第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社は、社是である「わが社は 常にすすんで よりよきものを造り 社会のために奉仕する」を経営理念とし、「革新的な技術と実行力で、社会課題を解決する「ソリューションイノベーター」」となることを経営ビジョンに掲げ、複雑化する経営環境や社会が直面する課題に革新的・先駆的な技術やソリューションを以って解決することに取り組み、グループの持続的企業価値向上と社会の発展に寄与することを目指しております。

当社グループでは、事業を通じて持続的に企業価値を向上させるため、自らの強みを活かし優先的に取り組むべき重要な経営課題(マテリアリティ)10項目を特定し、各マテリアリティを事業戦略の策定や各事業における意思決定プロセスにおいて考慮すべき重要な要素と位置付けて、事業活動を行っております。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明し、気候変動への取り組みを強化するとともに、提言に基づく開示内容を拡充し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

引き続き、これらの課題解決を通じて、社会的に期待される役割について認識し、関連SDGs達成への寄与にも努めながら、財務面を含む持続的な成長を確実なものとしてまいります。

 

A

事業を通して解決し

企業価値向上を目指す課題

(1)  気候変動による事業環境変化への対応

(2)  国内人口の減少への対応

 

B

持続的な企業価値向上

のために取り組む

マテリアリティ

(3)  人材の育成と活用

(4)  新技術の開発と活用

(5)  パートナー企業との協業推進

(6)  生産性の向上

 

C

持続的な

企業価値向上の

前提となる取り組み

(7)  安全衛生の確保

(8)  コンプライアンス・ガバナンスの堅持

(9)  リスクマネジメントの高度化

(10) 積極的なチャレンジやスピード感がある企業風土への変革

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループは「未来へ向けた成長路線の確立」を基本方針とし、当社グループが解決すべき社会課題を明確化した『グループ中期経営計画(2022~2024年度)』を策定し、推進しています。

物流ソリューション事業では「労働人口減少」に伴う社会課題解決のために、新たな技術革新とソリューション力により物流現場の無人化を実現し付加価値を高めてまいります。

プラント事業及び次世代エネルギー開発事業では「カーボンニュートラル社会」の実現に向けて、高度な技術と実績を活かし、メンテナンス需要に応えるとともに、次世代エネルギー向け等のタンク製造に取り組んでまいります。

みらい創生その他事業では「生活環境リスク」に対応すべく、高度な計測技術や調査・分析の実績等を活かすとともに、産業機械・建築領域も含め、多様でサステナブルな生活環境の実現に取り組んでまいります。

各事業の基本方針・重点施策は以下の通りです。

 

・物流ソリューション事業

〔基本方針〕事業領域拡大による高成長企業への進化

〔重点施策〕・部分から全体エンジニアリングへの業務領域の拡大

・強みを活かした提案力の向上と顧客領域の拡大

・人材育成、確保によるサービス事業の強化

・映像とデータを融合した新ソリューションの開発

一般物流につきましては、国内におけるEコマース市場の堅調な拡大を受け物流施設投資が伸長しており、今後益々、少子高齢化に伴う労働人口の減少・多様化による省力化・省人化技術が浸透していくことに加え、AI・IoT を活用した物流を止めないための予知保全サービスなどの需要が見込まれます。また、空港物流につきましては、回復基調にある国内外の旅行・移動に関連して、新型コロナウィルス感染症 5類移行後の人や荷物の流れを意識した非接触技術や SBD(セルフサービス自動手荷物預けシステム)などの自動化設備によるソリューションへの期待が高まっております。

そのような環境の下、当事業における重点施策の進捗状況は次の通りです。

・業務領域の拡大に関しては、WMS(倉庫管理システム)の充実を図り、日々集積される物流倉庫内の荷動きデータの見える化を通してさらなる効率化提案を進めております。また、ロジスティクス全体に係る外部システムとの連携も視野に施策を推進しています。

・顧客領域の拡大に関しては、主力製品「マルチシャトル」(高能力・省スペース入出庫システム)や新規取扱い製品「Modula LIFT」(垂直保管システム)等を活用したソリューションをものづくりメーカー等へ納入するなど展開を図っております。

・サービス事業の強化に関しては、関東サテライト4拠点(鶴ヶ島、流山、厚木、羽田)を開設しサービス対応の強化を図るとともに、社内外の講師によるメンテナンス人材の育成も進めております。

 

・プラント事業

〔基本方針〕エネルギー転換の過渡期における安定したエネルギーインフラへの寄与

〔重点施策〕・メンテナンス需要の継続受注及び新規取り込みによる安定収益確保

・TKKプラントエンジのフル活用や協力会社との協業による効率追求

・タンクメーカーの実績と知見を基にした活躍領域の拡大

 地球温暖化に伴う二酸化炭素排出量の問題や地政学リスクの高まり等の影響によりプラント関連の設備投資は停滞しておりますが、国内市場において、老朽化が進むタンクのメンテナンスは一定の需要が見込まれます。また、安定的な受注獲得のためには、現場監督者の高齢化や人材不足に対応する体制強化の推進が必要です。

 そのような環境の下、当事業における重点施策の進捗状況は次の通りです。

・石油化学プラントの閉鎖など直接的な需要減少がある中でも、長年の実績と経験を背景に国内メンテナンス需要を弛み無い活動により受注し、安定収益確保に努めております。

・また、それを支える労働力の確保をグループ会社や協力会社との良好な関係性づくりを通じて堅持しております。

・現場の労働環境改善のため、DXを通して熱中症対策や健康意識の向上啓発など働き手への配慮活動を推進しております。

 

・次世代エネルギー開発事業

〔基本方針〕次世代エネルギー社会到来に向けた高度な技術力の獲得と参画

〔重点施策〕・燃料アンモニア・MCH・液化CO2などの貯蔵ニーズへの取り組み

・海外市場におけるタンク新設需要の取込み

・液化水素タンクの建設技術(設計・溶接検査・施工)の獲得

 地球温暖化に伴う二酸化炭素排出量の問題や地政学リスクに起因する世界的なエネルギー問題等の影響により現在の国内外のタンク新設需要は厳しい事業環境にあります。一方で、カーボンニュートラル社会へ向け、次世代のエネルギーへ切り替わっていく過渡期に差し掛かってきており、燃料アンモニアタンク、大型液化CO2タンク、MCHタンクなど新たな需要拡大が期待されます。また、研究開発の進展による液化水素タンクの建設技術獲得への関心が高まっております。

 そのような環境の下、当事業における重点施策の進捗状況は次の通りです。

・燃料アンモニアタンク、大型液化CO2タンク、MCHタンクは、技術検討が終了し、建設準備が整いました。また、液化水素タンクの建設技術は、真空排気システム、内槽底部への入熱量算定手法、溶接材料(SUS316L)を使用した溶接施工法についてそれぞれ確立がなされ、さらなる技術開発を進めております。

・海外のタンク新設市場は、極めて厳しい環境に置かれていますが、引き続き、収益を事前に精査しながら需要の獲得を目指してまいります。

 

・みらい創生その他事業

〔基本方針〕グループの成長を加速させる第三の事業確立への挑戦

〔重点施策〕・環境領域のM&Aを含めた事業拡大

・グループ各社の競争力強化による安定収益化

・保有技術、ノウハウ及び外部連携によるビジネスモデルの変革

当セグメントは、環境調査・分析、産業機械、建築等の分野で事業を行う当社グループ関連会社で構成されております。環境調査・分析の市場は、気候変動に伴う大気観測や河川観測、アセスメントの重要性が増し、また、アスベストに関する法改正など、調査・分析及び機器保守の需要は、引き続き拡大することが予想されます。産業機械事業の市場は、産業現場や土木現場の省力化・自動化、さらに安全性に対する社会的ニーズを背景に、買い替えも含めた需要が望めるものと考えます。建築事業の市場は、人件費や資材等の高騰などで苦戦が予測されております。

そのような環境の下、当事業における重点施策の進捗状況は次の通りです。

・環境領域を中心にM&A活動を積極的に継続し、第三の事業確立を目指しております。また、グループ各社の成長を促すために、当事業部が中心となり情報交換や業務提案を実施し、事業拡張及びシナジー効果の顕在化に努めております。

・CVC投資に関しては、複数のスタートアップ企業への投資を行い、技術等資源の活用を継続的に検討しておりますが、当面は、多面的、総合的に慎重な判断のもと投資を行ってまいります。

 

・経営基盤強化策

 当社グループは、社員の柔軟な働き方を可能にする環境づくりとダイバーシティへの取り組み等を通して、健康経営®優良法人2023に継続して認定されました。また、本社及び和歌山工場のGHG排出量の実質ゼロ化、気候変動イニシアティブやGXリーグへの参加など環境対策を行いました。今後も、グループ全体としてより一層のガバナンス強化はもちろん、ESG経営を推進してまいります。

 社員一人ひとりが“ACTION FOR THE FUTURE”を実践する企業風土を醸成し、グループ全体の持続的成長を支えるために、以下の重点施策を引き続き推進してまいります。

 ・人財総合力の向上施策の展開

 ・企画力の強化と事業支援の展開

 ・ESG経営施策の展開

 

(3)目標とする経営指標

当中期経営計画期間の最終年度にあたる2024年度の連結業績目標として、売上高650億円、営業利益42億円、ROE8%の達成を目指し、スローガン「ACTION FOR THE FUTURE 期待を超える実行力で、未来を支えるチカラになる」のもとグループ一丸となって目標達成に取り組んでまいります。

(単位:百万円)

連結業績目標への推移

2022年度

(実績)

2023年度

(予想)

2024年度

(中計目標)

売上高

47,351

54,000

65,000

物流ソリューション事業

28,032

32,600

36,400

プラント事業

8,522

8,500

8,500

次世代エネルギー開発事業

1,043

1,600

2,400

みらい創生その他事業

9,989

11,300

17,700

営業利益

2,497

3,300

4,200

物流ソリューション事業

2,605

3,320

3,700

プラント事業

560

450

450

次世代エネルギー開発事業

△734

△500

△260

みらい創生その他事業

1,071

940

1,230

ROE

6.4%

6.0%

8.0%

(注)上表における各事業の営業利益の目標数値はセグメント間の内部取引及び振替高の調整額が含まれておりません。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(サステナビリティに関する考え方)

 当社グループは、「第2.1.(1)会社の経営の基本方針」に記載の通り、事業を通じて持続的に企業価値を向上させるため、優先的に取り組むべき重要な経営課題(マテリアリティ)10項目を特定し、これらの課題解決を通じて、持続的な成長とともに関連SDGs達成に努め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。重要な経営課題(マテリアリティ)のA分類の冒頭に「気候変動による事業環境変化への対応」を、またB分類の冒頭に「人材の育成と活用」を掲げて、サステナビリティについて取り組んでおります。

 なお、当社グループの具体的な取り組み等については、統合報告書「TKKレポート」をご参照ください。

(1)ガバナンス

 当社グループのガバナンスに関しては、「第4.4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 また、当社グループにおけるビジネスリスクに関するガバナンスについては、取締役会によって指名された取締役を委員長とするリスク管理委員会が管掌し、同委員会は必要な計画の策定と実施を推進しています。なお、リスクマネジメント室が同委員会の事務局として機能しています。リスク管理委員会の構成メンバーは、各事業本部において当該事業を管掌する取締役ないし執行役員の中から選任され、この選任を通じて、各事業部門間での取り組みが共有され、業務計画等の立案・実施において気候変動課題等が考慮される仕組みとなっております。

(2)戦略

 ①気候関連財務情報開示タスクフォース(以下TCFD)提言に基づく情報開示

 当社グループはTCFD提言に賛同し、同提言の枠組みに沿って、外部専門家グループの支援を受け、当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性のある気候変動リスク及び機会を特定し、シナリオ分析を実施しました。

 分析にあたっては、 原則として2050年までの期間を対象とし、短期(3年程度)、中期(2030年まで)、長期(2050年まで)の3視点で、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)等が公表する複数の既存シナリオを参照しつつ、2つの気候変動シナリオ(産業革命以降の今世紀末までの平均気温上昇が2℃未満のケース、4℃のケース)に基づく世界観を想定し、網羅的に分析を行いました。

 2つのシナリオに基づく当社グループのリスク及び機会とそれらに伴う事業及び財務への影響を検討したところ、現時点で2050年までを俯瞰すると、当社グループ売上の約8割を占める主力3事業(物流ソリューション事業、プラント事業、次世代エネルギー開発事業)での全般的な財務的影響では「機会」が「リスク」を上回るとみています。

 物流ソリューション事業では、気候変動による物流現場の環境悪化や少子高齢化等の流れから、高度な省力化・省人化物流システムへの需要の継続的な伸びが期待でき、「機会」が「リスク」を十分に上回ると考えます。

 プラント事業では、既存の石油・ガス貯蔵タンク向けのメンテナンス需要は徐々に低下することが見込まれますが、それに代わり次世代エネルギー活用としてMCHやアンモニア貯蔵化などが進み、これらの改造やメンテナンスの需要が見込まれます。

 次世代エネルギー開発事業では、化石燃料の使用が制限されていくことに伴い、従来の石油・ガス貯蔵タンクの新設需要は減少に向かいますが、替わって次世代エネルギーである水素や燃料アンモニア向け、あるいは液化CO2向けタンクの新設需要が増加し、これをカバーすることが期待できます。

 また、4℃シナリオ下においては、物理的リスクに関し、急性では、河川氾濫による水害発生や台風・洪水等によって事業所業務やサプライチェーンが影響を受ける可能性が高まると想定しています。また慢性については、今世紀末において海水面上昇よる事業所への影響の可能性を特定しましたが、2050年までを視野にいれた分析では、財務影響は小さいと考えています。TKKグループでは、物理的リスクの影響を受けることが考えられる事業や事業所において、今後もリスク軽減の対策を講じていきます。

 ②人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 a.基本方針

 当社は、経営ビジョンである「革新的な技術と実行力で社会課題を解決するソリューションイノベーター」を実現するため「ACTION FOR THE FUTURE」をスローガンに、豊かな創造力、高い思考力、確かな専門性を持った人材を育成し活用することを基本方針としております。

 さらに、人材の多様性や働きやすい職場の実現が価値創造の源泉となるとの考えのもと、社員のスキルアップや

モチベーション向上のため、さまざまな教育制度や評価制度等を導入しております。

 人材育成や社内環境の整備に関する基本的な方針は以下の通りです。

〔人材育成方針〕

 性別・国籍・採用形態等にとらわれず、マネジメント力や業務遂行力などを備えた優秀な人材を経営幹部に積極的に登用することを目指し、全ての社員が自身に必要な知識・スキル等に自ら気づき、学ぶ意欲を持ち続けることを促すとともに、OJT・OFF-JTの何れにおいても充分な学びの機会を提供することを基本的な育成方針としています。

 上記方針に基づき、職位・階層別の総合研修制度や、事業特性に応じた専門研修、社会課題等を踏まえた知識・スキルの拡充に関する研修などを制度化し、これらを定期的に実施し、特に女性・外国人・中途採用者等の知識・スキル等の習得ニーズを適切に把握するとともに、ニーズに合致し、参加しやすい研修機会の提供を可能としております。加えて、社員の階層を限定しない英語教育の実施や、役割の転換期に応じたキャリアデザイン研修なども実施しております。

〔社内環境整備方針〕

 多様な人材の活躍や定着のため、ワークライフバランスを重視し働きやすい職場を実現するとともに、一人ひとりの意見や価値観などの尊重、また健康に配慮した就業環境の提供などにより、企業風土を改善しエンゲージメントを向上させることを基本方針としています。

 上記方針に基づき、在宅勤務や時差出勤制度をはじめ、ジェンダーに依らない育児・介護休業の取得支援や、障がい者の積極的な採用に取り組んでいるほか、自己申告制度の活用による、社員の志向や適性・専門性を考慮した配属の実施なども行っております。

 b.HR施策の具体例

〔複線型人事制度と幅広い研修機会の提供〕

 経営ビジョンの実現のために専門性の高い人材を育成すること、また多様な人材の個性や能力を生かすために高度なマネジメントスキルをもった人材を育成すること、この2つの実現のため複線型人事制度を採用しております。

また、社員一人ひとりの能力や資質に基づいたキャリアデザインの形成を重視し、業務スキルや専門性を高める研修をはじめ、ヒューマンスキルや経営マネジメント力向上のための研修、さらに自己啓発型研修など、幅広い分野の研修機会を提供しております。

〔社内インターン制度〕

 専門性が確立されていない新入社員をどの分野に配属しキャリアをスタートさせるかは、その後のキャリア形成

に影響を及ぼしますが、当社では、新入社員が入社後、本配属の前に半年程度の期間のインターン制度を設けて、複数部署での職場体験を実施しています。終了後、本人の希望を可能な限り反映した部署に配置することで、部署の役割や前後の行程を理解し、自己選択というプロセスを経ることで、当事者意識と仕事の全体像を意識できる社員となることを期待しております。

〔ダイバーシティの推進〕

 VUCAと言われる時代、多様な考え方が意思決定プロセスに反映されることは、顧客への提供価値を高めていくためにも不可欠なものと考えております。当社は女性活躍推進プロジェクト(通称「W-PJ」)を発足させ、性別や信条等固有の属性によらず全社から多くのメンバーが参画し、社員視点での働きがいや働きやすい職場環境の向上をテーマに議論を行い、経営に提言、施策を実行する等の活動を行っております。

 また、キャリア採用を積極的に行い、高度なスキル、豊かな経験、固有の価値観をもった社員を迎え入れることで、社員相互における刺激を生み、組織の活性化を図っております。

(3)リスク管理

 企業を取り巻く環境が複雑かつ多様化する中、当社グループは、事業に重要な影響を与えるリスクの適切な管理を重視し、グループの重要経営課題(マテリアリティ)においても「リスクマネジメントの高度化」を掲げています。

 リスク管理委員会は年2回以上開催され、取締役会及び経営会議に定期報告を行うことになっており、経営会議では、リスク管理委員会からの報告・答申等に基づき、必要な協議・決議を行います。取締役会は、経営会議及びリスク管理委員会で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループのビジネスリスク全般への対応方針及び計画の実行と進捗についての監督を行います。

 あわせて、リスク管理に関しては、「第2.3.事業等のリスク」をご参照ください。

(4)指標及び目標

①TCFD提言に基づく情報開示

 (カーボンニュートラルにかかる温室効果ガス(以下GHG)の排出削減)

削減対象のGHG:

当社単体及び国内海外連結子会社における「Scope1排出量+Scope2排出量」

  ※Scope1排出量 自社での燃料の使用等によるGHGの直接排出

  ※Scope2排出量 自社が購入した電気・熱の使用によるGHGの間接排出

GHG削減目標:

「2050年までにカーボンニュートラルを達成」

「2030年までに2019年度対比で50%に削減」

当社グループにおいて省エネルギーや再生可能エネルギー導入をはじめとしたGHG排出削減活動を推進し対象範囲のGHG排出量を2050年までにカーボンニュートラルにします。

なおScope3排出量については、仕入先・顧客と協働し、バリューチェーンを通じた削減の取り組みを推進していきます。

  ※Scope3 事業活動のサプライチェーン内で間接排出されたScope1・2以外のGHG

GHGプロトコールに準じて算出したサプライチェーン排出量の算出結果は以下の通りです。

Scope1排出量+Scope2排出量 (国内外を含むグループ全体)

2019年度:5,276t-CO2e  ・2020年度:4,993t-CO2e ・2021年度:5,142t-CO2e

2022年度:3,600t-CO2e

Scope1排出量+Scope2排出量 (国内外を含むグループ全体)を2019年度(基準年)に対し、2022年度は32%削減いたしました。

Scope3排出量(国内外を含むグループ全体)

2020年度:348,949 t-CO2e ・2021年度:382,849t-CO2e

2021年度Scope3排出量のうち、カテゴリー11「販売した製品の使用」が235,447t-CO2e、カテゴリー1「購入した製品サービス」が132,276t-CO2eで、Scope3排出量全体の96.0%を占めます。

上記より、2021年度のサプライチェーンGHG排出量は387,991t-CO2eとなり、構成比は、Scope1・2が1.3%、Scope3が98.7%であります。

また、GHG排出削減に向けての施策について、Scope1・2排出量は、2022年度で53%が電気使用、37%がガソリン・軽油の消費に由来するものであることから、以下の項目に重点を置くことが必要と考えております。

-自家消費太陽光設備の導入

-ゼロ排出・再エネ由来電気の導入

-社用車のEV化

-省エネ設備の導入

Scope3排出量は、製品の使用過程における消費電力の削減等カテゴリー別の具体的対策を検討し、また仕入先・顧客とも協働し、GHG排出量の削減に向け、対策の立案とその推進に取り組んでまいります。設備投資計画の検討において、設定した社内炭素価格を適用し仮想的な費用に換算することで、投資判断の参考とするInternal Carbon Pricing制度を導入し、脱炭素投資の推進をしてまいります。

・ガバナンス及びリスク管理については、上記(サステナビリティに関する考え方)の(1)、(2)をご参照ください。

 ②人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標と目標

〔目標とする指標〕

・女性管理職の割合 2024年度までに10%

・男性労働者の育児休暇取得率 2023年度までに70%

・年次有給休暇取得率 2024年度までに70%

〔実績〕

 過去3年間における各指標及び実績は下記の通りであります。

指標

2020年度

2021年度

2022年度

女性管理職の割合(%)

2.7

5.4

6.9

男性労働者の育児休暇取得率(%)

25.0

50.0

61.5

女性労働者の育児休暇取得率(%)

100.0

100.0

100.0

キャリア採用比率(%)

50.0

66.7

65.7

キャリア採用管理職比率(%)

37.8

35.1

38.0

年次有給休暇取得率(%)

68.4

66.8

71.8

表彰制度改善提案提出率(%)

72.3

70.7

79.8

男女の賃金の差異(%)

全労働者

59.4

60.6

62.1

うち正規雇用労働者

59.9

61.2

62.7

うちパート・有期労働者

38.9

45.2

31.2

(注)目標及び実績は、提出会社の従業員の状況となります。

 また、ガバナンス及びリスク管理については、上記(サステナビリティに関する考え方)の(1)、(2)をご参照ください。

3【事業等のリスク】

当社のリスク管理体制は、取締役の中から任命されたリスク管理統括責任者が、当社及び当社グループのリスク管理を統括し、全社リスク管理部門がリスク管理統括責任者の指揮命令の下、リスクの洗い出し、評価・結果のモニタリング等を行います。重要リスクについては、経営環境の変化やリスク対応状況等を踏まえて定期的に見直しが行われ、適切なリスク対策が適時に実行されるよう努めております。

事業活動に与える可能性のあるリスクのうち、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、予見することが困難なリスクも存在します。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものです。

① 気候変動に関する影響

当社グループでは、ESG経営を推進しており、SDGsやパリ協定で示される国際的な目標を重要視しております。また、経営上の重要課題(マテリアリティ)の冒頭に「気候変動による事業環境変化への対応」を掲げております。

世界的な環境意識の高まりや低炭素・脱炭素型社会への移行による、エネルギーシフトが加速する中で、LNG・原油等のタンク需要が減少することは避けられず、当社の事業環境に悪影響が及ぶ可能性があります。そこで当社の技術を活かし大型液化水素貯蔵の開発や、発電用燃料としての水素やアンモニアの需要拡大への対応を通じた、低炭素社会の実現を目指し、当社の強みを活かしたインフラに係る取り組みを積極的に推進しております。また、当社グループ全体として、省エネ型製品・サービスの開発、自家消費型再生エネルギー(太陽光)の活用など、低炭素・脱炭素型社会に向けた施策を推進しています。当社グループの温室効果ガスの排出(Scope1及び2)の削減については、2022年5月に「2050年までのカーボンニュートラル達成」を宣言し、また2022年度より「TCFD提言に基づく気候変動リスク(及び機会)にかかる情報開示」も開始しております。気候変動対応については、当社グループ経営における長期的リスク(及び機会)への対応を検討する好機と捉えており、投資家等に向けた情報開示や対話を促進していく考えでおります。

また、当社グループの事業に起因した環境問題が発生した場合には、社会的な信用低下につながる可能性があります。そのため当社が掲げる環境方針のもと、ISO14001を取得・更新し、環境マネジメントシステムを積極的に整備・運用をしております。

② プロジェクトの遂行に関するリスク

物流ソリューション事業では、Eコマース市場の拡大、物流業務のアウトソーシングの広がりなどにより、サプライチェーンの中で物流センターにおける役割が増えると共に、物流業務の効率化、拠点の集約化の動きに合わせて物流センターが大型化する傾向にあり、これまで以上にプロジェクト管理・遂行能力の重要性が高まっております。

そのため、当事業においては、営業提案から施工まで一貫した納期管理の徹底を行い、標準化や生産性向上によるコスト・作業負担の低減に努めると共に、協力会社の拡大など、持続可能なプロジェクト遂行体制の整備に努めております。しかしながら、短納期化が求められるなかでの予期せぬ建築施工計画の変更による工期圧縮や、一定期間内に複数の大型プロジェクトを同時進行することに伴う納期調整など、様々な要因によって想定外のコストが発生する可能性があります。

また、当事業が提供する主要な製品や部材の中には、海外の特定取引先から調達しているものが存在し、取引先の経営方針・経営環境の変化や、国際需給の変動、自然災害、事故などにより、安定的にこれら製品や部材を調達できない場合にはプロジェクトの遂行に影響を与える可能性があります。

プラント事業・次世代エネルギー開発事業においては、国内製油所を中心にタンク補修工事を請け負っており、工事従事者が不足した場合や資機材の調達価格が高騰した場合、現場監督者の技術の継承が遅れた場合には事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。そのため、パートナー企業との連携を強化し、安定的な施工体制を整えながら、現場人材の確保・育成を図るため新会社「TKKプラントエンジ株式会社」を設立しております。またタンク新設プロジェクトへの対応として、受注から施工まで少数精鋭による一貫した管理・情報集約体制を整え、迅速かつ効率的なプロジェクトの遂行を行っております。

当社グループでは、プラント事業・次世代エネルギー開発事業を中心に海外でも事業を展開しており、当社連結子会社のインドネシア現地法人においてタンク等の鉄鋼材料の加工や現地工事、マレーシア現地法人では現地空港における手荷物搬送設備のメンテナンス、及び現地石油化学プラント関連設備のメンテナンス事業を行っております。これらの海外事業には以下に掲げるようなリスクが内在しており、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

1.法律又は規制の予期せぬ変更

2.政治経済の不安定性

3.人材確保の困難性

4.不利な税制改正

5.テロ、戦争、疫病、災害、その他の要因による社会的混乱

新型コロナウィルス感染症の影響や地政学リスクの影響による部品等の不足や価格高騰に対し、早期手配に取り組むなどリスク低減を図っております。

プロジェクトの遂行にあたっては案件に応じて製造物責任賠償保険等に加入すると共に、品質を担保するため、当社グループでは社内規定を制定し、品質マネジメントシステムを整備するなど、品質管理を強化しております。また品質問題が発生した場合でも品質管理の主管部門を社長直轄とすることで、迅速な対応を可能とする体制を整備しております。しかしながら万が一製品に重大な品質クレーム・トラブルが発生した場合には、修繕費用や賠償の発生等によりプロジェクト収益が悪化するのみならず、当社グループの社会的評価の低下に繋がり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

③ 人材の確保・育成に関する影響

当社グループでは、人材の確保と育成は重要課題の一つであり、人材の流出や採用コストの上昇は、事業活動に影響が生じる可能性があると認識しております。

そのため、多様な人材確保のため採用対象を多様化させると共に、女性活躍推進行動計画を策定し、女性管理職候補者の育成・登用、時差勤務の利用促進、有給取得率向上、男性の育児休業取得促進などの取り組みを進め、「健康経営@優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されるなど、働きやすい職場環境づくりによる人材の定着化を推進しております。

また、物流ソリューション事業では、千葉事業所内にエデュケーションセンターを開設し、人材のさらなる技能強化や安全教育指導を実施しております。

④ 受注競争の激化による影響

当社グループの主力事業は何れも受注型産業であり、厳しい受注競争に晒されているため、採算面での不合理な下方圧力に直面した場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、顧客の政策・方針や、業界の経営環境変化、業界再編の動きは、受注活動に影響を与える可能性があります。

こうしたリスクに対し、物流ソリューション事業においては、国内外における顧客領域の拡大を進めつつ、外部技術の柔軟な導入による最適なソリューション提供を行うと同時に、製品の内製化、標準化を推し進め、価格競争力を強化しております。また、更なる業務効率向上を図るために社内システムの刷新を行うなどの対策を進めております。

プラント事業・次世代エネルギー開発事業では厳しい事業環境が長期化する中で、コア技術であるタンクEPC(設計・調達・施工)遂行能力を向上・発展させ、品質面での優位性を活かした受注活動に取り組むと共に、海外子会社による事業領域の拡大を図っております。

また、厳しい受注競争の中で、当社グループは持続的企業価値向上と社会の発展に貢献することを目指し、「革新的な技術と実行力で、社会課題を解決するソリューションイノベーター」となることを経営ビジョンとして掲げ、最先端技術を有する国内外の企業やCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)を活用したスタートアップとの連携、大学・研究機関との共同研究などを通じて、様々な技術開発に取り組んでおります。

しかしながら、製品・技術のライフサイクルが短命化する中で、市場からの要請に対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下し、中長期的に業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産等の固定資産を保有しています。継続的な業績のモニタリング等により、当該固定資産に対する投資の回収が困難となる前に対策を講じるように努めておりますが、経営環境や事業の状況の著しい変化等により収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、当該資産に対する減損損失の計上により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 新規事業の立ち上げに関するリスク

当社グループは、長きにわたり物流ソリューション事業、プラント事業・次世代エネルギー開発事業を主力事業として展開をし、これまで相互補完的にグループ収益を支えてまいりましたが、これら事業環境の変動幅は大きく、収益のボラティリティが高いと認識しております。

そのため、M&Aの実行や、CVCの立ち上げとスタートアップとの連携など、あらゆる手段を講じてその可能性を追求しておりますが、第3の柱となる事業の創出が遅れた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 労働安全衛生に関する影響

当社グループでは、安全をすべてに優先すべき事項と捉え、「労働安全衛生方針」のもと、OHSAS18001・ISO45001の取得・更新、社長直轄の主管部門の設置、グループ安全会議の開催、現場パトロールの実施、パートナー企業を含めた安全体制の維持・拡充等により、安全衛生の確保・向上に努めております。

しかしながら、このような対策を取っていながらも、事件、事故が発生した場合、工場の稼働や顧客対応に支障が生じるだけでなく、損害賠償の発生、刑事罰や行政処分の執行、社会的信用の失墜などにつながり、事業活動や財政状態に影響を与える可能性があります。

⑦ コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、社会インフラという社会からの信頼なくしては成り立たない分野で事業を行っており、法令等を遵守するコンプライアンスは、信頼される事業活動のもっとも重要な基盤の一つであると認識しております。

そのため、当社ではコンプライアンス委員会の設置や統括責任者の任命など組織体制を整備する他、グループ企業行動憲章をはじめとした諸規程を定め、グループ全取締役及び社員へ社会的責任及び公共的使命を周知徹底し、意識を醸成するなど、コンプライアンスを堅持する取り組みを推進しております。

しかし万が一、国内外の関連法規などに抵触する事態が発生した場合には多額の課徴金や損害賠償が発生するなど、業績及び財政状態に悪影響を及ぼすだけでなく、当社グループの社会的な信用が低下し、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 自然災害・疫病等に関するリスク

当社グループは、火災や地震、大規模な自然災害や疫病の流行等に備え、BCP(業務継続計画)マニュアルを策定し、連絡体制の整備、災害備蓄の実施や、国内主要製造・開発拠点における耐震補強工事や避難所の設置など、事業継続に必要な対策を講じております。

しかしながら、想定以上の災害の発生により深刻な物的・人的被害を受けた場合、社員の健康のみならず施設に重大な影響を与え、損害保険の付保による適切なカバーを行なっているものの、直接的・間接的損害や復旧費用などが予想以上に多額となり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響は、多方面にわたるリスクとの認識のもと、当社グループでは、感染防止指針や事例別対応マニュアルを策定し、感染拡大への防止策を講じながら、リモートワークの推奨、休暇・補償制度の拡充などの制度面の整備や、電子申請システム、クラウドストレージなどITツールの強化も行っております。

⑨ 情報セキュリティ並びに情報インフラ整備に関する影響

当社グループは事業を通じて顧客、技術情報等さまざまな機密情報を取り扱っており、これら情報の管理強化のため、情報セキュリティ委員会を組織し社員教育の実施等、その重要性の周知徹底を行うと共に、情報システムのセキュリティ対策を行っております。

しかしながら、コンピュータウイルスなど予期せぬサイバー攻撃により、かかる情報システムの機能に支障が生じ、不適切な形で機密情報が消失、漏洩した場合には、当社グループの信頼性を損なうこととなり、事業活動そのものに影響を与える可能性があります。これらへの対応の一環として、当社情報資産の適切な管理運用、及び当社の関係取引先の安全性確保の観点から、メールへのファイル添付を禁止(PPAP廃止)し、ファイル共有サービス(BOX®)を導入いたしました。

また、当社グループではRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)による業務の自動化・効率化や業務標準化システムの導入を進めるなど、IT技術によるビジネスモデルの変革を目指しておりますが、これらDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みに遅れを取った場合には、競争上の優位性を確立できず、事業機会を失う可能性があります。

 

⑩ 市場動向等に関するリスク

物流ソリューション事業では、小売、卸売、生協などの業界を中心に製品・システムを納入しております。また国内空港を中心に手荷物搬送システム等を提供しております。そのため、景気後退や少子高齢化の進展等による物流量の低下などで、物流施設関連への投資が停滞した場合や、航空関連需要の動向によっては、当事業の展開に影響を与える可能性があることから、AI、IoT技術を活用した事業領域の拡大を図っております。

プラント事業・次世代エネルギー開発事業においては、LNGプラントや製油所等に各種タンクを納入すると共に、既設の原油タンク等のメンテナンスを実施しております。そのため世界的な景気動向の他、産油・産ガス国や消費国の経済・社会情勢、各国のエネルギー・環境政策の動向、原油・LNG価格の動向等により、プラントオーナーの投資計画の中止・延期・大幅見直し等が発生した場合には、当事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があることから、安定収益源の確保による受注変動に強い事業体質を確立すべく、メンテナンス案件の収益性向上等の取り組みを強化しています。

また、経済環境が悪化した場合には次のようなリスクを想定しております。

a)為替相場の変動

当社グループの事業活動には、海外における製品の生産、資材の販売、建設工事等が含まれており、主に米ドル建てでの取引が発生します。現時点において、外貨建ての取引高、及び保有資産額は相対的に僅少であるため、為替相場の変動リスクは低いと認識しておりますが、想定外の変動は将来的な当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

b)金利の変動

当社グループは営業債権などによる信用供与、固定資産取得などのため、短期・長期の調達比率のバランスを鑑みながら金融機関より資金調達を行っております。大規模な金融緩和政策などにより、低金利が継続しているものの、金利が上昇する局面においては、資金調達コストが増大し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

c)保有有価証券の評価

当社グループは、時価のある有価証券を保有しております。決算期末日の株価によって再評価を行っており、大幅に株価が下落した場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する経済活動の制限の緩和が進んできたことから、設備投資や個人消費が緩やかな回復基調を見せておりますが、物価高や、生産財を中心とした供給面での制約などが払拭されず、先行きは依然として不透明な状況になっております。

 このような経済環境の中、物流ソリューション事業は、ネット通販及び生協向けの物量の増加や人手不足を背景とした自動化・省人化設備への需要が引き続き堅調に推移しております。一方で空港向け手荷物搬送システムは、旅客数減少の影響で引き続き設備投資の低迷が見られました。

 プラント事業では、国内製油所向けメンテナンス事業の需要が引き続き堅調に推移しております。また、次世代エネルギー開発事業では、カーボンニュートラルの要請に応えるべく、次世代エネルギーに関連する研究開発活動に注力する一方で、タンク新設案件の引合いに対応を続けております。

 みらい創生その他事業では、構成する3事業のうち、産業機械事業では一部業界における生産設備の投資計画先送り等の影響があったものの、今年度後半にかけて需要は回復傾向となりました。建築事業では建築資材や工事費の高騰の影響により、厳しい事業環境が継続しております。環境事業では、官公需は例年並みに推移し、民需はアスベスト関連法規改正等により市場は拡大傾向で推移いたしました。

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2億88百万円減少し、640億1百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ18億99百万円減少し、259億14百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ16億10百万円増加し、380億87百万円となりました。

b.経営成績

 このような状況の中、2022年度の連結決算の状況は、プラント事業における、前年度の収益認識会計基準の適用初年度の影響の反動減などから、売上高が473億51百万円(前連結会計年度比20.0%減)、営業利益は24億97百万円(同11.1%減)、経常利益は28億96百万円(同16.6%減)、持ち合い株式の解消に伴う投資有価証券売却益の発生などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は23億78百万円(同1.9%増)となりました。また受注高につきましては、399億94百万円(同12.7%減)となりました。

 セグメントの経営成績は次の通りであります。なお、当連結会計年度より、セグメントの区分を変更しており、前期との比較分析は、変更後の区分に基づいております。

・物流ソリューション事業

 ネット通販、3PL、製造業向けの「マルチシャトル」を組み込んだ庫内自動化設備案件を中心に売上計上されましたが、世界的なサプライチェーンの混乱による部品調達難の影響により売上、営業利益は減少しました。

 この結果、当事業の売上高は280億32百万円(前連結会計年度比15.0%減)、営業利益は26億5百万円(同17.3%減)、受注高は320億51百万円(同0.3%増)となりました。

・プラント事業

 国内製油所向けメンテナンス案件については、売上高は85億8百万円(前連結会計年度比38.8%減)となりました。なお、前連結会計年度の収益認識会計基準適用初年度の影響額を除いた前連結会計年度比は3.0%の減となります。

 また、営業利益は5億60百万円(同1.7%増)、受注高は70億65百万円(同45.0%減)となりました。

・次世代エネルギー開発事業

 タンク新設案件の収益については当事業にて認識しており、売上高は10億43百万円(前連結会計年度比5.9%減)となりました。

 また営業損益については営業損失7億34百万円(前連結会計年度は営業損失7億17百万円)、受注高は8億78百万円(同11.5%減)となりました。

・みらい創生その他事業

 産業機械事業では、サプライチェーンの混乱による部品不足や仕入外注コストが上昇する一方で、営業活動強化により主力製品のウインチ、バランサの拡販に努めた結果、過去最高益を更新いたしました。建築事業では、前年度の大型案件の反動減により、大幅な減収となりましたが、利益面では既設建築の改修工事やゴンドラ資材のレンタル・仮設サービスの案件増加の影響もあり、前期比で増益となりました。

 環境事業では、官公庁・自治体向けの環境常時監視ソリューションによる安定収益を確保いたしました。また、市場拡大の追い風の中、グループシナジーも活かした営業活動が奏功し、アスベスト調査・分析分野を伸長させたことにより大幅な増収・増益を達成いたしました。

 その結果、当事業の売上高は97億67百万円(前連結会計年度比12.7%減)、営業利益はグループ各社の事

業成果に加え、前年度に不動産事業において計上された資産除去債務による減益要因が解消されたこともあり、10億71百万円(同87.3%増)となりました。

 ②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて17億33百万円減少し、69億21百万円になりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は11億5百万円(前連結会計年度は10億97百万円の支出)になりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上34億8百万円、売上債権及び契約資産の減少16億89百万円、契約負債の増加14億78百万円、棚卸資産の増加25億41百万円、法人税等の支払額10億83百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により得られた資金は8億26百万円(前連結会計年度は8億30百万円の支出)になりました。主な要因は、固定資産の取得による支出11億87百万円、固定資産の売却による収入5億7百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入15億65百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に用いた資金は37億19百万円(前連結会計年度は32億8百万円の収入)になりました。主な要因は、短期借入金の純減少額27億63百万円、配当金の支払11億93百万円等によるものです。

 ③生産、受注及び販売の実績

 1.受注実績

 当連結会計年度における各事業の受注実績を示すと、次の通りであります。

 なお一部の見込生産を除き、受注生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

物流ソリューション事業

32,051

100.3%

35,454

112.8%

プラント事業

7,065

55.0%

5,291

78.6%

次世代エネルギー開発事業

878

88.5%

379

69.7%

合計

39,994

87.3%

41,125

106.2%

 

 2.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

物流ソリューション事業

28,032

85.0%

プラント事業

8,508

61.2%

次世代エネルギー開発事業

1,043

94.1%

みらい創生その他事業

9,767

87.3%

合計

47,351

80.0%

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アマゾンジャパン合同会社

9,663

16.3

9,598

20.3

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、その作成にあたっては、決算日における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 a.経営成績等の状況に関する分析・検討

(中期経営計画の目指す経営指標に関する分析)

 当社グループは「未来へ向けた成長路線の確立」を基本方針とし、当社グループが解決すべき社会課題を明確化した『グループ中期経営計画(2022~2024年度)』を策定し、推進しています。

 グループ中期経営計画(2022~2024年度)における各セグメントの目標数値、基本戦略及びそれらの進捗状況、並びに経営者が認識する現状の事業環境については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますので、ご参照ください。

2022年度の業績予想と実績との比較

(単位:百万円)

 

2022年度(予想)

2022年度(実績)

予想比

2024年度

(中計目標)

売上高

52,100

47,351

△4,748

65,000

物流ソリューション事業

31,000

28,032

△2,967

36,400

プラント事業

9,000

8,508

△491

8,500

次世代エネルギー開発事業

2,000

1,043

△956

2,400

みらい創生その他事業

10,100

9,767

△332

17,700

営業利益

2,700

2,497

△202

4,200

物流ソリューション事業

3,100

2,605

△494

3,700

プラント事業

380

560

180

450

次世代エネルギー開発事業

△470

△734

△264

△260

みらい創生その他事業

800

1,071

271

1,230

ROE

6.0%

6.4%

0.4pt

8.0%

 

 売上高は、予想比47億48百万円減収(9.1%減)の473億51百万円となりました。これは、物流ソリューション事業における世界的なサプライチェーンの混乱による部品調達難の影響や、プラント事業における前年度の収益認識会計基準の適用初年度の影響の反動減等によるものです。

 営業利益は、予想比2億2百万円減益(7.5%減)の24億97百万円となりました。これは、物流ソリューション事業における世界的なサプライチェーンの混乱による部品調達難の影響等によるものです。

 ROEは、投資有価証券売却益を計上したこと等により予想比0.4ポイント増加の6.4%となりました。

 

 b.財政状態に関する分析・検討

 当連結会計年度末における総資産は640億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億88百万円減少しました。これは主に現金及び預金が17億69百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が16億78百万円減少し、原材料及び貯蔵品が22億36百万円増加したことによるものです。一方負債は259億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億99百万円減少しました。これは主に金融機関からの借入金(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・長期借入金)が合計で22億63百万円減少したことによるものです。

 また純資産については、380億87百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億10百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益23億78百万円、剰余金の配当11億93百万円及びその他有価証券評価差額金の増加7億42百万円によるものです。

 主に物流ソリューション事業における売上代金の回収や、政策保有株式の売却による収入を原資に借入金を返済したため、前連結会計年度と比べ金融機関からの借入金が減少しております。

 また、主に物流ソリューション事業において、世界的なサプライチェーンの混乱による部品調達難に備えるために在庫を積み増した結果、原材料及び貯蔵品が増加しております。

 この結果、バランスシートはやや縮小し、当連結会計年度末の自己資本比率としては59.5%と前連結会計年度末に比べ2.8ポイント改善しました。

 

 c.キャッシュ・フローに関する分析・検討

当社グループの資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な材料費、外注費及び労務費等の製造費用や、受注獲得や競争力強化のための販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、資金の需給状況に応じて株主還元や成長投資にも資金を利用しております。また、ロシアによるウクライナ侵攻、世界的なインフレーションの加速、またそれらに起因する原材料不足やサプライチェーンの混乱等によるキャッシュ・フローの急激な悪化に備え、当社グループでは手元流動性を十分に確保する方針を執っております。万一、追加の資金が必要になった場合には、金融機関からの借り入れにより資金を調達していく考えです。

 当社グループは、当連結会計年度において株主還元に14億95百万円、成長投資に12億42百万円使用しました。当社では、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けており、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております株主還元方針に従った自己株式の取得や配当金の支払い等、機動的な株主還元を実施しております。

 また、2022年度より開始いたしましたグループ中期経営計画(2022年~2024年度)に則り、次世代エネルギー開発事業の研究開発やみらい創生その他事業の業容拡大を目指した投資、既存事業の生産能力強化等成長投資にも資金を利用してまいります。

 当社グループでは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するため、営業活動から獲得した手元資金を活用するほか、必要に応じて機関投資家向けの社債発行や、金融機関より短期借入金及び長期借入金による資金調達を行っております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は114億37百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は69億21百万円であります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、主力事業の物流ソリューション事業及び次世代エネルギー開発事業を中心に行われております。これらの事業では、新製品・サービスの開発、技術力向上及び既存事業の強みを生かした新事業の立ち上げのため、以下のような研究開発活動を重点的に行ってまいりました。

 なお、当連結会計年度において、研究開発関連の人件費208百万円を含む568百万円を投入しました。

・物流ソリューション事業

  1.基本的考え方

 お客様のニーズにきめ細かく対応した最適なソリューションの提供を通じて更なる社会貢献を目指すことを基本方針として、研究開発を推進しています。具体的な施策として新中期経営計画の重点施策に沿った開発方針とし、ハードウェア開発からソフト開発にシフトし、特にAI、IoTを含む今後発展する技術を用い、マテハンシステムの融合と新しいシステムを構築し、新しいソリューション開発に着手しております。

  2.研究開発状況と成果

  (1) 3次元ビジョンシステムの開発

 社会課題である少子高齢化による労働者人口の減少に対する解決策として、無人化ソリューションの早急な提供が必要と考えています。

 特に物流庫内で取り扱う商品アイテムは多品種あり、現在のビジョンシステムを介したピッキングロボットシステムでは取り扱いが困難とされています。

 まずは特定品種に絞ったビジョンシステムの開発に着手し、ピッキングすべくアイテムをカメラで捉え、取得した画像内容からアイテム荷姿の特徴をAI技術で計算し、ピッキングロボットに最適な把持ポイント、移載・移動可能な箇所を見つけ、複数種類が取扱いの出来るビジョンシステムとピッキングの自動化を目指します。

 新しい技術を介したビジョンシステムを開発することで、少子高齢化・生産人口減少に向けた社会課題を解決します。

  (2) 省人・自動化に向けた無人搬送台車

 従来のピッキング作業をストレート型の集品コンベヤ式とは異なる新たなソリューションによる高い生産性・品質、省人化・自動化を実現可能とした自立搬送ロボットAMRの開発を行いました。

 今春には、省人・自動化に貢献すべくロボット技術を組み込んだシステム機器を千葉事業所内で見学できるようにデモスペースを再構築し、進化した無人搬送台車を直接見て頂けるように進めてまいります。

  (3) 映像技術とデータを融合させたソリューションの推進

 AI技術の盲点としてデータの収集先がインタ―ネット上のクラウドサーバへ保存され、即座の判断が困難な点があります。これをカメラやIoT機器、センサーなどの端末にAI技術を搭載し、同端末内で学習・推論を行うことのできるエッジ端末を開発することで、即座の判断が行えるようになります。

 用途は多々あるものの、まずは物流センター内のピッキング作業時の誤出荷を防止する検品作業の自動化を目指し、業務効率化、省人・自動化に貢献します。

    なお、当事業に係る研究開発費は254百万円であります。

・次世代エネルギー開発事業

1.世界最大の液化水素タンク建設を目指した研究開発

  経済産業省策定の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」に示される、2030年頃の水素発電の商用化に向けた、安定的かつ大量な水素供給体制の構築に資する、大型液化水素タンクの研究開発を継続的に実施しております。

  本年度は、2019年度から参画するNEDO水素社会構築技術開発事業の最終年度であり、課題として掲げた、①真空排気システムの確立、②内槽底部への入熱量算定手法の確立、③SUS316Lの溶接材料を使用した溶接施工法の確立、を達成することができました。これにより、大型液化水素タンクの基本要素技術が確立したことになります。

  今後は、開発した要素技術を組み合わせて貯槽全体系として機能させるべく、研究開発をさらに進めてまいります。

2.次世代エネルギー向け貯蔵の研究開発

 2050年カーボンニュートラル社会の達成目標に向かって需要増加が見込まれる燃料アンモニア・液化炭酸ガス・MCH等のタンクに関する研究開発、技術検証の取り組みを進めています。

 昨年末には、9%ニッケル鋼を用いた低温・低圧仕様での大型液化炭酸ガス(CO2)貯蔵タンクの技術検討を完了いたしました。

 引き続き、国内・海外、新設・改造のいずれのプロジェクト向けにも対応できるタンク専業メーカーの強みを活かして、タンク製品及び技術サービスの拡充を図ってまいります。

3.次世代エネルギー向け貯槽の溶接継手品質に関する研究開発

 2050年のカーボンニュートラル宣言を受けて、グリーン社会実現を加速させるために、アンモニア貯蔵タンクの研究開発を促進することといたしました。

 アンモニア環境において炭素鋼(高張力鋼)は応力腐食割れ(SCC)発生のリスクが高くなるため、溶接継手のSCCに関するデータの収集及び耐SCC対策に関して研究開発を進めてまいります。

    なお、当事業に係る研究開発費は238百万円であります。