第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社は、社是である「わが社は 常にすすんで よりよきものを造り 社会のために奉仕する」を経営理念とし、「物流・エネルギー分野のソリューションイノベーター」となることを経営ビジョンに掲げ、社会が直面する課題を革新的・先駆的な技術をもって解決することに果敢に取り組み、グループの持続的企業価値向上と社会の発展に貢献することを目指しております。

その経営理念と経営ビジョンの下、当社グループの各事業における「安定領域」、「成長領域」、さらには、2030年を見据えた「将来の領域」を見極め、安定的収益源を確保した上で新たな成長ポテンシャルを追求し、グループ連結売上高700億円を目指すことを、長期ビジョンとして設定しております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループは2019年4月からスタートしたグループ中期経営計画(2019~2021年度)を策定しております。
 本計画期間の3カ年を、長期ビジョンの実現のための飛躍に向けた基盤確立の時期として位置付け、初年度である2019年度はその礎石を据えるべく施策を進めてまいりました。

本計画における各事業及びグループ各社の基本戦略とそれらの進捗、また認識すべき事業環境は、以下の通りです。

 

【中期経営計画(2019~2021年度)における各事業別の基本方針・戦略】

・物流ソリューション事業

基本方針:収益性の向上

戦略①:プロジェクト管理・遂行能力の向上による競争力の強化

 戦略②:オープンイノベーションによるオンリーワン・ソリューションの提供

 戦略③:AI、IoT技術を活用したメンテナンス事業の拡充

 戦略④:東南アジアにおける海外展開の加速

 

一般物流につきましては、Eコマース市場の拡大による物流施設投資の伸長や、労働人口の減少及び労働者の多様化による、省力化・省人化技術への需要が継続する中で、新型コロナウイルス感染拡大の余波を受け、市場に不透明感が増しているものの、中長期的にはソーシャルディスタンスを意識したソリューションへの期待が高まることが予測されます。

また、空港物流においては、LCC市場の拡大や、東南アジア諸国の経済発展に伴う空港拡張需要が想定される一方で、新型コロナウイルスの影響による2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の延期、旅客数の減少等国内海外ともに予測が困難な情勢が続くと考えられます。

そのような環境の下、当事業における事業戦略の進捗状況は次の通りです。

 

<進捗状況>

・コスト・作業負荷の低減を図った業務標準化が進展したことに加え、プロジェクト管理強化による大型案件の採算改善を実現しております。また、営業から保守サービスまで全社横断型のプロジェクト管理システムの導入を推進し、更なる業務生産性向上を図っております。

・主力製品「マルチシャトル」を中核に据え、新規取り扱い製品「AutoStore」や自社開発のパレタイジングロボット「ロジボ」等を絡めた新たなソリューション提供を開始しました。既存技術の強みを生かしながら更なる差別化を図っております。

・既存製品へのAI導入による処理能力向上、空港手荷物搬送システムにおける画像解析ソリューションの提供、IoTを活用した予知保全サービスの提供等、パートナーとの共同開発を進めながら最先端のAI、IoTを活用することで、技術の蓄積を進めております。

・海外戦略については、インドネシア、タイを中心とした東南アジアでの空港関連市場への参入を本格化するべく、現地企業との提携関係の強化、製造拠点の確立、現地における積極的なPR活動を行っております。

 

 新型コロナウイルスの影響による社会の変革、省力化・省人化ニーズが高まることを予想する中で、コスト競争力も高めながら、次世代技術、新たな市場を取り込み、高成長企業への基盤作りを確実なものとしてまいります。

 

 

 

 

・機械・プラント事業

基本方針:事業再構築

戦略①:安定収益源の確保による受注変動に強い事業体質の確立

戦略②:技術力向上による受注力の強化

 

 新型コロナウイルスの影響による原油価格の急落によりプラント関連の設備投資は大きく削減されることが見込まれており、国内市場において、法令に基づいた定期的なタンクメンテナンス案件は継続するものの、受注を目指している海外におけるタンク新設プロジェクトが一部に延期・中断することも予想されます。

 そのような環境の下、当事業における事業戦略の進捗状況は次の通りです。

 

<進捗状況>

・労働力不足が深刻化する国内において、製油所向けタンクメンテナンス等に関わる協力会社との関係性を強化することで安定的な受注体制を堅持しております。

・インドネシアにおいて、当社現地法人の営業力を強化し、これまで培ったタンク材料の加工技術を活かして、様々な鉄鋼製品の加工案件を受託し、事業収益の上積みを図っております。またマレーシアにおいては、現地のタンクメンテナンス事業への参入に向けて、新たな拠点を開設し、営業活動を開始しております。

 

 極めて厳しい事業環境が継続する状況において、徹底したコスト削減を進めるとともに、新型コロナウイルス感染拡大による影響を最小限に留めるべく市場の動向を注視しながら対応してまいります。また中期的に黒字を維持・拡大するべく注力分野を明確にした営業戦略により受注確度を上げるとともに、海外子会社の収益拡大を図ってまいります。

 

・その他事業(環境・産業インフラ事業)

 基本方針:選択と集中

戦略①:成長分野への積極的なリソース投入による事業収益の拡大

戦略②:事業体制の整備・安定化

 

 当社グループ関連会社においては、建築、産業用機械、環境調査等の分野を展開しております。建築事業の市場では、建築原価の高騰等で苦戦が予測される一方で、産業用機械事業の市場においては、底堅い建設工事需要や少子高齢化の進展による省力化ニーズ等により、需要は継続することが予想されております。また、環境調査市場においては、建造物の解体に伴うアスベスト調査の継続的な需要拡大等が想定されます。

そのような環境を踏まえ、各事業が次のような取り組みを行っております。

 

<進捗状況>

・産業機械事業においては市場ニーズに応えた既存製品の組み合わせによる新製品の市場投入や、事業領域の拡大を狙った当社グループ内の他事業との連携等を進めております。

・生産性向上と収益拡大を図り、収益性の高い事業において積極的に設備投資・研究開発を実施しております。

 

 新型コロナウイルスの影響により不透明な市場環境にはあるものの、成長分野の発展的領域拡大や、グループ間シナジーの追求により、更なる事業拡大を図ってまいります。

 

・新規事業

 基本方針:早期収益化

戦略①:既存事業の領域拡大とグループ収益への貢献を実現するM&Aの推進

戦略②:ベンチャー企業とのアライアンスによるオープンイノベーションの実現

 

<進捗状況>

・M&Aについては、事業環境の悪化、業績悪化をカバーできる収益力獲得を目標に、既存事業の強化、成長領域への参入、新事業の創出、これらの機会をオールラウンドに見極めながら、積極的に施策を進めております。

・CVC投資については、方針の見直しや対象地域の拡大を行いながら、複数のスタートアップ企業への新規投資を実施し、技術提携の検討等も行っておりますが、当面は新型コロナウイルスの影響を考慮し、慎重な投資判断を行っております。

 

 当社グループが今後さらなる成長を遂げるためには、新たな事業の創出が不可欠と認識し、新規事業が早期にグループ収益へ貢献することを目指してまいります。

 

・経営基盤強化策

 当社グループは、社員一人ひとりが生き生きとして変革と成果を実現する"Challenge & Change"の企業風土を引き続き創り上げるとともに、グループとしてのガバナンスを一層強化し、持続的な企業価値向上を図るべく、以下の施策を遂行しております。

施策①:変革と事業成果の継続的な創出を実現する企業風土への改革

施策②:グループ組織運営の強化

施策③:ESG視点に立った企業価値の向上とガバナンス体制の一層強化

 

<進捗状況>

 当社グループは、事業を通じて持続的に企業価値を向上させるため、経営において、自らの強みを活かし優先的に取り組むべき重要な経営課題(マテリアリティ)10項目を特定しております。当社グループはこれらの課題解決を通じ、財務面を含む持続的な成長を確実なものとしてまいります。

 また、各マテリアリティに関する取り組みは、対応するSDGs目標の達成に寄与するものでもあり、課題解決を通じて社会的に期待される役割を認識し、積極的に取り組んでまいるとともに、事業戦略の策定や個々のビジネスの意思決定プロセスにおいて考慮すべき重要な要素と位置付けつつ、事業活動を行ってまいります。

 

・企業価値に特に大きな影響を与える社会課題

 1.気候変動による事業環境変化への対応

 2.国内人口の減少への対応

 

・持続的な企業価値向上のために取り組むマテリアリティ

 3.人材の育成と活用

 4.新技術の開発と活用

 5.パートナー企業との協業推進

 6.生産性の向上

 

・持続的な企業価値向上の前提となる取り組み

 7.安全衛生の確保

 8.コンプライアンス・ガバナンスの堅持

 9.リスクマネジメントの高度化

 10.積極的なチャレンジやスピード感がある企業風土への変革

 

(3)目標とする経営指標

当中期経営計画期間の最終年度にあたる2021年度の連結業績目標として、売上高543億円、営業利益39億50百万円、ROE(自己資本利益率)8.0%の達成を目指してまいります。

(単位:百万円)

連結業績目標への推移

2019年度

(実績)

2020年度

(予想)

2021年度

(中計目標)

売上高

46,518

48,100

54,300

物流ソリューション事業

28,887

29,000

28,000

機械・プラント事業

9,950

11,400

15,500

その他事業

7,813

7,800

8,500

新規事業

2,500

営業利益

2,591

2,160

3,950

物流ソリューション事業

2,812

2,580

3,000

機械・プラント事業

△305

△470

300

その他事業

880

910

1,100

新規事業

250

ROE

4.9%

4.7%

8.0%

(注)上記における各事業の売上高・営業利益の目標数値はセグメント間の内部売上高及び振替高の調整額が含まれておりません。

2【事業等のリスク】

当社のリスク管理体制は、取締役の中から任命されたリスク管理統括責任者が当社及び当社グループのリスク管理を統括し、全社リスク管理部門がリスク管理統括責任者の指揮命令の下、リスクの洗い出し、評価・結果のモニタリング等を行っております。重要リスクについては、経営環境の変化やリスク対応状況等を踏まえ定期的に見直しが行われ、適切なリスク対策が適時に実行されるよう努めております。

事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、予見することが困難なリスクも存在します。

 なお、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は、当社にとって多方面にわたる重大なリスクとして認識しております。業績面については、当連結会計年度(2020年3月期)における影響は限定的でありました。しかしながら翌連結会計年度(2021年3月期)においては、一部の受注済み案件の中止・遅延や海外調達部品の供給遅れの発生等により、業績の下振れリスクが生じております。また、エネルギー需要の減少観測に基づく石油・ガス関連の設備投資の抑制や、航空旅客数の急減に伴う空港関連設備需要の減少等は、中長期的に当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。一方で、物流ソリューション事業においては、新型コロナウイルス感染症の終息後の巣ごもり消費の拡大・定着や、物流施設内での密集回避に向けた機械化・自動化の進展等は事業拡大の機会であると捉えております。そのため、新たな社会様式に対応し、感染対策としてソーシャルディスタンスの確保にも有効な次世代ソリューションを提供してまいります。また当社グループでは、これまで感染拡大の防止に向けて徹底した対策を行ってまいりましたが、引き続き従業員とその家族をはじめとするステークホルダーの皆様の安全を最優先に、感染を予防する観点からも、経営のデジタル化を推進しながら生産性の向上を図りつつ、多様な働き方を可能とする制度や環境の整備に着手しております。財務面においては十分な手元流動性を確保しつつ、慎重な投資判断を行いながら不測の事態に備えてまいります。

 文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在における判断によるものです。

 

① 世界経済・エネルギー市場動向等に関するリスク

当社グループの主力事業については次のような市場動向の影響を受ける可能性があります。

物流ソリューション事業では、小売、卸売、生協等の業界を中心に製品・システムを納入しております。また国内空港を中心に手荷物搬送システム等を提供しております。そのため、景気後退や少子高齢化の進展等による物流量の低下等で、物流施設関連への投資が停滞した場合や、航空関連需要の動向によっては、当事業の展開に影響を与える可能性があることから、AI、IoT技術を活用したメンテナンス事業の拡大や東南アジアを中心とする海外展開を図っております。

機械・プラント事業においては、LNGプラントや製油所等に各種タンクを納入するとともに、既設の原油タンク等のメンテナンスを実施しております。そのため世界的な景気動向の他、産油・産ガス国や消費国の経済・社会情勢、各国のエネルギー・環境政策の動向、原油・LNG価格の動向等により、プラントオーナーの投資計画の中止・延期・大幅見直し等が発生した場合には、当事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があることから、安定収益源の確保による受注変動に強い事業体質を確立すべく、メンテナンス案件の収益性向上等の取り組みを強化しております。

また、経済環境が悪化した場合には次のようなリスクを想定しております。

a)為替相場の変動

当社グループの事業活動には、海外における製品の生産、資材の販売、建設工事等が含まれており、主に米ドル建てでの取引が発生します。現時点において、外貨建ての取引高、及び保有資産額は相対的に僅少であるため、為替相場の変動リスクは低いと認識しておりますが、想定外の円高進行は将来的な当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

b)金利の変動

当社グループは営業債権等による信用供与、固定資産取得等のため、短期・長期の調達比率のバランスを鑑みながら金融機関より資金調達を行っております。大規模な金融緩和政策等により、低金利が継続しているものの、金利が上昇する局面においては、資金調達コストが増大し、当社グループの成績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

c)保有有価証券の評価

当社グループは、時価のある有価証券を保有しております。決算期末日の株価によって再評価を行っており、大幅に株価が下落した場合は、当社グループの成績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② プロジェクトの遂行に関するリスク

物流ソリューション事業では、Eコマース市場の拡大、物流業務のアウトソーシングの広がり等により、サプライチェーンの中で物流センターにおける役割が増えるとともに、物流業務の効率化、拠点の集約化の動きに合わせて物流センターが大型化する傾向にあり、これまで以上にプロジェクト管理・遂行能力の重要性が高まっております。

そのため、当事業においては、営業提案から施工まで一貫した納期管理の徹底を行い、また標準化、生産性向上によるコスト・作業負担の低減に努めております。しかしながら、短納期化が求められる中での予期せぬ建築施工計画の変更による工期圧縮や、一定期間内に複数の大型プロジェクトを同時進行することに伴う納期調整等、様々な要因によって想定外のコストが発生する可能性があります。また、当事業が提供する中核製品の中には、海外の特定取引先から調達している製品が存在し、取引先の経営方針・経営環境の変化や、自然災害、事故等により、安定的にこれら製品を調達できない場合にはプロジェクトの遂行に影響を与える可能性があります。

機械・プラント事業においては、国内製油所を中心にタンク補修工事を請け負っております。パートナー企業との連携を強化しながら安定的な施工体制を整えておりますが、工事従事者が不足した場合や資機材の調達価格が高騰した場合には、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、機械・プラント事業を中心に海外でも事業を展開しております。また、当社連結子会社のインドネシア現地法人においてタンク等の鉄鋼材料の加工や現地工事を行っており、マレーシア現地法人では現地空港における手荷物搬送設備のメンテナンス、及び現地石油化学プラント関連設備のメンテナンス事業を行っております。これらの海外事業には以下に掲げるようなリスクが内在しており、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

1.法律又は規制の予期せぬ変更

2.政治経済の不安定性

3.人材確保の困難性

4.不利な税制改正

5.テロ、戦争、疫病、災害、その他の要因による社会的混乱

また、プロジェクトの遂行にあたっては案件に応じて製造物責任賠償保険等に加入するとともに、品質を担保するため、当社グループでは社内規定を制定し、品質マネジメントシステムを整備する等、品質管理を強化しております。また品質問題が発生した場合でも品質管理の主管部門を社長直轄とすることで、迅速な対応を可能とする体制を整備しております。しかしながら万が一製品に重大な品質クレーム・トラブルが発生にした場合には、修繕費用や賠償の発生等によりプロジェクト収益が悪化するのみならず、当社グループの社会的評価の低下に繋がり、業績・財務状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

③ 受注競争の激化による影響

当社グループの主力事業は何れも受注型産業であり、厳しい受注競争に晒されているため、採算面での不合理な下方圧力に直面した場合には、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、顧客の政策・方針や、業界の経営環境変化、業界再編の動きは、受注活動に影響を与える可能性があります。

こうしたリスクに対し、物流ソリューション事業においては、国内外における顧客領域の拡大を進めつつ、外部技術の柔軟な導入による最適なソリューション提供を行うと同時に、製品の内製化、標準化を推し進め、価格競争力を強化しております。また、更なる業務効率向上を図るために社内システムの刷新を行う等の対策を進めております。

機械・プラント事業では厳しい事業環境が長期化する中で、コア技術であるタンクEPC(設計・調達・施工)遂行能力を向上・発展させ、品質面での優位性を活かした受注活動に取り組むとともに、海外子会社による事業領域の拡大を図っております。

また、厳しい受注競争の中で、当社グループは持続的企業価値向上と社会の発展に貢献することを目指し、「物流・エネルギー分野のソリューションイノベーター」となることを経営ビジョンとして掲げ、最先端技術を有する国内外の企業との連携や、コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)を活用したスタートアップとの連携等を通じて、技術開発に取り組んでおります。

しかしながら、製品・技術のライフサイクルが短命化する中で、市場からの要請に対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下し、中長期的に業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 新規事業の立ち上げに関するリスク

当社グループは、長きにわたり物流ソリューション事業、機械・プラント事業の2事業を主力として展開をし、これまで両事業が相互補完的にグループ収益を支えてまいりましたが、これら事業の環境変動幅は大きく、収益のボラティリティが高いと認識しております。

そのため、物流ソリューション事業、機械・プラント事業に続く第3の柱となる事業の創出を目指し、M&Aの実行や、コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)の立ち上げとスタートアップとの連携等、あらゆる手段を講じてその可能性を追求しております。

しかしながら、こうした戦略的投資に対して、当初に期待した効果、シナジーが得られず新規事業の立ち上げに繋がらない場合は、当社グループの業績及び財務状況に中長期的に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 気候変動に関する影響

当社グループでは、ESG経営の推進や、SDGsやパリ協定で示される国際的な目標を重要視しており、中でも「気候変動による事業環境変化への対応」を経営上の重要課題(マテリアリティ)の一つとして認識しております。

世界的な環境意識の高まりや低炭素・脱炭素型社会への移行の中で事業機会を見極め、当社の技術を活かし大型液体水素タンクの開発やバイオマス発電への参画等により、環境面での取り組みを促進しております。また、当社が掲げる環境方針のもと、ISO14001を取得・更新し、環境マネジメントシステムを積極的に整備・運用をしております。

しかしながら今後、気候変動の影響が深刻化すると、エネルギーシフトによるLNG・原油等のタンク需要が減少することで、当社の事業環境に悪影響が及ぶ可能性や、当社グループの事業に起因した土壌汚染、大気汚染及び水質・海洋汚染等の環境問題が発生した場合には、社会的な信用低下につながる可能性があります。

 

⑥ 情報セキュリティ並びに情報インフラ整備に関する影響

当社グループは事業を通じて顧客、技術情報等さまざまな機密情報を取り扱っており、これら情報の管理強化のため、情報セキュリティ委員会を組織し社員教育の実施等、その重要性の周知徹底を行うとともに、情報システムのセキュリティ対策を行っております。

しかしながら、コンピュータウイルス等予期せぬサイバー攻撃により、かかる情報システムの機能に支障が生じ、不適切な形で機密情報が消失、漏洩した場合には、当社グループの信頼性を損なうこととなり、事業活動そのものに影響を与える可能性があります。

また、当社グループではロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)による業務の自動化・効率化や業務標準化システムの導入を進める等、IT技術によるビジネスモデルの変革を目指しておりますが、これらデジタル・トランスフォーメーション(DX)の取り組みに遅れを取った場合には、競争上の優位性を確立できず、事業機会を失う可能性があります。

 

⑦ 人材の確保・育成に関する影響

当社グループでは、人材の確保と育成は重要課題の一つであり、人材の流出や採用コストの上昇は、事業活動に影響が生じる可能性があると認識しております。

そのため、人事制度を刷新して人材の高質化と活性化を図るとともに、女性活躍推進行動計画を策定し、女性管理職候補者の育成・登用、時差勤務の利用促進、有給取得率向上等に向けた取り組みを進める等、働きやすい職場環境づくりによる人材の定着化を推進しております。

 

⑧ 労働安全衛生に関する影響

当社グループでは、安全をすべてに優先すべき事項と捉え、「労働安全衛生方針」のもと、OHSAS18001・ISO45001の取得・更新、社長直轄の主管部門の設置、グループ安全会議の開催、現場パトロールの実施、パートナー企業を含めた安全体制の維持・拡充等により、安全衛生の確保・向上に努めております。

しかしながら、このような対策を取っていながらも、事件、事故が発生した場合、工場の稼働や顧客対応に支障が生じるだけでなく、損害賠償の発生、刑事罰や行政処分の執行、社会的信用の失墜等につながり、事業活動や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 自然災害・疫病等に関するリスク

当社グループは、火災や地震、大規模な自然災害や疫病の流行等に備え、業務継続計画(BCP)マニュアルを策定し、連絡体制の整備、災害備蓄の実施や、国内主要製造・開発拠点における耐震補強工事や避難所の設置等、事業継続に必要な対策を講じております。

しかしながら、想定以上の災害の発生により深刻な物的・人的被害を受けた場合、社員の健康のみならず施設に重大な影響を与え、損害保険の付保による適切なカバーを行なっているものの、直接的・間接的損害や復旧費用等が予想以上に多額となり、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、社会インフラという社会からの信頼なくしては成り立たない分野で事業を行っており、法令等を遵守するコンプライアンスは、信頼される事業活動のもっとも重要な基盤の一つであると認識しております。

そのため、当社ではコンプライアンス委員会の設置や統括責任者の任命等組織体制を整備する他、グループ企業行動憲章をはじめとした諸規程を定め、グループ全取締役及び社員へ社会的責任及び公共的使命を周知徹底及び意識を醸成する等、コンプライアンスを堅持する取り組みを推進しております。

しかし万が一、国内外の関連法規等に抵触する事態が発生した場合には多額の課徴金や損害賠償が発生する等、業績と財務状況に悪影響を及ぼすだけでなく、当社グループの社会的な信用が低下し、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用及び所得環境の改善により緩やかな回復が続いたものの、米中貿易摩擦や消費税増税の影響等により、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。また、2020年に入ってからは新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、経済活動への影響が顕著に見られる様になり、景気の悪化が懸念される状況となっております。

 物流ソリューション事業は、EC及び生協向けの物量の増加や人手不足を背景とした自動化設備への需要が堅調に推移しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、不透明感が増しております。一方で空港向け手荷物搬送システムは、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた積極的な設備投資が一巡し、今後の設備投資需要は一転して減少することが見込まれます。

 機械・プラント事業では、新興国経済の成長や人口増加に伴ったエネルギー需要を見込んで一部に石油・ガス関連設備への投資再開の動きが出てきていたものの、産油国の生産調整交渉が進展しない最中、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により原油価格が異常な水準まで下落したことで、余力を失った石油・ガス関連の市場において大幅な設備投資抑制の動きが顕在化する等、その事業環境はますます厳しさを増しております。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りになりました。

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ37億71百万円減少し、609億85百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ31億39百万円減少し、263億82百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6億31百万円減少し、346億2百万円となりました。

b.経営成績

 このような状況の中、2019年度の連結決算の状況は、売上高が465億18百万円(前連結会計年度比2.9%増)、営
業利益は物流ソリューション事業における案件の高採算化等により25億91百万円(同84.3%増)、経常利益は29
億70百万円(同67.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億17百万円(同67.5%増)となりました。また
受注高につきましては、472億41百万円(同9.1%増)となりました

・物流ソリューション事業

 空港向け設備案件やEC、生協、小売向けの「マルチシャトル」を組み込んだ庫内自動化設備案件を中心に売上計上されました。プロジェクト管理強化による大型案件の採算改善、メンテナンス事業の拡大、経費の減少等により営業利益は増加しました。

 この結果、当事業の売上高は288億87百万円(前連結会計年度比1.3%減)、営業利益は28億12百万円(同47.4%増)、受注高は362億83百万円(同19.0%増)となりました。

・機械・プラント事業

 厳しい事業環境によりタンク新設大型案件の受注獲得に至らない中、国内製油所向けのメンテナンス案件が安定的に売上高に寄与するとともに、海外子会社においてタンク以外の鉄鋼製品の加工を請け負うことで売上拡大を図ってまいりました。営業損益については、売上の拡大に加えて過年度に計上した工事案件に係る引当金の戻し利益や、徹底したコスト削減策の効果等により営業損失が縮小することとなりました。

 この結果、当事業の売上高は99億50百万円(前連結会計年度比18.1%増)、営業損失は3億5百万円(前連結会計年度は営業損失12億21百万円)、受注高は99億3百万円(同13.4%減)となりました。

・その他(環境・産業インフラ事業を含む)

 主に、子会社それぞれの特性を生かして産業用機械や一般建築、環境調査等への事業展開に注力した結果、売上高は76億80百万円(前連結会計年度比2.5%増)、営業利益は8億80百万円(同20.6%減)、受注高は10億53百万円(同22.7%減)となりました。

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて37億93百万円増加し、114億2百万円になりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は69億55百万円(前連結会計年度は66億98百万円の支出)になりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上27億88百万円、売上債権の減少78億65百万円、仕入債務の減少34億28百万円、たな卸資産の増加12億21百万円、法人税等の支払額7億72百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に用いた資金は8億12百万円(前連結会計年度は13億15百万円の支出)になりました。主な要因は、固定資産の取得による支出14億24百万円、投資有価証券の取得による支出2億50百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入8億78百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に用いた資金は23億51百万円(前連結会計年度は32億49百万円の収入)になりました。主な要因は、自己株式の取得による支出15億66百万円、配当金の支払9億1百万円等によるものです。

 ③生産、受注及び販売の実績

 1.受注実績

 当連結会計年度における各事業の受注実績を示すと、次の通りであります。

 なお一部の見込生産を除き、受注生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

物流ソリューション事業

36,283

119.0

29,090

134.1

機械・プラント事業

9,903

86.6

8,977

99.5

報告セグメント計

46,187

110.2

38,067

123.9

その他

1,053

77.3

349

77.3

合計

47,241

109.1

38,417

123.2

 

 2.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

物流ソリューション事業

28,887

98.7

機械・プラント事業

9,950

118.1

報告セグメント計

38,837

103.0

その他

7,680

102.5

合計

46,518

102.9

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、その作成にあたっては、決算日における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 a.経営成績等の状況に関する分析・検討

(中期経営計画の目指す経営指標に関する分析)

当社グループは2019年4月からスタートしたグループ中期経営計画(2019~2021年度)を策定しております。本計画期間の3カ年を、長期ビジョンの実現のための飛躍に向けた基盤確立の時期として位置付け、初年度である2019年度はその礎石を据えるべく施策を進めてまいりました。

 本計画(2019~2021年度)における各セグメントの目標数値、基本戦略及びそれらの進捗状況、並びに経営者が認識する現状の事業環境については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますので、ご参照ください。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、先行きの不透明感が増していることから、本計画期間の最終年度(2021年度)までの各年度における目標数値について当面は据え置くこととしますが、今後合理的な算定が可能となった段階で適宜見直しを検討してまいります。

 

2019年度の中期経営計画の目標数値と実績との比較

 

2019年度(目標)

2019年度(実績)

目標比

売上高

44,700

46,518

+1,818

物流ソリューション事業

27,000

28,887

+1,887

機械・プラント事業

10,300

9,950

△349

その他事業

7,600

7,813

+213

新規事業

営業利益

1,780

2,591

+811

物流ソリューション事業

2,200

2,812

+612

機械・プラント事業

△650

△305

+344

その他事業

980

880

△99

新規事業

ROE

3.7%

4.9%

+1.2pt

 

 売上高は、目標比18億18百万円増収(4.1%増)の465億18百万円となりました。これは、物流ソリューション事業においては、本計画期間は売上高の拡大よりも収益性の向上を基本方針にしているものの、良好な事業環境のもと目標値を上回って順調に推移したことや、機械・プラント事業においても、国内メンテナンス案件を中心に概ね計画通りに進捗したこと等によるものです。

 営業利益は、目標比8億11百万円増益(45.6%増)の25億91百万円となりました。これは、物流ソリューション事業でのプロジェクト管理の強化により計画以上に採算性が向上し、同事業で過去最高の営業利益を達成したことや、機械・プラント事業での徹底したコスト削減の効果等によるものです。

 ROEは、当期純利益の増加により目標比1.2ポイント増加し4.9%となりました。

 

 b.財政状態に関する分析・検討

 当連結会計年度末は、前連結会計年度末に比べ、総資産は37億71百万円減少、負債は31億39百万円減少と、ともに大きく減少しておりますが、これは主に、前連結会計年度において物流ソリューション事業の大型プロジェクトの売上が年度末に集中したことによる営業債権・債務の前連結会計年度末の一時的な大幅増加の反動減によるものです。中でも受取手形及び売掛金は、当期において順調に売上債権の回収が進んだことにより、前連結会計年度末に比べ78億53百万円の減少となりました。一方、新型コロナウイルスの感染拡大等の先行き不透明感等のある状況下、手元流動性を確保する観点から金融機関等からの借入の返済を抑制したことで長短借入金合計は前連結会計年度末に比べほぼ横ばいとなり、現金及び預金は38億41百万円増加しております。

 また純資産については、自己株式の取得を行ったこと等により6億31百万円減少しましたが、負債の減少の割合の方が大きかったために、当連結会計年度末の自己資本比率としては56.7%と前連結会計年度末に比べ2.3ポイント上昇しました。

 c.キャッシュフローに関する分析・検討

当社グループの資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な材料費、外注費及び労務費等の製造費用や、受注獲得や競争力強化のための販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、資金の需給状況に応じて株主還元や成長投資にも資金を利用しております。また、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によるキャッシュ・フローの急激な悪化に備え、当社グループでは手元流動性を十分に確保する方針を執っております。万一、追加の資金が必要になった場合には、金融機関からの借り入れにより資金を調達していく考えです。

 当社グループは、当連結会計年度において株主還元に24億67百万円、成長投資に16億74百万円使用しました。当社では、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けており、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております株主還元方針に従った自己株式の取得や配当金の支払い等、機動的な株主還元を実施しております。

また、中期経営計画に定めております、新規事業の早期収益化を目指したベンチャー投資のほか、既存事業の生産能力強化等成長投資にも資金を利用しております。

 当社グループでは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するため、営業活動から獲得した手元資金を活用するほか、必要に応じて金融機関より短期借入金及び長期借入金による資金調達を行っております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は129億56百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は114億2百万円であります。

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、主力事業の物流ソリューション事業及び機械・プラント事業を中心に行われております。これらの事業では、新製品・サービスの開発、技術力向上及び既存事業の強みを生かした新事業の立ち上げのため、以下のような研究開発活動を重点的に行ってまいりました。

 なお、当連結会計年度において、研究開発関連の人件費196百万円を含む541百万円を投入しました。

・物流ソリューション事業

  1.基本的考え方

 お客様のニーズにきめ細かく対応した最適なソリューションの提供を通じて更なる社会貢献を目指すことを基本方針として、研究開発を推進しております。

 マテリアルハンドリングシステムの主要構成要素であるマルチシャトル、コンベヤ機器の更なる高度化とともに、省人化・省力化、IoT、AI技術を用いた予知保全の導入による、コンベヤ機器の安定稼働に寄与できる研究開発を推進し、最適ソリューションの提供に向けての技術基盤を構築します。

 

  2.研究開発状況と成果

   (1)マルチシャトルシステムについては、現在の物流業界の流れによりネット通販をはじめとしたEコマース市場の伸長から広範囲な業種のユーザ様向けに実績を重ねてまいりました。

同システムは、保管機能、高速入出庫、順立て出庫機能を有しており、これらの機能の高度な運用を通じてピッキング、仕分け機能等の多機能の複合的運用を可能としました。

   a)マルチシャトルダブルリフトの開発

        ネット通販をはじめとしたEコマース市場の伸長により、従来の順立て出庫にプラスし『GTP(Goods To Person):歩行レスピッキング』を市場に送り込み、更なる生産性の向上を目指すために、1アイルに2つの高速リフトを開発し、同一設備にて2倍になるピッキングステーションへの供給を可能としました。同設備を提供することで、小スペース高能力化され、マルチシャトルの更なる機能を向上させました。お客様が抱える課題、求めるニーズに対して最適なソリューションを提供すべく、今後も積極的に機能改善・改修にも目を向けてまいります。

   b)マルチシャトル、ロジボへの連携システム

従来の順立て出庫を有したマルチシャトルの更なる機能強化のため、マルチシャトルに昨年出展したスマート工場EXPOで好評を博したロジボ(ミックスパレタイジングロボット)をアペンドさせ、自動で省人化・省力化に貢献すべくロボット技術を組み込んだシステム機器の開発を行いました。今後、同モデルを拡販させるためにも千葉事業所内にデモスペースを設け、進化したマルチシャトル、ロジボ連携システムを直接見て頂ける場を設ける予定です。

   (2)生産性の高い物流センターを実現するためにも産官学と連携し、最新技術であるIoT、AIを駆使した動線・作業分析サービスを開発してまいりました。

まずは、産総研と連携し、動線計測・データ分析技術を習得するため、技術研修及び技術トランスを行ってまいりました。結果、動線・作業の解析の見える化技術の習得をし、今後はユーザへの展開を図ってまいります。同サービスを展開していく背景には、生産性の高い物流センターを実現すべくソリューションサービスの提供だけではなく、省人化・省力化に貢献すべくコンベヤ設備やロボット技術への導入にも紐づいていければと考えております。

   (3)365日24時間止めない物流センターを実現するためにIoT、AIを駆使した予知保全サービスを引き続き開発してまいります。

予知保全サービスとは、お客様の物流システムを24時間リモート監視する中で故障・不具合の兆候を事前に感知し障害が発生する前に最適なタイミングで保全を行うものです。今までは人間の勘や経験及び時間の経過を背景に保守サービス(予防保全)を行ってきました、今後はIoT技術を駆使し、定量的に設備状態を収集、蓄積し、そのデータを人工知能(AI)で解析し最適な保守サービス(予知保全)を提供し、止めない物流センターの実現に向けてまいります。また、AI技術においては、予知保全だけではなく、画像解析にも適用してまいります。特に空港手荷物搬送に於けるコンベヤシステム(以下BHS)ついては、各納入先において順調に稼働しており、お客様から高い評価を得ております。更なる信頼性・能力・機能の向上を図るべく、BHSにAI技術を用いることで、停止要因となる形状不安定な手荷物(不適合手荷物)を検出し、BHSから排除することで稼働率を向上させ、省力化、省人化に貢献する仕組みにも取り組む予定です。

 なお、当事業に係る研究開発費は328百万円であります。

 

・機械・プラント事業

1.世界最大の液体水素タンク建設を目指した研究開発

   経済産業省策定の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」に示される2030年頃の発電事業用水素発電に資する、大型液体水素タンクの研究開発を継続的に実施しております。

  昨年度までは、東京工業大学と断熱構造の研究開発を実施し、その成果を業界発表しました。今年度からは、次の段階として、①真空排気システムの確立、②内槽底部への入熱量算定手法の確立、③SUS316Lの溶接材料を使用した溶接施工法の確立、をすべくNEDO事業に参画し、研究開発を進めております。

 

2.タンク側板周継手用遠隔機能付きサブマージアーク溶接機の開発

   液化天然ガス(LNG)タンクの建設期間短縮を目指すために、組立・溶接・非破壊検査の各工程を並行作業することで工期短縮が出来ないか工法の検討を行いました。その結果、溶接作業において作業現場に人員を配置しないことで、その他の各作業との並行作業が可能であると考え、遠隔操作機能を付加した自動溶接機の開発を進めてきました。

   初めに試作機にて溶接施工や操作上の問題点を抽出して、それらを改善することにより、実機用の遠隔機能付きサブマージアーク溶接機を完成させました。現在は幅広い施工条件にも対応できるように溶接試験を繰り返し、溶接条件の最適化を図っており、次期受注案件への導入を目指しております。

 なお、当事業に係る研究開発費は158百万円であります。