第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社は、社是である「わが社は 常にすすんで よりよきものを造り 社会のために奉仕する」を経営理念とし、「革新的な技術と実行力で、社会課題を解決する「ソリューションイノベーター」」となることを経営ビジョンに掲げ、複雑化する経営環境や社会が直面する課題に革新的・先駆的な技術やソリューションを以って解決することに取り組み、グループの持続的企業価値向上と社会の発展に寄与することを目指しております。

当社グループでは、事業を通じて持続的に企業価値を向上させるため、自らの強みを活かし優先的に取り組むべき重要な経営課題(マテリアリティ)10項目を2019年に特定し、事業活動を継続してきました。

しかし、特定してから数年が経過し、当社グループを取り巻く内外環境が変化したことを鑑み、2025年度を初年度とする新中計の策定に際し、あらためて当社グループが優先的に取り組むべきマテリアリティ8項目とKPIを策定しました。新たな各マテリアリティを事業戦略の策定や各事業における意思決定プロセスにおいて考慮すべき重要な要素と位置付けています。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しており、事業を通じた気候変動課題解決への取り組みとGHG排出量削減施策を強化するとともに、提言に基づく開示内容を拡充し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

引き続き、これらの課題解決を通じて、社会的に期待される役割について認識し、関連SDGs達成への寄与にも努めながら、財務面を含む持続的な成長を確実なものとしてまいります。

なお、2024年度は4事業体制でしたが、2025年度より、未来の水素社会の実現を見据え、大型液化水素タンクの研究開発を加速するため「次世代エネルギー開発事業本部」を発展的に解消します。代表取締役社長の直轄組織の「次世代エネルギー開発センター」に移行し、開発に向けた意思決定を迅速に行える環境を整備し、大型液化水素タンク製造技術の確立を図ってまいります。これにより、2025年度は、物流ソリューション事業本部、プラント事業本部、みらい創生事業本部の3事業体制となります。

 

事業を通じた社会課題解決

に資する重要テーマ

(1)  気候変動・環境問題への対応

(2)  労働力不足への対応

 

事業の競争力強化に資する

重要テーマ

(事業伸長のための技術)

(3)  新技術の開発

(4)  ビジネスパートナーとの共創

(5)  製品・システムの信頼性の向上

(6)  業務生産性の向上

 

企業としての経営基盤

(7)  リスクマネジメント・ガバナンスの高度化

(8)  人的資本経営の高度化

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループは、新グループ中期経営計画(2025~2027年度)を2030年に向けた長期戦略の第2フェーズと位置づけ、社是である「わが社は 常にすすんで よりよきものを造り 社会のために奉仕する」を経営理念とし、経営ビジョン「革新的な技術と実行力で、社会課題を解決する「ソリューションイノベーター」」を継続して掲げます。複雑化する経営環境や社会が直面する課題を、革新的・先駆的な技術やソリューションを以って解決することに取り組み、グループの持続的企業価値向上と社会の発展に寄与することを目指します。

前グループ中期経営計画(2022~2024年度)の最終年度において当初の損益計画は達成できませんでしたが、主力の物流ソリューション事業がグループ業績を牽引、また、プラント事業が安定的に収益を確保する体制を構築し、増収増益となりました。

この結果を踏まえ、前グループ中期経営計画の施策を継続しつつ、事業環境に合わせた新たなグループ経営戦略を進めてまいります。具体的には、「未来に向けた成長基盤の確立」を基本方針とし、①事業の成長(事業構造(ポートフォリオ)の再構築)、②生産性の向上(製品や業務の標準化、省人化の推進)、③人材力の強化(多様性の確保と積極的な育成投資)を3つの柱として取組みを更に強化してまいります。

各事業の基本方針・重点施策は以下の通りです。

 

・物流ソリューション事業

〔基本方針〕高成長企業への進化

・ 主力事業としての規模拡大

・ 業務領域と顧客領域の拡大

・ サービス事業強化

〔重点施策〕① 新領域へのチャレンジ、拡大

② 徹底した標準化の実現

③ 新技術の獲得

④ 組織力のUp

・プラント事業

〔基本方針〕安定収益確保

・ メンテナンス需要の継続受注

・ 新規案件取込みによる売上増

・ 技術継承と人材確保

〔重点施策〕① メンテナンス案件の継続受注及び新規取り込みによる安定収益確保

② 人材確保と育成で技術力・施工力・動員力Up

③ タンクメーカーの実績と知見を基にした活躍領域の拡大

・みらい創生事業その他

〔基本方針〕環境事業確立への挑戦

・環境・防災領域の事業拡大(M&A含む)

・グループ会社のガバナンス強化

〔重点施策〕① 事業の選択と集中を進め、環境・防災ソリューション事業を確立

② グループ一体運営によるグループシナジー・事業機会の創出

③ 効率的グループ・ガバナンスの構築

・経営基盤強化策(ESG経営の推進)

 当社グループは、グループ全体の持続的成長を目指し、気候変動への対応として、GHG排出削減目標の公表や、環境投資(工場等への太陽光発電設備の導入)などを行っております。また、従業員の健康保持・増進の取組みを推進する中、「健康経営®優良法人(大規模法人部門)」に4年連続で認定されたことや、地域貢献活動においても、こども文庫支援や地域イベント等での協賛・ボランティアなど積極的に活動しております。前中期経営計画にESG経営の推進を本格的に開始しており、マテリアリティで特定した項目等、対処すべき課題に対し、サステナビリティ委員会を中心に継続して推進してまいります。

(3)目標とする経営指標

当中期経営計画期間の最終年度にあたる2027年度の連結業績目標として、売上高680億円、営業利益43億円、ROE8%の達成を目指し、「ACTION FOR THE FUTURE 期待を超える実行力で、未来を支えるチカラになる」のもとグループ一丸となって目標達成に取り組んでまいります。

(単位:百万円)

連結業績目標への推移

2025年度

2026年度

2027年度

売上高

62,000

65,000

68,000

物流ソリューション事業

35,500

38,000

40,000

プラント事業

14,000

14,000

14,500

みらい創生事業

12,000

12,500

13,000

その他

500

500

500

営業利益

3,700

4,000

4,300

物流ソリューション事業

3,400

3,900

4,100

プラント事業

850

850

900

みらい創生事業

900

1,000

1,100

その他(全社費用含む)

△1,450

△1,750

△1,800

ROE

6%

7%

8%

(注)上表における各事業の営業利益の目標数値はセグメント間の内部取引及び振替高の調整額が含まれておりません。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(サステナビリティに関する考え方)

 当社グループは、「第2.1.(1)会社の経営の基本方針」に記載の通り、事業を通じて持続的に企業価値を向上させるため、優先的に取り組むべき重要な経営課題(マテリアリティ)10項目を特定し、これらの課題解決を通じて、持続的な成長とともに関連SDGs達成に努め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。重要な経営課題(マテリアリティ)のA分類の冒頭に「気候変動による事業環境変化への対応」を、またB分類の冒頭に「人材の育成と活用」を掲げて、サステナビリティについて取り組んでおります。

 次年度は、これらマテリアリティを見直し、新たに8項目として事業活動を継続してまいります。詳細は、「中期経営計画」をご参照ください。

 また、当社グループの具体的な取り組み等については、統合報告書「TKKレポート」をご参照ください。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものです。

(1)ガバナンス

 当社グループのガバナンスに関しては、「第4.4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 また、当社グループにおけるビジネスリスクに関するガバナンスについては、取締役会によって指名された取締役を委員長とするサステナビリティ委員会が管掌し、同委員会は必要な計画の策定と実施を推進しています。なお、リスクマネジメント室が同委員会の事務局として機能しています。サステナビリティ委員会の構成メンバーは、各事業本部において当該事業を管掌する取締役ないし執行役員の中から選任され、この選任を通じて、各事業部門間での取り組みが共有され、業務計画等の立案・実施において気候変動課題等が考慮される仕組みとなっております。

(2)戦略

 ①気候関連財務情報開示タスクフォース(以下TCFD)提言に基づく情報開示

 当社グループはTCFD提言に賛同し、同提言の枠組みに沿って、外部専門家グループの支援を受け、当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性のある気候変動リスク及び機会を特定し、シナリオ分析を実施しました。

 分析にあたっては、 原則として2050年までの期間を対象とし、短期(3年程度)、中期(2030年まで)、長期(2050年まで)の3視点で、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)等が公表する複数の既存シナリオを参照しつつ、2つの気候変動シナリオ(産業革命以降の今世紀末までの平均気温上昇が2℃未満のケース、4℃のケース)に基づく世界観を想定し、網羅的に分析を行いました。

 2つのシナリオに基づく当社グループのリスク及び機会とそれらに伴う事業及び財務への影響を検討したところ、現時点で2050年までを俯瞰すると、当社グループ売上の約8割を占める主力3事業(物流ソリューション事業、プラント事業、次世代エネルギー開発事業)での全般的な財務的影響では「機会」が「リスク」を上回るとみています。

 物流ソリューション事業では、気候変動による物流現場の環境悪化や少子高齢化等の流れから、高度な省力化・省人化物流システムへの需要の継続的な伸びが期待でき、「機会」が「リスク」を十分に上回ると考えます。

 プラント事業では、既存の石油・ガス貯蔵タンク向けのメンテナンス需要は徐々に低下することが見込まれますが、それに代わり次世代エネルギー活用としてMCHやアンモニア貯蔵化などが進み、これらの改造やメンテナンスの需要が見込まれます。

 次世代エネルギー開発事業では、化石燃料の使用が制限されていくことに伴い、従来の石油・ガス貯蔵タンクの新設需要は減少に向かいますが、替わって次世代エネルギーである水素や燃料アンモニア向け、あるいは液化CO2向けタンクの新設需要が増加し、これをカバーすることが期待できます。

 また、4℃シナリオ下においては、物理的リスクに関し、急性では、河川氾濫による水害発生や台風・洪水等によって事業所業務やサプライチェーンが影響を受ける可能性が高まると想定しています。また慢性については、今世紀末において海水面の上昇による事業所への影響の可能性を特定しましたが、2050年までを視野にいれた分析では、財務影響は小さいと考えています。TKKグループでは、物理的リスクの影響を受けることが考えられる事業や事業所において、今後もリスク軽減の対策を講じていきます。

 ②人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 a.基本方針

 当社グループは、経営ビジョンである「革新的な技術と実行力で社会課題を解決するソリューションイノベーター」を実現するため「ACTION FOR THE FUTURE」をスローガンに、豊かな創造力、高い思考力、確かな専門性を持った人材を育成し活用することを基本方針としております。

 さらに、人材の多様性や働きやすい職場の実現が価値創造の源泉となるとの考えのもと、社員のスキルアップや

モチベーション向上のため、さまざまな教育制度や評価制度等を導入しております。

 人材育成や社内環境の整備に関する基本的な方針は以下の通りです。

 

〔人材育成方針〕

 性別・国籍・採用形態等にとらわれず、マネジメント力や業務遂行力などを備えた優秀な人材を経営幹部に積極的に登用することを目指し、全ての社員が自身に必要な知識・スキル等に自ら気づき、学ぶ意欲を持ち続けることを促すとともに、OJT・OFF-JTの何れにおいても充分な学びの機会を提供することを基本的な育成方針としています。

 上記方針に基づき、職位・階層別の総合研修制度や、事業特性に応じた専門研修、社会課題等を踏まえた知識・スキルの拡充に関する研修などを制度化し、これらを定期的に実施し、特に女性・外国人・中途採用者等の知識・スキル等の習得ニーズを適切に把握するとともに、ニーズに合致し、参加しやすい研修機会の提供を可能としております。加えて、社員の階層を限定しない英語教育の実施や、役割の転換期に応じたキャリアデザイン研修なども実施しております。

〔社内環境整備方針〕

 多様な人材の活躍や定着のため、ワークライフバランスを重視し働きやすい職場を実現するとともに、一人ひとりの意見や価値観などの尊重、また健康に配慮した就業環境の提供などにより、企業風土を改善しエンゲージメントを向上させることを基本方針としています。

 上記方針に基づき、在宅勤務や時差出勤制度をはじめ、ジェンダーに依らない育児・介護休業の取得支援や、障がい者の積極的な採用に取り組んでいるほか、自己申告制度の活用による、社員の志向や適性・専門性を考慮した配属の実施なども行っております。

 b.HR施策の具体例

〔自ら学ぶ社員を支援する人材育成施策〕

 企業の競争力を高めていくためには、個々の社員の能力×自発的な動機の向上が重要な要素と考え、階層別研修やキャリア研修等の体系化された研修の受講機会の増大を図っております。また、「自ら学ぶ人を支援する」という方針のもと、昨今では、資格取得支援、オンライン学習、語学習得支援、書籍購入補助に加え、社員自らの学びたいとするテーマの外部研修の受講費用を支援する公募制の制度も設けるなど、自己啓発を促進する施策の充実に力を入れております。

〔多様性を活かす組織づくりと職場環境の整備〕

 多様な人材の価値観や考え方が意思決定プロセスに反映されることも、顧客に対する提供価値の向上や、企業の競争力の強化において不可欠であると考えております。

 当社グループでは、属性を限定しない多様な人材を受け入れる採用方針を掲げ、幅広いバックグラウンドを持つ人材の採用を推進しております。中途採用の強化やリファラル採用等、手法の多様化も推進しております。

 さらに、社員一人ひとりがいきいきと意欲的に、長く安心して働き続けられる職場環境の整備にも注力しており、処遇の改善や休暇制度の充実に加え、特に現場の第一線で活躍する社員に対する処遇や福利厚生の強化にも重点的に取り組み、働きがいと働きやすさの両面からエンゲージメントを高められるよう努めております。

〔社内インターン制度〕

専門性が確立されていない新入社員をどの分野に配属しキャリアをスタートさせるかは、その後のキャリア形成に影響を及ぼしますが、当社グループでは、新入社員が入社後、本配属の前に半年程度の期間に、複数部署での職場を体験し、本人の希望を可能な限り反映した部署に配置するインターン制度を実施しています。これにより、部署の役割や前後の行程を理解し、自己選択というプロセスを経ることでキャリアのミスマッチを最小化、当事者意識と仕事の全体像を意識し、受入部署においても新人育成の機会とする等、人材の定着率の向上や組織の活性化につながることを期待しております。

(3)リスク管理

 企業を取り巻く環境が複雑かつ多様化する中、当社グループは、事業に重要な影響を与えるリスクの適切な管理を重視し、グループの重要経営課題(マテリアリティ)においても「リスクマネジメントの高度化」を掲げています。

 サステナビリティ委員会は四半期に1回以上開催され、取締役会及び経営会議に定期報告を行うことになっており、経営会議では、サステナビリティ委員会からの報告・答申等に基づき、必要な協議・決議を行います。取締役会は、経営会議及びサステナビリティ委員会で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループのビジネスリスク全般への対応方針及び計画の実行と進捗についての監督を行います。

 あわせて、リスク管理に関しては、「第2.3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

①TCFD提言に基づく情報開示

 (カーボンニュートラルにかかる温室効果ガス(以下GHG)の排出削減)

削減対象のGHG:

当社単体及び国内海外連結子会社における「Scope1排出量+Scope2排出量」

  ※Scope1排出量 自社での燃料の使用等によるGHGの直接排出

  ※Scope2排出量 自社が購入した電気・熱の使用によるGHGの間接排出

GHG削減目標:

「2050年までにカーボンニュートラルを達成」

「2030年までに2019年度対比で50%に削減」

当社グループにおいて省エネルギーや再生可能エネルギー導入をはじめとしたGHG排出削減活動を推進し対象範囲のGHG排出量を2050年までにカーボンニュートラルにします。

なおScope3排出量については、仕入先・顧客と協働し、バリューチェーンを通じた削減の取り組みを推進していきます。

  ※Scope3 事業活動のサプライチェーン内で間接排出されたScope1・2以外のGHG

GHGプロトコールに準じて算出したサプライチェーン排出量の算出結果は以下の通りです。

Scope1排出量+Scope2排出量 (国内外を含むグループ全体)

2019年度:5,276t-CO2e 2020年度:4,993t-CO2e ・2021年度:5,142t-CO2e ・2022年度:3,600t-CO2e

2023年度:3,663t-CO2e 2024年度:3,832t-CO2e

Scope1排出量+Scope2排出量 (国内外を含むグループ全体)を2019年度(基準年)に対し、2024年度は約27%削減いたしました。

Scope3排出量(国内外を含むグループ全体)

2020年度:348,949 t-CO2e ・2021年度:382,849t-CO2e ・2022年度:285,324t-CO2e ・2023年度:270,508t-CO2e

2023年度Scope3排出量のうち、カテゴリー11「販売した製品の使用」が63,048t-CO2e、カテゴリー1「購入した製品サービス」が192,972t-CO2eで、Scope3排出量全体の94.6%を占めます。

上記より、2023年度のサプライチェーンGHG排出量は274,171t-CO2eとなり、構成比は、Scope1・2が1.3%、Scope3が98.7%であります。

また、GHG排出削減に向けての施策について、Scope1・2排出量は、2023年度で53%が電気使用、36%がガソリン・軽油の消費に由来するものであることから、以下の項目に重点を置くことが必要と考えております。

-自家消費太陽光設備の導入

-ゼロ排出・再エネ由来電気の導入

-社用車のEV化

-省エネ設備の導入

Scope3排出量は、製品の使用過程における消費電力の削減等カテゴリー別の具体的対策を検討し、また仕入先・顧客とも協働し、GHG排出量の削減に向け、対策の立案とその推進に取り組んでまいります。設備投資計画の検討において、設定した社内炭素価格を適用し仮想的な費用に換算することで、投資判断の参考とするInternal Carbon Pricing制度を導入し、脱炭素投資の推進をしてまいります。

・ガバナンス及びリスク管理については、上記(サステナビリティに関する考え方)の(1)、(2)をご参照ください。

②人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標と目標

 当社グループでは、上記「(2)戦略 ②人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

〔目標とする指標〕

・女性管理職の割合 2027年度までに10%

・年次有給休暇取得率 2024年度までに80%

〔実績〕

 過去3年間における各指標及び実績は下記の通りであります。

指標

2022年度

2023年度

2024年度

女性管理職の割合

6.9

8.3

7.1

男性労働者の育児休業取得率

61.5

66.7

83.3

女性労働者の育児休業取得率

100.0

100.0

100.0

キャリア採用比率

65.7

55.3

56.3

キャリア採用管理職比率

38.0

37.5

35.7

年次有給休暇取得率

71.8

76.5

71.3

表彰制度改善提案提出率

79.8

73.0

72.3

男女の賃金の差異

全労働者

62.1

64.4

67.5

うち正規雇用労働者

62.7

65.5

68.5

うちパート・有期労働者

31.2

41.5

49.2

(注)目標及び実績は、提出会社の従業員の状況となります。

 また、ガバナンス及びリスク管理については、上記(サステナビリティに関する考え方)の(1)、(2)をご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

当社のリスク管理体制は、取締役の中から任命されたリスク管理統括責任者が、当社及び当社グループのリスク管理を統括し、全社リスク管理部門がリスク管理統括責任者の指揮命令の下、リスクの洗い出し、評価・結果のモニタリング等を行います。重要リスクについては、経営環境の変化やリスク対応状況等を踏まえて定期的に見直しが行われ、適切なリスク対策が適時に実行されるよう努めております。

事業活動に与える可能性のあるリスクのうち、重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、予見することが困難なリスクも存在します。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものです。

① 気候変動に関する影響

当社グループでは、ESG経営を推進しており、SDGsやパリ協定で示される国際的な目標を重要視しております。また、経営上の重要課題(マテリアリティ)の冒頭に「気候変動による事業環境変化への対応」を掲げております。

世界的な環境意識の高まりや低炭素・脱炭素型社会への移行による、エネルギーシフトが加速する中で、 LNG・原油等のタンク需要が減少することは避けられず、当社の事業環境に悪影響が及ぶ可能性があります。そこで当社の技術を活かし大型液化水素貯蔵の開発や、発電用燃料としての水素やアンモニアの需要拡大への対応を通じた、低炭素社会の実現を目指し、当社の強みを活かしたインフラに係る取り組みを積極的に推進しております。また、当社グループ全体として、省エネ型製品・サービスの開発、自家消費型再生エネルギー(太陽光)の活用など、低炭素・脱炭素型社会に向けた施策を推進しています。当社グループの温室効果ガスの排出(Scope1及び2)の削減については、2022年に「2050年までのカーボンニュートラル達成」を宣言、また同年より「TCFD提言に基づく気候変動リスク(及び機会)にかかる情報開示」も開始しております。気候変動対応については、当社グループ経営における長期的リスク(及び機会)への対応を検討する好機と捉えており、投資家等に向けた情報開示や対話を促進していく考えでおります。

また、当社グループの事業に起因した環境問題が発生した場合には、社会的な信用低下につながる可能性があります。そのため当社が掲げる環境方針のもと、ISO14001を取得・更新し、環境マネジメントシステムを積極的に整備・運用をしております。

② プロジェクトの遂行に関するリスク

物流ソリューション事業では、Eコマース市場の拡大、物流業務のアウトソーシングの広がりなどにより、サプライチェーンの中で物流センターにおける役割が増えると共に、物流業務の効率化、拠点の集約化の動きに合わせて物流センターが大型化する傾向にあり、これまで以上にプロジェクト管理・遂行能力の重要性が高まっております。

そのため、当事業においては、営業提案から施工まで一貫した納期管理の徹底を行い、標準化や生産性向上によるコスト・作業負担の低減に努めると共に、協力会社の拡大など、持続可能なプロジェクト遂行体制の整備に努めており、物流センターの全体エンジニアリングへ業務拡大を進めています。

しかしながら、短納期化が求められるなかでの予期せぬ建築施工計画の変更による工期圧縮や、一定期間内に複数の大型プロジェクトを同時進行することに伴う納期調整など、様々な要因によって想定外のコストが発生する可能性があります。

また、当事業が提供する主要な製品や部材の中には、海外の特定取引先から調達しているものが存在し、取引先の経営方針・経営環境の変化や、国際需給の変動、自然災害、事故などにより、安定的にこれら製品や部材を調達できない場合にはプロジェクトの遂行に影響を与える可能性があります。

プラント事業・次世代エネルギー開発事業においては、国内製油所を中心にタンク補修工事を請け負っており、工事従事者が不足した場合や資機材の調達価格が高騰した場合、現場監督者の技術の継承が遅れた場合には事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。そのため、パートナー企業との連携強化の一環として、タンク建設やメンテナンス業務において多くの実績を持ち、現場施工に精通した人材を有する木本産業株式会社をグループインしました。また、TKKプラントエンジ株式会社と共同で技術者及び現場監督の増員を進めて、施工体制の強化や人材育成、DXを活用した労働環境の改善に注力しています。またタンク新設プロジェクトへの対応として、受注から施工まで少数精鋭による一貫した管理・情報集約体制を整え、迅速かつ効率的なプロジェクトの遂行を行っております。

当社グループでは、プラント事業・次世代エネルギー開発事業を中心に海外でも事業を展開しており、当社連結子会社のPT Toyo Kanetsu Indonesiaにおいてタンク等の鉄鋼材料の加工や現地工事、Toyo Kanetsu (Malaysia) Sdn.Bhdでは現地空港における手荷物搬送設備のメンテナンス、及び現地石油化学プラント関連設備のメンテナンス事業を行っております。これらの海外事業には以下に掲げるようなリスクが内在しており、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

1.法律又は規制の予期せぬ変更

2.政治経済の不安定性

3.人材確保の困難性

4.不利な税制改正

5.テロ、戦争、疫病、災害、その他の要因による社会的混乱

新型コロナウィルス感染症の影響や地政学リスクの影響による部品等の不足や価格高騰に対し、早期手配に取り組むなどリスク低減を図っております。

プロジェクトの遂行にあたっては案件に応じて製造物責任賠償保険等に加入すると共に、品質を担保するため、当社グループでは社内規定を制定し、品質マネジメントシステムを整備するなど、品質管理を強化しております。また品質問題が発生した場合でも品質管理の主管部門を社長直轄とすることで、迅速な対応を可能とする体制を整備しております。しかしながら万が一製品に重大な品質クレーム・トラブルが発生した場合に は、修繕費用や賠償の発生等によりプロジェクト収益が悪化するのみならず、当社グループの社会的評価の低下に繋がり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

③ 人材の確保・育成に関する影響

当社グループでは、人材の確保と育成は重要課題の一つであり、人材の流出や採用コストの上昇は、事業活動に影響が生じる可能性があると認識しております。

そのため、多様な人材確保のため採用対象を多様化させると共に、女性活躍推進行動計画を策定し、女性管理職候補者の育成・登用、時差勤務の利用促進、有給取得率向上、男性の育児休業取得促進などの取り組みを進め、「健康経営@優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されるなど、働きやすい職場環境づくりによる人材の定着化を推進しております。

また、物流ソリューション事業では、エデュケーションセンターにおいて、人材のさらなる技能強化や安全教育指導を実施しております。

④ 受注競争の激化による影響

当社グループの主力事業は何れも受注型産業であり、厳しい受注競争に晒されているため、採算面での不合理な下方圧力に直面した場合には、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、顧客の政 策・方針や、業界の経営環境変化、業界再編の動きは、受注活動に影響を与える可能性があります。

こうしたリスクに対し、物流ソリューション事業においては、国内外における顧客領域の拡大を進めつつ、外部技術の柔軟な導入による最適なソリューション提供を行うと同時に、製品の内製化、標準化を推し進め、価格競争力を強化しております。また、更なる業務効率向上を図るために社内システムの刷新を行うなどの対策を進めております。

プラント事業・次世代エネルギー開発事業では厳しい事業環境が長期化する中で、コア技術であるタンク EPC(設計・調達・施工)遂行能力を向上・発展させ、品質面での優位性を活かした受注活動に取り組むと共に、海外子会社による事業領域の拡大を図っております。

また、厳しい受注競争の中で、当社グループは持続的企業価値向上と社会の発展に貢献することを目指し、「革新的な技術と実行力で、社会課題を解決するソリューションイノベーター」となることを経営ビジョンとして掲げ、最先端技術を有する国内外の企業やCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)を活用したスタートアップとの連携などを通じて、様々な技術開発に取り組んでおります。

しかしながら、製品・技術のライフサイクルが短命化する中で、市場からの要請に対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下し、中長期的に業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産等の固定資産を保有しています。継続的な業績のモニタリング等により、当該固定資産に対する投資の回収が困難となる前に対策を講じるように努めておりますが、経営環境や事業の状況の著しい変化等により収益性が低下し、十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、当該資産に対する減損損失の計上により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 新規事業の立ち上げに関するリスク

当社グループは、長きにわたり物流ソリューション事業、プラント事業・次世代エネルギー開発事業を主力事業として展開をし、これまで相互補完的にグループ収益を支えてまいりましたが、これら事業環境の変動幅は大きく、収益のボラティリティが高いと認識しております。

そのため、M&Aの実行や、CVCの立ち上げとスタートアップとの連携など、適切なパートナー企業と様々な可能性について探索しております。M&Aにおいては、対象となる企業の財務や税務、法務などの契約関係及び事業の状況等について事前に社内外の専門家と詳細なデューデリジェンスを実施し、可能な限りリスクの低減に努めておりますが、M&A後に、事業環境に急激な変化が生じた場合やその他予期し得ない理由により当初の計画通りに事業が進展しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 労働安全衛生に関する影響

当社グループでは、安全をすべてに優先すべき事項と捉え、「労働安全衛生方針」のもと、OHSAS18001・ ISO45001の取得・更新、社長直轄の主管部門の設置、グループ安全会議の開催、現場パトロールの実施、パートナー企業を含めた安全体制の維持・拡充等により、安全衛生の確保・向上に努めております。

しかしながら、このような対策を取っていながらも、事件、事故が発生した場合、工場の稼働や顧客対応に支障が生じるだけでなく、損害賠償の発生、刑事罰や行政処分の執行、社会的信用の失墜などにつながり、事業活動や財政状態に影響を与える可能性があります。

⑦ コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、社会インフラという社会からの信頼なくしては成り立たない分野で事業を行っており、法令等を遵守するコンプライアンスは、信頼される事業活動のもっとも重要な基盤の一つであると認識しております。

そのため、当社ではコンプライアンス委員会の設置や統括責任者の任命など組織体制を整備する他、グループ企業行動憲章をはじめとした諸規程を定め、グループ全取締役及び社員へ社会的責任及び公共的使命を周知徹底し、意識を醸成するなど、コンプライアンスを堅持する取り組みを推進しております。

しかし万が一、国内外の関連法規などに抵触する事態が発生した場合には多額の課徴金や損害賠償が発生するなど、業績及び財政状態に悪影響を及ぼすだけでなく、当社グループの社会的な信用が低下し、事業継続に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 自然災害・疫病等に関するリスク

当社グループは、火災や地震、大規模な自然災害や疫病の流行等に備え、BCP(業務継続計画)マニュアルを策定し、連絡体制の整備、災害備蓄の実施、国内主要製造・開発拠点における耐震補強工事や避難所の設置、定期的な訓練の実施やBCPに向けた製造機能再編や強化など、事業継続に必要な対策を講じております。しかしながら、想定以上の災害の発生により深刻な物的・人的被害を受けた場合、社員の健康のみならず施設に重大な影響を与え、損害保険の付保による適切なカバーを行なっているものの、直接的・間接的損害や復旧費用などが予想以上に多額となり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、疾病等の感染拡大による影響は、多方面にわたるリスクとの認識のもと、当社グループでは、感染防止指針や事例別対応マニュアルを策定し、感染拡大への防止策を講じながら、リモートワークの推奨、休暇・補償制度の拡充などの制度面の整備や、電子申請システム、クラウドストレージなどITツールの強化も行っております。

⑨ 情報セキュリティ並びに情報インフラ整備に関する影響

当社グループは、顧客情報や技術情報などの機密性の高いデータを多数取り扱っており、これらの情報資産を適切に保護するため、情報セキュリティ小委員会を中心に体制を整備し、継続的な社員教育を実施しています。2023年4月には、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得し、第三者による管理水準の担保にも努めています。

一方、サイバー攻撃の高度化や生成AIを悪用した新たな手法、サプライチェーン全体を標的とする攻撃の増加など、情報セキュリティを取り巻く脅威は複雑化しています。万が一、情報漏洩やデータ破損が発生した場合には、信用失墜、業務停止、法的責任など、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対しては、「ゼロトラスト」の考え方に基づくアクセス制御、通信の暗号化、端末・クラウド環境の多層的な防御策を講じています。また、取引先を含むサプライチェーン全体の安全性確保の観点から、外部宛メールへのファイル添付を原則禁止とし、安全なクラウド型ファイル共有サービス(Box®)に一本化しています。

加えて、当社ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を成長戦略の柱とし、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した業務プロセスの効率化を進めています。老朽化した業務システムについては、安定稼働を踏まえた最新化を図り、柔軟な業務への対応が求められる領域には、従来のシステム化範囲にとらわれず、業務全体を見直した刷新を計画的に進めています。

こうした施策に支障が生じた場合には、業務の停滞やシステム障害による混乱、新たな事業機会の逸失といった経営リスクが生じる可能性があるため、慎重かつ段階的な推進とリスク対応に努めています。

⑩ 市場動向等に関するリスク

物流ソリューション事業では、小売、卸売、生協などの業界を中心に製品・システムを納入しております。また国内空港を中心に手荷物搬送システム等を提供しております。そのため、景気後退や少子高齢化の進展等による物流量の低下などで、物流施設関連への投資が停滞した場合や、航空関連需要の動向によっては、当事業の展開に影響を与える可能性があることから、AI、IoT技術を活用した事業領域の拡大を図っております。

プラント事業・次世代エネルギー開発事業においては、LNGプラントや製油所等に各種タンクを納入すると共に、既設の原油タンク等のメンテナンスを実施しております。そのため世界的な景気動向の他、産油・産ガス国や消費国の経済・社会情勢、各国のエネルギー・環境政策の動向、原油・LNG価格の動向等により、プラントオーナーの投資計画の中止・延期・大幅見直し等が発生した場合には、当事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があることから、安定収益源の確保による受注変動に強い事業体質を確立すべく、メンテナンス案件の収益性向上等の取り組みを強化しています。

また、経済環境が悪化した場合には次のようなリスクを想定しております。

a)為替相場の変動

当社グループの事業活動には、海外における製品の生産、資材の販売、建設工事等が含まれており、主に米ドル建てでの取引が発生します。現時点において、外貨建ての取引高、及び保有資産額は相対的に僅少であるため、為替相場の変動リスクは低いと認識しておりますが、想定外の変動は将来的な当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

b)金利の変動

当社グループは営業債権などによる信用供与、固定資産取得などのため、短期・長期の調達比率のバランスを鑑みながら金融機関より資金調達を行っております。大規模な金融緩和政策などにより、低金利が継続しているものの、金利が上昇する局面においては、資金調達コストが増大し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

c)保有有価証券の評価

当社グループは、時価のある有価証券を保有しております。決算期末日の株価によって再評価を行っており、大幅に株価が下落した場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、好調な企業業績に支えられ、緩やかなインフレーションと賃金上昇による個人消費の持ち直しも相まって、比較的安定した推移となりましたが、米国の通商政策などによる世界経済の混乱なども懸念され、景気の先行きについては予断を許さない状況となっております。

 このような状況下、主力の物流ソリューション事業では、深刻化する人手不足を背景に、ネット通販、3PL、卸業、生協向け自動化・省人化設備への需要が堅調に推移しております。また、製造業向け自動化・省人化設備需要の増加が見られました。

 プラント事業は、国内製油所向けタンクメンテナンスの需要が引き続き堅調に推移し、安定的に収益を計上しております。また次世代エネルギー開発事業は、国内外のカーボンニュートラルの要請に応えるべく次世代エネルギー関連の研究開発に引き続き注力する一方、海外子会社のあるインドネシア・マレーシア両国において、タンクの新設や補修案件についても積極的に受注活動を行っており、今年度は3年半にわたる複数の低温タンク再生プロジェクトを受注いたしました。

 みらい創生事業では、その構成する事業のうち、産業機械事業では建設投資、半導体、二次電池関連の設備投資計画が増加していること等により、市場は堅調に推移しております。環境事業では、官公需は例年並みを維持し、民需はアスベスト対策の市場が拡大を続けております。他方、建築事業は建築資材や工事費の高騰の影響により、厳しい事業環境が継続しております。

1.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ4億55百万円減少し、674億36百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ16億13百万円減少し、285億26百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ11億57百万円増加し、389億9百万円となりました。

2.経営成績

 2024年度の連結決算の状況は、主に物流ソリューション事業の増収により、売上高は604億74百万円となり、前連結会計年度比12.4%増となりました。また、営業利益も増収効果及び報告セグメントそれぞれの採算性の向上により、41億31百万円と前連結会計年度比33.7%増となりました。

 経常利益は44億3百万円(同23.0%増)となり、特別損益の部においては、当連結会計年度も引き続き政策保有株式の売却を実施したことで投資有価証券売却益が7億15百万円計上されましたが、昨年度の政策保有株式の縮減実施の規模が比較的大きく、それに伴って発生した投資有価証券売却益が多額であったことの反動等で、親会社株主に帰属する当期純利益は36億38百万円と、前連結会計年度比微増(同2.4%増)の結果となりました。また、受注高は、517億43百万円(同12.3%増)となっております。

 セグメントの経営成績は次の通りであります。

・物流ソリューション事業

 ネット通販、3PL、卸業、製造業向けの「マルチシャトル」を組み込んだ庫内自動化設備案件を中心に売上計上されました。大型案件の売上が計上されたこと及びメンテナンス事業の拡大により、売上高、利益ともに増加しました。

 この結果、当事業の売上高は378億0百万円(前連結会計年度比16.3%増)となりました。利益面では売上高の増加に伴って営業利益は37億22百万円(同13.8%増)、受注高は343億38百万円(同0.9%増)となりました。

・プラント事業

 国内製油所向けメンテナンス案件については、売上高は103億28百万円(前連結会計年度比9.6%増)となりました。

 また、営業利益は10億41百万円(同46.9%増)、受注高は105億35百万円(同4.9%増)となりました。

・次世代エネルギー開発事業

 インドネシアにおける球形タンク1基の新設案件が完工したことなどから、当事業の売上高は21億58百万円(前連結会計年度比44.2%増)となりました。また営業損益については営業損失4億33百万円(前連結会計年度は営業損失4億81百万円)、受注高は前連結会計年度より48億83百万円増の68億69百万円となりました。

・みらい創生事業

 産業機械事業の主力製品であるバランサの受注規模の大型化や、環境事業における環境常時監視ソリューションや、アスベスト調査・分析が伸長する一方で、建築事業の受注が振るわず減収となりました。利益面では次なる成長に向けてM&Aを推進したことで、関連費用が先行して計上されましたが、産業機械事業、環境事業の増収の影響等により、総じて増益となりました。

 その結果、当事業の売上高は97億85百万円(前連結会計年度比1.5%減)、営業利益は8億73百万円(同11.0%増)となりました。

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて18億34百万円減少し、64億50百万円になりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は53億0百万円(前連結会計年度は7億39百万円の支出)になりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上50億82百万円、売上債権及び契約資産の増加11億41百万円、契約負債の増加8億49百万円、棚卸資産の減少9億40百万円、法人税等の支払額19億81百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に用いた資金は17億62百万円(前連結会計年度は10億45百万円の支出)になりました。主な要因は、固定資産の取得による支出21億35百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2億64百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入8億18百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に用いた資金は54億22百万円(前連結会計年度は31億20百万円の収入)になりました。主な要因は、短期借入金の純減少額32億0百万円、長期借入れによる収入24億80百万円、長期借入金の返済による支出25億40百万円、配当金の支払21億64百万円等によるものです。

 ③生産、受注及び販売の実績

 1.受注実績

 当連結会計年度における各事業の受注実績を示すと、次の通りであります。

 なお一部の見込生産を除き、受注生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

物流ソリューション事業

34,338

100.9%

33,544

90.6%

プラント事業

10,535

104.9%

6,120

103.5%

次世代エネルギー開発事業

6,869

345.9%

5,579

642.4%

合計

51,743

112.3%

45,244

103.3%

 2.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

物流ソリューション事業

37,800

116.3%

プラント事業

10,328

109.6%

次世代エネルギー開発事業

2,158

144.2%

みらい創生事業

9,785

98.5%

報告セグメント計

60,073

112.6%

その他

401

90.8%

合計

60,474

112.4%

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであす。

相手先

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アスクル株式会社

1,224

2.3

7,638

12.6

アマゾンジャパン合同会社

10,794

20.1

6,981

11.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、その作成にあたっては、決算日における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 1.経営成績等の状況に関する分析・検討

(中期経営計画の目指す経営指標に関する分析)

 当社グループは「未来へ向けた成長路線の確立」を基本方針とし、当社グループが解決すべき社会課題を明確化した『グループ中期経営計画(2022~2024年度)』を策定し、推進してまいりました。本中期経営計画の最終年度において、当初の損益計画は達成できませんでしたが、主力の物流ソリューション事業がグループ業績を牽引、また、プラント事業が安定的に収益を確保する体制を構築し、増収増益となりました。

 また、2025年度には、新グループ中期経営計画(2025~2027年度)を新たに策定いたしました。

新グループ中期経営計画における各セグメントの目標数値、基本戦略及びそれらの進捗状況、並びに経営者が認識する現状の事業環境については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますので、ご参照ください。

2024年度の業績予想と実績との比較

(単位:百万円)

 

2024年度(予想)

2024年度(実績)

予想比

2025年度

(予想)

売上高

59,500

60,474

974

62,000

物流ソリューション事業

37,000

37,800

800

35,500

プラント事業

9,500

10,349

849

14,000

次世代エネルギー開発事業

2,400

2,158

△241

みらい創生事業

10,100

9,882

△217

12,000

その他

500

613

113

500

調整額

△330

△330

営業利益

3,900

4,131

231

3,700

物流ソリューション事業

4,000

3,722

△277

3,400

プラント事業

710

1,041

331

850

次世代エネルギー開発事業

△430

△433

△2

みらい創生事業

660

873

213

900

その他

120

174

54

150

調整額

△1,160

△1,246

△85

△1,600

ROE

7.0%

9.5%

2.5pt

6.0%

注1.調整額は、連結消去及び各セグメントに帰属しない全社費用の合計額です。

2.2025年度より報告セグメントを、「物流ソリューション事業」、「プラント事業」及び「みらい創生事業」の3区分に変更しております。従来の「次世代エネルギー開発事業」の売上高及び営業利益の予想値は、「プラント事業」に含めて表示しております。

また、変更後の報告セグメントの区分によった場合の2024年度の報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報は、「第5経理の状況」 1「連結財務諸表等」 「注記事項」 (重要な後発事象)」をご参照ください。

 

 売上高は、予想比9億74百万円増収(1.6%増)の604億74百万円となりました。これは、主にソリューション事業やプラント事業において市場が堅調に推移した中で、確実に売上に結びつけたこと等によるものです。

 営業利益は、予想比2億31百万円増益(5.9%増)の41億31百万円となりました。これは、ソリューション事業において生産工程の効率化やその後の徹底したプロジェクト管理を推進したことや、プラント事業において溶接の自動化など作業効率を追求したことなどにより、利益率が改善したためです。

 ROEは、政策保有株式の売却や賃上げ促進税制の税額控除による税金費用の減少等により、予想比2.5ポイント増加の9.5%となりました。

 

 2.財政状態に関する分析・検討

 当連結会計年度末における総資産は674億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億55百万円減少しました。これは主に現金及び預金が18億34百万円減少し、建物及び構築物が13億10百万円増加したことによるものです。一方負債は285億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億13百万円減少しました。これは主に有利子負債(短期借入金・1年内償還予定の社債・1年内返済予定の長期借入金・社債・長期借入金)が合計で30億29百万円減少したことによるものです。

 また純資産については、389億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億57百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益により36億38百万円増加した一方で、剰余金の配当21億74百万円及びその他有価証券評価差額金により4億21百万円減少したことによるものです。

 営業債権の回収による収入や政策保有株の売却による収入が、業容拡大に伴う運転資金や設備投資、積極的な株主還元策の実施等による資金需要を上回り、前連結会計年度と比べ金融機関からの借入金が減少しております。

 この結果、バランスシートはやや縮小し、当連結会計年度末の自己資本比率としては57.7%と前連結会計年度末に比べ2.1ポイント改善しました。

 

 3.キャッシュ・フローに関する分析・検討

当社グループの資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な材料費、外注費及び労務費等の製造費用や、受注獲得や競争力強化のための販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、資金の需給状況に応じて株主還元や成長投資にも資金を利用しております。また、地政学リスクの高まり、関税政策による不確実性の増大、世界的なインフレーションの加速、またそれらに起因する原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱等によるキャッシュ・フローの急激な悪化に備え、当社グループでは手元流動性を十分に確保する方針を執っております。万一、追加の資金が必要になった場合には、金融機関からの借入により資金を調達していく考えです。

 当社グループは、当連結会計年度において株主還元に21億78百万円、成長投資に26億94百万円使用しました。当社では、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けており、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております株主還元方針に従った自己株式の取得や配当金の支払い等、機動的な株主還元を実施しております。

 また、2025年度より開始いたしましたグループ中期経営計画(2025年~2027年度)に則り、持続的な企業価値向上のため、財務の健全性を確保しつつ、資本コストを意識した成長投資を積極的に行ってまいります。

 当社グループでは、事業運営上必要な流動性と安定的な資金調達を実現するため、営業活動から獲得した手元資金を活用するほか、必要に応じて機関投資家向けの社債発行や、金融機関より短期借入金及び長期借入金による資金調達を行っております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は139億86百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は64億50百万円であります。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、主力事業の物流ソリューション事業及び次世代エネルギー開発事業を中心に行われております。これらの事業では、新製品・サービスの開発、技術力向上及び既存事業の強みを生かした新事業の立ち上げのため、以下のような研究開発活動を重点的に行ってまいりました。

 なお、当連結会計年度において、研究開発関連の人件費182百万円を含む579百万円を投入しました。

・物流ソリューション事業

  1.基本方針

 新中期経営計画の重点施策に沿った開発方針を基本とします。ハード開発よりもソフト開発に注力し、特にAI、IoTを含む最新技術をマテハンシステムと融合させたシステムを開発し、新しいソリューションを創出してまいります。また、オープンイノベーションを更に推進するため、ベンチャー企業を含む国内外企業との協業を強化するとともに、新たなソリューションの活用を拡大可能な開発・業務体制を整備してまいります。

  2.研究開発状況

  (1) 3次元ビジョンシステムの開発

 物流倉庫内で取扱う商品は多品種あり、現在のビジョンシステムを介したピッキングロボットではその取り扱いが困難とされています。

 把持ポイント計算の高度化と移載・移動可能な個所を見つけるロジックの開発を継続しつつ、WCS及び周辺機器との連携を考慮したシステム構成の検証を進めています。

  (2) DCT/EBSの開発

 空港向けDCT/EBSのテストラインを千葉事業所に設置完了しました。今年度から試験評価を実施し、ブラッシュアップを図り製品化開発に着手すると並行して提案活動を開始します。

  (3) 高付加価値WMSの開発

 「部分」から、「トータル」にエンジニアリング領域を拡大するため、「高付加価値WMSの開発」を進めております。

 昨年度、当社初となる当社製のオリジナルWMSパッケージを開発し、基本機能を実装したベーシック版が完成しました。次のステップとして、このパッケージにマテハンデータの活用や、周辺設備やシステムとの連携機能を実装し、高付加価値型のWMS構築を目指します。

  (4) 手荷物画像認証技術の確立・ビジョンAIによる手荷物取り下ろしロボットの開発

 手荷物画像認証に関して、概念実証の結果は概ね良好であったが実案件に導入するには更なる改善が必要であると判断、実用化に向けて引き続き開発を継続する方向となりました。

 ロボットに関しては双腕ロボットによる手荷物積み下ろしのデモ実現のためにハンドの調査、設計、アームの選定、協調動作の要件定義と設計を実施しました。

    なお、当事業に係る研究開発費は374百万円であります。

・次世代エネルギー開発事業

1.世界最大の液化水素タンク建設を目指した研究開発

  経済産業省策定の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」に示される、2030年頃の水素発電の商用化に向けた、安定的かつ大量な水素供給体制の構築に資する、大型液化水素タンクの研究開発を継続的に実施しております。

  2023年7月には、「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/大規模水素サプライチェーンの構築に係る技術開発」「液化水素貯槽の大型化に関する研究開発」のテーマで国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択されました。

  液化水素は、LNGと比較すると液化温度が低く蒸発しやすいため、従来のLNGタンクとは異なる断熱タンクが必要です。当社は、液化水素の特性に対応するため、真空断熱方式による高断熱・高強度の保冷構造を研究しています。具体的には、5万㎥級の大型液化水素タンクの実用化に向け、過去に実施してきた要素技術の性能確認を行うため、実機の約10分の1のベンチスケールの試験タンクの設計・建設を通じて、実用機に向けた施工や検査方法等を検証し技術課題の抽出を行いながら、2027年度の実証試験完了を目指しています。

 

2.次世代エネルギー向け貯蔵の研究開発

 カーボンニュートラル実現に向けて新たな貯蔵需要の増加が見込まれる燃料アンモニア・液化炭酸ガス・MCH等のタンクに関する研究開発、技術検証の取り組みを進めています。

 国内/海外、新設/改造のいずれにも対応できる専業メーカーの強みを活かして、顧客ニーズに応えるタンク製品及び技術サービスの拡充を図ってまいります。

 

3.溶接施工の脱技能化・省人化に関する研究開発

 タンク建設現場における熟練溶接士の減少に伴い、溶接施工の自動化に向けた取り組みに力を入れ、脱技能化・省人化を目指してまいります。

 具体的には、溶接継手品質の均一化、施工の高能率化を加速するために、AI技術を取り入れた自動溶接システムの構築や溶接作業負荷軽減のための新装置導入を行い、タンク建設現場での適用を想定した様々な施工条件下での検証試験を実施して、実施工での適用実現を目指します。

  なお、当事業に係る研究開発費は138百万円であります。