第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における世界経済は、中国をはじめとするアジアの新興諸国の成長減速や原油価格の下落などにより景気の先行きが不透明な状況で推移しましたが、米国及び欧州において雇用環境が改善するなど景気の回復傾向が続き、総じて緩やかに成長しました。
  国内経済は、企業収益は堅調であったものの、個人消費は力強さを欠き、輸出の伸び悩みや年度後半の円高などで企業の設備投資判断にも慎重な姿勢がみられるなど、景気回復は足踏み状態となりました。
  当社グループを取り巻く市場環境は、国内においては、製造業の生産活動は概ね横ばいとなりましたが、設備投資は好調な企業収益を背景に一部に持ち直しの動きがみられました。一方、海外においては東アジア・東南アジアで水処理需要が伸びました。
  このようななか、当社グループは、3ヵ年の中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)をスタートさせました。この中期経営計画で当社グループは、グローバル競争を勝ち抜く強い企業グループへの進化を目指してまいります。初年度である平成27年度は、海外事業の拡大と原価管理の徹底による収益性の改善に注力いたしました。
  海外事業の拡大については、欧州でBK Giulini GmbHの水処理薬品事業等事業買収により新たに当社グループの一員となったクリタ・ヨーロッパAPW GmbH(以下、同社の中国子会社等を含め「KEAG」グループという)と協働し、競争優位性のある商品を相互供給するなど、早期のシナジー発揮に向けた取り組みを進めました。アジアにおいては、韓国で海外現地資本向けでは初となる超純水供給事業を開始いたしました。
  収益性の改善については、営業と生産部門の連携を強化し、工事案件ごとの原価管理の徹底に努めたことで、一定の成果を得ることができました。また、競争力のある商品・サービスの創出に向けて、水処理薬品、水処理装置、メンテナンス・サービスの3つの事業ノウハウを結集させた新たなサービスを市場に投入するなど、環境負荷低減、省エネルギー、生産性の向上など顧客の課題解決に貢献する提案営業に注力いたしました。
  その結果、当期の受注高は221,273百万円(前年同期比22.1%増)、売上高は214,372百万円(前年同期比13.2%増)となりました。
  利益につきましては、買収事業の取得原価の当初配分額の見直しによる一時的な費用の増加、マイナス金利の影響による割引率変更に伴う退職給付費用の増加やKEAGグループの新規連結に伴うのれん及び技術関連資産の償却費計上があったものの、原価率の改善により、営業利益は微増の19,833百万円(前年同期比2.0%増)、経常利益は20,439百万円(前年同期比7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,577百万円(前年同期比20.5%増)となりました。

セグメント別の業績は次のとおりであります。

(水処理薬品事業)

CK-17計画において水処理薬品事業は、国内市場における収益基盤を再構築するとともに、海外市場におけるシェアを拡大し、日本・アジア・欧州・北南米地域での世界四極体制の構築を目指しています。

国内では、主力商品の既存顧客維持と新規顧客の開拓を強化するとともに、土木などの有望市場へコスト競争力のある新商品・新技術の展開や、センシング技術、データ解析、ITを活用した課題解決提案によりシェアの拡大を図りました。海外においては、欧州における事業基盤の整備やKEAGグループとのシナジー発揮に取り組みました。

新商品として、ボイラ市場向けにコスト競争力の高い逆浸透膜(RO)給水ユニットと、スケール防止及び除去の効果を持つ「ドリームポリマー®」を配合した薬品に最新のセンシング技術を組み合わせることで、ボイラの省エネルギー、省コスト、安定稼働を実現する水処理パッケージサービス「テレマックNEO™」の販売を開始しました。

受注高・売上高につきましては、国内では、排水処理薬品や石油精製・石油化学向けプロセス薬品は増加しましたが、顧客の工場操業度の回復が緩やかであったことにより、国内全体の受注高・売上高は横ばいとなりました。海外では、中国や東南アジアを中心に新規顧客の開拓が進んだことに加え、KEAGグループを新規に連結したことにより、受注高・売上高ともに大幅な増加となりました。

一方、利益につきましては、買収事業の取得原価の当初配分額の見直しによる一時的な費用増加やKEAGグループの新規連結に伴うのれん及び技術関連資産の償却費計上により、減益となりました。

この結果、水処理薬品事業全体の受注高は83,440百万円(前年同期比40.6%増)、売上高は83,680百万円(前年同期比39.5%増)、営業利益は6,467百万円(前年同期比17.9%減)となりました。

 

 

(水処理装置事業)

CK-17計画において水処理装置事業は、収益・コスト構造を見直し、将来にわたり安定収益を確保できる体制をつくりあげること、そして収益の柱となる新たなビジネスモデルを創出し、事業を持続的に成長させていくことを目指しています。

国内では、営業と生産部門が一体となり、顧客の工場全体の課題を解決する提案や契約ビジネスを推進するとともに、海外では、案件の初期段階から営業と生産部門の連携を強化し、原価管理を徹底し、収益性の改善を図りました。

新商品として、生ごみ・紙ごみ・食品廃棄物・汚泥などの多様な有機性廃棄物から発酵に適した物だけを分離してメタン発酵させ、精製したバイオガスはエネルギー源として、発酵残渣はたい肥として利用できる「乾式メタン発酵システム」を開発し、販売を開始しました。

受注高・売上高につきましては、国内では、電子産業分野で、スマートフォン向け電子部品工場の高い稼働率を背景に、水処理装置とメンテナンス・サービスが増加しました。超純水供給事業では新規契約案件の収益計上がありましたが、一部案件に契約期間満了があり、全体では受注高・売上高は、やや減少となりました。一般産業分野では、廃棄物を再資源化する乾式メタン発酵システム、食品産業向けの排水処理装置の受注により、水処理装置の受注高は増加しましたが、工事進捗の遅れなどにより売上高は減少しました。メンテナンス・サービスは、前年度好調だった更新・改造案件の反動減の影響があったものの、顧客の課題解決に貢献する提案営業に注力したことにより、受注高・売上高ともに増加となりました。電力分野向けは、受注高・売上高ともに増加しました。土壌浄化は、受注高は減少しましたが、売上高は前年度に受注した案件の売上計上により増加しました。海外では、中国、台湾及び韓国の電子産業分野で大型案件を中心に受注高は大幅に増加しました。売上高は大型案件の売上計上一巡により減少しました。

一方、利益につきましては、営業、設計、工事部門の連携を強化し、海外における不採算案件の縮小や国内における増収により、原価率が改善し、増益となりました。

この結果、水処理装置事業全体の受注高は、137,832百万円(前年同期比13.0%増)、売上高は130,692百万円(前年同期比1.0%増)、営業利益は13,366百万円(前年同期比15.6%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、43,591百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,084百万円減少しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動で得られた資金は、26,582百万円(前年同期比3,268百万円増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益20,411百万円、減価償却費14,682百万円、仕入債務の増加額2,293百万円等で資金が増加したことに対し、売上債権の増加額4,473百万円、法人税等の支払額8,264百万円等で資金が減少したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動で使用した資金は、33,172百万円(前年同期比37,918百万円増)となりました。これは主に、定期預金の預入・払戻による差引支出10,138百万円、超純水供給事業用設備等の有形固定資産の取得による支出17,693百万円、欧州事業買収に伴う支出3,857百万円等で資金を使用したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、5,707百万円(前年同期比8,222百万円減)となりました。これは主に、長期借入による収入1,256百万円等で資金が増加した一方で、配当金の支払額5,551百万円及び自己株式の取得による支出990百万円等で資金を使用したことによるものです。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

水処理薬品事業(百万円)

84,131

138.7

水処理装置事業(百万円)

131,698

101.6

          合計(百万円)

215,829

113.4

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

水処理薬品事業

83,440

140.6

3,559

93.7

水処理装置事業

137,832

113.0

52,475

115.8

合計

221,273

122.1

56,034

114.0

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

水処理薬品事業(百万円)

83,680

139.5

水処理装置事業(百万円)

130,692

101.0

          合計(百万円)

214,372

113.2

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

シャープ株式会社

26,298

13.9

23,097

10.8

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは「“水"を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「水と環境の先進的マネジメント企業」の実現を目指して事業活動を展開しています。
  また、平成27年5月に施行された改正会社法や同年6月に施行されたコーポレートガバナンス・コードを受け、「コーポレートガバナンスに関する方針」を定め、経営の実効性・効率性を高め、中長期的に企業価値の向上を目指し、取締役会等の役割の見直しを含む広範な改革を行っています。株主・投資家をはじめとする、すべてのステークホルダーの皆様には、会社の経営方針や経営状況などを従来に増して、適正かつ迅速に情報開示を行い、より透明性の高い経営の実現を目指してまいります。

平成27年度から開始した3ヵ年の中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)では、「顧客に高い付加価値を提供するため、あらゆる仕事を基本から見直す」を基本方針に、持続的な成長に向け、「収益性の改善」「海外事業の拡大」及び「グループの総合力発揮」の3つの課題に取り組んでいます。

初年度である平成27年度は、水処理薬品事業では、事業買収により欧州における事業基盤を整備・拡大しました。また、水処理装置事業においては、海外案件を中心に、プロジェクトごとの原価管理を徹底した結果、不採算案件は縮小し、収益性の改善に一定の成果を得ることができました。

しかし、当社グループを取り巻く環境の変化は激しく、グローバル競争を勝ち抜くためには、従来以上のスピードで技術・商品開発、事業構造・基盤の変革・整備、人材の育成を進めていく必要があると考えます。

CK-17計画の中間年度となる平成28年度は、初年度の取り組みをさらに強化し、残された課題の解決に向け、迅速に以下の重点施策を実施します。

 

(1)水処理装置事業における収益・コスト構造の変革

事業分野ごとに収益・コスト構造を見直し、改善すべき点を明確にします。販売面では、市場・顧客のニーズを捉え、競合優位性を見極めたうえで、注力する市場・顧客を明確にし、高い付加価値を提供できる案件に集中して取り組みます。生産面では、見積り段階における原価積算の精度向上と受注後のプロジェクトごとの原価管理を徹底するとともに、日本・東アジア・東南アジアにおける生産体制を見直し、経営資源の再配分により生産コストの削減を図ります。

(2)水処理薬品事業におけるグローバルシナジーの拡大と北米事業基盤の整備

欧州事業買収シナジーをグローバルに拡大していきます。当社、クリタ・ヨーロッパGmbH(以下、「KEG」という)及び、その他当社グループ会社間で戦略商品の相互供給を行い、日本・欧州・アジアその他地域における販売を強化します。さらに、当社とKEGの研究開発力を融合し、グローバルで競争力のある新商品の市場への投入を目指します。

日本・アジア・欧州・北南米地域での世界四極体制の構築を目指し、北米は業務提携、株式買収、事業買収等のM&Aにより、事業基盤の獲得・整備を図ります。
注)平成28年4月1日に、クリタ・ヨーロッパGmbHとクリタ・ヨーロッパAPW GmbHを合併し、合併後の社名はクリタ・ヨーロッパGmbHといたしました。上記KEGは合併後の社名を指しています。

(3)競争力ある商品・サービスの開発と提案型ビジネスの推進

成長市場を見極め、市場・顧客のニーズを的確に捉えた競争力のある商品・サービスを開発し、市場へ投入します。

環境負荷低減、エネルギー削減を提案・実現する超純水供給事業を国内外で積極的に展開していきます。テレマーケティング機能を活用、顧客ニーズを先取りし、競争力のある技術・商品に独自のセンシング技術により把握した水処理データの解析を組み合わせ、迅速かつ最適なソリューションを顧客に提案するビジネスを推進していきます。

(4)グルーバル人材の育成

日本本社、海外グループ会社間での技術研修や人材交流を進め、グローバル人材を育成していきます。海外グループ会社のコア人材を把握し、現地スタッフを経営幹部へ登用するなど、グローバル競争を勝ち抜くための人材を育成する仕組みを構築していきます。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループを取り巻く経営環境において、考えられる主な事業等のリスクは次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 経済、市場の状況

当社グループの水処理薬品事業、水処理装置事業は、当社グループが事業活動を行っている国内及び海外の国・地域の経済状況の影響を受けています。水処理薬品事業は主な需要先である鉄鋼、石油精製・石油化学、紙・パルプ産業等の工場操業度により需要が変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。また、水処理装置事業は主な需要先である電子産業分野・一般産業分野の設備投資の動向により需要が変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。
  なお、当社グループの事業分野における競合相手との競争激化による商品やサービスの価格下落等により、当社グループの収益性が低下する可能性があります。

 

(2) 資材調達に関する影響

当社グループは商品の製造や製作・建設等のために使用する原材料や部品を当社グループ外から調達しております。市況の変化により原材料や部品の価格は変動し、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 海外事業展開に関わるリスク

当社グループは海外市場における事業拡大を図っております。これらの海外市場への事業展開にあたっては、国内とは異なる、予期しない法律又は規制の変更、政治・経済の混乱、為替の変動等のリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合は、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 新商品開発

当社グループは継続して新技術の開発及び新商品の開発に取り組んでおります。新技術・新商品開発は不確実なものであり、顧客ニーズに合致した技術や優位性のある商品をタイムリーに提案できない可能性や、技術革新や顧客ニーズの変化に追随できない可能性があります。優位性のある新商品を開発できない場合は、将来の成長と収益性を低下させる等、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 知的財産権

当社グループは知的財産権の重要性を認識し、国内及び海外において、知的財産の権利化、第三者が保有する知的財産権の侵害防止に継続して取り組んでおります。しかしながら、広範囲に事業を展開する中で、当社グループの知的財産権が侵害される可能性や第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性があり、こうした場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 情報システム

当社グループの事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大しており、コンピュータウイルスその他の要因によってかかる情報システムの機能に支障が生じた場合は、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 大規模自然災害等

地震や台風等大規模な自然災害その他の事象により、当社グループの事業遂行に直接的又は間接的な混乱が生じた場合は、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

 (販売提携)

契約会社名

提携先

提携の内容

契約期間

当社

三菱化学株式会社

イオン交換樹脂「ダイヤイオン」の販売に関する代理権の取得

昭和51年4月1日から
平成30年11月30日まで

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、ボイラ・冷却水処理技術、超純水製造技術、用排水処理技術、水回収技術、土壌・地下水浄化技術といった主力事業の強化に向けた技術開発に加え、当社技術を支える分析技術や解析技術、新素材開発等の基盤技術の深化に取り組んでいます。また、宇宙や海洋など新分野に関わる水処理など、新事業進出のための開発にも積極的に取り組んでいます。

今後も、長年培ってきた“水”の技術にさらに磨きをかけるとともに、企業ビジョン「水と環境の先進的マネジメント企業」の実現に向けて、環境負荷低減、資源循環、生産性向上の視点から、産業と社会のニーズに幅広く対応する商品・技術の開発に積極的に取り組んでいきます。また、新事業進出のための新しい水機能の研究開発も積極的に行っていきます。

研究開発は、主に当社の開発本部により推進されており、研究開発スタッフはグループ全体で約200名にのぼり、これは従業員総数の3.6%に当たっております。当該連結会計年度の研究開発費の総額は5,269百万円(売上高比2.5%)であります。

当該連結会計年度における各セグメント別の研究開発概要と主な成果及び研究開発費は、次のとおりであります。

(1) 水処理薬品事業

顧客の省エネルギー・環境負荷低減・生産性向上に貢献する水処理や環境改善、生産プロセス向けの薬品開発や、薬品処理効果の診断技術などの開発に取り組んでいます。

当該連結会計年度における主な成果は次のとおりであります。

・当社ボイラ薬品との組み合わせにより、国内外の多様な給水水質に対してスケール障害防止と燃料費削減を実現可能な、逆浸透膜を用いた低圧ボイラ向けボイラ給水装置を開発しました。また、当社のボイラ向けセンサー群を連携させ、水処理状況や燃費改善効果などをパソコン上で提示する水処理統合管理システムを開発しました。

・リニア新幹線工事の着工に伴い増加が予想される大規模なトンネル工事において、掘削した壁面の崩壊を防止しながら、安全かつ低コストで工事ができる薬品を開発しました。

・クリタ・ヨーロッパAPW GmbH社がBK Guilini社の買収で獲得したポリマー合成技術と当社の培った水処理薬品技術を活用し、アジアのコンビナート冷却水向けにコスト競争力の高い防食・スケール防止剤を開発しました。

なお、当事業に係る研究開発費は2,129百万円であります。

 

(2) 水処理装置事業

電子産業などの生産性向上に寄与する超純水水質の更なる高度化への挑戦や、環境規制を先取りした排水処理の開発を推進しています。また、排水回収・再利用技術、汚泥減量技術などの循環型社会に対応した技術開発にも取り組んでいます。

当該連結会計年度における主な成果は次のとおりであります。

・排水浄化により増殖する微生物由来の汚泥を微小動物に捕食させて、汚泥発生量を抑制する当社の生物処理技術をベースに、微小動物を粒状化して沈降性を向上させ、後段の固液分離設備を不要とした省スペース・低コスト型生物処理装置を開発しました。

・一般産業廃棄物として出される混合系ごみから、発酵に適した物だけを分離してメタン発酵し、メタンガスをエネルギー源として回収する乾式メタン発酵システムを開発しました。

・水処理に関わる薬品・装置・運転管理の知見をもとに、設備改造による節水・省エネメリットや規格型水処理装置を用いた水供給契約提案のメリットを、モバイルパソコンで簡易にシミュレーションし、お客様に提示可能な提案支援ツールを開発しました。

なお、当事業に係る研究開発費は3,139百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

当連結会計年度末における流動資産は、150,546百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,579百万円増加しました。これは主に、売掛金が3,742百万円増加した一方で、現金及び預金と有価証券を合わせた手元資金が1,556百万円減少したことによるものです。売掛金の増加は、主に年度後半の水処理装置事業の売上高が前連結会計年度に比べ増加したことによるものです。手元資金の減少は、主に欧州事業買収代金の残金を決済したことによるものです。

固定資産は、147,561百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,036百万円増加しました。これは主に、有形固定資産が3,355百万円、投資その他の資産が1,656百万円それぞれ増加した一方で、無形固定資産が2,975百万円減少したことによるものです。有形固定資産の増加は、主に超純水供給事業における新規案件によるものです。

投資その他の資産の増加は、主に保有する株式の株価上昇により投資有価証券の含み益が増加したことによるものです。無形固定資産の減少は、主に欧州事業買収に係るのれん等の償却費を計上したことによるものです。

流動負債は、44,407百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,568百万円減少しました。これは主に、買掛金が1,891百万円増加した一方で、未払金が2,961百万円、未払法人税等が890百万円、流動負債その他が1,018百万円減少したことによるものです。未払金の減少は、主に欧州事業買収代金の残金を決済したことによるものです。流動負債その他の減少は、主に売上計上に伴い前受金が減少したことによるものです。

固定負債は、24,735百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,696百万円増加しました。これは主に、退職給付債務計算に使用する割引率を変更したことなどにより退職給付に係る負債が1,717百万円増加したことによるものです。

純資産合計は、228,964百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,486百万円増加しました。これは主に、株主資本が6,117百万円増加した一方で、その他の包括利益累計額が551百万円減少したことによるものです。株主資本の増加は、利益剰余金が前連結会計年度の期末配当金及び当連結会計年度の中間配当金の合計額5,469百万円を上回る親会社株主に帰属する当期純利益12,577百万円の計上などにより7,095百万円増加した一方で、自己株式が主に市場買付により990百万円増加(株主資本は減少)したことによるものです。その他の包括利益累計額の減少は、主に前述の投資有価証券の含み益増加に伴いその他有価証券評価差額金が1,293百万円増加した一方で、為替換算調整勘定が円高外国通貨安により2,128百万円減少したことによるものです。

以上の結果、当連結会計年度末の資産合計並びに負債純資産合計は298,107百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,615百万円増加しました。また、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の1,907円80銭から1,961円30銭へと増加し、自己資本比率は75.5%から76.4%へと0.9%増加しました。

 

(2) 経営成績の分析

①売上高

売上高は、前連結会計年度に比べ24,974百万円増収の214,372百万円となりました。これは、水処理薬品事業が23,681百万円、水処理装置事業が1,293百万円の増収となったことによるものであります。

セグメント別の状況は、1「業績等の概要」(1)業績において記載したとおりであります。

②売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、前連結会計年度の130,509百万円から13,455百万円増加(前年同期比10.3%増)の143,964百万円となりました。また、売上原価率は、前連結会計年度に比べ1.7%改善しました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の39,454百万円から11,120百万円増加(前年同期比28.2%増)の50,574百万円となりました。

③営業利益

上記①②の結果、営業利益は、前連結会計年度の19,435百万円から398百万円増加(前年同期比2.0%増)の19,833百万円となりました。セグメント別では、水処理薬品事業が前連結会計年度の7,877百万円から1,410百万円減少(前年同期比17.9%減)の6,467百万円、水処理装置事業が前連結会計年度の11,560百万円から1,806百万円増加(前年同期比15.6%増)の13,366百万円となりました。

④経常利益

営業利益の増加により、経常利益は、前連結会計年度の18,934百万円から1,505百万円増加(前年同期比7.9%増)の20,439百万円となりました。

⑤税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の18,467百万円から1,944百万円増加(前年同期比10.5%増)の20,411百万円となりました。

⑥親会社株主に帰属する当期純利益

法定実効税率の変更等により、法人税等合計は307百万円減少し、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の10,434百万円から2,143百万円増加(前年同期比20.5%増)の12,577百万円となりました。また、1株当たり当期純利益金額は前連結会計年度の87.81円から108.24円へと増加しました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、43,591百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,084百万円減少しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

営業活動で得られた資金は、26,582百万円(前年同期比3,268百万円増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益20,411百万円、減価償却費14,682百万円、仕入債務の増加額2,293百万円等で資金が増加したことに対し、売上債権の増加額4,473百万円、法人税等の支払額8,264百万円等で資金が減少したことによるものです。

投資活動で使用した資金は、33,172百万円(前年同期比37,918百万円増)となりました。これは主に、定期預金の預入・払戻による差引支出10,138百万円、超純水供給事業用設備等の有形固定資産の取得による支出17,693百万円、欧州事業買収に伴う支出3,857百万円等で資金を使用したことによるものです。

財務活動の結果使用した資金は、5,707百万円(前年同期比8,222百万円減)となりました。これは主に、長期借入による収入1,256百万円等で資金が増加したことに対し、配当金の支払額5,551百万円及び自己株式の取得による支出990百万円等で資金を使用したことによるものです。