第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社は、社是である「わが社は 常にすすんで よりよきものを造り 社会のために奉仕する」を経営理念とし、「物流・エネルギー分野のソリューションイノベーター」となることを経営ビジョンに掲げ、社会が直面する課題を革新的・先駆的な技術をもって解決することに果敢に取り組み、グループの持続的企業価値向上と社会の発展に貢献することを目指しております。

その経営理念と経営ビジョンの下、当社グループの各事業における「安定領域」、「成長領域」、さらには、2030年を見据えた「将来の領域」を見極め、安定的収益源を確保した上で新たな成長ポテンシャルを追求し、グループ連結売上高700億円を目指すことを、長期ビジョンとして設定しております。

また2019年に当社グループでは、事業を通じて持続的に企業価値を向上させるため、経営において自らの強みを活かし優先的に取り組むべき重要な経営課題(マテリアリティ)10項目を特定し、各マテリアリティを事業戦略の策定や各事業における意思決定プロセスにおいて考慮すべき重要な要素と位置付けて、事業活動を行っております。

引き続き、これらの課題解決を通じて、社会的に期待される役割について認識し、関連SDGs達成への寄与にも努めながら、財務面を含む持続的な成長を確実なものとしてまいります。

 

A

企業価値に特に大きな

影響を与える社会的課題

(1)  気候変動による事業環境変化への対応

(2)  国内人口の減少への対応

 

B

持続的な企業価値向上

のために取り組む

マテリアリティ

(3)  人材の育成と活用

(4)  新技術の開発と活用

(5)  パートナー企業との協業推進

(6)  生産性の向上

 

C

持続的な

企業価値向上の

前提となる取り組み

(7)  安全衛生の確保

(8)  コンプライアンス・ガバナンスの堅持

(9)  リスクマネジメントの高度化

(10) 積極的なチャレンジやスピード感がある企業風土への変革

 

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループは2019年4月にグループ中期経営計画(2019~2021年度)を策定し、本計画期間の3カ年を、長期ビジョンの実現のための飛躍に向けた基盤確立の時期として位置付けております。2年目である2020年度は、初年度の取組の振り返りを踏まえつつ、さらなる価値創造を目指し各事業の施策を進めてまいりました。

本計画における各事業とグループ各社をとりまく事業環境、及び基本戦略とそれらの進捗は、以下の通りです。

 

(中期経営計画(2019~2021年度)における各事業別の基本方針・戦略)

・物流ソリューション事業

基本方針:収益性の向上

戦略①:プロジェクト管理・遂行能力の向上による競争力の強化

戦略②:オープンイノベーションによるオンリーワン・ソリューションの提供

戦略③:AI、IoT技術を活用したメンテナンス事業の拡充

戦略④:東南アジアにおける海外展開の加速

 

一般物流につきましては、Eコマース市場の拡大による物流施設投資の伸長や、労働人口の減少及び労働者の多様化による、省力化・省人化技術への需要が継続する中で、新型コロナウイルス感染拡大の余波を受け、市場に不透明感が増しているものの、中長期的にはソーシャルディスタンスを意識したソリューションへの期待が高まることが予測されます。

また、空港物流においては、新型コロナウイルスの影響による旅客数の減少等国内・海外共に予測が困難な情勢が続くと考えられます。

そのような環境の下、当事業においては、業務効率向上を目的とした部門横断型のシステム刷新プロジェクトを進展させたほか、AI・IoTを活用した予知保全サービスや省人化・省スペース化を実現する新たな物流ソリューションの展開を進めるなど、DX推進や先端技術導入に注力した競争力強化の取組を進めてまいりました。

今後も、ウィズコロナへの対応を機会と捉え、拡大するEコマースへの対応をはじめ、時代に適応したオンリーワン・ソリューションを提供してまいります。

 

・機械・プラント事業

基本方針:事業再構築

戦略①:安定収益源の確保による受注変動に強い事業体質の確立

戦略②:技術力向上による受注力の強化

 

 新型コロナウイルスの影響によりプラント関連の設備投資は停滞しておりますが、国内市場において、老朽化が進むタンクのメンテナンス需要は継続することが見込まれます。

 そのような環境の下、国内製油所向けタンクメンテナンス事業においては、これまでの安定的な受注獲得の基盤をさらに盤石なものとするために、現場監督者の高齢化や人材不足に対応する受注体制の強化策を検討・推進してまいりました。

 また、研究開発面では、大型液体水素タンクの実機建設に向けたより詳細な技術検討を行い、実用化に向けた取り組みを進展させ、脱炭素社会実現への寄与を目指しております。

 今後も、厳しい事業環境の継続が予見されますが、適正規模への組織の縮小と徹底したコスト削減を実施致します。また、エネルギー関連業界の気候変動対策が本格化する中、当社が培ってきた技術力を活かして、水素・アンモニア等の新たな需要拡大への対応に努めてまいります。

 

・その他事業(環境・産業インフラ事業)

 基本方針:選択と集中

戦略①:成長分野への積極的なリソース投入による事業収益の拡大

戦略②:事業体制の整備・安定化

 

 当社グループ関連会社においては、建築、産業機械、環境調査等の分野を展開しております。建築事業の市場では、建築原価の高騰などで苦戦が予測される一方で、産業機械事業の市場においては、底堅い建設工事需要や少子高齢化の進展による省力化ニーズなどにより、需要は継続することが予想されております。また、環境調査市場においては、建造物の解体に伴うアスベスト調査需要が、法改正の影響も受け、引き続き拡大することが想定されます。

産業機械事業においては市場ニーズに応えた既存製品の組み合わせによる新製品の市場投入や、事業領域の拡大を狙った当社グループ内の他事業との連携などを進めております。また、環境領域での事業展開を更に強化・拡大させることを目指し、環境計測機器の保守・メンテナンス事業等を展開する企業のM&Aを実施致しました。

新型コロナウイルスの影響により不透明な市場環境にはあるものの、グループ内の技術・ノウハウを融合させながら、環境分野を含めた成長分野の発展的領域拡大や、さらなる事業拡大を図ってまいります。

 

・新規事業

 基本方針:早期収益化

戦略①:既存事業の領域拡大とグループ収益への貢献を実現するM&Aの推進

戦略②:ベンチャー企業とのアライアンスによるオープンイノベーションの実現

 

新規事業につきましては、引き続き、環境ビジネス分野のM&Aや新規CVC投資の実行、及び既存投資先との技術的提携を進めてまいりました。引き続き上記の戦略に基づき、グループ事業拡大と市場参入可能性を高められる機会をオールラウンドに見極め、積極的な施策検討と実施を継続していきます。

 

・経営基盤強化策

 当社グループは、社員一人ひとりが生き生きとして変革と成果を実現する"Challenge & Change"の企業風土を引き続き創り上げるとともに、グループとしてのガバナンスを一層強化し、持続的な企業価値向上を図るべく、以下の施策を遂行しております。

施策①:変革と事業成果の継続的な創出を実現する企業風土への改革

施策②:グループ組織運営の強化

施策③:ESG視点に立った企業価値の向上とガバナンス体制の一層強化

 

2020年度は、女性活躍推進や、男性の育児休業取得促進、また在宅勤務に関わる制度拡充など、新型コロナウイルス対策も踏まえ、社員の柔軟な働き方を可能にする環境づくりを、ソフト面、ハード面の両面で進めてまいりました。また、事業環境の変化に全社的に対応し、企業価値を向上していくことを目的として、「未来創生プロジェクト」を社長直轄で発足致しました。今後も、これらの施策遂行を通じ、創立100周年に向けて、当社がより一層発展していくための礎を築いてまいります。

 

(3)目標とする経営指標

当中期経営計画期間の最終年度にあたる2021年度の連結業績目標として、売上高460億円、営業利益21億円、ROE5.0%の達成を目指してまいります。なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響により本計画の前提となる事業環境に大きな変化が生じたことで、業績の下振れを回避することは現時点で困難であると判断し、2020年11月に2021年度の業績目標を修正致しました。

(単位:百万円)

連結業績目標への推移

2019年度

(実績)

2020年度

(実績)

2021年度

(中計目標)

売上高

46,518

43,617

46,000

物流ソリューション事業

28,887

27,239

28,000

機械・プラント事業

9,950

9,800

9,100

その他事業

7,813

6,729

8,000

新規事業

営業利益

2,591

2,623

2,100

物流ソリューション事業

2,812

3,140

2,600

機械・プラント事業

△305

△602

△400

その他事業

880

789

800

新規事業

ROE

4.9%

5.0%

5.0%

(注)上記における各事業の売上高・営業利益の目標数値はセグメント間の内部売上高及び振替高の調整額が含まれておりません。

2【事業等のリスク】

当社のリスク管理体制は、取締役の中から任命されたリスク管理統括責任者が当社および当社グループのリスク管理を統括し、全社リスク管理部門がリスク管理統括責任者の指揮命令の下、リスクの洗い出し、評価・結果のモニタリング等を行っています。重要リスクについては、経営環境の変化やリスク対応状況等を踏まえ定期的に見直しが行われ、適切なリスク対策が適時に実行されるよう努めております。

事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、予見することが困難なリスクも存在します。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものです。

 

① 気候変動に関する影響

当社グループでは、ESG経営の推進や、SDGsやパリ協定で示される国際的な目標を重要視しており、なかでも「気候変動による事業環境変化への対応」を経営上の重要課題(マテリアリティ)の一つとして認識しております。

世界的な環境意識の高まりや低炭素・脱炭素型社会への移行による、エネルギーシフトが加速する中で、LNG・原油等のタンク需要が減少することで、当社の事業環境に悪影響が及ぶ可能性があります。そこで当社の技術を活かし大型液化水素貯蔵の開発や、発電用燃料としての水素やアンモニアの需要拡大への対応を通じた、低炭素社会の実現を目指し、当社の強みを活かしたインフラに係る取り組みを積極的に推進しております。そのため水素バリューチェーン推進協議会、クリーン燃料アンモニア協会への参画や、経済産業省「ゼロエミチャレンジ企業」での認定、経団連「チャレンジ・ゼロ」への賛同も行っております。

また、当社グループの事業に起因した環境問題が発生した場合には、社会的な信用低下につながる可能性があります。そのため当社が掲げる環境方針のもと、ISO14001を取得・更新し、環境マネジメントシステムを積極的に整備・運用をしております。

 

② プロジェクトの遂行に関するリスク

物流ソリューション事業では、Eコマース市場の拡大、物流業務のアウトソーシングの広がりなどにより、サプライチェーンの中で物流センターにおける役割が増えると共に、物流業務の効率化、拠点の集約化の動きに合わせて物流センターが大型化する傾向にあり、これまで以上にプロジェクト管理・遂行能力の重要性が高まっております。

そのため、当事業においては、営業提案から施工まで一貫した納期管理の徹底を行い、また標準化、生産性向上によるコスト・作業負担の低減に努めるとともに、協力会社の拡大など、持続可能なプロジェクト遂行体制の整備に努めております。しかしながら、短納期化が求められるなかでの予期せぬ建築施工計画の変更による工期圧縮や、一定期間内に複数の大型プロジェクトを同時進行することに伴う納期調整など、様々な要因によって想定外のコストが発生する可能性があります。また、当事業が提供する主要な製品や部材の中には、海外の特定取引先から調達しているものが存在し、取引先の経営方針・経営環境の変化や、国際需給の変動、自然災害、事故などにより、安定的にこれら製品や部材を調達できない場合にはプロジェクトの遂行に影響を与える可能性があります。

機械・プラント事業においては、国内製油所を中心にタンク補修工事を請け負っており、工事従事者が不足した場合や資機材の調達価格が高騰した場合や、現場監督者の技術の継承が遅れた場合には事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。そのため、パートナー企業との連携を強化し、安定的な施工体制を整えながら、現場人材の確保・育成を図った新会社を設立しております。またタンク新設プロジェクトへの対応として、受注から施工まで少数精鋭による一貫した管理・情報集約体制を整え、迅速かつ効率的なプロジェクトの遂行を行っております。

当社グループでは、機械・プラント事業を中心に海外でも事業を展開しております。また、当社連結子会社のインドネシア現地法人においてタンク等の鉄鋼材料の加工や現地工事を行っており、マレーシア現地法人では現地空港における手荷物搬送設備のメンテナンス、及び現地石油化学プラント関連設備のメンテナンス事業を行っております。これらの海外事業には以下に掲げるようなリスクが内在しており、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

1.法律又は規制の予期せぬ変更

2.政治経済の不安定性

3.人材確保の困難性

4.不利な税制改正

5.テロ、戦争、疫病、災害、その他の要因による社会的混乱

また、プロジェクトの遂行にあたっては案件に応じて製造物責任賠償保険等に加入すると共に、品質を担保するため、当社グループでは社内規定を制定し、品質マネジメントシステムを整備するなど、品質管理を強化しております。また品質問題が発生した場合でも品質管理の主管部門を社長直轄とすることで、迅速な対応を可能とする体制を整備しております。しかしながら万が一製品に重大な品質クレーム・トラブルが発生した場合には、修繕費用や賠償の発生等によりプロジェクト収益が悪化するのみならず、当社グループの社会的評価の低下に繋がり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

③ 人材の確保・育成に関する影響

当社グループでは、人材の確保と育成は重要課題の一つであり、人材の流出や採用コストの上昇は、事業活動に影響が生じる可能性があると認識しております。

そのため、多様な人材確保のため採用対象を多様化させると共に、女性活躍推進行動計画を策定し、女性管理職候補者の育成・登用、時差勤務の利用促進、有給取得率向上、男性の育児休業取得促進などの取り組みを進め、働きやすい職場環境づくりによる人材の定着化を推進しております。

また、技術支援センターを立ち上げ、グループ全体の技術力向上・技能継承を進め、若手技術者の育成・定着を図っております。

 

④ 受注競争の激化による影響

当社グループの主力事業は何れも受注型産業であり、厳しい受注競争に晒されているため、採算面での不合理な下方圧力に直面した場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、顧客の政策・方針や、業界の経営環境変化、業界再編の動きは、受注活動に影響を与える可能性があります。

こうしたリスクに対し、物流ソリューション事業においては、国内外における顧客領域の拡大を進めつつ、外部技術の柔軟な導入による最適なソリューション提供を行うと同時に、製品の内製化、標準化を推し進め、価格競争力を強化しております。また、更なる業務効率向上を図るために社内システムの刷新を行うなどの対策を進めております。

機械・プラント事業では厳しい事業環境が長期化する中で、コア技術であるタンクEPC(設計・調達・施工)遂行能力を向上・発展させ、品質面での優位性を活かした受注活動に取り組むと共に、海外子会社による事業領域の拡大を図っております。

また、厳しい受注競争の中で、当社グループは持続的企業価値向上と社会の発展に貢献することを目指し、「物流・エネルギー分野のソリューションイノベーター」となることを経営ビジョンとして掲げ、最先端技術を有する国内外の企業やコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)を活用したスタートアップとの連携、大学・研究機関との共同研究などを通じて、様々な技術開発に取り組んでおります。

しかしながら、製品・技術のライフサイクルが短命化する中で、市場からの要請に対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下し、中長期的に業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産等の固定資産を保有しています。継続的な業績のモニタリング等により、当該固定資産に対する投資の回収が困難となる前に対策を講じるように努めておりますが、経営環境や事業の状況の著しい変化等により収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、当該資産に対する減損損失の計上により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 新規事業の立ち上げに関するリスク

当社グループは、長きにわたり物流ソリューション事業、機械・プラント事業の2事業を主力として展開をし、これまで両事業が相互補完的にグループ収益を支えてまいりましたが、これら事業環境の変動幅は大きく、収益のボラティリティが高いと認識しております。

そのため、M&Aの実行や、CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の立ち上げとスタートアップとの連携など、あらゆる手段を講じてその可能性を追求しておりますが、主力2事業に続く第3の柱となる事業の創出が遅れた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 労働安全衛生に関する影響

当社グループでは、安全をすべてに優先すべき事項と捉え、「労働安全衛生方針」のもと、OHSAS18001・ISO45001の取得・更新、社長直轄の主管部門の設置、グループ安全会議の開催、現場パトロールの実施、パートナー企業を含めた安全体制の維持・拡充等により、安全衛生の確保・向上に努めております。

しかしながら、このような対策を取っていながらも、事件、事故が発生した場合、工場の稼働や顧客対応に支障が生じるだけでなく、損害賠償の発生、刑事罰や行政処分の執行、社会的信用の失墜などにつながり、事業活動や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑦ コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、社会インフラという社会からの信頼なくしては成り立たない分野で事業を行っており、法令等を遵守するコンプライアンスは、信頼される事業活動のもっとも重要な基盤の一つであると認識しております。

そのため、当社ではコンプライアンス委員会の設置や統括責任者の任命など組織体制を整備する他、グループ企業行動憲章をはじめとした諸規程を定め、グループ全取締役及び社員へ社会的責任及び公共的使命を周知徹底及び意識を醸成するなど、コンプライアンスを堅持する取り組みを推進しております。

しかし万が一、国内外の関連法規などに抵触する事態が発生した場合には多額の課徴金や損害賠償が発生するなど、業績及び財政状態に悪影響を及ぼすだけでなく、当社グループの社会的な信用が低下し、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 自然災害・疫病等に関するリスク

当社グループは、火災や地震、大規模な自然災害や疫病の流行等に備え、BCP(業務継続計画)マニュアルを策定し、連絡体制の整備、災害備蓄の実施や、国内主要製造・開発拠点における耐震補強工事や避難所の設置など、事業継続に必要な対策を講じております。

しかしながら、想定以上の災害の発生により深刻な物的・人的被害を受けた場合、社員の健康のみならず施設に重大な影響を与え、損害保険の付保による適切なカバーを行なっているものの、直接的・間接的損害や復旧費用などが予想以上に多額となり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症の影響は、多方面にわたるリスクとして認識しております。当社グループでは、これまで感染防止指針や事例別対応マニュアルを策定し、感染拡大への防止策を講じながら、リモートワークの推奨、休暇・補償制度の拡充などの制度面の整備や、電子申請システム、クラウドストレージなどITツールの強化も行っております。

 

⑨ 情報セキュリティならびに情報インフラ整備に関する影響

当社グループは事業を通じて顧客、技術情報等さまざまな機密情報を取り扱っており、これら情報の管理強化のため、情報セキュリティ委員会を組織し社員教育の実施等、その重要性の周知徹底を行うと共に、情報システムのセキュリティ対策を行っております。

しかしながら、コンピュータウイルスなど予期せぬサイバー攻撃により、かかる情報システムの機能に支障が生じ、不適切な形で機密情報が消失、漏洩した場合には、当社グループの信頼性を損なうこととなり、事業活動そのものに影響を与える可能性があります。

また、当社グループではRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)による業務の自動化・効率化や業務標準化システムの導入を進めるなど、IT技術によるビジネスモデルの変革を目指しておりますが、これらDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みに遅れを取った場合には、競争上の優位性を確立できず、事業機会を失う可能性があります。

 

⑩ 市場動向等に関するリスク

当社グループの主力事業については次のような市場動向の影響を受ける可能性があります。

物流ソリューション事業では、小売、卸売、生協などの業界を中心に製品・システムを納入しております。また国内空港を中心に手荷物搬送システム等を提供しております。そのため、景気後退や少子高齢化の進展等による物流量の低下などで、物流施設関連への投資が停滞した場合や、航空関連需要の動向によっては、当事業の展開に影響を与える可能性があることから、AI、IoT技術を活用した事業領域の拡大を図っております。

機械・プラント事業においては、LNGプラントや製油所等に各種タンクを納入すると共に、既設の原油タンク等のメンテナンスを実施しております。そのため世界的な景気動向の他、産油・産ガス国や消費国の経済・社会情勢、各国のエネルギー・環境政策の動向、原油・LNG価格の動向等により、プラントオーナーの投資計画の中止・延期・大幅見直し等が発生した場合には、当事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があることから、安定収益源の確保による受注変動に強い事業体質を確立すべく、メンテナンス案件の収益性向上等の取り組みを強化しています。

また、経済環境が悪化した場合には次のようなリスクを想定しております。

a)為替相場の変動

当社グループの事業活動には、海外における製品の生産、資材の販売、建設工事等が含まれており、主に米ドル建てでの取引が発生します。現時点において、外貨建ての取引高、及び保有資産額は相対的に僅少であるため、為替相場の変動リスクは低いと認識しておりますが、想定外の変動は将来的な当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

b)金利の変動

当社グループは営業債権などによる信用供与、固定資産取得などのため、短期・長期の調達比率のバランスを鑑みながら金融機関より資金調達を行っております。大規模な金融緩和政策などにより、低金利が継続しているものの、金利が上昇する局面においては、資金調達コストが増大し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

c)保有有価証券の評価

当社グループは、時価のある有価証券を保有しております。決算期末日の株価によって再評価を行っており、大幅に株価が下落した場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による急激な景気の悪化から一部持ち直しの動きもありましたが、年度末にかけて再び感染拡大が見られるなど、先行きにつきましても不透明な状況となっております。

 このような中、物流ソリューション事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で巣ごもり需要が増加したことによる生協向けの物量の増加や人手不足を背景とした自動化設備への需要が堅調に推移しております。一方で空港向け手荷物搬送システムは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で設備需要の減少が見込まれます。

 機械・プラント事業では、今期の市場環境は、国内製油所向けメンテナンス事業が堅調なるも、国内外の新設案件は依然厳しい状況が続いております。特に新興国で期待された海外新設案件は新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく、設備投資の大幅な遅延や投資の縮小・見直しは今なお続いております。直近ではコロナ後を見据えた引き合いが増加傾向にあるものの、その実現時期は未だ不透明です。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りになりました。

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ22億20百万円減少し、587億64百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ41億2百万円減少し、222億80百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ18億82百万円増加し、364億84百万円となりました。

b.経営成績

 このような状況の中、2020年度の連結決算の状況は、売上高が436億17百万円(前連結会計年度比6.2%減)、営業利益は物流ソリューション事業における案件の高採算化などにより26億23百万円(同1.2%増)、経常利益は30億53百万円(同2.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券の売却益、機械・プラント事業の減損損失の計上などにより17億77百万円(同3.5%増)となりました。また受注高につきましては、421億58百万円(同10.8%減)となりました。

・物流ソリューション事業

 生協、卸、製造業向けの「マルチシャトル」を組み込んだ庫内自動化設備案件や空港向け設備案件を中心に売上計上されました。プロジェクト管理強化による大型案件の採算改善、メンテナンス事業の拡大、経費の削減などにより営業利益は増加しました。

 この結果、当事業の売上高は272億39百万円(前連結会計年度比5.7%減)、営業利益はプロジェクト管理強化による採算改善などにより31億40百万円(同11.7%増)、受注高は306億16百万円(同15.6%減)となりました。

・機械・プラント事業

 厳しい事業環境が続く中、新設案件についてはマレーシアにおいて現地海外子会社とともにLPGタンク1基の建設工事を受注しましたが、その他には国内外とも大規模案件の受注には至りませんでした。国内製油所向けメンテナンス案件は継続的な受注を確保し収益の獲得に寄与しました。他の海外子会社においては、タンク以外の鉄鋼製品の受注努力を継続しましたが、ここでも新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく、前年度に比べ低調に終わりました。このような状況下、更なるコスト削減を実行しましたが、営業損失は再度拡大することとなりました。

 この結果、当事業の売上高は98億0百万円(前連結会計年度比1.5%減)、営業損失は6億2百万円(前連結会計年度は営業損失3億5百万円)、受注高は92億62百万円(同6.5%減)となりました。

・その他

 主に、子会社それぞれの特性を生かして産業機械や一般建築、環境調査などへの事業展開に注力した結果、売上高は65億77百万円(前連結会計年度比14.4%減)、営業利益は7億89百万円(同10.4%減)、受注高は22億79百万円(同116.3%増)となりました。

 ②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて40億93百万円減少し、73億9百万円になりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は14億82百万円(前連結会計年度は69億55百万円の収入)になりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上28億92百万円、売上債権の減少18億65百万円、仕入債務の減少7億85百万円、たな卸資産の増加21億34百万円、法人税等の支払額8億4百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に用いた資金は3億38百万円(前連結会計年度は8億12百万円の支出)になりました。主な要因は、固定資産の取得による支出11億31百万円、投資有価証券の取得による支出4億70百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入12億38百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に用いた資金は51億76百万円(前連結会計年度は23億51百万円の支出)になりました。主な要因は、短期借入金の純減少額42億29百万円、社債の発行による収入10億0百万円、自己株式の取得による支出5億83百万円、配当金の支払8億50百万円等によるものです。

 ③生産、受注及び販売の実績

 1.受注実績

 当連結会計年度における各事業の受注実績を示すと、次の通りであります。

 なお一部の見込生産を除き、受注生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

物流ソリューション事業

30,616

84.4

32,467

111.6

機械・プラント事業

9,262

93.5

8,439

94.0

報告セグメント計

39,879

86.3

40,907

107.5

その他

2,279

216.3

1,581

452.3

合計

42,158

89.2

42,489

110.6

 

 2.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

物流ソリューション事業

27,239

94.3

機械・プラント事業

9,800

98.5

報告セグメント計

37,039

95.4

その他

6,577

85.6

合計

43,617

93.8

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、その作成にあたっては、決算日における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 a.経営成績等の状況に関する分析・検討

(中期経営計画の目指す経営指標に関する分析)

当社グループは2019年4月にグループ中期経営計画(2019~2021年度)を策定し、本計画期間の3カ年を、長期ビジョンの実現のための飛躍に向けた基盤確立の時期として位置付けております。2年目である2020年度は、初年度の取組の振り返りを踏まえつつ、さらなる価値創造を目指し各事業の施策を進めてまいりました。

 本計画(2019~2021年度)における各セグメントの目標数値、基本戦略及びそれらの進捗状況、並びに経営者が認識する現状の事業環境については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますので、ご参照ください。

 

2020年度の業績予想と実績との比較

 

2020年度(予想)

2020年度(実績)

予想比

2021年度

(中計目標)

売上高

48,100

43,617

△4,482

46,000

物流ソリューション事業

29,000

27,239

△1,760

28,000

機械・プラント事業

11,400

9,800

△1,599

9,100

その他事業

7,800

6,729

△1,070

8,000

営業利益

2,160

2,623

+463

2,100

物流ソリューション事業

2,580

3,140

+560

2,600

機械・プラント事業

△470

△602

△132

△400

その他事業

910

789

△120

800

ROE

4.7%

5.0%

+0.3pt

5.0%

 

 売上高は、予想比44億82百万円減収(9.3%減)の436億17百万円となりました。これは、物流ソリューション事業において、期ずれの影響で減収となったことや、機械・プラント事業においても、厳しい事業環境が継続しているほか、海外子会社でのタンク以外の鉄鋼製品の加工案件の受注がコロナ禍の影響を大きく受けて減少したこと等によるものです。

 営業利益は、予想比4億63百万円増益(21.4%増)の26億23百万円となりました。これは、物流ソリューション事業でのプロジェクト管理の更なる強化により計画以上に採算性が向上し、同事業で過去最高の営業利益を更新したこと等によるものです。

 ROEは、予想比0.3ポイント増加し5.0%となりました。

 

 b.財政状態に関する分析・検討

 当連結会計年度末における総資産は587億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億20百万円減少しました。これは主に現金及び預金が40億93百万円減少し、投資有価証券が18億96百万円増加したことによるものです。一方負債は222億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ41億2百万円減少しました。これは主に金融機関からの借入金(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・長期借入金)及び社債が合計で37億48百万円減少したことによるものです。

 また純資産については、364億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億82百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益17億77百万円、剰余金の配当8億53百万円及びその他有価証券評価差額金の増加12億71百万円によるものです。

 前連結会計年度末は新型コロナウイルスの感染拡大による先行き不透明感のある状況下、手元流動性を確保する観点から金融機関等からの借入の返済を抑制しておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の景気への影響等を踏まえ、当連結会計年度は順次借入金の返済を進めたことから、現金及び預金並びに金融機関からの借入金及び社債のいずれもが減少しております。

 また、当連結会計年度にかけての株式相場の上昇による保有有価証券の値上がり等により、投資有価証券及びその他有価証券評価差額金が増加しております。

 なお、バランスシートの圧縮と純資産の増加の効果により、当連結会計年度末の自己資本比率としては62.1と前連結会計年度末に比べ5.4ポイント上昇しました。

 c.キャッシュフローに関する分析・検討

当社グループの資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な材料費、外注費及び労務費等の製造費用や、受注獲得や競争力強化のための販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、資金の需給状況に応じて株主還元や成長投資にも資金を利用しております。また、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によるキャッシュ・フローの急激な悪化に備え、当社グループでは手元流動性を十分に確保する方針を執っております。万一、追加の資金が必要になった場合には、金融機関からの借り入れにより資金を調達していく考えです。

 当社グループは、当連結会計年度において株主還元に14億34百万円、成長投資に13億81百万円使用しました。当社では、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けており、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております株主還元方針に従った自己株式の取得や配当金の支払い等、機動的な株主還元を実施しております。

また、中期経営計画に定めております、新規事業の早期収益化を目指したベンチャー投資のほか、既存事業の生産能力強化等成長投資にも資金を利用しております。

 当社グループでは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するため、営業活動から獲得した手元資金を活用するほか、必要に応じて機関投資家向けの社債発行や、金融機関より短期借入金及び長期借入金による資金調達を行っております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は92億8百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は73億9百万円であります。

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、主力事業の物流ソリューション事業及び機械・プラント事業を中心に行われております。これらの事業では、新製品・サービスの開発、技術力向上及び既存事業の強みを生かした新事業の立ち上げのため、以下のような研究開発活動を重点的に行ってまいりました。

 なお、当連結会計年度において、研究開発関連の人件費193百万円を含む597百万円を投入しました。

・物流ソリューション事業

  1.基本的考え方

 お客様のニーズにきめ細かく対応した最適なソリューションの提供を通じて更なる社会貢献を目指すことを基本方針として、研究開発を推進しています。

 特に、IoTデバイス、ICT技術を用いた『止めない物流センターの実現』、『高い出荷生産性を維持するための運用改善サービス』、『省人・省力・自動化』に寄与できる研究開発を推進し、最適ソリューションの提供に向けての技術基盤を構築します。

 

  2.研究開発状況と成果

  (1) 物流センター見える化サービス

物流センター見える化は、制御盤(PLC)で管理・コントロールしているコンベヤ機器・マテハン設備で保持している動作データ(回数・時間)を自動で収集し、定量的に設備の状況を把握するものです。

収集されたデータは専用開発のアプリケーションで遠隔先から可視化表示を行え、客先へ出向くことなく保守データの参照が可能です。

また、指定値を超えると自動でメール配信されるので、常時監視することなく、導入したマテハン設備の状態を把握することができます。

定期的な保守メンテナンスサービスから設備の状況・状態に応じた保守に変革し、止めない物流を実現してまいります。

なお、5月に稼働する案件をファーストターゲットとし、新しい保守サービスの運用を開始します。

  (2) 生産性の高い物流センターの実現

生産性の高い物流センターを実現するために、現場では常に運用改善に取り組んでいます。

庫内運用作業者の動線を取得するための技術としてセンサーデータを使用した屋内位置測定があります。論文や学会上でも色々と発表されておりますが、技術が熟成するにはまだまだ時間が掛るものと想定しております。

そういった中、弊社は昨年度下期において、画像解析を得意としたAI企業と共同開発を行い、画像データをもとに作業動線の軌跡を描ける技術の実証実験を千葉事業所にて行ってまいりました。センサーデータと画像データの2つの側面から、屋内自己位置推定技術を確立して動線を軌跡に変換し、通常の運用管理者では把握しにくいムリ・ムダ・ムラを可視化し、生産性の高い物流センターに向けて引き続き開発を進めてまいります。

  (3) 無人搬送台車AGV(AMR)

少子化高齢化の波は待った無しで、省人化、自動化は、早急な課題解決が必要です。

また、このような潮流より国内外の物流展示会ではAGV(Automatic Guided Vehicle:自動搬送台車)が主流になりつつあります。

AGVは無人搬送車としての位置づけですが、AMR(Autonomous Mobile Robit)は、自律搬送ロボットと言われており、このAMRを空港手荷物搬送の中のEBSに応用しました。

EBSとは、航空機の出発時間よりも早く手荷物預かりを行うシステムで空港の巨大化、ハブ化によって増加する乗り継ぎ便への対応や空港ターミナルの商業施設化に伴い、旅客の利便性を向上させるために重要な機能です。

昨年度は、この空港向けAMRのプロトタイプを完成させました。引き続きビジネス化にむけて開発を進めてまいります。

 なお、当事業に係る研究開発費は277百万円であります。

 

・機械・プラント事業

1.世界最大の液体水素タンク建設を目指した研究開発

   経済産業省策定の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」に示される2030年頃の発電事業用水素発電に資する、大型液化水素タンクの研究開発を継続的に実施しております。

  今年度は、日本高圧力技術協会に発表した論文が、同協会令和3年度科学技術賞を受賞しました。また、2019昨年度から参画するNEDO水素社会構築技術開発事業においては、①真空排気システムの確立、②内槽底部への入熱量算定手法の確立、③SUS316Lの溶接材料を使用した溶接施工法の確立、をすべく研究開発を推進しており、これまでのところ良好な結果が得られております。

 

2.タンク側板周継手用遠隔機能付きサブマージアーク溶接機の開発

    液化天然ガス(LNG)タンクの建設期間短縮を目指すために、組立・溶接・非破壊検査の各工程を並行作業することで工期短縮が出来ないか工法の検討を行いました。その結果、溶接作業において作業現場に人員を配置しないことで、その他の各作業との並行作業が可能であると考え、遠隔操作機能を付加した自動溶接機の開発を進め、実機用の遠隔機能付きサブマージアーク溶接機を製作し、操作性・作業性の確認を行ってきました。

   更に、様々な施工条件においても対応できるよう各種装置、設備の最適化を検討し、次期受注案件に備え利便性の向上を図っております。

 なお、当事業に係る研究開発費は248百万円であります。