第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、経営の基本となる考え方を示す「グループ経営理念」の下に、高品質の商品、素材、サービスを通じ、お客様に最高の利便性と快適性を提供し続ける企業として、技術基盤の向上に挑戦するとともに、資本の論理の経営を徹底し、企業価値の最大化を目指します。また、高い倫理性と公正な競争をベースとしたフェアな企業活動、タイムリーで適切な情報開示と説明責任の遂行、地球環境への積極的対応、地域社会への積極的貢献などを、グループ共通の行動指針とし徹底して実行するとともに、グループ内での情報の共有化の徹底や時々の課題解決に最適な柔構造の組織運営の徹底など、当社の良き伝統である「フラット&スピードの経営」の一層の高度化を図り、グループ全体の収益力向上、事業拡大に全力を尽くしてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

企業価値の最大化を経営の最重要課題のひとつとして位置づけ、FCF(フリーキャッシュフロー)、ROIC(投下資本利益率)、ROA(総資本利益率)、ROE(株主資本利益率)など「率の経営」指標を経営管理の重要指標として、積極的な事業展開と経営体質の強化を推進しております。特に企業価値の源泉であり、同時に全ての管理指標を向上させる総合指標としてFCFを最重視し、収益の増加、投資効率向上策にあわせて、売上債権及び在庫の徹底圧縮など運転資本面からもキャッシュフローを創出すべく取り組んでまいります。

 

(3)中期的な会社の経営戦略

2021年6月には、2025年度を目標年度とする戦略経営計画「FUSION25」を策定しました。環境・社会課題の解決に貢献しながら事業を拡大し、成長・発展し続けることをめざし、重点戦略9テーマを掲げました。成長戦略3テーマとして「カーボンニュートラルへの挑戦」「顧客とつながるソリューション事業の推進」「空気価値の創造」、既存事業強化テーマとして「北米空調事業」を設定すると同時に、経営基盤の強化に向けては「技術開発力の強化」「強靭なサプライチェーンの構築」「変革を支えるデジタル化の推進」「市場価値形成・アドボカシー活動の強化」「ダイバーシティマネジメントの深化による人材力の強化」のテーマに取り組んでおります。

 

(4)企業集団の対処すべき課題

今後の景気見通しについては、ロシアのウクライナ侵攻と日米欧など主要国による対ロシア制裁の影響を受け、世界経済のコロナ禍からの回復が停滞する可能性も指摘されています。ロシアやウクライナの希少資源の供給途絶が自動車・半導体産業の供給制約を一段と強めるうえ、賃金上昇などの要因も重なり、コストを押し上げるインフレ圧力が世界的に高まる見通しです。ウクライナ危機の長期化に伴う資源価格の高止まりにより、世界経済の停滞感が強まると見られています。

このようなリスクも踏まえ、2022年度は、事業環境の上振れと下振れの両面から複数のシナリオを想定しながら、次に挙げる6テーマへの取り組みを継続・強化してまいります。

・市場・顧客にその価値を認めていただける、差別化商品の投入による販売価格政策の推進

・業務用空調をはじめとした各事業における、販売力・営業力の強化

・積極的な投資と収益性向上を両立させながらの、固定費の効率化

・原材料市況の悪化や資源価格の高騰に対応するための、変動費コストダウンの推進

・物流経費のさらなる高騰への対応としての、物流コストの効率化

・中長期も見据えた、調達・供給力の強化

また、IEA(国際エネルギー機関)によると、新興国の発展に伴って空調需要は2050年に現在の3倍以上になると予測されております。主力事業が空調事業である当社グループにとってこれは大きな機会である一方、気候変動が世界的な課題となり「脱炭素」が求められる中、空調に伴う電力消費量や化石燃料の使用量の削減、温室効果を有する冷媒の漏洩防止などにより、温室効果ガスの排出抑制に尽力しなければ、当社グループにとってリスクとなりかねません。このため、当社グループでは、低温暖化冷媒の開発・普及、高効率空調機の開発・普及のほか、建物全体でエネルギーを効率的に活用するソリューションの創出などにより、温暖化影響の低減に取り組んでおります。2018年には、2050年に向けて安心で健康な空気環境を提供しながら温室効果ガス排出実質ゼロを目指す「環境ビジョン2050」を掲げました。また、2019年5月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。2021年に策定した2025年を目標年度とする戦略経営計画「FUSION25」の成長戦略テーマのひとつに「カーボンニュートラルへの挑戦」を掲げ、2050年に温室効果ガス排出実質ゼロに向けた中間目標を設定しました。2019年を基準年とし、未対策のまま事業成長した場合の排出量と比べ、実質排出量(=排出量―排出削減貢献量)を2025年に30%以上、2030年に50%以上の削減をめざします。

気候変動を事業継続に影響を及ぼす重要課題として、事業に与えるリスク・機会を分析し、経営戦略に反映するとともに、気候変動をはじめとした社会課題の解決に貢献しながら、さらなる成長をめざします。

一方で、例えば、医療・健康関連市場の成長といった当社グループの事業と関わりの深い市場において明るい動きも見られます。当社グループは、世の中の変化を機会と捉え、当社グループの強みを活かし、ライバルに先駆けて次々と先手を打つために、以下の観点で、次の飛躍につなげるチャレンジテーマ、イノベーションテーマに取り組んでまいります。

・「FUSION25」で掲げたヒートポンプ式暖房・給湯機、空気・換気、ソリューションなどにおける成果創出の加速

・デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に対応し、デジタル技術を活用したビジネスモデルと業務プロセスの変革

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与え、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると経営者が認識している主なリスクは以下のとおりであります。

なお、以下に記載の内容は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 市場環境に関連するリスク

①市場環境の変化に関連するリスク

当社グループは、空調をはじめとする各事業領域において、開発・調達・生産・販売・サービスなどの事業活動をグローバルに展開し、販売網強化によるシェア向上、競争力ある商品・サービスの提供、固定費削減などにより、事業拡大と収益性向上に努めております。

しかしながら、政治・外交情勢の不安定化、貿易摩擦、景気の後退、天候不順、新型コロナウイルスをはじめとした感染症のまん延などにより、当社グループが事業展開する国・地域の市場環境が悪化した場合、事業拡大・収益性向上が計画通りに進まない可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②為替相場・資金調達環境の変動に関連するリスク

当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は高く、今後もグローバル展開の加速により、海外売上高の割合がさらに増加する見込みです。連結財務諸表の作成にあたっては、各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目を円貨換算しております。従って、換算時の為替レートにより、これらの項目は、各地域の現地通貨における価値が変わらなかったとしても円貨換算後の価値が影響を受けることになります。また、部材の調達、商品やサービスについて外貨建てで取引しているものもあり、為替動向によって製造コストや売上高に影響する可能性があります。当社グループでは、これらの為替リスクを回避するため、短期的には為替予約などによりリスクヘッジを行っており、中長期的には為替変動に連動した最適調達・生産分担の構築、通貨毎の輸出入バランス化等により為替変動に左右されない体質の実現に取り組んでおります。

また、当社グループでは事業活動に必要となる資金を、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーや社債によって調達しており、経済環境が変動した際に、金融機関の貸出姿勢や資金調達市場の状況が変化し、必要な資金が調達できないリスク及び調達金利が上昇するリスクがあります。これらのリスクに備え、コミットメントラインの設定、金利スワップ等による金利の固定化などの取り組みを行っておりますが、資金調達コストが上昇し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響する可能性があります。

 

 

③有価証券の時価の変動に関連するリスク

当社グループは、戦略的観点から当社の企業価値の向上が期待できる企業の株式を保有しておりますが、株式市況の動向によっては、評価額が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響する可能性があります。

 

(2) 事業活動に関連するリスク

①技術・商品・サービスに関連するリスク

当社グループは、顧客価値・社会的価値の創出を目指し、常にお客様に満足頂ける技術・商品・サービスの開発に注力しております。しかしながら、当社グループの想定とは異なる新たな技術・商品・サービスの出現や、新規参入を含む競合激化などの急激な環境変化により、技術・商品戦略の修正や転換が必要となる可能性があります。

このような場合、新商品・サービスの投入や新たな事業の立ち上げが遅れ、競合他社や新規参入企業に対する優位性が低下し、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②買収・他社との提携等に関連するリスク

これまで当社グループは、事業のグローバル展開や品揃え・販売体制の強化などのために、既存の経営資源を活用した自前での成長に加えて、企業買収を活用してきました。今後、事業領域の拡大や事業構造の転換を加速させるためにも、提携・連携・M&Aを積極的に行ってまいります。案件の検討段階では、事業拡大に向けた戦略に留まらず、事業運営上のリスクについても検証を行うなど、案件の実行後には事業統合が円滑に進むように努めております。しかしながら、案件の実行後に、市場環境の悪化や、対象企業の経営資源が十分に活用できない、対象企業との連携が円滑に進まないなど、統合が計画通りに進まない可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③商品・サービスの品質と責任

当社グループでは、世界150カ国以上で事業を展開しており、現地のニーズに合致した商品・サービスの提供に努めております。また、各地域において厳格な設計審査と品質検査を実施し、品質・安全性の確保に万全を期しております。しかし、万一商品の安全性に関する問題が発生した場合には、顧客の安全を第一に考え、事故の発生や拡大を防止するため、修理・交換、新聞などでの告知、販売事業者等社外の関係者への情報開示など、製造物責任法に基づく責務を果たします。

これらの対策には多額の費用が発生する可能性があるため生産物賠償責任保険等に加入していますが、保険の補償限度額を超える場合やブランドイメージの低下により売上が減少する場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④調達に関連するリスク

当社グループでは、サプライヤーの経営状況の悪化、自然災害や事故の発生等の状況下においても、原材料や部品等が安定的かつタイムリーに、また合理的な価格で供給されることを確保するため、サプライヤーの複数化・自国・自地域内調達化、部品の共通化・標準化等の対応を進めております。しかしながら、上記のような対応が短期的には困難な場合があるほか、世界的な感染症の拡大や大規模災害などの想定を超えるような甚大な事象が発生した場合には、原材料や部品等の供給不足、納入遅延等が発生する可能性があります。また、サプライチェーン上において人権問題や環境問題が発生し適切に対応できなかった場合には、当社グループの社会的な信用が低下し、お客様からの取引が停止する可能性があります。

当社グループとサプライヤーは、契約により原材料や部品等の価格を決定しております。長期契約の活用など安定した価格で調達できるよう努めておりますが、急激な需給環境の変化や為替相場の変動等により、調達価格の高騰が避けられないこともあります。

これらの場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤法的規制

当社グループは、世界150カ国以上で事業を展開しており、競争法・贈賄防止法・人権や労働関係法・安全規制関連法・環境規制関連法等の世界各国・各地域の法律や規制の適用を受けております。各国において、より厳格な法規制の導入や当局の法令解釈や運用指針の変更により、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。

当社グループでは、コンプライアンスの徹底に向け、各種教育を実施するとともに、年1回、法令・規程どおりに日々の業務を行っているかをセルフチェックする「自己点検」を導入し、コンプライアンス意識を高めるとともに、監査を実施し、遵守状況を確認しております。

しかしながら、法令違反が生じた場合には、課徴金等の行政処分を受ける可能性があります。また、ブランドイメージの低下により売上が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥情報セキュリティ

当社グループは、事業を展開するにあたり、第三者の機密情報や顧客の個人情報を取得することがあり、また、当社独自の機密情報も扱っております。このため、ハッカーによる不正アクセスやサイバー攻撃を受け、個人情報や機密情報が外部へ流出したり、各拠点の生産ラインや物流システムが停止したりするなど、事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

これらの事象の発生を防ぐため、情報セキュリティシステムの強化、秘密表示の徹底、外部からのアクセス制限、社内規程の整備や教育研修などの対策を講じておりますが、そのような事態が生じた場合、多額の損害賠償金や制裁金の支払を要する場合があります。さらに、多大な対策費用を支払うことになり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 気候変動等環境に関連するリスク

気候変動はグローバルに取り組むべき社会課題の一つであり、当社グループは、「環境社会をリードする」とのグループ経営理念に基づいて、省エネ高効率空調機や低温暖化冷媒の開発・普及、建物全体でエネルギーを効率的に利用するソリューションの創出などにより、温室効果ガス(CO2・フロン)の排出を抑制し、気候変動の緩和に積極的に取り組んでおります。しかしながら、低炭素社会への移行に伴い、温室効果を有する冷媒ガスの使用・排出規制や省エネルギー規制がさらに強化される場合、規制に適合するために必要なコストが増加する可能性があります。また、仮にこれらへの十分な対応が困難であったり、遅れが生じた場合には、製品の販売に支障が出るなど、円滑な事業活動に影響が及ぶ可能性があります。物理的なリスクとしては、異常気象に伴う大規模災害発生時に当社グループの従業員、生産設備、システム、サプライチェーン等に被害が発生し、事業活動に大きな影響を受ける可能性があります。

また、当社グループでは、事業活動による環境汚染の発生を防止すべく、規制の遵守は当然のこと、より厳しい自主基準を設けるなど万全を期しております。しかしながら、当社が排出した化学物質等に起因して結果的に環境問題が発生した場合には、これに対して浄化処理、損害賠償等の対応を行う必要が生じ、そのための費用が発生する可能性があります。

以上のようなリスクの顕在化により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(4) その他

①固定資産の減損

当社グループは、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形の固定資産を計上しており、これらの資産については、減損損失の兆候の有無を判定しております。減損の兆候があると認められる場合には、将来キャッシュ・フローの総額を見積り、減損損失の有無を判定しております。判定に必要な将来キャッシュ・フローは経営計画を基礎とし、将来の不確実性を考慮して見積っております。今後の業績変動等により減損損失を認識する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、継続的な業績のモニタリングを行っており、投資に対する回収が困難となる前に対策を講じるように努めております。

 

 

②自然災害等

当社グループは、世界中に研究開発・製造・販売・サービスの拠点を有しております。近年わが国では、地震・津波・台風・豪雨などの自然災害に見舞われております。当社では、このような自然災害に備え、各事業所で施設の耐震化を進めるほか、津波・大雨・洪水等に対する対策を進めております。また、自然災害に関する防災規程を制定し、定期的に防災訓練を実施するなどにより、自然災害による影響の極小化を図っております。しかしながら、甚大な自然災害により、当社グループの従業員・生産設備・システム等に被害が発生し、事業活動に大きな影響を受ける可能性があります。海外においても、各種の自然災害のほか、テロや暴動・戦争等によって、当社グループの事業拠点だけではなくサプライチェーンや顧客が被害を受けることも考えられ、これらにより当社グループの事業活動に障害や遅延が発生する可能性があります。

さらに、感染症の拡大が当社グループの事業にとってリスクとなっております。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、当社グループでは、従業員の健康と安全の確保を第一に感染防止対策を徹底しております。また、グローバルでの調達・生産・在庫・物流の構えの強化、需要の減少や需要者の購買行動の変化に対応したオンライン販売の促進、空気質・換気への意識の高まりを捉えた換気商材の拡販、差別化商品の開発などを重要経営課題として取り組んでおり、世界各国でワクチンの接種も進展しております。しかしながら、変異株が流行するなど、新型コロナウイルス感染症の収束時期を見通すことは困難であり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当期の世界経済は、各国でワクチン接種の拡大により経済活動の再開が進みましたが、新型コロナウイルスの感染再拡大、物流網の混乱、エネルギー価格をはじめとした物価上昇などにより、成長は緩やかなものに留まりました。米国経済は、感染の再拡大やインフレ圧力の高まりがあったものの、経済政策による押上げ効果で景気は底堅く推移しました。欧州経済は、ワクチン普及に伴う経済活動の回復による家計需要が急回復していましたが、秋以降は感染再拡大や物価上昇により、需要拡大のペースが減速しました。アジア・新興国経済は、感染動向と活動制限措置により経済が左右され、国によってばらつきも見られましたが、総じて緩やかな回復に留まりました。中国経済は、前半は輸出の増加や政府の新型インフラ投資により持ち直しがあったものの、後半は感染が再拡大し、政府の厳しい活動制限が個人消費を下押しし、景気は減速しました。わが国経済は、感染拡大によるサービス消費の低迷や、供給制約を受けた生産減少により、経済成長が停滞しました。

このような事業環境のもと、当社グループは環境変化に柔軟かつスピーディーに対応し、身軽で強靭な経営体質をベースとして、変化に対して先手を打つ「攻め」と「挑戦」の姿勢で収益力の向上に努めました。具体的には、需要変動に対応した柔軟な生産・供給体制の構築、新たなニーズを捉えた新商品の拡販によるシェアの向上、原材料市況高騰を踏まえた銅からアルミへの材料置換をはじめとしたトータルコストダウンの推進、市場・顧客にその価値を認めていただける差別化商品の投入による販売価格政策の推進、固定費の削減や物流の効率化などに取り組みました。

また、2025年度を目標年度とする戦略経営計画「FUSION25」を策定し、成長戦略3テーマ「カーボンニュートラルへの挑戦」「顧客とつながるソリューション事業の推進」「空気価値の創造」をはじめとした重点9テーマの施策展開に取り組みました。

当期の経営成績については、売上高は3兆1,091億6百万円(前期比24.7%増)となりました。利益面では、営業利益は3,163億50百万円(前期比32.6%増)、経常利益は3,274億96百万円(前期比36.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,177億9百万円(前期比39.3%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。

 

①  空調・冷凍機事業

空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前期比24.4%増2兆8,284億99百万円となりました。営業利益は、前期比26.6%増2,824億4百万円となりました。

国内業務用空調機器の業界需要は、新型コロナウイルスによる影響は依然として続くものの、前期の大幅な落ち込みに比べると回復が見られ、前期を上回りました。当社グループは、空調業界の施工技術者不足の課題に応え、工事の簡素化と工事品質の安定化に対応した「VRV」や「スカイエア」シリーズの新商品を発売するなど、商品力の強化を進めました。また、全熱交換器『ベンティエール』や『業務用ストリーマ空気清浄機』など、当社グループの持つ換気・除菌機器と空調機器を組み合わせることで、顧客の抱える空気の課題に沿った環境改善提案を行いました。これら商品ラインナップの強化と提案の幅を広げたことにより、業務用空調機器の売上高は前期を上回りました。

国内住宅用空調機器の業界需要は、巣ごもり需要が一巡し、夏季の長雨や冷夏の影響による落ち込みが見られ、前期を下回りました。当社グループは、無給水加湿や給気・排気換気など独自の機能を搭載するルームエアコン『うるさらX(エックス)』の新モデル販売、細部までデザインにこだわったルームエアコン『risora(リソラ)』のモデルチェンジなど、商品力の強化を進めました。また、堅調な需要が続く空気清浄機では、当社グループ独自の空気清浄技術「ストリーマ」と、ウイルスや菌の抑制効果の高い波長の「深紫外線(UVC)LED」を搭載した『UVストリーマ空気清浄機』を新たに発売するなど商品ラインナップを強化しました。これらの取り組みにより、住宅用空調機器の売上高は前期を上回りました。

 

 

米州では、前期は新型コロナウイルス感染拡大による影響や工場が一部停止したことで、供給力に影響が出た期間がありましたが、当期は北米全体の労働者不足や部品供給の問題がある中でも供給力の向上に努めた結果、生産・販売ともに着実に伸ばしました。住宅用空調機器については、販売の増加によりシェアが向上し、また、買収による販売網強化や価格政策の着実な実行に努めた結果、売上高は前期を大きく上回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、新型コロナウイルスの影響により停滞していた市場の回復を背景に、アプライド機器の拡販に取り組むとともに、サービス事業の拡大や前期末及び当期に買収した会社が販売の増加に寄与し、売上高は前期を上回りました。

中国では、下期に入り景気は減速傾向となりましたが、年間では個人消費は堅調に推移しました。当社グループは、住宅システム商品、空気・換気商品、環境訴求商品などのラインナップを強化するとともに、これまでの強みである当社グループ独自の専売店「プロショップ」による販売に加え、オンラインを活用した販売を強化し、売上高は前期を大きく上回りました。利益面では、原材料価格の高騰や半導体不足の影響を受けましたが、高付加価値商品の拡販、コストダウン・固定費削減に取り組み、高水準を維持しました。住宅用市場では、従来の店舗での販売とオンラインを組み合わせた販売活動を推進し、新規顧客の探索や更新需要の獲得に注力しました。また、カーボンニュートラル政策の推進に伴い、ヒートポンプ式温水暖房機器などを合わせたシステム提案を強化し、住宅用マルチエアコンを大きく拡販しました。業務用市場では、店舗・オフィスなどで換気・洗浄を切り口に顧客との接点を拡大し、機器の更新や追加購入の需要を取り込みました。大型物件市場では、空気・エネルギーなどのソリューション提案を強化しました。工場向け市場では環境対策による省エネ機器への更新需要を取り込みました。アプライド空調機器市場では、半導体関連など成長分野に経営資源をシフトしたことに加え、保守・メンテナンス事業を強化しました。

アジア・オセアニアでは、5月以降はインド・マレーシア・タイ・ベトナムなどアジア各国で、7月以降はオーストラリアでも新型コロナウイルス感染再拡大に伴うロックダウンや事業活動の制限強化の影響を受け、上期は厳しい市場環境が続きました。特に業務用空調機器については、建設現場での労働者不足や新型コロナウイルス検査義務付けのため、市場全体で着工遅れや工事の中断・延期が発生する状況が続きました。下期では、行動制限の緩和や経済活動の再開が徐々に進み、インドを中心とした各国での需要回復の取り込み、オセアニアでの堅調な販売、価格政策の着実な実行などに努めました。その結果、地域全体の売上高は業務用・住宅用ともに前期を上回りました。

欧州では、期初からスエズ運河での座礁事故による物流の混乱、原材料や物流費の高騰、部品の供給逼迫、ロシア・ウクライナ情勢の悪化など、様々な事業リスクが発生し、厳しい事業環境が続きました。しかしながら、部門間の連携強化による安定した生産・供給体制、販売力・営業力の強化により、地域全体の売上高は過去最高の前期を大きく上回りました。住宅用空調機器では、フランスやスペインに加え、ドイツなどでの冷夏影響により販売が減少しましたが、ギリシャやブルガリアなどの欧州南東部での猛暑や、イタリアでの省エネ機器への補助金強化による需要増加の取り込みにより販売を伸ばしました。住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器では、各国政府のコロナ危機からの経済復興とCO2削減を目的とした補助金制度が追い風となり、ガスやオイルボイラーからの更新需要が急拡大する中、補助金申請支援などの販売力強化と最寄り工場での生産・供給力強化で需要を最大限に取り込みました。これらにより、住宅用空調・暖房機器の売上高は前期を大きく上回りました。業務用空調機器においては、11月以降に再発動されたロックダウンなどの制限強化により、オフィス・ホテルの需要回復に影響があったものの、コロナ禍で中断していた物件の需要を最大限に取り込み、販売を拡大しました。その結果、業務用空調機器の売上高は前期を上回りました。また、低温事業は、部品不足の影響を受けたものの、食品スーパー業界を中心に販売を強化し、売上高は前期を大きく上回りました。

中近東・アフリカでは、サウジアラビア・エジプト・カタールでの販売強化が牽引し、売上高は前期を上回りました。トルコでは、住宅用空調機器は、猛暑と価格改定前の駆け込み需要により販売が大きく増加し、業務用空調機器も堅調な工場・病院向け需要の取り込みを最大化しました。トルコリラ下落の影響を受けましたが、価格政策もあり円貨換算後の売上高においても前期を大きく上回りました。

 

 

フィルタ事業は、長引く新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けながらも、世界的な経済活動の再開により、需要は緩やかな回復基調になりました。米国では工場用途をはじめとした業務用市場の販売が伸び、欧州では製薬などハイエンド市場の販売が好調となりました。アジアでは半導体市場の活況により、半導体工場向け高性能フィルタの販売が好調となり、また、国内では補助金制度の後押しもあり、感染症対策機器の販売が拡大しました。ガスタービン・集塵機事業は、原油価格上昇による石油ガス業界の投資意欲の回復、環境意識の高まりを背景とした産業用集塵機の底堅い需要もあり、フィルタ事業全体の売上高は前期を上回りました。

舶用事業は、海上コンテナ冷凍装置の販売台数増加により、売上高は前期を大きく上回りました。

 

②  化学事業

化学事業セグメント合計の売上高は、前期比29.4%増2,124億24百万円となりました。営業利益は、前期比140.1%増273億1百万円となりました。

フッ素化学製品全体の販売は、新型コロナウイルスの世界的流行の影響で大きく落ち込んだ前期に対し、半導体・自動車分野を中心に広範囲での需要回復に加え、積極的な拡販施策の展開により、売上高は前期を大きく上回りました。

フッ素樹脂は、世界的な半導体・自動車関連の需要回復を捉えた拡販施策の展開により、売上高は前期を大きく上回りました。また、フッ素ゴムについても、自動車関連を中心に需要の回復が顕著となり、拡販施策の展開と同時に価格政策を実施したことにより、売上高は前期を大きく上回りました。

化成品のうち、表面防汚コーティング剤は需要の停滞が見られたものの、撥水撥油剤や半導体向けエッチング剤などの需要が回復したことにより、化成品全体の売上高は前期を上回りました。

フルオロカーボンガスについては、価格政策の着実な実行や拡販施策に努め、売上高は前期を大きく上回りました。

 

③  その他事業

その他事業セグメント合計の売上高は、前期比23.1%増681億82百万円となりました。営業利益は、前期比60.9%増66億47百万円となりました。

油機事業では、産業機械用油圧機器は、国内市場では工作機械向けを中心に販売が増加したことに加え、アジア・欧米向けの販売も増加したことにより、売上高は前期を大きく上回りました。また、建機・車両用油圧機器は、国内及び米国主要顧客向けの販売が増加したことにより、売上高は前期を大きく上回りました。

特機事業では、防衛省向け砲弾の受注増加と、新型コロナウイルス感染拡大に伴う酸素濃縮装置及びパルスオキシメータ(採血することなく血中酸素飽和度を簡易に測定できる医療機器)の需要の増加を取り込んだことにより、売上高は前期を上回りました。

電子システム事業では、大手企業を中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が追い風となり、顧客のIT投資需要が増加しました。品質課題の解決・設計開発期間の短縮・コストダウン支援といった顧客ニーズに合致した設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』と、その関連商品『Smart Innovator(スマートイノベーター)』の販売が堅調に推移し、売上高は前期を上回りました。

 

総資産は、3兆8,239億98百万円となり、前連結会計年度末に比べて5,843億35百万円増加しました。

流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて4,322億62百万円増加し、2兆1,656億23百万円となりました。

固定資産は、建物及び構築物の増加や円安による為替換算の影響を受けたこと等により、前連結会計年度末に比べて1,520億73百万円増加し、1兆6,583億74百万円となりました。

負債は、支払手形及び買掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,747億20百万円増加し、1兆8,158億88百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替の変動によるその他の包括利益累計額の増加等により、前連結会計年度末に比べて3,096億14百万円増加し、2兆81億9百万円となりました。

 

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の51.4%から51.5%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の5,691.85円から6,729.73円となりました。

また、有利子負債については、短期借入金の増加等により、前連結会計年度に比べて736億60百万円増加し、8,248億73百万円となりましたが、総資産の増加により有利子負債比率(有利子負債/総資産)は、23.2%から21.6%となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動では、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度に比べて1,296億19百万円収入が減少し、2,450億71百万円の収入となりました。投資活動では、子会社出資金の取得による支出の増加等により、前連結会計年度に比べて211億23百万円支出が増加し、1,807億89百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の減少等により、前連結会計年度に比べて1,476億40百万円収入が減少し、486億98百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べて2,840億51百万円減少し、571億22百万円のキャッシュの増加となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

空調・冷凍機事業

2,205,755

28.5

化学事業

207,659

35.1

その他事業

63,755

26.4

合計

2,477,171

29.0

 

(注) 1  金額は販売価格によっております。

 

(2) 受注状況

当社グループの製品は、大部分見込み生産であるため、受注高及び受注残高の記載は省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

空調・冷凍機事業

2,828,499

24.4

化学事業

212,424

29.4

その他事業

68,182

23.1

合計

3,109,106

24.7

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  いずれの相手先についても総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

以下に記載の内容については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上については、現況や過去の実績に基づいた合理的な基準による見積りが含まれております。

なお、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

(2) 財政状態

①資産

総資産は、3兆8,239億98百万円となり、前連結会計年度末に比べて5,843億35百万円増加しました。

流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて4,322億62百万円増加し、2兆1,656億23百万円となりました。

固定資産は、建物及び構築物の増加や円安による為替換算の影響を受けたこと等により、前連結会計年度末に比べて1,520億73百万円増加し、1兆6,583億74百万円となりました。

 

②負債及び純資産

負債は、支払手形及び買掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,747億20百万円増加し、1兆8,158億88百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替の変動によるその他の包括利益累計額の増加等により、前連結会計年度末に比べて3,096億14百万円増加し、2兆81億9百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の51.4%から51.5%になり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の5,691.85円から6,729.73円となりました。

 

(3) 経営成績

①売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比24.7%増3兆1,091億6百万円となりました。

空調・冷凍機事業では、新型コロナウイルス感染再拡大などの影響を受けましたが、差別化商品の投入による販売価格政策の推進など収益力の向上に努め、売上高は前連結会計年度比24.4%増2兆8,284億99百万円となりました。

化学事業では、半導体・自動車分野を中心とした需要回復を捉えた拡販施策の展開や価格政策を実施したことなどにより売上高は前連結会計年度比29.4%増2,124億24百万円となりました。

その他事業全体では、産業機械用油圧機器や建機・車両用油圧機器において需要回復を捉えた販売の拡大などにより、売上高は前連結会計年度比23.1%増681億82百万円となりました。

 

②営業費用、営業利益

売上原価は、前連結会計年度比25.9%増加し、2兆517億67百万円となりました。

販売費及び一般管理費については、前連結会計年度比18.5%増加し、7,409億87百万円となりました。人件費の増加が主な要因であります。

以上の結果、営業利益は前連結会計年度比32.6%増3,163億50百万円となりました。

なお、セグメントの営業損益については、空調・冷凍機事業では、前連結会計年度比26.6%増2,824億4百万円の営業利益となり、化学事業では、前連結会計年度比140.1%増273億1百万円の営業利益となり、その他事業は前連結会計年度比60.9%増66億47百万円の営業利益となりました。

 

③営業外損益、経常利益

営業外損益は、為替差益が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて95億20百万円増加し、111億46百万円のプラスとなりました。

経常利益は、前連結会計年度比36.3%増3,274億96百万円となりました。

 

 

④特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

特別損益は、投資有価証券売却益が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて22億65百万円増加し、5億59百万円のプラスとなりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比39.3%増2,177億9百万円となりました。

 

(4) キャッシュ・フロー

営業活動では、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度に比べて1,296億19百万円収入が減少し、2,450億71百万円の収入となりました。投資活動では、子会社出資金の取得による支出の増加等により、前連結会計年度に比べて211億23百万円支出が増加し、1,807億89百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の減少等により、前連結会計年度に比べて1,476億40百万円収入が減少し、486億98百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べ2,840億51百万円減少し、571億22百万円のキャッシュの増加となりました。

 

当社グループでは、投資は成長の基盤と考えており、投資によって事業拡大を図るとともに、財務体質の強化、企業価値の一層の向上と株主への利益還元の向上を図ってまいります。具体的には、新製品に対応した設備投資、生産性向上・生産能力拡大のための投資などに加え、各戦略的投資を実行し、グローバルでの事業拡大及び競争力強化を図ってまいります。これらの投資に必要な資金は内部留保の蓄積を基本とした自己資金に加え、必要に応じ、金融機関からの借入や社債等で調達します。当連結会計年度では、営業活動によるキャッシュ・フロー(2,450億71百万円)が、投資活動によるキャッシュ・フロー(1,807億89百万円)を上回りました。

株主への配当は、安定的かつ継続的に実施していくことを基本に、連結純資産配当率(DOE)3.0%を維持するように努めるとともに、連結配当性向についてもさらに高い水準を目指していくことで、株主への還元の一層の拡充に取り組んでまいります。

 

キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

 

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

52.4

52.4

53.8

51.4

51.5

時価ベースの自己資本比率(%)

138.6

140.5

144.5

201.6

171.5

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)

2.5

2.3

1.8

2.0

3.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

20.9

21.2

25.6

39.3

27.7

 

 

(注)  自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

提出会社

(1) 合弁契約

 

相手先

国名

契約内容

契約期間

中蛍集団有限公司

中華人民共和国

無水フッ酸の製造・販売に関する合弁契約

自  2007年8月14日
至  合弁会社設立から50年後

珠海格力電器股有限公司

中華人民共和国

空調機用基幹部品の製造・販売に関する合弁契約

自  2009年2月18日
至  合弁会社設立から20年後

珠海格力電器股有限公司

中華人民共和国

金型の製造・販売に関する合弁契約

自  2009年2月18日
至  合弁会社設立から20年後

ダンフォス パワー ソリューションズ インク

アメリカ合衆国

建機車両用油圧機器の製造・販売に関する合弁契約

自  2012年10月30日
至  定めなし

 

 

 

5 【研究開発活動】

環境・社会貢献の重要性が増し、空気・換気に対する関心が高まるなど、外部環境は急速に変化しています。こうした変化に対応し事業拡大を支えるために、当社グループではテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)を中心に、FUSION25で掲げた成長戦略に関わる技術領域・テーマに取り組んでおります。

さらに、当社独自のコア技術の高度化に加えて、外部との協創による技術獲得にも取り組んでおります。2020年度には、同志社大学との「包括的連携協力」に基づき、温室効果ガス排出の削減に向け、両者でCO2の回収・分解・再利用技術の実用化や、空調機器のさらなる高効率化に取り組みました。また、世界的な空気質ニーズの高まりを受け、換気機器向けの「透湿膜全熱交換エレメント」及び大型空調機向けの「低圧力損失エアフィルタろ材」を株式会社ダイセル様と共同で開発しました。2021年度には、鳥取大学との「包括連携協定」に基づき、乾燥地に適した空調システムのコンセプト作りに取り組みました。また、富士フイルム株式会社様と共同で空調機器の新たな静音化技術を開発しました。

既に提携している東京大学や中国の清華大学、スタートアップ企業などとの産官学連携を推進し、協創することでイノベーションを生み出し、環境・社会課題の解決、事業拡大に取り組んでまいります。

グローバルに広がる研究開発基盤を活用したこれらの取り組みにより、研究開発の大幅な効率化とスピードアップを図り、グローバル各地域で差別化商品を生み出してまいります。

 

当連結会計年度におけるグループ全体の一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費は、81,535百万円であり、当連結会計年度における各事業別の主要な取り組みと成果及び研究開発費は次の通りであります。

 

①  空調・冷凍機事業

国内空調事業においては、暮らしや、働き方の変化に対応した安心で快適な空気環境づくりを目指しております

住宅用市場における空調機器では、給気だけでなく排気もできる当社独自の換気機能と、春先や秋口の肌寒い時期でも快適な除湿を可能にする業界初の除湿制御を採用したルームエアコン『うるさらX』を2021年10月より発売しました。換気、除湿、空気清浄に焦点を当てた新機能で、より幅広い季節における安心で快適な空気環境づくりに貢献します。

また、業界一の薄さを実現したルームエアコン『risora(リソラ)』を2022年3月から発売しております。185㎜の薄さと、デザインが豊富な正面パネルでお部屋に溶け込み、見た目にも心地よい空間をつくります。

住宅用給湯では、『ダイキンエコキュート2022年モデル(W型)』を2021年12月に発売いたしました。スマートフォンアプリとの連携で利便性を向上させたほか、業界最高※1の給湯圧力でシャワーや洗い物を快適にします。エコキュートは、ヒートポンプ方式を採用した高効率な給湯機です。家庭でのエネルギー総消費量の約4分の1※2を占めると言われる給湯にヒートポンプを活用することは、世界がカーボンニュートラルの達成を目指すうえで重要な取り組みのひとつです。当社は、暮らしのニーズや社会のニーズに対応しながら、快適で省エネな暮らしを実現する給湯機を提供してまいります。

飲食店舗やオフィス等の不特定多数が利用する施設においては、引き続き「換気」や「ウイルス抑制」に対する需要が続いております。当社は業界に先駆け、後付け設置ができる全熱交換器ユニット『露出設置形ベンティエール』を2020年9月に発売しました。この『露出設置形ベンティエール』は既存建物への追加設置時に発生する天井の張替工事が不要になるだけでなく、天井面や内壁、軒下など様々な設置方法ができるため、より換気機器の導入が容易になります。また、業界初となる屋外設置が可能な「屋外設置形」、天井内にスペースがない学校等への後付けに適した「天井吊形」、小空間にも対応可能な「露出設置形(150㎥/hタイプ)」の3商品を2021年5月から随時発売し、後付け設置ができる換気機器の品揃えを拡充しております。

窓が無い小空間や会議室など、換気しにくい空間でも短時間でウイルス抑制効果を発揮する『UVストリーマ空気清浄機』を2021年4月より発売しました。本商品は、ウイルスや菌の抑制効果が高い波長265nmの深紫外線を照射するUVC LEDを旭化成株式会社様と協業し、業界で初めて空気清浄機に採用しました。さらにUVCを搭載した機種を拡充し、加湿も可能な『UV加湿ストリーマ空気清浄機』、大空間でも使用できる『UVパワフルストリーマ空気清浄機』、空調組み込み可能な『UVストリーマ除菌ユニット』、天井に設置可能な『天井埋込カセット形UVストリーマ空気清浄機』の4機種を2021年12月より順次発売し、人が集まる様々な空間での除菌ニーズに応えてまいります。

業務用市場では、ビル用マルチエアコン「VRV」、店舗・オフィス用エアコン「スカイエア」、店舗・オフィス用マルチエアコン「machiマルチ」シリーズの新機種を2021年10月に発売いたしました。IoTを活用して冷媒漏えいを日々診断・記録する「冷媒漏えい検知機能」を標準搭載し、業務用空調におけるカーボンニュートラルへの対応を強化しております。また「VRV」シリーズでは空調と換気をシステム制御することでさらなる省エネ性の向上が可能となりました。

さらに、コロナ禍で人々の空気質への関心が非常に高まっていることを受け、「VRV」「スカイエア」「machiマルチ」の室内機には「清潔アルミフィン」「抗菌・防カビフィルター」を搭載し、室内の清潔性を向上します。また、近年ワーキングスペースや飲食店の個室化が進んだことを受け、「machiマルチ」には業界最小容量(定格冷房能力1.6kW)の室内機を新たにラインナップしました。今後も時代に合わせたニーズに対応しながら、幅広い製品ラインナップで人々が快適で安心して過ごせる環境を提供してまいります。

アプライド機器においては、国内では、低GWP冷媒R32を採用した空冷チリングユニットを2021年2月に発売しました。工場市場で需要の多い5-30馬力帯の空冷チラーでのR32採用は、国内アプライド業界で初となります。低GWP冷媒採用に加え、業界トップクラスの省エネ性の実現と制御性向上により、カーボンニュートラルの実現並びに産業用途における利便性向上に貢献してまいります。

北米では、ダイキン独自開発のインバータスクロール圧縮機を搭載したルーフトップユニットを2021年4月に上市しました。従来に比べて、空調負荷に応じた細かな調整により、エネルギー消費量を削減します。同時に、温湿度等を高精度で制御し快適性の向上を実現します。また、2021年9月には、吸着式換気技術を業界初でルーフトップユニットに導入しました。二酸化炭素や揮発性有機化合物等を吸着剤で除去することにより、少ない換気量で通常品同等以上の室内空気室を提供します。

欧州では、2021年7月に低GWP冷媒R1234zeを採用したターボチラー、2021年10月に低GWP冷媒R32を採用した小型インバータスクロールチラーをそれぞれ上市しました。昨年度に引き続き、代替冷媒への対応で業界をリードしています。

中国では、2021年12月に90度までの給湯が可能な空冷インバータチラーを上市し、メッキや印刷などの産業用途まで、アプライドヒートポンプの適用範囲を拡大しました。

 

※1 ダイキン調べ 2021年11月18日現在 水道直結方式を除く高圧機、標準圧機それぞれのカテゴリーにおいて

※2 資源エネルギー庁「エネルギー白書2020」より

 

空調・冷凍機事業に係る研究開発費は、71,507百万円であります。

 

②  化学事業

化学事業の研究開発は、豊富なフッ素素材や多岐にわたるフッ素化学関連技術を元に新商品開発及び用途開発を行っております。
  フッ素樹脂、ゴムではフッ素材料の得意とする耐熱性や耐薬品性、誘電特性などを活かし、自動車、半導体、ワイヤー&ケーブル(IT分野)などでの差別化新商品研究を行っております。フッ素の非粘着性、耐薬品性を活かしたコーティング材料開発、撥水撥油性を活かしたテキスタイル処理剤、カーペット処理剤の開発、さらには含フッ素化合物の機能性を活かした情報通信・情報端末用材料の開発や、医薬中間体の受託合成研究など、フッ素に関する幅広い研究開発を行っております。これらの開発に加え、周辺事業領域の研究開発や用途開発としてはフィルムなどの加工品や他素材との複合材料開発を、先端材料研究としてはメディカル分野、光学分野、環境分野、電池エネルギー分野などで新たな部材・デバイスビジネスの探索を進めることによってフッ素化学グローバルNo.1、オンリーワンのケミカルソリューション事業展開を目指しております。特に車載電池分野では、グローバルで連携し市場の更なる開拓に注力します。また、SDGsの観点で、様々な環境対応型商品開発を推進しております。
  これらの研究開発を加速・推進するべく、化学事業部では新商品開発の確実な実行を担い、TICにおいては、化学事業につながる次世代テーマの探索を実施しております。

 

化学事業に係る研究開発費は、8,013百万円であります。

 

③  その他事業

油機関連では、油圧技術とインバータ技術を融合させた商品であるハイブリッド油圧システムの特徴を活かし、従来の油圧システムではなし得ない省エネ性と高機能を実現しております。また、国内外での採用拡大に取り組む中低圧・小容量市場に加え、高圧・大容量市場への用途開発を進めております。

工作機械向けの『エコリッチ』やプレスなどの産業機械向けの『スーパーユニット』は工場の電力削減の切り札として省エネ性で高い評価を得ており、低騒音、発熱低減、タンク油量削減による作業環境改善や環境負荷低減にも寄与しております。

また、工作機械などの設備や加工品の発熱を取り去ることで機械加工精度の向上に役立つ『オイルコン』は、高精度温調・省エネ性で高い評価を得ており、グローバルでの採用拡大に取り組み、異電圧電源対応など地域特性に合わせた機種シリーズの開発を進めております。

このように従来の油圧システムに加えて、その枠を超えた先進的な環境対応商品をグローバルに提供する商品と技術の開発を進めております。

特機関連では、主に防衛省向け砲弾・誘導弾弾頭と医療・ヘルスケア機器に関する研究を行っております。医療機器については在宅酸素療法に使用する酸素濃縮装置の新機種開発、ヘルスケア機器については低酸素空間でのフィットネスを実現する低酸素発生装置の開発を行っております。

 

その他事業に係る研究開発費は、2,014百万円であります。