は、前連結会計年度末に比べ5,784百万円増加72,345百万円となりました。主に、利益剰余金の増加3,440百万円、非支配株主持分の増加2,564百万円によるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ4,101百万円減少10,699百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、3,375百万円の支出(前期比17,609百万円の収入減)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益5,257百万円、減価償却費6,103百万円、持分変動損益△2,544百万円、売上債権の増加額5,166百万円、棚卸資産の増加額11,444百万円、仕入債務の増加額5,455百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、2,984百万円の支出(前期比945百万円の支出増)となりました。主な内訳は、設備投資による支出4,800百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入1,573百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、2,033百万円の収入(前期比10,372百万円の支出減)となりました。主な内訳は、短期借入金の増加723百万円、長期借入による収入10,015百万円、長期借入金の返済7,078百万円、リース債務の返済による支出1,753百万円であります。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの主な資金需要は、部品原材料の購入及び製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用に係る運転資金のほかに、生産設備の更新や営業拠点の整備等の設備投資資金であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、これらの資金は、自己資金及び金融機関からの借入金により調達しております。なお、当社は、資金の流動性確保と新型コロナウイルス感染症影響の深刻化・長期化等による緊急的な資金需要が発生する場合に備え、主要取引銀行と総額20,030百万円のコミットメント・ライン契約を締結しております。

当連結会計年度末における有利子負債(リース債務含む)の残高は68,187百万円、現金及び預金の残高は10,749百万円となっております。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、長期ビジョンである「『食と農と大地』のソリューションカンパニー」の実現に向けて、2021年から2025年の5年間の中期経営計画を策定し、基本戦略及び数値目標(2025年までに連結営業利益率5%)を定めました。重視する経営指標の状況は以下のとおりであります。

 

2020年12月期

(実績)

2021年12月期

(実績)

2022年12月期

(実績)

連結売上高

149,304百万円

158,192百万円

166,629百万円

連結営業利益

2,084百万円

4,147百万円

3,534百万円

連結営業利益率

1.4%

2.6%

2.1%

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。なお、当社は「農業関連事業」のみの単一セグメントであるため、「農業関連事業」の製品別生産実績を記載しております。

製品区分

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

 

整地用機械

56,115

6.3

 

栽培用機械

14,418

5.2

 

収穫調製用機械

17,958

△1.8

 

作業機・補修用部品

1,473

△19.9

 

その他農業関連

4,955

△0.1

 

合計

94,922

3.6

 

 

(2) 受注実績

主として需要見込みによる生産方式であり、受注生産はほとんど行っていないため記載をしておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は「農業関連事業」のみの単一セグメントであるため、「農業関連事業」の製品別販売実績を記載しております。

製品区分

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

 

整地用機械

63,985

16.9

 

栽培用機械

9,374

△17.0

 

収穫調製用機械

17,958

△5.4

 

作業機・補修用部品・修理収入

46,915

△0.2

 

その他農業関連

28,395

8.7

 

合計

166,629

5.3

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合。

相手先

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至 2021年12月31日)

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

AGCO Corporation

19,414

11.7

 

前連結会計年度は当該割合が10%未満のため、記載を省略しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、創業以来「需要家に喜ばれる製品」の提供を企業理念の一つに掲げ、お客様に満足して使っていただける商品をタイムリーに提供することをモットーに研究開発活動を展開しています。お客様のニーズに応えるため、徹底した調査に基づき、省エネ・低コスト農業、安全作業・環境保全への配慮など積極的に取り組んでいます。

国内においては、ICTやロボット技術を活用した超省力化農業、経験と勘の農業から誰もができる農業、データを駆使した戦略的な農業を可能とするスマート農業にも積極的に取り組んでいます。海外においては、北米や欧州向コンパクトトラクタ市場への対応や、中国・アセアンそして韓国やインドへ日本で培った稲作技術を活用した商品展開など、地域のニーズに対応した商品展開に積極的に取り組んでいます。

また、近年は、脱炭素社会と循環型社会の実現に向けた商品開発にも積極的に取り組んでいます。2021年には開発製造本部内に「グリーンイノベーション推進室(2023年1月 グリーンイノベーション室に改組)」を新設し、電動化や水素活用など製品のゼロエミッション化技術戦略及び中長期的に取り組む研究や開発テーマの立案、商品化を進めています。

なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は1,612百万円であり、主たる研究成果は次のとおりであります。

 

農業関連事業

 

(トラクタ)

・地球の環境保全意識が高まる中、エンジンの排出ガス規制が各国にて年々強化されており、韓国の農業機械に対する排出ガス規制も、世界でトップレベルの5次規制が2022年7月より開始されています。また、農家の高齢化と農業人口減少が進む韓国において、高性能・高能率・高品質な農機のニーズが高まっています。この度、「高機能」「高能率」「高い作業適応性」を備えた大型トラクタ「TJW」「TJV」シリーズに、韓国排出ガス5次規制適合エンジンを搭載し、市場投入しました。スイッチを押すと、エンジン回転数はそのままでエンジン馬力を20%カットするグリーンモード制御を装備し、軽負荷作業などで更なる省エネ効果を発揮します。

(コンバイン)

・トラクタと同じく韓国において、長年日本でも好評をいただいています高能率大型コンバイン「HJ」シリーズに、排出ガス5次規制適合エンジンを搭載し市場投入しました。優れた湿田適応性、脱穀性能、操作性を実現し、大規模化が進展する韓国市場のニーズに応えるとともに、環境保全並びに持続可能な世界の農業へ貢献いたします。

・近年、直進アシスト機能付きのトラクタや田植機等の認知が高まり、農業機械の自動操舵を求める声が高まって来ております。当社においても直進アシストシステム「オペレスタ」を搭載したトラクタと田植機を国内市場に投入し、好評をいただいており、今回、同システムを当社フラッグシップコンバイン「HJ」に搭載し、市場投入いたしました。刈取作業に直進アシストがプラスされることにより、疲労軽減や作業精度の向上を実現します。

(田植機)

・本格10条田植機として好評をいただいているPZ103のフルモデルチェンジ機として、最高能率を誇るフラッグシップモデル“Japan”シリーズとしてPJ10を発売します。近年、担い手政策などの影響により、さらなる高機能化を図る大型田植機が求められています。10条植えによる高速・高能率作業、直進・旋回アシストによりオペレーターの疲労軽減を実現し、さらにフロントにエンジンを搭載することでバランスの最適化を図った新型10条田植機を開発いたしました

(その他商品)

2019年にEUより発表された「欧州グリーンディール」により、欧州では、持続可能な経済成長の実現と脱炭素の両立を目指し、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにするため、景観整備機械においても電動化の流れが急速に進んでいます。当社は、欧州景観整備市場において好評を頂いているディーゼルエンジン仕様の乗用モーアSXG216(14馬力のエンジンを搭載)をベース機としたリチウムイオンバッテリ搭載の電動モーアSXGE2を開発し、ゼロエミッションに対応した電動製品として欧州での限定販売を開始しました。

 

当社は、「ISEKIレポート」等において当社グループの研究開発の考え方、活動、知的財産戦略等について情報開示を行っております。「特許行政年次報告書」(特許庁編)によれば、日本における分野別登録数(2014年までは分野別公開数)および全産業を対象とした特許査定率において上位を維持し続け、2021年度は分野別登録数で第2位、特許査定率で第1位となりました。

 

(分野別登録数・分野別公開数の年度別推移)

2000~2006

2007~2014

2016~2017

2018

2019

2020

2021

統計数

分野別公開数

分野別登録数

分 野

農水産

その他の特殊機械

順 位

1位

2位

1位

2位

 

 

2004~2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

特許査定率

91.8%

94.7%

97.0%

99.2%

97.5%

100%

98.1%

96.4%

97.7%

98.7%

97.2%

順 位

1位

2位

1位

2位

1位

 

※ 特許査定率 = 特許査定件数 / (特許査定件数 + 拒絶査定件数 + 取下・放棄件数)

  取下・放棄件数 … 拒絶理由通知後に取下げまたは放棄した件数