第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、経営の基本となる考え方を示す「グループ経営理念」の下に、高品質の商品、素材、サービスを通じ、お客様に最高の利便性と快適性を提供し続ける企業として、技術基盤の向上に挑戦するとともに、資本の論理の経営を徹底し、企業価値の最大化を目指します。また、高い倫理性と公正な競争をベースとしたフェアな企業活動、タイムリーで適切な情報開示と説明責任の遂行、地球環境への積極的対応、地域社会への積極的貢献などを、グループ共通の行動指針とし徹底して実行するとともに、グループ内での情報の共有化の徹底や時々の課題解決に最適な柔構造の組織運営の徹底など、当社の良き伝統である「フラット&スピードの経営」の一層の高度化を図り、グループ全体の収益力向上、事業拡大に全力を尽くしてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

企業価値の最大化を経営の最重要課題のひとつとして位置づけ、FCF(フリーキャッシュフロー)、ROIC(投下資本利益率)、ROA(総資本利益率)、ROE(株主資本利益率)など「率の経営」指標を経営管理の重要指標として、積極的な事業展開と経営体質の強化を推進しております。特に企業価値の源泉であり、同時に全ての管理指標を向上させる総合指標としてFCFを最重視し、収益の増加、投資効率向上策にあわせて、売上債権及び在庫の徹底圧縮など運転資本面からもキャッシュフローを創出すべく取り組んでまいります。

 

(3)中期的な会社の経営戦略

当社グループでは、2021年に、2025年度を目標年度とする戦略経営計画「FUSION25」を策定しました。環境・社会課題の解決に貢献しながら事業を拡大し、成長・発展し続けることを目指し、重点戦略9テーマを掲げました。成長戦略3テーマとして「カーボンニュートラルへの挑戦」「顧客とつながるソリューション事業の推進」「空気価値の創造」、既存事業強化テーマとして「北米空調事業」を設定すると同時に、経営基盤の強化に向けては「技術開発力の強化」「強靭なサプライチェーンの構築」「変革を支えるデジタル化の推進」「市場価値形成・アドボカシー活動の強化」「ダイバーシティマネジメントの深化による人材力の強化」のテーマに取り組んでおります。

2023年には「FUSION25後半3ヵ年計画」を策定し、実行を開始しました。経営環境の足元の変化と中長期的なトレンドをチャンスと捉え、重点テーマへの取り組みを強化するとともに、「インドの一大拠点化」「高機能・環境材料事業」などを新たなテーマとして加え、経済価値・環境価値・社会価値の創造を加速させてまいります。

 

(4)企業集団の対処すべき課題

今後の世界経済については、欧米インフレ圧力の鈍化やゼロコロナ政策の解除・新型コロナ感染症の収束による中国経済の正常化に加えて、内需拡大を背景とした堅調なインド経済が世界経済の下支え役となり、世界経済の底割れは回避できる見通しです。ただ、米国と欧州については大幅な利上げの反動で実体経済が減速・後退に向かうとの懸念がくすぶります。

こうした経営環境の下、2023年度は、収益力の再強化に取り組むとともに、カーボンニュートラルへの世の中の流れをチャンスとした事業構造の改革を推進してまいります。具体的なテーマは以下の通りであります。

・カーボンニュートラル・省エネに資する商品・サービスによる、業務用途・住宅用途での当社シェアの向上

・用途や市場ごとの付加価値提供による、ソリューション事業の収益拡大

・市場環境の変化に柔軟・迅速に対応が可能な、強靭なサプライチェーンの構築

・市場・顧客のニーズにミートした差別化商品の投入による、販売価格政策の推進

・変動費・物流費低減、材料置換、生産性向上など、グローバル横断でのコスト力強化

・積極的な投資を行いながら収益を向上させるため、デジタルを活用した経営基盤強化による固定費の削減

・実行してきた買収案件・生産能力増強投資の成果創出

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、経営の基本的な考え方「グループ経営理念」を前提として、戦略経営計画「FUSION」によってグループの発展の方向を5年ごとに定めるとともに、サステナビリティの重点テーマを特定しています。重点テーマのうち、とりわけ重視しているのが環境(気候変動対応)と人材(人的資本)です。

気候変動対応については、長期的視野に立ち、深刻化する地球環境課題の解決に貢献するため、2018年度に「環境ビジョン2050」を策定しました。また、2019年5月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。環境ビジョンを踏まえながら、戦略経営計画「FUSION」で目標・施策を立案、実行し、事業を通じた社会課題の解決に取り組むことで社会の持続可能な発展に貢献します。

また人的資本については、当社の発展・成長を担う人材をタイムリーに確保・配置・育成していくことが当社の重点課題と捉え、戦略経営計画「FUSION25」の経営基盤強化テーマの一つに「ダイバーシティマネジメントの深化による人材力強化」を定め取り組んでおります。

気候変動・人的資本等サステナビリティの詳細につきましては当社ホームページにて開示しておりますサステナビリティレポートをご参照下さい。当該開示資料は以下のURLからご覧いただくことができます。

https://www.daikin.co.jp/csr/report

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(サステナビリティ共通)

ガバナンス

サステナビリティを経営の重要課題のひとつと捉え、CSR担当役員を委員長とする「CSR委員会」が、活動の方向付けと進捗管理を担っております。

「CSR委員会」では、従来のスタッフ部門であるCSR・地球環境センターに加え、経営企画室や経理財務本部が共同で事務局を担い、グループのサステナビリティを統括的・横断的に推進しております。環境(気候変動対応)や人材(人的資本)をはじめとした重点テーマそれぞれの担当役員を委員として年1回開催、社会動向や重点テーマの進捗状況、推進課題について共有し議論しております。委員会の決定事項は「取締役会」に報告されます。

 

戦略

当社グループは、事業を通じて社会の課題解決と持続的発展(サステナビリティ)に貢献するために新たな価値創造に向けたマネジメントを行っております。

経営の基本的な考え方「グループ経営理念」を前提として、戦略経営計画「FUSION」で、グループの発展の方向を5年ごとに定め、それに基づく全社重点戦略と定量目標・実行計画を設定し行動しております。また、2018年度には長期的視野に立ち、深刻化する地球環境課題の解決に貢献するために「環境ビジョン2050」を策定しました。環境ビジョンを踏まえながら、戦略経営計画「FUSION」で目標・施策を立案、実行し、事業を通じた社会課題の解決に取り組むことで社会の持続可能な発展に貢献します。

 

リスク管理

戦略リスクは、当社の主要な経営会議体である「最高経営会議」や「執行役員会」などで、経営幹部が審議しております。財務報告の内部統制リスクおよびオペレーションリスクは、代表取締役社長兼CEOを委員長とする「内部統制委員会」にて、年2回、グループのリスクマネジメントを含めた内部統制全体について、適切に機能しているか点検・確認しております。その上で、PL・品質、安全、生産・販売活動、労働慣行、災害等をはじめとするオペレーションリスクについて「企業倫理・リスクマネジメント委員会」にてグループ横断的なリスク対応策を推進・管理しております。

 

指標及び目標

自社と社会の2軸で影響評価を分析した結果と戦略経営計画「FUSION25」を踏まえて、サステナビリティに関する重要なテーマについて、指標と目標を定めて推進しております。指標と目標の詳細は「サステナビリティレポート」をご参照ください。

 

(気候変動)

ガバナンス

・CSR担当役員を委員長とする「CSR委員会」で、気候変動を含めた環境に関するリスク・機会、取り組み方針、目標についての議論や実績の進捗を確認しております。

・特に気候変動は、空調事業を主力とする当社グループの重要課題であり、「カーボンニュートラルへの挑戦」を戦略経営計画「FUSION25」の成長戦略テーマの一つに位置付け、定期的に進捗を取締役会に報告しております。

 

戦略

・国際エネルギー機関(IEA)の論文「The Future of Cooling」などにもとづき気候関連シナリオの分析を実施しております。

・空調需要は、2050年に現在の3倍以上に拡大すると予測されており、空調に伴うエネルギー規制強化や高い温室効果を有する冷媒に対する規制強化などがリスクとなり得る一方、当社グループが強みとする環境性に優れた製品・サービスを拡大する機会にもつながります。

・2050年温室効果ガス排出実質ゼロをめざす「環境ビジョン2050」を掲げ、その実現に向けた温室効果ガス排出削減目標と主な施策を、戦略経営計画「FUSION25」で具体化しております。

 

リスク管理

・シナリオ分析にもとづき、世界各地域の事業拠点から気候関連リスクを収集し、優先度を評価して、戦略に反映すべき気候関連リスクを特定しております。

・気候関連リスクを事業戦略に大きな影響を与えるリスクの一つとして認識し、全社リスクマネジメントプロセスに統合しております。

・代表取締役社長兼CEOを委員長とする「内部統制委員会」で全社リスクの管理状況について確認し、「取締役会」に報告しております。

 

指標及び目標

・「環境ビジョン2050」で、2050年に温室効果ガス排出実質ゼロをめざします。

・戦略経営計画「FUSION25」で、当社事業による温室効果ガス実質排出量削減目標「2019年を基準年とし、未対策のまま事業成長した場合の排出量と比べ、実質排出量(=排出量―排出削減貢献量)を2025年に30%以上、2030年に50%以上の削減」を設定しております。

 

(人的資本・多様性)

戦略

 (1)人材育成の方針

・当社はグループ経営理念に「一人ひとりの成長の総和がグループ発展の基盤」と掲げ、企業の競争力の源泉は「人」であり、変革の担い手は「人」以外にあり得ないという信念を徹底して貫いてきました。

・人材育成については、「人は仕事の経験を通じて成長する」という考えのもと、一人ひとりの適性を見極めて仕事を任せチャレンジするOJTを軸とした人材育成を展開しております。そのうえで、OJTを補完するものとして、Off-JTも含めた育成の機会の充実を図っております。

・例えば、当社の戦略・事業の方向性、時代変化も踏まえ、グローバル事業の第一線で活躍できる経営幹部層を育成する「ダイキン経営幹部塾」、若手をグローバル人材として育成するための「海外拠点実践研修」、AI分野の技術開発などを担う人材を育成する「ダイキン情報技術大学」など、必要な領域ごとに対象者を選抜した多様な育成策を展開しております。さらには、各大学との連携強化を通じた人材育成と多様な専門性・経験の取り込みによる新たな価値の創造など、積極的な人材への投資を行っております。

 

 (2)社内環境整備

・世界170ヶ国以上で事業展開し、2022年度の海外売上高比率は83%となっております。グループ従業員約9万6千人のうち、海外従業員比率は8割を超えております。

・グローバルでの提携・連携、M&Aなどにより事業が急拡大し、ダイキングループを構成するメンバーや価値観が多様性を増す中、国籍・年齢・性別等に関わらず、一人ひとりの個性や強みを組織の力とするダイバーシティマネジメントは、ダイキンの最大の強みであると考えております。

・外部環境が大きく変化する中、当社の持続的な成長・企業価値の向上を実現し続けるためには、企業活動の担い手である「人材」が今後ますます重要になります。これまで当社が実践してきたダイバーシティマネジメントにさらに磨きをかけていくとともに、目に見える属性だけではなく、多様な経歴、仕事経験、バックグラウンド、働き方、価値観などに注目し、組織の力にしていくことが不可欠であります。

そのため当社では、戦略経営計画「FUSION25」において「ダイバーシティマネジメントの深化による人材力強化」を経営基盤強化テーマの一つと定めるとともに、多様性に富む組織を束ね、イノベーションを起こす組織づくりを加速する経営幹部・ビジネスリーダーの配置・育成に取り組んでおります。

 

指標及び目標

 (1)経営幹部・ビジネスリーダーの育成

・変化の激しい市場環境に対応し、さらなる成長・事業拡大を加速するためには、永年培ってきた当社の良さ、強みにさらに磨きをかけ、新たな価値創造につなげる力を身につけ、グローバル事業の第一線で活躍できる幹部人材を継続的に育成することが重要となります。

・ダイキンでは、今後のグローバルでの成長・発展を担う経営幹部・ビジネスリーダーの育成をグループ全体で実施しております。育成対象を役員、事業部長・部長クラス、課長・リーダークラスの3層に分け、それぞれ専用の育成プログラムを実施しております。同時に各地域・拠点での幹部・リーダー育成策も実施しております。

 


 

目標:幹部・リーダー育成プログラム参加人数  年間50名前後

実績:58名(2022年度実施人数)

 

 

 (2)海外拠点の経営幹部への登用

・当社は、急速に海外事業を拡大する中で、現地の文化を認め、地域に密着したビジネス展開ができるよう、積極的に権限委譲を進めてきました。現地従業員の現地経営幹部への登用を積極的に進め、海外拠点の経営のグローバル化を推進してきました。2022年度、海外拠点の現地人社長の比率は44%、取締役の比率は45%にのぼります。

・今後も引き続き、現地経営幹部候補の育成を加速し、国籍に関わらず、優秀な人材を適材適所で経営幹部ポジションへ登用してまいります。

 

目標:現地人社長比率の維持向上

実績:過年度及び2022年度の実績は以下の通り

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

46%

47%

43%

45%

44%

 

 

 (3)イノベーションを創出するダイキン独自のAI・IoT人材を育成

・産業構造や社会構造の大きな変革期に対応するため、「デジタル人材」を育成する「ダイキン情報技術大学」を設立しました。大阪大学を中心とした教育機関、先端研究機関などの講師を招いて、数学などの基礎知識からプログラミング、機械学習やAI応用まで幅広い教育を行っております。

・管理職、既存社員、新入社員それぞれの育成を加速し、2022年度末にデジタル人材約1,300人の育成を達成し、2023年度末に1,500人の育成を目標に取り組みを進めております。

・2022年度末までに2年間の教育を修了した新入社員約390人を各部門に配属し、デジタル技術を核とした新たな事業創出テーマ、業務プロセスの効率化テーマに取り組んでおります。

 

目標:1,500人(2023年度末)

実績:約1,300人(2022年度末)

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与え、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると経営者が認識している主なリスクは以下のとおりであります。

なお、以下に記載の内容は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 市場環境に関連するリスク

①市場環境の変化に関連するリスク

当社グループは、空調をはじめとする各事業領域において、開発・調達・生産・販売・サービスなどの事業活動をグローバルに展開し、販売網強化によるシェア向上、競争力ある商品・サービスの提供、固定費削減などにより、事業拡大と収益性向上に努めております。

しかしながら、政治・外交情勢の不安定化、貿易摩擦、景気の後退、天候不順、新型コロナウイルスをはじめとした感染症のまん延などにより、当社グループが事業展開する国・地域の市場環境が悪化した場合、事業拡大・収益性向上が計画通りに進まない可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②為替相場・資金調達環境の変動に関連するリスク

当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は高く、今後もグローバル展開の加速により、海外売上高の割合がさらに増加する見込みです。連結財務諸表の作成にあたっては、各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目を円貨換算しております。従って、換算時の為替レートにより、これらの項目は、各地域の現地通貨における価値が変わらなかったとしても円貨換算後の価値が影響を受けることになります。また、部材の調達、商品やサービスについて外貨建てで取引しているものもあり、為替動向によって製造コストや売上高に影響する可能性があります。当社グループでは、これらの為替リスクを回避するため、短期的には為替予約などによりリスクヘッジを行っており、中長期的には為替変動に連動した最適調達・生産分担の構築、通貨毎の輸出入バランス化等により為替変動に左右されない体質の実現に取り組んでおります。

 

また、当社グループでは事業活動に必要となる資金を、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーや社債によって調達しており、経済環境が変動した際に、金融機関の貸出姿勢や資金調達市場の状況が変化し、必要な資金が調達できないリスク及び調達金利が上昇するリスクがあります。これらのリスクに備え、コミットメントラインの設定、金利スワップ等による金利の固定化などの取り組みを行っておりますが、資金調達コストが上昇し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響する可能性があります。

 

③有価証券の時価の変動に関連するリスク

当社グループは、戦略的観点から当社の企業価値の向上が期待できる企業の株式を保有しておりますが、株式市況の動向によっては、評価額が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響する可能性があります。

 

(2) 事業活動に関連するリスク

①技術・商品・サービスに関連するリスク

当社グループは、顧客価値・社会的価値の創出を目指し、常にお客様に満足頂ける技術・商品・サービスの開発に注力しております。しかしながら、当社グループの想定とは異なる新たな技術・商品・サービスの出現や、新規参入を含む競合激化などの急激な環境変化により、技術・商品戦略の修正や転換が必要となる可能性があります。

このような場合、新商品・サービスの投入や新たな事業の立ち上げが遅れ、競合他社や新規参入企業に対する優位性が低下し、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②買収・他社との提携等に関連するリスク

これまで当社グループは、事業のグローバル展開や品揃え・販売体制の強化などのために、既存の経営資源を活用した自前での成長に加えて、企業買収を活用してきました。今後、事業領域の拡大や事業構造の転換を加速させるためにも、提携・連携・M&Aを積極的に行ってまいります。案件の検討段階では、事業拡大に向けた戦略に留まらず、事業運営上のリスクについても検証を行うなど、案件の実行後には事業統合が円滑に進むように努めております。しかしながら、案件の実行後に、市場環境の悪化や、対象企業の経営資源が十分に活用できない、対象企業との連携が円滑に進まないなど、統合が計画通りに進まない可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③商品・サービスの品質と責任

当社グループでは、世界170カ国以上で事業を展開しており、現地のニーズに合致した商品・サービスの提供に努めております。また、各地域において厳格な設計審査と品質検査を実施し、品質・安全性の確保に万全を期しております。しかし、万一商品の安全性に関する問題が発生した場合には、顧客の安全を第一に考え、事故の発生や拡大を防止するため、修理・交換、新聞などでの告知、販売事業者等社外の関係者への情報開示など、製造物責任法に基づく責務を果たします。

これらの対策には多額の費用が発生する可能性があるため生産物賠償責任保険等に加入していますが、保険の補償限度額を超える場合やブランドイメージの低下により売上が減少する場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④調達に関連するリスク

当社グループでは、サプライヤーの経営状況の悪化、自然災害や事故の発生等の状況下においても、原材料や部品等が安定的かつタイムリーに、また合理的な価格で供給されることを確保するため、サプライヤーの複数化・自国・自地域内調達化、部品の共通化・標準化等の対応を進めております。また、サプライチェーンCSR推進ガイドラインを策定し、サプライヤーに対して人権・環境・コンプライアンス等のCSR取り組みの実施をお願いしております。しかしながら、上記のような対応が短期的には困難な場合があるほか、世界的な感染症の拡大や大規模災害などの想定を超えるような甚大な事象が発生した場合には、原材料や部品等の供給不足、納入遅延等が発生する可能性があります。また、サプライチェーン上において労働者の権利侵害等の重大な法令違反があった場合には、発注元として当社の社会的信用が低下する可能性があります。

当社グループとサプライヤーは、契約により原材料や部品等の価格を決定しております。長期契約の活用など安定した価格で調達できるよう努めておりますが、急激な需給環境の変化や為替相場の変動等により、調達価格の高騰が避けられないこともあります。

これらの場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤法的規制

当社グループは、世界170カ国以上で事業を展開しており、競争法・贈賄防止法・人権や労働関係法・安全規制関連法・環境規制関連法等の世界各国・各地域の法律や規制の適用を受けております。各国において、より厳格な法規制の導入や当局の法令解釈や運用指針の変更により、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。

当社グループでは、コンプライアンスの徹底に向け、役員・従業員一人ひとりが取るべき行動を明示した「グループ行動指針」及び「グループ人権方針」等の具体的な取り組み方針を定めております。各テーマについて教育研修を実施するとともに、年1回、法令・規程どおりに日々の業務を行っているかをセルフチェックする「自己点検」を導入し、コンプライアンス意識を高めるとともに、監査を実施し、遵守状況を確認しております。

しかしながら、法令違反が生じた場合には、課徴金等の行政処分を受ける可能性があります。また、ブランドイメージの低下により売上が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥情報セキュリティ

当社グループは、事業を展開するにあたり、第三者の機密情報や顧客の個人情報を取得することがあり、また、当社独自の機密情報も扱っております。このため、ハッカーによる不正アクセスやサイバー攻撃を受け、個人情報や機密情報が外部へ流出したり、各拠点の生産ラインや物流システムが停止したりするなど、事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのような事態が生じた場合、多額の損害賠償金や制裁金の支払を要する場合があります。さらに、多大な対策費用を支払うことになり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

これらの事象の発生を防ぐため、当社では、情報セキュリティ担当役員を委員長とする審議機関「情報セキュリティ委員会」を設置し、情報セキュリティ戦略・対策方針を審議し、情報セキュリティシステムの強化、秘密表示の徹底、外部からのアクセス制限、社内規程の整備や教育研修などの対策を講じております。同委員会で審議した重要事項や全社へ周知・徹底すべき事項は、「企業倫理・リスクマネジメント委員会」、代表取締役社長兼CEOを委員長とする「内部統制委員会」へ報告するとともに、取締役会にも報告を行っております。また、海外グループ会社を含めた全社のセキュリティ管理体制を強化しております。

 

(3) 気候変動等環境に関連するリスク

気候変動はグローバルに取り組むべき社会課題の一つであり、当社グループは、「環境社会をリードする」とのグループ経営理念に基づいて、省エネ高効率空調機や低温暖化冷媒の開発・普及、建物全体でエネルギーを効率的に利用するソリューションの創出などにより、温室効果ガス(CO2・フロン)の排出を抑制し、気候変動の緩和に積極的に取り組んでおります。しかしながら、低炭素社会への移行に伴い、温室効果を有する冷媒ガスの使用・排出規制や省エネルギー規制がさらに強化される場合、規制に適合するために必要なコストが増加する可能性があります。また、仮にこれらへの十分な対応が困難であったり、遅れが生じた場合には、製品の販売に支障が出るなど、円滑な事業活動に影響が及ぶ可能性があります。物理的なリスクとしては、異常気象に伴う大規模災害発生時に当社グループの従業員、生産設備、システム、サプライチェーン等に被害が発生し、事業活動に大きな影響を受ける可能性があります。

また、当社グループでは、事業活動による環境汚染の発生を防止すべく、規制の遵守は当然のこと、より厳しい自主基準を設けるなど万全を期しております。しかしながら、当社が排出した化学物質等に起因して結果的に環境問題が発生した場合には、これに対して浄化処理、損害賠償等の対応を行う必要が生じ、そのための費用が発生する可能性があります。

以上のようなリスクの顕在化により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

 

(4) その他

①固定資産の減損

当社グループは、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形の固定資産を計上しており、これらの資産については、減損損失の兆候の有無を判定しております。減損の兆候があると認められる場合には、将来キャッシュ・フローの総額を見積り、減損損失の有無を判定しております。判定に必要な将来キャッシュ・フローは経営計画を基礎とし、将来の不確実性を考慮して見積っております。今後の業績変動等により減損損失を認識する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、継続的な業績のモニタリングを行っており、投資に対する回収が困難となる前に対策を講じるように努めております。

 

②自然災害等

当社グループは、世界中に研究開発・製造・販売・サービスの拠点を有しております。近年わが国では、地震・津波・台風・豪雨などの自然災害に見舞われております。当社では、このような自然災害に備え、各事業所で施設の耐震化を進めるほか、津波・大雨・洪水等に対する対策を進めております。また、自然災害に関する防災規程を制定し、定期的に防災訓練を実施するなどにより、自然災害による影響の極小化を図っております。しかしながら、甚大な自然災害により、当社グループの従業員・生産設備・システム等に被害が発生し、事業活動に大きな影響を受ける可能性があります。海外においても、各種の自然災害のほか、テロや暴動・戦争等によって、当社グループの事業拠点だけではなくサプライチェーンや顧客が被害を受けることも考えられ、これらにより当社グループの事業活動に障害や遅延が発生する可能性があります。

さらに、感染症の拡大が当社グループの事業にとってリスクとなっております。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、当社グループでは、従業員の健康と安全の確保を第一に感染防止対策を徹底しております。また、グローバルでの調達・生産・在庫・物流の構えの強化、需要の減少や需要者の購買行動の変化に対応したオンライン販売の促進、空気質・換気への意識の高まりを捉えた換気商材の拡販、差別化商品の開発などを重要経営課題として取り組んでおり、世界各国でワクチンの接種が進んだこともあり感染状況は収束傾向にあり、行動制限が緩和されるなど、以前の生活に戻りつつありますが、再び変異株が流行することも想定され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当期の世界経済は、コロナ禍が収束に向かう中で経済活動が徐々に正常化しましたが、ウクライナ危機の長期化、世界的なインフレの進行、欧米での急速な利上げなどにより回復ペースは鈍化しました。米国経済は、長引くインフレや政策金利の引き上げが景気の重石となりましたが、良好な雇用・所得環境、コロナ禍で積み上がった貯蓄による活発な個人消費やエネルギー関連輸出の増加が景気を下支えしました。欧州経済は、長引くウクライナ危機に伴うエネルギー価格高騰による強いインフレ圧力が続き、景気は低迷しました。アジア・新興国経済は、活動制限の緩和により個人消費やサービス輸出が持ち直し景気は緩やかに回復しましたが、秋以降は急速なインフレが経済の下押し要因となり、持ち直しのペースは減速しました。中国経済は、長引くゼロコロナ政策の影響で消費・投資マインドが減退する中、欧米景気の減速や工場稼働率の低下により輸出が減少しましたが、年度終盤から内需主導で回復の兆しが見えました。日本経済は、エネルギー価格の高騰や円安による物価上昇が継続しましたが、行動制限の緩和による個人消費の復調や、旺盛な設備投資により緩やかな回復が続きました。

当社グループでは、それぞれの地域・事業の進捗状況をきめ細かくフォローしながら臨機応変に課題に対応することで、環境変化による当社事業への影響を極小化する一方、堅調な地域・事業でのさらなる販売の拡大・収益力の向上に努めました。具体的には、次に挙げるテーマへの取り組みを継続・強化しました。

・市場・顧客のニーズにミートした差別化商品の投入による販売価格政策の推進

・業務用空調をはじめとした各事業における、販売力・営業力の強化

・さらなる原価低減の追求による、変動費コストダウンの推進

・物流経費のさらなる高騰に対応した、物流効率化策の推進

・積極的な投資と収益性向上の両面を意識した、固定費の効率化

・次年度以降も見据えた、調達・供給力の強化

・買収会社及び大型設備投資の成果創出・収益化の加速

・研究開発やデジタル化などにおける、人材獲得・育成の強化

また、世の中の変化をチャンスと捉え、カーボンニュートラル実現の加速、ソリューション事業の推進、デジタル技術の活用など、当社グループの強みを活かし、次の飛躍につなげる挑戦テーマを設定し、強靭な企業体質の構築と成果創出に取り組みました。

当期の経営成績については、売上高は3兆9,815億78百万円(前期比28.1%増)となりました。利益面では、営業利益は3,770億32百万円(前期比19.2%増)、経常利益は3,662億45百万円(前期比11.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,577億54百万円(前期比18.4%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。

 

①  空調・冷凍機事業

空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前期比28.3%増3兆6,297億66百万円となりました。営業利益は、前期比14.9%増3,244億52百万円となりました。

国内空調では、業務用市場の需要は、経済活動の回復に伴う設備投資の持ち直しの動きが見られ、前期を上回りました。一方、住宅用市場の需要は、中国でのロックダウンによる供給面での影響や昨年の巣ごもり需要からの反動もあり、前期を下回りました。このような状況の中、当社グループは、省エネ機器需要の高まりに対する提案強化や、強靭なサプライチェーンによる安定供給に努め、販売の拡大に取り組みました。業務用空調機器市場に向けては、高い省エネ性能を持つ「FIVESTAR ZEAS」・「VRV X」シリーズなどの空調機器と、全熱交換器『ベンティエール』や『UVストリーマ除菌ユニット』など換気・除菌機器を組み合わせることで、エネルギーコスト削減と空気質改善を両立する提案を拡大しました。このような取り組みにより、業務用空調機器の売上高は前期を上回りました。住宅用空調機器市場に向けては、無給水加湿や給気・排気換気など快適な空気環境を実現するルームエアコン『うるさらX(エックス)』、細部までデザインにこだわったルームエアコン『risora(リソラ)』など、当社独自の商品特長や高い省エネ性能を活かしたユーザー訴求の拡大を進めました。このような取り組みにより、住宅用空調機器の売上高は前期を上回りました。

 

米州では、一部機種で部品不足に起因した供給逼迫等の問題がある中でも、生産性の向上に努め、生産・販売ともに堅調に推移しました。住宅用空調機器については、長引くインフレや住宅金利上昇等により業界需要の伸びが停滞しましたが、供給力の強化や顧客開発等の営業努力によりシェアは堅調に推移しました。また、買収による販売網強化や価格政策の実施に努め、売上高は前期を大きく上回りました。大型ビル(アプライド)空調分野は、市場が堅調に推移する中、市場の伸びを上回る空調機器の拡販や、買収した販売会社やシステムインテグレーターを活用したサービス・ソリューション事業の拡大により、売上高は前期を大きく上回りました。

中国では、4月・5月は上海でのロックダウンにより生産・物流が停止し、製品供給が滞り販売が減少しました。6月のロックダウン解除後は、いち早く生産・物流をフル稼働させ、上期の販売は前期を超えるまで回復しました。下期も感染対策による厳しい行動制限が続き、さらに12月はゼロコロナ政策急転換による感染者の急増により、12月・1月の市場は停止しました。2月は感染が収束する前からいち早く販売活動を再開し、3月の販売は前期を上回りました。年間では為替のプラス効果もあり地域全体の売上高は前期を上回りました。利益面では、販売減速の影響を受けましたが、高付加価値商品への注力、コストダウン・固定費削減に取り組み、これまでの高水準を維持しました。住宅用空調機器市場では、顧客訪問が制限される中、当社グループ独自の専売店「プロショップ」を中心にショールームを活用したライブ放送、Web戦略などのオンライン販売を強化しました。さらにカスタマーセンター、顧客データ活用による更新需要の獲得に取り組みました。顧客の空気・環境への関心の高まり、カーボンニュートラル政策による省エネ・燃焼暖房規制などをチャンスに空調・空気質改善機能・全熱交換機・ヒートポンプ床暖房などを組み合わせた当社独自のシステム販売・ソリューション提案を強化しました。業務用空調機器市場では、経済刺激策により需要が堅調なインフラ関連、政府物件・大手企業の投資案件などを重点に攻略、カーボンニュートラル政策の推進を受けて、大型物件市場ではエネルギーソリューション・空気質の可視化、工場市場では省エネ空調による電力削減などを切り口に販売を強化しました。アプライド空調機器市場では、インフラ・半導体関連など成長分野に経営資源をシフトしたことに加え、保守・メンテナンス事業を強化しました。

アジア・オセアニアでは、インドにおいて経済成長を背景に好調な販売を維持したものの、その他の国では、下期以降、インフレの進行による消費低迷や、天候不順等の影響を受け、住宅用空調機器の販売がやや減速しました。一方、コロナ禍での行動制限の緩和に伴い、物件の遅延等の状況が改善傾向にある業務用空調機器の販売は堅調に推移しました。電子部品等の供給逼迫が継続する中でも製品を安定的に供給し、各国で価格政策を実施した結果、地域全体の売上高は住宅用・業務用ともに前期を上回りました。

欧州では、ロシア・ウクライナ情勢の悪化によるエネルギー価格高騰、高インフレやコロナ影響に伴う中国からの部材供給の逼迫等、厳しい事業環境が続きました。しかしながら、生産・販売・供給部門の連携強化、各販社での販売力強化の取り組みにより、地域全体の売上高は前期を大きく上回りました。住宅用空調機器は、エネルギー価格の高止まりにより、省エネ性能に優れるルームエアコンの暖房用途向け新規需要が顕在化しました。ドイツ・オランダ・フランス・スペイン等で暖房商品として提案営業を強化することにより売上高は前期を上回りました。住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器は、12月に補助金制度の縮小を発表したイタリアでは下期に需要の減少がみられましたが、多くの国では欧州グリーンディール政策を背景とした補助金制度が追い風となり、ガスやオイルボイラーからの更新需要は引き続き拡大しました。販売店開発や補助金申請支援などの販売力強化と商品ラインナップの拡充、最寄り工場での生産・供給力強化で需要を最大限に取り込みました。このような取り組みの結果、住宅用暖房機器の売上高は前期を大きく上回りました。業務用空調機器においては、部品逼迫による供給遅れの影響を受けましたが、各国でのコロナ規制の緩和・撤廃に伴い、オフィスや店舗等の一時的な反動需要(ペントアップ需要)を着実に取り込みました。第2四半期以降は、欧州中央銀行の金利引上げによる投資の減速が見られましたが、中・小型物件での受注活動を強化し、販売を最大化しました。その結果、業務用空調機器の売上高は前期を上回りました。低温事業は、食品スーパーの新店・改築投資の手控え等、事業環境が大きく悪化し、売上高は前期を下回りました。

中近東・アフリカでは、UAE・サウジアラビア・エジプトでの販売強化が牽引し、売上高は前期を大きく上回りました。トルコでは、現地で生産を開始した業務用空調機器において短納期対応を強みに販売を拡大しました。2月のトルコ南東部での大地震発生以降、経済活動の一時的なスローダウンもありましたが、売上高は前期を大きく上回りました。

 

 

フィルタ事業では、需要は緩やかな回復基調が続きました。米国では、価格政策の実施に努めるとともに、8月に事業買収した代理店を積極的に活用し、販売を大きく伸ばしました。また、業務用ハイエンド市場での事業拡大のため、新規顧客開拓に力を入れました。これまでのデベロッパー等に加え、顧客の環境対応ニーズの高まりにより、空調機器に強いエンジニアリング会社への販売も増加しました。欧州では、景気は緩やかに減速したものの、省エネや空気質ニーズは引き続き底堅く、ハイエンド市場での販売が好調でした。アジアでは、半導体投資が旺盛で、高性能フィルタの販売が増加しました。また、国内では、半導体市場向けに高性能フィルタの販売に加え、感染症対策機器の販売が堅調に推移しました。さらに、ガスタービン・集塵機事業も、欧州での集塵機の販売が好調であったことから、フィルタ事業全体の売上高は前期を大きく上回りました。

舶用事業では、海上コンテナ冷凍装置は、中国でのロックダウンの影響を受け、部品不足による生産の減少や物流の混乱による4月・5月の販売減少の影響が大きく、販売台数は前期を下回りました。しかし、舶用エアコン・冷凍機は販売を伸ばしたことなどもあり、舶用事業全体の売上高は前期を上回りました。

 

②  化学事業

化学事業セグメント合計の売上高は、前期比24.0%増2,634億16百万円となりました。営業利益は、前期比66.3%増454億11百万円となりました。

フッ素化学製品全体の販売は、半導体・自動車分野を中心に広範囲での堅調な需要に加え、原材料市況高騰を背景とする価格政策を実施したことにより、売上高は前期を大きく上回りました。

フッ素樹脂は、世界的な半導体・自動車関連需要の堅調な推移に伴い、売上高は前期を大きく上回りました。また、フッ素ゴムについても、自動車関連を中心に需要が堅調であること、原材料市況高騰を背景とした価格政策を実施したことにより、売上高は前期を大きく上回りました。

化成品のうち、表面防汚コーティング剤や撥水撥油剤の需要に停滞が見られたものの、半導体向けエッチング剤などの需要が堅調に推移したことにより、化成品全体の売上高は前期を上回りました。

フルオロカーボンガスについては、原材料市況高騰に対応した価格政策の実施に努め、売上高は前期を大きく上回りました。

 

③  その他事業

その他事業セグメント合計の売上高は、前期比29.6%増883億95百万円となりました。営業利益は、前期比8.0%増71億82百万円となりました。

油機事業では、産業機械用油圧機器は、国内市場では工作機械向けを中心に販売が増加したことに加え、当期に買収した会社が欧米向けの販売の増加に寄与し、売上高は前期を大きく上回りました。また、建機・車両用油圧機器は、国内市場及び米国市場向けの販売が増加したことにより、売上高は前期を上回りました。

特機事業では、新型コロナウイルスに伴う需要が減少したことにより酸素濃縮装置及びパルスオキシメータ(採血することなく血中酸素飽和度を簡易に測定できる医療機器)の販売が減少し、売上高は前期を下回りました。

電子システム事業では、品質課題の解決・設計開発期間の短縮・コストダウン支援といった顧客ニーズに合致した設計・開発分野向けデータベースシステム『SpaceFinder(スペースファインダー)』と『Smart Innovator(スマートイノベーター)』及び設備CADシステムの販売が堅調に推移しました。しかし、ゲーム市場向けCG制作ソフトの販売が減少したことにより、売上高は前期を下回りました。

 

総資産は、4兆3,036億82百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,806億44百万円増加しました。

流動資産は、商品及び製品の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,614億59百万円増加し、2兆4,270億82百万円となりました。

固定資産は、機械装置及び運搬具の増加や円安による為替換算の影響を受けたこと等により、前連結会計年度末に比べて2,191億85百万円増加し、1兆8,765億99百万円となりました。

負債は、短期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,086億98百万円増加し、2兆245億87百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて2,719億45百万円増加し、2兆2,790億95百万円となりました。

 

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の51.5%から51.9%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の6,726.45円から7,635.27円となりました。

また、有利子負債については、短期借入金の増加等により、前連結会計年度に比べて628億10百万円増加し、8,876億84百万円となりましたが、総資産の増加により有利子負債比率(有利子負債/総資産)は、21.6%から20.6%となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動では、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度に比べて861億74百万円収入が減少し、1,588億96百万円の収入となりました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出の増加等により、前連結会計年度に比べて490億4百万円支出が増加し、2,297億93百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入金の返済による支出の増加等により、前連結会計年度に比べて643億90百万円支出が増加し、1,130億88百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べて2,261億12百万円減少し、1,689億89百万円のキャッシュの減少となりました。

 

当連結会計年度より、会計方針の変更を行っており、前期比較については、遡及適用後の前期数値を用いております。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

空調・冷凍機事業

2,865,459

29.9

化学事業

274,484

32.2

その他事業

81,294

27.5

合計

3,221,238

30.0

 

(注) 1  金額は販売価格によっております。

 

(2) 受注状況

当社グループの製品は、大部分見込み生産であるため、受注高及び受注残高の記載は省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

空調・冷凍機事業

3,629,766

28.3

化学事業

263,416

24.0

その他事業

88,395

29.6

合計

3,981,578

28.1

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

2  いずれの相手先についても総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

以下に記載の内容については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上については、現況や過去の実績に基づいた合理的な基準による見積りが含まれております。

なお、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

(2) 財政状態

①資産

総資産は、4兆3,036億82百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,806億44百万円増加しました。

流動資産は、商品及び製品の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,614億59百万円増加し、2兆4,270億82百万円となりました。

固定資産は、機械装置及び運搬具の増加や円安による為替換算の影響を受けたこと等により、前連結会計年度末に比べて2,191億85百万円増加し、1兆8,765億99百万円となりました。

 

②負債及び純資産

負債は、短期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,086億98百万円増加し、2兆245億87百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べて2,719億45百万円増加し、2兆2,790億95百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の51.5%から51.9%になり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の6,726.45円から7,635.27円となりました。

 

(3) 経営成績

①売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比28.1%増3兆9,815億78百万円となりました。

空調・冷凍機事業では、部品不足やインフレ、新型コロナウイルスの影響等を受けましたが、販売力の強化や差別化商品の投入による販売価格政策の実施に努め、売上高は前連結会計年度比28.3%増3兆6,297億66百万円となりました。

化学事業では、半導体・自動車分野を中心とした需要回復を捉えた拡販施策の展開や価格政策を実施したことなどにより売上高は前連結会計年度比24.0%増2,634億16百万円となりました。

その他事業全体では、産業機械用油圧機器や建機・車両用油圧機器において販売が増加したことなどにより、売上高は前連結会計年度比29.6%増883億95百万円となりました。

 

②営業費用、営業利益

売上原価は、前連結会計年度比29.2%増加し、2兆6,501億2百万円となりました。

販売費及び一般管理費については、前連結会計年度比28.8%増加し、9,544億43百万円となりました。人件費の増加が主な要因であります。

以上の結果、営業利益は前連結会計年度比19.2%増3,770億32百万円となりました。

なお、セグメントの営業損益については、空調・冷凍機事業では、前連結会計年度比14.9%増3,244億52百万円の営業利益となり、化学事業では、前連結会計年度比66.3%増454億11百万円の営業利益となり、その他事業は前連結会計年度比8.0%増71億82百万円の営業利益となりました。

 

③営業外損益、経常利益

営業外損益は、支払利息が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて219億33百万円減少し、107億87百万円のマイナスとなりました。

経常利益は、前連結会計年度比11.8%増3,662億45百万円となりました。

 

 

④特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

特別損益は、投資有価証券売却益が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて65億79百万円増加し、71億39百万円のプラスとなりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比18.4%増2,577億54百万円となりました。

 

(4) キャッシュ・フロー

営業活動では、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度に比べて861億74百万円収入が減少し、1,588億96百万円の収入となりました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出の増加等により、前連結会計年度に比べて490億4百万円支出が増加し、2,297億93百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入金の返済による支出の増加等により、前連結会計年度に比べて643億90百万円支出が増加し、1,130億88百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べ2,261億12百万円減少し、1,689億89百万円のキャッシュの減少となりました。

 

当社グループでは、投資は成長の基盤と考えており、投資によって事業拡大を図るとともに、財務体質の強化、企業価値の一層の向上と株主への利益還元の向上を図ってまいります。具体的には、新製品に対応した設備投資、生産性向上・生産能力拡大のための投資などに加え、各戦略的投資を実行し、グローバルでの事業拡大及び競争力強化を図ってまいります。これらの投資に必要な資金は内部留保の蓄積を基本とした自己資金に加え、必要に応じ、金融機関からの借入や社債等で調達します。当連結会計年度では、投資活動によるキャッシュ・フロー(2,297億93百万円)が、営業活動によるキャッシュ・フロー(1,588億96百万円)を上回りました。

株主への配当は、安定的かつ継続的に実施していくことを基本に、連結純資産配当率(DOE)3.0%を維持するように努めるとともに、連結配当性向についてもさらに高い水準を目指していくことで、株主への還元の一層の拡充に取り組んでまいります。

 

キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

 

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

自己資本比率(%)

52.4

53.8

51.4

51.5

51.9

時価ベースの自己資本比率(%)

140.5

144.5

201.6

171.6

160.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)

2.3

1.8

2.0

3.4

5.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

21.2

25.6

39.3

27.7

7.8

 

 

(注)  自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

提出会社

(1) 合弁契約

 

相手先

国名

契約内容

契約期間

中蛍集団有限公司

中華人民共和国

無水フッ酸の製造・販売に関する合弁契約

自  2007年8月14日
至  合弁会社設立から50年後

珠海格力電器股有限公司

中華人民共和国

空調機用基幹部品の製造・販売に関する合弁契約

自  2009年2月18日
至  合弁会社設立から20年後

珠海格力電器股有限公司

中華人民共和国

金型の製造・販売に関する合弁契約

自  2009年2月18日
至  合弁会社設立から20年後

ダンフォス パワー ソリューションズ インク

アメリカ合衆国

建機車両用油圧機器の製造・販売に関する合弁契約

自  2012年10月30日
至  定めなし

 

 

 

6 【研究開発活動】

環境・社会貢献の重要性が増し、カーボンニュートラルの動きが加速するなど、外部環境は急速に変化しています。こうした変化に対応し事業拡大を支えるために、当社グループではテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)を中心に、FUSION25で掲げた成長戦略に関わる技術領域・テーマに取り組んでおります。

さらに、当社独自のコア技術の高度化に加えて、外部との協創による技術獲得にも取り組んでおります。2021年度には、鳥取大学との「包括連携協定」に基づき、乾燥地に適した空調システムのコンセプト作りに取り組みました。また、富士フイルム株式会社様と共同で空調機器の新たな静音化技術を開発しました。2022年度には、京都大学との「組織対応型包括連結協定」に基づき、FUSION25の成長戦略テーマを対象領域として、技術シーズの社会実装の加速に向けた、公募制の社会実装・企業活動支援プログラム「ダイキンGAPファンドプログラム」を開始しました。

既に提携している東京大学や中国の清華大学、スタートアップ企業などとの産官学連携を推進し、協創することでイノベーションを生み出し、環境・社会課題の解決、事業拡大に取り組んでまいります。

グローバルに広がる研究開発基盤を活用したこれらの取り組みにより、研究開発の大幅な効率化とスピードアップを図り、グローバル各地域で差別化商品を生み出してまいります。

 

当連結会計年度におけるグループ全体の一般管理費及び当期製造費用に含まれる研究開発費は、102,207百万円であり、当連結会計年度における各事業別の主要な取り組みと成果及び研究開発費は次の通りであります。

 

①  空調・冷凍機事業

国内空調事業においては、暮らしや、働き方の変化に対応した安心で快適な空気環境づくりを目指しております。

住宅用市場における空調商品では、除湿量・加湿量・換気量が向上し、年間を通じた快適性をさらに高めたルームエアコン『うるさらX(エックス)』を2022年11月より発売いたしました。温度と湿度の同時設定もできる「さらら除湿(リニアハイブリッド方式)」は、室温が設定温度に到達しても除湿し続けることができ、高気密・高断熱住宅で発生しやすい“低温高湿”な環境にも対応します。『うるさらX』は季節ごとの気温や湿度、住宅の高性能化を背景としたこれからの住まいにも対応し、快適な空気環境を実現してまいります。

また、業界一の薄さを実現したルームエアコン『risora(リソラ)』を2023年3月から発売しております。185㎜の薄さと、デザインが豊富な正面パネルでお部屋に溶け込み、見た目にも心地よい空間をつくります。新モデルでは室内機の前面パネルをお客様自身で取り外しできる仕様にしております。部屋のインテリアに合わせてパネルを変えるなど、生活に合わせてより自由に選んで頂ける仕様にしております。

住宅用給湯では、『ダイキンエコキュート2023年モデル(X型)』を2023年3月に発売いたしました。高まる清潔ニーズに対し、深紫外線により浴槽のお湯を除菌する「おゆぴかUV」を新たに搭載いたしました。また、スマートフォンアプリとの連携を強化し、太陽光発電の自家消費を効率よく行う「天気予報連動」、災害警報発令などのいざという時に、自動でお湯を沸き上げる「気象警報緊急沸き上げ」にも対応します。当社は、暮らしのニーズや社会のニーズに対応しながら、快適で省エネな暮らしを実現する給湯機を提供してまいります。

換気商品では、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に最適な除湿機能付き外気処理換気システム『Saravia(サラビア)』を2022年7月に発売いたしました。住宅の高気密・高断熱化に伴い、夏場は室内で発生する湿気がこもりやすく、換気によって入った湿気を取るには、エアコンで除湿することになりますが、すぐに設定温度に到達し運転が停止するため、少ししか除湿できない課題がありました。そこで当社は外気を取り入れる際に機内に搭載したヒートポンプ熱交換器で除湿(外気処理)をすることで、換気しながら各部屋のエアコンの運転負荷を軽減させる『Saravia』を開発しました。ルームエアコンで除湿する従来の全熱交換器を使用した場合と比較し、家全体での換気+空調の消費電力量をトータルで約20%削減できます。外気処理による省エネ性が評価されて、2022年度製品ビジネス部門において省エネ大賞経済産業大臣賞を受賞しております。家全体での省エネや快適な居住空間づくりに寄与できる商品として、エンドユーザー様をはじめZEHを提案する工務店様でご採用頂いております。

ビル用マルチエアコン「VRV」、店舗・オフィスエアコン「スカイエア」シリーズの新機種を2022年10月に発売いたしました。「VRV Xシリーズ」ではセンサーが故障した場合に一時的に他のセンサーで制御を代用することで、空調故障による完全停止の頻度を抑制いたします。さらにカーボンニュートラル実現に向け業界初の高効率集中巻きモーターを採用した新型圧縮機を搭載し、通年エネルギー消費効率APFにおいて業界トップクラスを達成しました。同時に、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を目指した空調設計に最適な「VRV Xシリーズ 高COPタイプ」を発売し、さらなる省エネルギー化に貢献いたします。また、換気においても空調エネルギー増加の一因となるため、効率化が求められております。2023年2月に発売した「DCモーターファン搭載全熱交換器ベンティエール」を組み合わせることで、ZEB化のさらなる推進へ貢献いたします。店舗・オフィスエアコン「スカイエア」シリーズでは賢く省エネルギー運転を行う「ダイキンスマートAI」を搭載し、搭載したセンサー情報を元に最適な制御を予測し、年間消費電力を15%削減します。

北米では、2021年度に上市した省エネ性とコンパクト性を両立したルーフトップユニットの容量を拡大するラインナップ拡充を2023年1月に実施いたしました。この拡充で、換気・外気取り込みや熱回収オプションなどを揃え、オフィスビルや学校など幅広い顧客に省エネと最適空気質を提供しております。

欧州では、R32冷媒を採用した“分離型”の空冷インバータスクロールチラーを2022年7月に上市いたしました。分離型は蒸発器を室内側に設置し、室外にある圧縮機・凝縮器と分けることで、寒冷地などでも凍結防止のヒータを付けることなく運用できます。2021年度に上市した“一体型”に続き、低GWP冷媒の商品拡充により環境先進性で業界をリードしております。

中国では、自社製の小型磁気軸受圧縮機を搭載し、低GWPの新冷媒R1233zd を採用したターボチラーを2022年5月に上市しました。低GWPの環境性に加え、高効率によりエネルギー消費量を削減するとともに、低振動、静音性も実現しております。同じく低GWPの新冷媒R1233zdを採用した油軸受圧縮機搭載のターボチラーを2022年7月に上市し、シンガポールをはじめとするアジアの環境先進国に提供しております。

 

空調・冷凍機事業に係る研究開発費は、90,364百万円であります。

 

②  化学事業

化学事業の研究開発は、豊富なフッ素素材や多岐にわたるフッ素化学関連技術を元に新商品開発及び用途開発を行っております。

フッ素樹脂・ゴムではフッ素材料の得意とする耐熱性や耐薬品性・誘電特性などを活かし、自動車・半導体・ワイヤー&ケーブル(IT分野)などでの差別化新商品研究を行っております。また、フッ素の非粘着性・耐薬品性を活かしたコーティング材料開発、撥水撥油性を活かしたテキスタイル処理剤、カーペット処理剤の開発、さらには含フッ素化合物の機能性を活かした情報通信・情報端末用材料の開発や、医薬中間体の受託合成研究など、フッ素に関する幅広い研究開発を行っております。

これらの開発に加え、周辺事業領域の研究開発や用途開発としては他素材との複合材料開発を、先端材料研究としてはメディカル分野・光学分野・環境分野・電池エネルギー分野などで新たな部材・デバイスビジネスの探索を進めることによってフッ素化学グローバルNo.1、オンリーワンのケミカルソリューション事業展開を目指しております。特に電気自動車分野では、グローバルで連携し、新規カーエアコン用冷媒、電池材料等で、市場の更なる開拓に注力いたします。また、SDGsの観点で、様々な環境対応型商品開発や、冷媒の回収再生技術開発を推進しております。

これらの研究開発を加速・推進するべく、化学事業部では新商品開発の確実な実行を担い、TICにおいては、化学事業につながる次世代テーマの探索を実施しております。

 

化学事業に係る研究開発費は、9,444百万円であります。

 

③  その他事業

油機関連では、油圧技術とインバータ技術を融合させた商品であるハイブリッド油圧システムの特徴を活かし、従来の油圧システムではなし得ない省エネ性と高機能を実現しております。また、国内外での採用拡大に取り組む中低圧・小容量市場に加え、高圧・大容量市場への用途開発を進めております。

工作機械向けの『エコリッチ』やプレスなどの産業機械向けの『スーパーユニット』は工場の電力削減の切り札として省エネ性で高い評価を得ており、低騒音、発熱低減、タンク油量削減による作業環境改善や環境負荷低減にも寄与しております。

また、工作機械などの設備や加工品の発熱を取り去ることで機械加工精度の向上に役立つ『オイルコン』は、高精度温調・省エネ性で高い評価を得ており、グローバルでの採用拡大に取り組み、異電圧電源対応など地域特性に合わせた機種シリーズの開発を進めております。

このように従来の油圧システムに加えて、その枠を超えた先進的な環境対応商品をグローバルに提供する商品と技術の開発を進めております。

特機関連では、主に防衛省向け砲弾・誘導弾弾頭と医療・ヘルスケア機器に関する研究を行っております。医療機器については在宅酸素療法に使用する酸素濃縮装置の新機種開発、ヘルスケア機器については低酸素空間でのフィットネスを実現する低酸素発生装置の開発を行っております。

 

その他事業に係る研究開発費は、2,398百万円であります。